当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、健康食材である“きのこ”の研究、生産、販売を通じ、消費者の皆様、お取引先、地域社会、株主の皆様の信頼と期待に応え、社員を含めたホクトに関わるすべての人に満足していただける企業を目指すことを経営の基本方針としております。この基本方針に基づき、健康で豊かな食文化の創造を目指し、全てのステークホルダーのニーズにお応えできるような良質なきのこの研究開発、生産、販売を展開してまいりました。また、当社は株主の皆様にとっての企業価値向上を最重要課題のひとつと位置づけており、当社の株式が投資家の皆様にとって魅力のあるものにする必要があると考えております。今後もより安全で安心して食べていただける健康食材としてのきのこの研究、生産、販売に積極的に取り組み、持続的な成長と安定的な企業価値向上に繋がる事業展開を推進してまいります。また、ビタミンD、オルニチン、エルゴチオネイン、葉酸など、きのこに含まれる栄養素の強調表示も含め、開発研究部門と連携して健康志向への取組みをさらに強化してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び会社の対処すべき課題
当社グループを取り巻く経営環境は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要などにより、緩やかな回復基調にありますが、アメリカの関税政策による世界的な景気後退懸念、中東地域における紛争の長期化、円安や物価高の影響など、不透明な状況が続くものと想定されます。
当社グループは、2025年5月に2025年度からの5カ年中期経営計画を新しく発表いたしました。「きのこで健康を届けることを使命に市場と消費を拡大する」及び「利益の創出と企業の社会的責任を両立する」という経営ビジョンのもと、お客様に安全・安心なより良いきのこを提供し、収益の向上に努めてまいります。
各部門の今後の取り組みは以下の通りです。
国内きのこ事業の生産部門におきましては、引き続ききのこの品質向上と安定栽培に努め、安全・安心かつ利便性の高いより良いきのこを生産してまいります。また、生産オペレーションの効率化に加え、調達原料・資材コストの最適化にも取り組むことで、営業利益率の向上を目指してまいります。
営業部門におきましては、鮮度重視の営業に注力するとともに、エリアとアイテムの2軸できめ細かな営業・マーケティング戦略を立案・遂行することで、売上成長と収益性向上を同時に実現してまいります。また、きのこの健康成分の訴求活動による拡販、SNSを活用した認知向上、量販店舗でのプロモーションなどにより、高付加価値商品の成長を加速させてまいります。
開発研究部門におきましては、生産性の高い栽培技術の開発、新たな品種開発や品種改良、きのこの薬理効果や機能性の研究に引き続き注力するとともに、きのこ以外の新商品の開発にも取り組んでまいります。
海外きのこ事業におきましては、それぞれの進出エリアにおいて、個別の戦略を強化してまいります。米国の現地法人「HOKTO KINOKO COMPANY」では、マーケティング活動の強化と工場生産の最適化により、販売量の維持・拡大と収益性の向上を両立させるとともに、成長機会を捉えた積極的な投資を実現してまいります。台湾の現地法人「台灣北斗生技股份有限公司」は、市場リーダーとして高い収益性を維持しておりますが、高付加価値商品の販売やOEM商品内製化による更なる収益性の向上を目指してまいります。マレーシアの現地法人「HOKTO MALAYSIA SDN. BHD.」では、原価削減の取組みを継続するとともに、営業体制強化による工場稼働率の向上に注力し、早期の黒字化を目指してまいります。
加工品事業におきましては、業務用・市販用加工品の販売を促進するとともに、魅力ある新商品開発を通じて事業を拡大してまいります。加えて、レトルト食品製造子会社アーデンの収益性強化を図り、合わせて隣接きのこ領域での新規事業開発にも取り組んでまいります。
化成品事業におきましては、取引先の課題解決を通じて新たな需要を取り込みつつ、高品質で安定した製造体制を訴求して売上の拡大に努めてまいります。また、価格の見直しや仕入れ管理の強化により、利益率の改善を目指してまいります。
当社グループ全体としましては、各事業で目標を実現していくため、組織再編・人材採用・DXを伴う全社的な経営基盤の強化に取り組んでまいります。また、エネルギーマネジメントや循環型社会の実現への活動を推進することで、脱炭素を着実に進めてまいります。
当社グループは、コーポレートメッセージ「しあわせ栽培」の旗のもと、だれもがより健やかに笑顔で毎日を送れるように、健康という「しあわせ」の胞子を飛ばし、「しあわせ」を栽培しつづけることをお約束いたします。
(3)目標とする経営指標
当社グループは、安定的な増収・増益を基本目標とし、より高い収益性を確保する観点から、「売上高」、「営業利益」を最も重要な指標と位置づけ、目標の達成に努めてまいります。
(1)サステナビリティ全般に関する取組
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①ガバナンス
ホクトグループは、私たちの目指す「未来を笑顔に」を実現するためには、SDGsが掲げる持続可能な開発目標の達成が不可欠と捉え、中期経営計画の活動を通し、当社グループの総力を持って取り組んでおります。その活動の中核に「リスク管理委員会」を据え、取締役会と連携しながら、ガバナンス体制の構築を進めております。このリスク管理委員会の委員長は代表取締役社長が務めております。
a.サステナビリティ関連のリスク及び機会を評価・管理する上での経営者の役割
サステナビリティに関わる基本方針や重要事項は、代表取締役社長を議長とするリスク管理委員会において審議、決定されております。また、リスク管理委員会に報告・提案されたサステナビリティに関連するリスク及び機会の影響と対応について審議を行い、評価します。
b.取締役会による管理体制と経営者の役割
リスク管理委員会はサステナビリティ確立に向けた課題を議論したうえ、定期的に(年に1回以上)取締役会にその活動を報告することで、取締役会の監督が適切に図られる体制としております。また、気候関連問題に対する最高責任者である代表取締役社長は、リスク管理委員会の活動報告を取締役会に報告し、気候変動に係る課題の達成状況の管理を統括しております。
②戦略
当社は、サステナビリティに関する取組が事業にとって重要な課題であると認識し、リスク及び機会を短期から長期の視点で特定し、その影響を評価しております。
当社は2021年11月に「SDGsへの取り組みについて」を発表しており、2025年2月に「ホクト サステナビリティ目標」として目標を更新しました。その中のマテリアリティ(重要課題)の1つとして、前回同様に気候変動・環境汚染防止への取組として「ホクトと環境」を掲げております。その重点活動である「気候変動への対応」と「資源の有効活用・循環(持続可能な調達)」を2本の柱としてサステナビリティの重要性を認識し、当社グループで取り組んでおります。「ホクト サステナビリティ目標」は、各事業部門から選抜したメンバーによるプロジェクトチームで検討し、リスク管理委員会、取締役会への報告、承認を経て策定いたしました。
③リスク管理
当社は、サステナビリティに関連するリスク及び機会を適切に識別・評価し管理することが重要であると認識し、サステナビリティに関連するリスクのような中長期で顕在化しうるリスクも適切にマネジメントすることで、企業価値の持続的な向上を図ります。
当社では、当社製品の特性及び収益構造の観点から、気候変動、気候要因の問題は予てから経営課題として重要視しております。国内で販売されている野菜の多くは露地栽培されており、その作柄は天候に影響を受け、きのこ価格は少なからずその野菜相場の影響を受ける状況にあるため、気候の変動が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、最需要期である秋から冬にかけて、暖冬等の気候要因によりきのこの需要が伸び悩んだ場合も当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。こうした当社グループの経営成績に影響を与える諸要因を総合的に検討・分析し、リスクを低減する仕組みの構築に努めております。その一環として、「ホクト サステナビリティ目標」の重点活動のひとつである「気候変動への対応」についてのモニタリングを通してリスク及び機会を管理しております。
また、気候変動に関連するリスクに加え、当社ではそれに伴う機会にも注目しています。温暖化の進行により健康管理への関心が高まる中、当社が提唱する「菌活」など、きのこの健康価値がより広く認識される可能性があります。きのこは免疫力の維持や腸内環境の改善に有効とされており、健康志向の高まりとともに、当社製品の需要拡大や収益機会の創出が期待されます。当社ではこうした機会を捉え、製品開発や情報発信を通じて企業価値の向上を図ってまいります。
④指標と目標
「ホクト サステナビリティ目標」における重要課題のひとつである気候関連リスクについて、リスク及び機会を管理するための指標として、温室効果ガスの排出量のモニタリングをしております。今後、中長期的な温室効果ガス排出量削減目標を設定し、目標達成に向けて取り組んでまいります。
(参考)生産量1t当たりの温室効果ガス算定排出量の推移(資源エネルギー庁提出 省エネ法定期報告書より)
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第57期 2020年3月期 |
第58期 2021年3月期 |
第59期 2022年3月期 |
第60期 2023年3月期 |
第61期 2024年3月期 |
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調整後温室効果ガス算定排出量(t-CO2) |
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生産量(t) |
75,383 |
77,616 |
79,895 |
83,913 |
79,619 |
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生産量1t当たりの調整後温室効果ガス算定排出量(t-CO2/t) |
2.172 |
2.006 |
1.958 |
1.782 |
2.019 |
※温室効果ガス算定排出量は、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」に基づき、資源エネルギー庁へ提出する定期報告書に準拠して算出。
算定方法は、使用エネルギー量(燃料、電気、熱)を原油換算し、排出係数を乗じてCO₂換算排出量を算出。
生産量1t当たりの排出量は、総排出量を当該年度の生産量(t)で除して算出。
排出係数は、環境省「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」に基づく最新の係数を使用。
また、「ホクト サステナビリティ目標」の「資源の有効活用・循環(持続可能な調達)」として、プラスチック使用量の削減・再利用、有効資源の再利用の取り組みを推進することで、循環型社会の実現を通じて持続可能な未来をつくる活動を推進することを目標に掲げております。なお、当該目標に関する具体的な数値目標については、今後の取り組みの進捗を踏まえて設定する予定です。
当期の実績に関しては、プラスチック使用量の削減・再利用については、導入準備中または試験運用中であるため、明確な実績数値は算出できておりません。また、有効資源の再利用についても、当期より関連設備の稼働を開始したばかりであり、本年度における実績はございません。
(2)人的資本に関する取組
当社グループでは、中長期的な企業価値向上を目指し、「人」に対する投資を積極的に行い、その資本的価値を最大限に引き出してまいります。また、SDGsへの取り組みなどを通じ社員の幸せに繋がる職場の実現に向け、安全かつ潤いのある職場環境づくりを通し、働き甲斐のある会社の実現を目指してまいります。
当社グループにおける人的資本の取組は、下記戦略マップに基づき、各重点課題をフェーズごとに分け中長期的に行います。フェーズ1を「リスクマネジメント領域」とし、DE&I、健康経営(安全、Well-Being)、コンプライアンス・労務慣行・報酬・処遇・福利厚生といった企業価値向上の土台となる施策について充実させてまいります。続けてフェーズ2を「企業価値接続領域」とし、特にエンゲージメントに注目し、社員のやりがいと会社業績・生産性向上に繋がる取組を実施してまいります。最終フェーズ3は「企業価値向上領域」とし、社員のやりがいをベースとし、自身の成長=会社の成長となる環境・仕組みづくりに努め、会社事業の成長を目指してまいります。
そのような方針の中で、人的資本に関する取組における主要な課題を「女性活躍推進」「働きやすい職場づくりの推進」「健康経営の推進」としております。
女性活躍推進DE&Iの取組に関しましては、管理職を中心としたアンコンシャスバイアスに関する研修に続き、その範囲を広げたE-ラーニングを中心とした啓発教育を実施します。実践的な活動をさらに進めるため、女性管理職登用に向けたロードマップの作成を行います。
働きやすい環境づくりの推進においては、働きやすさと働きがいを接続するため、自律的なキャリアオーナーシップの醸成や従業員の声を経営に活かす仕組の構築を行い、個人と組織両面の持続的成長の好循環を図ります。
健康経営の推進においては、適切な情報の展開、各種数値指標の把握の仕組みが整ってまいりました。指標の分析結果に基づいた具体的な施策を実施してまいります。
それぞれの課題においては、後述のとおり戦略および指標・目標を定めております。
注力する課題以外におきましても、社内人事制度の再検討、社内情報共有の円滑化によるエンゲージメント向上の取組、職位ごとに求められる役割を明確にし、いきいきと働くことのできる環境・マインド向上の醸成を図ってまいります。
「人的資本に関する取組 戦略マップ」
「人的資本に関する取組における主要な課題」
① 女性活躍推進
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戦略 |
人材の育成に 関する方針 |
女性が活躍するために妨げとなる無意識の考え方を自覚し、社員(特に幹部以上)が、納得感、当事者意識を持って女性活躍を推進している状態を目指します。また、女性従業員自身が自身の抱えるバックグラウンドとの両立に対して、適切な自信を持っている状態を目指し、様々な経験を積むことができる機会を創出します。合わせて、女性活躍推進を通じ多様性を認めるDE&Iの風土が醸成され、社員一人ひとりがそれを意識できている状態を目指します |
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社内環境整備に 関する方針 |
女性のキャリア形成に向け、性差による障害がなく女性ならではの取組を試行できる環境づくりに努めます。また、女性活躍ロードマップを作成し、キャリア形成支援策や育成施策の拡充、管理職候補の計画的な選抜と育成、職場風土改善に努めます |
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指標・目標 |
≪数値指標及び目標≫ ・ ・ (実績(当事業年度):係長職 ・ (実績(当事業年度): ≪行動目標≫ ・女性活躍ロードマップの作成 ・女性活躍についての係長向け研修の実施 ・女性向けキャリア研修の継続 ・全社員向けキャリアアンケートを実施し、キャリアアップを希望する女性社員の比率の測定 |
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② 働きやすい職場づくりの推進
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戦略 |
人材の育成に 関する方針 |
業績の向上に向け、従業員一人ひとりが、人格・個性・多様性等を相互に尊重し認め合い、いきいきと働きやすい職場環境の中で協力し、一丸となっている状態を目指します |
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社内環境整備に 関する方針 |
一人ひとりの社員が能力を最大限に発揮できる組織づくりを目指し、ワークライフバランスの配慮をはじめ、心理的安全性を持って活躍できるための基本的な職場環境の整備を進めます。また、社員自身が自律的なキャリア形成を図る意識を醸成する環境や、現場の声を経営層に届ける仕組みの構築してまいります。これにより、社員の仕事への意欲や挑戦心を喚起し、個人の成長と組織の持続的成長の好循環を図ってまいります |
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指標・目標 |
≪数値指標及び目標≫ ・ (実績(当事業年度): ・ (実績(当事業年度): ・ (実績(当事業年度):男性80.0%・女性121.4%) ・ (実績(当事業年度): ・ (実績(当事業年度): ・ (実績(当事業年度): ≪行動目標≫ ・エンゲージメント調査/コンディションチェック ・有休取得率/時間外労働/育休取得率のモニタリング ・DX推進による業務負荷の軽減・効率化 ・柔軟な働き方の導入検討及び試行 ・育児休暇取得者のフォロー体制の確立 ・情報共有の推進 ・現場の声を吸い上げる仕組みの構築 ・退職者情報の収集 |
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③ 健康経営の推進
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戦略 |
人材の育成に 関する方針 |
従業員やその家族が健康であることは、企業価値、企業の業績向上のために不可欠であり、全従業員が活力ややりがいをもって働ける環境づくりが重要であると認識している状態を目指します |
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社内環境整備に 関する方針 |
従業員自身が自身の健康状態を把握できる機会を通じて、長期離脱の防止及びQOLの向上を図るための施策実施を推進します |
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指標・目標 |
≪数値指標及び目標≫ ・ ・ ・ ・ (実績(当該事業年度) ・ ≪行動目標≫ ・健康をテーマにしたセミナーの定期開催による情報提供 ・健康診断データの収集及び分析 ・分析結果に基づく具体的な施策の検討と実施 ・アンケートによる喫煙・飲酒・睡眠・食事などの生活実態把握 ・二次健診及び特定保健指導の受診勧奨強化 |
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なお、当社グループでは、上記に記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標について、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組が行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難なものを含みます。また、連結グループにおいては、人員数や業績に占める提出会社の割合が特に大きく、連結グループにおける主要な事業を営むのは提出会社のみと認識しているため、上記の指標に関する目標及び実績は、提出会社のものを記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 自然災害、事故等に関するリスク
当社グループのきのこは全て栽培管理設備の整った工場内で生産しており、衛生管理を徹底し、安定栽培と品質の向上に努めておりますが、地震等の自然災害、その他突発的な事故や異変が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 社会・経済情勢の変動に関するリスク
当社グループは日本国内を主たる事業基盤としていることから、国内の景気等の経済状態による消費動向や人口動態の変化等に起因する需要減退等により市場が縮小した場合には、販売量あるいは単価の下落を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 気候変動に関するリスク
国内で販売されている野菜の多くは露地栽培されており、その作柄は天候等の影響を受け、きのこ価格は少なからずその野菜相場の影響を受ける状況にあるため、気候の変動が当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
特に、最需要期である秋から冬にかけて、暖冬等の気候要因により当社グループのきのこの需要が伸び悩んだ場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 業績の季節変動に関するリスク
当社グループの商品は、きのこという商材としての特性から、例年春から夏にかけては需要が低調に推移し単価は安く、秋から冬にかけては需要が拡大することから単価も上昇するという傾向が顕著です。したがって、当社グループの売上高及び営業利益は、需要拡大期にあたる第3四半期及び第4四半期に増加する傾向があります。そのため、特定の四半期業績のみによって通期の業績見通しを判断することは困難であります。
なお、2025年3月期の当社グループの業績は以下のとおりです。
(単位:百万円)
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2025年3月期 第1四半期 |
2025年3月期 第2四半期 |
2025年3月期 第3四半期 |
2025年3月期 第4四半期 |
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売上高 |
17,825 |
18,173 |
25,606 |
21,499 |
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営業利益又は 営業損失(△) |
3 |
△285 |
4,334 |
2,575 |
(5) 競合に関するリスク
生きのこについては、国内においては、数社の有力な競合先があります。当社グループの独自の新商品の投入・広告宣伝活動の強化により、当社グループが生産・販売するきのこの付加価値を高めることで、さらなるブランド力の強化と他社との差別化に取り組んでおります。しかしながら、競合他社による供給量増加、値引戦略、広告宣伝活動等によっては当社グループの優位性を確保できず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、海外事業においては、アジア系企業の競合先が存在します。当社グループは、ブランド力を活かした付加価値営業へのシフト・拡大にも取り組んでおりますが、供給量の増加に伴う単価の下落等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 安全性に関するリスク
食の安全・安心や健康面への効果効能に関する消費者の意識はもとより、生産及び製造工程における衛生面や使用原材料等についても消費者の関心は高まっております。当社グループは、これら生産、製造、販売において万全の管理体制で臨んでおりますが、衛生面や使用原材料等に予期せぬ問題が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 海外事業に関するリスク
当社グループは現在、米国、台湾及びマレーシアに現地法人を設置し、それぞれの工場において生産・出荷を行い、一部、輸出も行っていますが、現地の政治・経済情勢、法律・税制の問題、あるいはテロ等紛争や公衆衛生上の問題など予期せぬ事態が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 原材料価格の変動に関するリスク
きのこの主要生産材であるコーンコブミール等輸入調達している原材料、及びきのこの生産過程において使用する重油等については、様々な対策は行っているものの、為替等の影響で原材料価格の値上がりや、原油価格の高騰による燃料費の上昇や電力費・荷造包装費の上昇に繋がり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 人材の確保に関するリスク
今後の当社グループの成長を実現していくためには、優秀な人材の確保と育成が重要課題であると認識しております。しかしながら、人材の確保と育成が計画通り進捗しない場合や、採用の競争激化に伴う給与・福利厚生費等の上昇により経費が増加した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) パンデミック型感染症に関するリスク
パンデミック型感染症の感染が拡大し、政府や自治体により外出自粛や営業制限、休養要請が実施される場合には、通常の業務遂行に支障をきたし、当社グループが供給する製品の供給に支障が出る可能性があります。そのため、拡散防止と感染予防への対策として、従業員の体調管理・確認の実施、マスクの着用やうがい、手洗い、アルコール消毒など、日常的な対策は引き続き実施しております。また、海外子会社(アメリカ、台湾、マレーシア)におきましても、パンデミック型感染症の影響が大きくなった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善、インバウンド需要、企業の設備投資の増加などにより、景気は緩やかな回復基調を維持しましたが、一方、継続する物価上昇や米国の関税政策による影響の懸念などもあり、先行きは不透明な状況にあります。
このような経済環境の中、当社グループは、「きのこで健康を届けることを使命に市場と消費を拡大する」「利益の創出と企業の社会的責任を両立する」という経営ビジョンの下、健康食材である「きのこ」を事業の中心に据え、その研究開発、生産、販売を通してより多くの皆様へおいしさと健康をお届けできるよう事業活動を行ってまいりました。
当連結会計年度は、少雨と寒さの影響などにより、全般的に平年より多くの野菜が供給不足の状況となり野菜相場が高い水準で推移した結果、きのこの価格も堅調な動きとなりました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ41億15百万円増加し、1,076億20百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ21億31百万円増加し、508億11百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ19億83百万円増加し、568億8百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高831億4百万円(前期比4.6%増)、営業利益66億28百万円(同108.4%増)、経常利益69億53百万円(同47.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は44億41百万円(同26.0%増)となりました。
なお、当連結会計年度の主要きのこの生産量(連結ベース)は、ブナピーを含めブナシメジ46,728t(前期比1.9%減)、エリンギ16,682t(同1.0%減)、マイタケ15,592t(同1.5%減)となりました。
当連結会計年度の各セグメントの概況は次のとおりであります。
「国内きのこ事業」
生産部門におきましては、原材料価格、電力費、荷造包装費、人件費などの製造原価が大幅に上昇する中、コスト削減に取り組むとともに、衛生管理をより徹底し、品質の向上と安定栽培に努め、安全・安心なきのこを生産してまいりました。
開発研究部門におきましては、商品品質の向上、付加価値の高い新商品や新品種の開発、及びきのこの薬理効果や機能性の追求に取り組んでまいりました。
営業部門におきましては、きのこ需要を喚起すべく、健康・美容・スポーツを3本柱とした「きのこで菌活」を提唱し、鮮度に拘った営業活動を行ってまいりました。販売面では、異常気象と高温による生育不良により、多くの野菜が供給不足となり長期にわたり野菜相場の高騰が続いた結果、きのこの価格も堅調な動きとなりました。
なお、昨年10月に発生しました上田第一きのこセンターの火災により、ブナシメジの国内生産量・販売量が減少しております。
以上の結果、国内きのこ事業全体の売上高は551億円(前期比5.9%増)、セグメント利益は69億94百万円(同78.8%増)となりました。
「海外きのこ事業」
米国の現地法人「HOKTO KINOKO COMPANY」におきましては、全ての顧客を対象に実施した値上げの影響を受けた受注減もあり、売上高・営業利益は計画未達となりましたが、利益率の高い新規顧客開拓に着実に取り組んだ結果、昨年実績対比では大幅な営業利益の改善を実現しております。台湾の現地法人「台灣北斗生技股份有限公司」におきましては、冬場と旧正月の需要期に寒波が到来したことで、需要が拡大し高い販売単価を維持した結果、増収増益となりました。マレーシアの現地法人「HOKTO MALAYSIA SDN. BHD.」におきましては、一部の期間を除き、年間を通して売上が低調に推移した結果、売上高、営業利益は昨年に比べ改善したものの、計画比ではともに未達となりました。
以上の結果、海外きのこ事業全体の売上高は77億11百万円(同2.2%減)、セグメント利益は11億56百万円(同34.9%増)となりました。
「加工品事業」
加工品事業におきましては、きのこ加工品(水煮・冷凍)の販売とともに、新商品の開発、市場開拓に取り組んでまいりました。外食部門とデリカ・中食向け商品が好調だったほか、コンビニエンスストアできのこ定番メニューが採用となり、販売量が伸長いたしました。通信販売では、健康食品とレトルト食品は苦戦しましたが、乾燥きのこの販売が好調に推移いたしました。また、子会社の株式会社アーデンにおきましては、得意先各社からの受注量に濃淡がありましたが、売上高・営業利益ともにほぼ計画通りとなりました。
以上の結果、加工品事業の売上高は81億58百万円(同8.8%増)、セグメント利益は3億74百万円(同27.3%増)となりました。
「化成品事業」
包装資材分野におきましては、環境意識が高まる中、リサイクル製品・バイオマス製品などの環境包材や、食品ロス削減に繋がる機能性容器包装などの提案営業に取り組みました。工業資材分野におきましては、半導体・自動車関連部品メーカー向け販売など一部に回復の動きが見られたものの、全体としては一進一退の状況が続きました。農業資材分野におきましては、きのこ生産者向けの栽培原料販売は順調に推移しましたが、機械設備の販売は苦戦いたしました。また、自社製品の製造・販売に重点的に取り組み、順調に推移しております。
以上の結果、化成品事業の売上高は121億34百万円(同0.9%増)、セグメント利益は3億37百万円(同68.9%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ14億31百万円増加し、当連結会計年度末には150億69百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加した資金は122億22百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益60億31百万円及び減価償却費55億63百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は90億12百万円となりました。これは主に、有価証券の純増49億94百万円、定期預金の純増20億26百万円及び有形固定資産の取得による支出16億55百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により減少した資金は17億21百万円となりました。これは主に、社債の発行による収入100億19百万円、短期借入金の返済による支出60億円及び長期借入金の返済による支出51億68百万円によるものであります。
③ 生産・受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
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国内きのこ事業 |
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ブナシメジ (t) |
42,046 |
98.0 |
|
エリンギ (t) |
16,048 |
99.1 |
|
マイタケ (t) |
15,019 |
99.2 |
|
その他 (t) |
5,490 |
100.8 |
|
計 |
78,605 |
98.60 |
|
海外きのこ事業 |
|
|
|
ブナシメジ (t) |
4,681 |
99.2 |
|
エリンギ (t) |
633 |
97.6 |
|
マイタケ (t) |
572 |
84.3 |
|
計 |
5,887 |
97.4 |
|
化成品事業 |
|
|
|
P.Pビン (千本) |
1,062 |
55.4 |
|
コンテナ (千個) |
267 |
92.7 |
|
キャップ (千個) |
16 |
64.0 |
|
飲料用ボトル (千本) |
45,008 |
105.8 |
|
衛生消耗品用ボトル (千本) |
5,218 |
187.5 |
|
フィルム (千枚) |
21,152 |
107.1 |
|
加工品事業 |
|
|
|
レトルト食品 (t) |
12,179 |
96.4 |
(注)1.上記につきましては、金額換算が煩雑であるため数量で表示しております。
2.セグメント間取引については、生産実績に含めておりません。
(2)商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
化成品事業 (百万円) |
10,075 |
100.2 |
|
加工品事業 (百万円) |
202 |
167.3 |
|
計(百万円) |
10,278 |
101.0 |
(3)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 |
受注残高 |
|
加工品事業 (百万円) |
5,026 |
320 |
|
化成品事業 (百万円) |
1,208 |
88 |
国内きのこ事業及び海外きのこ事業は主として見込生産を行っているため、受注実績を記載しておりません。
(4)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
国内きのこ事業 (百万円) |
55,100 |
105.9 |
|
海外きのこ事業 (百万円) |
7,711 |
97.8 |
|
加工品事業 (百万円) |
8,158 |
108.8 |
|
化成品事業 (百万円) |
12,134 |
100.9 |
|
計(百万円) |
83,104 |
104.6 |
(注)セグメント間取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、会計上の見積りについては、過去の実績、現在の状況、将来の見込み等を総合的に勘案して算出された合理的な金額によっております。
当社グループの連結財務諸表及び財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の1.連結財務諸表等「注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び2.財務諸表等「注記事項(重要な会計方針)」にそれぞれ記載し、会計上の見積りのうち重要なものは、第5「経理の状況」の1.連結財務諸表等「注記事項(重要な会計上の見積り)」及び2.財務諸表等「注記事項(重要な会計上の見積り)」にそれぞれ記載しております。
このような会計方針に基づいて作成された連結財務諸表及び財務諸表は、当社グループの経営実態を正しく反映したものであると考えております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は386億21百万円となり、前連結会計年度末より73億95百万円増加いたしました。これは主に、有価証券69億89百万円の増加によるものであります。固定資産は689億98百万円となり、前連結会計年度末より32億80百万円減少いたしました。これは主に、減価償却の進行等に伴う有形固定資産38億94百万円の減少によるものであります。
この結果、総資産は1,076億20百万円となり、前連結会計年度末より41億15百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は248億23百万円となり、前連結会計年度末より54億80百万円減少いたしました。これは主に、短期借入金49億86百万円の減少によるものであります。固定負債は259億88百万円となり、前連結会計年度末より76億11百万円増加いたしました。これは主に、新株予約権付社債100億15百万円の発行及び長期借入金24億46百万円の減少によるものであります。
この結果、負債合計は508億11百万円となり、前連結会計年度末より21億31百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は568億8百万円となり、前連結会計年度末より19億83百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益44億41百万円を計上し配当金15億90百万円を支払ったことによる利益剰余金28億50百万円の増加によるものであります。
この結果、自己資本比率は52.8%(前連結会計年度末は53.0%)となりました。
2)経営成績
(売上高)
主力の国内きのこ事業は、異常気象と高温による生育不良により、多くの野菜が供給不足となり長期にわたり野菜相場の高騰が続いた結果、きのこの価格も堅調な動きとなりました。なお、昨年10月に発生しました上田第一きのこセンターの火災により、ブナシメジの国内生産量・販売量が減少しております。
以上の結果、国内きのこ事業全体の売上高は551億(前期比5.9%増)となりました。
アメリカの現地法人におきましては、全ての顧客を対象に実施した値上げの影響を受けた受注減もあり、売上高・営業利益は計画未達となりましたが、利益率の高い新規顧客開拓に着実に取り組んだ結果、昨年実績対比では大幅な営業利益の改善を実現いたしました。台湾の現地法人におきましては、冬場と旧正月の需要期に寒波が到来したことで、需要が拡大し高い販売単価を維持した結果、増収増益となりました。マレーシアの現地法人におきましては、一部の期間を除き、年間を通して売上が低調に推移した結果、売上高、営業利益は昨年に比べ改善したものの、計画比ではともに未達となりました。
以上の結果、海外きのこ事業全体の売上高は77億11百万円(同2.2%減)となりました。
加工品事業におきましては、水煮・冷凍等のきのこの加工品の販売を行うとともに、新商品の開発及び市場開拓に取り組んでまいりました。外食部門とデリカ・中食向け商品が好調だったほか、コンビニエンスストアできのこ定番メニューが採用となり、販売量が伸長いたしました。通信販売では、健康食品とレトルト食品は苦戦しましたが、乾燥きのこの販売が好調に推移いたしました。得意先各社からの受注量に濃淡がありましたが、売上高・営業利益ともにほぼ計画通りとなりました。
以上の結果、加工品事業の売上高は81億58百万円(同8.8%増)となりました。
化成品事業における包装資材分野におきましては、環境意識が高まる中、リサイクル製品・バイオマス製品などの環境包材や、食品ロス削減に繋がる機能性容器包装などの提案営業に取り組みました。工業資材分野におきましては、半導体・自動車関連部品メーカー向け販売など一部に回復の動きが見られたものの、全体としては一進一退の状況が続きました。農業資材分野におきましては、きのこ生産者向けの栽培原料販売は順調に推移しましたが、機械設備の販売は苦戦いたしました。また、自社製品の製造・販売に重点的に取り組み、順調に推移いたしました。
以上の結果、化成品事業の売上高は121億34百万円(同0.9%増)となりました。
上記の結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ36億78百万円増加し、831億4百万円(同4.6
%増)となりました。
(売上総利益)
売上高の増加に加え、製造原価のうち労務費は伸びましたが、生産原料費、減価償却費、電力費などが前期に比べ減少した結果、売上総利益は、前連結会計年度に比べ39億71百万円増加し、237億60百万円(同20.1%増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
売上が増加した分販売手数料が増加し、また値上げにより運送費が増加した結果、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ5億23百万円増加し、171億32百万円(同3.2%増)となりました。
(営業利益)
上記の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ34億47百万円増加し、66億28百万円(同108.4%増)となりました。
(経常利益)
経常利益は、円高により為替差損が発生しましたが、前連結会計年度に比べ22億37百万円増加し、69億53百万円(同47.5%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が大幅に増加したことに加え、上田第一きのこセンターの火災によりまして特別損失に火災損失7億25百万円が発生したことなどにより、前連結会計年度に比べ9億15百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純利益は44億41百万円(同26.0%増)となりました。
この結果、1株当たり当期純利益は140円63銭となりました。また、自己資本比率は52.8%となり、前連結会計年度に比べ0.2ポイント減少いたしました。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
|
|
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
2025年3月 |
|
自己資本比率(%) |
54.0 |
51.9 |
48.6 |
53.0 |
52.8 |
|
時価ベースの自己資本比率 (%) |
65.5 |
57.4 |
56.0 |
57.2 |
54.2 |
|
キャッシュ・フロー対 有利子負債比率(年) |
2.1 |
4.6 |
6.5 |
3.9 |
1.9 |
|
インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍) |
137.9 |
77.9 |
50.6 |
66.9 |
105.7 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
4)資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、運転資金や設備投資に必要な資金は、自己資金のほか主として銀行借入や社債発行により調達しております。なお、当連結会計年度末現在、新たに確定した重要な設備投資はありませんが、成長に向けた投資は引き続き行ってまいります。
5)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすと思われる事項については、第2「事業の状況」の3.事業等のリスクに記載のとおりであります。
6)経営者の問題認識と今後の方針
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。
(社債に付される財務上の特約)
当社は、以下のとおり、財務上の特約が付された第2回無担保転換社債型新株予約権付社債を発行いたしました。
①社債の発行日
2024年4月5日
②社債の期末残高
10,015百万円
③償還期限
2029年4月5日
④担保・保証の内容
本新株予約権付社債には担保及び保証は付されておらず、また本新株予約権付社債のために特に留保されている資産はありません。
⑤特約の内容
当社の2024年3月期以降の連結の通期の損益計算書に記載される営業損益が2期連続して損失となった場合、又は、当社の2024年3月期以降の各連結会計年度末日における連結の貸借対照表に記載される純資産合計の額が、直前の連結会計年度末日における連結の貸借対照表に記載される純資産合計の額の75%を下回った場合には、当該事由が生じた日以降、社債権者はその選択により、当社に対して、償還すべき日の10銀行営業日以上前に事前通知を行った上で、当該繰上償還日に、その保有する本新株予約権付社債の全部又は一部を繰上償還することを、当社に対して請求する権利を有する。
研究開発活動につきましては、当社「開発研究本部」におきまして、バイオテクノロジーを駆使した新品種の開
発、既存品種の改良、栽培技術の開発やきのこの健康機能性研究等、きのこ全般に関する研究活動につとめており
ます。
なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は
これまでの研究開発活動で得られた成果のうち、公表された成果は以下のとおりです。
特許登録関連
(国内)
発明の名称 きのこ栽培用シート
登録日 2025年2月14日
登録番号 第7635193号
品種登録関連
(国内)
ブナシメジ
登録品種の名称 HKWHM5
登録日 2024年12月20日
登録番号 第30698号
(海外)
シンガポール
シイタケ
登録品種の名称 HOKSY10号菌
登録日 2024年4月26日
登録番号 PVP/18/00005/Q
英国
ブナシメジ
登録品種の名称 HKWHM3
登録日 2025年1月28日
登録番号 36604
欧州
シイタケ
登録品種の名称 HKLE12
登録日 2025年3月3日
登録番号 68724
学会発表
演題 ブナシメジ(Hypsizygus marmoreus)の自然集団における不和合性因子の分布
発表日 2024年9月4日
学会 日本きのこ学会第27回大会
演題 形態観察、分子系統解析および交配試験に基づくブナシメジ(Hypsizygus marmoreus)の
分類学的再検討
発表日 2024年9月4日
学会 日本きのこ学会第27回大会
演題 2品種のシイタケ(Lentinula edodes)の自己消化におけるトレハロース代謝関連酵素について
発表日 2024年9月4日
学会 日本きのこ学会第27回大会
大阪公立大学との共同研究
演題 シイタケ(Lentinula edodes)由来のトレハロース代謝関連酵素に関する研究
発表日 2024年12月14日
学会 2024年度日本菌学会西日本支部大会
大阪公立大学との共同研究
演題 Ergothioneine含有ヒラタケPleurotus sp.は老化促進モデルマウスの運動機能障害を改善する
発表日 2025年2月8日
学会 日本農芸化学会関西支部第534回講演会
大阪公立大学との共同研究
論文掲載
タイトル Effects of an ergothioneine-rich Pleurotus sp. on skin moisturizing functions and facial
conditions: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial
掲載雑誌 Frontiers in Medicine, 11, 2024.