(1)経営方針
当社は、「品質・誠実・奉仕」を社是に掲げ、「三者共栄」(顧客・取引先・当社の共栄)、「三位一体」(社員・経営者・株主の相互繁栄)、「三層共生」(自然・社会・企業の共生)の経営理念の下、良質な商品とサービスの提供によって、世界の人々の生活と文化の向上に貢献し、世界一の種苗会社を目指してまいります。
当社は、採算性と財務の健全性を重視する堅実な経営と株主利益の追求によって企業価値の増大に努めます。
また、生産者にも消費者にも喜んでいただける「野菜と花の種苗」をいち早く開発するとともに、高品質種子の安定生産と供給を実現することによって、世界の種苗界をリードする種苗会社として躍進することを目指します。
(2)経営環境及び対処すべき課題
世界的な大規模自然災害や地球温暖化などの大きな課題が山積する中で、食料分野においては持続可能な食料システムの構築、農林水産業の生産力向上など、食料の安定確保、栄養状態の改善を図ることが喫緊の課題となっており、各企業にもその貢献が求められております。
また、新型コロナウイルス感染症の蔓延や、近年の世界的政情不安は、各国における景気や消費動向に様々なインパクトを与えています。
国内の農業分野に目を向けますと、農業人口の減少、農村地帯の過疎化、食料自給率の低迷等が、引き続き大きな課題となっております。2021年5月、農林水産省は、「みどりの食料システム戦略」を策定し、国内農業における生産性の向上、農村の振興、食料の安定供給の確保、農業の持続的な成長を遂げるための改革を進めております。
このように社会や農業を取り巻く環境が大きく変わる中で、農業の根幹と言うべき種苗そのものが担うべき役割への期待は加速的に高まっております。今まで以上の高い付加価値を種苗に付与し、それを生産者の方々に安定供給する事、この当たり前のことが私ども種苗会社に託された使命です。
必須の業種「エッセンシャルカテゴリー」に身を置く当社として、下記に掲げた課題に取り組みながら、地球上の自然と、その自然に内包される社会、そして社会に帰属する企業である当社が持続的に共生するため、社業である種苗事業や緑花事業を通じて貢献してまいります。
①高収益ビジネスモデルの確立
生産者の皆様が安心して栽培を実現し、高い収益の確保につなげられるよう、当社では高品質で、オリジナル性の高い種苗を継続的に創出する研究体制の構築を行っております。
また、新たにトップシェアを狙う戦略品目の開発・拡販に努め、経営資源の重点戦略品目への集中と、アジアを中心とした新興国市場における成長機会の取り込みによる高収益体制を確立いたします。
②各地域における健全な収益構造の構築と重点戦略の推進
成長市場における市場拡大、成熟市場における高収益モデルの確立を行うことによって、アジア・北米・南米・欧州アフリカの各地域における健全な収益構造を確立いたします。具体的には、成熟市場においては、戦略品目におけるシェアの拡大、新興国市場においては、野菜や花の消費需要の喚起と、地域ごとの栽培環境に応じた商品の開発等、各市場にむけて重点戦略を立案、実行いたします。
③安定供給と効率化を実現するサプライチェーンインフラの整備
種子の安定供給を実現する生産体制・技術・機能を強化し、効率的なグローバルサプライチェーンマネジメント体制の実現に向けた仕組みづくりを行い、コストと在庫の削減を目指します。
④グローバルカンパニー実現に向けた人材育成、組織、マネジメント体制の構築
日本国籍のグローバルカンパニー実現に向けた人的資源の管理体制の構築や、経営体制の整備、およびグループマネジメントの高度化をさらに進めます。
⑤経営の効率化を実現するグローバルIT基盤の整備
情報系、会計、サプライチェーン管理のシステムを再整備し、グローバルに最適な事業管理や、経営判断を支援するITシステム基盤を構築します。
また、当社グループでは、2015年9月、「国連持続可能な開発サミット」において採択された「持続可能な開発目標:SDGs(Sustainable Development Goals)」、そして2020年10月、内閣総理大臣から宣言された「2050年カーボンニュートラルの実現」に向けた取り組みを進めるべく、サステナビリティ基本方針を定めました。気候変動については、当社の事業に大きな影響を与える可能性があると認識しておりますので、リスク・機会については、TCFD提言に沿った分析を行い、事業を通じて持続可能な社会づくりに貢献してまいります。
社会や環境が大きく変わる中で、当社は引き続き、人々の心の栄養をもたらす花、身体の栄養をもたらす野菜へのニーズに応えてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)天候・自然災害リスク
当社グループの主要販売商材である「種苗」の生育は天候に大きく左右されるため、天候状況は販売及び生産に影響を与えます。まず販売面では、暴風雨などの自然災害や天候不良による不作などは生産者の活動に影響を与え、当社商材の販売が減少するリスクがあります。販売地域を世界170か国以上に広げたり、厳しい生育環境にも適応する品種を開発することなどによりリスクの軽減に努めていますが、世界的に異常気象は増加傾向にあると認識しており、各地における天候不良は売上の低迷をもたらす可能性があります。また、商品種子の生産については、天候不良により充分な品質や数量を確保できないリスクや生産コストが上昇するリスクがあります。このため世界19か国に生産を分散し、かつ同一地域でも複数の種子生産者にその生産を委託してリスク分散を図っているほか、一定量の安全在庫を保有することとしております。しかしながら、特に主要な産地において播種期から採種期までに大規模な天候変化や自然災害が生じた場合、欠品による売上減少や生産コストの大幅な上昇など、業績に悪影響を与える可能性があります。
(2)育種開発リスク・知的財産権の侵害リスク
育種開発リスクとしては、育種目標を設定してから10年以上を必要とする育種開発の性格上、投資コスト負担リスク、開発実現性リスク、商品ニーズが変化してしまうリスク、他社との開発競争リスク、新規育種技術の普及により参入障壁が下がり開発競争が激化するリスクなどがあります。さらに、育種研究者であるブリーダーが社外流出することにより、担当する品種の育成に障害が出て良質な商品の完成が難しくなるリスクや、遺伝資源の流出により模倣品が出回り知的財産が侵害されるリスクを有しております。当社グループでは、育種工学の拡充や社外研究機関との連携などを含めた研究開発体制の整備、開発者に対する報奨制度の導入やチーム体制での育種の採用、種苗法に基づく品種登録や特許などを用いての知的財産権保護などを行っておりますが、急激に需要が変化した場合や強力な他社品種が出現した場合などは、業績に悪影響を与える可能性があります。
(3)保有資産の価値変動リスク
当社グループは様々な資産を保有しておりますが、定期的な不動産の現状確認や政策保有株式に関する社内規程整備などの管理体制を構築し、適切な評価・管理に努めております。しかしながら、土地や有価証券などの資産価値が急激に下落した場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。また、『(1)天候・自然災害リスク』にて記載したとおり、商品種子の生産は天候条件に大きく左右されるという当社グループの事業の特性上、顧客への安定供給責任を果たし、事業を安定的に継続するための安全策として、棚卸資産である種子を一定量確保しているため、種子の品質低下や商品の需要変化などにより、棚卸資産の廃棄・評価損が増加するリスクがあります。品質や販売動向に基づき定期的に評価の見直しを行っておりますが、生産や販売実績が計画から大きく乖離した場合などには、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
(4)品質と安全性に関するリスク
当社グループでは、創業者坂田武雄の唱えた社是「品質・誠実・奉仕」に則り、品質と安全性に対する信頼を最重要課題のひとつと位置づけ、品質管理部を設け当社の品質基準に照らした商品チェックを行うと同時に、お客様相談室を設けるなどして商品クレームに適切に対応できる体制を採っております。しかしながら、「生き物」である商品の性質上、品質の水準や均一性などに不測の事態が生じるケースや、種子に由来しない環境や生産技術面からのリスクが発生し、業績に悪影響を与える可能性があります。
(5)カントリーリスク
当社グループは、生産・研究開発・販売拠点として、日本を含めて全世界で22か国に事業展開を行っております。うち、農場及び研究施設として、国内5か所、海外で11か国14か所に拠点を持っております。これらの事業展開地域の一部においては、次のようなリスクが内在しております。
a.予期しない法律又は規制の制定又は改廃
b.政治・経済の混乱
c.テロ・紛争の発生などによる社会的混乱
d.地震などの天変地異の発生
e.コンピューターウイルスや諸情報の漏洩など、情報化に伴う問題の発生
グローバルに事業を展開することで、販売や生産のリスク分散が図れるメリットはありますが、一定の地域において何らかのリスク事象が生じる可能性が高まる面もあります。拠点展開先の各国からは、常に情報を早期に収集し、迅速な意思決定ができるように、経営やリスク管理体制の強化を図っておりますが、これらの事象が発生した場合、当地での事業の継続、需要の大幅な低下、種子生産から撤退などのリスクがあり、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
なお、当社グループのウクライナ及びロシア向け売上の連結売上高に対する割合は僅少であるため、ロシアのウクライナ侵攻による業績への影響は、軽微であると見込んでおります。一方、世界的な資源価格や物流コストなどの高騰が、当社グループの売上原価を増加させる可能性や、生産コスト上昇により生産者が作付け意欲を減退させるリスクがあります。
(6)為替変動に関するリスク
当社グループは海外各地において商品を生産・販売しており、各地域において現地通貨にて作成された財務諸表は、連結財務諸表作成のために円換算されております。このため、為替相場の変動は、現地通貨における価値に変動がなかったとしても、業績に影響を与えます。また、当社グループが原材料及び商品の一部を調達あるいは輸出している海外との取引は、為替変動の影響を受けます。こうした影響を最小限に止めるべく、当社グループでは通貨別金額の変化に常時注意を払っており、適切な管理体制の下、先物為替予約取引や通貨オプションなどを活用し、リスクの軽減に努めております。しかしながら、予測を超えて急激に為替レートが変動した場合などには、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
(7)取引先の信用リスク
当社グループでは、国内外の様々な顧客や仕入先との取引を行っており、売掛金、前渡金などの信用供与を行っております。当社グループでは、定期的な信用調査や信用リスクに応じた取引限度額の設定、貸倒引当金の計上など、信用リスク管理のための施策を講じておりますが、取引先の財政状態の悪化や経営破綻等が生じた場合、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
(8)新型コロナウイルス感染症拡大リスク
新型コロナウイルス感染症の世界的感染拡大に伴い、人・モノの移動制限や各国の景気動向は、種苗業を含む農園芸市況にも影響を及ぼしております。
ワクチン接種の進捗などにより経済活動が段階的に再開され、景気回復の動きが見られる一方で、感染力が強い変異株による新たな流行の波も懸念されます。
このような状況のなか当社グループでは、食料生産を支える種苗の供給責任を果たすことを最優先課題とし、前倒しなどの入出荷の工夫のほか、在宅勤務や時差勤務の推進、ウェブ会議やプロモーション動画の活用など、ステークホルダーの方々の感染防止を最大限図りつつ、必要な事業の継続に努めております。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の終息時期は依然として不透明であり、最終的な影響については予測が困難な面もあります。状況が更に悪化した場合には、当社グループの業績に悪影響を与えるリスクがあります。
(1)経営成績等の概要
①経営成績の状況
当社グループの当連結会計年度(2021年6月1日から2022年5月31日まで)における業績につきましては、資材や苗木の売上は収益認識会計基準等の適用による影響などにより減少しましたが、野菜種子と花種子が大幅な増収となったことや、為替レートも全面的に円安となったことなどから、売上高は730億49百万円(前期比38億31百万円、5.5%増)となりました。営業利益は、販売費及び一般管理費が増加したものの、売上増加と粗利益率の改善による売上総利益の増益で吸収し、111億81百万円(前期比14億56百万円、15.0%増)となりました。経常利益は、主に為替影響による営業外損益の改善を受けて、121億14百万円(前期比20億35百万円、20.2%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産売却益の計上などにより、122億56百万円(前期比46億19百万円、60.5%増)となりました。品目別では、野菜種子は、ブロッコリー、ニンジン、ペッパー、トマトなどが大幅に増加しました。花種子は、ヒマワリが大幅に増加したほか、トルコギキョウ、パンジー、ストック、カンパニュラ、ジニアなど、多くの品目が好調に推移しました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。このため、前期比較は基準の異なる算定方法に基づく数値と比較しております。詳細については、「第5 経理の状況 注記事項(会計方針の変更)」をご参照下さい。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前期末に比べ143億46百万円増加し、1,474億23百万円となりました。これは、現金及び預金が70億80百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が17億15百万円、商品及び製品が18億92百万円増加したことなどによるものです。
(負債)
負債合計は、前期末に比べ7億77百万円増加し、219億56百万円となりました。これは、未払法人税等が10億41百万円、流動負債のその他が10億21百万円増加した一方で、短期借入金が9億57百万円減少したことなどによるものです。
(純資産)
純資産合計は、前期末に比べ135億68百万円増加し、1,254億66百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことなどから、株主資本が92億20百万円、為替換算調整勘定が増加したことなどから、その他の包括利益累計額が42億47百万円増加したことなどによるものです。
なお、収益認識会計基準等の適用により、利益剰余金の当期首残高は3億4百万円減少しています。
以上の結果、自己資本比率は84.9%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期比69億89百万円増加し、217億47百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は100億39百万円(前期は得られた資金113億62百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益166億円、減価償却費34億67百万円、固定資産売却益51億2百万円、法人税等の支払額27億13百万円、売上債権及び契約資産の増加による資金の減少8億58百万円などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって得られた資金は4億68百万円(前期は支出した資金51億65百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出39億50百万円、無形固定資産の取得による支出8億41百万円、有形固定資産の売却による収入52億27百万円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって支出した資金は45億81百万円(前期は支出した資金40億5百万円)となりました。これは主に、配当金の支払額18億24百万円、短期借入金の純減額11億2百万円、自己株式の取得による支出9億10百万円などによるものです。
④仕入及び販売の実績
a. 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年6月1日 至 2022年5月31日) |
前年同期比(%) |
|
国内卸売事業(百万円) |
7,567 |
△6.4 |
|
海外卸売事業(百万円) |
15,683 |
4.2 |
|
小売事業(百万円) |
3,539 |
△5.9 |
|
報告セグメント計(百万円) |
26,789 |
△0.4 |
|
その他事業(百万円) |
2,744 |
2.2 |
|
合計(百万円) |
29,533 |
△0.2 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
b. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年6月1日 至 2022年5月31日) |
前年同期比(%) |
|
国内卸売事業(百万円) |
12,784 |
△23.5 |
|
海外卸売事業(百万円) |
52,044 |
18.9 |
|
小売事業(百万円) |
5,152 |
△10.9 |
|
報告セグメント計(百万円) |
69,981 |
5.6 |
|
その他事業(百万円) |
3,068 |
4.0 |
|
合計(百万円) |
73,049 |
5.5 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度(2021年6月1日から2022年5月31日まで)における世界経済及びわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進捗などにより経済活動が段階的に再開され、景気回復の動きが見られました。一方で、感染力が強い変異株の流行、世界的なインフレ懸念の高まり、サプライチェーンの乱れのほか、ロシアによるウクライナ侵攻や、これに伴う資源価格のさらなる高騰など、先行きの不透明感が強まりました。
このような状況のなか当社グループでは、前倒しなどの入出荷の工夫のほか、在宅勤務や時差勤務の推進、ウェブ会議やプロモーション動画の活用など、ステークホルダーの方々の感染防止を最大限図りつつ、必要な事業の継続に努めました。
成長戦略の取組みとしては、当社は、生産者が安心して栽培を実現し、高い収益の確保につなげられるよう、高品質で、オリジナル性の高い種苗を継続的に創出する研究体制の構築を行っております。
また、新たにトップシェアを狙う戦略品目の開発・拡販に努め、経営資源の重点戦略品目への集中とアジアを中心とした新興国市場における成長機会の取り込みによる高収益体制を目指しております。
このような取組みのもと、品目別では、野菜種子は、ブロッコリー、ニンジンなど、グローバルまたはローカルで高いシェアを持っている商品が好調に推移しました。加えて、トマト、ペッパーなど、シェアの拡大を目指している研究開発に注力してきた商品において、評価が高まったことで好調に推移し、大幅な増収となりました。花種子は、ヒマワリが、比較的短い栽培期間や切り花としての目新しさが評価され、中国などにおいて大幅に増加しました。そのほか、トルコギキョウなどの当社主力品種をはじめとした多くの品目が好調に推移し、大幅な増収となりました。地域別では、国内は新収益認識基準等の適用などにより減収となりましたが、海外においては全地域で増収となりました。
これらの結果、当社グループの当連結会計年度における売上高は730億49百万円(前期比38億31百万円、5.5%増)となりました。また、営業利益は111億81百万円(前期比14億56百万円、15.0%増)、経常利益は121億14百万円(前期比20億35百万円、20.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は122億56百万円(前期比46億19百万円、60.5%増)となりました。
第4四半期も売上が引き続き好調に推移したことなどから、本年4月に公表した業績予想に対し、売上高は15億49百万円、営業利益は11億81百万円、経常利益は18億14百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は12億56百万円、それぞれ上回りました。この結果、前期に引き続き、各項目において過去最高を更新いたしました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
a.国内卸売事業
国内卸売事業は、青果市況が低調に推移した影響などから野菜種子の売上が減少したほか、苗木も商流変更により一部商品の取り扱いを中止したことなどから減収となりました。また、収益認識会計基準等の適用に伴う資材の代理人取引の純額表示もあり、前期比減収となりました。
これらの影響を除く品目別動向では、野菜種子は、ブロッコリーやレタスなどが産地への導入が進んだことから増加しましたが、当社新基幹システムの円滑な導入推進のため前連結会計年度に出荷を一部早めた反動などから、トマトなどが減少しました。花種子は、トルコギキョウが、市場性の高い新品種群をデジタルツールで情報発信した結果、主要産地への導入が進み、売上が増加しました。また、パンジーなども高品質種子を苗木業者に安定供給できたことなどから、増加しました。資材は、低コスト環境制御システム「アルスプラウト」が好調に推移したことや値上がり前の駆け込み需要などもあり、収益認識会計基準等の適用に伴う影響を除いたベースでは、増収となりました。
これらの結果、売上高は127億84百万円(前期比39億21百万円、23.5%減)、営業利益は49億29百万円(前期比3億62百万円、6.9%減)となりました。
また、国内卸売事業の総資産は前期比93百万円増(0.5%増)の197億25百万円となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により売上高は33億9百万円減少しましたが、営業利益への影響は軽微です。
b.海外卸売事業
海外卸売事業は、野菜種子、花種子とも、ほぼ全ての国と地域で売上が好調に推移しました。新型コロナウイルス感染症やウクライナ問題など、様々な要因による物流の混乱を回避するために前倒し需要が引き続き発生していることや、為替レートも全面的に円安となったことなどから、前期比、大幅な増収となりました。
品目別では、野菜種子は、ペッパーが各地域のニーズに対応した商品開発などにより、全地域で大きく伸びました。また、ブロッコリーとトマトは北中米、欧州・中近東、南米で、ニンジンはアジアで、カボチャは南米で、特に売上が大幅に増加しました。花種子は、ヒマワリが新しいタイプの切り花として高い評価を得て、全地域で大幅に増加しました。また、トルコギキョウ、パンジー、ストック、カンパニュラ、ジニアなど、数多くの品目でも売上が大きく伸びました。
これらの結果、売上高は520億44百万円(前期比82億67百万円、18.9%増)、営業利益は162億76百万円(前期比29億36百万円、22.0%増)となりました。
また、海外卸売事業の総資産は前期比134億60百万円増(18.7%増)の853億14百万円となりました。これは主に、現金及び預金が74億95百万円、棚卸資産が20億7百万円、受取手形及び売掛金が12億45百万円増加したことによるものです。
c.小売事業
小売事業は、一部の苗木商品の取り扱いを中止したことや収益認識会計基準等の適用などから、前期比、減収となりました。しかしながら、花種子が引き続き好調であったほか、量販店向けの資材取引において一部帳合替えもあったことなどから、期初計画比では好調に推移いたしました。
分野別では、直売店ガーデンセンター横浜は、天候不良の影響はあったものの、売上はほぼ横ばいとなりました。通信販売分野では、オリジナル品への注力などから苗木の売上が減少しました。量販店向けのホームガーデン分野では、市況や天候不良の影響で野菜種子は減少しましたが、花種子はコロナ禍における旺盛な需要が継続、資材も一部ホームセンターへの納入品目が増えました。
これらの結果、売上高は51億52百万円(前期比6億32百万円、10.9%減)、営業利益は31百万円(前期比79百万円、71.8%減)となりました。
また、小売事業の総資産は前期比4億71百万円減(19.7%減)の19億27百万円となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により売上高は95百万円減少しましたが、営業利益への影響は軽微です。
d.その他事業
造園緑花分野は、新型コロナウイルス感染症の動向が見通せない状況下でしたが、徹底した感染防止対策を講じながら営業活動を推進しました。その結果、民間及び公共工事の受注や緑花関係の育成維持管理業務を着実に実施することができたことから、前年同期を上回る売上高となりました。
これらの結果、売上高は30億68百万円(前期比1億18百万円、4.0%増)、営業利益は81百万円(前期比42百万円、109.7%増)となりました。
また、その他事業の総資産は前期比2億9百万円増(12.5%増)の18億76百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」にて記載したとおりです。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。
|
|
2018年5月期 |
2019年5月期 |
2020年5月期 |
2021年5月期 |
2022年5月期 |
|
自己資本比率(%) |
82.3 |
82.3 |
82.2 |
83.9 |
84.9 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
152.3 |
120.2 |
133.5 |
124.5 |
133.3 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%) |
106.0 |
93.0 |
137.1 |
24.5 |
14.8 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
44.2 |
46.2 |
16.3 |
94.6 |
94.3 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(リース債務は除く)/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ 1. 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※ 2. 株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
※ 3. キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
※ 4. 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、リース債務を除く利子を支払っている負債を対象としております。
※ 5. 利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
b.資金需要の主な内容
当社グループの資金需要のうち主なものは、種子および資材の購入費用のほか、生産経費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは、給与、賞与等の人件費、運搬費、販売荷造費、広告宣伝費等であります。
また、当社グループは、生産設備の拡充、合理化および研究開発力の強化等を目的として、継続的に設備投資を実施しております。
当社グループの当連結会計年度末における有利子負債に対する金利負担は、支出に占める割合としては十分低く、金利上昇による影響が限定的な範囲にとどまる有利子負債残高水準にあります。
c.資金調達の可能性
資金の流動性については、手元流動性の確保により不測の事態に対応できるようにしております。資金の調達については、本社、国内各子会社および海外各子会社とも、取引金融機関との良好な関係を維持しており、適切な対応が可能な体制をとっております。
③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、予測不能な天候変動等によって業績が左右される可能性があることや研究開発に長期間要する事業特性があることなどから、中長期の経営計画数値は公表しておらず、単年度の計画を公表し着実に達成していく方針でおります。本年4月に公表した業績予想と比較した当連結会計年度の実績は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりです。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループが連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a.新型コロナウイルス感染症拡大による影響
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりです。
b.棚卸資産の評価見積りによる影響
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりです。
c.固定資産の減損判定による影響
当社グループは、主に研究開発や生産、販売などの事業を行うため、土地や建物、機械などの固定資産を多く保有しております。原則として、管理会計上の単位を資産グループの基礎として、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングしており、また、賃貸資産及び遊休資産については、個別の資産ごとにグルーピングを行っております。収益性が低下した資産グループについては固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少分を減損損失として計上しております。回収可能価額は、将来の利益計画に基づく将来キャッシュ・フローや不動産の時価を前提に作成されるため、経営環境の悪化や不動産の価格変動などにより回収可能価額が下がり、減損損失を計上するなどの影響が生じる可能性があります。
該当事項はありません。
主力商品である野菜と花の品種開発は研究本部、農園芸資材の開発はソリューション統括部が担当し、全世界の市場に向けた品種の育成、農園芸資材の開発を行っております。研究・開発拠点として、日本国内では静岡県掛川市をはじめ5か所に、海外では北米、南米、欧州、アジア圏など、14か所に農場を配しております。
研究開発者はグループ全体で約537人、当連結会計年度における研究開発費は
当社の理念である「心と体の栄養」を世界の人々に届けることを目標に、サカタオリジナルの価値ある商品開発を進めてまいります。
当連結会計年度の主な研究内容及び成果は、次のとおりであります。
(1)国内卸売事業及び海外卸売事業
①野菜
当連結会計年度は、コマツナ「C1-059」が一般社団法人日本種苗協会主催の第72回全日本野菜品種審査会において1等特別賞を受賞するとともに、輸出・国際局長賞を受賞いたしました。さらに、当グループの子会社である株式会社ブロリードのブロッコリー「ルミナス」が、同審査会において1等特別賞を受賞するとともに、農林水産大臣賞を受賞し、高い研究開発力が評価されました。
新品種におきましては、秋冬ホウレンソウに求められる濃い葉色、低温伸長性、収量性のいずれにも優れた能力を発揮する「ピンドン」、各種病害に耐病性を持つ台木メロン「デュアルアタック」、早生性、栽培適応性に優れた紫色のカリフラワー「オーナメントパープル」など、生産者の要望に沿い、消費者にも喜ばれるオリジナル性の高い品種を発表いたしました。
海外市場では、2022年2月、メキシコに研究拠点「クリアカン イノベーションセンター」(Culiacan Innovation Center、略称:CIC、メキシコ・シナロア州クリアカン市)を開設しました。果菜類の大産地であるクリアカン市において、メキシコおよび中米市場向けの野菜の品種開発およびマーケティングを強化いたします。
②花
当連結会計年度は、ペチュニア「バカラiQ ブルー」が一般社団法人日本種苗協会主催の第67回全日本花卉品種審査会において1等特別賞を受賞するとともに、農林水産大臣賞を受賞いたしました。また、トルコギキョウ「SM9-706M」が同審査会において1等特別賞を受賞するとともに、輸出・国際局長賞を受賞いたしました。
海外においてもベゴニアの新品種「バイキング エクスプローラー ローズ オン グリーン」が、世界2大花き品評会のひとつである、米国の「オール アメリカ セレクションズ」(AAS) でゴールドメダルを獲得いたしました。AASにおけるゴールドメダルは、昨年のジニア「プロフュージョン レッドイエローバイカラー」に続き、2年連続での受賞となり、国内外における高い研究開発力が評価されました。
新品種におきましては、トルコギキョウでは大輪セミフリル八重咲きで晩生の白色「リオ ホワイト」を含め計7品種、ポンポン咲きのアスター「あずみ」シリーズ2品種の切り花品種をそれぞれ発表いたしました。
また、人気の「サンパチェンス」シリーズやカリブラコアとペチュニアの属間雑種「ビューティカル」シリーズ、雨に強く開花性に優れた「よく咲くペチュニア バカラiQ」シリーズ、ラナンキュラス「ワンダーランドiQ」シリーズの花壇苗品種をそれぞれ発表いたしました。
当社のオリジナリティあふれる品種開発は国内外で高く評価され続けております。
③ソリューション
当連結会計年度は、環境制御系スマート農業ビジネスへの取り組みや農園芸現場における様々な課題解決を目指した事業展開を積極的に進め、特に環境制御システム「アルスプラウト」は、生産現場の省力化を目指す多くのユーザーで活用・導入が進みました。
また、「環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律(みどりの食料システム法)」や「プラスチックに係わる資源循環の促進等に関する法律」が2022年より施行され、これまで以上に環境との調和や持続的発展が可能な商品、サービスの展開が当社事業活動の計画においても重要なテーマとなっております。
こうした市場変化の中、約50年の販売を誇る播種育苗資材のロングラン商品「ジフィーセブン」、姉妹品となる100%ココピート原料の「ジフィーセブン C」に環境負荷の少ない生分解性ネットを採用し、リニューアル販売を開始いたしました。プラスチック使用量の削減、廃棄物の低減による省力化が見込まれ、現在イチゴを始めとした果菜類を中心に、順調に生産現場への導入が進んでおります。
今後も環境配慮型商品、特に近年注目を浴びているバイオスティミュラント資材や有機栽培へ対応した商品開発に加え、情報技術の積極的活用により、多くのユーザーに安心して使用いただける商品の提供を進めてまいります。
(2)小売事業
当事業に該当する研究開発は行っておりません。
(3)その他事業
当事業に該当する研究開発は行っておりません。