第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、農業関連の総合企業として、また、グリーン事業のトータルプランナーとして農業及び園芸の発展に努めてまいりました。

 当社グループは次のものを「信条」に掲げ、社業を推進しております。

  「大同に生きる経営」

 1.社会に必要とされ、社会に貢献する価値ある会社に育てよう。

 2.働くものにとって、その人生を託するに値する生きがいのある職場をつくろう。

 3.われわれのあげた成果によって会社の存在意義と価値を高めよう。

  厚い蓄積によって安定した会社

  適正な配分によって信頼される会社

  合理的投資によって成長する会社

 その意義は、企業の社会的責任を全うし、社会に必要とされ、貢献できる会社のみが、安定した企業として成長できるという堅い信念を表わしています。

 これを実現するため、「ハイテクと国際化」を経営の基本方針として、新商品・新技術の研究開発と、種子の生産・販売両面での積極的な全国展開、海外展開に取り組んでおります。

 

(2) 経営環境、経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社を取り巻く環境

当社は、農業分野を中心に、家庭園芸の分野などでも事業を展開しております。日本国内においては、労働人口の減少や長寿社会の到来により食料の消費量は減少傾向にあり、依然として低い食料自給率の環境下であることから、縮小していく市場への対応は当社の重要な課題となっております。

また、生活に潤いを与える園芸分野においては、環境意識の高まりやSDGsの浸透により消費者のニーズが多様化しているため、それらに対応した事業活動の展開が重要となります。

一方海外においては、人口増加や生活水準の向上による食の多様化、ウクライナ紛争や世界的な異常気象等に起因して食料不足のリスクが顕在化しており、良質な種苗の安定供給を通した食料の生産性向上や増産の重要性がますます高まっている状況です。

さらには、温室効果ガス排出抑制への取組み、持続的な農業の発展と地球環境の両立、地域社会のWell-Beingへの貢献が当社の重要な課題、及び社会的責任と認識しております。

「ハイテクと国際化」 「農業関連の総合企業」 「グリーン事業のトータルプランナー」の経営基本方針を掲げ、当社はこれらの課題に対処してまいります。

国内農業への対応

人口減少や高齢化により食料需要は減少する傾向にありますが、食料安全保障の観点から、また消費者の安全安心で美味しい食品へのニーズが高いことから、国内生産の重要性は高まっております。当社では野菜種子において、収量性や耐病虫性・良食味性を備えた品種を開発・供給し、食料の安定生産へ貢献し、多様化する消費者のニーズに対応しております。

また、多くを輸入に頼る飼料についても、良質な飼料作物種子を国内で開発・販売し、市場より高い評価を得ております。国内の環境・ニーズに合致した品種を継続して開発し、自給率向上に貢献してまいります。

国内農業従事者の高齢化への対応は引き続き重要な課題となっており、作業負荷軽減や農作業の効率化・省力化に貢献する事業を展開しております。AIや環境制御技術を活用した養液栽培プラントの開発、省力化と環境負荷軽減を両立させた生分解性資材や被覆肥料の供給、ドローンによるピンポイント農薬散布など、現場のニーズを捉え、環境へ配慮した農業を提案し、高いコスト競争力と「農業関連の総合企業」としての強みを活かし今後も国内農業に貢献してまいります。

また、園芸の分野では、「グリーン事業のトータルプランナー」として、一般家庭向けに多様化するニーズに対応した苗や園芸資材を、Eコマースを含めたあらゆるチャネルを通して供給しております。営利栽培農家向けでは、花色や生産性に優れた品種開発を行い、各品評会において高い評価を得ており、引き続き付加価値の高い品種を市場に供給してまいります。

海外農業への対応

世界的には人口増加による食料需要の増大に加え、温暖化などの気象変動により栽培環境が著しく変化し、食料不足を助長する要因となっております。こうした状況の中、当社では野菜種子関係で、収量性や耐病虫性、良好な作業性を備えた品種を供給し、また、各地域の栽培環境に適応した品種の開発を進めております。同時にロスを減らすために輸送性の高い品種開発も進めており、世界規模での生産量増加に貢献してまいります。

温暖化などの気象変動は、食料生産の面に加え、種子生産の面でもネガティブな影響を及ぼしております。地球上の異なる地域・気候を利用して採種を行うことで自然災害リスクを分散しており、より安定した種子生産体制を確立していくことも当社の重要な課題となります。

また、飼料作物や花き種苗の分野でも、各地域のニーズを把握し、当地の栽培環境に適した品種の開発・普及に努めており、「ハイテクと国際化」の経営方針のもと、海外展開をより強力にすすめてまいります。

 

当社は持続可能な農業経営に貢献しており、事業活動の多くはSDGsの趣旨に合致したものであります。廃食油を野菜生産用の暖房機に利用できる設備、及びエンジンオイルの廃油を再生重油として利用する設備を供給しており、他業種と連携しながら再生可能エネルギーの活用にも取り組んでおります。今後も持続可能な未来を築き、地域社会のWell-Being に貢献できるよう行動を深化させることを当社の課題としてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

  当社グループは、社会・環境問題を含むサステナビリティを巡る諸課題について、経営の重要課題として取り組んでおります。サステナビリティを含む経営に重大な影響を与えるおそれのある事項につきましては、常務会、役員会または取締役会に付議し、経営レベルでの充分な検討と対応策の決定を行う体制としております。

 また、コンプライアンス担当部門や内部監査・内部統制担当部門を設置し、リスク発生の未然防止ならびにリスク管理に取り組む体制を構築しております。コンプライアンス担当部門は、当社グループ社員が取るべき行動規範を制定し、全従業員に浸透を図っています。内部監査・内部統制担当部門は、財務報告に係る内部統制が機能していることの監査に加え、グループ全体を含めた内部統制の状況および業務プロセスの適正性をモニタリングしております。監査等の結果は、定期的に取締役会へ報告を行うとともに、取締役会による監督・助言を受ける体制としております。

 

(2)重要なサステナビリティ項目

 上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は

以下のとおりであります。

 

・食の安全性と品質確保

 事業の根幹であります種苗メーカーとして、食の安全性と品質確保に取り組んでいくことを約束します。また農業関連の総合企業として持続可能な農業を推進するために、スマート農業の実装化や廃油の再利用等を通じてCO₂排出削減を実現する等、環境へ配慮した生産工程や資源の効率的な活用へも力を入れます。食の基本である種苗の品質と安定供給を確保することで地域のニーズに応え、持続可能な未来への貢献を目指します。

 

・人材育成及び多様な人材の活用

 新しいイノベーションを創出するため、多様な人材の活用を目指し中途採用や障害者雇用の機会を拡げます。多様な背景や経験を持つ人材が集まることで、新たな気づきや異なる視点からの意見、アイディアが生まれると考えています。もちろん女性が自らの特性や能力を発揮し、リーダーを目指しやすい社内の体制や制度、環境も整えて参ります。また、人材育成を重視し公平な人事考課制度を導入することで社員一人一人の自己成長を促します。新しい働き方や、やりがいを提供できる新たな人事制度を構築し、社員のモチベーションを高め、生産性の向上を図ります。

 また、当社グループでは、上記において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

(注)

管理職に占める女性労働者の割合

4.9%

男性労働者の育児休業取得率

25.0%

労働者の男女の賃金差異

57.4%

(注)当該指標に関する実績は、連結子会社が「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、提出会社のみの実績を記載しております。

 

 最後に顧客や社会からの声に真摯に向き合い、常に変化する環境へ柔軟かつ即応することで時代の要求へ応えることを続けます。自己変化とチャレンジを絶えず追求し、サスティナブルな企業として社会に貢献していきます。

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 種子等の品質について

種子等の品質管理には万全を期しておりますが、種子等は本質的に生物であり、万全の注意を払って採種や管理を行ったとしても、天候その他予期せざる要因により品質劣化や病害発生のリスクがあります。採種技術の指導体制や種子検査体制の充実を図り、種子の品質確保や品質レベルが低いあるいは病害リスクのある種子の選別廃棄を随時行っております。それでも、ユーザーの求める純度・発芽率・健全性等の条件を満たす種子のみを供給できるものではなく、種子の十分な品質レベルが確保できないことにより販売に支障をきたすなどして、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。

 

(2) 種子の作柄について

当社グループは、野菜・牧草・花の種子等の販売を事業の主力として営んでおります。これらの生産の多くは、主に国内及び海外の業者に委託しておりますが、その生産の形態は、野外の農地に植えつけることにより採種する場合が大部分であります。こうした形態から、生産量や品質が天候等の自然条件に、おのずと大きく左右されることとなります。作柄が不良となることに備え、比較的長期間の販売に耐えうる在庫量を確保しておくことや、安定的な種子供給のため、地球上の異なる地域・気候を利用して採種することなどの対応を行っております。しかしながら、天候不順等による不作により、種子等が品不足となって販売に支障をきたし、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。

 

(3) 育種開発リスク

当社グループの種子等の開発期間は10年超を要すものもあり、その期間を大幅に短縮することは容易ではありません。また、長期間開発に努力しても、期待する成果が必ずしも得られるものではありません。より良い開発成果を得るためには、優秀な人材と有用な遺伝資源及び新技術に関する情報収集が重要であり、常にそれらに注意を払いリスク回避に努めております。それでも開発成果が得られず、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。

 

(4) 人材の確保・育成に関するリスク

当社グループは「ハイテクと国際化」を経営の基本とし、新商品・新技術の研究開発と種子の生産・販売両面でのグローバル展開を志向しております。これらを実現するためには、研究開発に高度な能力を発揮し、また、困難な環境や多様な文化のなかでも業務を遂行できる有用な人材が必要となり、そのような人材を確保するため、採用活動の充実や入社後の人材育成の強化を図っております。しかしながら、これらの適切な人材が十分に確保・育成ができない場合、長期的な視点から当社グループの事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 国内農業に関する影響

日本国内の農業の状況は、人口減少と少子高齢化による食料消費の低迷や農業従事者の高齢化といった構造的問題が発生しており、非常に厳しい状況にあります。当社グループは、新商品・新技術の研究開発や、得意先のニーズを的確に捉えた営業活動に意を払うことで、業容拡大や業績向上に努めておりますが、当社グループの事業の多くが国内農業関連であることから、当該国内農業の状況に少なからず影響を受けております。

 

(6) 法的規制や制度改革等によるリスク

当社グループの事業は、種苗法・植物防疫法・農薬取締法・毒物及び劇物取締法・建設業法など、さまざまな法的規制を受けております。コンプライアンス強化に努めておりますが、法令等を遵守できなかった場合や法的規制の変更の場合等で、事業活動が制限されるなどにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 海外取引に関するリスク

各種種子等の生産は、その委託先に多くの海外業者が含まれております。また、販売についても野菜種子を中心に輸出を行っております。これら海外取引の一部には以下のようなリスクが内在しており、それらが顕在化した場合、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。

 ・ 円安に伴う仕入コストの上昇や、円高に伴う販売金額の目減り等の為替相場変動のマイナス影響

 ・ 政治・経済等の不安定

 ・ 紛争や政変・クーデター

 ・ 海運等の物流コストアップ

 ・ 法律や制度における想定外の制定や改廃

 

(8) 自然災害、事故、新型コロナウイルス感染症等によるリスク

大規模な自然災害や事故が発生し、その影響で広範囲にわたり農業生産が不能あるいは困難となった場合や一般家庭が甚大な被害を受けた場合、農業生産者向けの種苗・農薬・農業資材や一般家庭向けの園芸用品などの販売が減少するケースなどが考えられます。また、新型コロナウイルス感染症が、当社グループの従業員に蔓延するなどして、業務が大幅に停滞する事態に陥ることも考えられます。このような場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 債権管理リスク

当社グループは、売掛金や受取手形などの債権を有しております。農業の業界では、農業生産者が農作物の出荷代金を受領後、農薬等を購入した代金を支払う盆暮勘定(8月と12月支払)の商習慣が一部に残っております。農業生産者から、前記のような形態で代金回収した小売店等が、比較的長いサイトでの支払いを当社に対しても行うことがあるため、債権金額が取引金額と比し多額となるケースも発生します。与信管理については、取引管理規程に従い取引先ごとの期日管理及び残高管理を行うとともに、財政状態を随時把握するなど常に充分注意を払っておりますが、場合によっては回収リスクが顕在化する可能性があります。

 

(10) 保有資産の価額変動リスク

当社グループは、土地等の有形固定資産や有価証券などを有しております。これらの資産価格の下落により当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。

 

(11)業績の変動について

当社グループの業績は、第4四半期において、他の四半期と比較して売上高・利益ともに増加する傾向にあります。これは、春の種まきなどの時期に、それに使用する種苗・農薬・農業資材・家庭園芸用品の需要が増加することや、農薬においては、春に当該シーズンに使用する薬剤の多くを購入する商習慣があることなどによります。したがって、第3四半期までの業績は、年度予算に対する進捗率が低くなる状況にあります。

なお、2023年5月期における四半期毎の業績の概要は以下のとおりとなっております。

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

年度合計

売上高

(構成比 %)

14,577,928

13,698,783

11,121,303

22,781,162

62,179,177

(23.5)

(22.0)

(17.9)

(36.6)

(100.0)

売上総利益

(構成比 %)

2,176,249

2,075,269

1,850,038

3,405,871

9,507,429

(22.9)

(21.8)

(19.5)

(35.8)

(100.0)

営業利益

(構成比 %)

291,271

242,762

30,666

1,220,696

1,785,397

(16.3)

(13.6)

(1.7)

(68.4)

(100.0)

 

(12)直送取引に関するリスク

当社グループの売上高のうち、主に施設材事業・農材事業を中心として売上高全体の50%超が仕入先から得意先に商品が直送される取引形態をとっております。直送取引の場合、仕入先からの連絡(出荷情報)に基づき売上高を計上するため、商品の出荷日付を適時に把握できず売上高の計上が遅れる可能性があるなど、結果として売上高の期間帰属を誤るリスクがあります。

その対策といたしまして、当社グループでは仕入先に対し出荷納品に関する証憑を速やかに送付するように要請しているほか、期末日近くの取引に関しては、仕入先への出荷状況の問合せを行い、当該リスクの軽減に努めております。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の状況)

 当連結会計年度(2022年6月1日~2023年5月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続いたものの、行動制限緩和や5類への引き下げにより社会経済活動が正常化へと近づきました。その一方、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や円安の影響による原材料価格や光熱費の高騰、物価上昇が景気下押し圧力となるなど不透明感が続いております。

 国内農業の状況は、少子高齢化による食料消費の減少や農家の後継者不足等の従前からの課題に加え、ウクライナ情勢がコロナ禍から回復途上にあった日本農業に大きなダメージをもたらしました。資源・穀物価格高騰に伴い肥料・飼料・資材・光熱費が値上がりし、特に輸入生産資材への依存度が高い畜産部門の影響は深刻で、廃業する酪農家が多発するなど農家経営は厳しさを増しております。

 このような状況のなか当社グループの業績は、農材事業の販売が増加したことなどにより、売上高621億79百万円で前年同期比14億87百万円(2.5%)の増収となりました。利益面では、種苗事業が利益減となったことなどから、営業利益17億85百万円で前年同期比50百万円(2.7%)減となりました。一方、営業外費用関係で為替差損の発生が減少したことから、経常利益19億13百万円で前年同期比4百万円(0.2%)増、親会社株主に帰属する当期純利益14億26百万円で前年同期比1億23百万円(9.5%)増となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

種苗事業

 種苗事業においては、野菜種子の輸出でタマネギ・ネギの販売が堅調に推移したことや円安による価格上昇もあり海外向け販売が増加いたしました。また、食味の良さが評価されたウイルスフリーサツマイモ苗が当期も販売増となったことに加え、野菜種子及び牧草種子の仕入コスト上昇に伴い販売価格を見直したことなどから、売上高88億36百万円で前年同期比4.0%の増収となりました。利益面では、品質が低下した野菜種子の廃棄を進めたことや、牧草種子で円安等に伴う仕入単価の上昇を販売単価に転嫁しきれなかったことから、セグメント利益8億56百万円で前年同期比33.2%減となりました。

 

花き事業

 花き事業においては、営利栽培農家向けのカーネーション・カスミ草・スターチスの苗やユーストマ種子の販売が増加したほか、肥料の新規商品や生産者向けオリジナル培土が好調に推移したものの、コロナ禍の巣ごもり需要の反動減や一部商品の販売ルートが他社に移ったことにより、売上高91億78百万円で前年同期比1.6%減収となりました。利益面でも、減収による売上利益額の減少及び国内外出張旅費等の費用増加により、セグメント利益1億35百万円で前年同期比15.3%減となりました。

 

農材事業

 農材事業においては、主要取扱い商品の農薬が、資源価格高騰などの影響によりメーカー出荷価格が上昇いたしました。それに対応して販売価格を見直した影響から販売が増加し、売上高301億9百万円で前年同期比6.4%の増収となり、利益面でも、セグメント利益14億44百万円で前年同期比51.9%増となりました。

 

施設材事業

 施設材事業においては、原料価格高騰にスライドした農業用フィルムや鉄製品等農業資材の価格上昇が、農家の買い控えや設備投資意欲の減退を招いたことから販売が減少し、売上高140億54百万円で前年同期比3.5%の減収となり、利益面でも、セグメント利益3億21百万円で前年同期比23.6%減となりました。

 

(財政状態の状況)

当連結会計年度末における「資産の部」の残高は467億7百万円となり、前連結会計年度末と比較して22億24百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が減少したことによるものであります。

また、「負債の部」の残高は231億94百万円となり、前連結会計年度末と比較して30億92百万円減少いたしました。これは主に買掛金が減少したことによるものであります。なお、買掛金の減少は、農薬等の値上げ前購入需要に対応するため、前倒し仕入れを行ったことから、資金決済も前倒しとなったことによるものであり、資産の部の現金及び預金も当該理由により減少しております。

「純資産の部」の残高は、235億13百万円となり、前連結会計年度末と比較して8億68百万円増加いたしました。これは主に利益計上に伴うものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度と比較して26億61百万円減少し、21億14百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は、15億90百万円(前連結会計年度は5億70百万円の獲得)となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益18億95百万円、減価償却費4億54百万円及び売上債権の減少額8億1百万円などにより資金を獲得したものの、仕入債務の減少33億20百万円、棚卸資産の増加10億68百万円及び法人税等を4億12百万円支払うなどで資金を使用したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、4億99百万円(前年同期比33.6%減)となりました。

これは主に、有形固定資産の取得に3億68百万円、投資有価証券の取得に58百万円を支出したことなどによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、5億79百万円(前年同期比9.0%増)となりました。

これは主に、配当金の支払や自己株式の取得によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

  該当事項はありません。

b.受注実績

  該当事項はありません。

c.仕入実績

  当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

種苗事業

6,195,097

13.7

花き事業

7,917,067

△1.2

農材事業

27,117,311

5.6

施設材事業

12,514,317

△4.2

合計

53,743,792

3.0

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

d.販売実績

   当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

種苗事業

8,836,360

4.0

花き事業

9,178,074

△1.6

農材事業

30,109,889

6.4

施設材事業

14,054,853

△3.5

合計

62,179,177

2.5

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.経営成績の分析

(a) 売上高

売上高につきましては、農材事業及び種苗事業の販売が伸長したことなどから、売上高621億79百万円で前年同期比14億87百万円(2.5%)の増収となりました。

増収の要因となった農材事業及び種苗事業の状況は、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 (経営成績の状況)」に記載のとおりであります。

 

(b) 営業利益

売上総利益は95億7百万円で前年同期比19百万円(0.2%)増となりました。種苗事業で、品質が低下した野菜種子の廃棄を進めたことや、牧草種子で円安等に伴う仕入単価の上昇を販売単価に転嫁しきれなかったこと、また、施設材事業で、農業資材の価格上昇が農家の買い控えや設備投資意欲の減退を招くなどのマイナス要因があったものの、農材事業でメーカー出荷価格上昇にスライドして販売価格を見直したことに伴う増収効果の影響などから売上総利益は微増となりました。

販売費及び一般管理費は77億22百万円で前年同期比69百万円(0.9%)増となりました。コロナ禍での行動規制が緩和され事業活動が正常化に近づいたことによる旅費等の増加や、2022年5月期の期中に稼働を開始した新基幹システムの減価償却費が増加したことなどによるものであります。

売上総利益から販売費及び一般管理費を差引いた営業利益は17億85百万円で前年同期比50百万円(2.7%)減となりました。

 

(c) 経常利益

営業外収益は1億53百万円で前年同期比1百万円(0.7%)減となりました。前年同期から大きな変動はありません。

営業外費用は25百万円で前年同期比55百万円(68.7%)減となりました。前年同期に円安の影響から計上した為替差損が、今期は減少したことによるものであります。

この結果、経常利益は19億13百万円で前年同期比4百万円(0.2%)増となりました。

 

(d) 親会社株主に帰属する当期純利益

特別利益の計上はありません。前年同期の計上は僅少でありました。

特別損失は17百万円で前年同期比44百万円(71.8%)減となりました。前年同期は倉庫建替えの際の取壊しなどに伴う固定資産処分損が比較的多額に発生しましたが、今期は同様の費用の発生が少なかったことによります。

税金関係は、試験研究費税額控除の増加や過年度法人税の還付があり、税負担が減少いたしました。

この結果親会社株主に帰属する当期純利益は、14億26百万円で前年同期比1億23百万円(9.5%)増となりました。

 

ロ.経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

ハ.財政状態の分析

財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 (財政状態の状況)」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フロー分析につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

キャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりであります。

 

2019年5月期

2020年5月期

2021年5月期

2022年5月期

2023年5月期

自己資本比率(%)

43.1

43.6

45.7

46.3

50.3

時価ベースの自己資本比率(%)

34.8

35.7

36.3

43.0

34.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.1

0.2

0.0

0.2

△0.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

71.3

46.5

193.3

48.2

△127.2

(注)1.各指標は、下記の基準で算出しております。

(1)自己資本比率=自己資本÷総資産

(2)時価ベースの自己資本比率=株式時価総額÷総資産

(3)キャッシュ・フロー対有利子負債比率=有利子負債÷キャッシュ・フロー

(4)インタレスト・カバレッジ・レシオ=キャッシュ・フロー÷利払い

2.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

3.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

4.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

5.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

6.利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、営業債権及び在庫のための費用及び販売費及び一般管理費であります。

また、設備資金需要といたしましては、圃場の取得や本社及び支店の事務所及び倉庫の改修や建替え等があります。

これらの資金需要に対するための資金調達は、営業活動によるキャッシュ・フローによる資金獲得及び金融機関からの短期借入金によっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成に関する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。また、この連結財務諸表における見積りにつきましては、経営者により一定の会計基準の範囲内で行われている部分があります。これらの見積りにつきましては、継続して検証し必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りは不確実性が伴うため、実際の結果はこれらとは異なることがあります。

なお、当社グループの会計上の重要な見積りに、今般の新型コロナウイルス感染症が及ぼす影響は現時点では認識しておらず、その内容は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

  該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

研究開発に関しましては、常に高付加価値で新規性のあるオリジナル商品の開発をグローバルな視点で取り組んでおります。

種苗事業では「野菜類及び飼料作物類」と「カンショ(サツマイモ)などの栄養繁殖性野菜類」の品種開発、花き事業では「ユーストマ・カーネーションなどの花き類」と「ホームユース向け花き類・野菜類」の品種開発、また施設材事業では「自然光型養液栽培プラント及び閉鎖型植物工場」の開発を行っております。これらの研究部門が連携をとりながら、持続可能な社会を支える農業システムを構築すべく研究開発活動を行っております。当連結会計年度の研究開発費の総額は、840,975千円となっております。

セグメント別研究開発の状況は次のとおりであります。

 

(1)種苗事業

くにさだ育種農場では、野菜類及び飼料作物類の品種開発を行っております。当年度につきましては、一般社団法人日本種苗協会主催の第73回全日本野菜品種審査会におきましてキャベツ、カボチャ、エダマメ、ハクサイ、ブロッコリーで7点が入賞いたしました。そのうち2022年8月24日に長野県野菜花き試験場にて開催されましたエダマメ審査会におきまして“鈴だるま(N14-003)”が1位となり農林水産大臣賞を受賞いたしました。さらに2022年10月19日に長野県野菜花き試験場にて開催されましたハクサイ審査会におきまして“キングリー(N-2198)”が1位となり農林水産大臣賞を受賞いたしました。また、東京都種苗会主催の第64回東京都野菜・花き種苗改善審査会におきましてコマツナ、ホウレンソウ、ダイコンで3点が入賞いたしました。そのうち2022年10月11日に東京都農林総合研究センター江戸川分場にて開催されたコマツナ審査会におきまして“必閃(ひっせん)(N-006)”が1位となり農林水産省輸出・国際局長賞を受賞いたしました。第70回千葉県野菜品種審査会におきましてもホウレンソウ1点が入賞いたしました。入賞品種につきましては、販売に向け試験を重ねてまいります。

野菜類では、2023-24年度版野菜種苗カタログに、前年度に発表しました品種を含めミニトマト、ネギ、ハクサイ、タマネギ、ズッキーニ、ダイコン、レタス等12品種を加えました。“白翠”ネギにつきましては肥大性・伸長性に優れた初夏どり用一本ネギとして産地で好評頂き順調に普及が進んでいます。また近年栽培が拡大したズッキーニにつきましては、ウイルスに強い耐病性を保有し生産安定に寄与できる品種“スプリント”を加えました。好評販売中の“グリーンボート2号”に加えて普及が期待できます。タマネギにつきましては、大玉で収量性に優れ食味にも優れる“ヒーローZ”を発表いたしました。

飼料作物類では、2023年飼料作物ガイド都府県版および北海道版にヒマワリ、飼料用トウモロコシ、イタリアンライグラス、飼料用大麦の6品種を発表しました。ヒマワリ“アーリーサン”は極早生で草丈が低くすきこみやすい品種で景観作物としても期待できます。飼料用トウモロコシ“KD082ゲルセミ”はすす紋病耐病性と収量性に優れた北海道に向く早生品種です。イタリアンライグラス“いなずまGT”は主力品種の“いなずま”の特性を維持しつつさらにいもち病の耐病性を付与しました。また飼料用大麦品種“わせまる六条”は穂に発生するノゲが極めて短いため牛への嗜好性が期待でき自給飼料確保に貢献できます。緑肥関係では、葉ダイコン“KGM1804”の販売を開始しました。栽培することで土壌中の有害センチュウの密度を抑制する効果が高く農林水産省「みどりの食糧システム戦略」に掲げる環境にやさしい農業に役立つ品種です。緑化関係では、シバ類2品種を販売開始しました。

引き続き新規性のある品種の開発を国内外に向け積極的に行ってまいります。

波志江研究所ではバイオテクノロジー技術を利用して主に栄養繁殖性作物の品種開発を行っております。当年度につきましては、カンショ(サツマイモ)で新品種 ”栗かぐや®”の栽培が産地で始まりました。ホクホク系で果肉の色が黄金色で甘いこの品種は、焼き芋のほか天ぷらや大学芋などの惣菜にも適しており利用範囲の広い特徴から今後の展開が期待されます。一方、しっとり系で甘い“シルクスイート®“は消費者の評価が高く栽培面積が増加しております。また、近年栽培地域の拡大に伴う寒冷地適性や重要病害に対する耐病性も求められておりますのでこれらの点を重視した品種開発を積極的に行って参ります。

なお、当事業に係る研究開発費の金額は、663,773千円であります。

 

(2)花き事業

花き育種研究室では営利栽培農家向け花き類とホームユース向けの花き類及び野菜類の開発を行っております。一般社団法人日本種苗協会主催の第68回と第69回全日本花卉品種審査会に、ユーストマ、スターチス・シヌアータ、キンギョソウの出品を行い、ユーストマにおいて2点が入賞いたしました。また、新品種のコンテストであるジャパンフラワーセレクションに、ユーストマ2品種とカーネーション1品種の出品を行い、ユーストマの“エグゼアンティークピンク”と“エマライトピンク”が特別賞を受賞したのに加え、人気投票では当社の3品種が1~3位となりました。

当年度につきましては、営利栽培農家向けとして4品目で合計18品種を新発売といたしました。ユーストマでは5品種を新発売し、その中で“カフェドレープ”と“レトロア”は最近人気のアンティーク系のピンク色で、アンティーク系品種の品揃えがより一層充実し、この分野では業界をリードする存在となっております。カーネーションのスプレー系では5品種を新発売し、その中で“グリーンモンスター”は耐暑性が高い品種として、好評を得ております。また、ユーストマ、カーネーション、デルフィニウム、スターチス・シヌアータでは海外において高い評価を得る品種が増えてきております。引き続き海外市場を見据えた品種の開発も積極的に行ってまいります。ホームユース向けでは国内外から花き類と野菜類の品種を多数導入し、花き類で2品目9品種、野菜類で3品目3品種を新発売とし、商品のより一層の充実を図りました。

なお、当事業に係る研究開発費の金額は、97,761千円であります。

 

(3)施設材事業

システム開発部では、種苗会社の中で長年培われた栽培技術を生かし、太陽光型養液栽培及び閉鎖型植物工場において、他社にはないシステムプラントの開発、提供を行っています。栽培する品目に適したシステムプラントを開発し、これまでも好評を得ております。“マルチリーフ®レタス”や細ネギ(小ネギ)などの葉菜類を栽培する“EK式ハイドロポニック®”、トマトやキュウリなどの果菜類を栽培する“スプレーポニック®”、イチゴを栽培する“ココベリーファーム®”など、それぞれの品目について省力化が図れ、環境にやさしい生産者のニーズに合った養液栽培プラントを提供しております。

当年度につきましては、農業事業に参入を目指す他業種の会社、団体にEK式ハイドロポニック®、キュウリのスプレーポニック®、ココベリーファーム®等を導入いたしました。SDGsに貢献すべく、従来の化石燃料の代替に廃食油を燃油にしたボイラーを設置したトマトのスプレーポニック®の実証施設を導入しました。今後もSDGsに貢献できる養液栽培プラントの開発、普及を行って参ります。

なお、当事業に係る研究開発費の金額は、79,440千円であります。