当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、健康食材である“きのこ”の研究、生産、販売を通じ、消費者の皆様、お取引先、地域社会、株主の皆様の信頼と期待に応え、社員を含めたホクトに関わるすべての人に満足していただける企業を目指すことを経営の基本方針としております。この基本方針に基づき、健康で豊かな食文化の創造を目指し、全てのステークホルダーのニーズにお応えできるような良質なきのこの研究開発、生産、販売を展開してまいりました。また、当社は株主の皆様にとっての企業価値向上を最重要課題のひとつと位置づけており、当社の株式が投資家の皆様にとって魅力のあるものにする必要があると考えております。今後もより安全で安心して食べていただける健康食材としてのきのこの研究、生産、販売に積極的に取り組み、持続的な成長と安定的な企業価値向上に繋がる事業展開を推進してまいります。また、ビタミンD、オルニチン、エルゴチオネイン、葉酸など、きのこに含まれる栄養素の強調表示も含め、開発研究部門と連携して健康志向への取組みをさらに強化してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び会社の対処すべき課題
当社グループを取り巻く環境は、安全、安心を求める消費者意識が高まる中、少子高齢化、人口減少による社会構造の変化、企業間競争の激化など、引き続き厳しい状況が続いております。
当社グループは、2020年11月に2021年度からの5カ年中期経営計画を新しく策定いたしました。「きのこで健康を届けることを使命に市場と消費を拡大する」及び「利益の創出と企業の社会的責任を両立する」を経営ビジョンとし、事業部門ごとに重点施策を着実に実行し、計画期間が終わる5年後に役職員全員が達成感を共有し、次の時代への活力に繋がることを最大の目標としておりました。しかしながら、コロナウイルス感染症の拡大やロシアのウクライナ侵攻等、外部環境の大きな変化に伴い、この中期経営計画の達成が困難になってしまいましたため、現在計画を見直している最中です。また、私たちの目指す「未来を笑顔に」を実現するため、SDGsの「4つの取り組みテーマ」とそれぞれの重点活動を定め、サステナビリティの重要性を認識し、全社で取り組んでまいります。
また、新型コロナウイルス感染症の影響もかなり落ち着いてきたため、直接商談の制限や試食販売も緩和傾向にありますので、おいしさや健康面への効果など、きのこの魅力をより具体的にお伝えする施策を展開してまいります。そのほか、食の安全・安心、環境問題への対応など企業の社会的責任が高まってきている中、より一層皆様のご期待にお応えできるよう品質管理体制を強化していくとともに、開発研究本部におきましては、引き続き新たな品種開発や、きのこの生理活性機能に対する研究を、より一層スピードをあげて取り組んでまいります。
今後の経営戦略及び重点施策は以下のとおりです。
① プレミアムラインの拡大
霜降りひらたけにつきましては、認知度を広げながら徐々に生産量を増やし、販売を拡大して行きたいと考えております。また、2018年9月から、シイタケ(生どんこ)の収穫、販売を開始いたしました。その他、新品種のきのこの開発を進めるなど、今後も消費者の皆様のニーズにお応えできるような付加価値の高い新商品の開発に全力で取り組んでまいります。
② 海外事業の強化
これまで、米国、台湾、マレーシアに子会社を設立及び生産工場を建設し、きのこ事業を展開してまいりました。稼働率を徐々に高めながらブランドの向上に力を入れ、それぞれの国内だけではなく、近隣諸国への営業活動も積極的に展開し、きのこ市場のさらなる拡大に努めてまいります。米国の現地法人「HOKTO KINOKO COMPANY」におきましては、販売先ポートフォリオの分散を高め、販売の拡大を目指してまいります。また、原材料価格・人件費等の上昇を販売価格に適切に反映させるため、お客様との関係強化を図り、より一層の利益確保に努めてまいります。台湾の現地法人「台灣北斗生技股份有限公司」におきましては、当社の強みである生産技術力、ブランド力、営業力を全面に打ち出し、経営基盤の強化を進め、販売の拡大を目指してまいります。生産量の8割を供給している大手小売り各社との取引において、利益の拡大を図るため、大手小売り各社からのニーズに対応した商品作りに努め、顧客毎の供給量や売価についての交渉をより強化してまいります。また、マレーシアの現地法人「HOKTO MALAYSIA SDN. BHD.」におきましては、ASEAN各国でインフレが進行し消費マインドが縮小する中、中国産等の安価品が購入される傾向が強まっておりますが、料理方法や健康効果の訴求などの活動を通じて、お客様との関係強化を図り、提案営業や地産地消販促キャンペーン等の実施による差別化戦略を進めるなど、営業体制の強化を図り、主要市場であるマレーシア・シンガポール及びASEAN各国での販売拡大を図ってまいります。
③ 加工品事業の拡大
加工品事業におきましては、外部環境の変化に対応すべく新たな販売先の開拓と体制の見直しを図るとともに、システムの導入による現状分析や提案の強化及び製造ラインの入替による製造の効率化に対応していく所存です。さらには、新たな商品開発として、マーケットインの商品の開発と販売の強化に取り組んでまいります。株式会社アーデンにおきましては、オリジナリティ溢れるレトルト食品の開発にさらに力を入れてまいります。
④ 化成品事業の強化
化成品事業におきましては、包装資材部門においては、従来からの環境ニーズに加え、生産性向上に繋がる包装資材への要望や人手不足対策を目的として機械機器の導入等のニーズが高まっているため、それらに対応していく所存です。農業資材部門においては、きのこ以外の農業生産者の開拓にも力を注いで行きたいと考えております。自社製品製造・販売部門においては、原材料や電力費等の製造経費が上がっていることから、一層の生産効率化やコスト削減に努めていくと共に、自社工場のさらなる活用、稼働率の向上、自社製品の拡販を目指してまいります。また、人手不足に対応するための効率化投資を行っていきたいと考えております。また、SDGsや環境に訴求した提案営業や、自社製品のプラスチック容器の薄肉化、バイオプラスチック/生分解性プラスチックの活用を進めるなど、SDGs関連への取組を強化し、社会貢献を果たしてまいる所存です。
(3)目標とする経営指標
当社グループは、安定的な増収・増益を基本目標とし、より高い収益性を確保する観点から、「売上高」、「営業利益」を最も重要な指標と位置づけ、目標の達成に努めてまいります。
(1)サステナビリティ全般に関する取組
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①ガバナンス
ホクトグループは、私たちの目指す「未来を笑顔に」を実現するためには、SDGsが掲げる持続可能な開発目標の達成が不可欠と捉え、中期経営計画の活動を通し、当社グループの総力を持って取り組んでおります。その活動の中核に「リスク管理委員会」を据え、取締役会と連携しながら、ガバナンス体制の構築を進めております。このリスク管理委員会の委員長は代表取締役社長が務めております。
<取締役会による管理体制と経営者の役割>
リスク管理委員会はサステナビリティ確立に向けた課題を議論したうえ、定期的に(年に1回以上)取締役会にその活動を報告することで、取締役会の監督が適切に図られる体制としております。また、気候関連問題に対する最高責任者である代表取締役社長は、リスク管理委員会の活動報告を取締役会に報告し、気候変動に係る課題の達成状況の管理を統括しております。
②戦略
当社は2021年11月に「SDGsへの取り組みについて」を発表しております。その中のマテリアリティ(重要課題)の1つとして、気候変動・環境汚染防止への取組「環境にやさしい“ホクトの仕事”の確立を目指して」を掲げております。その重点活動である「CO2排出量及びプラスチック使用量の削減」と「循環型社会の実現」を2本の柱としてサステナビリティの重要性を認識し、当社グループで取り組んでおります。「SDGsへの取り組みについて」は、各事業部門から選抜した部長クラスをメンバーとするプロジェクトチームで検討し、リスク管理委員会、取締役会への報告、承認を経て策定いたしました。
③リスク管理
当社では、当社製品の特性及び収益構造の観点から、気候変動、気候要因の問題は予てから経営課題として重要視しております。国内で販売されている野菜の多くは露地栽培されており、その作柄は天候に影響を受け、きのこ価格は少なからずその野菜相場の影響を受ける状況にあるため、気候の変動が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、最需要期である秋から冬にかけて、暖冬等の気候要因によりきのこの需要が伸び悩んだ場合も当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。こうした当社グループの経営成績に影響を与える諸要因を総合的に検討・分析し、リスクを低減する仕組みの構築に努めております。その一環として、「SDGsへの取り組みについて」の重点活動のひとつである「CO2排出量及びプラスチック使用量の削減」についてのモニタリングを通してリスクを管理しております。
④指標と目標
当社「SDGsへの取り組みについて」における重要課題のひとつである気候関連リスク・機会を管理するための指標として、温室効果ガスの排出量のモニタリングをしております。今後、中長期的な温室効果ガス排出量削減目標を設定し、目標達成に向けて取り組んでまいります。
(参考)生産量1t当たりの温室効果ガス算定排出量の推移(資源エネルギー庁提出 省エネ法定期報告書より)
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第56期 2019年3月期 |
第57期 2020年3月期 |
第58期 2021年3月期 |
第59期 2022年3月期 |
第60期 2023年3月期 |
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調整後温室効果ガス算定排出量(t-CO2) |
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生産量(t) |
74,449 |
75,383 |
77,616 |
79,895 |
83,913 |
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生産量1t当たりの調整後温室効果ガス算定排出量(t-CO2/t) |
2.386 |
2.172 |
2.006 |
1.958 |
1.782 |
(2)人的資本に関する取組
当社グループでは、中長期的な企業価値向上を目指し、「人」に対する投資を積極的に行い、その資本的価値を最大限に引き出してまいります。また、SDGsへの取り組みなどを通じ社員の幸せに繋がる職場の実現に向け、安全かつ潤いのある職場環境づくりを通し、働き甲斐のある会社の実現を目指してまいります。
当社グループにおける人的資本の取組は、下記戦略マップに基づき、各重点課題をフェーズごとに分け中長期的に行います。フェーズ1を「リスクマネジメント領域」とし、DE&I、健康経営(安全、Well-Being)、コンプライアンス・労務慣行・報酬・処遇・福利厚生といった企業価値向上の土台となる施策について充実させてまいります。続けてフェーズ2を「企業価値接続領域」とし、特にエンゲージメントに注目し、社員のやりがいと会社業績・生産性向上に繋がる取組を実施してまいります。最終フェーズ3は「企業価値向上領域」とし、社員のやりがいをベースとし、自身の成長=会社の成長となる環境・仕組みづくりに努め、会社事業の成長を目指してまいります。
そのような方針の中で、人的資本に関する取組における主要な課題を「女性活躍推進」「働きやすい職場づくりの推進」「健康経営の推進」とし、それぞれの課題において、以下のとおり戦略および指標・目標を定めております。
「人的資本に関する取組 戦略マップ」
「人的資本に関する取組における主要な課題」
① 女性活躍推進
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戦略 |
人材の育成に 関する方針 |
女性が活躍するために妨げとなる無意識の考え方を自覚し、社員(特に幹部以上)が、納得感、当事者意識を持って女性活躍を推進している状態を目指します。また、女性従業員自身が自身の抱えるバックグラウンドとの両立に対して、適切な自信を持っている状態を目指し、様々な経験を積むことができる機会を創出します |
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社内環境整備に 関する方針 |
女性のキャリア形成に向け、性差による障害がない環境づくりに努め、さらに女性ならではの取組を試行できる環境づくりに努めます。 |
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指標・目標 |
≪数値指標及び目標≫ ・ ・女性係長職数を5人以上または、女性主任職数を20人以上とする (実績(当事業年度):係長職3人、主任職17人) ・ (実績(当事業年度): ≪行動目標≫ ・女性活躍における管理職向け研修の実施、効果測定 ・女性向けキャリア研修の継続 ・全社員向けキャリアアンケートを実施し、キャリアアップを希望する女性社員の比率の測定 |
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② 働きやすい職場づくりの推進
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戦略 |
人材の育成に 関する方針 |
業績の向上に向け、従業員一人ひとりが、人格・個性・多様性等を相互に尊重し認め合い、生き生きと働きやすい職場環境の中で、協力し一丸となっている状態を目指します |
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社内環境整備に 関する方針 |
一人ひとりの社員における働き方の多様性を尊重し対応するため、既成観念にとらわれない柔軟な取組を実践し、さまざまな考えの広がりを感じられる環境づくりに努めます。また、社員の心理的安全性の確保をはかるとともに、ワークライフバランスに配慮し、仕事に取り組みやすく、安心感を持って活躍できる職場環境、人事制度整備を行います |
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指標・目標 |
≪数値指標及び目標≫ ・ (実績(当事業年度): ・ (実績(当事業年度): ・従業員の育休取得率100%以上とする (実績(当事業年度):男性88.9%・女性95.2%) ・ (実績(当事業年度): ・ (実績(当事業年度): ≪行動目標≫ ・エンゲージメント調査/コンディションチェック ・年齢比率/男女比率/有休取得率/時間外労働/育休取得率のモニタリング ・DX推進による業務負荷の軽減・効率化 ・柔軟な働き方の導入検討及び試行 ・育児休暇取得者のフォロー体制の確立 |
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③ 健康経営の推進
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戦略 |
人材の育成に 関する方針 |
従業員やその家族が健康であることは、企業価値、企業の業績向上のために不可欠であり、全従業員が活力ややりがいをもって働ける環境づくりが重要であると認識している状態を目指します |
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社内環境整備に 関する方針 |
従業員自身が自身の健康状態を把握できる機会を通じて、仕事と健康維持・向上の両立を図るための職場環境づくりを目指します |
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指標・目標 |
≪数値指標及び目標≫ ・ ・ ・ ・ (実績(当該事業年度) ≪行動目標≫ ・健康をテーマにしたセミナーの定期開催による情報提供 ・健康診断データの収集及び分析 ・アンケートによる喫煙・飲酒・睡眠・食事などの生活実態把握 ・二次健診及び特定保健指導の受診勧奨強化 |
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なお、当社グループでは、上記に記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組が行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難なものを含みます。このため、上記の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 自然災害、事故等に関するリスク
当社グループのきのこは全て栽培管理設備の整った工場内で生産しており、衛生管理を徹底し、安定栽培と品質の向上に努めておりますが、地震等の自然災害、その他突発的な事故や異変が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 社会・経済情勢の変動に関するリスク
当社グループは日本国内を主たる事業基盤としていることから、国内の景気等の経済状態による消費動向や人口動態の変化等に起因する需要減退等により市場が縮小した場合には、販売量あるいは単価の下落を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 気候変動に関するリスク
国内で販売されている野菜の多くは露地栽培されており、その作柄は天候等の影響を受け、きのこ価格は少なからずその野菜相場の影響を受ける状況にあるため、気候の変動が当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、最需要期である秋から冬にかけて、暖冬等の気候要因により当社グループのきのこの需要が伸び悩んだ場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 業績の季節変動に関するリスク
当社グループの商品は、きのこという商材としての特性から、例年春から夏にかけては需要が低調に推移し単価は安く、秋から冬にかけては需要が拡大することから単価も上昇するという傾向が顕著です。したがって、当社グループの売上高及び営業利益は、需要拡大期にあたる第3四半期及び第4四半期に増加する傾向があります。そのため、特定の四半期業績のみによって通期の業績見通しを判断することは困難であります。
なお、2024年3月期の当社グループの業績は以下のとおりです。
(単位:百万円)
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|
2024年3月期 第1四半期 |
2024年3月期 第2四半期 |
2024年3月期 第3四半期 |
2024年3月期 第4四半期 |
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売上高 |
16,849 |
18,013 |
23,716 |
20,846 |
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営業利益又は 営業損失(△) |
△1,248 |
△726 |
3,412 |
1,744 |
(5) 競合に関するリスク
生きのこについては、国内においては、数社の有力な競合先があります。当社グループの独自の新商品の投入・広告宣伝活動の強化により、当社グループが生産・販売するきのこの付加価値を高めることで、さらなるブランド力の強化と他社との差別化に取り組んでおります。しかしながら、競合他社による供給量増加、値引戦略、広告宣伝活動等によっては当社グループの優位性を確保できず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、海外事業においては、アジア系企業の競合先が存在します。当社グループは、ブランド力を活かした付加価値営業へのシフト・拡大にも取り組んでおりますが、供給量の増加に伴う単価の下落等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 安全性に関するリスク
食の安全・安心や健康面への効果効能に関する消費者の意識はもとより、生産及び製造工程における衛生面や使用原材料等についても消費者の関心は高まっております。当社グループは、これら生産、製造、販売において万全の管理体制で臨んでおりますが、衛生面や使用原材料等に予期せぬ問題が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 海外事業に関するリスク
当社グループは現在、米国、台湾及びマレーシアに現地法人を設置し、それぞれの工場において生産・出荷を行い、一部、輸出も行っていますが、現地の政治・経済情勢、法律・税制の問題、あるいはテロ等紛争や公衆衛生上の問題など予期せぬ事態が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 原材料価格の変動に関するリスク
きのこの主要生産材であるコーンコブミール等輸入調達している原材料、及びきのこの生産過程において使用する重油等については、様々な対策は行っているものの、為替等の影響で原材料価格の値上がりや、原油価格の高騰による燃料費の上昇や電力費・荷造包装費の上昇に繋がり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 人材の確保に関するリスク
今後の当社グループの成長を実現していくためには、優秀な人材の確保と育成が重要課題であると認識しております。しかしながら、人材の確保と育成が計画通り進捗しない場合や、採用の競争激化に伴う給与・福利厚生費等の上昇により経費が増加した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 新型コロナウイルス感染症に関するリスク
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が今後終息していくことが見込まれるものの、感染が再度拡大し、政府や自治体により外出自粛や営業制限、休養要請が実施される場合には、通常の業務遂行に支障をきたし、当社グループが供給する製品の供給に支障が出る可能性があります。そのため、拡散防止と感染予防への対策として、従業員の体調管理・確認の実施、マスクの着用やうがい、手洗い、アルコール消毒など、日常的な対策は引き続き実施しております。また、海外子会社(アメリカ、台湾、マレーシア)におきましても、以前と比較し、新型コロナウイルス感染症による影響は限定的となっておりますが、今後当該感染症の影響が再度大きくなった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウィルス感染症による行動制限が徐々に緩和され緩やかに経済活動が正常化したことに伴い、インバウンド需要が増加するなど景気は緩やかな回復基調にあります。一方、緊迫化する国際情勢に起因したエネルギー価格・原材料価格の高止まりに加え、国内において急激な円安による経済への悪影響や利上げによる物価高騰など、依然として先行きは不透明な状況が継続いたしました。
このような経済環境の中、「きのこで健康を届けることを使命に市場と消費を拡大する」及び「利益の創出と企業の社会的責任を両立する」を経営ビジョンとし、当社グループは消費者の皆様及び従業員の安全を最優先に考え、きのこ事業を中心として、健康食材である「きのこ」の研究開発、生産、販売を通してより多くの皆様へ、おいしさと健康をお届けできるよう事業活動を行ってまいりました。
当連結会計年度は、昨年より比較的温暖な気候が続きましたが、きのこの需要期である秋の高温・干ばつの影響で野菜は品薄品目が多く、野菜相場の高値基調が続く中、きのこの生産調整を行ったこともあり、きのこの価格も昨年を上回る価格で推移いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ13億91百万円減少し、1,035億5百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ52億60百万円減少し、486億80百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ38億68百万円増加し、548億24百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高794億26百万円(前期比8.8%増)、営業利益31億80百万円(前期営業損失29億48百万円)、経常利益47億15百万円(同経常損失18億54百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は35億25百万円(同親会社株主に帰属する当期純損失20億37百万円)となりました。
なお、当連結会計年度の生産量は、ブナピーを含めブナシメジ47,643t(前年同期比3.5%減)、エリンギ16,845t(同10.9%減)、マイタケ15,825t(同3.9%減)となりました。
当連結会計年度の各セグメントの概況は次のとおりであります。
「国内きのこ事業」
生産部門におきましては、原材料価格、エネルギーコスト、包装費等、製造原価が大幅に上昇する中、コスト削減に取り組むとともに、衛生管理をより徹底し、品質の向上と安定栽培に努め、安全・安心なきのこを提供してまいりました。
研究部門におきましては、品質管理体制の強化、付加価値の高い新製品の開発、既存のきのこの改良及びきのこの薬理効果や機能性の追求に取り組んでまいりました。
営業部門におきましては、きのこ需要を喚起すべく、健康・美容・スポーツを3本柱とした「きのこで菌活」を提唱し、鮮度に拘った営業活動を行ってまいりました。販売面におきましては、昨年より比較的温暖な気候が続きましたが、きのこの需要期である秋の高温・干ばつの影響で野菜は品薄品目が多く、野菜相場の高値基調が続く中、きのこの生産調整を行ったこともあり、きのこの価格も昨年を上回る価格で推移いたしました。また、2月の降雪の影響もあり野菜の収穫や輸送が滞り多くの品目で野菜の流通が減ったことにより、きのこの価格の安定に繋がりました。
以上の結果、国内きのこ事業全体の売上高は520億10百万円(前期比10.5%増)となりました。
「海外きのこ事業」
米国の現地法人「HOKTO KINOKO COMPANY」におきましては、販売が堅調に推移し、また値上げの効果もあり、売上高、営業利益ともに、計画を上回る結果となりました。台湾の現地法人「台灣北斗生技股份有限公司」におきましては、引き続き小売り各社での価格競争が激化しており、各顧客先での値上げが難しい等厳しい状況が続き、売上高、営業利益はともに若干ですが計画未達となりました。マレーシアの現地法人「HOKTO MALAYSIA SDN. BHD.」におきましては、2月に旧正月という1年で最大の需要期がありましたが、小売り全体、全てのカテゴリーにおいて販売が苦戦し、当社への発注量も大きなマイナスとなってしまいました。旧正月後はコロナが終息に向かっていることにより、小売りでの販売活動は制限がほぼなくなったことで、コロナ禍前の状態に戻り、マレーシアを中心に試食販売やもぎ取り販売等の提案販売を実施し売上増を図りました。しかしながら、売上高、営業利益ともに計画を下回ることとなりました。
以上の結果、海外きのこ事業全体の売上高は78億87百万円(同20.8%増)となりました。
「加工品事業」
加工品事業におきましては、水煮・冷凍等のきのこの加工品の販売を行うとともに、新商品の開発及び市場開拓に取り組んでまいりました。販売面では、特に青果向け市販用加工商品が好調な販売となりました。しかしながら、主力のコンビニエンスストア・NBメーカーの売上は、原料値上げやメニューの採用が減り、低調に推移いたしました。通販事業は、自社ECサイトを中心に売上は伸長いたしました。また、子会社の株式会社アーデンにおきましては、一部の得意先を除き受注が回復しつつあり、また自社製品営業部もオリジナル製品が順調に推移しましたが、売上高は計画を下回りました。しかしながら、営業利益については、電力費等のエネルギーコストが値上がりする中、経費削減に努めた結果、計画を上回りました。
以上の結果、加工品事業の売上高は74億98百万円(同5.7%減)となりました。
「化成品事業」
包装資材を主要事業とする第一営業部では、品質劣化をおさえる機能性包材や、リサイクル原料を利用した環境包材を中心とした付加価値製品の提案営業に取り組みました。食品ベンダー向けは、設備投資案件も取り込み比較的堅調に推移しましたが、半導体・自動車部品関連メーカー向け等、工業資材販売については回復が遅れました。
自社製品の生産・販売及び農業資材販売を中心とする第二営業部では、引き続き自社製品の品質向上と販売拡大に努めました。きのこ生産者向けの生産原料販売が引き続き堅調に推移した他、スポットの設備投資需要を取り込みました。
以上の結果、化成品事業の売上高は120億29百万円(同5.2%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ15億90百万円増加し、当連結会計年度末には136億38百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加した資金は83億75百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益50億17百万円、減価償却費61億80百万円及び為替差益12億26百万円の計上ならびに売上債権の増加16億28百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により増加した資金は10億46百万円となりました。これは主に、定期預金の純減28億5百万円及び有形固定資産の純増19億45百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により減少した資金は87億89百万円となりました。これは主に、社債の償還による支出97億17百万円によるものであります。
③ 生産・受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
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国内きのこ事業 |
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ブナシメジ (t) |
42,926 |
96.3 |
|
エリンギ (t) |
16,195 |
88.9 |
|
マイタケ (t) |
15,146 |
95.7 |
|
その他 (t) |
5,446 |
98.0 |
|
計 |
79,715 |
94.7 |
|
海外きのこ事業 |
|
|
|
ブナシメジ (t) |
4,717 |
98.7 |
|
エリンギ (t) |
649 |
94.9 |
|
マイタケ (t) |
679 |
107.8 |
|
計 |
6,046 |
99.2 |
|
化成品事業 |
|
|
|
P.Pビン (千本) |
1,916 |
117.0 |
|
コンテナ (千個) |
289 |
73.7 |
|
キャップ (千個) |
25 |
19.5 |
|
飲料用ボトル (千本) |
42,561 |
115.6 |
|
衛生消耗品用ボトル (千本) |
2,783 |
159.7 |
|
フィルム (千枚) |
19,754 |
74.8 |
|
加工品事業 |
|
|
|
レトルト食品 (t) |
12,640 |
92.2 |
(注)1.上記につきましては、金額換算が煩雑であるため数量で表示しております。
2.セグメント間取引については、生産実績に含めておりません。
(2)商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
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化成品事業 (百万円) |
10,055 |
103.0 |
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加工品事業 (百万円) |
121 |
59.1 |
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計(百万円) |
10,176 |
102.1 |
(3)受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は主として見込み生産を行っているため、受注実績を記載しておりません。
(4)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
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国内きのこ事業 (百万円) |
52,010 |
110.5 |
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海外きのこ事業 (百万円) |
7,887 |
120.8 |
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加工品事業 (百万円) |
7,498 |
94.3 |
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化成品事業 (百万円) |
12,029 |
105.2 |
|
計(百万円) |
79,426 |
108.8 |
(注)セグメント間取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、会計上の見積りについては、過去の実績、現在の状況、将来の見込み等を総合的に勘案して算出された合理的な金額によっております。
当社グループの連結財務諸表及び財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の1.連結財務諸表等「注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び2.財務諸表等「注記事項(重要な会計方針)」にそれぞれ記載し、会計上の見積りのうち重要なものは、第5「経理の状況」の1.連結財務諸表等「注記事項(重要な会計上の見積り)」及び2.財務諸表等「注記事項(重要な会計上の見積り)」にそれぞれ記載しております。
このような会計方針に基づいて作成された連結財務諸表及び財務諸表は、当社グループの経営実態を正しく反映したものであると考えております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は312億25百万円となり、前連結会計年度末より4億34百万円増加いたしました。固定資産は722億79百万円となり、前連結会計年度末より18億26百万円減少いたしました。これは主に、有形固定資産32億81百万円の減少及び投資その他の資産14億95百万円の増加によるものであります。
この結果、総資産は1,035億5百万円となり、前連結会計年度末より13億91百万円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は303億4百万円となり、前連結会計年度末より76億32百万円減少いたしました。これは主に、短期借入金49億95百万円の増加、ならびに1年内償還予定の新株予約権付社債97億19百万円及び1年内返済予定の長期借入金37億38百万円の減少によるものであります。固定負債は183億76百万円となり、前連結会計年度末より23億71百万円増加いたしました。これは主に、繰延税金負債12億31百万円及び長期借入金10億46百万円の増加によるものであります。
この結果、負債合計は486億80百万円となり、前連結会計年度末より52億60百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は548億24百万円となり、前連結会計年度末より38億68百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益35億25百万円を計上し配当金12億72百万円を支払ったことによる利益剰余金22億50百万円及びその他有価証券評価差額金13億22百万円の増加によるものであります。
この結果、自己資本比率は53.0%(前連結会計年度末は48.6%)となりました。
2)経営成績
(売上高)
主力の国内きのこ事業は、当連結会計年度は、昨年より比較的温暖な気候が続きましたが、きのこの需要期である秋の高温・干ばつの影響で野菜は品薄品目が多く、野菜相場の高値基調が続く中、きのこの生産調整を行ったこともあり、きのこの価格も昨年を上回る価格で推移いたしました。
以上の結果、国内きのこ事業全体の売上高は520億10百万円(前期比10.5%増)となりました。
アメリカの現地法人におきましては、販売が堅調に推移し、また値上げの効果もあり、売上高、営業利益ともに、計画を上回る結果となりました。台湾の現地法人におきましては、引き続き小売り各社での価格競争が激化しており、各顧客先での値上げが難しい等厳しい状況が続き、売上高、営業利益はともに若干ですが計画未達となりました。マレーシアの現地法人におきましては、2月に旧正月という1年で最大の需要期がありましたが、小売り全体、全てのカテゴリーにおいて販売が苦戦し、当社への発注量も大きなマイナスとなってしまいました。旧正月後はコロナが終息に向かっていることにより、小売りでの販売活動は制限がほぼなくなったことで、コロナ禍前の状態に戻り、マレーシアを中心に試食販売やもぎ取り販売等の提案販売を実施し売上増を図りました。しかしながら、売上高、営業利益ともに計画を下回ることとなりました。
以上の結果、海外きのこ事業全体の売上高は78億87百万円(同20.8%増)となりました。
加工品事業におきましては、水煮・冷凍等のきのこの加工品の販売を行うとともに、新商品の開発及び市場開拓に取り組んでまいりました。販売面では、特に青果向け市販用加工商品が好調な販売となりました。しかしながら、主力のコンビニエンスストア・NBメーカーの売上は、原料値上げやメニューの採用が減り、低調に推移いたしました。通販事業は、自社ECサイトを中心に売上は伸長いたしました。また、子会社の株式会社アーデンにおきましては、一部の得意先を除き受注が回復しつつあり、また自社製品営業部もオリジナル製品が順調に推移しましたが、売上高は計画を下回りました。しかしながら、営業利益については、電力費等のエネルギーコストが値上がりする中、経費削減に努めた結果、計画を上回りました。
以上の結果、加工品事業の売上高は74億98百万円(同5.7%減)となりました。
化成品事業におきましては、包装資材を主要事業とする第一営業部では、品質劣化をおさえる機能性包材や、リサイクル原料を利用した環境包材を中心とした付加価値製品の提案営業に取り組みました。食品ベンダー向けは、設備投資案件も取り込み比較的堅調に推移しましたが、半導体・自動車部品関連メーカー向け等、工業資材販売については回復が遅れました。
自社製品の生産・販売及び農業資材販売を中心とする第二営業部では、引き続き自社製品の品質向上と販売拡大に努めました。きのこ生産者向けの生産原料販売が引き続き堅調に推移した他、スポットの設備投資需要を取り込みました。
以上の結果、化成品事業の売上高は120億29百万円(同5.2%増)となりました。
上記の結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ64億46百万円増加し、794億26百万円(同8.8%増)となりました。
(売上総利益)
売上高の増加に加え、製造原価のうち生産原料費、電力費などが前期に比べ減少した結果、売上総利益は、前連結会計年度に比べ68億21百万円増加し、197億89百万円(前期比52.6%増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
広告宣伝費等、前年に比べ減少した費用もありましたが、値上げにより運送費が増加し、また、売上が増加した分販売手数料が増加した結果、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ6億92百万円増加し、166億8百万円(同4.3%増)となりました。
(営業利益)
上記の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ61億29百万円増加し、営業利益31億80百万円(前期営業損失29億48百万円)となりました。
(経常利益)
経常利益は、営業利益の大幅に増加したことに加え、円安により為替差益が発生したことなどにより、前連結会計年度に比べ65億70百万円増加し、経常利益47億15百万円(前期経常損失18億54百万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が大幅に増加したことに加え、苫小牧きのこセンター火災訴訟において和解が成立したことにより特別利益として受取和解金が2億99百万円発生したことなどにより、前連結会計年度に比べ55億62百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純利益は35億25百万円(前期親会社株主に帰属する当期純損失20億37百万円)となりました。
この結果、1株当たり当期純利益は111円19銭となりました。また、自己資本比率は53.0%となり、前連結会計年度に比べ4.4ポイント上昇いたしました。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
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2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
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自己資本比率(%) |
50.2 |
54.0 |
51.9 |
48.6 |
53.0 |
|
時価ベースの自己資本比率 (%) |
58.6 |
65.5 |
57.4 |
56.0 |
57.2 |
|
キャッシュ・フロー対 有利子負債比率(年) |
2.4 |
2.1 |
4.6 |
6.5 |
3.9 |
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インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍) |
123.7 |
137.9 |
77.9 |
50.6 |
66.9 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
4)資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、運転資金や設備投資に必要な資金は、自己資金のほか主として銀行借入や社債発行により調達しております。なお、当連結会計年度末現在、新たに確定した重要な設備投資はありませんが、成長に向けた投資は引き続き行ってまいります。
5)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすと思われる事項については、第2「事業の状況」の3.事業等のリスクに記載のとおりであります。
6)経営者の問題認識と今後の方針
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。
当社は、2024年3月19日開催の取締役会において、第三者割当による第2回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行を決議し、アドバンテッジアドバイザーズ株式会社との間で、当社グループの持続的な成長に向けて、業績向上実現のための事業提携契約を締結しております。事業提携契約の要旨は以下のとおりです。
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契約締結先 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
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アドバンテッジアドバイザーズ株式会社 |
2024年3月19日 |
国内営業の高度化、国内事業の原価低減施策、海外事業の戦略立案・実行、新規事業の戦略立案・実行、M&A、DX戦略立案・実行、中期経営計画の実行及びモニタリング、組織改革、人材採用・育成・リテンション、IRなどに関する支援等 |
2024年4月5日から下記のいずれか早く到来する日まで ①2029年4月5日 ②アドバンテッジアドバイザーズ株式会社がサービスを提供するファンドが本新株予約権付社債又はこれを転換又は行使して取得する当社株式のいずれも保有しないこととなる日 |
研究開発活動につきましては、当社「開発研究本部」におきまして、バイオテクノロジーを駆使した新品種の開
発、既存品種の改良、栽培技術の開発やきのこの健康機能性研究等、きのこ全般に関する研究活動につとめており
ます。
なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は
これまでの研究開発活動で得られた成果のうち、公表された成果は以下のとおりです。
特許登録関連
(国内)
発明の名称 椎茸栽培用容器
登録日 2023年11月21日
登録番号 7389872
(海外)
米国(植物特許)
ブナシメジ
発明の名称 HKHM25
登録日 2023年11月28日
登録番号 PP35,511
品種登録関連
(国内)
アラゲキクラゲ
登録品種の名称 HKAP2
登録日 2023年7月14日
登録番号 29757
マイタケ
登録品種の名称 HKGF10
登録日 2023年7月14日
登録番号 29805
エリンギ
登録品種の名称 HKPLE10
登録日 2024年3月26日
登録番号 30182
(海外)
韓国
エノキタケ
登録品種の名称 Veluty M-99
登録日 2023年10月30日
登録番号 9745
中国
エノキタケ
登録品種の名称 Veluty M-99
登録日 2023年12月29日
登録番号 CNA20191005960
学会発表
演題 ブナシメジ(Hypsizygus marmoreus)の分類学的再検討
発表日 2023年8月7日
学会 日本きのこ学会第26回大会
演題 2品種のシイタケ(Lentinula edodes)の子実体形成における各種糖質加水分解酵素の活性の推移と比較
発表日 2023年8月7日
学会 日本きのこ学会第26回大会
大阪公立大学との共同研究
演題 きのこの摂取がもたらす腸内の短鎖脂肪酸増加とIgA産生への影響:ランダム化プラセボ対照二重盲検
並行群間試験
発表日 2023年11月5日
学会 日本食物繊維学会第28回学術集会
演題 2品種のシイタケ(Lentinula edodes)の子実体形成における各種糖質加水分解酵素の活性の推移と比較
発表日 2023年11月18日
学会 第6回次世代生物研究会
大阪公立大学との共同研究
演題 エルゴチオネイン高含有きのこ摂取による肌質改善効果の検証:動物試験と臨床試験
発表日 2023年11月21日
学会 第4回エルゴチオネイン・セレノネイン研究会
金沢大学との共同研究