第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当期の世界経済は、新興国の一部に弱さが見られたものの、回復が続く米国経済や持ち直しの動きが見られた中国経済を中心として、緩やかな回復が続きました。わが国経済は、個人消費が依然として力強さを欠いたものの、設備投資や輸出に持ち直しの動きが見られたことから、緩やかな回復基調が続きました。

当社グループの事業と関連が深い国内の住宅市場に関しましては、住宅ローン金利が歴史的低水準で推移したことに加えて、貸家を中心とした着工が好調であったことなどから、新設住宅着工戸数は97万4千戸(前期比5.8%増)となりました。このうち、持家の着工戸数は29万2千戸(同2.6%増)となりました。

このような事業環境のもと、当社グループは、持続的成長のための事業基盤をより強固なものとし、「新たなステージへ向けた変革の推進」を実行するため、当期(第77期)を初年度とする3年間の中期経営計画「住友林業グループ 中期経営計画2018」を策定し、さらなる成長に向けて新たなスタートを切りました。本中期経営計画では、第79期末に売上高1兆1,700億円、経常利益550億円(退職給付会計に係る数理計算上の差異を除く)、ROE10%以上を目指すこととしました。当社グループは、本中期経営計画に則り、主力事業である木材建材事業及び国内の戸建注文住宅事業の収益力向上に努めるとともに、市場環境の変化に対応できるバランスの取れた事業ポートフォリオを構築するため、賃貸住宅事業、リフォーム事業、非住宅建築物の木造化・木質化を進める木化事業、海外事業、バイオマス発電事業及び有料老人ホームの運営事業等に経営資源を積極的に投入するなど、事業分野の拡大による収益源の多様化に取り組みました。

その結果、売上高は1兆1,133億64百万円(前期比7.0%増)となりました。また、利益面においては、前期に費用計上した退職給付会計に係る数理計算上の差異が当期は利益方向に働いたこともあり、営業利益は539億89百万円(同79.4%増)、経常利益は578億41百万円(同89.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は345億32百万円(同255.0%増)となりました。

セグメントの業績は、次のとおりです。各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。

 

<木材建材事業>

国内の木材・建材流通事業におきましては、為替相場が期の前半にかけて円高傾向で推移し、輸入商品の販売単価が下落したことなどから、売上高は前期並みであったものの、在庫の圧縮と付加価値の向上に努めたことにより、利益は堅調に推移しました。また、収益源を多様化するため、発電用木質燃料の取引拡大に努めるとともに、公共施設等の様々な用途の建築物に活用できる純木質耐火集成材「木ぐるみFR」の販売を開始しました。

国内の建材製造事業におきましては、当社グループ向けの建材販売が計画どおりに推移し、収益性は改善しました。

海外流通事業におきましては、統括拠点であるシンガポールを中心に主に東南アジア諸国向けの木材・建材商品の販売に注力しました。

 

以上の結果、木材建材事業の売上高は4,244億40百万円(前期比0.6%減)、経常利益は44億56百万円(同32.9%増)となりました。

 

<住宅事業>

戸建注文住宅事業におきましては、高い耐震性能と設計自由度を両立した当社オリジナルの「BF構法(ビッグフレーム構法)」による住宅や、エネルギー消費量が正味ゼロとなるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様の住宅の販売に注力したところ、完工引渡棟数が伸長し、売上高は増加しました。商品面では、充実した備蓄スペースとライフラインが遮断されても一定期間生活することができる機能を備えた住宅「BF-Si Resilience Plus(ビーエフエスアイ レジリエンス プラス)」を発売しました。また、楽しく分かりやすい体験型の住まいづくりを目指して、お客様がご計画中の設計プランを三次元空間として疑似体験できるVR(バーチャルリアリティ)システムの導入を開始しました。

賃貸住宅事業におきましては、間取りの可変性が高い当社オリジナルの「WF構法(ウォールフレーム構法)」を用い、入居者ニーズの変化に柔軟に対応できる賃貸住宅の提案に注力しました。また、一昨年の相続税制改正等を背景とした資産活用への関心の高まりもあって引渡戸数が増加したことから、売上高は前期に引き続き増加しました。なお、お客様の賃貸事業の長期安定経営をサポートする体制をさらに強化するため、賃貸住宅専用の体験参加型コンサルティングスペース「新宿フォレストメゾンプラザ」を開設しました。

リフォーム事業におきましては、既存住宅の耐震化促進及び資産価値向上のため、マイホームの賃貸を希望するお客様が住友林業ホームテック株式会社の耐震リフォームを実施し、一定の基準を満たすことによって、一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)から最長35年にわたり家賃保証を受けられる制度をリフォーム業界で初めて開始しました。しかしながら、大型リフォームの売上が伸びず、利益は減少しました。

木化事業におきましては、国産材を活用した公共建築物等の木造化・木質化の機運が高まる中で、耐火構造が求められる都市部において耐火集成材を活用した木質感の高い事務所ビルの工事を受注するなど、木造・木質の中高層建築の市場拡大に努めました。また、東日本大震災の被災地では、高台への小学校移転再建工事において、構造材に地元の東北産材を主に用いた木造校舎を竣工し、引き渡しました。

 

以上の結果、住宅事業の売上高は4,662億98百万円(前期比2.6%増)、経常利益は323億49百万円(同2.7%増)となりました。

 

<海外事業>

製造事業におきましては、ニュージーランドにおいて、日本及び北米向けのMDF(中密度繊維板)の販売が好調であったほか、原材料等の調達価格の引き下げにより製造コストが低減したことから、利益は大幅に増加しました。一方、インドネシアにおいては、主力製品である合板の販売単価が市場における競争激化により下落したことから、収益は減少しました。なお、豪州における経営資源の最適化及び経営の効率化等を総合的に検討した結果、本年3月に、同国においてMDFの製造及び販売を行ってきた子会社Alpine MDF Industries Pty Ltd.の全株式を譲渡しました。

住宅・不動産事業におきましては、米国及び豪州の安定的な住宅市場を背景に、既存各社による販売棟数が伸長したことに加えて、昨年1月に持分を取得した米国東部の住宅事業会社DRBグループが業績に寄与したことなどから、収益は引き続き増加しました。なお、咋年4月には米国連結子会社のGehan Homesグループの持分を追加取得し同社を100%子会社にするとともに、同年7月には豪州シドニーを中心に住宅事業を行うWisdomグループの持分51%を、本年2月には米国西部において住宅事業を行うEdge Homesグループの持分70%をそれぞれ取得し、連結子会社化しました。既存各社の成長とこれらM&Aの効果により、目標としている海外における年間販売棟数8,000棟の実現に向け、順調に販売棟数を伸ばしました。

 

以上の結果、海外事業の売上高は2,478億90百万円(前期比31.9%増)、経常利益は193億10百万円(同47.5%増)となりました。

 

<その他事業>

当社グループは、上記事業のほか、バイオマス発電事業、海外における植林事業、有料老人ホームの運営事業、リース事業、住宅顧客等を対象とする保険代理店業等の各種サービス事業、農園芸用資材の製造・販売事業、グループ内各社を対象とした情報システム開発等を行っています。

なお、バイオマス発電事業においては、北海道紋別市におけるバイオマス発電所の営業運転を昨年12月より開始しました。また、前期に減損損失を計上したインドネシアの植林事業の業績については、当期は計画を上回りました。

 

その他事業の売上高は229億79百万円(前期比36.2%増)、経常利益は22億23百万円(前期経常損失10億22百万円)となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より85億58百万円減少して1,327億7百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により資金は403億37百万円増加しました(前連結会計年度は457億5百万円の増加)。これは、海外住宅・不動産事業の拡大に伴うたな卸資産の増加等により資金が減少した一方で、税金等調整前当期純利益585億23百万円の計上等により資金が増加したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により資金は623億50百万円減少しました(前連結会計年度は99億72百万円の減少)。これは、ニュージーランドの山林資産取得や国内のバイオマス発電所の設備投資、米国と豪州の住宅事業会社の持分新規取得に資金を使用したこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により資金は142億67百万円増加しました(前連結会計年度は18億13百万円の増加)。これは、米国連結子会社の持分追加取得、配当金の支払等により資金が減少した一方で、社債発行等の有利子負債の増加により資金が増加したことによるものであります。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 受注状況

当連結会計年度における住宅事業の受注状況を示すと、次のとおりであります。

当連結会計年度(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)

セグメントの名称

受注高
(百万円)

 

受注残高
(百万円)

 

前年同期比
(%)

前年同期比
(%)

住宅事業(提出会社)

313,824

96.6

282,736

93.9

 

(注) 1 住宅事業のうち、提出会社における注文住宅及び賃貸住宅、並びにその他請負の該当金額を記載しております。

2 受注高には、当連結会計年度の新規受注に加えて、期中の追加工事によるものが含まれております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4 当社グループの展開する事業は多様であり、生産実績を定義することが困難であるため「生産状況」は記載しておりません。

 

(2) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 平成28年4月1日
 至 平成29年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

木材建材事業

424,440

99.4

住宅事業

466,298

102.6

海外事業

247,890

131.9

報告セグメント計

1,138,628

106.5

その他事業

22,979

136.2

調整額

△48,243

合計

1,113,364

107.0

 

(注) 1 各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。

2 調整額には、特定のセグメントに区分できない管理部門等における売上高を含み、セグメント間の内部売上高を消去しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「再生可能で人と地球にやさしい自然素材である『木』を活かし、『住生活』に関するあらゆるサービスを通じて、豊かな社会の実現に貢献する」ことを経営理念に掲げ、この理念のもと、企業価値の最大化を目指すことを経営の基本方針としております。

この実現のため、当社グループは、公正、信用を重視し、社会を利する事業を進めることを旨とする「住友精神」の遵守、多様性を尊重し、自由闊達な企業風土をつくる「人間尊重」、持続可能な社会を目指し、環境問題に全力で取り組む「環境共生」、お客様満足に徹し、高品質の商品・サービスを提供する「お客様最優先」の4つを行動指針として、経営の効率化、収益性の向上を重視した事業展開を行っております。
また、情報開示を積極化し経営の透明性を高めることで、経営品質の向上を図っております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、「売上高」及び「経常利益」をグループ全体の成長を示す経営指標と位置づけています。また、経営の効率性を測る指標として「自己資本利益率(ROE)」を重視しており、中長期的にROEを10%以上の水準に維持することを目標としています。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

今後の世界経済は、米国を中心とした先進国経済の回復や新興国経済の持ち直しが見込まれることにより、緩やかな回復が続くことが期待されます。しかしながら、保護主義的な動きの高まりや米国における利上げの影響等のリスクに引き続き留意が必要な状況です。わが国経済は、世界経済の回復や企業収益の改善等により設備投資や輸出の増加が期待されることなどから、引き続き緩やかに回復することが見込まれるものの、個人消費は依然として力強さに欠けることが懸念されます。

このような事業環境のもと、当社グループは、「木」を活用した総合住生活関連事業を営む企業グループを目指し、主力事業である「戸建注文住宅事業」と「木材建材事業」に加え、今後主力事業の一角を担うことを目指して他の事業も積極的に強化しています。その中でも、海外において戸建住宅等の建築工事の請負・販売や木質建材の製造・販売を行う「海外事業」と、戸建注文住宅事業で培った技術力を基盤に当社施工物件及び一般物件のリフォーム等を行う「ストック事業」の拡大を進めていきます。

これらを早期に主力事業に成長させるとともに、社会環境の変化を先取りした事業戦略を推進することで、国内及びグローバル市場での多様な収益源を構築し、「住生活」に関するサービスを提供する企業として、豊かな社会の実現に貢献します。今後の事業展開に必要な更なる技術力の強化及び人材の育成についてはグループを挙げて優先的に取り組んでまいります。

 

また、当社グループは、元禄年間の創業以来、森と木を育て自然と共生してきた企業グループとして、企業文化として培ってきたサステナブル(持続可能)の考え方を基本に、木の資産価値の変革・生物多様性の保全に関する取り組みを日本企業の先頭に立って行い、森林保有・管理面積の拡大を図りながら環境及び社会と調和のとれた質の高い事業活動を目指します。

 

以上を中長期的な目標に掲げ、今後もその達成に向けた経営戦略を着実に展開してまいります。

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 住宅市場の動向

当社グループの業績は、住宅市場の動向に大きく依存しております。そのため、以下のような状況の変化により、住宅受注が大幅に減少する事態となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

①景気変動

経済状況の低迷や景気見通しの後退及びそれらに起因する雇用環境の悪化や個人消費の落込みは、お客様の住宅購買意欲を減退させる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与えるものと考えられます。

 

②金利変動

金利変動とりわけ長期金利の上昇は、ローンによる支払いを行うケースが多い戸建住宅を建てるお客様や、土地活用のために集合住宅等の建築物を建てるお客様にとって、支払総額の増加をもたらすため需要を減退させる可能性があります。ただし、金利の先高観は、金利上昇に伴うローンによる支払総額の上昇を回避するための駆け込み需要を喚起し、一時的に住宅需要を増加させる可能性があります。

 

③地価の変動

地価の大幅な上昇は、土地を所有していないお客様の住宅購買意欲を冷え込ませる可能性があります。一方、地価の大幅な下落は土地を所有しているお客様に対して資産デフレをもたらし、建替え需要を減退させる可能性があります。そのため、地価の大幅な上昇や下落は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 

 

④税制及び住宅関連政策の変更

今後予定されている消費税の税率引上げは、住宅購入の駆け込み需要を喚起し、一時的に住宅需要を増加させる可能性がある一方、その後は反動減を招く懸念があります。また、住宅ローン減税や補助金制度等の住宅関連政策の変更は、お客様の住宅購買意欲に影響を与え、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 

 

(2) 法的規制の変更

住宅事業を取り巻く法規制には、建築基準法、建設業法、建築士法、宅建業法、都市計画法、国土利用計画法、住宅品質確保促進法、廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)等に加え、個人情報保護法など様々な規制があります。当社グループはこれら法規制の遵守に努めておりますが、関係する法規制の改廃や新たな法規制の制定が行われた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(3) 他社との競合

当社グループは木材建材事業や住宅事業をはじめとする様々な事業を行っており、それぞれの事業において競合会社との間で競争状態にあります。従って、当社グループの商品・サービスの品質・価格・営業力等について競合会社より優位に立てない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

(4) 資本・投資戦略

当社グループは様々な事業に対する投資を行っておりますが、経営環境の変化、投資先やパートナーの業績悪化・停滞等により当初計画どおりの収益計上や投資回収が進まない場合は、投資の一部又は全部の損失や、追加資金の拠出が必要となる可能性があります。また、パートナーの経営方針や投資対象の流動性の低さ等により当社グループが希望する時期や方法による事業撤退又は再編を進められない可能性があります。これらの場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5) 木材・建材及びその他原材料市況

木材・建材価格の低下は木材・建材流通事業において売上高の減少をもたらします。一方、木材・建材価格の上昇は、その他の住宅資材価格と同様、住宅部門において資材の仕入価格の上昇を招きます。そのため、木材・建材価格の急激な変動並びに、原油等、木材・建材以外の直接・間接的な原材料市況の変動は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6) 為替レートの変動

外貨建て輸入に際しては、為替予約を行うなど為替リスクを低減するための措置をとっておりますが、為替変動により一時的に想定以上のコスト変動が発生する場合があります。また、海外で木質建材等を製造販売する関係会社において、会計通貨に対する決済通貨の為替変動が当該会社の業績に影響を及ぼす場合があります。そのため、為替の急激な変動は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 品質保証

当社グループは取扱商品及び住宅等の品質管理には万全を期しておりますが、予期せぬ事情により重大な品質問題等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 海外での事業活動

当社グループは海外で事業活動を展開している他、海外商品の取扱等、海外の取引先と多くの取引を行っております。従って、日本のみならず関係各国の法律や規制、経済・社会情勢及び消費者動向等の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 退職給付債務

当社グループの年金資産の運用環境が大幅に悪化した場合や数理計算上の前提条件を変更する必要性が生じた場合、追加的な年金資産の積み増しを要する、あるいは年金に関する費用が増加する等の可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 株式市場

株式市場の大幅な変動等を原因として当社グループが保有する有価証券の評価損等を計上する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 自然災害

大規模な地震や風水害等の自然災害が発生した場合には、保有設備の復旧活動や引渡済の住宅に対する安全確認及び建築請負物件等の完工引渡の遅延等により多額の費用が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 情報セキュリティ

当社グループはお客様に関する膨大な情報を保有しており、情報管理に関する規程及び体制の整備やグループ全社の従業員等に対する教育の徹底等により、お客様に関する情報の管理には万全を期しております。しかしながら、悪意のある第三者によるコンピュータへの侵入や盗難、従業員及び委託先等の人為的ミス、事故等によりお客様に関する情報が外部に漏洩した場合、お客様からの損害賠償請求やお客様及びマーケット等からの信頼失墜により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(13) 環境関連

当社グループは「環境共生」を経営理念の4つの行動指針の中に掲げ、経営の最重要事項の一つとして取り組んでおります。しかしながら、国内及び海外における環境に関する法的規制等の変化や事故・災害等により重大な環境問題が発生した場合、罰金、補償金又は問題解決のための対策コストが必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 保有資産の価値下落

当社グループが保有している不動産や商品などの資産について、市況の著しい悪化等によってそれらの価値が下落した場合は評価損の計上や減損処理を行う可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 取引先の信用供与

当社グループは取引先に対する売上債権などの信用供与を行っており、信用リスクの顕在化を防ぐために適切な限度額を設定するなど、与信管理を徹底しておりますが、それでもなおリスクが顕在化する可能性があります。また信用リスクが顕在化した場合の損失に備えるため、一定の見積りに基づいて貸倒引当金を設定しておりますが、実際に発生する損失がこれを超過する可能性があります。従って、こうした管理はリスクを完全に回避できるものではなく、顕在化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 訴訟リスク

当社グループは国内外で様々な事業活動を行っており、それらが訴訟や紛争等の対象となる可能性があります。対象となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) 資金調達リスク

当社グループは金融機関からの借入等により資金調達を行っており、経済環境の変化や格付の低下等により、調達コストの増加や資金調達自体の制約を受ける可能性があります。その場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

 

 

 

6 【研究開発活動】

住友林業は、元禄年間の創業以来、「森」や「木」とともに歩んでまいりました。現在当社グループでは、経営理念において再生可能で人と地球にやさしい自然素材である「木」を活かし、「住生活」に関するあらゆるサービスを通じて豊かな社会の実現に貢献することを謳っております。研究開発分野においても、「木」と「住まい」を基本に、地球環境から住環境まで、私たちの暮らしを取り巻く環境を、より豊かに創造することを目指して取り組んでおります。

当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は18億66百万円であり、この中には各セグメントに配分していない、筑波研究所の研究開発費13億88百万円が含まれております。筑波研究所では各研究グループが、資源・材料から建築・住まいに至る、川上から川下までを網羅する研究技術開発を進めております。また、大学や政府の研究開発機関等とも密接な連携・協力関係を保っており、これにより研究開発活動を効果的に進めております。各研究グループの主な活動内容は、以下のとおりであります。

 

①建築住まいグループ

建物の安全・長期耐久に関する構工法技術、木の効果的な利用技術、低炭素・環境共生の実現技術などの開発を行っております。建築住まいグループの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。

・中大規模木造建築に関する技術の開発

国内で普及が期待される中大規模木造建築に関する構法、耐火関連技術、木質部材の開発を進めています。

・次世代住宅技術の開発

次世代BF構法(ビッグフレーム構法)、外壁材・外部部材の耐久性向上技術、音・振動対策技術、エネルギーの効率的利用方法等の研究開発を進めています。

・リフォーム技術の開発

既存住宅を活かしながら耐震性を強化する耐震リフォーム技術等、建物の資産価値向上に向けた技術の開発を行っております。

 

②資源グループ

国内外の植林技術等の研究開発を行っております。資源グループの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。

・植林技術の開発

未利用樹及び早生樹における植林技術の研究開発、さらに国内の苗木の大量生産技術の開発に取り組んでおります。

・土壌浄化技術の開発

耐油性のある芝を活用して微生物の効果を引き出し、油で汚染された土壌を低コストで浄化できる技術を確立しました。

 

③材料グループ

新しい木材の利活用技術の開発等を行っております。材料グループの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。

・新しい木材利用技術の開発

木の可能性を引き出し、木材の利活用を推進するため、耐久性や耐火性などの性能付与や新規の用途開発の研究に取り組んでおります。

 

なお、当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動の状況及び研究開発費は次のとおりであります。

 

(1) 木材建材事業

国内の建材製造子会社において、安全性や機能性を付与した住宅用部材・建材の開発等を行っております。当事業に係る研究開発費は4億26百万円であります。

 

(2) 海外事業

海外の建材製造子会社において、植林の研究等を行っております。当事業に係る研究開発費は52百万円であります。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりであります。

 

(1) 当連結会計年度の経営成績

国内の住宅市場については、住宅ローン金利が歴史的低水準で推移したことに加えて、貸家を中心とした着工が好調であったことなどから、新設住宅着工戸数は97万4千戸(前期比5.8%増)となりました。このうち、持家の着工戸数は29万2千戸(同2.6%増)となりました。

当社グループは、主力事業である木材建材事業及び国内の戸建注文住宅事業の収益力向上に努めるとともに、市場環境の変化に対応できるバランスの取れた事業ポートフォリオを構築するため、賃貸住宅事業、リフォーム事業、非住宅建築物の木造化・木質化を進める木化事業、海外事業、バイオマス発電事業及び有料老人ホームの運営事業等に経営資源を積極的に投入するなど、事業分野の拡大による収益源の多様化に取り組みました。その結果、売上高は1兆1,133億64百万円(前期比7.0%増)、売上総利益は2,041億38百万円(同11.5%増)となりました。

販売費及び一般管理費は、前期に費用計上した退職給付会計に係る数理計算上の差異が当期は利益方向に働いたこともあり、1,501億49百万円(前期比1.9%減)となりました。

上記により、営業利益は539億89百万円(前期比79.4%増)、経常利益は578億41百万円(同89.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は345億32百万円(同255.0%増)となりました。

 

(2) 当連結会計年度の財政状態

当連結会計年度末における総資産は、ニュージーランドの山林資産取得に伴い林木が増加したことに加え、海外住宅・不動産事業の拡大に伴いたな卸資産が増加したこと等により、前連結会計年度末より832億99百万円増加し、7,936億17百万円となりました。負債は、上記の山林資産取得等に充当するために社債を発行したことに加え、長期借入金が増加したこと等により、前連結会計年度末より532億12百万円増加し、4,982億73百万円になりました。また、純資産は2,953億44百万円、自己資本比率は34.6%となりました。

なお、キャッシュ・フローの状況については、「1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載しております。