第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 当社は、良質な商品とサービスの提供によって、世界の人々の生活と文化の向上に貢献し、世界一の種苗会社を目指すことを経営理念として、「品質・誠実・奉仕」を社是に掲げながら生命(いのち)への貢献を果たしてまいります。

 当社は、採算性と財務の健全性を重視する堅実な経営と株主利益の追求によって企業価値の増大に努めます。

 また、生産者にも消費者にも喜んでいただける「野菜と花の種苗」をいち早く開発するとともに、高品質種子の安定生産と供給を実現することによって、世界の種苗界をリードする種苗会社として躍進することを目指します。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

 国内の農業分野では、農業人口の減少、農村地帯の過疎化、食料自給率の低下等が、引き続き大きな課題となっております。2020年3月、政府は、「食料・農業・農村基本計画」を制定し、国内農業における国際競争力の向上、農村の振興、食料の安定供給の確保、農業の持続的な成長を遂げるための改革を進めております。また、農業の現場では、環境制御システムの導入、AI(人工知能)、ICT(情報通信技術)、ドローンなどの先端技術を駆使したスマート農業の活用により、農作業における省力化・軽労化はもとより新規就農者の確保や、栽培技術の継承も期待され、新たな可能性が拡がりつつあります。

 世界的には、農薬や穀物種子を含むアグロケミカル産業の多国籍大手企業による業界再編の動きも見られる一方、国際的な枠組みにおいては持続可能な開発に向け、食料の安定確保や栄養の改善が重要課題と位置付けられており、各企業にもその貢献が求められております。

 これらを実現するためには、付加価値の高い種苗の安定供給がますます重要となっており、種子を提供する種苗会社の社会的な役割がこれまで以上に高まりつつあります。

 また、2020年から世界中に広がった新型コロナウイルス感染症については、ワクチン接種なども普及しておりますが、終息への見通しはいまだに不透明で、各国における景気や消費動向にさまざまなインパクトを与えています。このような中、人々に心の栄養をもたらす花、身体の栄養をもたらす野菜へのニーズはむしろ高まっており、その種苗を提供する当社は、より一層グローバルに重要な役割を担っていると言えます。諸外国では、種苗業は生活に必須の業種「エッセンシャルカテゴリー」に位置付けられており、ロックダウン下でも一定の活動が保証されております。

 当社グループではこうした状況の下、下記に掲げた課題に取り組みながら、持続的な研究開発活動とグローバルな営業展開をさらに推し進めてまいります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大で加速すると考えられる生活様式や産業構造、事業環境の変化をとらえ、柔軟に対応することによって、より高い収益力と健全な財務体質を兼ね備えた種苗業界のリーディングカンパニーを目指してまいります。

 

①高収益ビジネスモデルの確立

 生産者が安心して栽培を実現し、高い収益の確保につなげられるよう、当社では高品質で、オリジナル性の高い種苗を継続的に創出する研究体制の構築を行っております。

 また、新たにトップシェアを狙う戦略品目の開発・拡販に努め、経営資源の重点戦略品目への集中とアジアを中心とした新興国市場における成長機会の取り込みによる高収益体制を確立いたします。

 

②各地域における健全な収益構造の構築と重点戦略の推進

 成長市場における市場拡大、成熟市場における高収益モデルの確立を行うことによって、アジア・北米・南米・欧州アフリカの各地域における健全な収益構造を確立いたします。また、成熟市場においては、戦略品目でのシェアの拡大、新興市場においては、野菜や花の消費需要喚起と地域栽培環境に応じた商品の開発等、具体的な重点戦略を立案、実行いたします。

 

③安定供給と効率化を実現するサプライチェーンインフラの整備

 種子の安定供給を実現する生産体制・技術・機能を強化し、効率的なグローバルサプライチェーンマネジメント体制の実現に向けた仕組みづくりを行い、コストと在庫の削減を目指します。

 

④グローバルカンパニー実現に向けた人材育成、組織、マネジメント体制の構築

 日本国籍のグローバルカンパニー実現に向けた人的資源の管理体制の構築や、経営体制の整備とグループマネジメントの高度化をさらに進めます。

 

⑤経営の効率化を実現するグローバルIT基盤の整備

 情報系、会計、サプライチェーン管理のシステムを再整備し、グローバルに最適な事業管理、経営判断を支援するITシステム基盤を構築します。

 

 また、当社グループでは、2015年9月、「国連持続可能な開発サミット」において採択された「持続可能な開発目標:SDGs(Sustainable Development Goals)」、そして2020年10月、内閣総理大臣から宣言された「2050年カーボンニュートラルの実現」に賛同し、さまざまな課題に向き合い、事業を通じて持続可能な社会づくりに貢献してまいります。

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)天候・自然災害リスク

当社グループの主要販売商材である「種苗」の生育は天候に大きく左右されるため、天候状況は販売及び生産に影響を与えます。まず販売面では、暴風雨などの自然災害や天候不良による不作などは生産者の活動に影響を与え、当社商材の販売が減少するリスクがあります。販売地域を世界170か国以上に広げたり、厳しい生育環境にも適応する品種を開発することなどによりリスクの軽減に努めていますが、世界的に異常気象は増加傾向にあると認識しており、各地における天候不良は売上の低迷をもたらす可能性があります。また、商品種子の生産については、天候不良により充分な品質や数量を確保できないリスクや生産コストが上昇するリスクがあります。このため世界19か国に生産を分散し、かつ同一地域でも複数の種子生産者にその生産を委託してリスク分散を図っているほか、一定量の安全在庫を保有することとしております。しかしながら、特に主要な産地において播種期から採種期までに大規模な天候変化や自然災害が生じた場合、欠品による売上減少や生産コストの大幅な上昇など、業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(2)育種開発リスク・知的財産権の侵害リスク

育種開発リスクとしては、育種目標を設定してから10年以上を必要とする育種開発の性格上、投資コスト負担リスク、開発実現性リスク、商品ニーズが変化してしまうリスク、他社との開発競争リスク、新規育種技術の普及により参入障壁が下がり開発競争が激化するリスクなどがあります。さらに、育種研究者であるブリーダーが社外流出することにより、担当する品種の育成に障害が出て良質な商品の完成が難しくなるリスクや、遺伝資源の流出により模倣品が出回り知的財産が侵害されるリスクを有しております。当社グループでは、育種工学の拡充や社外研究機関との連携などを含めた研究開発体制の整備開発者に対する報奨制度の導入やチーム体制での育種の採用、種苗法に基づく品種登録や特許などを用いての知的財産権保護などを行っておりますが、急激に需要が変化した場合や強力な他社品種が出現した場合などは、業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(3)保有資産の価値変動リスク

当社グループは様々な資産を保有しておりますが、定期的な不動産の現状確認や政策保有株式に関する社内規程整備などの管理体制を構築し、適切な評価・管理に努めております。しかしながら、土地や有価証券などの資産価値が急激に下落した場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。また、『(1)天候・自然災害リスク』にて記載したとおり、商品種子の生産は天候条件に大きく左右されるという当社グループの事業の特性上、顧客への安定供給責任を果たし、事業を安定的に継続するための安全策として、たな卸資産である種子を一定量確保しているため、種子の品質低下や商品の需要変化などにより、たな卸資産の廃棄・評価損が増加するリスクがあります。品質や販売動向に基づき定期的に評価の見直しを行っておりますが、生産や販売実績が計画から大きく乖離した場合などには、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(4)品質と安全性に関するリスク

当社グループでは、創業者坂田武雄の唱えた社是「品質・誠実・奉仕」に則り、品質と安全性に対する信頼を最重要課題のひとつと位置づけ、品質管理部を設け当社の品質基準に照らした商品チェックを行うと同時に、お客様相談室を設けるなどして商品クレームに適切に対応できる体制を採っております。しかしながら、「生き物」である商品の性質上、品質の水準や均一性などに不測の事態が生じるケースや、種子に由来しない環境や生産技術面からのリスクが発生し、業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(5)カントリーリスク

当社グループは、生産・研究開発・販売拠点として、日本を含めて全世界で22か国に事業展開を行っております。うち、農場及び研究施設として、国内5か所、海外で10か国13か所に拠点を持っております。これらの事業展開地域の一部においては、次のようなリスクが内在しております。

a.予期しない法律又は規制の制定又は改廃

b.政治・経済の混乱

c.テロ・紛争の発生などによる社会的混乱

d.地震などの天変地異の発生

e.コンピューターウイルスや諸情報の漏洩など、情報化に伴う問題の発生

グローバルに事業を展開することで、販売や生産のリスク分散が図れるメリットはありますが、一定の地域において何らかのリスク事象が生じる可能性が高まる面もあります。拠点展開先の各国からは、常に情報を早期に収集し、迅速な意思決定ができるように、経営やリスク管理体制の強化を図っておりますが、これらの事象が発生した場合、当地での事業の継続、需要の大幅な低下、種子生産から撤退などのリスクがあり、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(6)為替変動に関するリスク

当社グループは海外各地において商品を生産・販売しており、各地域において現地通貨にて作成された財務諸表は、連結財務諸表作成のために円換算されております。このため、為替相場の変動は、現地通貨における価値に変動がなかったとしても、業績に影響を与えます。また、当社グループが原材料及び商品の一部を調達あるいは輸出している海外との取引は、為替変動の影響を受けます。こうした影響を最小限に止めるべく、当社グループでは通貨別金額の変化に常時注意を払っており、適切な管理体制の下、先物為替予約取引や通貨オプションなどを活用し、リスクの軽減に努めております。しかしながら、予測を超えて急激に為替レートが変動した場合などには、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(7)取引先の信用リスク

 当社グループでは、国内外の様々な顧客や仕入先との取引を行っており、売掛金、前渡金などの信用供与を行っております。当社グループでは、定期的な信用調査や信用リスクに応じた取引限度額の設定、貸倒引当金の計上など、信用リスク管理のための施策を講じておりますが、取引先の財政状態の悪化や経営破綻等が生じた場合、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(8)新型コロナウイルス感染症拡大リスク

新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大に伴い、人・モノの移動制限や各国の景気動向は、種苗業を含む農園芸市況にも影響を及ぼしております。

当社グループの事業における主要なリスクとしては、下記のようなものが挙げられます。

    a.世界的な景気後退により、花・野菜の消費が減少するリスク

    b.人の移動制限により、観光客やイベントが減少し、その結果として花の需要が減少するリスク

    c.野菜や花の生産現場で、労働力不足などにより作付けそのものが減少するリスク

    d.物流の混乱により、タネまきの適期に種子が産地に届けられないリスク

    e.販売先信用リスク

    f.新興国通貨の為替リスク

当社グループでは、社長を委員長とする危機管理委員会を2020年2月に立ち上げ、ステークホルダーの安全確保と食料生産を支える種苗の供給責任を果たすことを最優先課題として、取り組んでおります。

 会計上の見積りにつきましては、2022年5月期後半にかけて徐々に沈静化するとの仮定を置いております。当社グループでは、このような仮定のもと、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき、たな卸資産の評価、固定資産の減損会計及び繰延税金資産の回収可能性などの会計上の見積りを行っております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の終息時期は依然として不透明であり、最終的な影響については予測が困難な面もあります。前述の仮定から状況が悪化した場合には、当社グループの業績に悪影響を与えるリスクがあります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の概要

①経営成績の状況

 当社グループの当連結会計年度(2020年6月1日から2021年5月31日まで)における業績は、売上高は692億18百万円(前期比75億50百万円、12.2%増)となりました。また、主に売上高が増加したことを受け、営業利益は97億25百万円(前期比22億43百万円、30.0%増)、経常利益は100億78百万円(前期比20億7百万円、24.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は76億36百万円(前期比15億42百万円、25.3%増)となりました。なお、セグメント別では、野菜種子と花種子の売上が全般的に好調に推移し、国内卸売事業、海外卸売事業、小売事業は、前期比、増収増益となりました。その他事業は、造園緑花分野で新たに選定された指定管理者事業の増加はありましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、前期比、増収減益となりました。

 

②財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、前期末に比べ94億75百万円増加し、1,330億77百万円となりました。これは、現金及び預金が35億60百万円、投資有価証券が17億19百万円、無形固定資産が17億32百万円増加したことなどによるものです。

 

(負債)

負債合計は、前期末に比べ6億29百万円減少し、211億78百万円となりました。これは、流動負債のその他が7億12百万円増加した一方で、短期借入金が15億46百万円減少したことなどによるものです。

 

(純資産)

 純資産合計は、前期末に比べ101億4百万円増加し、1,118億98百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことなどから、株主資本が61億61百万円、その他の包括利益累計額が為替換算調整勘定の増加等により39億円増加したことなどによるものです。

以上の結果、自己資本比率は83.9%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期比28億23百万円増加し、147億58百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によって得られた資金は113億62百万円(前期は得られた資金34億35百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益99億71百万円、減価償却費25億85百万円、たな卸資産の減少による資金の増加6億96百万円、法人税等の支払額22億35百万円、仕入債務の減少による資金の減少4億64百万円などによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によって支出した資金は51億65百万円(前期は支出した資金13億22百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出28億5百万円、定期預金の預入による支出19億円、無形固定資産の取得による支出18億84百万円、定期預金の払い戻しによる収入15億89百万円などによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によって支出した資金は40億5百万円(前期は支出した資金17億57百万円)となりました。これは主に、配当金の支払額14億74百万円、短期借入金の純減額13億5百万円などによるものです。

 

④仕入及び販売の実績

a. 仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年6月1日

  至 2021年5月31日)

前年同期比(%)

国内卸売事業(百万円)

8,084

△3.0

海外卸売事業(百万円)

15,057

△9.3

小売事業(百万円)

3,760

10.1

報告セグメント計(百万円)

26,902

△5.1

その他事業(百万円)

2,684

2.3

合計(百万円)

29,587

△4.5

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b. 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年6月1日

  至 2021年5月31日)

前年同期比(%)

国内卸売事業(百万円)

16,705

2.0

海外卸売事業(百万円)

43,776

18.9

小売事業(百万円)

5,785

4.0

報告セグメント計(百万円)

66,267

12.8

その他事業(百万円)

2,950

1.5

合計(百万円)

69,218

12.2

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度(2020年6月1日から2021年5月31日まで)における世界経済及びわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、非常に厳しい状況となりました。ワクチン接種が進み、経済活動再開の動きも見られますが、一部の地域では変異株が拡大するなど、感染症を十分にコントロールできる状況には至っておらず、引き続き経済活動は制約されております。当種苗業界におきましては、人の動きが制限されたことにより、イベントや観光、外食関連の需要が大きく減少した一方、消費者の在宅機会増加による新たな需要、ストレス軽減や癒しを求める家庭園芸への需要増加が見られました。また、サプライチェーン関連では、国際貨物便の減少などにより、物流の乱れが生じました。

 このような状況のなか、当社グループでは、在宅勤務や時差勤務の推進、前倒しなどの入出荷の工夫、ウェブ会議やプロモーション動画の活用など、ステークホルダーの方々の感染防止を最大限図りつつ、必要な事業の継続に努めました。

 成長戦略の取組みとしては、当社は、生産者が安心して栽培を実現し、高い収益の確保につなげられるよう、高品質で、オリジナル性の高い種苗を継続的に創出する研究体制の構築を行っております。

 また、新たにトップシェアを狙う戦略品目の開発・拡販に努め、経営資源の重点戦略品目への集中とアジアを中心とした新興国市場における成長機会の取り込みによる高収益体制を目指しております。

 このような取組みのもと、品目別では、野菜種子は、ブロッコリー、トマトなどの当社主力商品が好調に推移したことに加え、中国向けニンジン種子の販売時期変更によるプラス要因もあり、大幅な増収となりました。花種子は、期初、新型コロナウイルス感染症拡大を受け低調なスタートになりましたが、トルコギキョウ、ヒマワリなどを中心に年度後半にかけて回復し、通期では増収となりました。苗木と資材は、家庭園芸での需要が増加したことなどから、増収となりました。地域別では、全地域で増収となりました。

 これらの結果、当社グループの当連結会計年度における売上高692億18百万円(前期比75億50百万円、12.2%増)となりました。また、主に売上高が増加したことを受け、営業利益は97億25百万円(前期比22億43百万円、30.0%増)、経常利益は100億78百万円(前期比20億7百万円、24.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は76億36百万円(前期比15億42百万円、25.3%増)となりました。

 本年4月に公表した業績予想に対しては、売上高は22億18百万円、営業利益は15億25百万円、経常利益は14億78百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は11億36百万円、それぞれ上回り、各項目において過去最高となりました。第4四半期も売上が引き続き好調に推移したことに加え、2021年6月より運用を開始している当社の新基幹システムの導入を円滑に進めるため、一部の出荷を当連結会計年度に早めたことなどによるものです。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

a.国内卸売事業

 国内卸売事業は、球根は減少しましたが、野菜種子、花種子、苗木、資材の売上が増加し、前期比増収となりました。

 品目別では、野菜種子は、ホウレンソウ、ニンジン、ダイコン、メロンなどは減少しましたが、トマト、ブロッコリー、ネギ、レタスなどの産地への導入が大きく進み、全体では増収となりました。花種子は、パンジーなどが減少しましたが、無花粉タイプのトルコギキョウがプロモーションにより増加したほか、ハボタン、ケイトウ、ヒマワリなども増加し、全体では微増となりました。資材は、消費者の在宅機会増加により新たに生まれた需要を受け園芸資材の売上が増加し、また夏の天候不順に対応した高機能液肥や、リニューアルした低コスト環境制御システム「アルスプラウト」も好調に推移しました。

 これらの結果、売上高は167億5百万円(前期比3億35百万円、2.0%増)、営業利益は52億91百万円(前期比1億15百万円、2.2%増)となりました。

 また、国内卸売事業の総資産は前期比3億30百万円減(1.7%減)の196億32百万円となりました。これは主に、たな卸資産が3億24百万円減少したことによるものです。

 

b.海外卸売事業

 海外卸売事業は、野菜種子、花種子とも売上が増加しました。また、為替レートも全般的に円安となったことから、前期比、大幅な増収となりました。

 野菜種子は、ブロッコリー、トマト、ペッパー、カボチャなどの当社主力商品が、ほぼ全地域で好調に推移いたしました。またそれ以外の品目では、ニンジンは、中国での販売に関し、商流及び販売時期を変更した一時的な要因も加わり、アジアで大きく増加いたしました。北中米では買収効果でレタスが増加したほか、欧州・中近東ではネギ、南米ではメロン、アジアではカリフラワーなども増加しました。

 花種子は、年度初めは新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けましたが、徐々に回復し、通期では増収となりました。品目別では、トルコギキョウ、ヒマワリに加え、カンパニュラ、プリムラ、ケイトウなどが大きく増加しました。地域別では、アジア、北中米で、増加額が大きくなりました。

 これらの結果、売上高は437億76百万円(前期比69億47百万円、18.9%増)、営業利益は133億39百万円(前期比22億20百万円、20.0%増)となりました。

 また、海外卸売事業の総資産は前期比80億12百万円増(12.6%増)の718億54百万円となりました。これは主に、現金及び預金が40億13百万円、有形固定資産が10億63百万円、受取手形及び売掛金が9億33百万円、たな卸資産が6億94百万円増加したことによるものです。

 

c.小売事業

 小売事業は、量販店向けのホームガーデン分野、通信販売とガーデンセンター横浜の直売分野とも、消費者の在宅機会増加による需要に呼応した営業を展開しました。また、園芸や菜園関連のオリジナル商品を軸とした各商品の販売提案や、初心者へのプロモーションを実施した結果、絵袋種子や資材の売上が伸びました。さらに、11月には通信販売のECサイトをリニューアルオープンし、好調に推移しました。

 これらの結果、売上高は57億85百万円(前期比2億24百万円、4.0%増)、営業利益は1億20百万円改善し、1億10百万円の利益(前期は10百万円の営業損失)となりました。

 また、小売事業の総資産は前期比44百万円増(1.9%増)の23億98百万円となりました。

 

d.その他事業

 造園緑花分野は、新型コロナウイルス感染症拡大により、民間及び公共工事の延期や中止が発生し、公園や観光施設の閉鎖とイベントなどの中止もあり、事業へのマイナス影響を余儀なくされました。新たに選定された指定管理者事業の増加や新規工事を受注できたことにより、売上高は29億50百万円(前期比43百万円、1.5%増)となりましたが、営業利益は38百万円(前期比65百万円、62.6%減)となりました。

 また、その他事業の総資産は前期比4億31百万円減(20.5%減)の16億67百万円となりました。これは主に、未成工事支出金が2億16百万円、完成工事未収入金が1億87百万円減少したことによるものです。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」にて記載したとおりです。

 なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。

 

2017年5月期

2018年5月期

2019年5月期

2020年5月期

2021年5月期

自己資本比率(%)

80.9

82.3

82.3

82.2

83.9

時価ベースの自己資本比率(%)

136.9

152.3

120.2

133.5

124.5

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

55.1

106.0

93.0

137.1

24.5

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

68.7

44.2

46.2

16.3

94.6

  (注)自己資本比率:自己資本/総資産

   時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

   キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(リース債務は除く)/キャッシュ・フロー

   インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※ 1. 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

※ 2. 株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

※ 3. キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

※ 4. 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、リース債務を除く利子を支払っている負債を対象としております。

※ 5. 利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

b.資金需要の主な内容

 当社グループの資金需要のうち主なものは、種子および資材の購入費用のほか、生産経費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは、給与、賞与等の人件費、運搬費、販売荷造費、広告宣伝費等であります。

 また、当社グループは、生産設備の拡充、合理化および研究開発力の強化等を目的として、継続的に設備投資を実施しております。

 当社グループの当連結会計年度末における有利子負債に対する金利負担は、支出に占める割合としては十分低く、金利上昇による影響が限定的な範囲にとどまる有利子負債残高水準にあります。

 

c.資金調達の可能性

 資金の流動性については、手元流動性の確保により不測の事態に対応できるようにしております。資金の調達については、本社、国内各子会社および海外各子会社とも、取引金融機関との良好な関係を維持しており、適切な対応が可能な体制をとっております。

 直近では、当社の2021年6月より運用を開始している新基幹システム導入等の設備投資を実施いたしましたが、自己資金にて必要な資金を賄っております。

 

③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、予測不能な天候変動等によって業績が左右される可能性があることや研究開発に長期間要する事業特性があることなどから、中長期の経営計画数値は公表しておらず、単年度の計画を公表し着実に達成していく方針でおります。本年4月に公表した業績予想と比較した当連結会計年度の実績は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりです。

 

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 当社グループが連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

a.新型コロナウイルス感染症拡大による影響

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりです。

 

b.たな卸資産の評価見積りによる影響

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりです。

 

c.固定資産の減損判定による影響

 当社グループは、主に研究開発や生産、販売などの事業を行うため、土地や建物、機械などの固定資産を多く保有しております。原則として、管理会計上の単位を資産グループの基礎として、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングしており、また、賃貸資産及び遊休資産については、個別の資産ごとにグルーピングを行っております。収益性が低下した資産グループについては固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少分を減損損失として計上しております。回収可能価額は、将来の利益計画に基づく将来キャッシュ・フローや不動産の時価を前提に作成されるため、経営環境の悪化や不動産の価格変動などにより回収可能価額が下がり、減損損失を計上するなどの影響が生じる可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)固定資産の譲渡

  当社は、2020年12月18日開催の取締役会において、連結子会社の保有する固定資産の譲渡を決議し、また、2021

 年2月19日開催の取締役会において、譲渡価額の変更に関する覚書を締結することを決議しました。

  詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報(固定資産の譲

 渡)」に記載のとおりです。

 

(2)連結子会社の吸収合併

  当社は、2020年12月18日開催の取締役会において、当社の100%子会社である日本ジフィーポット・プロダクツ

 株式会社を吸収合併することを決議し、2020年12月18日付で合併契約を締結し、2021年6月1日に吸収合併しまし

 た。

  詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な後発事象(連結子

 会社の吸収合併)」に記載のとおりです。

 

5【研究開発活動】

主力商品である野菜と花の品種開発は研究本部、農園芸資材の開発はソリューション統括部が担当し、全世界の市場に向けた品種の育成、農園芸資材の開発を行っております。研究・開発拠点として、日本国内では静岡県掛川市をはじめ5か所に、海外では北米、南米、欧州、アジア圏など、13か所に農場を配しております。

研究開発者はグループ全体で約513人、当連結会計年度における研究開発費は6,980百万円であります。なお、研究開発費については、セグメント別に関連付けることが困難であるため、その総額を記載しております。

当社の理念である「心と体の栄養」を世界の人々に届けることを目標に、サカタオリジナルの価値ある商品開発を進めてまいります。

当連結会計年度の主な研究内容及び成果は、次のとおりであります。

(1)国内卸売事業及び海外卸売事業

①野菜

 当連結会計年度は、ホウレンソウ「ドンキー」が、一般社団法人日本種苗協会主催の第71回全日本野菜品種審査会において1等特別賞を受賞するとともに、農林水産大臣賞も受賞し、国内外における高い研究開発力が評価されました。

 新品種におきましては、青枯病、褐色根腐病への強度の耐病性を有する台木トマト「グランシールド」、青果用に加え、特に需要が高い初夏どりの加工業務用として期待されるキャベツ「がいな」、鮮やかな果色が長持ちするオクラ「ずーっとみどり」、濃厚な味わいで食味に優れるラグビーボール型カボチャ「スイートタックル」、適応幅が広く形状安定性に優れる高品質な秋冬ダイコン「冬の守」、加工歩留まりがよいダイコン「夏相撲」および「秋相撲」、濃緑で低温伸長性に優れた小ネギ「菊千代」、晩抽性、耐暑性に優れ、晩春・初夏どりで特に能力を発揮する一本ネギ「初夏扇2号」、厳寒期における伸長性に優れるチンゲンサイ「翠勲(すいくん)」、花蕾が乱れやすい早春どりでも、良質な花蕾が収穫できる晩生ブロッコリー「レイトドーム」など、生産者の要望に沿い、消費者にも喜ばれるオリジナル性の高い品種を数多く発表いたしました。

 海外市場では、日本国内で開発された品種のみならず、海外の各農場で育成された品種が現地市場でご好評を頂き、販売増加に貢献しております。

 

②花

 当連結会計年度は、ジニアの新品種「プロフュージョン レッドイエローバイカラー」が、世界2大花き品評会とされる米国の「オール アメリカ セレクションズ」(AAS)、欧州の「フロロセレクト」(FS)でゴールドメダルを獲得いたしました。AASにおいてゴールドメダルは17年ぶりの選出であり、一つの品種でAAS、FS共にゴールドメダルを獲得することも17年ぶりとなります。

 また、一般社団法人日本種苗協会主催の第66回全日本花卉品種審査会ではトルコギキョウ「SM8-642」と世界初の無花粉(PF)八重咲トルコギキョウ「PF ダブル スノー」が、さらに第67回審査会ではペチュニア「バカラiQ ブルー」がそれぞれ1等特別賞を受賞いたしました。その中から特に優秀な品種として、トルコギキョウ「PF ダブル スノー」が農林水産大臣賞も受賞し、当社のオリジナリティあふれる品種育成が評価されました。

 新品種におきましては、発芽揃いと切り花スタイルの良いカンパニュラ「チャンピオンiQ」を新シリーズとして発表することが出来ました。そのほかの切り花品種では大輪フリンジ咲きで人気色の「ボヤージュ(1型) ラベンダー」を始めトルコギキョウ8品種を発表いたしました。

 

 花壇苗品種では、暖房経費を削減でき省エネルギーで環境にやさしいペチュニア「エコチュニア ローズベイン」、「同 ピンクモーン」と雨に強いペチュニア「バカラiQ ブルー」、色鮮やかな「サンパチェンス オレンジ」、さらにコンパクトな草姿で冬でも咲き続けるパンジー「パシオ ピンクフレア」、「同 ビーコン」を発表いたしました。

 

③ソリューション

 当連結会計年度は、『Seedfun.(シードファン)』シリーズが、園芸初心者から園芸経験者の方まで広くご好評をいただき、コロナ禍におけるおうち時間のひとつとして「園芸」需要が高まり、通信販売、ホームセンター、園芸店などで販売が増加いたしました。また、『Seedfun.(シードファン)』シリーズより、新たに『くり返し使える竹ラベル』を発売いたしました。

 園芸初心者向けとして、『はじめてさんのかんたんタネまきキット 誰でもできる!かわいいお庭』は、タネまき培養土である「ジフィーセブン」と栽培管理用トレーなどのキットで構成され、ご家庭で簡単にタネまきをすることができる商品となっています。また、園芸経験者向けとして、『タネからはじめるかんたん苗づくりキット 「買う苗」から「つくる苗」へ』は、天然素材の「ジフィーポット」などで構成され、苗を購入している方が、タネまきから苗を作る工程をじっくり楽しんでいただける商品となっています。

 また、『くり返し使える竹ラベル』は、プラスチック製のものが多く、デザイン面、環境面から自然素材の製品を求める声があり、竹ならではの温かみや、一本ずつ異なる木目など自然な質感・デザインで植物に馴染みやすく、鉛筆で書けば繰り返し使える素材となっています

 『Seedfun.(シードファン)』シリーズは、タネまきの先の楽しさまで提案できる総合園芸ブランドを目指し、今後もラインアップを拡充していく予定です。

 

(2)小売事業
 当事業に該当する研究開発は行っておりません。

 

(3)その他事業
 当事業に該当する研究開発は行っておりません。