(1)業績
当期の世界経済は、米国経済の回復が続く一方で、中国を始めとする新興国の景気が減速したことにより、全体としては緩やかな回復となりました。わが国経済は、輸出に弱さが見られたものの、雇用環境の改善や設備投資が持ち直しを見せたことなどから、緩やかな回復基調が続きました。
当社グループ事業と関連が深い国内の住宅市場は、住宅ローン金利が低水準に推移したほか、贈与税の非課税措置の拡充等、政府による住宅取得促進策が実施されたことから、持ち直しを見せました。この結果、新設住宅着工戸数は92万1千戸(前期比4.6%増)、このうち、持家の着工戸数は28万4千戸(同2.2%増)となりました。
このような事業環境のもと、当社グループは、主力事業である木材建材事業及び戸建注文住宅事業の収益力向上に努めるとともに、市場環境の変化に対応できるバランスの取れたポートフォリオを構築するために、賃貸住宅事業、リフォーム事業及び海外事業に加え、非住宅建築物の木造化・木質化を進める木化事業、バイオマス発電事業及び有料老人ホームの運営事業等に経営資源を積極的に投入するなど、成長事業の拡大に取り組みました。その結果、売上高は1兆405億24百万円(前期比4.3%増)となり、初めて1兆円を上回ることとなりました。また、利益面においては、退職給付会計に係る数理計算上の差異115億31百万円を人件費として一括処理したこともあり、営業利益は300億93百万円(同11.5%減)、経常利益は305億7百万円(同16.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は97億27百万円(同47.6%減)となりましたが、3期連続で300億円以上の経常利益を確保しました。
また、当社グループは、東北地方の被災地復興に貢献すべく、災害公営住宅の受注に引き続き注力するとともに、当期においては、津波による被害を受けた沿岸部の土地を芝の育成地として新たに生まれ変わらせる「希望の芝プロジェクト」等の取り組みを展開しました。
なお、経済産業省と東京証券取引所が投資家に魅力のある上場企業を選定する活動のなかで、当社は、従業員の健康管理に経営的視点から取り組む企業として「健康経営銘柄」に、女性活躍推進に優れた企業として「なでしこ銘柄」に、それぞれ選定されました。
セグメントの業績は、次のとおりです。なお、各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めています。
<木材建材事業>
国内の木材・建材流通事業におきましては、長年にわたって作り上げた販売網と信用をもとに、木材・建材取扱高ナンバーワンの地位を維持・向上することに努めました。また、新設住宅着工戸数の動向に左右されにくい事業を拡大すべく、需要の増加が見込まれるバイオマス発電向け木質燃料の取り扱いの拡充、中国を始めとするアジア市場への国産材の輸出拡大に取り組みました。
国内の建材製造事業におきましては、高付加価値商品の販売に注力するなど、収益性の向上に努めました。
海外流通事業におきましては、シンガポールの現地法人に統括機能を移管して機動力及び効率性の向上を図ったほか、東南アジア諸国等に対して木材・建材商品の拡販に取り組むなど、環太平洋を中心とした事業の拡大に努めました。また、住宅需要の増加が見込まれるインドにおいて、木材・建材の販売体制を構築するために現地法人を設立しました。
以上の結果、木材建材事業の売上高は4,269億65百万円(前期比0.9%増)、経常利益は33億52百万円(同17.0%減)となりました。
<住宅事業>
戸建注文住宅事業におきましては、商品の高付加価値化と市場におけるシェア拡大に努めました。
高付加価値化の施策としては、強固でありながら設計自由度の高い開放感あふれる住まいの提供を可能とする「ビッグフレーム構法」をさらに魅力的な商品とするために、技術仕様の拡充を図りました。また、デザイン性に優れた上質感のある住まいを実現する「邸宅設計プロジェクト」への取り組みを強化するため、難易度の高い設計業務を統括する「建築デザイン室」を設置するとともに、邸宅設計プロジェクトのコンセプトを具体化した展示場を新設し、お客様への提案力と対応力が発揮できる環境を整備しました。
一方、市場におけるシェアを拡大するために、人口の流入・集中が進む大都市圏への人員シフトを進めるとともに、展示場の更新、住宅街における売却型展示場「街角一番」の新設を行うなど、経営資源の積極的な投入を進めました。また、都市部の狭小敷地における建築ニーズに対応すべく、耐震性と耐火性の技術を結集することにより木造4階建てを可能とする都市型戦略商品「BF-耐火」を発売しました。
このほか、女性の視点や発想を活かした新商品「konoka(コノカ)」を発売するとともに、そのコンセプトを具体化した展示場をオープンしました。
賃貸住宅事業におきましては、昨年1月の相続税制改正等を背景とした資産活用ニーズに対応するために戸建注文住宅事業の全拠点で賃貸住宅の販売体制を整えたほか、都市圏の防耐火基準に適合する賃貸住宅・賃貸併用住宅商品「ForestMaison(フォレストメゾン)BF-耐火」を発売しました。
リフォーム事業におきましては、営業人員の増強を行うことにより、当社の戸建住宅オーナー向け営業に加えて、伝統構法で建築された木造住宅を再生するリフォーム等にも積極的に取り組みました。また、リフォーム時のお客様の負担を軽減するため、建物内部の解体を行わずに外壁からの施工のみで耐震性の向上を可能とする新たな耐震補強技術を開発しました。
木化事業におきましては、注文住宅事業で培った技術・ノウハウ等を応用できる非住宅木造建築事業等の拡大を図り、当期は高齢者福祉施設、保育施設、盲導犬訓練施設、水産物加工施設等の建築実績を積み上げました。また、東日本大震災の被災地では、小学校の高台移転に伴う校舎の再建工事を受注しました。
以上の結果、住宅事業の売上高は4,546億4百万円(前期比0.1%増)、経常利益は315億12百万円(同11.3%増)となりました。
<海外事業>
製造事業におきましては、ニュージーランドにおいて、主力の日本向けのMDF(中密度繊維板)販売で、為替の影響により収益性が改善したことから、利益は前年を大幅に上回りました。インドネシアにおいては、同国内のパーティクルボードの販売単価の低迷により、業績は伸び悩みました。ベトナムにおいては、パーティクルボードの品質及び環境面に配慮した工場運営を推進しつつ、生産数量の拡大を進めました。また、日本向け製品を生産・出荷する体制を整えるため、昨年12月に、パーティクルボードに関するJIS(日本工業規格)マーク表示の認証を受けました。
住宅・不動産事業におきましては、米国及び豪州において、これまでの積極的な投資が奏功するとともに、堅調な住宅市場を背景として住宅会社の販売棟数が増加したことにより、業績は伸長しました。また、米国における住宅事業をさらに拡大するため、本年1月に、米国東部において事業を展開する住宅会社の持分を新たに取得し、連結子会社としました。このほか、ベトナムのホーチミン市における複合分譲マンション事業へ参画するなど、アジア地域において新規の住宅・不動産事業を推進しました。
以上の結果、海外事業の売上高は1,879億26百万円(前期比27.8%増)、経常利益は130億91百万円(同113.7%増)となりました。
<その他事業>
当社グループは、上記事業のほか、バイオマス発電事業、海外における植林事業、有料老人ホームの運営事業、リース事業、住宅顧客等を対象とする保険代理店業等の各種サービス事業、農園芸用資材の製造・販売事業、グループ内各社を対象とした情報システム開発等を行っています。
その他事業の売上高は168億74百万円(前期比1.9%増)、経常損失は10億22百万円(前期経常利益11億75百万円)となりました。
なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。
(2) キャッシュ・フロー
|
|
前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
|
金額(百万円) |
金額(百万円) |
|
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
14,709 |
45,705 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△23,575 |
△9,972 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△17,286 |
1,813 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
1,105 |
423 |
|
現金及び現金同等物の増減額 |
△25,047 |
37,969 |
|
現金及び現金同等物の期首残高 |
128,343 |
103,296 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
103,296 |
141,265 |
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より379億69百万円増加して1,412億65百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により資金は457億5百万円増加しました(前連結会計年度は147億9百万円の増加)。これは、税金等調整前当期純利益262億43百万円、仕入債務の増加、資金流出を伴わない減価償却費117億53百万円の計上及び退職給付に係る負債の増加108億87百万円等の資金増加要因が、たな卸資産の増加や法人税等の支払等の資金減少要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により資金は99億72百万円減少しました(前連結会計年度は235億75百万円の減少)。これは、主に米国と豪州の住宅事業会社の持分取得や国内のバイオマス発電所の設備投資に資金を使用したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により資金は18億13百万円増加しました(前連結会計年度は172億86百万円の減少)。これは、有利子負債の増加等による資金増加要因が、配当金の支払等の資金減少要因を上回ったことによるものであります。
(1) 受注状況
当連結会計年度における住宅事業の受注状況を示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度(自平成27年4月1日 至平成28年3月31日)
|
セグメントの名称 |
受注高 |
|
受注残高 |
|
|
(百万円) |
前年同期比 (%) |
(百万円) |
前年同期比 (%) |
|
|
住宅事業(提出会社) |
324,828 |
103.6 |
301,122 |
100.8 |
(注) 1 住宅事業のうち、提出会社における注文住宅及び賃貸住宅、並びにその他請負の該当金額を記載しております。
2 受注高には、当連結会計年度の新規受注に加えて、期中の追加工事によるものが含まれております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 当社グループの展開する事業は多様であり、生産実績を定義することが困難であるため「生産状況」は記載しておりません。
(2) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
|
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
木材建材事業 |
426,965 |
100.9 |
|
住宅事業 |
454,604 |
100.1 |
|
海外事業 |
187,926 |
127.8 |
|
報告セグメント計 |
1,069,494 |
104.4 |
|
その他事業 |
16,874 |
101.9 |
|
調整額 |
△45,844 |
- |
|
合計 |
1,040,524 |
104.3 |
(注) 1 各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。
2 調整額には、特定のセグメントに区分できない管理部門等における売上高を含み、セグメント間の内部売
上高を消去しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
今後の世界経済は、引き続き緩やかに回復することが期待されますが、新興国経済の先行きや地政学的リスク等の不確実性の高まりに留意が必要な状況となっています。わが国経済は、雇用環境の改善や輸出の持ち直しが期待されることなどから、緩やかな回復に向かうことが推測されるものの、個人消費の停滞や企業収益の伸び悩みなど、予断を許さない状況が続くものと思われます。
このような事業環境のもと、当社は、「住友林業グループ 中期経営計画2018」を策定し、3年後の平成31年3月期末までに売上高1兆1,700億円、経常利益550億円(退職給付会計に係る数理計算上の差異を見込んでおりません。)、ROE10%以上を目指すこととしました。また、資源分野・建築分野・生活サービス分野への重点的投資を行うなど、財務の健全性に配慮しつつ今後3年間の累計で約1,500億円の投資を実行し、社会環境の変化を先取りした事業戦略を推進するとともに、国内及びグローバル市場における多様な収益源の構築や木の新たな利用分野の開拓を図ってまいります。
木材建材事業におきましては、付加価値の向上と経費削減を進めるとともに、木質燃料、国産材輸出、非住宅木造建築物、リフォーム等の成長市場に対して取り組みを強化することにより、収益力の向上を目指してまいります。また、当期に進出したインド市場における事業の拡大と深耕に努めるなど、海外市場への展開をさらに図ってまいります。
住宅事業におきましては、戸建注文住宅事業において、展示場の更新や都市型戦略商品に関する販促活動に注力するなど、経営資源を大都市圏に引き続き投入し、シェア拡大に努めてまいります。また、ビッグフレーム構法のさらなる拡販に注力することに加えて、環境配慮機器を搭載したゼロエネルギー仕様の住宅等、お客様に対して付加価値の高い提案をすることによって、収益力の向上を目指してまいります。賃貸住宅事業においては、商品ラインナップの拡充を進めるとともに、営業担当者の提案力をさらに強化し、賃貸住宅事業を多様な収益源の柱の一つとして育成してまいります。リフォーム事業においては、新築及びリフォームの合同相談会の実施等、戸建注文住宅事業とのシナジー効果を追求することによって、さらなる受注拡大を図ってまいります。木化事業においては、木造の福祉・教育・商業施設等の受注に引き続き注力するとともに、中大規模の木造建築市場の創出と拡大に努めるなど、非住宅建築物の木造化・木質化及び木の可能性の追求をさらに推進してまいります。
海外事業におきましては、製造事業において、高付加価値製品の生産力向上に努めるとともに、工場の安定稼動と継続的なコストダウン策を実行することにより、収益性の改善を図ってまいります。住宅・不動産事業においては、米国及び豪州において、既存の戸建住宅事業の成長と新規のM&Aによって事業規模と進出地域の拡大をさらに進めることにより、年間8,000棟の販売体制の早期実現を目指してまいります。さらに、不動産開発事業を始めとした事業領域の拡大によって、多角的な事業ポートフォリオの実現を進め、収益の安定的な拡大に努めてまいります。
山林経営におきましては、これまで社有林経営で培ってきた「保続林業」のノウハウを活かし、林業経営に関するコンサルティングや、全国的に供給不足が課題となっている植林用苗木の生産の拡大に取り組むなど、国内林業の活性化及び地方創生に貢献してまいります。また、昨年12月に購入を決定したニュージーランドの約3万ヘクタールの山林を始めとして、環境に配慮した海外の植林事業を進めてまいります。環境・エネルギー分野におきましては、未利用の林地残材や間伐材等を利用した木質バイオマス発電所の新規稼動に取り組むことにより、森林価値の向上を図るとともに、雇用創出等地域の活性化に貢献してまいります。生活サービス分野におきましては、高齢者介護サービス事業を通じて生き生きとした暮らしの創出に努めるなど、豊かな生活に貢献する新たなサービス領域の拡大を図ってまいります。
当社グループは、以上に述べた取り組みとともに、社会の変化を見据え、ステークホルダーの声に耳を傾けながら、環境保全の推進や法令遵守の取り組みに加え、ダイバーシティ(多様性)やコーポレート・ガバナンスに関する取り組みを強化するなど、企業に求められる社会的責任を果たしてまいります。また、これまでの事業活動で培ってきた「木」に関する知見や技術を活かしたサステナブル(持続可能)な社会づくりに貢献する事業を展開してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 住宅市場の動向
当社グループの業績は、住宅市場の動向に大きく依存しております。そのため、以下のような状況の変化により、住宅受注が大幅に減少する事態となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
① 景気変動
経済状況の低迷や景気見通しの後退及びそれらに起因する雇用環境の悪化や個人消費の落込みは、お客様の住宅購買意欲を減退させる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与えるものと考えられます。
② 金利変動
金利変動とりわけ長期金利の上昇は、ローンによる支払いを行うケースが多い戸建住宅を建てるお客様や、土地活用のために集合住宅等の建築物を建てるお客様にとって、支払総額の増加をもたらすため需要を減退させる可能性があります。但し、金利の先高観は、金利上昇に伴うローンによる支払総額の上昇を回避するための駆け込み需要を喚起し、一時的に住宅需要を増加させる可能性があります。
③ 地価の変動
地価の大幅な上昇は、土地を所有していないお客様の住宅購買意欲を冷え込ませる可能性があります。一方、地価の大幅な下落は土地を所有しているお客様に対して資産デフレをもたらし、建替え需要を減退させる可能性があります。そのため、地価の大幅な上昇や下落は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
④ 税制及び住宅関連政策の変更
今後予定されている消費税の税率引上げは、住宅購入の駆け込み需要を喚起し、一時的に住宅需要を増加させる可能性がある一方、その後は反動減を招く懸念があります。また、住宅ローン減税や補助金制度等の住宅関連政策の変更は、お客様の住宅購買意欲に影響を与え、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(2) 法的規制の変更
住宅事業を取り巻く法規制には、建築基準法、建設業法、建築士法、宅建業法、都市計画法、国土利用計画法、住宅品質確保促進法、廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)等に加え、個人情報保護法など様々な規制があります。当社グループはこれら法規制の遵守に努めておりますが、関係する法規制の改廃や新たな法規制の制定が行われた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(3) 他社との競合
当社グループは木材建材事業や住宅事業をはじめとする様々な事業を行っており、それぞれの事業において競合会社との間で競争状態にあります。従って、当社グループの商品・サービスの品質・価格・営業力等について競合会社より優位に立てない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4) 資本・投資戦略
当社グループは様々な事業に対する投資を行っておりますが、経営環境の変化、投資先やパートナーの業績悪化・停滞等により当初計画どおりの収益計上や投資回収が進まない場合は、投資の一部又は全部の損失や、追加資金の拠出が必要となる可能性があります。また、パートナーの経営方針や投資対象の流動性の低さ等により当社グループが希望する時期や方法による事業撤退又は再編を進められない可能性があります。これらの場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5) 木材・建材及びその他原材料市況
木材・建材価格の低下は木材・建材流通事業において売上高の減少をもたらします。一方、木材・建材価格の上昇は、その他の住宅資材価格と同様、住宅部門において資材の仕入価格の上昇を招きます。そのため、木材・建材価格の急激な変動並びに、原油等、木材・建材以外の直接・間接的な原材料市況の変動は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(6) 為替レートの変動
外貨建て輸入に際しては、為替予約を行うなど為替リスクを低減するための措置をとっておりますが、為替変動により一時的に想定以上のコスト変動が発生する場合があります。また、海外で木質建材等を製造販売する関係会社において、会計通貨に対する決済通貨の為替変動が当該会社の業績に影響を及ぼす場合があります。そのため、為替の急激な変動は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 品質保証
当社グループは取扱商品及び住宅等の品質管理には万全を期しておりますが、予期せぬ事情により重大な品質問題等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 海外での事業活動
当社グループは海外で事業活動を展開している他、海外商品の取扱等、海外の取引先と多くの取引を行っております。従って、日本のみならず関係各国の法律や規制、経済・社会情勢及び消費者動向等の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 退職給付債務
当社グループの年金資産の運用環境が大幅に悪化した場合や数理計算上の前提条件を変更する必要性が生じた場合、追加的な年金資産の積み増しを要する、あるいは年金に関する費用が増加する等の可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 株式市場
株式市場の大幅な変動等を原因として当社グループが保有する有価証券の評価損等を計上する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 自然災害
大規模な地震や風水害等の自然災害が発生した場合には、保有設備の復旧活動や引渡済の住宅に対する安全確認及び建築請負物件等の完工引渡の遅延等により多額の費用が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 情報セキュリティ
当社グループはお客様に関する膨大な情報を保有しており、情報管理に関する規程及び体制の整備やグループ全社の従業員等に対する教育の徹底等により、お客様に関する情報の管理には万全を期しております。しかしながら、悪意のある第三者によるコンピュータへの侵入や盗難、従業員及び委託先等の人為的ミス、事故等によりお客様に関する情報が外部に漏洩した場合、お客様からの損害賠償請求やお客様及びマーケット等からの信頼失墜により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 環境関連
当社グループは「環境共生」を経営理念の4つの行動指針の中に掲げ、経営の最重要事項の一つとして取り組んでおります。しかしながら、国内及び海外における環境に関する法的規制等の変化や事故・災害等により重大な環境問題が発生した場合、罰金、補償金又は問題解決のための対策コストが必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 保有資産の価値下落
当社グループが保有している不動産や商品などの資産について、市況の著しい悪化等によってそれらの価値が下落した場合は評価損の計上や減損処理を行う可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 取引先の信用供与
当社グループは取引先に対する売上債権などの信用供与を行っており、信用リスクの顕在化を防ぐために適切な限度額を設定するなど、与信管理を徹底しておりますが、それでもなおリスクが顕在化する可能性があります。また信用リスクが顕在化した場合の損失に備えるため、一定の見積りに基づいて貸倒引当金を設定しておりますが、実際に発生する損失がこれを超過する可能性があります。従って、こうした管理はリスクを完全に回避できるものではなく、顕在化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 訴訟リスク
当社グループは国内外で様々な事業活動を行っており、それらが訴訟や紛争等の対象となる可能性があります。対象となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 資金調達リスク
当社グループは金融機関からの借入等により資金調達を行っており、経済環境の変化や格付の低下等により、調達コストの増加や資金調達自体の制約を受ける可能性があります。その場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
平成27年12月9日開催の当社取締役会において、Tasman Bay Forests Companyが保有する山林資産を取得することを決議し、同年12月18日付けで資産売買契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
住友林業は、創業以来320余年に亘り「森」や「木」とともに歩んでまいりました。現在当社グループでは、経営理念において再生可能で人と地球にやさしい自然素材である「木」を活かし、「住生活」に関するあらゆるサービスを通じて豊かな社会の実現に貢献することを謳っております。研究開発分野においても、「木」と「住まい」を基本に、地球環境から住環境まで、私たちの暮らしを取り巻く環境を、より豊かに創造することを目指して取り組んでおります。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は15億3百万円であり、この中には各セグメントに配分していない、筑波研究所の研究開発費10億98百万円が含まれております。筑波研究所では各研究グループが、資源・材料から建築・住まいに至る、川上から川下までを網羅する研究技術開発を進めております。また、大学や政府の研究開発機関等とも密接な連携・協力関係を保っており、これにより研究開発活動を効果的に進めております。各研究グループの主な活動内容は、以下のとおりであります。
①建築住まいグループ
建物の安全・長期耐久に関する構工法技術、木の効果的な利用技術、低炭素・環境共生の実現技術などの開発を行っております。建築住まいグループの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。
・中大規模木造建築に関する技術の開発
国内で普及が期待される中大規模木造建築に関する構法、耐火関連技術、木質部材の開発を進めています。
・ライフサイクルカーボンマイナス住宅の開発
建設から居住、解体、廃棄までの住宅のライフサイクルにおけるCO2排出量が、トータルでマイナスになる
「ライフサイクルカーボンマイナス(LCCM)住宅」の研究開発を進めています。
・リフォーム技術の開発
既存住宅を活かしながら耐震性を強化する耐震リフォーム技術等、建物の資産価値向上に向けた技術の開発
を行っております。
②資源グループ
国内外の植林技術等の研究開発を行っております。資源グループの当連結会計年度における主な活動は以下の
とおりであります。
・植林技術の開発
未利用樹及び早生樹における植林技術の研究開発、さらに国内の苗木の大量生産技術の開発に取り組んで
おります。
・土壌浄化技術の開発
耐油性のある芝を活用して微生物の効果を引き出し、油で汚染された土壌を低コストで浄化できる技術の
開発に取り組んでおります。
③材料グループ
新しい木材の利活用技術の開発等を行っております。材料グループの当連結会計年度における主な活動は以下
のとおりであります。
・新しい木材利用技術の開発
木の可能性を引き出し、木材の利活用を推進するため、耐久性や耐火性などの性能付与や新規の用途開発の
研究に取り組んでおります。
なお、当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動の状況及び研究開発費は次のとおりであります。
(1)木材建材事業
国内の建材製造子会社において、安全性や機能性を付与した住宅用部材・建材の開発等を行っております。当事業に係る研究開発費は3億57百万円であります。
(2)海外事業
海外の建材製造子会社において、植林の研究等を行っております。当事業に係る研究開発費は48百万円であります。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。
(1)当連結会計年度の経営成績
国内の住宅市場については、住宅ローン金利が低水準に推移したほか、贈与税の非課税措置の拡充等、政府による住宅取得促進策が実施されたことにより、新設住宅着工戸数は92万1千戸(前期比4.6%増)、このうち、持家の着工戸数は28万4千戸(同2.2%増)となりました。
当社グループは、主力事業である木材建材事業及び戸建注文住宅事業の収益力向上に努めるとともに、市場環境の変化に対応できるバランスの取れたポートフォリオを構築するために、賃貸住宅事業、リフォーム事業及び海外事業に加え、非住宅建築物の木造化・木質化を進める木化事業、バイオマス発電事業及び有料老人ホームの運営事業等に経営資源を積極的に投入するなど、成長事業の拡大に取り組みました。その結果、売上高は1兆405億24百万円(前期比4.3%増)、売上総利益は1,831億34百万円(同8.0%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、退職給付会計に係る数理計算上の差異115億31百万円を人件費として一括処理した影響等により、1,530億41百万円(前期比12.9%増)となりました。
上記により、営業利益は300億93百万円(前期比11.5%減)、経常利益は305億7百万円(同16.2%減)となりました。
また、パプアニューギニアにおける植林事業用資産の減損損失を特別損失に計上したこと等により、税金等調整前当期純利益は262億43百万円(前期比24.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は97億27百万円(同47.6%減)となりました。
(2)当連結会計年度の財政状態
当連結会計年度末における総資産は、手元流動資金の増加や、海外住宅・不動産事業の拡大に伴うたな卸資産の増加等により、前連結会計年度末より436億50百万円増加し、7,091億88百万円となりました。負債は、長期借入金の増加や、数理計算上の差異発生の影響による退職給付に係る負債の増加等により、前連結会計年度末より403億4百万円増加し、4,450億61百万円になりました。また、純資産は2,641億27百万円、自己資本比率は34.3%となりました。
なお、キャッシュ・フローの状況については、「1業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載しております。