第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「公正、信用を重視し社会を利するという『住友の事業精神』に基づき、人と地球環境にやさしい『木』を活かし、人々の生活に関するあらゆるサービスを通じて、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する」ことを経営理念に掲げ、この理念のもと、企業価値の最大化をめざすことを経営の基本方針としております。

この実現のため、当社グループは、お客様の感動を生む高品質の商品・サービスを提供する、新たな視点で次代の幸福に繋がる仕事を創造する、多様性を尊重し自由闊達な企業風土をつくる、日々研鑽を積み自ら高い目標に挑戦する、正々堂々と行動し社会に信頼される仕事をする、の5つを行動指針として、経営の効率化及び収益性の向上を重視した事業展開を行っております。

また、情報開示を積極化し経営の透明性を高めることで、経営品質の向上を図っております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、「売上高」及び「経常利益」をグループ全体の成長を示す経営指標と位置づけております。また、経営の効率性を測る指標として「自己資本利益率(ROE)」を重視しており、中長期的にROEを10%以上の水準に維持することを目標としております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

世界経済は、主要各国の迅速な金融緩和策や経済対策効果もあり、一時の深刻な景気悪化から持ち直しておりますが、昨年末以降、各国で新型コロナウイルス感染症が再拡大し、欧州等を中心に再び大規模な行動規制が導入されたことにより、景気の先行き不透明感が強まっております。わが国経済につきましても、全体的には個人消費の持ち直しや輸出の増加がみられるものの、年初に東京都をはじめとした大都市圏で再び緊急事態宣言が発出される等、景気回復が大きく遅れる懸念は拭えません。また、バイデン新政権下の米国と中国との貿易摩擦の動向をはじめ、政治・経済面の不安要素が多く、今後も予断を許さない状況が続くものと考えられます。

このような事業環境のもと、当社グループは、「木」を活用した総合生活関連事業を営む企業グループを目指し、戸建注文住宅事業と木材建材事業をはじめ、その他の事業についても積極的に展開しております。その中でも、海外で戸建住宅や集合住宅の販売などを行う海外住宅・不動産事業と、国内の戸建注文住宅事業で培った技術力を基盤として住まいに新しい価値を生み出すリフォーム等を行うストック事業、さらに非住宅建築物の木造化・木質化などを推進する木化事業の拡大に注力しております。

こうした事業を国内外で積極的に展開し、社会環境の変化に柔軟に対応しながら収益源の多角化を図ることで、人々の生活に関するあらゆるサービスを提供する企業として、豊かな社会の実現に貢献します。また、今後の事業展開に必要となる戦略を推進するために、新たな技術の開発や従業員の育成、そしてガバナンスの強化についても、優先的に取り組んでまいります。

当社グループは、1691年の創業以来、森と木を育て自然と共生してきた企業グループとして、長い歴史の中で培ってきたサステナブル(持続可能)の考え方を基本に、木の資産価値の変革・生物多様性の保全に関する取り組みを日本企業の先頭に立って行い、森林保有・管理面積の拡大を図りながら、地球環境及び社会と調和のとれた質の高い事業活動を目指します。

 

  (事業セグメント別の今後の見通し)

当社グループは、「中期経営計画2021」の最終年度となる第82期において、国内外の事業環境が同感染症の著しい拡大により当初の想定から大きく変化しておりますが、持続的な成長に向けた経営基盤の強化と更なる成長に向けた未来志向の事業戦略の推進に、邁進してまいります。
木材建材事業におきましては、流通事業において、持続可能な木材調達に関するサプライチェーンを活用した植林木等の環境配慮型商品の拡販を図るとともに、非住宅建築市場に対する取り組み拡大、発電用木質燃料の安定的な供給体制の構築に引き続き注力してまいります。製造事業においては、流通事業との連携による製販一体化を更に推進し、お客様のニーズに応える付加価値の高い商品開発に努め、収益力向上を図ってまいります。
住宅・建築事業におきましては、主力の戸建注文住宅事業において、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様の住宅の受注活動に引き続き注力するほか、WEBを活用した営業活動を強化するとともに、在宅勤務の広がりなどライフスタイルの変化に対するお客様のニーズに即したプランの提案に注力してまいります。なお、子会社の戸建住宅の増築工事における建築基準法令への不適合に関しまして、社外の専門家を含む委員により構成される特別調査委員会の再発防止に関する提言を踏まえ、同社において再発防止策を昨年8月に公表しました。当社は、今回の事態を厳粛に受け止め、グループ一丸となって再発防止策の実行に努めてまいります。

海外住宅・不動産事業におきましては、米国及び豪州での戸建住宅事業において前期に積み上げた受注物件の工事を促進するとともに、事業エリアの特性に応じた商品展開やリモートワークなどの顧客ニーズを的確に捉えた取り組みを実施することにより引渡戸数の増加に注力してまいります。米国における不動産開発事業においては、集合住宅及び商業複合施設の売却を計画通り進めるほか、収益の安定化に向けて市場を慎重に見極めつつ新規投資案件の拡充を図ってまいります。また、不動産投資リスクに関しては、販売用不動産の在庫状況を定期的に確認することや保有不動産の価値を計測すること等、社内規程に基づくモニタリングを適正に実施し、市況に応じた機動的な対応が可能となる体制整備に一層努めてまいります。
資源環境事業におきましては、バイオマス発電事業において、既に稼働している各発電事業所を安定的に運営することや稼働予定の新規事業所を計画通りに運転開始することに取り組むとともに、再生可能エネルギー事業の更なる拡大を図ってまいります。また、国内のみならず、ニュージーランド、インドネシア、パプアニューギニアにおいてもサステナブル(持続可能)な森林経営を引き続き推進してまいります。

 

 (気候変動への取り組み及びSDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献)

2015年に国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)においてパリ協定が採択され、わが国においても2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指すことが宣言されるなど、世界各国において「脱炭素社会」に向けた取り組みが加速しております。当社におきましても、気候変動に対して、科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出量の長期削減目標であるSBT(Science Based Targets)や事業で使用する電力の100%再生可能エネルギー化を目指すRE100に向けた取り組みを着実に実行してまいります。
当社が管理保有する森林資源は木材の生産だけではなく、二酸化炭素(CO2)を吸収して炭素として固定するほか、水源涵養や生物多様性の保全、土砂災害防止などの機能を果たす大切な自然資本です。木造建築は環境負荷の低い木材を豊富に活用することで、鉄やコンクリートといった他の資材に比べて建築時のCO2排出を抑えることができ、建物が使用される限り炭素を長期間固定できます。また、木質バイオマス発電事業は化石燃料を使用する発電に比べて多くのCO2を削減できます。これらの事業を通じて当社グループは環境・社会課題を解決し、「環境的価値」と「社会的価値」からなる「公益的価値」を創出してまいります。

国際連合が国際社会共通の目標として定めたSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けては、「中期経営計画2021」の基本方針の一つに「事業とESGへの取り組みの一体化推進」を掲げ、SDGs達成に貢献する目標に積極的に取り組むなど、企業に求められる社会的責任を果たしてまいります。

当社グループは、以上の取り組みとともに、社会の変化を見据え、ステークホルダーの声に耳を傾けながら、コーポレート・ガバナンスを充実させ、環境共生、お客様満足の向上、人権・多様性尊重、リスク管理・法令遵守に関する取り組みを引き続き強化してまいります。

また、同感染症を契機としたニューノーマルに対応するため、リアルデータの活用を含めたデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に積極的に取り組むこと等により、新たな付加価値の創出、生産性向上及び働き方改革の実現に努めてまいります。

 

以上を中長期的な目標に掲げ、今後もその達成に向けた経営戦略を着実に展開してまいります。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響については具体的な内容を見積もることは困難であるため、記載しておりません。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)国内外の住宅市場の動向に関するリスク

当社グループの業績は、国内外における住宅市場の動向に大きく依存しております。

国内外の経済状況の低迷や景気の見通しの後退、それらに起因する雇用環境の悪化や個人消費の落ち込みは、お客様の住宅購買意欲を減退させる可能性があります。また、各国の金利政策や住宅関連政策の変更、地価の変動等も、お客様の住宅購買意欲に大きな影響を与えるため、これらの顧客ニーズの変化が住宅市況を悪化させ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

上記リスクに対して、国内の住宅・建築事業では、次のような対策により、当社の独自性を強調し、住宅市場における優位性の確保を図っております。

 

①戸建注文住宅事業では、当社独自の商品や技術力・設計力を活かした提案を強化し、お客様の様々な要望にお応えすることで、受注拡大に努めております。具体的には、環境配慮型商品の受注に注力するとともに、天井高、床材・建具の種類やデザインに豊富な選択肢を用意し、お客様の要望に沿って様々な室内空間を実現する提案等を行っております。

 

②賃貸住宅事業では、多様化する入居者のライフスタイルに対応して、賃貸住宅に求められる性能を的確に把握し、より快適な住環境を提供することに努めております。その他、リフォーム事業では、高い技術力を活かした耐震リフォームや旧家再生リフォームに注力し、建築物の木造化・木質化を推進する木化事業では、中大規模木造建築物への取り組みを強化しております。

 

また、米国・豪州だけでなく、東南アジアにおいても、住宅事業・不動産開発事業を進めることで、参入する住宅市場を分散し、収益基盤の多様化と事業の多角化を図っております。このため、海外住宅・不動産事業においては不動産投資リスクに関する社内ルールの運用を徹底し、事業規模拡大に伴う不動産投資残高の増加に対して、各国の住宅マーケットの的確な把握とモニタリング、適正な在庫管理の徹底を図るなど、投資リスクの低減に努めております。

 

(2)法的規制等に関するリスク

当社グループは、木材建材事業や住宅・建築事業をはじめ人々の生活に関する様々な事業を行っております。各事業を取り巻く法規制は多岐にわたり、建築基準法、建設業法、建築士法、宅地建物取引業法、住宅品質確保促進法、介護保険法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、労働基準法、労働安全衛生法等に加え、個人情報保護法など、多くの法規制に従う必要があります。当社グループでは次のような対策によりこれら法規制の遵守に努めておりますが、これらの法規制に適合しない事態が発生した場合、罰金や、行政処分による事業の制約によって社会的信用が低下し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

①執行役員を委員とする「リスク管理委員会」を設置し、各部署選定の全リスク項目から抽出した「重点管理リスク」の顕在化事例や、リスク回避のための対応の実効性について、定期的に確認と協議を行っております。

 

②親会社総務部のリスク管理・コンプライアンスグループでは、国内関係会社に対して、各種法令の遵守状況について一斉点検を実施しております。実施後には、点検で見つかった指摘事項について、各関係会社にフィードバックを実施し、各社が体制の強化や是正に取り組むよう指導しております。

 

③各事業本部管理部門による、支店や建築現場に対する監査や実査を実施しております。

 

④上記の点検や監査は、事業に応じて取得しているISO規格に基づいて実施するなど、実効性のあるマネジメント体制を構築しております。

 

(3)為替に関するリスク

当社グループは、海外関係会社を通じて海外での事業活動を展開しているほか、木材・建材の外貨建ての輸出入取引や三国間取引を行っております。海外での事業活動及び外貨建ての取引では、為替変動により外貨建ての収益及び費用の円換算額が増減したり、為替換算調整勘定を通じて純資産が増減したりするリスクが存在します。これらのリスクに対応するため、当社グループでは為替予約を行うなどの対策を取っておりますが、急激な為替変動は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(4)品質保証に関するリスク

当社グループは、国内外で取扱商品・サービス及び住宅等の品質管理に万全を期しておりますが、予期せぬ事態や人為的ミスによる重大な品質問題等が発生することを、完全に回避することはできません。具体的には、品質保証責任を問われる住宅等の重大な欠陥、有料老人ホーム運営事業等における高齢者向け事業特有の事故等が発生する場合があります。また、特に海外においては、品質不良を原因とするクラスアクション等の訴訟により、高額の賠償責任や対応費用が生じるリスクがあります。さらには、合法性や持続可能性に疑義のある木材の調達により、政府によるペナルティや環境保護団体等からの批判を受けるリスクがあります。これらのリスクに備え、当社では次のような対策を取っておりますが、多額の損害賠償や社会的信用の失墜が発生した場合には、こうしたリスクの顕在化が、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

①法規制に適合する部材の使用、有資格者の適切な配置、適切な施工体制の整備を徹底しております。

 

②戸建住宅事業において、長期保証制度を設け、きめ細やかなアフターサービスを提供しております。

 

③有料老人ホーム事業においては、オペレーションミスによる事故を回避するため、サービス提供手順のマニュアルを作成し、周知を徹底しております。施設内でインフルエンザ等の感染症が蔓延するのを防止するため、社員に予防接種を義務付けるなど感染症対策にも努めております。

 

④木材の調達に関しては、調達部門及びサステナビリティ推進部門による「木材調達委員会」を定期開催し、合法性と持続可能性の確認及び勉強会などを含む情報共有を実施しております。

 

(5)取引先への信用供与に関するリスク

当社グループは取引先に対する売上債権等の信用供与を行っており、信用リスクの顕在化を防ぐために適切な限度額を設定するなど、与信管理を徹底しておりますが、それでもなおリスクが顕在化する可能性を完全に回避することは困難です。また、信用リスクが顕在化した場合の損失に備えるため、一定の見積りに基づいて貸倒引当金を設定しておりますが、実際に発生する損失がこれを超過する可能性があります。このため、取引先の支払い不能等の信用リスクの顕在化は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(6)海外での事業活動に関するリスク

当社グループは、海外で事業活動を展開しているほか、海外商品の取扱い等、海外の取引先と多くの商取引を行っております。各国の政治・経済・社会情勢の変化を注視し、現地の法規制等の遵守、慣習による贈収賄の横行や社員による着服の防止、重大労災の発生防止等に努めておりますが、特に、当社グループの木材の調達先及び製造拠点の一部であり、大規模植林事業も展開しているパプアニューギニアやインドネシアなどの新興国においては、これらのリスクが顕在化する可能性を完全に回避することは困難です。社内管理の不備により、法規制への違反や不法行為などのコンプライアンス違反が発生し、高額の金銭の流出事件が発生したり、現地政府からペナルティを受けたり、死亡労災等を防げずに被災者遺族から多額の損害賠償請求を受けたりした場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。こうしたリスクを最小化するために、当社では次のような対策をとっております。

 

①海外の各製造拠点において、労働安全衛生体制の整備に努め、使用する重機の安全装置や作業者の安全装備を充実させるとともに、積極的な従業員教育に取り組んでおります。

 

②社内監査、会計監査、税務調査などで発覚した指摘事項を関係会社各社で共有し、より効果的な管理体制の構築に努めております。

 

③海外関係会社各社に、贈収賄防止規定を整備しております。

 

④海外出張者・海外駐在員に対し、渡航前に安全教育や危機管理研修を実施しております。

 

(7)保有・管理する山林や植林事業地に関するリスク

当社グループは、国内社有林で計画的な森林経営を展開するほか、海外でも広大な植林地を管理し、生物多様性の保全や地域社会の発展に貢献するための活動を実施しております。国内外で所有・管理する山林・植林地では、以下のような取り組みやリスク対策を実施しておりますが、大規模な山林火災や病害虫による植林木の損失、誤った伐採量の試算による過剰伐採、地域住民からの反発、環境保護団体からの批判活動が長期間続いた場合には、これらのリスクの顕在化が、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

①国内外の社有林及び植林事業地で、植林・育林・収穫を計画的かつ継続的に実施する保続林業の考え方を基本に、持続可能な木材生産に努めております。過剰に木材を伐採することがないよう、施業計画の立案とこれに沿った森林経営を実施しております。

 

②山林火災防止のため、火災リスクの高い時期における関係者以外の管理地への立ち入り規制や、数値化した火災リスクに応じた現場オペレーションの制定・遵守等を実施しております。また、火の見櫓から煙の発生を監視したり、パトロールを実施したりするなど、早期の火災発見体制も整備しております。

 

③植林木の育成が阻害されないよう、計画的な間伐や下草等の刈払いなどの植林事業地全体の日常的な管理を徹底しております。また、適時生育状況をモニターすることにより病虫害を防止するとともに、獣害防止にも努めております。

 

④国内外の社有林及び植林事業地を取り巻く地域社会への貢献に努め、地域社会の発展に寄与する事業を展開しております。特に大規模植林事業を展開するインドネシアやパプアニューギニアでは、地域の雇用創出、ライフライン設備の建設、環境教育等の活動を地道に展開し、地域に根差した活動を目指しております。

 

⑤国内外における森林資源の管理・活用拡大にあたっては、気候変動対策や生物多様性保全に配慮した取り組みを実施しております。具体的には、植林計画立案時の、地形や地質、生息する希少動物の把握に至るまでの詳細な調査実施などに努めております。

 

(8)情報漏洩に関するリスク

当社グループは、国内外の住宅・不動産事業等においてお客様に関する膨大な個人情報を保有しており、筑波研究所等の研究機関においては長年の研究成果等の大量の機密情報を保有しております。重要な情報の管理には万全を期しておりますが、個人情報等を含む書類・社給端末の盗難、従業員及び委託先等の人為的ミスなどの内部要因による情報漏洩、及び悪意ある第三者からの攻撃などの外部要因による情報漏洩を完全に回避することは困難です。個人情報が外部に流出した場合には、お客様及びマーケット等からの社会的信用の失墜や被害にあわれたお客様からの損害賠償請求を招く可能性や、会社の機密情報が流出した場合には、市場における競争力の低下や共同研究先からの損害賠償請求等を招く可能性があり、これらの情報セキュリティリスクの顕在化は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。なお、このようなリスクを低減するために、当社では次のような対策をとっております。

 

①全従業員を対象に、個人情報や機密情報の取り扱いに関する研修を定期的に実施しております。

 

②内部からの情報漏洩と外部からの侵入の両方に対するセキュリティ強化のため、多層防御システムを構築しております。また、システム担当者による情報漏洩を防ぐため、社内システム部門の承認手順を多重化するなどの対策を実施しております。

 

③個人情報や機密情報の電子化と、一定基準のセキュリティ設定をした社給端末への集約を推進し、書類の紛失による情報流出リスクに対応しております。

 

④シンクライアント端末を導入し、端末紛失時の情報流出リスクに対応しております。

 

⑤研究・開発に関する機密情報等、企業秘密を取り扱う案件では、必ず関係先と秘密保持契約を締結しております。

 

(9)退職給付会計に関するリスク

当社グループは、退職給付会計に係る数理計算上の差異について、発生年度に一括して費用処理する方法を採用しております。期初時点での想定よりも年金資産の運用環境が悪化した場合や、退職給付債務の計算に用いる割引率が低下した場合、数理計算上の差異の償却費用が発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。このような数理計算上の差異の発生に伴う損益変動リスクに対応するため、確定給付型と確定拠出型を組み合わせた退職給付制度を導入しているほか、年金資産の運用において安全性と収益性を考慮した適切な投資配分などを行っております。

 

(10)気候変動に関するリスク

気候変動によって生じる異常気象や生物多様性の変化等は、当社グループの企業努力だけでは回避することが困難であり、地球環境や世界経済に重大な影響を与えるおそれがあると同時に、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

物理的リスクとしては、自然災害の激甚化等が、住宅建設等の工期の遅れや被災した工事中建物の復旧活動等による建築コストの増加を招く可能性があります。また、異常気象の発生等が、生物資源である樹木の植生や成長に影響を与える可能性があるほか、管理する植林地、森林等が毀損される可能性があります。

移行リスクとしては、各国の森林保護政策や伐採規制等の変更・強化が、木材調達コストの増加を招く可能性があります。また、当社グループでは、建材製造事業や都市型及び山間地型のバイオマス発電事業を展開しているほか、研究技術開発構想「W350計画」に代表される、研究開発・技術革新活動に取り組んでおりますが、これらの設備や技術、エネルギー利用や温室効果ガス排出に関連する法規制等が変更された場合、操業コストの増加や、対応のための追加コストの発生を招く可能性があります。

持続可能で豊かな社会の実現に貢献することを経営理念とする当社グループでは、持続可能性の観点から気候変動に関するリスクを主要なリスクと捉え、次のような取り組みを実施しております。

 

①グループ全体の事業活動から生じる温室効果ガス排出量を、2030年までに2017年度比で21%削減するため、科学的根拠に基づいた排出削減目標(SBT:Science Based Targets)※1を策定し、中期経営計画等に織り込んで目標実現に向けて取り組んでおります。

 

②2018年に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)※2の提言内容への賛同を表明しました。同年からTCFDの提言に基づくシナリオ分析を実施し、投資家に向けた気候関連の財務情報開示に努めております。

 

③2020年3月から国際的イニシアティブ「RE100」※3に加盟し、2040年までに、自社グループの事業活動で使用する電力と発電事業における発電燃料を100%再生可能エネルギーにすることを目指し、取り組みを推進しております。

 

※1 当社グループの温室効果ガス排出削減目標は、2018年7月にSBTとしての認定。認定は、SBTイニシアティブによる。SBTイニシアティブとは、2015年に国連グローバル・コンパクト、CDP(機関投資家と協働して、企業が環境影響について情報開示と管理をすることを促す英国のNGO)、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)の4団体が、産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑えるための科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出削減目標を推進するために設立されたイニシアティブ。

 

※2 FSB(金融安定理事会)の指示により2015年に設置されたタスクフォース。企業が任意で行う気候関連のリスク・機会に関する情報開示のフレームワークが示されている。

 

※3 国際的な環境NGOであるThe Climate GroupとCDPが連携して運営する国際イニシアティブ。

 

11)自然災害等による緊急事態の発生に関するリスク

大規模な地震や風水害等の自然災害、戦争、火災、テロ、新型インフルエンザ等を含む重篤な感染症、暴動などの危機事象が発生し、従業員の生命に危機が生じるような緊急事態に陥った場合、事業継続が困難となる可能性があります。当社グループでは、そうした事態に備え、全社的な事業継続マネジメント(BCM)を推進しております。具体的には、緊急事態の発生に伴う事業中断による業績への影響の最小化を目的に、平時における活動と緊急事態発生時の対応方針等の基本事項を定める「BCM規程」を制定し、事象別の事業継続計画(BCP)を策定しております。個別のBCPを実現させるため、データ保存の二重化、安否確認システムの導入、帰宅困難対策、防災訓練、必要物資の備蓄等を実施しているほか、本社機能喪失を想定した代替拠点の整備や、平常時からのテレワーク環境の整備等によるリスクの分散に取り組んでおります。しかし、危機事象の多くは発生を予測することが困難であり、このような対策をもってしてもすべての被害や影響を回避できるとは限りません。

また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)については、今後感染状況がどのように収束するか、経済や社会にどのような影響を及ぼすか、先行きが不透明な状況が続いております。当社グループでは、日本国内及び事業を展開する諸外国における感染拡大状況に応じて様々な対策を実施しておりますが、世界的な移動制限や外出制限などの感染拡大防止策が当社グループの事業活動を制限し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社は、当連結会計年度より決算期(事業年度の末日)を3月31日から12月31日に変更し、当社グループの決算期を12月31日に統一しております。これに伴い、決算期変更の経過期間である当連結会計年度は2020年4月1日から2020年12月31日までの9ヶ月間の変則的な決算となるため、以下の対前期増減率に関しては、前第3四半期連結累計期間(2019年4月1日から2019年12月31日まで。以下、前年同一期間という。)との比較により記載しております。前年同一期間は、当社及び3月決算の連結子会社については2019年12月31日現在の財務諸表を、12月決算の連結子会社については2019年9月30日現在の財務諸表を基礎として連結しておりますが、当連結会計年度は、当社及びすべての連結子会社について2020年12月31日現在の財務諸表を連結しております。

なお、12月決算の連結子会社の2020年1月1日から2020年3月31日までの損益及びキャッシュ・フローについては、当連結会計年度の業績に含めず、利益剰余金の残高、並びに現金及び現金同等物の残高をそれぞれ調整しております。

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(1)経営成績

当期の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により景気が急速に悪化し、厳しい状況に陥りましたが、各国における金融政策や財政政策の発動を伴う経済活動の再開により、米国や中国を中心に景気の持ち直しの動きがみられました。わが国経済におきましても、人の往来が減少し、宿泊、運輸、飲食等の業界を中心に景気は大幅な落ち込みを強いられましたが、個人消費や輸出等において持ち直しの動きがみられました。

住宅市場に関しましては、国内において、感染拡大に伴う消費マインドの冷え込みや緊急事態宣言下での事業活動の制限等により、新設住宅着工戸数は低調に推移しました。米国においては、当期初にかけて一時的に市場は落ち込みましたが、歴史的な低水準となった住宅ローン金利や中古住宅の流通在庫の減少等を背景に市場は回復し、総じて好調に推移しました。また、29年ぶりの景気後退局面に陥った豪州において、市場は当期初に落ち込みましたが、住宅ローン金利の低下や政府の住宅建設補助金制度の効果もあり、市場は回復の兆しがみられました。

このような事業環境のもと、当社グループは、お客様、お取引先及び従業員とその家族の安全確保を最優先とし、感染予防に最大限の注意を払いながら、事業活動を継続してまいりました。「中期経営計画2021」の2年目となる当期は、国内において、中大規模木造建築事業の拡大を目的として、総合建設業者をグループに迎え入れることを決定したほか、仙台市における木質バイオマス発電プロジェクトに新たに参画しました。また、米国において戸建住宅事業のエリアを拡大する等、当社グループの一層の成長に向けた事業の推進に注力しました。

 

その結果、売上高は8,398億81百万円(前年同一期間比4.6%増)、営業利益は474億62百万円(同24.0%増)、経常利益は512億93百万円(同19.1%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は303億98百万円(同34.4%増)となりました。なお、退職給付会計に係る数理計算上の差異についてはプラス48億23百万円となり、数理計算上の差異を除いた経常利益は464億70百万円となりました。

自己資本利益率(ROE)につきましては8.8(2020年4月1日から2020年12月31日までの9ヶ月間)となりましたが、引き続き10%以上を確保することを目標とします。

 

(事業セグメント別の経営成績)

事業セグメント別の業績は、次のとおりです。

なお、各事業セグメントの売上高には、事業セグメント間の内部売上高を含めております。

 

<木材建材事業>

流通事業におきましては、取引先との連携強化を図るとともに、多角的な事業ポートフォリオの構築を進め、バイオマス発電用の木質燃料の取り扱い拡大、国産材の輸出拡大、非住宅建築市場への取り組み強化に、引き続き注力しました。また、環境負荷の低減を目指すべく、持続的生産が可能な植林木を使用した合板の拡販に、より一層注力しました。しかしながら、同感染症の影響により国内の住宅市場が低調に推移したことから、合板や製材品等の販売数量が減少したため、業績は伸び悩みました。

製造事業におきましては、国内において、住宅市場が低調に推移したことで建具やフロア材等の販売数量が減少したことから、業績は伸び悩みました。海外においては、ニュージーランドのMDF(中密度繊維板)の販売数量が日本向けを中心に減少したものの、製造コストが低減したことにより業績は堅調に推移しました。インドネシアにおいては、合板やパーティクルボードの販売数量が減少したことにより業績は伸び悩みました。

 

以上の結果、木材建材事業の売上高は1,446億52百万円(前年同一期間比16.7%減)、経常利益は23億34百万円(同54.7%減)となりました。

 

 <住宅・建築事業>

戸建注文住宅事業におきましては、昨年4月の緊急事態宣言発出を受け、営業活動を自粛したことから、当期初において受注が減少しました。このような状況下において、当社の家づくりをWEB上で体験することができる「MYHOME PARK(マイホームパーク)」を展開するなどWEBを用いた受注活動に注力したほか、当社の設計力を活かし、在宅勤務の広がりによる働き方の変化など新しいライフスタイルに対応したプランの提案に注力した結果、受注は前年同一期間を上回る水準に回復しました。一方で、労務費等の生産コスト増加により収益性が低下したことや新型コロナウイルス感染症の影響による工事の遅れが生じたことから、業績は伸び悩みました。

賃貸住宅事業におきましては、当社オリジナルの「WF構法(ウォールフレーム構法)」を採用した賃貸住宅の受注拡大に取り組みましたが、同感染症の影響等により貸家市場の回復が遅れたことから、受注が減少しました。分譲住宅事業におきましては、これまでの優良な土地仕入れと施工体制の整備に加え、WEBによる販売活動に注力したことで、販売棟数が堅調に推移しました。

リフォーム事業におきましては、当社オリジナルの耐震・制震工法等の高い技術力を活かした耐震リフォーム等の受注拡大に注力しましたが、お施主様が住まいながらのリフォームにおいては特に同感染症の影響が大きく、業績は伸び悩みました。

なお、当社は、中大規模の木造建築事業を更に拡大するため、昨年11月に大阪及び東京を地盤とする総合建設業者であるコーナン建設株式会社を新たにグループに迎え入れることを決定しました。

 

以上の結果、住宅・建築事業の売上高は3,323億16百万円(前年同一期間比3.6%減)、経常利益は84億54百万円(同46.3%減)となりました。

 

 <海外住宅・不動産事業>

米国での戸建住宅事業におきましては、ワシントン州、ユタ州、テキサス州、メリーランド州及びノースカロライナ州等の地域において、新型コロナウイルス感染症の影響を受け当期初に展示場の来場制限など営業活動が制約されたことで住宅市場が一時的に落ち込みました。しかしながら、過去最低水準を更新した住宅ローン金利や、リモートワークの普及に伴う郊外の新築戸建住宅に対する需要の高まり等を背景に市場が回復したことから、業績は好調に推移しました。また、昨年12月に米国ジョージア州アトランタ地区を中心に分譲住宅事業を行うBuilders Professional Group, LLCの事業を譲り受けたことにより、米国における戸建住宅事業進出エリアは、ジョージア州を加え13州に及ぶこととなりました。不動産開発事業におきましては、同感染症の影響により計画をしていた集合住宅及び商業複合施設の売却が延期となったことにより、業績は伸び悩みました。

豪州での戸建住宅事業におきましては、ビクトリア州、ニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州及び西オーストラリア州等の地域において、政府の住宅建設補助金制度や過去最低水準の住宅ローン金利により住宅市場に回復の兆しが見られたものの、同感染症の影響で着工に遅れが生じたことから、業績は伸び悩みました。

東南アジアにおいては、ベトナム、インドネシア、タイにおいて、取り組み中の戸建住宅及び分譲マンションプロジェクトが同感染症の影響等により計画の進捗に遅れが生じました。

 

以上の結果、海外住宅・不動産事業の売上高は3,523億71百万円(前年同一期間比25.8%増)、経常利益は440億32百万円(同92.1%増)となりました。

 

<資源環境事業>

バイオマス発電事業におきましては、北海道紋別市ほか全国3ヶ所に所在する木質バイオマス発電事業所が安定的に稼働したことにより、業績は堅調に推移しました。

海外の森林経営におきましては、ニュージーランド南島ネルソン地区で展開している植林事業において、販売数量が増加したこと等により、業績は堅調に推移しました。また、インドネシア西カリマンタン州で植林事業を行う当社の持分法適用関連会社を連結子会社としたほか、隣接地の植林資産を新たに取得することにより、サステナブル(持続可能)な事業運営体制の強化に努めました。しかしながら、当該連結子会社化に伴い、段階取得に係る差損を営業外費用に計上したこと等から、資源環境事業の業績は減益となりました。

なお、国内の森林経営におきましては、昨年8月に岡山県英田郡西粟倉村及び三井住友信託銀行株式会社と、植林資産を信託財産とする森林信託の普及に向けた包括的連携協定を締結しました。当社は林業の専門家として植林資産の管理手法や森林管理専門会社が行う植林、伐採等の施業効率化等について経営サポートを行っております。本協定を通じて培ったノウハウを活用し、森林信託の取り組みを幅広く展開すること等を通じて、林業をベースとした地域活性化の推進に貢献してまいります。

 

以上の結果、資源環境事業の売上高は150億58百万円(前年同一期間比11.8%増)、経常利益は16億83百万円(同31.0%減)となりました。

 

<その他事業>

当社グループは、上記事業のほか、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の運営事業、住宅顧客等を対象とする保険代理店業等の各種サービス事業等を行っております。また、株式会社熊谷組に係る持分法による投資利益も含まれます。

 

その他事業の売上高は184億2百万円(前年同一期間比6.4%増)、経常利益は7億57百万円(同7.3%増)となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

 

①生産実績

 当社グループの展開する事業は多様であり、生産実績を定義することが困難であるため記載しておりません。

 

②受注実績

 当連結会計年度における住宅・建築事業の受注実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高 (百万円)

前年同一期間比 (%)

受注残高 (百万円)

前年同一期間比 (%)

住宅・建築事業(提出会社)

240,199

+10.4

297,750

+2.8

 

(注) 1 住宅・建築事業のうち、提出会社における注文住宅及び賃貸住宅、並びにその他請負の該当金額を記載しております。

2 受注高には、当連結会計年度の新規受注に加えて、期中の追加工事によるものが含まれております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

③販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同一期間比(%)

木材建材事業

144,652

△16.7

住宅・建築事業

332,316

△3.6

海外住宅・不動産事業

352,371

+25.8

資源環境事業

15,058

+11.8

報告セグメント計

844,397

+4.0

その他事業

18,402

+6.4

調整額

△22,918

 -

合計

839,881

+4.6

 

(注) 1 各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。

2 調整額には、特定のセグメントに区分できない管理部門等における売上高を含み、セグメント間の内部売上高を消去しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)財政状態

当連結会計年度末における総資産は、保有する上場株式の時価上昇による投資有価証券の増加や、海外住宅・不動産事業の拡大に伴うたな卸資産の増加等により、前連結会計年度末より863億85百万円増加し、1兆911億52百万円となりました。負債は、コマーシャル・ペーパーの発行や借入金の増加等により、前連結会計年度末より439億93百万円増加し、6,916億96百万円となりました。なお、純資産は3,994億56百万円、自己資本比率は33.7%となりました。

 

セグメントごとの資産は、次のとおりであります。

 

<木材建材事業>

当連結会計年度末における木材建材事業の資産は、国内流通事業の取扱高が減少したことに伴い、たな卸資産や売上債権が減少したこと等により、前連結会計年度末より82億60百万円減少し、1,873億31百万円となりました。

 

<住宅・建築事業>

当連結会計年度末における住宅・建築事業の資産は、前連結会計年度末より3億22百万円増加し、1,821億11百万円となりました。

 

<海外住宅・不動産事業>

当連結会計年度末における海外住宅・不動産事業の資産は、分譲住宅事業及び不動産開発事業の拡大に伴い、たな卸資産及び有形固定資産が増加したこと等により、前連結会計年度末より421億91百万円増加し、3,787億72百万円となりました。

 

<資源環境事業>

当連結会計年度末における資源環境事業の資産は、業務提携目的で保有する上場株式の時価上昇に伴い、投資有価証券が増加したこと等により、前連結会計年度末より235億35百万円増加し、994億35百万円となりました。

 

<その他事業>

当連結会計年度末におけるその他事業の資産は、持分法適用関連会社株式の追加取得に伴い、投資有価証券が増加したこと等により、前連結会計年度末より38億15百万円増加し、809億61百万円となりました。

 

 

(3)キャッシュ・フロー

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より96億56百万円増加して1,222億20百万円となりました。資金の増加には、決算期変更に伴う調整額131億70百万円を含んでおります。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

なお、決算期変更の経過期間である当連結会計年度は2020年4月1日から2020年12月31日までの9ヶ月間の変則的な決算となっております。このため、前年同期の数値については記載しておりません。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により資金は468億40百万円増加しました。これは、海外住宅・不動産事業の拡大に伴うたな卸資産の増加等により資金が減少した一方で、税金等調整前当期純利益502億11百万円の計上等により資金が増加したことによるものであります。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動により資金は446億35百万円減少しました。これは、国内のサービス付き高齢者向け住宅の新設や、米国での集合住宅及び商業複合施設の開発並びに分譲住宅事業の譲受等に資金を使用したことによるものであります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により資金は67億82百万円減少しました。これは、コマーシャル・ペーパーの発行や借入金の増加等により資金が増加した一方で、配当金の支払や連結子会社の持分追加取得等により資金が減少したことによるものであります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、長短の資金使途に応じて最適な資金調達手法を機動的に利用し、資金返済時期の分散や調達コストの低減を実現することを基本方針としております。また、金融機関との取引関係の維持、調達先の分散、複数の金融機関とのコミットメントライン(特定融資枠)の設定など、資金調達リスクを軽減するため様々な対応策をとっております。当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は3,029億33百万円となっております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

当社は特に以下の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定が重要であると考えております。なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

①販売用不動産及び仕掛販売用不動産の評価

販売用不動産及び仕掛販売用不動産について、正味売却価額が帳簿価額を下回る場合、たな卸資産の簿価切下げに伴う評価損を計上しております。正味売却価額の見積りにあたっては、近隣地域における市場価格や直近の販売状況等を踏まえた販売計画に基づいて、当連結会計年度末現在における販売見込額を算定しております。経済情勢や不動産市況の悪化等により、正味売却価額が見込以上に下落した場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において評価損の追加計上が必要となる可能性があります。

 

②投資有価証券の評価

その他有価証券のうち、時価のある有価証券については時価法を、時価のない有価証券については移動平均法による原価法を採用しております。時価のない有価証券について、その実質価額が取得原価に比べ著しく下落した場合、回復の見込が確実と認められなければ、減損処理しております。時価のない有価証券の実質価額の見積りにあたっては、投資先の直近の業績や事業計画等を総合的に勘案し、当連結会計年度末現在における回収可能見込額を算定しております。将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が発生した場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において評価損の追加計上が必要となる可能性があります。

 

③貸倒引当金

売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。貸倒懸念債権等特定の債権の回収可能性の見積りにあたっては、直近の回収状況や取引先の経営状況等を総合的に勘案し、当連結会計年度末現在における回収可能見込額を算定しております。取引先の財政状態及び業況が見込以上に悪化した場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

 

④固定資産の減損

減損の兆候がある資産又は資産グループについて、そこから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が減損損失判定時点の帳簿価額の合計を下回る場合、減損損失判定時点の帳簿価額の合計と回収可能価額との差額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、並びに減損損失の認識及び測定にあたっては、直近の取締役会等で承認された予算及び中長期の事業計画に基づいて、将来キャッシュ・フローを算定しております。これらの見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。

 

⑤繰延税金資産

繰延税金資産は、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。繰延税金資産の回収可能性の見積りにあたっては、直近の取締役会等で承認された予算及び中長期の事業計画のほか、将来減算一時差異のスケジューリングを考慮しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りや将来減算一時差異のスケジューリングに依存するため、その見積の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において繰延税金資産の調整額を収益又は費用として計上する可能性があります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

住友林業は、1691年の創業以来、「森」や「木」とともに歩んでまいりました。現在当社グループでは、経営理念において公正、信用を重視し社会を利するという「住友の事業精神」に基づき、人と地球環境にやさしい「木」を活かし、人々の生活に関するあらゆるサービスを通じて、持続可能で豊かな社会の実現に貢献することを謳っております。研究開発分野においても、「木の価値を高める」を基本に、地球環境から住環境まで、私たちの暮らしを取り巻く環境を、より豊かに創造することを目指して取り組んでおります。

また、創業から350周年を迎える2041年を目標に高さ350mの木造超高層建築物を実現する研究技術開発構想である「W350計画」を2018年2月にまとめました。中大規模から高層建築物の木造化・木質化を図り、街を森にかえる環境木化都市の実現を目指して取り組んでまいります。

当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は18億83百万円であり、この中には各セグメントに配分していない、筑波研究所の研究開発費16億12百万円が含まれております。筑波研究所では各研究グループが、資源・材料から建築・住まいに至る、川上から川下までを網羅する研究技術開発を進めるとともに、「木」と「緑」の価値を高める新たな価値創造型研究を進めております。また、大学や政府の研究開発機関等とも密接な連携・協力関係を保っており、これにより研究開発活動を効果的に進めております。各研究グループの主な活動内容は、以下のとおりであります。

 

①建築住まいグループ

木造建築物に関する構造技術、防耐火技術、音・振動対策技術、改修技術などの開発を行っております。建築住まいグループの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。

・中大規模木造建築に関する技術の開発

国内外で普及が期待される中大規模木造建築に関する構造構法、耐火関連技術、木質部材の開発を進めております。

住環境の改善、省エネルギー技術の開発

遮音性をはじめとする音環境の改善技術、エネルギー消費量の削減や有効活用のための開発を進めております。

 

②資源グループ

国内外の植林並びに新たな育種技術等の研究開発を行っております。資源グループの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。

・植林技術の開発

未利用樹種及び早生樹における植林技術の研究開発、さらに国内の苗木の大量生産技術の開発に取り組んでおります。

・育種・培養技術の開発

国内外の優良な形質を持つ樹木について、さらにその形質を高める遺伝子育種(遺伝子組換えではない)や、古木・貴重木を再生・増殖するための組織培養技術の開発に取り組んでおります。

緑化技術の開発

暑熱緩和・防災効果のある機能性緑地の開発や、高層木造建築へ対応できる特殊緑化技術の開発を進めております。

 

③材料グループ

新しい木質材料の開発や木材利活用技術の開発等を行っております。材料グループの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。

新しい木質材料の開発

MDF(中密度繊維板)やパーティクルボードなど木質ボードの性能改善や製造技術の開発を進めるとともに、中大規模木造建築で求められる高強度木質構造材や木質耐火材料の開発に取り組んでおります

・新しい木材利用技術の開発

木の可能性を引き出し木材の利活用を推進するため、木質資源のバイオリファイナリーに取り組むとともに、木材繊維の新たな領域での利活用を進めております

 

④木のイノベーショングループ

「木」や「緑」がもつ特性の解明や、それらを含む環境空間が快適性や知的生産性、更には医学的効果に及ぼす影響などの研究を行っております。木のイノベーショングループの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。

・「木」と「緑」がもつ特性とその効用に関する研究

木質空間・緑化空間が人の五感に与える影響や、メンタルヘルスなどに及ぼす医学的な効果の研究に取り組んでおります

・生産性向上に関する研究

木や緑の空間が人の心理生理に及ぼす影響(疲労回復や疲労軽減、創造性、コミュニケーション等)の研究を進め、生産性向上の定量化とその因子の特定のための研究を進めております

 

⑤住宅技術商品開発センター

2020年4月に新設した住宅技術商品開発センターは、住宅・建築事業本部と連携して、住宅事業向けの技術商品開発を進めております。住宅技術商品開発センターの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。

・次世代住宅構法の開発

BF構法(ビッグフレーム構法)をベースに次世代の地震対策技術や大スパン対応技術の開発を進めております。

・各種品質・性能確認試験

主に住宅の構造強度、耐火性、建材の耐候性、防水性など、取り扱う様々な商品、材料の品質、性能を確認しております。

 

なお、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動の状況及び研究開発費は次のとおりであります。

 

<木材建材事業>

国内の建材製造子会社において、安全性や機能性を付与した住宅用部材・建材の開発等を行っております。当事業に係る研究開発費は2億68百万円であります。