当社は、「品質・誠実・奉仕」を社是に掲げ、良質な商品とサービスの提供により世界の人々の生活文化向上に貢献し、世界一の種苗会社を目指すこと、そして顧客、取引先、サカタグループの三者が共に栄える「三者共栄」、社員、経営者、株主は一体であり共に繁栄する「三位一体」、地球上の自然とその自然に内包される社会、そして社会に帰属する企業の持続的な共生を目指す「三層共生」を経営理念として掲げています。
当社は、採算性と財務の健全性を重視する堅実な経営と株主利益の追求によって企業価値の増大に努めます。
また、生産者にも消費者にも喜んでいただける「野菜と花の種苗」をいち早く開発するとともに、高品質種子の安定生産と供給を実現することによって、世界の種苗界をリードする種苗会社として躍進することを目指します。
世界的な大規模自然災害や地球温暖化などの大きな課題が山積する中で、今まで以上の高い付加価値を種苗に付与し、それを生産者の方々に安定供給すること、そして、持続可能な農業の実現、ひいては世界の人々の豊かな暮らしに貢献していくことが、私ども種苗会社に託された使命です。
当社グループでは、事業活動を通じて、より良い社会の実現に貢献するとともに、企業としての更なる成長を目指してまいります。具体的には、下記の5つの事業戦略に基づき、当社の事業計画を推進しております。
生産者が安心して栽培を実現し、高い収益の確保につなげられるよう、当社では高品質で、オリジナル性の高い種苗を継続的に創出する研究体制の構築を行っております。
また、新たにトップシェアを狙う戦略品目の開発・拡販に努め、経営資源の重点戦略品目への集中とアジアを中心とした新興国市場における成長機会の取り込みによる高収益体制を確立いたします。
成長市場における市場拡大、成熟市場における高収益モデルの確立を行うことによって、アジア・北米・南米・欧州アフリカの各地域における健全な収益構造を確立いたします。また、成熟市場においては、戦略品目でのシェアの拡大、新興市場においては、野菜や花の消費需要喚起と地域栽培環境に応じた商品の開発等、具体的な重点戦略を立案、実行いたします。
種子の安定供給を実現する生産体制・技術・機能を強化し、効率的なグローバルサプライチェーンマネジメント体制の実現に向けた仕組みづくりを行い、コストと在庫の削減を目指します。
日本国籍のグローバルカンパニー実現に向けた人的資源の管理体制の構築や、経営体制の整備とグループマネジメントの高度化をさらに進めます。
情報系、会計、サプライチェーン管理のシステムを再整備し、グローバルに最適な事業管理、経営判断を支援するITシステム基盤を構築します。
当社グループは、「良質な商品とサービスの提供により世界の人々の生活文化向上に貢献し、世界一の種苗会社を目指す」こと、そして顧客、取引先、サカタグループの三者が共に栄える「三者共栄」、社員、経営者、株主は一体であり共に繁栄する「三位一体」、地球上の自然とその自然に内包される社会、そして社会に帰属する企業の持続的な共生を目指す「三層共生」を経営理念として掲げております。このうち、「三層共生」はサステナビリティへの取り組みを明確にするため、2022年に新たに経営理念に位置付けられました。自然環境は地球上の生命維持システムであり、社会は人の暮らしや企業活動を支える基盤です。そして企業は、自然や社会から新たな価値を創出していきます。
引き続き、当社グループの持つ資本と強みを生かした価値創造プロセスを通じて、これらの重要課題を解決し、より良い社会の実現に貢献してまいります。
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループは、社業である種苗事業や緑花事業を通じて、環境や社会の持続性に寄与するサステナビリティ経営を目指しており、更なる実現のため、「サステナビリティ基本方針」を制定し、各種取り組みを進めております。
1.重要課題(マテリアリティ)の特定
重要課題の特定に際しては、国際的な枠組みやガイドライン等を活用し、課題項目を抽出、経営陣・グループ会社へのヒアリングや従業員によるワークショップ等を実施し、取締役会での承認を経て特定いたしました。具体的なプロセスは、以下の通りとなります。
プロセス1:課題項目の抽出
GRI(Global Reporting Initiative)スタンダード、持続可能な開発目標SDGs、国連グローバル・コンパクト、OECD(経済協力開発機構)多国籍企業行動方針、世界人権宣言、ILO(国際労働機関)中核的労働基準、ISO26000等の国際的な枠組みやガイドライン、外部ステークホルダーからの意見等から課題項目を抽出しました。
プロセス2:ヒアリングとワークショップの実施
抽出した課題項目について、当社役員やグループ会社へのヒアリング、また従業員によるワークショップを実施し、種苗業に関わる重要課題を多様かつ多面な視点から選定しました。
プロセス3:評価と重み付け
それら課題項目について、当社ステークホルダーに対する重要度と当社グループにとっての重要度の双方の観点から評価し、WBA(World Benchmark Alliance)「2021 Food and Agriculture Benchmark」等も参考にし、重み付けを実施しました。
プロセス4:重要課題の特定
当社役員とサステナビリティ経営推進プロジェクトメンバーによる議論を重ねるとともに、社外有識者との意見交換等を通じ、取締役会での審議・承認を経て、当社グループの重要課題を特定しました。
当社グループの重要課題は、For the earth、For society & peopleの2つを大きな枠組みとし、重要と評価された課題を包括的に含む「地球環境の保全」、「持続可能な農園芸業への貢献」、「豊かな暮らしの提供」、「事業基盤の強化」の4つとなります。

4つの重要課題は当社の事業に大きく関わっており、これまで長きにわたり取り組んできた課題です。例えば当社事業の核となる品種開発と種子の継続的な供給は、持続可能な農園芸業にとって極めて重要です。
<当社グループ 4つの重要課題>
私たちの事業活動を通じてこれらの重要課題の解決、より良い社会の実現に貢献するとともに、企業として更なる成長を目指してまいります。
2.サステナビリティ全般に関するガバナンスおよびリスク管理
当社グループでは、サステナビリティ経営を推進していくため、2023年6月1日に取締役会の下部組織として、サステナビリティ委員会を設置いたしました。同委員会は監督機関である取締役会に対して適宜報告を行い、必要な承認を求めることとしております。代表取締役社長を委員長とし、委員は常務執行役員、本部長が務めます。また、事務局機能は組織横断のメンバーによる推進プロジェクトチームが担い、委員である常務執行役員のうち1名がプロジェクトリーダーとなって諸課題に対する具体的な取り組みを進めております。

また当社グループでは、2023年3月に「サステナビリティ基本方針」、2023年5月に「人権方針」、2023年6月に「人財育成方針」「社内環境整備方針」を制定いたしました。今年度はこれらに加え、2024年10月に「調達方針」、2025年7月に「環境方針」と「贈収賄・腐敗防止方針」を新たに制定いたしました。これらの方針に則り、各種取り組みを進めてまいります。
各方針に関する詳細な情報については、弊社ウェブサイトの以下のページをご参照ください。
当社グループでは、「天候・自然災害リスク」、「育種開発リスク・知的財産権の侵害リスク」、「保有資産の価値変動リスク」、「品質と安全性に関するリスク」、「カントリーリスク」、「為替変動に関するリスク」、「取引先の信用リスク」等の各種リスクに関して、取締役会にて総合的に把握・評価するとともに、統合的に管理しております。
サステナビリティ委員会では、気候変動関連リスクの更なる高まりを受け、生産地や圃場を取り巻く自然環境の変化による種苗生産量の変動、生産環境の変化等、各種情報を分析・検討してまいります。取締役会では、当社グループの主たる事業である「種苗事業」における「天候・自然災害リスク」は事業活動において多大な影響を及ぼすリスクの1つであると認識しており、サステナビリティ委員会からの報告を通じて、リスク発生時の対応等の徹底に努める体制を構築しております。
3.重要なサステナビリティ項目
上記、ガバナンスおよびリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は、以下のとおりであります。
当社グループでは、サステナビリティ委員会を中心に気候変動シナリオの分析を行い、事業活動に際し多大な影響を及ぼす可能性があるリスクと機会を特定し、カテゴリー分類、重要度評価等を進めるとともに、その財務的な影響を把握し、対策の検討を開始いたしました。
なお、IEA(国際エネルギー機関)、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)等が公表している「2℃未満シナリオ」、「4℃シナリオ」の2つのシナリオを想定し、気候関連リスクと機会、事業インパクトを分析しております。記載の試算影響額については、移行リスクは「2℃未満シナリオ」、物理リスクは「4℃シナリオ」を採用しております。
<リスクと事業インパクト>
<ビジネスチャンス(機会)>
当社グループの中長期的な温室効果ガス排出量(Scope1・2)削減目標を策定いたしました。
また、当社グループの国内拠点における排出量実績は以下のとおりです。Scope3についても、今後計測に向けて検討を進めてまいります。
<温室効果ガス排出量 削減目標>
※1 ㈱サカタのタネ、㈱山形セルトップ、㈱飛騨セルトップ、㈱福岡セルトップ、㈱サカタロジスティックス、サカタのタネ グリーンサービス㈱、㈱ブロリード
<温室効果ガス排出量 実績(国内拠点+海外主要拠点)>
※1 算定方法の精緻化により、過去にさかのぼって温室効果ガス排出量を修正しております。また、海外(一部)の2024年度のScope1において、Sakata Vegetables Europe S.A.S.のデータ収集可能範囲が拡大したため、排出量実績が2023年度までに比べて増加しております。
※2 Sakata Seed America,Inc. 、Sakata Vegetables Europe S.A.S.、Sakata Seed Sudamerica Ltda、坂田種苗(蘇州) 有限公司
当社グループでは、従業員一人ひとりの人格や個性を尊重しながら、変化を歓迎し、自由な発想を生み出し続ける企業風土を醸成するとともに、明るく、働きがいのある職場環境の維持・向上に努めております。当社グループの礎となっているのは世界各地で働く約3千人の従業員であり、当社グループでは従業員をかけがえのない「人財」と捉え、経営方針の一つとして「人財の育成、活用の基盤となる諸制度、施策を充実する」と定めております。この実現のため、人事については「実力主義を徹底し一人ひとりの個性が発揮される生き生きとした組織と働きがいのある職場を創造する」ことを理念として掲げております。
当社グループは、以下の5つの人財育成方針を掲げており、当社では各種施策を実施しております。今後、これらの施策をグループ全体に展開していけるよう、検討を進めてまいります。
『方針①』当社グループの発展に不可欠な人財像を明確にし、育成と採用を図る
期待する人財像として、以下の5点を掲げております。
1.「世界一の種苗会社」を目指し、より良い品質の商品とサービスの提供に努める人財
2.常に「信用第一」を心がけ、誠実さと奉仕の精神をもって行動し、社会に貢献する人財
3.プロフェッショナルとして、グローバルな視野と豊かな発想を持ち、自己研鑽に努める人財
4.環境の変化を敏感に捉え、失敗を恐れずに新たな取り組みや、より高い目標にチャレンジする人財
5.「多様性」を尊重し、「相互啓発」と「チームワーク」によって明るく活気ある職場をつくる人財
このような人財を育成・採用するために、当社は以下の取り組みを実施しております。
<育成面>
当社は人財育成モデルに基づいた人財育成施策を実施しております。若手社員に対しては、新入社員研修、フォローアップ研修、二年目研修によって、社会人基礎力を高めるとともに、社是や経営理念の浸透を図っております。また、将来を担う人財に対しては、リーダーシップの開発を目的とした階層別や選抜式の研修を提供しているほか、経営層や管理職を対象とした研修など、役割や目的に合わせた研修も用意し、専門能力の育成につなげております。
特に、当社のグローバル戦略の実現のために、グローバル人財の育成にも注力しております。世界中の人々と人的関係を構築できるコミュニケーション力、生活文化の違いを理解できる力、経営的なものの見方ができる力、当社共通の理念・価値観を伝えていく力など、グローバルな事業展開をリードできる人財の育成を目指したプログラムを実施しております。また、語学力向上のために、語学教育プログラム(オンライン英会話レッスン、語学学校の受講料補助)も提供しております。
なお、上記育成をより効果的に行うために、当社掛川総合研究センター内に掛川研修センターを新設し、農業や種苗の知識を兼ね備えた「種苗人」の育成を推進しております。
<採用面>
新卒採用では、学生を対象とした仕事体験会を通して、当社理念に共感する人財の採用につなげております。また、採用ウェブサイトの充実により、広く当社の魅力を発信しております。
『方針②』常に工夫・改善に努め、積極果敢なチャレンジ精神を重視する
当社は、従業員の挑戦を後押しする取り組みとして、前述のグローバル人財育成プログラムへの参加を手挙げ方式で募集しているほか、社内のポストに対して自主的に応募することができる社内人財公募制度を行っております。
『方針③』個性、能力、適性に見合った配置・異動を行うとともに、必要な知識やスキルの修得を支援する
当社は、職能要件に基づき、職種や等級に合った/超えた能力を発揮しているか把握し、配置・異動・教育に反映しております。また、人財情報データベースアンケートを行い、個々人のスキルや資格、得意分野を考慮して、配置・異動に活用しております。配置・異動後においては、実際の業務を題材に、知識や技術を計画的に伝え、実務的なスキルの習得の支援を行っております。
『方針④』自らを高めようとする自律型人財に、能力開発の機会を提供する
当社は、自律的な学習を支援するために、前述の語学教育プログラムのほか、通信教育プログラムの提供において、約180の講座を用意し、受講料を補助しております。
『方針⑤』職務において発揮した能力とその成果を公正に評価し、育成につなげる
当社は、複数名の考課者が考課を実施し、その考課結果を評定会議で検討・調整することで、成果を適切に評価しております。また、全ての考課者を対象とした考課者研修を毎年実施しており、公正な評価を目指しております。更には、目標面接制度において、会社方針や組織のミッション、自身の役割を見直し、目標達成に向けた取り組みを管理職がフィードバックすることで、社員の能力向上につなげております。
今後も時代の変化に応じた育成・採用や、人事評価制度の継続的な改善に取り組んでまいります。
当社グループは、以下の3つの社内環境整備方針を掲げており、当社では各種施策を実施しております。今後、これらの施策をグループ全体に展開していけるよう、検討を進めてまいります。
『方針①』従業員の多様な視点や価値観が企業の持続的な成長と価値向上に繋がる認識のもとに、国籍、性別、障害の有無、新卒・中途採用を問わず活躍できる社内環境をつくる
各職場でのダイバーシティ推進のためには、管理職の役割が重要であるとの考えから、当社は、管理職を対象としたダイバーシティ推進研修を実施しているほか、女性が自身のキャリアを主体的に構築していくことを目的とした女性キャリア研修も開催しております。
『方針②』従業員が安心して働き続けられるよう、柔軟な働き方や心身の健康に対する取り組みを拡充する
当社は、多様な従業員が働きやすい環境を整備するために、在宅勤務制度、時差勤務制度、育児短時間勤務制度を制定しております。また、働きやすさや心身の健康を保つ上で、適切な休暇取得が重要と捉えています。そのために、有給休暇の取得を奨励しております。なお、やむを得ない事情により退職することになった従業員が、職場に復帰できる再雇用制度(キャリアリターン制度)も運用しております。そのほか、法令遵守に限らずハラスメント等の相談もできるコンプライアンス相談窓口や、従業員ならびに家族の方がいろいろな悩み事(メンタルヘルスやキャリア、家庭事情等)に関して気軽に相談できるEAP相談室を設置しております。
『方針③』従業員がエンゲージメントを高め、やりがいと誇りを持てるよう、生産性向上とイノベーション促進につながる風土を醸成する
当社は、従業員エンゲージメントの状況を把握するとともに、やりがいや生産性向上にむけた課題がどこにあるか分析し、改善に向けた取り組みを検討しております。別途、前述の人財情報データベースアンケートを実施しているほか、アンケートだけでは分からない実態を人事ヒアリング面談で深掘りし、課題の理解と対応を進めております。
上記の取り組みに加えて、従業員のキャリア設計の支援や、働きやすい社内環境の継続的な改善に努めてまいります。
当社(サカタのタネ単体)の数値
※ 上記については、連結グループとしてではなく、当社が実施しているものであることから、当社単体の目標及び実績を記載しております。
当社グループでは、海外の売上が7割を超えているほか、種子生産・仕入商品の調達等のサプライチェーンもグローバルに展開しております。日々変化する国際社会の中で、すべての人の人権が今後も尊重され続けるよう、当社グループがさらなる貢献を果たしていくための土台として、2023年5月、人権方針を制定しました。当社グループは、本方針に従い、グループとして人権を尊重し、ビジネスパートナーを含むさまざまな関係者と協働して当社事業活動に関連するすべてのステークホルダーの人権の尊重を推進することを目指します。
また、当社グループの事業活動で想定される人権課題について、さまざまなステークホルダーにおける顕在的・潜在的な影響評価を実施し、当社グループにとっての優先課題を特定しています。2024年は当社グループにおける労働安全衛生、労働環境、児童労働、強制労働を重点取り組み課題とし、アンケート調査を行いました。主要グループ会社15社の状況を調査し、顕在化している課題、および顕在化が見込まれる潜在的課題は発生していないことを確認しました。
人権に関するガバナンスは、当社グループのサステナビリティ全般に関するガバナンス体制に含まれております。詳しくは「2.サステナビリティ全般に関するガバナンスおよびリスク管理」をご参照ください。
(4)調達への取り組み
当社グループの主要商品である種苗は農園芸業の根幹であり、私たちの命を支えています。高品質種子を安定して生産し、供給し続けること、そして、持続可能な農業の実現、ひいては世界の人々の豊かな暮らしに貢献していくことは、当社グループの重要な使命であり、社会に対する貢献だと認識しています。その責務を遂行していくため、2024年10月に調達方針を制定しました。当社グループは本方針に従い、公平・公正で持続可能な調達の実現を目指します。
また、サプライヤーであるお取引先様は、高品質種子や農園芸資材を安定して供給し続けるための大切なパートナーであり、相互信頼を築きながら共に栄えていくことを当社グループの理想としています。調達活動における人権への潜在的または顕在的なリスクに迅速かつ適切に対応し、問題の是正に取り組むため、人権相談窓口を設置しています。
調達に関するガバナンスは、当社グループのサステナビリティ全般に関するガバナンス体制に含まれております。詳しくは「2.サステナビリティ全般に関するガバナンスおよびリスク管理」をご参照ください。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループの主要販売商材である「種苗」の生育は天候に大きく左右されるため、天候状況は販売および生産に影響を与えます。まず販売面では、暴風雨などの自然災害や天候不良による不作などは生産者の活動に影響を与え、当社商材の販売が減少するリスクがあります。販売地域を世界170か国以上に広げたり、厳しい生育環境にも適応する品種を開発することなどによりリスクの軽減に努めていますが、世界的に異常気象は増加傾向にあると認識しており、各地における天候不良は売上の低迷をもたらす可能性があります。また、商品種子の生産については、天候不良により充分な品質や数量を確保できないリスクや生産コストが上昇するリスクがあります。このため世界19か国に生産を分散し、かつ同一地域でも複数の種子生産者にその生産を委託してリスク分散を図っているほか、一定量の安全在庫を保有することとしております。しかしながら、特に主要な産地において播種期から採種期までに大規模な天候変化や自然災害が生じた場合、欠品による売上減少や生産コストの大幅な上昇など、業績に悪影響を与える可能性があります。
育種開発リスクとしては、育種目標を設定してから10年以上を必要とする育種開発の性格上、投資コスト負担リスク、開発実現性リスク、商品ニーズが変化してしまうリスク、他社との開発競争リスク、新規育種技術の普及により参入障壁が下がり開発競争が激化するリスクなどがあります。さらに、育種研究者であるブリーダーが社外流出することにより、担当する品種の育成に障害が出て良質な商品の完成が難しくなるリスクや、遺伝資源の流出により模倣品が出回り知的財産が侵害されるリスクを有しております。当社グループでは、育種工学の拡充や社外研究機関との連携などを含めた研究開発体制の整備、開発者に対する報奨制度の導入やチーム体制での育種の採用、種苗法に基づく品種登録や特許などを用いての知的財産権保護などを行っておりますが、急激に需要が変化した場合や強力な他社品種が出現した場合などは、業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは様々な資産を保有しておりますが、定期的な不動産の現状確認や政策保有株式に関する社内規程整備などの管理体制を構築し、適切な評価・管理に努めております。しかしながら、土地や有価証券などの資産価値が急激に下落した場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。また、『(1) 天候・自然災害リスク』にて記載したとおり、商品種子の生産は天候条件に大きく左右されるという当社グループの事業の特性上、顧客への安定供給責任を果たし、事業を安定的に継続するための安全策として、棚卸資産である種子を一定量確保しているため、種子の品質低下や商品の需要変化などにより、棚卸資産の廃棄・評価損が増加するリスクがあります。品質や販売動向に基づき定期的に評価の見直しを行っておりますが、生産や販売実績が計画から大きく乖離した場合などには、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループでは、創業者坂田武雄の唱えた社是「品質・誠実・奉仕」に則り、品質と安全性に対する信頼を最重要課題のひとつと位置づけ、品質管理部を設け当社の品質基準に照らした商品チェックを行うと同時に、お客様相談室を設けるなどして商品クレームに適切に対応できる体制を採っております。しかしながら、「生き物」である商品の性質上、品質の水準や均一性などに不測の事態が生じるケースや、種子に由来しない環境や生産技術面からのリスクが発生し、業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、生産・研究開発・販売拠点として、日本を含めて全世界で23か国に事業展開を行っております。うち、農場および研究施設として、国内5か所、海外で12か国16か所に拠点を持っております。これらの事業展開地域の一部においては、次のようなリスクが内在しております。
a.予期しない法律又は規制の制定又は改廃
b.政治・経済の混乱
c.テロ・紛争の発生などによる社会的混乱
d.地震などの天変地異の発生
e.コンピューターウイルスや諸情報の漏洩など、情報化に伴う問題の発生
グローバルに事業を展開することで、販売や生産のリスク分散が図れるメリットはありますが、一定の地域において何らかのリスク事象が生じる可能性が高まる面もあります。拠点展開先の各国からは、常に情報を早期に収集し、迅速な意思決定ができるように、経営やリスク管理体制の強化を図っておりますが、これらの事象が発生した場合、当地での事業の継続、需要の大幅な低下、種子生産から撤退などのリスクがあり、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは海外各地において商品を生産・販売しており、各地域において現地通貨にて作成された財務諸表は、連結財務諸表作成のために円換算されております。このため、為替相場の変動は、現地通貨における価値に変動がなかったとしても、業績に影響を与えます。また、当社グループが原材料および商品の一部を調達あるいは輸出している海外との取引は、為替変動の影響を受けます。こうした影響を最小限に止めるべく、当社グループでは通貨別金額の変化に常時注意を払っており、適切な管理体制の下、先物為替予約取引や通貨オプションなどを活用し、リスクの軽減に努めております。しかしながら、予測を超えて急激に為替レートが変動した場合などには、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループでは、国内外の様々な顧客や仕入先との取引を行っており、売掛金、前渡金などの信用供与を行っております。当社グループでは、定期的な信用調査や信用リスクに応じた取引限度額の設定、貸倒引当金の計上など、信用リスク管理のための施策を講じておりますが、取引先の財政状態の悪化や経営破綻等が生じた場合、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループの当連結会計年度(2024年6月1日から2025年5月31日まで)における業績は、売上高は929億20百万円(前期比42億42百万円、4.8%増)、営業利益は122億57百万円(前期比17億61百万円、16.8%増)、経常利益は123億11百万円(前期比11億86百万円、10.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は97億11百万円(前期比64億50百万円、39.9%減)となりました。
(資産)
資産合計は、1,909億86百万円(前連結会計年度末比17億31百万円減少)となりました。
・流動資産:商品及び製品が増加した一方、現金及び預金が減少したことなどにより29億98百万円減少
・固定資産:投資有価証券が減少した一方、土地が増加したことなどにより12億67百万円増加
(負債)
負債合計は、292億17百万円(前連結会計年度末比29億66百万円減少)となりました。
・流動負債:支払手形及び買掛金が増加した一方、未払法人税等が減少したことなどにより28億69百万円減少
・固定負債:繰延税金負債が増加した一方、長期借入金が減少したことなどにより97百万円減少
(純資産)
純資産合計は、1,617億68百万円(前連結会計年度末比12億35百万円増加)となりました。
・株主資本:親会社株主に帰属する当期純利益の計上、配当金の支払などにより44億88百万円増加
・その他の包括利益累計額:その他有価証券評価差額金、為替換算調整勘定の減少などにより32億64百万円減少
以上の結果、自己資本比率は84.5%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期比21億81百万円増加し、224億45百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、51億円(前期比18億66百万円の収入の減少)となりました。
・主な増加要因:税金等調整前当期純利益135億46百万円の計上、減価償却費46億10百万円の計上
・主な減少要因:法人税等の支払額86億62百万円の計上、棚卸資産の増加40億44百万円の計上、固定資産売却益24億20百万円の計上
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、40億66百万円(前期比83億15百万円の収入の増加)となりました。
・主な増加要因:定期預金の払戻による収入101億71百万円の計上、有形固定資産の売却による収入29億64百万円の計上
・主な減少要因:有形固定資産の取得による支出70億円の計上、定期預金の預入による支出12億42百万円の計上
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、△66億69百万円(前期比24億51百万円の支出の増加)となりました。
・主な減少要因:配当金の支払額30億69百万円の計上、自己株式の取得による支出21億54百万円の計上
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当連結会計年度(2024年6月1日から2025年5月31日まで)におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善、インバウンド需要の復調などにより緩やかな回復基調が続いたものの、物価上昇が個人消費改善の重石となりました。世界経済においては、ウクライナ、中東情勢を巡る地政学リスクや中国経済への懸念に加え、関税をはじめとする米国政策動向の不確実性など、先行き不透明な状況が続きました。
このような状況のなか、当社グループの当連結会計年度における業績は、海外で野菜種子と花種子の販売が好調に推移したこと、国内でも野菜種子と資材が好調に推移したことから、売上高は929億20百万円(前期比42億42百万円、4.8%増)となりました。品目別では、野菜種子はブロッコリー、トマト、カボチャ、スイカ、ネギ、花種子はトルコギキョウ、ヒマワリ、ストック、キンギョソウが好調に推移いたしました。
売上総利益は、増収と利益率の向上により、大幅な増益となりました。販売費及び一般管理費は、海外での事業拡大による人員増加や、欧米を中心に給与水準の大幅な上昇により人件費が大きく伸びたこと、また業務委託費や減価償却費なども伸び、前期比増加いたしましたが、売上総利益の増益額が販管費の増加分を吸収し、営業利益は122億57百万円(前期比17億61百万円、16.8%増)となりました。経常利益は、為替差損益が悪化いたしましたが、営業利益の増加により、123億11百万円(前期比11億86百万円、10.7%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に計上した遊休資産売却による固定資産売却益の剥落により減少し、97億11百万円(前期比64億50百万円、39.9%減)となりました。
2025年1月に公表した業績予想に対しては、売上高は5億79百万円下回りましたが、営業利益は12億57百万円、経常利益は13億11百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は7億11百万円、それぞれ上回りました。なお、売上高と営業利益、経常利益は過去最高を更新いたしました。
セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
国内卸売事業は、花種子は減収となりましたが、野菜種子、資材の売上が伸びたことから、前期比増収となりました。
品目別では、野菜種子は、ブロッコリー、キャベツ、ネギ、トマトが増加いたしました。ブロッコリーとキャベツは、耐暑性などが高く評価されたこと、トマトは新品種や台木用品種が新規導入されたこと、ネギも新品種の拡大により、好調に推移いたしました。花種子は、パンジー・ビオラが増加いたしましたが、花の需要停滞の影響を受け、全般的に低調に推移いたしました。資材は、農業用フィルム、遮光遮熱資材のほか、環境制御機器、新商品「GAXY(ギャクシー)」をはじめとするバイオスティミュラント資材などの売上が増加いたしました。
これらの結果、外部顧客への売上高は126億61百万円(前期比3億41百万円、2.8%増)、営業利益は47億60百万円(前期比2億13百万円、4.3%減)となりました。
また、国内卸売事業の総資産は前期比12億69百万円増(6.3%増)の214億45百万円となりました。
海外卸売事業は、アジアでは減収となりましたが、その他の北中米、欧州・中近東、南米において野菜種子、花種子ともに売上を伸ばし、前期比増収となりました。
地域ごとの現地通貨ベースの業績は次の通りです。北中米は、スイカが大きく伸びたほか、ブロッコリー、トマト、ペッパー、ヒマワリなども好調に推移いたしました。欧州・中近東は、カボチャ、ブロッコリー、トマト、トルコギキョウが増加いたしました。カボチャはスペインでズッキーニタイプの品種、トマトは中央アジアと北アフリカ向けが増加いたしました。南米は、メロン、ペッパー、トマト、ヒマワリが増加いたしました。また、2023年12月に取得した連結子会社Isla Sementes Ltda.による増収効果も寄与いたしました。アジアは、ブロッコリー、ネギ、キャベツ、トルコギキョウが増加いたしましたが、ニンジンが市況の悪化などから大幅に減少したほか、ペッパーやヒマワリも減少し、減収となりました。
これらの結果、外部顧客への売上高は719億77百万円(前期比39億35百万円、5.8%増)、営業利益は200億21百万円(前期比17億81百万円、9.8%増)となりました。
また、海外卸売事業の総資産は前期比46億4百万円増(4.0%増)の1,190億72百万円となりました。
通信販売分野は、SNSを活用した販売促進活動の強化などにより野菜種子が好調に推移し、前期比増収となりました。量販店向けのホームガーデン分野は、天候不順によりマーケット全般が低調に推移し、前期比減収となりました。なお、直営店舗のガーデンセンター横浜を2023年12月に閉店したため、当該店舗における売上1億96百万円が前期比剥落しております。
これらの結果、外部顧客への売上高は45億31百万円(前期比3億88百万円、7.9%減)、営業損益は2億56百万円の損失(前期は2億21百万円の損失)となりました。
また、小売事業の総資産は前期比7百万円増(0.5%増)の14億18百万円となりました。
造園緑花分野は、資材や燃料の価格高騰など厳しい状況下にありましたが、大型公共工事が竣工したことにより、前期比増収となりました。
これらの結果、外部顧客への売上高は37億49百万円(前期比3億54百万円、10.4%増)、営業利益は1億5百万円(前期比54百万円、107.7%増)となりました。
また、その他の総資産は前期比2億71百万円増(14.4%増)の21億47百万円となりました。
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」にて記載したとおりです。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりです。
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(リース債務は除く)/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※2.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
※3.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
※4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、リース債務を除く利子を支払っている負債を対象としております。
※5.利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
当社グループの資金需要のうち主なものは、種子および資材の購入費用のほか、生産経費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは、給与、賞与等の人件費、運搬費、販売荷造費、広告宣伝費等です。
また、当社グループは、生産設備の拡充、合理化および研究開発力の強化等を目的として、継続的に設備投資を実施しております。
当社グループの当連結会計年度末における有利子負債に対する金利負担は、支出に占める割合としては十分低く、金利上昇による影響が限定的な範囲にとどまる有利子負債残高水準にあります。
資金の流動性については、手元流動性の確保により不測の事態に対応できるようにしております。資金の調達については、本社、国内各子会社および海外各子会社とも、取引金融機関との良好な関係を維持しており、適切な対応が可能な体制をとっております。
当社は、予測不能な天候変動等によって業績が左右される可能性があることや研究開発に長期間を要する事業特性があることなどから、中長期の経営計画数値は公表しておらず、単年度の計画を公表し着実に達成していく方針としております。2025年1月に公表した業績予想と比較した当連結会計年度の実績は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりです。
一方、将来に向けた資本効率向上策や利益成長戦略が、外部からは見えにくいとのご指摘もあり、現行の長期経営計画が2026年5月期に最終年度を迎えるため、現在策定中の次期長期経営計画については、成長シナリオおよび目指す経営指標も含めて2026年7月に開示し、株主の皆様にその方針をご理解いただけるよう、ご説明の機会を設ける予定です。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当連結会計年度における財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループが連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりです。
当社グループは、主に研究開発や生産、販売などの事業を行うため、土地や建物、機械などの固定資産を多く保有しております。原則として、管理会計上の単位を資産グループの基礎として、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングしており、また、賃貸資産および遊休資産については、個別の資産ごとにグルーピングを行っております。収益性が低下した資産グループについては固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少分を減損損失として計上しております。回収可能価額は、将来の利益計画に基づく将来キャッシュ・フローや不動産の時価を前提に作成されるため、経営環境の悪化や不動産の価格変動などにより回収可能価額が下がり、減損損失を計上するなどの影響が生じる可能性があります。
(固定資産の譲渡)
当社は、当社および当社連結子会社Sakata Seed America, Inc.が保有する固定資産について、2024年10月4日(米国時間)付で譲渡契約を締結し、2024年11月8日(米国時間)に譲渡いたしました。 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりです。
主力商品である野菜と花の品種開発は研究本部、農園芸資材の開発はソリューション統括部が担当し、全世界の市場に向けた品種の育成、農園芸資材の開発を行っております。研究・開発拠点として、日本国内では静岡県掛川市をはじめ5か所に、海外では北米、南米、欧州、アジア圏など、16か所に農場を配しております。
研究開発者はグループ全体で約536人、当連結会計年度における研究開発費は
当社の理念である「心と体の栄養」を世界の人々に届けることを目標に、サカタオリジナルの価値ある商品開発を進めてまいります。
当連結会計年度の主な研究内容及び成果は、次の通りです。
当連結会計年度は、一般社団法人日本種苗協会主催の第75回全日本野菜品種審査会において、ハクサイ「C0-650」が農林水産大臣賞を受賞いたしました。また、当社は「令和6年度(第25回)民間部門農林水産研究開発功績者表彰」において、「農林水産技術会議会長賞 民間企業部門」を受賞いたしました。これは当社が、さまざまな品種を開発したことによるブロッコリーの生産拡大と周年生産への貢献が評価されたことによります。
新品種におきましては、裂果に強く、収量性に優れた、黄化葉巻病に耐病性のあるミニトマト「ロイヤルパッション」、夏の高温期でも安定した量と高品質な青果を収穫でき、食味、作業性もよいミニトマト「キャロルポポ」、抽苔が遅く在圃性に優れ、出荷時期を調整しやすいことが特長のレタス「ターンオーバー」、耐寒性・在圃性・耐病性に優れ、暖冬でも安定した出荷が可能であるハクサイ「初美月」、夏の高温期にも強く、収量性と作業効率性に優れた、極濃緑の小ネギ「すさまる」など、オリジナル性を重視した品種を数多く発表いたしました。
海外では、2025年5月15日トルコに新しい研究拠点アンタルヤ研究農場を開設し、トルコをはじめ、ヨーロッパ、中東、中央アジアなどの市場を対象とした果菜類の研究開発拠点と位置付け、さらに開発を拡大いたします。
今後も国内外市場において、生産者にも消費者にも喜ばれる品種開発に邁進いたします。
当連結会計年度は、一般社団法人日本種苗協会主催の第70回全日本花卉品種審査会において、アスター「あずみXL ホワイト」、ハボタン「SK0-284」が1等特別賞を受賞いたしました。また当社と佐瀬農園(代表:佐瀬昇氏、所在地:千葉県東金市)は、「日持ちと輸送性に優れたトルコギキョウ開発」により、「令和6年度農事功績者表彰事業」において「農業技術開発功労者名誉賞状」を受賞しております。
新品種におきましては、トルコギキョウでは大輪フリンジ八重咲き「ボヤージュ(2型)チェリーピンク」等の合計4品種、花壇苗・鉢物では、ベゴニア「セネタiQ チェリーブロッサム」、「よく咲くペチュニア パフィンブルー」、パンジー「パシオ ブルー&ホワイト」等の合計7品種を発表いたしました。小売り向け商材では人気の「サンパチェンス」、「サンパティオ」シリーズ、ペチュニアとカリブラコアの属間雑種「ビューティカル」シリーズ等、合計7品種の販売を開始いたしました。
今後もオリジナリティを重視し、地球規模での環境変化に対応できる品種開発に努めてまいります。
当社グループのソリューション事業は、環境と調和した持続可能な農園芸商品やサービスを通じた課題解決が重要なテーマとなっており、さまざまな栽培環境の変化に対応可能な資材の開発に取り組んでおります。
当連結会計年度において、新たなバイオスティミュラント(以下、「BS」)資材「GAXY(ギャクシー)」を発表いたしました。本製品は、農薬のグローバルメーカーであるUPL Limitedのグループ会社、アリスタ ライフサイエンス株式会社との協業により、日本国内での販売権を取得し、世界的に拡大を続けるBS市場に向けて全国展開を進めております。
「GAXY」は、猛暑や日照不足といった環境ストレスの緩和、肥料成分の吸収促進、光合成能力のサポートなどに寄与するほか、多くの農薬と混用が可能であるため、散布作業の効率化も図れます。販売初年度から様々な作物で高い評価をいただき、生産現場において大きな成果を上げました。
現在は、当社が取り扱う花卉や野菜に加え、果樹類、柑橘類、芝生の養生、公園管理など多岐にわたる作物・用途への提案を進めており、その効果についても検証を継続しております。
今後も、さらなるBS資材の開発に取り組み、より多くのユーザーに安心してご使用いただける製品の提供を目指してまいります。
当事業に該当する研究開発は行っておりません。
当事業に該当する研究開発は行っておりません。