第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、農業関連の総合企業として、また、グリーン事業のトータルプランナーとして農業及び園芸の発展に努めてまいりました。

 当社グループは次のものを「信条」に掲げ、社業を推進しております。

  「大同に生きる経営」

 1.社会に必要とされ、社会に貢献する価値ある会社に育てよう。

 2.働くものにとって、その人生を託するに値する生きがいのある職場をつくろう。

 3.われわれのあげた成果によって会社の存在意義と価値を高めよう。

  厚い蓄積によって安定した会社

  適正な配分によって信頼される会社

  合理的投資によって成長する会社

 その意義は、企業の社会的責任を全うし、社会に必要とされ、貢献できる会社のみが、安定した企業として成長できるという堅い信念を表わしています。

 これを実現するため、「ハイテクと国際化」を経営の基本方針として、新商品・新技術の研究開発と、種子の生産・販売両面での積極的な全国展開、海外展開に取り組んでおります。

 

(2) 経営環境、対処すべき課題及び経営戦略

当社グループと関係の深い農業分野を取り巻く環境を、日本国内と世界それぞれ考察すると次のような状況です。

国内的には、農作物の需要面において、2015年から人口が減少に転じ、高齢化率の上昇と相俟って食料消費の低迷が続いております。また、農作物の生産面において、一部の農産物輸出に増加がみられるものの、食料消費の低迷が、作付面積の減少、休耕地の増加を招く結果となっており、また、就農者の高齢化や消費者が安全で高品質な食品を求めること、気象条件の変化により農産物生産が不安定化するなどの要因から、効率的で省力化され、高品質で安定的かつ高収量な農産物生産を可能とする種子や農業資材等への要求が強まる傾向が続いております。国内農業分野では、これらに対処していくことが課題と考えております。

世界的には、急激な人口増加や新興国の経済発展による所得上昇により、食料需要の増大、肉食の増加やそれに伴う飼料の需要拡大、高品質な食品への欲求が高まる傾向となっております。また、当社グループの海外展開の主力である野菜種子に関しては、野菜消費の拡大により種子需要は増加傾向にある一方、世界的な気象変動による作柄の不安定化や高品質食品志向などから、求められる特性や品質が高度化する状況となっており、世界的には安定的、高収量で、かつ高品質な農産物生産への寄与などが対処すべき課題であります。

このような国内外の情勢に対し、「ハイテクと国際化」の基本方針のもと、新商品・新技術の研究開発と種子の生産・販売両面での積極的な海外展開、また、「農業関連の総合企業」「グリーン事業のトータルプランナー」として、これまでの実績とノウハウを生かして対処してまいります。

「ハイテク」関係の取組みとして、従来より野菜・牧草・イモ類・花きの種苗、養液栽培プラントなど幅広い研究開発活動を行っております。

野菜やイモ類の種苗関係では、高い市場性・耐病虫性・高収量性・良食味性、牧草種子関係では、高収量性・耐病性、花き種苗関係では、花色・花型・高い生産性などの特性を備えた品種の開発を進めております。また、養液栽培プラント関係では、農作業の効率化・省力化に効果があり、安全、安心、安定的かつ高品質な野菜生産に寄与するプラントの開発を行っております。

国内においては、各種苗の開発で得られた品種の供給や、養液栽培プラントの設計・施工、また、「農業関連の総合企業」として、農薬、農業資材、被覆肥料を、高いコスト競争力と種苗会社という栽培ソフト面の強みや企画提案力を生かして提供し、効率的で省力化され、高品質で安定的かつ高収量な農産物生産を求める生産者と、安心で味の良さなどを求める消費者双方のニーズを満たすことでシェアアップを図ってまいります。

加えて、「グリーン事業のトータルプランナー」として、花色や花型、草姿などが優れ、生産性の高い花き品種を開発して営利栽培農家向けに販売するとともに、家庭園芸愛好家向けに、生活に彩と潤いを添える花き商材や家庭菜園用野菜苗を企画提案することで、売上及び利益の確保に取り組んでまいります。

「国際化」の取組みとしては、海外において安定的、高収量で、かつ高品質な農産物へのニーズを満たす野菜種子の販売拡大に加え、飼料用トウモロコシや花き種苗、養液栽培プラント関係の海外展開も着実な進捗を目指してまいります。

また、近年は気候変動により食料生産のみならず種子生産も不安定化しており、これらへの対処も課題となります。高品質、安定的かつ低コストでの種子生産を実現するため、世界的な好適地を検索してリスク分散を図るほか、種子生産技術の向上により対処してまいります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 種子等の品質について

 種子等の品質管理には万全を期しておりますが、種子等は本質的に生物であり、万全の注意を払って採種や管理を行ったとしても、天候その他予期せざる要因により品質劣化や病害発生のリスクがあります。したがって、純度・発芽率・健全性等が完全な種子のみを供給できるものではありません。種子の十分な品質レベルが確保できないことにより販売に支障をきたすなどして、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。

 

(2) 種子の作柄について

 当社グループは、野菜・牧草・花の種子等の販売を事業の主力として営んでおります。これらの生産については、主に国内及び海外の業者に委託しておりますが、その生産の形態は、野外の農地に植えつけることにより採種する場合が大部分であります。こうした形態から、生産量や品質が天候等の自然条件に、おのずと大きく左右されることとなります。作柄が不良となることに備え、比較的長期間の販売に耐えうる在庫量を確保しておくことや、安定的な種子供給のため、地球上の異なる地域・気候を利用して採種することなどの対応を行っております。しかしながら、天候不順等による不作により、種子等が品不足となって販売に支障をきたし、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。

 

(3) 開発期間の長期化

 当社グループの種子等の開発期間は、比較的短いもので5年、長いもので10年程度を要し、その期間を大幅に短縮することは容易ではありません。また、長期間開発に努力しても、期待する成果が必ずしも得られるものではありません。そのような研究開発活動の停滞により、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。

 

(4) 海外取引に関するリスク

 各種種子等の生産は、その委託先に多くの海外業者が含まれております。また、販売についても野菜種子を中心に輸出を行っております。これら海外取引の一部には以下のようなリスクが内在しており、それらが顕在化した場合、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。

 ・ 円安に伴う仕入コストの上昇や、円高に伴う販売金額の目減り等の為替相場変動のマイナス影響

 ・ 政治・経済等の不安定

 ・ 政変やクーデター

 ・ 法律や制度における想定外の制定や改廃

 

(5) 国内農業に関する影響

 日本国内の農業の状況は、人口減少と少子高齢化による食料消費の低迷や農業従事者の高齢化といった構造的問題が発生しており、非常に厳しい状況にあります。当社グループは、新商品・新技術の研究開発や、得意先のニーズを的確に捉えた営業活動に意を払うことで、業容拡大や業績向上に努めておりますが、当社グループの事業の多くが国内農業関連であることから、当該国内農業の状況に少なからず影響を受けております。

 

(6) 債権管理リスク

 当社グループは、売掛金や受取手形などの債権を有しております。農業の業界では、農業生産者が農作物の出荷代金を受領後、農薬等を購入した代金を支払う盆暮勘定(8月と12月支払)の商習慣が一部に残っております。農業生産者から、前記のような形態で代金回収した小売店等が、比較的長いサイトでの支払いを当社に対しても行うことがあるため、債権金額が取引金額と比し多額となるケースも発生します。与信管理については常に充分注意しておりますが、場合によっては回収リスクが顕在化する可能性があります。

 

(7) 保有資産の価額変動リスク

 当社グループは、土地等の有形固定資産や有価証券などを有しております。これらの資産価格の下落により当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。

 

(8) 自然災害、事故等によるリスク

 自然災害や予期せぬ事故等が発生することにより、当社グループの事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。大規模な自然災害が発生し、その影響で広範囲にわたり農業生産が不能あるいは困難となった場合や一般家庭が甚大な被害を受けた場合、農業生産者向けの種苗・農薬・農業資材や一般家庭向けの園芸用品などの販売が減少するケースなどが考えられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 法的規制や制度改革等によるリスク

 当社グループの事業は、種苗法・植物防疫法・農薬取締法・毒物及び劇物取締法・建設業法など、さまざまな法的規制を受けております。コンプライアンス強化に努めておりますが、法令等を遵守できなかった場合や法的規制の変更の場合等で、事業活動が制限されるなどにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 人材の確保・育成に関するリスク

 当社グループは「ハイテクと国際化」を経営の基本とし、新商品・新技術の研究開発と種子の生産・販売両面でのグローバル展開を志向しております。これらを実現するためには、研究開発に高度な能力を発揮し、また、困難な環境や多様な文化のなかでも業務を遂行する有用な人材が必要となります。

 これらの適切な人材が十分に確保・育成ができない場合、長期的な視点から当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)業績の変動について

 当社グループの業績は、第4四半期において、他の四半期と比較して売上高・利益ともに増加する傾向にあります。これは、春の種まきなどの時期に、それに使用する種苗・農薬・農業資材・家庭園芸用品の需要が増加することや、農薬においては、春に当該シーズンに使用する薬剤の多くを購入する商習慣があることなどによります。したがって、第3四半期までの業績は、年度予算に対する進捗率が低くなる状況にあります。

 なお、2019年5月期における四半期毎の業績の概要は以下のとおりとなっております。

                                           (単位:千円)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

年度合計

売上高

(構成比 %)

13,598,342

(23.2)

11,542,872

(19.7)

11,100,631

(18.9)

22,350,822

(38.2)

58,592,669

(100.0)

売上総利益

(構成比 %)

2,209,929

(23.6)

1,851,298

(19.7)

1,962,332

(20.9)

3,353,613

(35.8)

9,377,173

(100.0)

営業利益

(構成比 %)

324,783

(18.2)

26,270

(1.5)

167,335

(9.4)

1,267,318

(70.9)

1,785,707

(100.0)

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の状況)

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や企業収益が底堅く推移したことで、景気は緩やかな回復基調にあると言われているものの、その実感に乏しく、また、米中貿易摩擦の深刻化、中国の成長鈍化などが日本経済へマイナス影響を及ぼす懸念が強まっております。

 国内農業の状況は、少子高齢化による食料消費の減少や農家の後継者不足等の従前からの課題に加え、夏場には猛暑による農作物の作柄不良や台風の襲来による農業用施設の損壊、秋以降は好天や暖冬により野菜の生育が前倒しで進み、出荷量増加が青果安につながるなど、目まぐるしく状況が変化いたしました。また、先行きを考えた場合、米国より農産物市場開放への圧力が強まる懸念など、農家経営を不安定化させる要因が多々みられる状況となっております。

 このような状況のなか当社グループの業績は、花き事業や種苗事業が減収となったことなどから売上高585億92百万円で前年同期比5億10百万円(0.9%)の減収となりました。利益面では、農材事業が順調に推移したことや、施設材事業で養液栽培プラントの採算性の向上などにより、営業利益17億85百万円で前年同期比38百万円(2.2%)増、経常利益18億99百万円で前年同期比7百万円(0.4%)増とそれぞれの微増となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期に減損損失を計上した反動から12億84百万円で前年同期比3億5百万円(31.2%)増となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度の期首より、報告セグメント区分及び費用の配賦方法を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。また、当連結会計年度の第4四半期より花き事業と農材事業の物流費用の配賦方法を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)1.報告セグメントの概要」をご覧ください。

 

種苗事業

 種苗事業においては、野菜種子関係で、カボチャの輸出が販売時期のズレにより販売減となり、キャベツが国内販売・輸出とも減少するなどのマイナス要因があったものの、国内販売でエダマメのシェアアップや日東農産種苗株式会社からの一部事業譲り受けにより獲得した品種の売上が上乗せになったこと、また、輸出関係でもニンジンやトマトの販売が増加し、野菜種子トータルでは増収となりました。

牧草種子関係も災害復旧向け緑化工事用種苗やスポーツターフ等の販売が増加いたしました。その反面、今期より種苗事業に統合した造園関係の受注減や、ウイルスフリー関係でナガイモの種イモの生産が天候不順により不作となったことに伴い販売も減少し、売上高82億19百万円で前年同期比2.5%減収となりました。利益面でも、野菜種子の採算性向上等のプラス面があったものの、売上高の減少や人件費や種子検査費用等が増加したことにより、セグメント利益11億21百万円で前年同期比4.3%減となりました。

 

花き事業

 花き事業においては、家庭園芸用品への需要が低迷するなか、販売先の園芸事業からの撤退、大手チェーン店において、資本業務提携に伴い販売ルートが他社へ移ったことやプライベートブランド化による販売減などにより、売上高86億34百万円で前年同期比5.8%減収となり、利益面でも、セグメント利益13百万円で前年同期比90.2%減となりました。

 

農材事業

農材事業においては、猛暑により害虫の発生が少なかったことから殺虫剤の販売が低迷したものの、一般家庭で茎葉除草剤の使用が増えるなど購買層が広がったことによる需要増、農薬販売会社の寡占化が進むなか土壌消毒剤の販売でシェアアップが図れたことなどから、売上高270億64百万円で前年同期比1.1%増収となり、利益面でも、セグメント利益9億5百万円で前年同期比13.5%増となりました。

 

施設材事業

施設材事業においては、度重なる台風により被害を受けた農業用施設のフィルム張替え需要の増加や、環境負荷の低い生分解性の被覆材の販売増があったものの、養液栽培プラントや温室関係は、完工時期が翌期にずれ込むなどで完工売上高が減少し、売上高146億73百万円で前年同期比0.5%減収となりました。利益面では、養液栽培プラントの採算性の向上などによりセグメント利益4億53百万円で前年同期比11.0%増となりました。

 

(財政状態の状況)

当連結会計年度末における「資産の部」の残高は455億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億30百万円増加いたしました。これは主に減収に伴い受取手形及び売掛金が減少したものの、在庫積み増しによる商品の増加や倉庫建設などにより有形固定資産が増加したことによるものであります。

また、「負債の部」の残高は259億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億65百万円減少いたしました。これは主に減収にスライドして仕入も減少したことにより支払手形及び買掛金が減少したことによるものであります。

「純資産の部」の残高は196億19百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億96百万円増加いたしました。これは主に利益計上に伴うものであります。

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度と比較して3億37百万円減少し、45億73百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は、8億92百万円(前年同期比41.1%減)となりました。

これは主に、たな卸資産が10億25百万円増加したことや、法人税等を5億76百万円支払うなどで資金を使用したものの、税金等調整前当期純利益18億45百万円の計上や売上債権7億6百万円の減少等により資金を獲得したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、8億69百万円(前年同期比32.0%増)となりました。

これは主に、有形固定資産の取得に6億73百万円、投資有価証券の取得に2億7百万円それぞれ支出したことなどによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、3億62百万円(前年同期比17.9%増)となりました。

これは主に、配当金の支払などによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

  該当事項はありません。

b.受注実績

  該当事項はありません。

c.仕入実績

  当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

種苗事業

5,215,429

8.1

花き事業

7,339,184

△7.1

農材事業

24,640,384

1.3

施設材事業

13,046,047

△1.2

合計

50,241,046

△0.0

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当連結会計年度より緑化工事用種子販売と造園・法面工事等の緑化工事を一体的に考え、営業力向上を目的として、組織変更を行いました。これに伴い、管理区分の見直しを行い、「造園事業」を「種苗事業」に統合いたしました。なお、前年同期比につきましても、前連結会計年度分をセグメントの新区分で再計算した金額に基づいて算定したものを使用しております。

 

d.販売実績

   当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

種苗事業

8,219,860

△2.5

花き事業

8,634,798

△5.8

農材事業

27,064,167

1.1

施設材事業

14,673,843

△0.5

合計

58,592,669

△0.9

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当連結会計年度より緑化工事用種子販売と造園・法面工事等の緑化工事を一体的に考え、営業力向上を目的として、組織変更を行いました。これに伴い、管理区分の見直しを行い、「造園事業」を「種苗事業」に統合いたしました。なお、前年同期比につきましても、前連結会計年度分をセグメントの新区分で再計算した金額に基づいて算定したものを使用しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況」「1.連結財務諸表等」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

当連結会計年度の売上高は585億92百万円で前年同期比5億10百万円(0.9%)の減収、売上総利益は93億77百万円で前年同期比1億32百万円(1.4%)増となりました。販売費及び一般管理費75億91百万円を差引いた営業利益は17億85百万円で前年同期比38百万円(2.2%)増となりました。

売上高につきましては、花き事業や種苗事業の売上高が減少したことにより、前年同期比減収となりました。花き事業においては、家庭園芸用品への需要が低迷するなか、販売先の園芸事業からの撤退、大手チェーン店において、資本業務提携に伴い販売ルートが他社へ移ったことやプライベートブランド化などにより減収となり、種苗事業においては、今期より種苗事業に統合した造園関係の受注減や、ウイルスフリー関係でナガイモの種イモの生産が天候不順により不作となったことに伴い減収となりました。

売上総利益につきましては、花き事業の販売低迷などのマイナス要因があったものの、農材事業でのシュアアップや一部商品の需要増による増収効果、種苗事業における野菜種子の販売増や採算性の向上、施設材事業では風害により破損した農業用フィルムの張替え需要増や養液栽培プラントの採算が改善したことなどから、売上総利益は増加いたしました。

販売費及び一般管理費につきましては、前年同期比93百万円(1.3%)増となりました。人員増等に伴う人件費の増加や支店の事務所・倉庫建替えによる減価償却費の増加、種子病害に対応するための種子検査費用や物流費の高騰などによる増加であります。

営業外損益につきましては、受取保険金が減少するなど営業外収益が前年同期と比べ減少したものの、営業外収益が営業外費用を上回り、経常利益18億99百万円で前年同期比7百万円(0.4%)の微増益となりました。

特別損益につきましては、前期同期に多額の減損損失を計上した反動から特別損失が減少し、前年同期と比べ収支が改善いたしました。

親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、12億84百万円で前年同期比3億5百万円(31.2%)増となりました。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

資金需要

 当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、営業債権及び在庫のための費用及び販売費及び一般管理費であります。

 また、設備資金需要といたしましては、本社及び支店の事務所及び倉庫の改修や建替え等があります。

財務政策

 運転資金及び設備資金につきましては、内部資金の活用及び金融機関からの短期借入金によっております。

 

d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度より緑化工事用種子販売と造園・法面工事等の緑化工事を一体的に考え、営業力向上を目的として、組織変更を行いました。これに伴い、管理区分の見直しを行い、「造園事業」を「種苗事業」に統合いたしました。なお、前年同期比につきましても、前連結会計年度分をセグメントの新区分で再計算した金額に基づいて算定したものを使用しております。

   (a)財政状態の状況

(種苗事業)

セグメント資産は、主に野菜種子の在庫積み増しに伴う商品の増加により、82億23百万円で前年同期比9億37百万円(12.9%)増となりました。

(花き事業)

セグメント資産は、主に売上高の減少に伴う売上債権の減少により、35億86百万円で前年同期比3億79百万円(9.6%)減となりました。

(農材事業)

セグメント資産は、主に農薬の在庫の積み増しに伴う商品の増加により、156億49百万円で前年同期比3億13百万円(2.0%)増となりました。

(施設材事業)

セグメント資産は、主に第4四半期の売上高減少に伴う売上債権の減少により、59億26百万円で前年同期比1億65百万円(2.7%)減となりました。

 

   (b)経営成績の状況

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要」「①財政状態及び経営成績の状況」「(経営成績の状況)」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

  該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

研究開発に関しましては、常に高付加価値で新規性のあるオリジナル商品の開発に取り組んでおります。種苗事業では「野菜類及び飼料作物類」と「サツマイモ・ヤマノイモなどの栄養繁殖性野菜類」の品種開発、花き事業では「ユーストマ・カーネーションなどの花き類」と「ホームユース向け花き類・野菜類」の品種開発、また施設材事業では「自然光型養液栽培プラント及び閉鎖型植物工場」の開発を行っております。これらの研究部門が連携をとりながら、新たな農業システムを構築すべく研究開発活動を行っております。また第72期におきましては、長年の技術開発の成果として高付加価値野菜の生産のため“低カリウム野菜の栽培方法”で特許を取得致しました(特許第6513057号)。当連結会計年度の研究開発費の総額は、665,883千円となっております。

セグメント別研究開発の状況は次のとおりであります。

 

(1)種苗事業

くにさだ育種農場では、野菜類及び飼料作物類の品種開発を行っております。当連結会計年度につきましては、一般社団法人日本種苗協会主催の第69回全日本野菜品種審査会におきましてレタス・ホウレンソウ・ダイコン・コマツナ・コカブで5点が入賞いたしました。また第60回東京都野菜・花き種苗改善審査会におきましてはキャベツ・エダマメ・ヒマワリで5点が、第66回千葉県野菜品種審査会におきましてはエダマメ1点が入賞いたしました。

当連結会計年度につきましては、野菜類8品種・飼料作物類5品種を新発売といたしました。新しい作型に対応できる品種(タマネギ)や特徴のある品種(トマト・エン麦)、栽培しやすい品種(ハクサイ・レタス・トウモロコシ等)で、普及に向け産地へ推進しております。

野菜類では、黄色い果実が売り場で目を引く中玉トマト“イエローホープ”、形状が良く収穫しやすい春・秋まき栽培兼用ハクサイ“菜時黄(さいじき)”、食味の良い超極早生タマネギ“アリオン”、サラダに向く極早生赤タマネギ“レッドアロー”、ベと病の抵抗性を付与し栽培しやすい春どり用レタス“ユースフル”、晩抽性で赤色の発色が良いレッドリーフレタス“晩抽タフレッド”、葉数が多く収穫作業が容易なホウレンソウ“スナイパー”、暑さに強い小ネギ“ブラックアロー”を発表いたしました。飼料作物類では、倒伏に強く雌穂収量の高い北海道用トウモロコシ“KD085ベローナ”、倒伏と病気に強いトウモロコシ“KD106エダム”、サツマイモネコブセンチュウ密度抑制効果を有するエン麦“ヒットマン”を発表いたしました。“ヒットマン”につきましては、“シルクスイート®”に代表されるカンショ(サツマイモ)栽培に効果的に利用できる品種です。また、競技場やゴルフ場・公園などの用途に向け、耐暑性と耐病性に優れた芝草“コンパス2”、厳寒期でも葉色の濃いウインターオーバーシード用芝草“アスパイヤー”をラインアップに加えました。引き続き新規性のある品種の開発を国内外に向け積極的に行ってまいります。

 

波志江研究所では、バイオテクノロジー技術を利用して主に栄養繁殖性作物であるカンショ(サツマイモ)とヤマノイモの新品種開発とウイルスフリー化を進めております。

 カンショ(サツマイモ)では、新品種の育成を最重点課題としています。現在、有望な系統の産地試験を継続して行っており、食感や食味で新規性のある新品種候補が育成されてきております。オリジナル品種“シルクスイート®”は消費者、市場関係者、生産農家においての評価が年々高くなっており、更なる栽培面積の増加が期待されます。また、既存の主力品種である“ベニアズマ”、“なると金時”では、産地の要望にあった「形状が安定して秀品率の高い」新系統を育成し、普及に向けて栽培試験を進めております。

 ヤマノイモでは、新品種の育成とオリジナル品種“ネバリスター”の改良を重点課題として試験を進めております。新品種育成では、短型で堀取り易く粘りが強いものを目標に開発を進め、有望な系統は産地での試験栽培を継続しており今後の展開が期待されます。

“ネバリスター”は食味が大変良く高い評価のため栽培面積が増加しています。さらなる普及のため収量性を向上させるよう改良に取り組んでおります。

 

なお、当事業に係る研究開発費の金額は、515,750千円であります。

 

(2)花き事業

 花き育種研究室では営利栽培農家向けとホームユース向けの花き類・野菜類の開発を行っております。当連結会計年度の一般社団法人日本種苗協会主催の第64回及び65回全日本花卉品種審査会に、ユーストマ、スターチス・シヌアータ、キンギョソウの3品目について計6回の出品を行い、7点が入賞し、うちユーストマでは“K480”が1位一等特別賞を受賞いたしました。また前年度の第63回全日本花卉品種審査会で1位一等特別賞を受賞したユーストマの“ジュリアスラベンダー”に農林水産大臣賞が授与されました。

当連結会計年度につきましては、5品目で合計26品種を新発売といたしました。ユーストマにつきましては11品種を新発売とし、その中で“ジュリアススノー”と“ジュリアスブルー”は人気のジュリアスシリーズの追加色となり、このシリーズの強化を図ることが出来ました。また、“ルカゴールド”は当社では初めての黄色系品種で、これまでになかった売り上げが期待されます。カーネーションではスプレー系の自社開発品種を5品種、スタンダード系については海外提携メーカーからの独占導入品種を5品種新発売といたしました。オリジナリティーの高い大輪スプレー系品種“14084-02”を来期より本格的に販売することになり、カーネーションの新しい市場を開拓することが期待されます。スターチス・シヌアータやデルフィニウム、カスミソウなどにつきましても、有望系統の拡大試作を実施しており、販売に向けて種子や親株の準備を行っております。また、ユーストマやカーネーション、スターチス・シヌアータにつきましては、海外での試作も行っており、今後は海外向け品種の開発にも力を入れてまいります。ホームユース向けでは国内外から花き類と野菜類の品種を多数導入し、商品のより一層の充実を図りました。

 

 なお、当事業に係る研究開発費の金額は、67,061千円であります。

 

(3)施設材事業

 農業者人口の減少や天候不順による野菜生産の不安定リスクを軽減するため養液栽培のニーズは高まっています。開発部では、安全・安心で、かつ効率の高い野菜生産を追求し、自然光型養液栽培プラント及び閉鎖型植物工場において、種苗会社という長年の栽培ソフトの蓄積を生かした他社にはないプラント開発を行っております。今年4月19日には“低カリウム野菜の栽培方法”で特許を取得いたしました。当社の栽培プラント開発と養液管理技術開発による結果です。今までに7つのタイプの養液栽培プラントを開発し、品目に適した栽培プラントを提供しております。“マルチリーフ®”(ワンカットで葉がバラバラになりボリュームのある盛り付けができるリーフレタス)、細ねぎ(小ネギ)、ミツバなどの葉菜類を栽培する“EK式ハイドロポニック”やトマト、キュウリなどを栽培する“スプレーポニック®”、イチゴを栽培する“ココベリーファーム®”が各地で導入されています。現在、植物生理に基づいた高度なハウス内環境制御技術の構築を作物ごとに行うとともに、養液栽培の環境負荷の低減を可能にするプラントの開発を行っております。加えて、より一層の生産効率を上げるため養液栽培向け品種の開発を行っております。今後も既存販売地域での実績を基盤として新しい地域の展開を進めてまいります。

 

 なお、当事業に係る研究開発費の金額は、83,071千円であります。