(1)経営方針
当社の社名ホーブ「HOB」は、「Horticultural Biotechnology(施設園芸の生命科学技術)」及び「Hokkaido Biotechnology(北海道の生命科学技術)」の2つのことから名付けられており、「研究室の中だけで行われていた組織培養のバイオテクノロジー技術を実際の農業の中で活かしていこう、そのバイオテクノロジー技術を活かすことで北海道の農業を活性化させる一助となろう」という想い、「バイオテクノロジー技術を北海道の大地に根付かせよう」というのが、当社の出発点でありました。
当社はバイオテクノロジー技術を使って苗を生産し、その苗を販売するということから、さらに収穫された果実を販売するところまで事業分野は広がっております。
当社グループは、農業を基盤とし農業に立脚しながらも、農業そのものを事業として行っていくのではなく、農業生産者と消費者をつなぐかけ橋となり、当社の有する種苗、技術、情報を積極的に提供していくことによって、農業の活性化に寄与していくことを事業の根幹としております。今後も、当社の原点「バイオテクノロジーをラボラトリーからフィールドへ」、そして「消費者とともに日本の農業を考え、農業活性化の一助を担う」心積もりを経営の根幹をなす経営理念として捉えていきたいと考えております。
(2)当社を取巻く環境
①国内農業の現状
国内農業については、依然として厳しい状況が続いております。農作物の価格は低落傾向にあり、原油価格の高騰は農業用資材コストに反映されることとなり、国内農業生産者の所得も減少しております。また後継者不足、高齢化が言われ、農業生産者の減少といった現状に直面しているものと認識しております。
一方、農産物の輸入自由化が進み、海外から様々な農産物が安価で入ってくるようになり、輸入量は増大し、国内農産物の自給率は依然として低いままで推移しております。
しかしながら、最近の食の問題から消費者の安全、安心志向は強まり、国産の農産物に対する消費者の関心は高まっており、より良いものあるいは安全、安心という付加価値農産物を作る動きもあります。また新規就農者や農業生産法人を積極的に設立する動きも増え、企業が農業ビジネスへ参入するなどの変化が生じております。
②業務用いちごの現状
いちごは、農業生産物の中では極めて付加価値の高い作物と言われております。しかし、いちごは高い鮮度が要求され、衝撃、高温等の環境変化に弱いため、輸送や長期保存が難しい農業生産物であります。
現在、業務用いちごは、概ね12月から5月頃までは栃木県や福岡県を中心とした一季成性いちご※1が中心となっております。また6月から11月まではアメリカ産輸入いちごが大部分を占めており、平成29年の輸入量は約3.1千トン(大部分が6月から11月までの6か月間に輸入される)であります。
アメリカ産輸入いちごは、一般に、国産に比べ食味、食感に大きく劣ると言われており、果皮が硬く、輸送性が高いため、国産いちごの供給量が少ない夏から秋にかけて、業務用として国内に入ってきております。
※1 いちごには、花芽分化形成(花となる芽のもとが作られること)に一定の条件を必要とする一季成性いちごと条件を必要としない四季成性いちごがあります。一般に知られているいちごの多くは一季成性いちごであり(とちおとめ等)、一定の条件(夜の長さが12時間以上となる日が連続する短日条件と温度の低下という低温条件)が整ってはじめて花芽が形成され、果実ができます。
(3)当社グループの対処すべき課題
①いちご果実・青果事業の収益確保
当社は、夏秋期において自社いちご品種販売を中心にしております。平成26年には、新品種2品種(「ペチカほのか」・「ペチカエバー」)の品種登録申請を行い、平成29年に品種登録を完了いたしました。
近年、他品種を含めた夏秋いちごの栽培面積が全国的に拡大したことにより、出荷量がピークを迎える7月下旬頃に一時的に供給過剰となる傾向が続いております。この状況を受け、業務用途以外の新たな販路の開拓を課題としておりました。
新品種「ペチカほのか」は、平成28年より本格的に生産が始まり、北海道で生産されたものを商品名「夏瑞/なつみずき」として販売を開始しております。本品種は食味の良さが最大の特長で、これまでになかった夏場の生食用市場を開拓できる画期的な品種であります。この特長を活かし、夏秋期の生食用市場の開拓並びに「夏瑞/なつみずき」のブランド力の向上に努めてまいります。
新品種「ペチカエバー」は商品名を「コア」とし、平成29年より本格的に生産を開始しております。本品種は収量性が高く、本品種の導入により、促成いちごとの端境期及び夏秋いちごの品薄となる時期の出荷量の確保を図ります。今後はこの新品種2品種を展開することで、夏秋期におけるいちご果実の収益確保に繋げてまいります。
また、促成いちご販売時期においては、適正な数量の仕入、及び品質向上に向けた仕入体制をより一層強化し、利益の改善を図ります。
さらに、顧客への配送の効率化を図ることで運送費を削減し、事業全体としての利益の確保に努めます。
②種苗事業の収益拡大
これまで夏秋期に生産されるいちごは主に業務用として使用され、冬春期のように生食用の市場はほとんどなく、また生食用に適する品種は存在しませんでした。新品種「ペチカほのか」はこれまでの夏秋いちごにはない食味の良さを有していることから、生食用を主体とした産地展開を図ります。加えて、収量性の高い新品種「ペチカエバー」を業務用の産地に展開することで、種苗事業の収益拡大に努めてまいります。
③馬鈴薯事業における収益の確保
馬鈴薯事業においては、種馬鈴薯の生産販売及び仕入販売と、青果馬鈴薯の仕入販売を行っております。当社が国内販売権を有している海外オリジナル品種は、国内の一般品種とは異なる食味や色、加工適性といった特長を持っていることから、この海外オリジナル品種の販売を強化し、また、適正な数量の仕入管理を行うことで利益改善に努めます。
④運送事業の収益の維持向上
運送事業を行う子会社「株式会社エス・ロジスティックス」は、営業基盤を関東圏に特化し、配送業務の効率化により、収益の確保に努めてまいりました。今後も、自社配送と提携業者配送を効率的に運用することに加え、新規荷主からの運送受託に向けた営業をより一層強化して、収益の維持向上を図ってまいります。
⑤人材の育成について
当社の事業は、農業に密接に関わっております。近年の気象条件等の自然環境は変化しており、その影響を軽減するためには、机上の学習だけではなく、経験をとおして学ぶことが重要であります。当社では、いちご果実の生産指導を生産者に対し行っていることから、事業経験をとおして社内に蓄積されるノウハウや技術を共有・継承することで、今後も優秀な人材の育成に努めていく方針であります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしも事業上のリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①自社品種苗及びいちご果実の生産・販売について
a.天候の影響について
当社の主要な事業は、自社品種等を中心としたいちご苗の生産及び生産農家への販売、各生産農家からの果実の仕入及び洋菓子メーカーへの販売であります。
果実の生産はビニールハウス内で行なっておりますが、気温及び日照等、天候の影響を受けることとなります。そのため、天候不順によって果実収穫量が大きく影響されないように、生産産地を北海道から東北地方へと広げてきており、さらに、天候不順であっても収穫量が大きく減少しないような栽培技術・ノウハウを蓄積してきており、生産農家に対する栽培指導の徹底に努めております。
しかしながら、天候不順の影響は完全に回避できるものではなく、猛暑、冷夏、日照不足、台風といった気象条件の変化により収穫量が変動し、当社の業績に影響を与える可能性があります。
b.生産農家との契約について
当社は、自社品種苗等を生産農家に販売し、そこから収穫される当社の規格に合った果実を買取って、全国の洋菓子メーカー等に供給しております。生産農家との間で毎年「栽培契約書」を締結しておりますが、契約書の中には、当社の選果規格に合致した果実を当社が全量買取ることを内容とした条項があります。自社品種の果実は、主にケーキのトッピング(飾り)として使われるため、選果規格は厳格なものとなっております。そのため、粒の小さいものや形の整っていないもの等は規格外となり買取りの対象から外れ、当社が必要とする規格のもののみが入荷されております。
この契約により夏秋期の自社品種の果実はすべて当社から販売されることとなるメリットがありますが、天候条件等によっては収穫果実の規格あるいは時期の偏りが生じることがあります。そのような場合には、取引先の洋菓子メーカー等にいち早く情報提供を行い、使用規格の変更を依頼するなどの対応を講じておりますが、それでも販売しきれないほどの偏りが生じた場合には、当社が在庫を抱えることとなり、果実の廃棄の発生により、当社の業績に影響を与える可能性があります。
c.自社品種苗の生産について
自社品種苗の生産は、組織培養から始めておよそ3年の期間を要するため、苗販売計画に基づいた見込み生産を行っております。苗販売計画は適時見直しを行い、修正が生じた場合には苗の生産も販売計画に合わせて調整しております。ただし、販売計画修正のタイミングによっては、生産調整が間に合わない場合もあり、過剰となった苗の廃棄が発生し、当社の業績に影響を与える可能性があります。
d.育種開発について
新たな種苗の開発は、様々な形質を持った系統を掛け合わせ、生育を繰り返していく中で、より優れた形質を持つ種苗を選抜していく手法が用いられます。掛け合わせと選抜の繰り返しの中から品種として確立され栽培収穫されるようになるまでには、5年から10年程度の長い期間を要します。当社は、平成22年に高温時でも品質の安定した果実を生産することのできる「ペチカサンタ」、「ペチカプライム(品種登録名ペチカピュア)」の2品種を種苗登録し、生産を行ってまいりました。これら2品種に加え、平成29年に「夏瑞/なつみずき(品種登録名ペチカほのか)」、「コア(品種登録名ペチカエバー)」を種苗登録し、生産を開始しております。
当社は、優良形質がホモ※1であり、かつ水準以下の形質の少ない系統の選抜に成功しております。現在、これらを交配親とした新たな特性を持つ系統を多数選抜しており、今後も優秀な品種の開発を鋭意進めてまいります。
都道府県などでも四季成性いちごの品種開発を進めておりますが、今後新しいタイプの優秀な四季成性いちご品種が開発された場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
※1 遺伝子は必ず対となって存在しております。同じ遺伝子が対になっていることをホモ(AA)、異なる遺伝子の場合はヘテロ(Aa)と称します。ホモの場合は交配した場合すべての組み合わせにAが含まれ、その形質が高頻度で子孫に発現します。たとえばペチカの優秀な形質がホモになっていれば、交配で得られる子孫もその優秀な形質を高頻度で持っていることになります。
e.病虫害について
農産物は、屋外の圃場やビニールハウス内で栽培及び生産するため、ウイルス等への感染及び害虫の発生を防ぐことは極めて難しい問題であります。
当社は、自社品種での病虫害の発生を防ぐため、生産産地との連絡を密にし、栽培技術指導者が実際に苗・果実の生育状況を確認し、早期に異常を発見するように努めております。
しかしながら、完全な防除が困難であるため、不測の病虫害が大量、広域に発生した場合、見込みどおりの成果が得られず当社の業績に影響を与える可能性があります。
②特定人物(経営者)への依存について
代表取締役髙橋巌は、当社の創業者であり、創業以来当社の事業を推進してきております。当社では、同氏への依存度を軽減するために、平成25年9月からは、当社グループ全体の経営を統括する代表取締役会長に髙橋巌が就任し、日常的な経営を執行する代表取締役社長に政場秀が就任しております。今後も同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めるべく、役職員の質的向上に注力していく所存であります。しかしながら、同氏の業務遂行が何らかの理由により困難となった場合、当社の事業展開や業績などに影響を与える可能性があります。
なお、同氏は、当連結会計年度末現在において、当社の発行済株式総数の40.02%を保有する筆頭株主であります。
③運送事業について
子会社である株式会社エス・ロジスティックスにおいて運送事業を行っております。その事業に影響を与える可能性がある事項といたしましては、環境規制をはじめ、その他法的規制などの変更・強化や、世界的な石油情勢の変動に起因する燃料費の高騰があります。また、運送業務の遂行にあたっては、安全と輸送品質の向上に努め、徹底した運行管理をいたしておりますが、万一、重大な事故が発生した場合には信用低下のみならず、補償問題や営業停止などの行政処分を受ける可能性があり、これらの事象も運送事業の遂行に影響を与える可能性があります。
④馬鈴薯事業について
種苗及びいちご果実生産と同様、天候不順や病虫害の発生により、見込み通りの成果が得られず、業績に影響を与える可能性があります。
⑤法的規制について
当社の事業及び製・商品等に対する法的規制は下表のとおりであります。
|
許可・承認の種類 |
有効期限 |
監督官庁 |
関連する法律 |
|
品種登録 |
|
農林水産省 |
種苗法 |
|
「ペチカサンタ」(登録番号第19206号) |
2035年3月 |
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|
「ペチカピュア」(登録番号第19528号)(商品名ペチカプライム) 「ペチカエバー」(登録番号第26015号)(商品名コア) 「ペチカほのか」(登録番号第26016号)(商品名夏瑞/なつみずき) |
2035年5月 2042年6月 2042年6月 |
||
|
千葉市地方卸売市場売買参加者(売買参加章52-72) |
― |
農林水産省 |
卸売市場法 |
(注) 当社が保有する種苗法登録品種「ペチカサンタ」「ペチカピュア」「ペチカエバー」並びに「ペチカほのか」に有する育成者権の存続期間は、上記のとおりであります。この育成者権の存続する間は、当社以外の者がこの4品種の種苗や果実の売買等を行うことができないこととなっており、当社は独占的に利用する権利を有しております。育成者権の存続期間が終了した後は、これら4品種の苗や果実を自由に栽培、利用することが可能となるため、そのときの状況によっては、当社の経営戦略や業績に影響を与える可能性があります。
⑥経営成績の変動要因について
当社グループの主要な経営指標等の推移は、以下のとおりであります。
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回次 |
第28期 |
第29期 |
第30期 |
第31期 |
第32期 |
|
|
決算年月 |
平成26年6月 |
平成27年6月 |
平成28年6月 |
平成29年6月 |
平成30年6月 |
|
|
売上高(千円) |
4,660,069 |
5,159,853 |
4,485,642 |
3,722,630 |
3,870,217 |
|
|
経常利益又は経常損失(△)(千円) |
166,086 |
39,134 |
△60,466 |
△177,013 |
△59,326 |
|
|
親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)(千円) |
73,784 |
24,445 |
△110,133 |
△409,493 |
△64,318 |
|
|
純資産額(千円) |
996,852 |
991,065 |
868,851 |
459,874 |
395,464 |
|
|
総資産額(千円) |
1,366,576 |
1,310,911 |
1,175,398 |
821,248 |
813,712 |
|
(注)売上高には、消費税等は含まれておりません。
a.特定品目への依存について
当社グループの売上高構成は、いちご果実売上高の比重が高く、当連結会計年度の売上高に占めるいちご果実の構成比は68.3%となっております。そのため、天候による収穫量の変化、販売価格の低下、消費者の嗜好の変化等により、当社の経営戦略及び業績に影響を与える可能性があります。
|
売上高 (千円) |
前々連結会計年度 平成28年6月期 |
前連結会計年度 平成29年6月期 |
当連結会計年度 平成30年6月期 |
||||||
|
|
構成比 (%) |
前期比 (%) |
|
構成比 (%) |
前期比 (%) |
|
構成比 (%) |
前期比 (%) |
|
|
いちご果実・青果事業 |
3,143,319 |
70.1 |
82.8 |
3,146,924 |
84.5 |
100.1 |
3,456,813 |
89.3 |
109.8 |
|
(内訳)いちご果実 (うち自社品種) |
2,550,329 (501,964) |
56.9 (11.2) |
83.8 (84.0) |
2,583,212 (415,312) |
69.4 (11.2) |
101.3 (82.7) |
2,642,879 (439,077) |
68.3 (11.3) |
102.3 (105.8) |
|
青果 |
538,541 |
12.0 |
77.3 |
514,255 |
13.8 |
95.5 |
764,388 |
19.7 |
148.6 |
|
資材 |
54,447 |
1.2 |
94.7 |
49,456 |
1.3 |
90.8 |
49,545 |
1.3 |
100.2 |
|
種苗事業 |
45,122 |
1.0 |
89.7 |
42,046 |
1.1 |
93.2 |
41,406 |
1.1 |
98.5 |
|
馬鈴薯事業 |
1,210,476 |
27.0 |
97.9 |
450,442 |
12.1 |
37.2 |
282,422 |
7.3 |
62.7 |
|
運送事業 |
86,724 |
1.9 |
114.1 |
83,217 |
2.2 |
96.0 |
89,574 |
2.3 |
107.6 |
|
計 |
4,485,642 |
100.0 |
86.9 |
3,722,630 |
100.0 |
83.0 |
3,870,217 |
100.0 |
104.0 |
(注)いちご果実の( )は、自社品種果実で内書きであります。
b.特定の取引先への依存度が高いことについて
いちご果実・青果の販売先のうち、株式会社アイズ、トーワ物産株式会社、株式会社シャトレーゼの上位3社に対する販売金額は、当連結会計年度において上位3社で34.9%を占めております。いちご果実・青果事業の販売先は当連結会計年度において370社程度となり、上記販売先3社に対する販売金額の割合を低下させるべく、販売先の拡大を積極的にはかっております。
しかしながら、これら会社との取引の継続性や安定性は保証されていないため、これら会社の販売、価格政策、商品戦略の変更など取引関係等が変化した場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
|
相手先 |
前連結会計年度 平成29年6月期 |
当連結会計年度 平成30年6月期 |
||
|
|
割合(%) |
|
割合(%) |
|
|
株式会社アイズ(千円) |
122,369 |
3.3 |
542,547 |
14.0 |
|
トーワ物産株式会社(千円) |
361,779 |
9.7 |
412,612 |
10.7 |
|
株式会社シャトレーゼ(千円) |
317,719 |
8.5 |
394,439 |
10.2 |
c.業績の季節変動について
いちご果実・青果事業の主力商品は、いちご果実であります。当社が販売するいちご果実は、ケーキの飾りとして使われることが多く、デコレーションケーキの販売が急増する12月のクリスマス時期に最も大きな需要期を迎え、12月の売上高は他の月に比べ極めて多く計上されます。
そのため、下半期と比較し、上半期に売上高が多くなる傾向が続いております。売上総利益も上半期に偏る傾向にあります。
|
|
前々連結会計年度 平成28年6月期 |
前連結会計年度 平成29年6月期 |
当連結会計年度 平成30年6月期 |
||||||
|
上半期 |
下半期 |
通期 |
上半期 |
下半期 |
通期 |
上半期 |
下半期 |
通期 |
|
|
売上高(千円) (通期比率)(%) |
2,545,654 (56.8) |
1,939,987 (43.2) |
4,485,642 (100.0) |
2,165,114 (58.2) |
1,557,515 (41.8) |
3,722,630 (100.0) |
2,257,643 (58.3) |
1,612,573 (41.7) |
3,870,217 (100.0) |
|
売上総利益(千円)(通期比率)(%) |
477,932 (64.3) |
265,375 (35.7) |
743,307 (100.0) |
362,183 (62.1) |
220,708 (37.9) |
582,892 (100.0) |
349,600 (57.5) |
258,661 (42.5) |
608,262 (100.0) |
(注)比率は、通期に対する上半期及び下半期の構成比であります。
d.市場相場価格について
促成期(12月頃から5月頃まで)のいちご果実は、青果市場において相場価格が形成されます。しかし、夏秋期(6月頃から11月頃まで)の国産いちごのほとんどは市場を経由しないため、価格は洋菓子メーカー等との交渉により決めており、促成いちごとは違い市場相場価格から受ける影響は少なくなっております。
当社が仕入、販売する促成期のいちごの価格は、市場相場価格(主に東京都中央卸売市場大田市場)に基づいて決めております。例年、12月のクリスマス時期にはデコレーションケーキの飾りとしての需要の高まりから価格は高騰し、それをピークに価格は安くなります。例えば、平成29年12月における東京都中央卸売市場大田市場の「とちおとめ」の市場相場価格(Lサイズ1パック当たり価格)は、クリスマス時期に1,300円になり、平成30年1月には400円まで低下しております。このように促成いちごの市場相場価格は変動があるため、当社のいちご果実売上高に影響を与える可能性があります。
⑦継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは継続して営業損失及び当期純損失を計上し、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
しかしながら当連結会計年度末において現金及び預金198百万円を保有し、また、運転資金の効率的な調達のために主要な取引銀行3行と当座貸越契約を締結するなど、必要な資金枠を確保しており、さらに、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)重要事象等について」に記載のとおり、当該重要事象等を解消するための対応策を実施していることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断し、連結財務諸表等への注記は記載しておりません。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策や金融政策を背景に企業収益や雇用情勢に改善が見られ、緩やかな回復基調で推移いたしました。しかしながら、個人消費の伸び悩みや海外における不安定な政治動向など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況の中、当社グループにおきましては、自社品種「ペチカプライム」など、及び新品種「コア」(品種登録名「ペチカエバー」)を軸とした従来の業務用販売に加え、新品種「夏瑞/なつみずき」(品種登録名「ペチカほのか」)の生食用販売を展開し、いちご果実及びその他の青果物の販売拡大に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度に比べ7,535千円減少し、813,712千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ56,874千円増加し、418,247千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ64,410千円減少し、395,464千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高3,870,217千円(前期比4.0%増加)、営業損失63,629千円(前期は営業損失183,269千円)、経常損失59,326千円(前期は経常損失177,013千円)、親会社株主に帰属する当期純損失64,318千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失409,493千円)となりました。
当連結会計年度の当社グループが営む事業は、いちご果実・青果事業、種苗事業、馬鈴薯事業、運送事業の4事業となっております。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(いちご果実・青果事業)
いちご果実・青果事業の主力商品は業務用いちご果実であります。夏秋期は自社品種いちごと輸入いちごを、その後は国産促成いちご(とちおとめ、さがほのかなど)を主に販売しております。
当連結会計年度においては、夏秋期は「コア」(品種登録名「ペチカエバー」)、「夏瑞/なつみずき」(品種登録名「ペチカほのか」)などの自社開発品種と輸入いちごを、その後は国産促成いちご(とちおとめ、さがほのかなど)を主に販売しております。
夏秋期においては、従来の業務用としての販売に加え、食味の良い新品種「夏瑞/なつみずき」(品種登録名「ペチカほのか」)を生食用として販売の拡大に注力してまいりました。生食用の売上高については前年を上回りましたが、業務用の売上高の減少分を補うことはできませんでした。
最需要期となるクリスマス期においては、10月の記録的な長雨により促成いちごの生育が停滞したことに加え、12月の断続的な強い寒気の影響を受け、いちごの市場への入荷量が伸び悩みました。このため、12月のいちご市場相場価格は、高騰した前年よりもさらに高値で推移することとなりました。この結果、取引先への販売価格が上昇し、売上高は増加いたしましたが、固定価格での販売先に対し、仕入価格の上昇分を転嫁することができず、利益を圧縮する結果となりました。
年明け以降は、コンビニエンスストア向けの販売が堅調に推移したことに加え、既存取引先に対する採算面の見直し、および適正な数量の仕入管理に努めた結果、前年同期に比べ利益率の改善が見られました。
その他の青果物については、青果卸売業者向けの輸入青果物の取扱量が増加したことにより、売上高は増加いたしましたが、コンビニエンスストアを中心とした既存取引先のアイテム縮小による使用量減少により、利益は減少いたしました。
経費面では、業務の効率化を図ることで運送費の削減を行うなど、販売費及び一般管理費の圧縮に努めました。
この結果、当連結会計年度におけるいちご果実・青果事業の売上高は3,456,813千円(前期比9.8%増加)、営業利益は122,179千円(前期は営業損失29,015千円)となりました。
(種苗事業)
種苗事業は、自社いちご品種の「ペチカプライム」、「ペチカほのか」(商品名「夏瑞/なつみずき」)、「ペチカエバー」(商品名「コア」)の3品種の生産販売を行っております。自社いちご品種苗の販売先となる生産者は、一部を除き、栽培契約に基づいて、生産するいちご果実を当社に出荷しております。
当連結会計年度におきましては、新品種「ペチカエバー」の種苗生産販売が始まり、産地栽培指導に一段の力を入れて取り組んでまいりました。しかしながら、生産者の高齢化や後継者不足の影響による栽培休止や規模縮小により、自社品種の種苗販売本数は、前期に比べて減少いたしました。また新品種への切替えの影響もあり、一時的に種苗の製造費用が上昇し、利益が圧縮される要因となりました。
この結果、当連結会計年度における種苗事業の売上高は41,406千円(前期比1.5%減少)、営業利益は3,342千円(前期比59.9%減少)となりました。
(馬鈴薯事業)
馬鈴薯事業は、主に種馬鈴薯の生産販売、仕入販売と、青果馬鈴薯の仕入販売からなり、主要売上品である種馬鈴薯には、秋から春にかけて販売する春作と夏に販売する秋作の2体系がありますが、そのメインは春作種馬鈴薯です。
当連結会計年度は、春作向けとなる北海道産の仕入数量は台風被害を受けた前年に比べ確保することができましたが、他県の作況が悪かったため、全体としての販売数量は前期を下回りました。また、一部仕入価格が上昇したことにより、利益は前期に比べ減少いたしました。
青果馬鈴薯におきましては、青果馬鈴薯市場価格が低迷していたことで荷動きが悪く、販売価格が仕入原価を下回る時期があり、売上高・利益ともに確保することができませんでした。
この結果、当連結会計年度における馬鈴薯事業の売上高は282,422千円(前期比37.3%減少)、営業損失は31,896千円(前期は営業損失17,043千円)となりました。
(運送事業)
運送事業は、連結子会社「株式会社エス・ロジスティックス」が行っております。関東圏を中心とした事業展開で当社の商品配送を中核としつつ、一般荷主からの配送業務受託も積極的に展開しております。
当連結会計年度におきましては、新たに一般荷主からの配送の受託があったことから、売上高は増加いたしましたが、グループの運行体制の見直しによる効率化で、配送の集約等を行ったことで、利益は減少することとなりました。
この結果、当連結会計年度における運送事業の売上高は89,574千円(前期比7.6%増加)、営業利益は6,670千円(前期比66.0%減少)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、期首残高から102,943千円減少し、当連結会計年度末現在において197,097千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果使用した資金は76,484千円(前期は165,676千円の使用)となりました。これは主に、仕入債務の増加額54,136千円があったものの、税金等調整前当期純損失60,889千円、売上債権の増加額133,604千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は13,373千円(前期は48,547千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出12,041千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は13,085千円(前期は61,647千円の取得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出13,008千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成29年7月1日 至 平成30年6月30日) |
前年同期比(%) |
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種苗事業(千円) |
29,419 |
98.4 |
|
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馬鈴薯事業(千円) |
10,919 |
207.0 |
|
|
全社(千円) |
12,627 |
66.6 |
|
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合計(千円) |
52,965 |
97.8 |
|
(注)1 金額は当期製品製造原価によっております。
2 全社の記載額は、新品種の開発及び栽培方法の研究のため研究圃場を有しており、研究開発段階で生産されたいちご果実を販売しているための製品製造原価であります。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成29年7月1日 至 平成30年6月30日) |
前年同期比(%) |
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いちご果実・青果事業(千円) |
2,861,930 |
109.2 |
|
|
馬鈴薯事業(千円) |
268,167 |
65.5 |
|
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合計(千円) |
3,130,098 |
103.3 |
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(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成29年7月1日 至 平成30年6月30日) |
前年同期比(%) |
|
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いちご果実・青果事業(千円) |
3,456,813 |
109.8 |
|
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種苗事業(千円) |
41,406 |
98.5 |
|
|
馬鈴薯事業(千円) |
282,422 |
62.7 |
|
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運送事業(千円) |
89,574 |
107.6 |
|
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合計(千円) |
3,870,217 |
104.0 |
|
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 平成29年6月期 |
当連結会計年度 平成30年6月期 |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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株式会社アイズ |
122,369 |
3.3 |
542,547 |
14.0 |
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トーワ物産株式会社 |
361,779 |
9.7 |
412,612 |
10.7 |
|
株式会社シャトレーゼ |
317,719 |
8.5 |
394,439 |
10.2 |
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、この連結財務諸表の作成にあたり必要と思われる会計上の見積りについては、合理的な基準に基づいて実施しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度末と比較して10,811千円減少し、当連結会計年度末で726,522千円となりました。これは主に売掛金が増加したものの現金及び預金が減少したことよるものであります。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度末と比較して3,275千円増加し、当連結会計年度末で87,189千円となりました。これは主に有形固定資産が増加したことによるものであります。
(流動負債)
流動負債は、前連結会計年度末と比較して61,132千円増加し、当連結会計年度末で245,281千円となりました。これは主に買掛金が増加したことによるものであります。
(固定負債)
固定負債は、前連結会計年度末と比較して4,257千円減少し、当連結会計年度末で172,965千円となりました。これは主に長期借入金が減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末と比較して64,410千円減少し、当連結会計年度末で395,464千円となりました。この結果、自己資本比率は48.6%になっております。
2)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、3,870,217千円となりました。
いちご果実・青果事業の主力商品は業務用いちご果実であります。夏秋期は自社品種いちごと輸入いちごを、その後は国産促成いちご(とちおとめ、さがほのかなど)を主に販売しております。当連結会計年度においては、夏秋期は「コア」(品種登録名「ペチカエバー」)、「夏瑞/なつみずき」(品種登録名「ペチカほのか」)などの自社開発品種と輸入いちごを、その後は国産促成いちご(とちおとめ、さがほのかなど)を主に販売しております。夏秋期においては、従来の業務用としての販売に加え、食味の良い新品種「夏瑞/なつみずき」(品種登録名「ペチカほのか」)を生食用として販売の拡大に注力してまいりました。生食用の売上高については前年を上回りましたが、業務用の売上高の減少分を補うことはできませんでした。最需要期となるクリスマス期においては、10月の記録的な長雨により促成いちごの生育が停滞したことに加え、12月の断続的な強い寒気の影響を受け、いちごの市場への入荷量が伸び悩みました。このため、12月のいちご市場相場価格は、高騰した前年よりもさらに高値で推移することとなりました。この結果、取引先への販売価格が上昇し、売上高は増加いたしました。年明け以降は、コンビニエンスストア向けの販売が堅調に推移いたしました。その他の青果物については、青果卸売業者向けの輸入青果物の取扱量が増加したことにより、売上高は増加いたしました。この結果、当連結会計年度におけるいちご果実・青果事業の売上高は3,456,813千円(前期比9.8%増加)となりました。
種苗事業は、自社いちご品種の「ペチカプライム」、「ペチカほのか」(商品名「夏瑞/なつみずき」)、「ペチカエバー」(商品名「コア」)の3品種の生産販売を行っております。自社いちご品種苗の販売先となる生産者は、一部を除き、栽培契約に基づいて、生産するいちご果実を当社に出荷しております。当連結会計年度におきましては、新品種「ペチカエバー」の種苗生産販売が始まり、産地栽培指導に一段の力を入れて取り組んでまいりました。しかしながら、生産者の高齢化や後継者不足の影響による栽培休止や規模縮小により、自社品種の種苗販売本数は、前期に比べて減少いたしました。この結果、当連結会計年度における種苗事業の売上高は41,406千円(前期比1.5%減少)となりました。
馬鈴薯事業は、主に種馬鈴薯の生産販売、仕入販売と、青果馬鈴薯の仕入販売からなり、主要売上品である種馬鈴薯には、秋から春にかけて販売する春作と夏に販売する秋作の2体系がありますが、そのメインは春作種馬鈴薯です。当連結会計年度は、春作向けとなる北海道産の仕入数量は台風被害を受けた前年に比べ確保することができましたが、他県の作況が悪かったため、全体としての販売数量は前期を下回りました。青果馬鈴薯におきましては、市場価格が低迷していたことで荷動きが悪く、売上高を確保することができませんでした。この結果、当連結会計年度における馬鈴薯事業の売上高は282,422千円(前期比37.3%減少)となりました。
運送事業は、連結子会社「株式会社エス・ロジスティックス」が行っております。関東圏を中心とした事業展開で当社の商品配送を中核としつつ、一般荷主からの配送業務受託も積極的に展開しております。当連結会計年度におきましては、新たに一般荷主からの配送の受託があったことから、売上高は増加いたしました。この結果、当連結会計年度における運送事業の売上高は89,574千円(前期比7.6%増加)となりました。
(売上原価)
売上原価は、当連結会計年度において3,261,954千円となりました。また、売上高原価率は、84.3%となり、この結果、売上総利益は608,262千円となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、当連結会計年度において671,891千円となりました。これは運搬費214,731千円、給料及び手当130,348千円などによるものであります。この結果、営業損失は63,629千円となりました。
(営業外収益および営業外費用)
営業外収益は、当連結会計年度において4,546千円となり、営業外費用は、当連結会計年度において243千円となりました。この結果、経常損失は59,326千円となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループが営む事業における資金需要の主なものは、仕入活動、生産活動に必要となる運転資金、販売費及び一般管理費等の営業活動費用、研究開発費によるものの他、生産・配送設備等に係る設備資金であります。
これらの資金需要に対し、内部資金の活用を基本としつつ、一部設備資金については金融機関からの借入により資金調達を行っております。また、最需要期となるクリスマス期を含めた運転資金の効率的な調達のために金融機関と当座貸越契約を締結するなど、必要な資金枠を確保しております。
(3)重要事象等について
「2 事業等のリスク⑦継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、当社グループは継続して営業損失及び当期純損失を計上し、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。しかしながら当連結会計年度末において現金及び預金198百万円を保有し、また、運転資金の効率的な調達のために主要な取引銀行3行と当座貸越契約を締結するなど、必要な資金枠を確保していることから、資金面に支障はないと判断しております。さらに、以下に示す課題への対処を的確に行うことにより業績黒字化を達成し、当該重要事象等が早期に解消されるよう取り組んでまいります。以上より、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断し、連結財務諸表等への注記は記載しておりません。
①いちご果実・青果事業の収益確保
当社は、夏秋期において自社いちご品種販売を中心にしております。平成26年には、新品種2品種(「ペチカほのか」・「ペチカエバー」)の品種登録申請を行い、平成29年に品種登録を完了いたしました。
近年、他品種を含めた夏秋いちごの栽培面積が全国的に拡大したことにより、出荷量がピークを迎える7月下旬頃に一時的に供給過剰となる傾向が続いております。この状況を受け、業務用途以外の新たな販路の開拓を課題としておりました。
新品種「ペチカほのか」は、平成28年より本格的に生産が始まり、北海道で生産されたものを商品名「夏瑞/なつみずき」として販売を開始しております。本品種は食味の良さが最大の特長で、これまでになかった夏場の生食用市場を開拓できる画期的な品種であります。この特長を活かし、夏秋期の生食用市場の開拓並びに「夏瑞/なつみずき」のブランド力の向上に努めてまいります。
新品種「ペチカエバー」は商品名を「コア」とし、平成29年より本格的に生産を開始しております。本品種は収量性が高く、本品種の導入により、促成いちごとの端境期及び夏秋いちごの品薄となる時期の出荷量の確保を図ります。今後はこの新品種2品種を展開することで、夏秋期におけるいちご果実の収益確保に繋げてまいります。
また、促成いちご販売時期においては、適正な数量の仕入、及び品質向上に向けた仕入体制をより一層強化し、利益の改善を図ります。
さらに、顧客への配送の効率化を図ることで運送費を削減し、事業全体としての利益の確保に努めます。
②種苗事業の収益拡大
これまで夏秋期に生産されるいちごは主に業務用として使用され、冬春期のように生食用の市場はほとんどなく、また生食用に適する品種は存在しませんでした。新品種「ペチカほのか」はこれまでの夏秋いちごにはない食味の良さを有していることから、生食用を主体とした産地展開を図ります。加えて、収量性の高い新品種「ペチカエバー」を業務用の産地に展開することで、種苗事業の収益拡大に努めてまいります。
③馬鈴薯事業における収益の確保
馬鈴薯事業においては、種馬鈴薯の生産販売及び仕入販売と、青果馬鈴薯の仕入販売を行っております。当社が国内販売権を有している海外オリジナル品種は、国内の一般品種とは異なる食味や色、加工適性といった特長を持っていることから、この海外オリジナル品種の販売を強化し、また、適正な数量の仕入管理を行うことで利益改善に努めます。
④運送事業の収益の維持向上
運送事業を行う子会社「株式会社エス・ロジスティックス」は、営業基盤を関東圏に特化し、配送業務の効率化により、収益の確保に努めてまいりました。今後も、自社配送と提携業者配送を効率的に運用することに加え、新規荷主からの運送受託に向けた営業をより一層強化して、収益の維持向上を図ってまいります。
⑤人材の育成について
当社の事業は、農業に密接に関わっております。近年の気象条件等の自然環境は変化しており、その影響を軽減するためには、机上の学習だけではなく、経験をとおして学ぶことが重要であります。当社では、いちご果実の生産指導を生産者に対し行っていることから、事業経験をとおして社内に蓄積されるノウハウや技術を共有・継承することで、今後も優秀な人材の育成に努めていく方針であります。
当社は、自社品種いちご果実の栽培について、生産農家との間で「栽培契約書」を締結しております。その主な内容は、以下のとおりであります。
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契約締結先 |
期間 |
主な内容 |
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生産農家個人 |
契約締結日から1年間 (自動更新規定なし) |
・いちご果実の生産が目的であること ・当社が販売する苗の品種及び数量 ・当社選果規格に合致する果実をすべて当社へ出荷すること ・種苗の他人への譲渡、増殖、保存等の禁止 |
(注)1 契約締結先は、農業生産法人あるいは農業協同組合の場合もあります。
2 契約期間は1年間で満了しますが、種苗の他人への譲渡、増殖、保存等の禁止規定は期間満了後も効力を有することとなっております。
いちご新品種の育種開発
夏秋期の国産いちごを安定的に供給するためには、多様な気象条件や栽培方法に適応する品種の開発が重要であります。当社は、高温期でも果実品質の安定した品種、「ペチカサンタ」(平成22年3月 品種登録)、「ペチカプライム」(平成22年5月 品種登録 登録品種名「ペチカピュア」)を開発し、それぞれの品種特性を活かした産地形成を行い、現在栽培を行っております。また、平成26年8月には、極めて収量性の高い「ペチカエバー」、食味の良さが特長の「ペチカほのか」をそれぞれ品種登録申請し、平成29年6月に品種登録を完了しております。当社はこれに甘んじることなく、今後も耐暑性があり、栽培の省力化が図れ、かつ生産性の高い品種の開発をさらに進めてまいります。当社の優位性を揺るぎないものにするために、今後もより優れた競争力のある品種の作出に向け、研究開発を続けてまいります。
なお、品種の研究開発は、次の手順により実施しております。
①交配
様々な品種の掛け合わせにより、果実を作り、種を取り出します。
②一次選抜
交配により得られた苗のうち、優れた形質を持つものを選抜します。
③二次選抜
一次選抜された苗をランナー※1で増殖し、再度、果実の形質及び収量性等を検証し、選抜します。
※1 親苗から横に長く伸びる側枝(茎)。節からわき芽や根を出し、新しい苗(子苗)となります。さらに、この子苗からもランナーは発生し、苗が増えていきます。
④生産力検定
二次選抜されたものを対象に100本程度の栽培評価を行い、病虫害あるいは環境変化への適応性、収穫時の作業性、果実の輸送性等を検証します。
⑤新品種登録、普及
生産力検定の結果、優良なものは種苗法品種登録の候補となります。当社は、育種した優良な種苗については、品種登録を行っていく方針であります。また、その品種を用い、新たな産地を形成していくことも可能となります。
当社は長年の育種研究の結果、耐暑性、収量性、果実品質、食味等の優良な形質を持つ育種親を確保維持するとともに、交配、選抜等の育種ノウハウを保有しております。今後こうした研究資源を効率的に活用し、夏秋いちご品種の開発に鋭意努力してまいります。
以上の研究開発活動を行い、当連結会計年度は23,090千円の研究開発費を計上しております。
なお、研究開発の結果得られた優良な品種は、種苗事業において種苗を生産し、生産農家等に販売しております。また生産農家等から出荷される当該品種の果実はいちご果実・青果事業において、仕入販売を行っております。従いまして、研究開発活動は、種苗事業といちご果実・青果事業にかかわっております。