第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や、堅調な企業収益などの明るさが見られるものの、将来の生活に不安を感じることから消費を手控える傾向は変わらないなど、個人消費は力強さを欠き、また、英国のEU離脱問題や米国新政権の政策運営の不確実性が、わが国経済へ及ぼす影響が懸念されるなど、景気回復が実感できない状況が続いております。

国内農業の状況は、強い国内農業の構築を目指した政府の施策の今後が期待される一方、少子高齢化による食料消費の減少や農家の後継者不足等の従前からの課題に加え、大きな農業被害をもたらした北海道での大雨などの災害、米国抜きで発効を目指すTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の行方など、農業にマイナス影響あるいは不透明感をもたらす状況が散見されております。

このような状況のなか当社グループの業績は、種苗事業や農材事業が順調に推移したものの、施設材事業がこれまで大きく伸長した反動などから低調に終わり、売上高578億48百万円で前年同期比2億51百万円(0.4%)の減収となり、利益面でも営業利益20億15百万円で前年同期比1億29百万円(6.0%)減、経常利益21億16百万円で前年同期比1億65百万円(7.2%)減となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益の計上や法人税率引下げの影響などから14億89百万円で前年同期比23百万円(1.6%)増となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

種苗事業

種苗事業においては、牧草種苗関係では、夏作の飼料用トウモロコシ及びソルガムなどの飼料用作物種子の販売増に加え、東北地方の震災復興や北海道の台風災害復旧特需の影響から、野芝種子及び張芝苗などの緑化工事用種苗が伸長し、売上高は増加いたしました。

野菜種苗関係では、国内販売は微増となりました。ヤマノイモの種イモの不作による売上高減少や野菜種子販売が微減となったものの、サツマイモ苗等の販売が伸長したことなどによるものであります。

野菜種子の輸出では、欧米向けカボチャ、東南アジア向けチンゲンサイの需要が旺盛で、売上高は増加いたしました。また、新規に連結を開始したフィリピン所在の子会社(フィリピーナス・カネコ・シーズ・コーポレーション)の業績が付加されたことなどから、種苗事業全体として売上高78億35百万円で前年同期比7.7%増となり、利益面においても、海外向け野菜種子売上増による採算性の向上などから、セグメント利益11億79百万円で前年同期比10.2%増となりました。

 

花き事業

花き事業においては、家庭園芸資材の需要低迷に加え、花苗・野菜苗の販売が、春先の低温による買い控えをゴールデンウィークの最需要期の売上でもカバーできず、売上高96億91百万円で前年同期比3.3%減となりました。利益面においては、自社オリジナル商品の重点販売による採算性向上と販売費及び一般管理費の削減により、セグメント利益は2億48百万円で前年同期比15.7%増となりました。

 

農材事業

農材事業においては、オリジナル被覆肥料ベストマッチと農薬を絡めた企画提案営業の展開を強化したことや、茎葉除草剤の需要増、青果高に伴う農家の防除意欲向上により、関東地区を中心に殺虫剤等の販売が伸長するなど順調に推移いたしました。その結果、売上高261億79百万円で前年同期比2.8%増となり、セグメント利益も9億96百万円で前年同期比10.4%増となりました。

 

施設材事業

施設材事業においては、西日本地区での販売や養液栽培プラントの受注が順調に推移したものの、前期、前々期に取り組んだ、平成26年2月の大雪で被害を受けた農業用ハウスの復旧事業の反動が予想以上に大きく、売上高137億89百万円で前年同期比8.0%減となり、セグメント利益も5億35百万円で前年同期比33.9%減となりました。

 

造園事業

売上高3億52百万円で前年同期比1.4%増となり、セグメント損失は1百万円(前年同期のセグメント損失は3百万円)と損失金額は圧縮いたしました。

  (2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、現金及び現金同等物の増加額4億5百万円に、新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額71百万円を加え、前連結会計年度と比較して4億77百万円増加し、43億69百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は、17億5百万円(前年同期比27.2%減)となりました。

これは主に、仕入債務が4億34百万円減少したことや、法人税等を7億31百万円支払うなどで資金を使用したものの、税金等調整前当期純利益を22億7百万円計上及びたな卸資産が5億52百万円減少したことなどにより資金を獲得したことや、減価償却費を2億24百万円計上したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、27百万円(前年同期比86.8%減)となりました。

これは主に、投資有価証券の売却により1億17百万円の資金を獲得したものの、有形固定資産の取得により1億80百万円支出したことなどによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、12億64百万円(前年同期比108.2%増)となりました。

これは主に、配当金の支払及び短期借入金の返済などによるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 該当事項はありません。

(2)受注状況

 該当事項はありません。

(3)仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

種苗事業

3,972,803

△8.4

花き事業

8,199,953

△3.4

農材事業

23,492,696

1.8

施設材事業

12,072,063

△3.7

造園事業

347,231

6.0

合計

48,084,746

△1.4

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(4)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

種苗事業

7,835,292

7.7

花き事業

9,691,601

△3.3

農材事業

26,179,006

2.8

施設材事業

13,789,637

△8.0

造園事業

352,794

1.4

合計

57,848,330

△0.4

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、農業関連の総合企業として、また、グリーン事業のトータルプランナーとして農業及び園芸の発展に努めてまいりました。

 当社グループは次のものを「信条」に掲げ、社業を推進しております。

  「大同に生きる経営」

 1.社会に必要とされ、社会に貢献する価値ある会社に育てよう。

 2.働くものにとって、その人生を託するに値する生きがいのある職場をつくろう。

 3.われわれのあげた成果によって会社の存在意義と価値を高めよう。

  厚い蓄積によって安定した会社

  適正な配分によって信頼される会社

  合理的投資によって成長する会社

 その意義は、企業の社会的責任を全うし、社会に必要とされ、貢献できる会社のみが、安定した企業として成長できるという堅い信念を表わしています。

 これを実現するため、「ハイテクと国際化」を経営の基本方針として、新商品・新技術の研究開発と、種子の生産・販売両面での積極的な全国展開、海外展開に取り組んでおります。

 

(2) 経営環境、対処すべき課題及び経営戦略

 国内農業を取り巻く環境は、少子高齢化による食料消費の減少や農家の後継者不足等の従前からの課題に加え、農業にも大きな被害をもたらす自然災害の頻発、米国抜きで発効を目指すTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の行方など、農業にマイナス影響あるいは不透明感をもたらす事象が散見されております。

 一方、強い国内農業の構築を目指した政府の施策の今後が期待されております。規模拡大や農産物の輸出増加が緩やかではありますが進行し、農家のコスト低減や競争力強化を念頭においた農業改革などの変化が見られる状況であります。

 また、世界的には、急激な人口増加による食料需要の増大にもかかわらず、生産はそれを十分カバーできず、新興国の所得水準向上が食生活の多様化につながり、消費量増加や高品質志向が野菜にもおきております。

 このような国内農業や世界的な課題に対し、当社グループは経営の基本方針である「ハイテクと国際化」や、農業関連の総合企業として、また、グリーン事業のトータルプランナーとして、農業及び園芸の発展に寄与することを念頭に対処しております。

 国内農業の関係では、ハイテクを駆使して新商品・新技術の研究開発を行っております。高い市場性・耐病虫性・高収量性・良食味性などの特性を備えた野菜・牧草種子や、花色や花型、草姿などが優れ、生産性の高い花き品種の開発を進めてまいりました。上記の開発で得られた野菜種子等の品種を、好適な気象条件などを備えた採種地を世界的に求めることで、高品質・安定的かつ低コストでの種子生産を志向し、得られた種子を日本国内のみならず海外まで販売し、グローバルに展開しております。

 さらに、安定的かつ高品質な野菜生産と、農作業の効率化・省力化を両立させる温室・養液栽培プラントを、種苗会社という栽培ソフト面の強みを生かして供給し、加えて、施肥作業を軽減し農業経験が浅くノウハウに乏しい生産者にも使いやすい被覆肥料を提供しております。

 また、農薬や農業資材の販売においても、高いコスト競争力での商品供給や有用な企画提案を行っております。これらにより、国内農業のコスト低減や競争力強化に今後も貢献してまいります。

 世界的な課題である人口増加による食料需要の増大や、高品質な野菜等への需要増加については、これまでに培った品種開発力を生かし、高品質・高収量の農産物生産を実現する野菜・牧草種子を今後も開発し、海外にも販売していくことで対処してまいります。

 

4【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 種子等の品質について

 種子等の品質管理には万全を期しておりますが、種子等は本質的に生物であり、万全の注意を払って採種を行ったとしても、天候その他予期せざる要因により品質が劣化することがあります。したがって、純度・発芽率等が完全な種子のみを供給できるものではありません。種子の十分な品質レベルが確保できないことにより販売に支障をきたし、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。

 

(2) 種子の作柄について

 当社グループは、野菜・牧草・花の種子等の販売を事業の主力として営んでおります。これらの生産については、主に国内及び海外の業者に委託しておりますが、その生産の形態は、野外の農地に植えつけることにより採種する場合が大部分であります。こうした形態から、生産量や品質が天候等の自然条件に、おのずと大きく左右されることとなります。作柄が不良となることに備え、比較的長期間の販売に耐えうる在庫量を確保しておくことや、安定的な種子供給のため、地球上の異なる地域・気候を利用して採種することなどの対応を行っております。しかしながら、天候不順等による不作により、種子等が品不足となって販売に支障をきたし、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。

 

(3) 開発期間の長期化

 当社グループの種子等の開発期間は、比較的短いもので5年、長いもので10年程度を要し、その期間を大幅に短縮することは容易ではありません。また、長期間開発に努力しても、期待する成果が必ずしも得られるものではありません。そのような研究開発活動の停滞により、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。

 

(4) 海外取引に関するリスク

 各種種子等の生産は、その委託先に多くの海外業者が含まれております。また、販売についても野菜種子を中心に輸出を行っております。これら海外取引の一部には以下のようなリスクが内在しており、それらが顕在化した場合、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。

 ・ 円安に伴う仕入コストの上昇や、円高に伴う販売金額の目減り等の為替相場変動のマイナス影響

 ・ 政治・経済等の不安定

 ・ 政変やクーデター

 ・ 法律や制度における想定外の制定や改廃

 

(5) 国内農業に関する影響

 日本国内の農業の状況は、人口減少と少子高齢化による食料消費の低迷や農業従事者の高齢化といった構造的問題が発生しており、非常に厳しい状況にあります。また、農協改革やTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の影響など、その置かれた環境は不透明な状況であります。当社グループは、新商品・新技術の研究開発や、得意先のニーズを的確に捉えた営業活動に意を払うことで、業容拡大や業績向上に努めておりますが、当社グループの事業の多くが国内農業関連であることから、当該国内農業の状況に少なからず影響を受けております。

 

(6) 債権管理リスク

 当社グループは、売掛金や受取手形などの債権を有しております。農業の業界では、農業生産者が農作物の出荷代金を受領後、農薬等を購入した代金を支払う盆暮勘定(8月と12月支払)の商習慣が一部に残っております。農業生産者から、前記のような形態で代金回収した小売店等が、比較的長いサイトでの支払いを当社に対しても行うことがあるため、債権金額が取引金額と比し多額となるにケースも発生します。与信管理については常に充分注意しておりますが、場合によっては回収リスクが顕在化する可能性があります。

 

(7) 自然災害、事故等によるリスク

 自然災害や予期せぬ事故等が発生することにより、当社グループの事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。大規模な自然災害が発生し、その影響で広範囲にわたり農業生産が不能あるいは困難となった場合や一般家庭が甚大な被害を受けた場合、農業生産向けの種苗・農薬・農業資材や一般家庭向けの園芸用品などの販売が減少するケースなどが考えられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 法的規制や制度改革等によるリスク

 当社グループの事業は、種苗法・植物防疫法・農薬取締法・毒物及び劇物取締法・建設業法など、さまざまな法的規制を受けています。コンプライアンス強化に努めておりますが、法令等を遵守できなかった場合や法的規制の変更の場合等で、事業活動が制限されるなどにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 人材の確保・育成に関するリスク

 当社グループは「ハイテクと国際化」を経営の基本とし、新商品・新技術の研究開発と種子の生産・販売両面でのグローバル展開を志向しております。これらを実現するためには、研究開発に高度な能力を発揮し、また、困難な環境や多様な文化のなかでも業務を遂行する有用な人材が必要となります。

 これらの適切な人材が十分に確保・育成ができない場合、長期的な視点から当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)業績の変動について

 当社グループの業績は、第4四半期において、他の四半期と比較して売上高・利益ともに増加する傾向にあります。これは、春の種まきなどの時期に、それに使用する種苗・農薬・農業資材・家庭園芸用品の需要が増加することや、農薬においては、春に当該シーズンに使用する薬剤の多くを購入する商習慣があることなどによります。したがって、第3四半期までの業績は、年度予算に対する進捗率が低くなる状況にあります。

 なお、平成29年5月期における四半期毎の業績の概要は以下のとおりとなっております。

                                           (単位:千円)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

年度合計

売上高

(構成比 %)

13,243,935

(22.9)

10,656,633

(18.4)

10,848,273

(18.8)

23,099,489

(39.9)

57,848,330

(100.0)

売上総利益

(構成比 %)

2,042,811

(22.2)

1,690,525

(18.4)

1,991,006

(21.6)

3,486,441

(37.8)

9,210,785

(100.0)

営業利益

(構成比 %)

303,538

(15.1)

12,213

(0.6)

352,881

(17.5)

1,346,990

(66.8)

2,015,624

(100.0)

 

 

5【経営上の重要な契約等】

  該当事項はありません。

6【研究開発活動】

研究開発に関しましては、常に高付加価値で新規性のあるオリジナル商品の開発に取り組んでおります。種苗事業では「野菜類及び飼料作物類」と「サツマイモなどの栄養繁殖性野菜類」の品種開発、花き事業では「ユーストマなどの花き類」と「ホームユース向け野菜類」の品種開発、また施設材事業では「自然光型養液栽培プラント及び閉鎖型植物工場」の開発を行っております。これらの研究部門が連携をとりながら、新たな農業システムを構築すべく研究開発活動を行っております。当連結会計年度の研究開発費の総額は、610,669千円となっております。

セグメント別研究開発の状況は次のとおりであります。

 

(1)種苗事業

くにさだ育種農場では、野菜類及び飼料作物類の品種開発を行っております。当年度につきましては、東京都種苗会主催の第58回東京都野菜・花き種苗改善審査会において、“康春”ダイコンが農林水産大臣賞、“春大慶”ダイコンが東京都農業協同組合中央会会長賞を受賞いたしました。また、日本種苗協会主催の第67回全日本野菜品種審査会におきましては、エダマメ・キャベツなど6点が入賞いたしました。

当年度につきましては、野菜11品種・飼料作物2品種を新発売といたしました。新しい作型に対応できる品種や特徴のある品種で、産地での普及が期待できます。野菜類では、冷涼地向け耐病性レタス品種“タフV”及びベと病・ビッグベイン病に強い冬どり用レタス品種“ワンダフル”。耐寒性に優れる2~3月どり用ハクサイ“おもむき”。食味と肥大性に優れたスイートコーン“わくわくコーン82”“わくわくコーン88”。食味性に優れたネギ“一翠太”。北海道・東北等の栽培に向くタマネギ“マルソー”。黄化葉巻病に強く味の良い大玉トマト“TY秀福”。スジが少なく葉切れの良いコマツナ“こいしい菜”。海外市場に向けたキャベツ“KAK818”“KAK819”を発表いたしました。飼料作物類では、東南アジアに向けた飼料用トウモロコシ“501”、倒伏に強いイタリアンライグラス“さつきばれEX”をラインアップに加えました。引き続き新規性のある品種の開発を、国内外に向け積極的に行ってまいります。

波志江研究所では、バイオテクノロジー技術を利用してイモ類などの栄養繁殖性野菜のウイルスフリー化と新品種開発を進めております。

 サツマイモでは、オリジナル品種の開発と既存品種“ベニアズマ”や“なると金時”の系統選抜を進めております。オリジナル品種“シルクスイート”は独特のしっとりなめらかな食感と甘さで消費者の評価が高く、産地での栽培面積が更に拡大しております。次の新品種についても販売に向けて産地試験を継続しております。“ベニアズマ”、“なると金時”は産地で選抜した有望系統の拡大試作を行っております。

ヤマノイモでは、新規性があり栽培しやすい品種の開発を進めております。食味の評価が高いオリジナル品種“ネバリスター”は更に産地での栽培面積が拡大しております。また、販売に向けて種イモの増殖を開始した新品種候補は、短型で粘りが強く作りやすい特徴があり、家庭菜園用として今後の展開が期待されます。

なお、当事業に係る研究開発費の金額は、466,025千円であります。

 

(2)花き事業

花き育種研究室では営利生産者向けとホームユース向けの花き品種の開発を行っております。

ユーストマでは7品種を新発売といたしました。その中で、第69期より販売を開始したフリンジの強い八重咲き品種“ジュリアスライトピンク”のシリーズとして、ラベンダー色の“ジュリアスラベンダー”が特に高い評価を得ており、当社の看板品種である“エグゼラベンダー”とともにラベンダー色のシェアがさらに高まることが期待されます。また、日本種苗協会主催の第62回全日本花き品種審査会において“ラビアージュ”が、さらに第63回では“ジュリアスラベンダー”が1等特別賞を受賞しました。カーネーションではスプレー系の自社開発品種を6品種、スタンダード系については海外提携メーカーからの独占導入品種を4品種新発売とし、より一層の充実を図りました。また、オリジナル品種の充実により利益率の高い自社生産苗の比率が高まり、カーネーション全体の利益率が向上しました。スターチス・シヌアータでは、暖地向け品種としてボリュームのある“マグナムブルー”や生産性の高い“ルネッタブルー”などの販売を開始いたしました。これらの品種を持って、暖地でのシェアの拡大を図ってまいります。デルフィニウムでは八重咲きF1品種の“クレスブルー”と“アズールブルー”、キンギョソウでは半八重咲き品種3品種の育成が完了し、次年度からの販売に向け種子の準備を進めております。

ホームユース向けでは国内外からの導入を積極的に行い、品揃えの充実を図るとともに、野菜苗につきましても品種比較試験を実施し、ユーザーに喜ばれ他社と差別化できる品種の選定を行っております。

 なお、当事業に係る研究開発費の金額は、60,034千円であります。

 

(3)施設材事業

 開発部では、安全・安心で、かつ効率の高い野菜生産を追求し、自然光型養液栽培プラント及び閉鎖型植物工場において、種苗会社という長年の栽培ソフトの蓄積を生かしたプラント開発を行っております。現在、7つのタイプの養液栽培システムを開発し、品目に適した栽培システムを提供しております。マルチリーフレタス、小ネギ、ミツバなどの葉菜類を栽培する“EK式ハイドロポニック”、トマト、キュウリなどを栽培する“スプレーポニック®”、イチゴを栽培する”ココベリーファーム®“等のシステムが各地で利用されています。今後は、大規模施設が多くなるにともない、植物生理に基づいた高度なハウス内環境制御技術とさらなる養液栽培技術開発とのマッチングにより、一層の生産効率を上げることができます。既存地域での実績を基盤として新しい地域の展開を進めてまいります。

 なお、当事業に係る研究開発費の金額は、84,608千円であります。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

  本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況」「1.連結財務諸表等」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。

 

(2) 当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度末における「資産の部」の残高は、433億69百万円で前年同期比1億82百万円(0.4%)増となりました。これは、在庫圧縮により商品が減少したものの、利益計上に伴い現金及び預金が増加したことなどによるものであります。

また、「負債の部」の残高は、256億83百万円で前年同期比13億5百万円(4.8%)減となりました。これは主に、利益計上に伴い獲得した資金を借入金の返済に充当したことによるものであります。

「純資産の部」の残高は、176億86百万円で前年同期比14億87百万円(9.2%)増となりました。

これは主に利益計上及びその他有価証券評価差額金の増加によるものであります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの分析については、「1.業績等の概要」の「(2)キャッシュ・フロー」の項目をご参照ください。

 

(4) 当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度の売上高は578億48百万円で前年同期比2億51百万円(0.4%)減、売上総利益は92億10百万円で前年同期比61百万円(0.7%)増となりました。販売費及び一般管理費71億95百万円を差引いた営業利益は、20億15百万円で前年同期比1億29百万円(6.0%)減となりました。

売上高につきましては、種苗事業や農材事業が順調に推移したものの、施設材事業がこれまで大きく伸長した反動などから低調に終わり、前年同期比減収となりました。

種苗事業においては、夏作の飼料用トウモロコシ及びソルガムなどの飼料用作物種子、東北地方の震災復興や北海道の台風災害復旧特需の影響から野芝種子及び張芝苗などの緑化工事用種苗、欧米向けカボチャ、東南アジア向けチンゲンサイの野菜種子の販売伸長や、新規に連結を開始したフィリピン所在の子会社(フィリピーナス・カネコ・シーズ・コーポレーション)の業績が付加されたことなどから順調に推移いたしました。

また、農材事業においては、オリジナル被覆肥料ベストマッチと農薬を絡めた企画提案営業の展開を強化したことや、茎葉除草剤の需要増、青果高に伴う農家の防除意欲向上により、関東地区を中心に殺虫剤等の販売が伸長するなどで売上増となりました。

一方、施設材事業においては、前期、前々期に取り組んだ、平成26年2月の大雪で被害を受けた農業用ハウスの復旧事業の反動により売上高は大きく減少し、当社グループ売上高トータルでは減収になりました。

売上総利益については、施設材事業の減収に伴う利益減を、利益率の高い種苗事業や、増収となった農材事業でカバーし前年同期より増加いたしました。

販売費及び一般管理費につきましては、前年同期比190百万円(2.7%)増となりました。マイナス金利の影響を受けた退職給付費用の増加や、新規に連結したフィリピーナス・カネコ・シーズ・コーポレーションの費用が上乗せされたことなどによるものであります。

営業外損益につきましては前年同期と比べ大きな変動はなく、営業外収益が営業外費用を上回り、経常利益21億16百万円で前年同期比1億65百万円(7.2%)減となりました。

特別損益につきましては、投資有価証券の売却を進めたことによる売却益を特別利益に計上したことが、利益嵩上げ要因となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、14億89百万円で前年同期比23百万円(1.6%)増と微増となりました。営業利益・経常利益が減益となったものの、投資有価証券売却益の計上や法人税率引下げの影響などにより増益で終了いたしました。

 

なお、セグメント別の分析については、「1.業績等の概要」の「(1)業績」の項目をご参照ください。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「3.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「4.事業等のリスク」に記載のとおりであります。