第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 当社は、「品質・誠実・奉仕」を社是に掲げ、良質な商品とサービスの提供により世界の人々の生活文化向上に貢献し、世界一の種苗会社を目指すこと、そして顧客、取引先、サカタグループの三者が共に栄える「三者共栄」、社員、経営者、株主は一体であり共に繁栄する「三位一体」、地球上の自然とその自然に内包される社会、そして社会に帰属する企業の持続的な共生を目指す「三層共生」を経営理念として掲げています。

 当社は、採算性と財務の健全性を重視する堅実な経営と株主利益の追求によって企業価値の増大に努めます。

 また、生産者にも消費者にも喜んでいただける「野菜と花の種苗」をいち早く開発するとともに、高品質種子の安定生産と供給を実現することによって、世界の種苗界をリードする種苗会社として躍進することを目指します。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

 世界的な大規模自然災害や地球温暖化などの大きな課題が山積する中で、今まで以上の高い付加価値を種苗に付与し、それを生産者の方々に安定供給すること、そして、持続可能な農業の実現、ひいては世界の人々の豊かな暮らしに貢献していくことが、私ども種苗会社に託された使命です。

 この使命を果たすため、「(1)経営方針」に述べた社是と経営理念を掲げ、事業を行っております。

 特に「三層共生」はサステナビリティへの取り組みを明確にするため、2022年に新たに経営理念に位置付けられました。自然環境は地球上の生命維持システムであり、社会は人の暮らしや企業活動を支える基盤です。そして企業は、自然や社会から新たな価値を創出していきます。当社は社業である種苗事業や緑花事業を通じて、環境や社会の持続性に寄与するサステナビリティ経営を目指しており、その実現のために2022年8月、「サステナビリティ基本方針」を制定いたしました。

 当社グループでは、事業活動を通じて、より良い社会の実現に貢献するとともに、企業としての更なる成長を目指してまいります。具体的には下記の5つの基本方針に基づき、当社の事業計画を推進しております。

 

①高収益ビジネスモデルの確立

 生産者が安心して栽培を実現し、高い収益の確保につなげられるよう、当社では高品質で、オリジナル性の高い種苗を継続的に創出する研究体制の構築を行っております。

 また、新たにトップシェアを狙う戦略品目の開発・拡販に努め、経営資源の重点戦略品目への集中とアジアを中心とした新興国市場における成長機会の取り込みによる高収益体制を確立いたします。

 

②各地域における健全な収益構造の構築と重点戦略の推進

 成長市場における市場拡大、成熟市場における高収益モデルの確立を行うことによって、アジア・北米・南米・欧州アフリカの各地域における健全な収益構造を確立いたします。また、成熟市場においては、戦略品目でのシェアの拡大、新興市場においては、野菜や花の消費需要喚起と地域栽培環境に応じた商品の開発等、具体的な重点戦略を立案、実行いたします。

 

③安定供給と効率化を実現するサプライチェーンインフラの整備

 種子の安定供給を実現する生産体制・技術・機能を強化し、効率的なグローバルサプライチェーンマネジメント体制の実現に向けた仕組みづくりを行い、コストと在庫の削減を目指します。

 

④グローバルカンパニー実現に向けた人財育成、組織、マネジメント体制の構築

 日本国籍のグローバルカンパニー実現に向けた人的資源の管理体制の構築や、経営体制の整備とグループマネジメントの高度化をさらに進めます。

 

⑤経営の効率化を実現するグローバルIT基盤の整備

 情報系、会計、サプライチェーン管理のシステムを再整備し、グローバルに最適な事業管理、経営判断を支援するITシステム基盤を構築します。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは社業である種苗事業や緑花事業を通じて、環境や社会の持続性に寄与するサステナビリティ経営を目指しており、更なる実現のため、2022年6月に「サステナビリティ基本方針」を制定し、各種取り組みを進めております。

 

1.重要課題(マテリアリティ)の特定

 重要課題の特定に際しては、国際的な枠組みやガイドライン等を活用し、課題項目を抽出、経営陣・グループ会社へのヒアリングや従業員によるワークショップ等を実施し、取締役会での承認を経て特定いたしました。具体的なプロセスは、以下の通りとなります。

プロセス1:課題項目の抽出

GRI(Global Reporting Initiative)スタンダード、持続可能な開発目標SDGs、国連グローバル・コンパクト、OECD(経済協力開発機構)多国籍企業行動方針、世界人権宣言、ILO(国際労働機関)中核的労働基準、ISO26000等の国際的な枠組みやガイドライン、外部ステークホルダーからの意見等から課題項目を抽出しました。

プロセス2:ヒアリングとワークショップの実施

抽出した課題項目について、当社役員やグループ会社へのヒアリング、また従業員によるワークショップを実施し、種苗業に関わる重要課題を多様かつ多面な視点から選定しました。

プロセス3:評価と重み付け

それら課題項目について、当社ステークホルダーに対する重要度と当社グループにとっての重要度の双方の観点から評価し、WBA(World Benchmark Alliance)「2021 Food and Agriculture Benchmark」等も参考にし、重み付けを実施しました。

プロセス4:重要課題の特定

当社役員とサステナビリティ経営推進プロジェクトメンバーによる議論を重ねるとともに、社外有識者との意見交換等を通じ、取締役会での審議・承認を経て、当社グループの重要課題を特定しました。

 

 当社グループの重要課題は、For the earth、For society & peopleの2つを大きな枠組みとし、重要と評価された課題を包括的に含む「地球環境の保全」、「持続可能な農園芸業への貢献」、「豊かな暮らしの提供」、「事業基盤の強化」の4つとなります。

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 4つの重要課題は当社の事業に大きく関わっており、これまで長きにわたり取り組んできた課題です。例えば当社事業の核となる品種開発と種子の継続的な供給は、持続可能な農園芸業にとって極めて重要です。

 

<当社グループ 4つの重要課題>

 

重要課題

選定理由

取り組みの事例

関連する

SDGs

For

the earth

地球環境の保全

・気候変動対策

・生物多様性の保全

・水資源の保全

・廃棄物管理

・環境負荷の低減

・資源の循環

経営理念

「三層共生」と関連

・当社事業の基盤

水資源の有効利用、管理

・研究農場や種子生産圃場における

点滴潅水

生物多様性の保全と持続可能な利用

・資源国との協定に基づく遺伝資源の適切な利用と利益配分

環境負荷の低減

・低環境負荷品種や資材の開発と利用

・事業所のGHG削減

(太陽光パネル設置、EV車の利用)

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For

society

& people

持続可能な農園芸業

への貢献

・農業生産の安定化

・生産者への支援

・気候変動対応

・農業と地域振興

・土壌の保全

経営理念

「三者共栄」と関連

・種苗を通じた農園芸業と地域への貢献

生産・供給の安定化

・耐病性、耐候性品種の開発

・生産者への技術的支援

地域振興

・事業を通じた雇用創出

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0102010_011.png0102010_012.png0102010_013.png

豊かな暮らしの提供

・健康な食生活の提供

・持続可能な食糧供給

・花や緑のある心豊かなくらしの実現

経営理念

「三層共生」と関連

・種苗を通じ、人々の生活文化向上に貢献

健康的な暮らしの提供

・子どもの野菜・果物摂取推進

(食育)

・新興国での野菜摂取の啓蒙活動

・花や緑のある暮らしと街づくり

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Business

Foundation

事業基盤の強化

・ガバナンスの強化

・多様性の重視と人財

育成

・社内環境整備

・知財管理

・調達管理

(環境・人権等)

経営理念

「三位一体」と関連

・法令の遵守

・すべての人にとっての働きがいと働きやすさ

・かけがえのない人財の育成

人財育成方針と社内環境整備方針の

制定

・各種人財育成プログラム、役員・管理職向けダイバーシティ研修の実施

人権方針の制定

・サプライヤーとの連携による児童

労働、強制労働等の把握と是正

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 私たちの事業活動を通じてこれらの重要課題の解決、より良い社会の実現に貢献するとともに、企業として更なる成長を目指してまいります。

 

2.サステナビリティ全般に関するガバナンスおよびリスク管理

(1)ガバナンス

 当社グループでは、サステナビリティ経営を推進していくため2023年6月1日に取締役会の下部組織としてサステナビリティ委員会を設置いたしました同委員会は監督機関である取締役会に対して適宜報告を行い必要な承認を求めることとしております代表取締役社長を委員長とし委員は常務執行役員本部長が務めますまた事務局機能は組織横断のメンバーによる推進プロジェクトチームが担い委員である常務執行役員のうち1名がプロジェクトリーダーとなって諸課題に対する具体的な取り組みを進めております

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(2)リスク管理

 当社グループでは、「天候・自然災害リスク」、「育種開発リスク・知的財産権の侵害リスク」、「保有資産の価値変動リスク」、「品質と安全性に関するリスク」、「カントリーリスク」、「為替変動に関するリスク」、「取引先の信用リスク等の各種リスクに関して、取締役会にて総合的に把握・評価するとともに統合的に管理しております

 サステナビリティ委員会では、気候変動関連リスクの更なる高まりを受け生産地や圃場を取り巻く自然環境の変化による種苗生産量の変動生産環境の変化等各種情報を分析・検討してまいります。取締役会では当社グループの主たる事業である種苗事業における天候・自然災害リスクは事業活動において多大な影響を及ぼすリスクの1つであると認識しておりサステナビリティ委員会からの報告を通じてリスク発生時の対応等の徹底に努める体制を構築しております。

 

3.重要なサステナビリティ項目

 上記ガバナンスおよびリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります

(1)TCFD(気候関連財務情報タスクフォース)提言に基づく取組

戦略

 当社グループではサステナビリティ委員会を中心に気候変動シナリオの分析を行い事業活動に際し多大な影響を及ぼす可能性があるリスクと機会を特定しカテゴリー分類重要度評価等を進めるとともにその財務的な影響を把握し対策の検討を開始いたしました

 なお、IEA(国際エネルギー機関)、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)等が公表している「2℃未満シナリオ」、「4℃シナリオ」の2つのシナリオを想定し、気候関連リスクと機会、事業インパクトを分析しております。記載の試算影響額については、移行リスクは「2℃未満シナリオ」、物理リスクは「4℃シナリオ」を採用しております。

<リスクと事業インパクト>

分類

種類

リスク

事業および財務への影響

重要度

試算額

(百万円)

対応策

移行
リスク

政策・法規制

炭素税の導入等新たな租税公課の導入

各種エネルギー(原油灯油電気等)の使用に伴う課税による操業コストの増加

119.4

・再生可能エネルギーの活用
・エネルギー効率の改善
・省エネ設備やシステムの導入の実施

プラスチック等の使用規制

バイオプラスチックや代替素材への移行に伴うコスト増

・環境配慮商品や環境認証取得商品の開発
・素材の使用量の最適化

環境負荷のかかる商品の使用規制

農薬・化学肥料等の使用規制(使用量削減)による生産活動への制約

・農薬・化学肥料等の代替品の商品開発
・有機農業推進の支援

技術

低炭素技術への転換

環境負荷低減に繋がる新たな低炭素農業への移行によるコスト増

・エネルギー効率向上を図るための農業施設の更新
・適切な資金援助制度の活用
・持続可能な農業にむけた生産者支援の推進

市 場

/

評 判

環境負荷のかかる商品への需要減

環境負荷のかかる商品の売上減

・環境負荷の低い商品の開発・普及

物理的
リスク

急性

豪雨洪水高潮土砂災害干ばつ
局地的大雪等異常気象の増加

自然災害発生による建物・研究施設の損壊サプライチェーン寸断等に伴う事業活動縮小営業機会の損失

9.6

・災害リスクの評価と予防策の強化
・建物や研究施設の耐震化と防災対策
・サプライチェーンにおける種子の適切な在庫確保・管理

天候不順土壌劣化渇水等による種子生産等の作付け困難・成長不良・腐敗採種量の減少・種子の品質低下

・耐候性の高い品種の開発
・土壌改良
・持続可能な水資源管理

慢性

平均気温の上昇降雨渇水等の気象変化
海面上昇等地球環境の変化

耕作可能な土地面積の減少による種子生産量の減少

・耕作可能な土地の最適利用
・耐候性の高い品種の開発

降水・降雪量の変化に伴う種子生産等に用いる水の不足

・持続可能な灌漑管理
・水資源管理の計画的な推進

平均気温上昇による農作物の成長不良病害虫の増加等に伴う生産量の減少

・耐候性の高い品種の開発
・環境制御システムの導入
・持続可能な農業にむけた生産者支援の推進

 

<ビジネスチャンス(機会)>

分類

種類

事業および財務への影響

重要度

対応策

機会

製品サービス/市場

<品種開発>

気候変動対応品種高温でも栽培可能な品種病害虫に強い品種土砂災害対策植物の需要が高まり当社商品への需要が増加する

・耐候性、耐病害虫性品種の開発強化

<ソリューション>

・環境負荷の低い商品への需要が増加し省暖房低農薬少肥料品種や有機肥料バイオスティミュラント資材等の売上高が増加する

・機械化・スマート農業に適した品種への需要が増加し当社商品への需要が増加する

・省暖房低農薬少肥料で栽培可能な品種の開発強化

・有機肥料やバイオスティミュラント資材の取扱い強化

・機械化・スマート農業適合品種の開発強化

<造園緑花>

都市部の緑花・園芸(壁面緑花都市緑花)の需要が高まり造園緑花部門の売上が増加する

・サカタのタネグリーンサービス(株)による造園緑花事業の取り組み強化

 

指標と目標

 当社グループでは2020年10月政府が宣言した2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを進めるべく温室効果ガス排出量(Scope1Scope2Scope3)を気候関連リスクと機会を評価する指標の1つとして定めグループ全体の温室効果ガス排出量算定に向けた取り組みを開始しましたまた、サステナビリティ委員会において、当社グループにおける温室効果ガス排出量の算定を通じて、中長期的な温室効果ガス排出量削減目標について検討しております。

 当社単体の2021年度(2021年4月から2022年3月までの期間)における温室効果ガス排出量は次の通りとなりますなおグループ全体の温室効果ガス排出量(Scope1Scope2)については計測ならびに削減目標策定に向けた検討を進めてまいりますまたScope3についても今後計測に向けての検討を進めてまいります

<温室効果ガス排出量(当社単体、実績)>

 

2021年度

2022年度

備考

Scope1排出量(t)

2,664

計測中

事業者自らによる燃料等の使用に伴う直接排出

Scope2排出量(t)

3,848

計測中

他企業から供給された電気等の使用に伴う間接排出

排出量 合計(t)

6,512

計測中

 

 

(2)人財の多様性・人財育成に即した社内環境整備の取組

戦略

 当社グループでは、従業員一人ひとりの人格や個性を尊重しながら、変化を歓迎し、自由な発想を生み出し続ける企業風土を醸成するとともに、明るく、働きがいのある職場環境の維持・向上に努めております。当社グループの礎となっているのは世界各地で働く3千人近い従業員であり、当社グループでは従業員をかけがえのない「人財」と捉え、経営方針の一つとして「人財の育成、活用の基盤となる諸制度、施策を充実する」と定めております。この実現のため、人事については「実力主義を徹底し一人ひとりの個性が発揮される生き生きとした組織と働きがいのある職場を創造する」ことを理念として掲げております。

 

a.人財育成方針

 当社グループは、以下の5つの人財育成方針を掲げており、当社では各種施策を実施しております。今後、これらの施策をグループ全体に展開していけるよう、検討を進めてまいります。

 

方針①』当社グループの発展に不可欠な人財像を明確にし育成と採用を図る

 期待する人財像として以下の5点を掲げております

1.世界一の種苗会社を目指しより良い品質の商品とサービスの提供に努める人財

2.常に信用第一を心がけ誠実さと奉仕の精神をもって行動し社会に貢献する人財

3.プロフェッショナルとしてグローバルな視野と豊かな発想を持ち自己研鑽に努める人財

4.環境の変化を敏感に捉え失敗を恐れずに新たな取り組みやより高い目標にチャレンジする人財

5.多様性を尊重し、「相互啓発チームワークによって明るく活気ある職場をつくる人財

 このような人財を育成・採用するために、当社は以下の取り組みを実施しております。

<育成面>

 当社は人財育成モデルに基づいた人財育成施策を実施しております。若手社員に対しては、新入社員研修、フォローアップ研修、二年目研修によって、社会人基礎力を高めるとともに、社是や経営理念の浸透を図っております。また、将来を担う人財に対しては、リーダーシップの開発を目的とした階層別や選抜式の研修を提供しているほか、経営層や管理職を対象とした研修など、役割や目的に合わせた研修も用意し、専門能力の育成につなげております。

 

 特に、当社のグローバル戦略の実現のために、グローバル人財の育成にも注力しております。世界中の人々と人的関係を構築できるコミュニケーション力、生活文化の違いを理解できる力、経営的なものの見方ができる力、当社共通の理念・価値観を伝えていく力など、グローバルな事業展開をリードできる人財の育成を目指すべく、海外企業に派遣し実際に業務を体験する研修(グローバル人財育成プログラム)を実施しております。また、語学力向上のために、語学教育プログラム(オンライン英会話レッスン、語学学校の受講料補助)も提供しております。

 なお、上記育成をより効果的に行うために、当社掛川総合研究センター内に掛川研修センターを新設し、農業や種苗の知識を兼ね備えた「種苗人」の育成を推進しております。

<採用面>

 新卒採用では、インターンシップや一日仕事体験会を通して、当社理念に共感する人財の採用につなげております。また、採用ウェブサイトの充実により、広く当社の魅力を発信しております。

 

方針②』常に工夫・改善に努め積極果敢なチャレンジ精神を重視する

 当社は、従業員の挑戦を後押しする取り組みとして、前述のグローバル人財育成プログラムへの参加を手挙げ方式で募集しているほか、社内のポストに対して自主的に応募することができる社内人財公募制度を行っております。

 

方針③』個性能力適性に見合った配置・異動を行うとともに必要な知識やスキルの修得を支援する

 当社は、職能要件に基づき、職種や等級に合った/超えた能力を発揮しているか把握し、配置・異動・教育に反映しております。また、人財情報データベースアンケートを行い、個々人のスキルや資格、得意分野を考慮して、配置・異動に活用しております。配置・異動後においては、実際の業務を題材に、知識や技術を計画的に伝え、実務的なスキルの習得の支援を行っております。

 

方針④』自らを高めようとする自律型人財に能力開発の機会を提供する

 当社は、自律的な学習を支援するために、前述の語学教育プログラムのほか、通信教育プログラムの提供において、約180の講座を用意し、受講料を補助しております。

 

方針⑤』職務において発揮した能力とその成果を公正に評価し育成につなげる

 当社は、複数名の考課者が考課を実施し、その考課結果を評定会議で検討・調整することで、成果を適切に評価しております。また、全ての考課者を対象とした考課者研修を毎年実施しており、公正な評価を目指しております。更には、目標面接制度において、会社方針や組織のミッション、自身の役割を見直し、目標達成に向けた取り組みを管理職がフィードバックすることで、社員の能力向上につなげております。

 

今後も時代の変化に応じた育成・採用や、人事評価制度の継続的な改善に取り組んでまいります。

 

b.社内環境整備方針

 当社グループは、以下の3つの社内環境整備方針を掲げており、当社では各種施策を実施しております。今後、これらの施策をグループ全体に展開していけるよう、検討を進めてまいります。

 

方針①』従業員の多様な視点や価値観が企業の持続的な成長と価値向上に繋がる認識のもとに国籍性別障害の有無新卒・中途採用を問わず活躍できる社内環境をつくる

 各職場でのダイバーシティ推進のためには、管理職の役割が重要であるとの考えから、当社は、管理職を対象としたダイバーシティ推進研修を実施しているほか、女性が自身のキャリアを主体的に構築していくことを目的とした女性キャリア研修も開催しております。

 

方針②』従業員が安心して働き続けられるよう柔軟な働き方や心身の健康に対する取り組みを拡充する

 当社は、多様な従業員が働きやすい環境を整備するために、在宅勤務制度、時差勤務制度、育児短時間勤務制度を制定しております。また、働きやすさや心身の健康を保つ上で、適切な休暇取得が重要と捉えています。そのために、有給休暇の取得を奨励しております。なお、やむを得ない事情により退職することになった従業員が、職場に復帰できる再雇用制度(キャリアリターン制度)も運用しております。そのほか、法令遵守に限らずハラスメント等の相談もできるコンプライアンス相談窓口や、従業員ならびに家族の方がいろいろな悩み事(メンタルヘルスやキャリア、家庭事情等)に関して気軽に相談できるEAP相談室を設置しております。

 

方針③』従業員がエンゲージメントを高めやりがいと誇りを持てるよう生産性向上とイノベーション促進につながる風土を醸成する

 当社は、従業員エンゲージメントの状況を把握するとともに、やりがいや生産性向上にむけた課題がどこにあるか分析し、改善に向けた取り組みを検討しております。別途、前述の人財情報データベースアンケートを実施しているほか、アンケートだけでは分からない実態を各部署の人事ヒアリング面談で深掘りし、課題の理解と対応を進めております。

 

 上記の取り組みに加えて、従業員のキャリア設計の支援や、働きやすい社内環境の継続的な改善に努めてまいります。

 

指標と目標

 指標

目標

実績

(2022年度)

関連する方針

(a) リーダーシップ開発研修参加者数

(リーダーシップの開発を目的とした階層別や選抜式研修の年間参加者数)

50人以上

(維持目標)

51人

人財育成方針

(b) 自己啓発プログラム利用者数

(語学教育プログラム通信教育プログラムの年間利用者数)

380人

(2025年度)

323人

人財育成方針①④

(c) 女性管理職比率

20%

(2030年度)

8.6%

社内環境整備方針

(d) 年次有給休暇の平均取得率

(付与日数に対する取得率)

 70%以上

(維持目標)

72.9%

社内環境整備方針

当社(サカタのタネ単体)の数値

(3)人権方針の制定

 当社グループでは海外の売上が7割を超えているほか、種子生産・仕入商品の調達等のサプライチェーンもグローバルに展開しております変化する国際社会の中ですべての人の人権が今後も尊重され続けるよう当社グループがさらなる貢献を果たしていくための土台として2023年5月人権方針を制定しました

 今後、当社グループの事業活動で想定される人権課題について、さまざまなステークホルダーにおける顕在的・潜在的な影響評価を実施し、当社グループにとっての優先課題を特定してまいります。

 人権方針に関する詳細な情報については、弊社ウェブサイト

(URL https://corporate.sakataseed.co.jp/sustainability/society/human-rights.html)の「人権への取り組み」をご参照ください。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)天候・自然災害リスク

当社グループの主要販売商材である「種苗」の生育は天候に大きく左右されるため、天候状況は販売および生産に影響を与えます。まず販売面では、暴風雨などの自然災害や天候不良による不作などは生産者の活動に影響を与え、当社商材の販売が減少するリスクがあります。販売地域を世界170か国以上に広げたり、厳しい生育環境にも適応する品種を開発することなどによりリスクの軽減に努めていますが、世界的に異常気象は増加傾向にあると認識しており、各地における天候不良は売上の低迷をもたらす可能性があります。また、商品種子の生産については、天候不良により充分な品質や数量を確保できないリスクや生産コストが上昇するリスクがあります。このため世界19か国に生産を分散し、かつ同一地域でも複数の種子生産者にその生産を委託してリスク分散を図っているほか、一定量の安全在庫を保有することとしております。しかしながら、特に主要な産地において播種期から採種期までに大規模な天候変化や自然災害が生じた場合、欠品による売上減少や生産コストの大幅な上昇など、業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(2)育種開発リスク・知的財産権の侵害リスク

育種開発リスクとしては、育種目標を設定してから10年以上を必要とする育種開発の性格上、投資コスト負担リスク、開発実現性リスク、商品ニーズが変化してしまうリスク、他社との開発競争リスク、新規育種技術の普及により参入障壁が下がり開発競争が激化するリスクなどがあります。さらに、育種研究者であるブリーダーが社外流出することにより、担当する品種の育成に障害が出て良質な商品の完成が難しくなるリスクや、遺伝資源の流出により模倣品が出回り知的財産が侵害されるリスクを有しております。当社グループでは、育種工学の拡充や社外研究機関との連携などを含めた研究開発体制の整備開発者に対する報奨制度の導入やチーム体制での育種の採用、種苗法に基づく品種登録や特許などを用いての知的財産権保護などを行っておりますが、急激に需要が変化した場合や強力な他社品種が出現した場合などは、業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(3)保有資産の価値変動リスク

当社グループは様々な資産を保有しておりますが、定期的な不動産の現状確認や政策保有株式に関する社内規程整備などの管理体制を構築し、適切な評価・管理に努めております。しかしながら、土地や有価証券などの資産価値が急激に下落した場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。また、『(1)天候・自然災害リスク』にて記載したとおり、商品種子の生産は天候条件に大きく左右されるという当社グループの事業の特性上、顧客への安定供給責任を果たし、事業を安定的に継続するための安全策として、棚卸資産である種子を一定量確保しているため、種子の品質低下や商品の需要変化などにより、棚卸資産の廃棄・評価損が増加するリスクがあります。品質や販売動向に基づき定期的に評価の見直しを行っておりますが、生産や販売実績が計画から大きく乖離した場合などには、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(4)品質と安全性に関するリスク

当社グループでは、創業者坂田武雄の唱えた社是「品質・誠実・奉仕」に則り、品質と安全性に対する信頼を最重要課題のひとつと位置づけ、品質管理部を設け当社の品質基準に照らした商品チェックを行うと同時に、お客様相談室を設けるなどして商品クレームに適切に対応できる体制を採っております。しかしながら、「生き物」である商品の性質上、品質の水準や均一性などに不測の事態が生じるケースや、種子に由来しない環境や生産技術面からのリスクが発生し、業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(5)カントリーリスク

当社グループは、生産・研究開発・販売拠点として、日本を含めて全世界で22か国に事業展開を行っております。うち、農場および研究施設として、国内5か所、海外で11か国14か所に拠点を持っております。これらの事業展開地域の一部においては、次のようなリスクが内在しております。

a.予期しない法律又は規制の制定又は改廃

b.政治・経済の混乱

c.テロ・紛争の発生などによる社会的混乱

d.地震などの天変地異の発生

e.コンピューターウイルスや諸情報の漏洩など、情報化に伴う問題の発生

グローバルに事業を展開することで、販売や生産のリスク分散が図れるメリットはありますが、一定の地域において何らかのリスク事象が生じる可能性が高まる面もあります。拠点展開先の各国からは、常に情報を早期に収集し、迅速な意思決定ができるように、経営やリスク管理体制の強化を図っておりますが、これらの事象が発生した場合、当地での事業の継続、需要の大幅な低下、種子生産から撤退などのリスクがあり、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

なお、当社グループのウクライナおよびロシア向け売上の連結売上高に対する割合が僅少ですが、世界的な資源価格や物流コストなどの高騰が、当社グループの売上原価を増加させる可能性や、生産コスト上昇により生産者が作付け意欲を減退させるリスクがあります。

 

(6)為替変動に関するリスク

当社グループは海外各地において商品を生産・販売しており、各地域において現地通貨にて作成された財務諸表は、連結財務諸表作成のために円換算されております。このため、為替相場の変動は、現地通貨における価値に変動がなかったとしても、業績に影響を与えます。また、当社グループが原材料および商品の一部を調達あるいは輸出している海外との取引は、為替変動の影響を受けます。こうした影響を最小限に止めるべく、当社グループでは通貨別金額の変化に常時注意を払っており、適切な管理体制の下、先物為替予約取引や通貨オプションなどを活用し、リスクの軽減に努めております。しかしながら、予測を超えて急激に為替レートが変動した場合などには、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(7)取引先の信用リスク

 当社グループでは、国内外の様々な顧客や仕入先との取引を行っており、売掛金、前渡金などの信用供与を行っております。当社グループでは、定期的な信用調査や信用リスクに応じた取引限度額の設定、貸倒引当金の計上など、信用リスク管理のための施策を講じておりますが、取引先の財政状態の悪化や経営破綻等が生じた場合、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の概要

①経営成績の状況

 当社グループの当連結会計年度(2022年6月1日から2023年5月31日まで)における業績は、為替相場が前期比大幅な円安になったこともあり、売上高は772億63百万円(前期比42億13百万円、5.8%増)となりました。

 売上総利益は、利益率の向上と売上高の増加を受けて増益となりましたが、円安の影響に加え、実質ベースにおいても人件費、旅費交通費、研究開発費などを中心に販売費及び一般管理費が増加し、営業利益は109億18百万円(前期比2億63百万円、2.4%減)となりました。経常利益は、受取利息や為替差益の増加により、123億4百万円(前期比1億89百万円、1.6%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期計上した米国での固定資産売却による特別利益が剥落したことなどにより、94億89百万円(前期比27億66百万円、22.6%減)となりました。

 

②財政状態の状況

(資産)

 総資産は、1,607億15百万円(前連結会計年度末比132億91百万円増加)となりました。

・流動資産:現金及び預金、商品及び製品の増加などにより69億8百万円増加

・固定資産:建物及び構築物(純額)、投資有価証券の増加などにより63億83百万円増加

 

(負債)

 負債合計は226億34百万円(前連結会計年度末比6億78百万円増加)となりました。

・流動負債:未払法人税等の減少などにより6億70百万円減少

・固定負債:繰延税金負債の増加などにより13億49百万円増加

 

(純資産)

 純資産合計は、1,380億80百万円(前連結会計年度末比126億13百万円増加)となりました。

・株主資本:親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより72億48百万円増加

・その他の包括利益累計額:為替換算調整勘定の増加などにより53億円増加

 

 以上の結果、自己資本比率は85.7%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期比14億13百万円減少し、203億34百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、83億51百万円(前期比16億87百万円の収入の減少)となりました。

・主な収入:税金等調整前当期純利益124億87百万円の計上、減価償却費38億10百万円の計上、利息及び配当金の受取額9億7百万円の計上

・主な支出:法人税等の支払額50億24百万円の計上、棚卸資産の増加額27億42百万円の計上

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、△81億7百万円(前期比85億76百万円の支出の増加)となりました。

・主な収入:有形固定資産の売却による収入5億92百万円の計上

・主な支出:有形固定資産の取得による支出56億21百万円の計上、定期預金の預入による支出26億48百万円の計上

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、△28億28百万円(前期比17億52百万円の支出の減少)となりました。

・主な収入:長期借入れによる収入30百万円の計上

・主な支出:配当金の支払額20億84百万円の計上、リース債務の返済による支出5億99百万円の計上

 

④仕入および販売の実績

a. 仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年6月1日

  至 2023年5月31日)

前年同期比(%)

国内卸売事業(百万円)

7,219

△4.6

海外卸売事業(百万円)

19,095

21.8

小売事業(百万円)

3,468

△2.0

報告セグメント計(百万円)

29,782

11.2

その他事業(百万円)

2,961

7.9

合計(百万円)

32,744

10.9

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

b. 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年6月1日

  至 2023年5月31日)

前年同期比(%)

国内卸売事業(百万円)

12,272

△4.0

海外卸売事業(百万円)

56,264

8.1

小売事業(百万円)

5,343

3.7

報告セグメント計(百万円)

73,880

5.6

その他事業(百万円)

3,383

10.3

合計(百万円)

77,263

5.8

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度(2022年6月1日から2023年5月31日まで)における世界経済およびわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動への制約の緩和が進んだ一方、ウクライナ情勢の長期化などにより、インフレの進行、金利の上昇、為替相場の大幅な変動など、先行きの不透明感が強まりました。

 このような状況のなか当社グループでは、ウェブ会議やプロモーション動画の活用などの新しい様式での活動は継続しつつ、感染防止策を講じた上で、展示会の開催や国内外への出張などリアルベースの活動も段階的に再開いたしました。

 成長戦略の取組みとしては、生産者が安心して栽培を実現し、高い収益の確保につなげられるよう、高品質でオリジナル性の高い種苗を継続的に創出する研究体制の構築と、安定供給と効率化を実現するサプライチェーンの整備を行っております。また、新たにトップシェアを狙う戦略品目の開発・拡販に努め、経営資源の重点戦略品目への集中とアジアを中心とした新興国市場における成長機会の取り込みによる高収益体制を目指しております。

 このような取組みのもと、品目別では、野菜種子は、ペッパー、カボチャ、レタスなど、シェアの拡大を目指し研究開発に注力してきた商品が前期に引き続き好調に推移し、新興国における外貨規制や一部地域における天候不順などのマイナス要因はありましたが、野菜種子全体で増収となりました。花種子は、ヒマワリが前期の反動から減少したほか、主力品種のトルコギキョウも、欧州・中近東においてエネルギー価格高騰によるマイナス影響を受けたものの、そのほかの地域で好調に推移し、花種子全体では微増となりました。地域別では、国内は青果市況の低迷などによりほぼ横ばいとなりましたが、海外では、円貨では全地域、現地通貨では欧州・中近東を除く全ての地域で増収となりました。

 2022年7月に公表した業績予想に対しては、売上高は7億36百万円、営業利益は3億81百万円、下回りましたが、経常利益は5億4百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は9億89百万円、それぞれ上回りました。

 

セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

a.国内卸売事業

 国内卸売事業は、青果市況の低迷や生産コストの上昇などにより作付面積が減少傾向にあり、全般的に低調に推移いたしました。このような中、SNSにおける商品情報発信やWEB上の顧客限定交流サイトの機能強化など、新しい営業活動の取組みを進めております。

 商品別では、野菜種子では、トマト、レタスが産地への導入が進み増加しましたが、ホウレンソウ、ニンジン、ネギが減少しました。また、家庭園芸向け需要の落ち着きなどもあり、花種子と苗木も減少しました。資材は、農園芸肥料は増加しましたが、値上がり前の特需からの反動により、全体では若干の減収となりました。

 営業活動の再開などによる経費増はありましたが、効率的な業務体制の構築により、営業費用の抑制に努めました。

 これらの結果、売上高は122億72百万円(前期比5億11百万円、4.0%減)、営業利益は49億7百万円(前期比21百万円、0.4%減)となりました。

 また、国内卸売事業の総資産は前期比6億86百万円増(3.5%増)の204億12百万円となりました。

 

b.海外卸売事業

 海外卸売事業は、為替レートが全般的に円安になったことなどから、前期比、増収となりました。

 野菜種子は、北中米では、ブロッコリーが米国西部の干ばつの影響から減少したものの、ペッパー、ホウレンソウ、スイカ、メロン、ビートが好調に推移し、増収となりました。欧州・中近東では、カボチャ、ブロッコリー、ハクサイが増加しましたが、トマトがエジプトの外貨規制の影響で出荷を一時見合わせたことから大きく減少し、現地通貨ベースでは減収となりました。南米では、メロンが減少しましたが、カボチャ、ペッパー、ブロッコリー、レタスが大きく伸び、増収となりました。アジアでは、商流変更による販売時期の変更などからニンジンが減少しましたが、ネギ、ブロッコリー、オクラが好調に推移し、増収となりました。

 花種子は、ヒマワリは減少しましたが、トルコギキョウが欧州・中近東を除く地域で大きく増加したほか、北中米ではカンパニュラ、南米ではパンジー、アジアではマリーゴールドなどが好調に推移しました。

 これらの結果、売上高は562億64百万円(前期比42億19百万円、8.1%増)、営業利益は168億21百万円(前期比5億45百万円、3.4%増)となりました。

 また、海外卸売事業の総資産は前期比76億37百万円増(9.0%増)の929億52百万円となりました。

 

c.小売事業

 小売事業は、ガーデンセンター横浜と通信販売分野では、巣ごもり需要の落ち着きなどから、前期比減収となりました。量販店向けのホームガーデン分野では、一部帳合替えもあり資材の売上が増加したほか、野菜種子も好調に推移し、前期比増収となりました。

 効率的な業務運営による経費削減に努めておりますが、販売運賃の高騰などの影響を受け、営業費用は増加いたしました。

 これらの結果、売上高は53億43百万円(前期比1億91百万円、3.7%増)、営業利益は92百万円悪化し、61百万円の損失(前期は31百万円の営業利益)となりました。

 また、小売事業の総資産は前期比4億94百万円減(25.7%減)の14億32百万円となりました。

 

d.その他事業

 造園緑花分野は、新型コロナウイルス感染症の影響継続に加え、資材や燃料費などの原価上昇による厳しい状況下にありましたが、民間および公共工事の安定した受注や、緑花関係の育成維持管理業務を着実に実施することができました。

 これらの結果、売上高は33億83百万円(前期比3億14百万円、10.3%増)、営業利益は84百万円(前期比3百万円、4.0%増)となりました。

 また、その他事業の総資産は前期比95百万円増(5.1%増)の19億72百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」にて記載したとおりです。

 なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。

 

2019年5月期

2020年5月期

2021年5月期

2022年5月期

2023年5月期

自己資本比率(%)

82.3

82.2

83.9

84.9

85.7

時価ベースの自己資本比率(%)

120.2

133.5

124.5

133.3

107.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

93.0

137.1

24.5

14.8

17.6

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

46.2

16.3

94.6

94.3

106.8

  (注)自己資本比率:自己資本/総資産

   時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

   キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(リース債務は除く)/キャッシュ・フロー

   インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※ 1. 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

※ 2. 株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

※ 3. キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

※ 4. 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、リース債務を除く利子を支払っている負債を対象としております。

※ 5. 利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

b.資金需要の主な内容

 当社グループの資金需要のうち主なものは、種子および資材の購入費用のほか、生産経費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは、給与、賞与等の人件費、運搬費、販売荷造費、広告宣伝費等であります。

 また、当社グループは、生産設備の拡充、合理化および研究開発力の強化等を目的として、継続的に設備投資を実施しております。

 当社グループの当連結会計年度末における有利子負債に対する金利負担は、支出に占める割合としては十分低く、金利上昇による影響が限定的な範囲にとどまる有利子負債残高水準にあります。

 

c.資金調達の可能性

 資金の流動性については、手元流動性の確保により不測の事態に対応できるようにしております。資金の調達については、本社、国内各子会社および海外各子会社とも、取引金融機関との良好な関係を維持しており、適切な対応が可能な体制をとっております。

 

③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、予測不能な天候変動等によって業績が左右される可能性があることや研究開発に長期間要する事業特性があることなどから、中長期の経営計画数値は公表しておらず、単年度の計画を公表し着実に達成していく方針でおります。2022年7月に公表した業績予想と比較した当連結会計年度の実績は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりです。

 

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当連結会計年度における財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 当社グループが連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

a.棚卸資産の評価見積りによる影響

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりです。

 

b.固定資産の減損判定による影響

 当社グループは、主に研究開発や生産、販売などの事業を行うため、土地や建物、機械などの固定資産を多く保有しております。原則として、管理会計上の単位を資産グループの基礎として、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングしており、また、賃貸資産および遊休資産については、個別の資産ごとにグルーピングを行っております。収益性が低下した資産グループについては固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少分を減損損失として計上しております。回収可能価額は、将来の利益計画に基づく将来キャッシュ・フローや不動産の時価を前提に作成されるため、経営環境の悪化や不動産の価格変動などにより回収可能価額が下がり、減損損失を計上するなどの影響が生じる可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

主力商品である野菜と花の品種開発は研究本部、農園芸資材の開発はソリューション統括部が担当し、全世界の市場に向けた品種の育成、農園芸資材の開発を行っております。研究・開発拠点として、日本国内では静岡県掛川市をはじめ5か所に、海外では北米、南米、欧州、アジア圏など、14か所に農場を配しております。

研究開発者はグループ全体で約548人、当連結会計年度における研究開発費は9,069百万円であります。なお、研究開発費については、セグメント別に関連付けることが困難であるため、その総額を記載しております。

当社の理念である「心と体の栄養」を世界の人々に届けることを目標に、サカタオリジナルの価値ある商品開発を進めてまいります。

当連結会計年度の主な研究内容及び成果は、次のとおりであります。

(1)国内卸売事業及び海外卸売事業

①野菜

 当連結会計年度は、カボチャ「SH7-014」、ホウレンソウ「C1-071」、レタス「M8-055」が、一般社団法人日本種苗協会主催の第73回全日本野菜品種審査会において1等特別賞を受賞し、さらにカボチャ「SH7-014」は農林水産大臣賞も受賞いたしました。また、ダイコン「SC8-182」は第64回東京都野菜・花き種苗改善審査会において農林水産大臣賞を受賞するなど、高い研究開発力が評価されました。

 新品種におきましては、促成・夏秋栽培で秀品率が高く、食味のよい大玉トマト「れおん」、べと病R–1~19抵抗性の秋冬ホウレンソウ「スーパーセーブ」、寒締め栽培に向く甘みの強いホウレンソウ「寒締め吾郎丸」、根こぶ病耐病性で、耐暑性、早生性を兼ね備えたブロッコリー「アーリーキャノン」、黒腐病耐病性で玉ぞろいのよいキャベツ「ふうりん」、発色のよい紫キャベツ「レッドブライト」など、オリジナル性を重視した品種を数多く発表いたしました。今後も国内外市場において、生産者にも消費者にも喜ばれる品種開発に邁進いたします。

 

②花

 当連結会計年度は、キンギョソウ「キャンディートップス ローズ」が第64回東京都野菜・花き種苗改善審査会において農林水産大臣賞を受賞しました。また、トルコギキョウ「SM1-389」、「SM9-A-730M」、アスター「SM9-668」、ハボタン「ローブホワイト」(SK3-147M)が、一般社団法人日本種苗協会主催の第68回全日本花卉品種審査会において1等特別賞を受賞しました。海外においてもトルコギキョウの「ロジータ3 ピュアホワイト」がオランダの国際園芸博覧会「フロリアード2022」において最優秀賞を受賞し、国内外での研究開発力の高さを示すことができました。

 新品種におきましては、トルコギキョウ「ボヤージュ」シリーズや無花粉タイプ「ソロ PF」シリーズ等で計11品種の切り花品種をそれぞれ発表いたしました。さらに人気の「サンパチェンス」、カリブラコア「ふわリッチ」、カリブラコアとペチュニアの属間雑種「ビューティカル」、ペチュニア「よく咲くペチュニア バカラiQ」、種間雑種ベゴニア「バイキング」の各シリーズにおいて、花壇苗品種をそれぞれ発表いたしました。

 今後も国内外市場において、当社のオリジナル性あふれる品種開発が、高く評価されるよう努めてまいります。

 

③ソリューション

 当連結会計年度は、スマート農業ビジネスへの取り組みとして引き続き環境制御システム「アルスプラウト」の普及を進め、特にイチゴへの導入が大きく拡大し、生産現場の省力化を目指す多くのユーザーにご好評頂きました。また、行政との取り組みではシステム導入からコンサルティング業務の請負等、新たなビジネスが進展いたしました。

 当社の事業環境は、これまで以上に環境との調和や持続可能な農園芸商品、サービスの提案が重要なテーマとなっております。こうした中、さまざまな栽培環境の変化に対応する資材としてご愛顧いただいておりました「高機能液肥」シリーズを、『サカタマモル』シリーズとしてリニューアルし、商品の認知拡大を図るためシリーズ感を持たせました。特に日照不足や、猛暑など異常気象への対策として高い評価を受けており、商品ごとの効果を組み合わせてご使用いただくことで、弱った作物の回復や健全な育成を促しユーザーのさまざまな課題解決を応援しております。

 また、近年注目を浴びているバイオスティミュラント資材や有機栽培に対応した商品開発を進めております。引き続き、多くのユーザーに安心してご使用いただける商品の提供をお約束いたします。

 

(2)小売事業
 当事業に該当する研究開発は行っておりません。

 

(3)その他事業
 当事業に該当する研究開発は行っておりません。