第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「公正、信用を重視し社会を利するという『住友の事業精神』に基づき、人と地球環境にやさしい『木』を活かし、人々の生活に関するあらゆるサービスを通じて、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する」ことを経営理念に掲げ、この理念のもと、企業価値の最大化をめざすことを経営の基本方針としております。

この実現のため、当社グループは、お客様の感動を生む高品質の商品・サービスを提供する、新たな視点で次代の幸福に繋がる仕事を創造する、多様性を尊重し自由闊達な企業風土をつくる、日々研鑽を積み自ら高い目標に挑戦する、正々堂々と行動し社会に信頼される仕事をする、の5つを行動指針として、経営の効率化及び収益性の向上を重視した事業展開を行っております。

また、情報開示を積極化し経営の透明性を高めることで、経営品質の向上を図っております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、「売上高」及び「経常利益」をグループ全体の成長を示す経営指標と位置づけています。また、経営の効率性を測る指標として「自己資本利益率(ROE)」を重視しており、中長期的にROEを10%以上の水準に維持することを目標としています。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

今後の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により国内外の経済活動が引き続き抑制されており、景気が大幅に減速することが見込まれますが、その影響等については相当な不確実性が存在しているため、予断を許さない状況が続くものと考えられます。わが国経済につきましても、同感染症の影響により個人消費や企業収益の減少が見込まれ、景気は急激に悪化し、極めて厳しい状況が続くものと考えられます。

このような事業環境のもと、当社グループは、「木」を活用した総合生活関連事業を営む企業グループを目指し、戸建注文住宅事業と木材建材事業をはじめ、その他の事業についても積極的に展開しています。その中でも、海外で戸建住宅や集合住宅の販売などを行う海外住宅・不動産事業と、国内の戸建注文住宅事業で培った技術力を基盤として住まいに新しい価値を生み出すリフォーム等を行うストック事業、さらに非住宅建築物の木造化・木質化などを推進する木化事業の拡大に注力しています。

こうした事業を国内外で積極的に展開し、社会環境の変化に柔軟に対応しながら収益源の多角化を図ることで、人々の生活に関するあらゆるサービスを提供する企業として、豊かな社会の実現に貢献します。また、今後の事業展開に必要となる戦略を推進するために、新たな技術の開発や従業員の育成、そしてガバナンスの強化についても、優先的に取り組んでまいります。

当社グループは、1691年の創業以来、森と木を育て自然と共生してきた企業グループとして、長い歴史の中で培ってきたサステナブル(持続可能)の考え方を基本に、木の資産価値の変革・生物多様性の保全に関する取り組みを日本企業の先頭に立って行い、森林保有・管理面積の拡大を図りながら、地球環境及び社会と調和のとれた質の高い事業活動を目指します。

 

  (新型コロナウイルス感染症への対応)

当社は、お客様・お取引先や当社グループの従業員とその家族を始めとする、ステークホルダーの皆様の安全確保を最優先とし、感染の拡大予防に向けた施策を当社グループ一丸となって実行してまいります。財務については、手元資金の積み増しを図り、中期的な資金の安定性を確保してまいります。また、投資判断をより慎重に行いつつ、想定外のリスクの発生や不測の事態に対応すべく、機動的に資金を調達できる体制を構築してまいります。

 

  (事業セグメント別の今後の見通し)

新型コロナウイルス感染症の影響により、主要国で外出自粛制限が出されるなど世界的に経済活動が制約を受けており、消費者マインドが急速に悪化していることから、住宅・建築事業及び海外住宅・不動産事業における戸建住宅等の受注・販売は低迷するものと推測されます。また、木材建材事業においても、市場の減速により、厳しい事業環境が続く見込みであります。このような状況ではありますが、各事業セグメントにおいて次の施策を着実に実行してまいります。

木材建材事業におきましては、流通事業において、持続可能な木材調達に関するサプライチェーンを活用し、森林認証材等の環境配慮型商品の拡販、発電用木質燃料用材の取扱拡大、国産材の輸出拡大、非住宅建築市場への取組強化に引き続き注力してまいります。製造事業においては、流通事業との連携によるマーケティングを一層強化し、製販一体化を進めることで、顧客ニーズに対応した付加価値の高い商品開発に努め、収益性向上を図ってまいります。

住宅・建築事業におきましては、主力の戸建注文住宅事業において、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様の住宅や防災力を高めた住宅の受注活動に注力するとともに、WEBを活用した営業活動や新型コロナウイルス感染拡大を受け高まる在宅ニーズに対応した住宅の提案に取り組んでまいります。リフォーム事業においては、昨年9月に公表いたしました、子会社の戸建住宅の増築工事における建築基準法令への不適合に対して、今回の事態を厳粛に受け止め、今後の信頼回復に向けた再発防止に当社グループを挙げて努めてまいります。

海外住宅・不動産事業におきましては、米国及び豪州での戸建住宅事業においてWEB等を積極的に活用するとともに、地域ごとの販売戦略に基づいた営業活動により引渡戸数の増加に注力するほか、米国における不動産開発事業において収益の安定化に向けた体制を引き続き構築してまいります。また、不動産投資リスクに関しては、社内規程に基づき、販売用不動産の在庫状況を定期的に確認することや保有不動産の価値を的確に予測すること等のモニタリングを適正に実施し、市況に応じた機動的な対応が可能となるようにより一層努めてまいります。

資源環境事業におきましては、バイオマス発電事業において、各発電事業所の安定的な稼働により収益を継続的に確保するとともに、再生可能エネルギー発電事業の検討をさらに進めてまいります。また、ニュージーランドやインドネシア等でサステナブル(持続可能)な植林事業を引き続き推進してまいります。

当社グループは、以上の取り組みとともに、社会の変化を見据え、ステークホルダーの声に耳を傾けながら、コーポレート・ガバナンスを充実させ、環境共生、お客様満足の向上、人権・多様性尊重、リスク管理・法令遵守に関する取り組みを強化するほか、国際連合が国際社会共通の目標として定めたSDGs(持続可能な開発目標)の達成にも積極的に貢献するなど、企業に求められる社会的責任を果たしてまいります。なお、気候変動に伴う自然災害の増加や激甚化を始めとする地球環境問題に対しては、科学的根拠に準拠した温室効果ガス排出量の削減目標であるSBT(Science Based Targets)や事業で使用する電力の100%再生可能エネルギー化を目指すRE100を着実に実行してまいります。

また、新型コロナウイルス感染症の終息後を見据えて、ITを活用した営業手法の導入や、リモートワークの推進等による働き方改革を図っていくなど、時代の変化に機敏に対応すると同時に感染症拡大や巨大地震等の災害への備えも強化しながら、新しい事業体制の構築を進めてまいります。

 

以上を中長期的な目標に掲げ、今後もその達成に向けた経営戦略を着実に展開してまいります。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、具体的な影響額を見積もることは困難であるため、記載はしておりません。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 国内外の住宅市場の動向に関するリスク

社グループの業績は、国内外における住宅市場の動向に大きく依存しています。国内外の経済状況の低迷や景気の見通しの後退、それらに起因する雇用環境の悪化や個人消費の落ち込みは、お客様の住宅購買意欲を減退させる可能性があります。また、各国の金利政策や住宅関連政策の変更、地価の変動等も、お客様の住宅購買意欲に大きな影響を与えるため、これらの顧客ニーズの変化が住宅市況を悪化させ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。上記リスクに対して、国内の住宅・建築事業では、次のような対策により、当社の独自性を強調し、住宅市場における優位性の確保を図っています。

 

①戸建注文住宅事業では、当社独自の商品や技術力・設計力を活かした提案を強化し、お客様の様々な要望にお応えすることで、受注拡大に努めています。具体的には、環境配慮型商品の受注に注力するとともに、天井高、床材・建具の種類やデザインに豊富な選択肢を用意し、お客様の要望に沿って様々な室内空間を実現する提案等を行っています。

 

②賃貸住宅事業では、多様化する入居者のライフスタイルに対応して、賃貸住宅に求められる性能を的確に把握し、より快適な住環境を提供することに努めています。その他、リフォーム事業では、高い技術力を活かした耐震リフォームや旧家再生リフォームに注力し、建築物の木造化・木質化を推進する木化事業では、中大規模木造建築物への取り組みを強化しています。

 

また、従来の米国・豪州における住宅事業に加え、東南アジアでの住宅事業を強化することで、参入する住宅市場を分散し、収益基盤の多様化と事業の多角化を図っています。このため、海外住宅・不動産事業においては不動産投資リスクに関する社内ルールの運用を徹底し、事業規模拡大に伴う不動産投資残高の増加に対して、各国の住宅マーケットの的確な把握とモニタリング、適正な在庫管理の徹底を図るなど、投資リスクの低減に努めています。

 

(2) 法的規制等に関するリスク

当社グループは、木材建材事業や住宅・建築事業をはじめ人々の生活に関する様々な事業を行っています。各事業を取り巻く法規制は多岐にわたり、建築基準法、建設業法、建築士法、宅地建物取引業法、住宅品質確保促進法、介護保険法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、労働基準法、労働安全衛生法等に加え、個人情報保護法など、多くの法規制に従う必要があります。当社グループでは次のような対策によりこれら法規制の遵守に努めていますが、これらの法規制に適合しない事態が発生した場合、罰金や、行政処分による事業の制約によって社会的信用が低下し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

①執行役員を委員とする「リスク管理委員会」を設置し、各部署選定の全リスク項目から抽出した「重点管理リスク」の顕在化事例や、リスク回避のための対応の実効性について、定期的に確認と協議を行っています。

 

②親会社総務部のリスク管理・コンプライアンスグループでは、国内関係会社に対して、各種法令の遵守状況について一斉点検を実施しています。実施後には、点検で見つかった指摘事項について、各関係会社にフィードバックを実施し、各社が体制の強化や是正に取り組むよう指導しています。

 

③各事業本部管理部門による、支店や建築現場に対する監査や実査を実施しています。

 

④上記の点検や監査は、事業に応じて取得しているISO規格に基づいて実施するなど、実効性のあるマネジメント体制を構築しています。

(3) 為替に関するリスク

当社グループは、海外関係会社を通じて海外での事業活動を展開している他、木材・建材の外貨建ての輸出入取引や三国間取引を行っております。海外での事業活動及び外貨建ての取引では、為替変動により外貨建ての収益及び費用の円換算額が増減したり、為替換算調整勘定を通じて純資産が増減したりするリスクが存在します。これらのリスクに対応するため、当社グループでは為替予約を行うなどの対策を取っていますが、急激な為替変動は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(4) 品質保証に関するリスク

当社グループは、国内外で取扱商品・サービス及び住宅等の品質管理に万全を期しておりますが、予期せぬ事態や人為的ミスによる重大な品質問題等が発生することを、完全に回避することはできません。具体的には、品質保証責任を問われる住宅等の重大な欠陥、有料老人ホーム運営事業等における高齢者向け事業特有の事故等が発生する場合があります。また特に海外においては、品質不良を原因とするクラスアクション等の訴訟により、高額の賠償責任や対応費用が生ずるリスクがあります。さらには、合法性や持続可能性に疑義のある木材の調達により、政府によるペナルティや環境保護団体等からの批判を受けるリスクがあります。これらのリスクに備え、当社では次のような対策を取っていますが、多額の損害賠償や社会的信用の失墜が発生した場合には、こうしたリスクの顕在化が、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。なお、リフォーム事業を行っている子会社において発生した、戸建住宅の増築工事における建築基準法令への不適合について、調査結果を踏まえ、補修費用等の対応費用が発生するリスクがあります。

①法規制に適合する部材の使用、有資格者の適切な配置、適切な施工体制の整備を徹底しています。

 

②戸建住宅事業において、長期保証制度を設け、きめ細やかなアフターサービスを提供しています。

 

③有料老人ホーム事業においては、オペレーションミスによる事故を回避するため、サービス提供手順のマニュアルを作成し、周知を徹底しています。施設内でインフルエンザ等の感染症が蔓延するのを防止するため、社員に予防接種を義務付けるなど感染症対策にも努めています。

 

④木材の調達に関しては、調達部門及びサステナビリティ推進部門による「木材調達委員会」を定期開催し、合法性と持続可能性の確認及び勉強会などを含む情報共有を実施しています。

(5) 取引先への信用供与に関するリスク

当社グループは取引先に対する売上債権等の信用供与を行っており、信用リスクの顕在化を防ぐために適切な限度額を設定するなど、与信管理を徹底しておりますが、それでもなおリスクが顕在化する可能性を完全に回避することは困難です。また、信用リスクが顕在化した場合の損失に備えるため、一定の見積りに基づいて貸倒引当金を設定しておりますが、実際に発生する損失がこれを超過する可能性があります。このため、取引先の支払い不能等の信用リスクの顕在化は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 海外での事業活動に関するリスク

当社グループは、海外で事業活動を展開している他、海外商品の取扱い等、海外の取引先と多くの商取引を行っております。各国の政治・経済・社会情勢の変化を注視し、現地の法規制等の遵守、慣習による贈収賄の横行や社員による着服の防止、重大労災の発生防止等に努めていますが、特に、当社グループの木材の調達先及び製造拠点の一部であり、大規模植林事業も展開しているパプアニューギニアやインドネシアなどの新興国においては、これらのリスクが顕在化する可能性を完全に回避することは困難です。社内管理の不備により、法規制への違反や不法行為などのコンプライアンス違反が発生し、高額の金銭の流出事件が発生したり、現地政府からペナルティを受けたり、死亡労災等を防げずに被災者遺族から多額の損害賠償請求を受けたりした場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。こうしたリスクを最小化するために、当社では次のような対策をとっています。

 

①海外の各製造拠点において、労働安全衛生体制の整備に努め、使用する重機の安全装置や作業者の安全装備を充実させるとともに、積極的な従業員教育に取り組んでいます。

 

②社内監査、会計監査、税務調査などで発覚した指摘事項を関係会社各社で共有し、より効果的な管理体制の構築に努めています。

 

③海外関係会社各社に、贈収賄防止規定を整備しています。

 

④海外出張者・海外駐在員に対し、渡航前に安全教育や危機管理研修を実施しています。

(7) 保有・管理する山林や植林事業地に関するリスク

当社グループは、国内社有林で計画的な森林経営を展開する他、海外でも広大な植林地を管理し、生物多様性の保全や地域社会の発展に貢献するための活動を実施しています。国内外で所有・管理する山林・植林地では、以下のような取り組みやリスク対策を実施していますが、大規模な山林火災や病害虫による植林木の損失や、誤った伐採可能量の試算による過剰伐採、地域住民からの反発、環境保護団体からの批判活動が長期間続いた場合には、これらのリスクの顕在化が、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

①国内外の社有林及び植林事業地で、植林・育林・収穫を計画的かつ継続的に実施する保続林業の考え方を基本に、持続可能な木材生産に努めています。過剰に木材を伐採することがないよう、施業計画の立案とこれに沿った森林経営を実施しています。

 

②山林火災防止のため、火災リスクの高い時期における関係者以外の管理地への立ち入り規制や、数値化した火災リスクに応じた現場オペレーションの制定・遵守等を実施しています。また、火の見櫓から煙の発生を監視したり、パトロールを実施したりするなど、早期の火災発見体制も整備しています。

 

③植林木の育成が阻害されないよう、計画的な間伐や下草等の刈払いなどの植林事業地全体の日常的な管理を徹底し、適時生育状況をモニターすることにより病虫害を防止するとともに、獣害防止にも努めています。

 

④国内外の社有林及び植林事業地を取り巻く地域社会への貢献に努め、地域社会の発展に寄与する事業を展開しています。特に大規模植林事業を展開するインドネシアやパプアニューギニアでは、地域の雇用創出、ライフライン設備の建設、環境教育等の活動を地道に展開し、地域に根差した活動を目指しています。

 

⑤国内外における森林資源の管理・活用拡大にあたっては、気候変動対策や生物多様性保全に配慮した取り組みを実施しています。具体的には、植林計画立案時の、地形や地質、生息する希少動物の把握に至るまでの詳細な調査実施などに努めています。

(8) 情報漏洩に関するリスク

当社グループは、国内外の住宅・不動産事業等においてお客様に関する膨大な個人情報を保有しており、筑波研究所等の研究機関においては長年の研究成果等の大量の機密情報を保有しています。重要な情報の管理には万全を期していますが、個人情報等を含む書類・社給端末の盗難、従業員及び委託先等の人為的ミスなどの内部要因による情報漏洩、及び悪意ある第三者からの攻撃などの外部要因による情報漏洩を完全に回避することは困難です。個人情報が外部に流出した場合には、お客様及びマーケット等からの社会的信用の失墜や被害にあわれたお客様からの損害賠償請求を招く可能性や、会社の機密情報が流出した場合には、市場における競争力の低下や共同研究先からの損害賠償請求等を招く可能性があり、これらの情報セキュリティリスクの顕在化は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。なお、このようなリスクを低減するために、当社では次のような対策をとっています。

①全従業員を対象に、個人情報や機密情報の取り扱いに関する研修を定期的に実施しています。

 

②内部からの情報漏洩と外部からの侵入の両方に対するセキュリティ強化のため、多層防御システムを構築しています。また、システム担当者による情報漏洩を防ぐため、社内システム部門の承認手順を多重化するなどの対策を実施しています。

 

③個人情報や機密情報の電子化と、一定基準のセキュリティ設定をした社給端末への集約を推進し、書類の紛失による情報流出リスクに対応しています。

 

④シンクライアント端末を導入し、端末紛失時の情報流出リスクに対応しています。

 

⑤研究・開発に関する機密情報等、企業秘密を取り扱う案件では、必ず関係先と秘密保持契約を締結しています。

(9) 退職給付会計に関するリスク

当社グループは、退職給付会計に係る数理計算上の差異について、発生年度に一括して費用処理する方法を採用しています。期初時点での想定よりも年金資産の運用環境が悪化した場合や、退職給付債務の計算に用いる割引率が低下した場合、数理計算上の差異の償却費用が発生し、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。このような数理計算上の差異の発生に伴う損益変動リスクに対応するため、確定給付型と確定拠出型を組み合わせた退職給付制度を導入している他、年金資産の運用において安全性と収益性を考慮した適切な投資配分などを行っています。

(10) 気候変動に関するリスク

当社グループは、持続可能で豊かな社会の実現に貢献することを経営理念として、様々な事業活動を展開しています。持続可能性の観点から注目されている気候変動の問題に対しては、2018年7月に温室効果ガスの長期削減目標であるSBT(Science Based Targets)を策定し、それを中期経営計画や単年度予算に織り込んで、目標実現のための進捗管理を行っています。その他にも、都市型及び山間地型のバイオマス発電事業、東南アジア・オセアニア諸国における大規模植林活動等の推進に取り組むとともに、木の需要を高めることで気候変動に対応すべく、研究技術開発構想「W350計画」を筆頭に、研究開発・技術革新の加速を図っています。2015年のパリ協定では、気温上昇を1.5℃に抑える目標が設定されましたが、気温上昇が2℃を超えることで、温暖化による海面水位の上昇、生態系の変質や生物種の喪失割合の拡大、食糧安全保障への影響拡大等により世界全体での経済損失の拡大が予測されており、より一層の気候変動対策が求められています。当社においても、気候変動に伴う異常気象の発生や気候帯の変化による都市や森林の遷移、生物多様性の変質などの外的要因により、生物資源である木材の調達に著しく支障をきたした場合、また、それらの対策のために国内外の法規制等の変更がなされた場合、上記の取り組みにもかかわらず、問題解決のための追加の対策コストが必要となる可能性があります。これらのリスクの顕在化は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(11) 自然災害等による緊急事態の発生に関するリスク

当社グループでは、大規模な地震や風水害等の自然災害、戦争、火災、テロ、新型インフルエンザ等を含む重篤な感染症、暴動などの危機事象が発生し、従業員の生命に危機が生じるような緊急事態に陥った場合に備え、全社的な事業継続マネジメント(BCM)を推進しています。具体的には、緊急事態の発生に伴う事業中断による業績への影響の最小化を目的に、平時における活動と緊急事態発生時の対応方針等の基本事項を定める「BCM規程」を制定し、事象別の事業継続計画(BCP)を策定しています。個別のBCPを実現させるため、安否確認システムの導入、帰宅困難対策、防災訓練、必要物資の備蓄等を実施、また大規模停電等による本社機能喪失を想定したデータ保存の二重化、代替拠点やインフラの整備、代替拠点における重要業務の代行要員の確保などに取り組んでいます。しかし、危機事象の多くは発生を予測することが困難であり、このような対策をもってしても全ての被害や影響を回避できるとは限りません。

(12) 新型コロナウイルス感染症が事業に与える影響に関するリスク

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染の拡大を受け、当社グループでは、社長を本部長とする新型コロナウイルス対策本部を設置し、全社的対応方針の迅速な策定に努め、重要業務の維持継続及び事業への影響の最小化に取り組んでいます。具体的には、国内外の全社員及びその家族の健康と安全を最優先事項とし、次のような対策を実施しています。

①事業所ごとの在席率に目安を設け、時差出勤やシフト制勤務の実施、テレワークの活用等、社員の感染予防を徹底しています。

 

②医療リスクの高い国に駐在する社員及びその帯同家族は原則全員帰国させ、日本国外への異動予定者については、現地への赴任を延期するなどの対応を実施しています。

 

③BCM活動の一環として備蓄していたマスクや消毒液などを、国内外の各事業拠点に配布しています。

 

④在宅勤務状況下でも社員が十分なコミュニケーションをとり、重要な情報にアクセスできるよう、テレビ会議ツールやお知らせ周知用の掲示板を整備するなど、様々な対応を実施しています。

しかし、今後、世界的な感染拡大が収束せず事業活動への制約が長引いた場合、下記のようなリスクの顕在化が、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(イ)サプライチェーン及び事業継続に関するリスク

当社グループでは、住宅資材のサプライチェーンに対し、中国を含む各国の製造拠点の操業状態や在庫状況をモニタリングし、調達に支障をきたさないよう対策を実施しています。ただし、中国で感染が再拡大した場合や他の資材調達先の国々で感染が拡大した場合、住宅資材の調達に支障が生じ、住宅の完工時期に影響を及ぼす可能性があります。また、海外関係会社各社において、支払業務等の重要業務を継続するため、あらかじめ策定しているBCPに基づいた対応を実施していますが、コロナウイルス感染拡大による経済活動低迷が継続した場合、当該海外関係会社の資金繰り悪化に対する追加資金調達を要したり、当初計画していた利益の計上や投資の回収が困難になったりする可能性があります。

 

(ロ)国内外の住宅市場の動向に関するリスク((1)に関連)

国内外における新型コロナウイルスの感染拡大の影響による経済活動の鈍化、景気の見通しの後退、雇用環境の悪化が、個人の消費を落ち込ませ、お客様の住宅購買意欲を減退させる可能性があります。特に、当社グループは米国における住宅・不動産事業を展開していますが、米国での新型コロナウイルス感染者数は世界最多となっています。感染拡大収束後の景気の後退、失業率の増加、個人消費の停滞などが予測されるため、当社グループの戸建住宅の売上が落ち込む可能性があります。

(ハ)取引先への信用供与に関するリスク((5)に関連)

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、当社グループの取引先事業者が、資金繰りの悪化などによる支払い不能等に陥る可能性があります。信用供与にあたっては、適切な限度額や貸倒引当金の設定を行うなどの対策を実施していますが、実際に発生する損失がこれを超過する可能性があります。

 

(ニ)資金調達に関するリスク

当社グループは、金融機関からの借入、社債及びコマーシャル・ペーパーの発行等により資金調達を行っています。これに関し、金融機関との取引関係の維持、調達先の分散、複数の金融機関とのコミットメントライン(特定融資枠)の設定など、資金調達リスクを軽減するため様々な対応策をとっていますが、新型コロナウイルスの影響による経済環境の変化や金融資本市場の混乱等により、資金調達コストが増加したり資金調達に制約を受ける可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当期の世界経済は、米国と中国における通商摩擦の影響により中国では景気が緩やかに減速しましたが、米国において好調な雇用環境等を背景に景気が回復したことにより、全体としては緩やかに回復しました。わが国経済は、輸出や生産に弱さがみられたものの、雇用情勢や所得環境の改善等により、緩やかに回復しました。しかし、本年初めからの新型コロナウイルス感染症の影響により国内外の経済活動が抑制されており、景気の先行きが極めて厳しい状況となりました。当社グループと関係が深い住宅市場に関しましては、国内において、消費税増税の反動減の影響のほか、金融機関による融資厳格化等から貸家の着工が大幅に減少したことにより、新設住宅着工戸数は前期より減少しました。また、当社グループが事業を展開している米国では、好調な雇用環境や住宅ローン金利の低下により、市場は堅調に推移しました。豪州では、住宅価格の調整局面が続いたことや住宅ローン審査の厳格化の影響等から、市場は低迷しました。

このような事業環境のもと、当社グループは、当期を初年度とする3年間の「中期経営計画2021」をスタートさせ、最終年度となる第82期に売上高1兆2,600億円、経常利益850億円(退職給付会計に係る数理計算上の差異を除く)、ROE10%以上を目指すこととしました。また、本中期経営計画の基本方針として、「更なる成長に向けた未来志向の事業戦略の推進」、「持続的な成長に向けた経営基盤の強化」、「木を活かす研究開発・技術革新の加速」、「事業とESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みの一体化推進」の4つのテーマを掲げ、経営基盤の強化と未来に向けた事業のさらなる推進を図っていくこととしました。当期は、米国において戸建住宅事業や集合住宅及び商業複合施設の開発等を行う不動産開発事業をより一層推進したほか、豪州において事業エリアの拡大、東南アジアで不動産開発プロジェクトに参画する等、当社グループの更なる成長に向けた事業の推進に注力しました。また、昨年9月、当社グループの研究開発拠点である筑波研究所において、木造の新研究棟が竣工しました。新研究棟は「W350計画(※)」の研究拠点として、木の価値を高める多くの新技術を採用しました。

 

 ※ 高さ350mの木造超高層建築物を中核とした環境木化都市の実現を目指す研究技術開発構想

 

その結果、売上高は1兆1,040億94百万円(前期比15.6%減)、営業利益は513億77百万円(同4.3%増)、経常利益は588億24百万円(同14.4%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は278億53百万円(同4.5%減)となりました。なお、退職給付会計に係る数理計算上の差異については、前期はマイナス34億10百万円、当期はマイナス25億72百万円となり、数理計算上の差異を除いた経常利益は、前期の548億46百万円に対して、当期が613億96百万円と11.9%の増益となりました。

また、当期より、収益認識に関する会計基準等を適用した結果、売上高が2,403億2百万円減少し、営業利益及び経常利益がそれぞれ55億99百万円増加しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりです。

自己資本利益率(ROE)につきましては8.8%となり、前期の9.3%から低下したものの引き続き10%以上を確保することを目標とします。

 

(新型コロナウイルス感染症の影響)

年度終盤にかけて、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、中国で輸出規制が実施されたことに伴い、国内の住宅事業において一部の住宅資材の調達遅延等が発生しましたが、当期の業績への大きな影響はありません。今後の新型コロナウイルス感染症の影響及び対応については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「2 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

(事業セグメント別の経営成績)

事業セグメント別の業績は、次のとおりです。

なお、従来、事業セグメントについては、「木材建材事業」、「住宅・建築事業」、「海外住宅・不動産事業」、「その他事業」としておりましたが、当期より「木材建材事業」、「住宅・建築事業」、「海外住宅・不動産事業」、「資源環境事業」、「その他事業」の事業セグメントに変更しております。以下の前期比較については、前期の数値を変更後の事業セグメントに組み替えた数値で比較しております。また、各事業セグメントの売上高には、事業セグメント間の内部売上高を含めております。

 

<木材建材事業>

流通事業におきましては、取引先の事業形態に応じた営業体制に再編成することにより、取引先との連携強化をより一層推進しました。また、住宅市場に依存しない事業ポートフォリオを構築し多様な収益源を確保することを目的として、国産材の輸出拡大、発電用木質燃料用材の取扱拡大、非住宅建築市場への取組強化等に注力するとともに、引き続き森林認証材や持続生産可能な植林木を使用した環境配慮型商品の拡販に取り組みました。しかしながら、国内の輸入合板市場が低迷し販売数量が減少したこと等により、業績は伸び悩みました。なお、収益認識に関する会計基準等を適用したことにより、売上高は前期より2,554億1百万円減少しました。

製造事業におきましては、国内において、当社グループ向けの階段材やフロア材等の建材販売が好調であったことから、業績は堅調に推移しました。ニュージーランドにおいては、主に日本向けのMDF(中密度繊維板)の販売が減少したほか、製造コストが上昇したことにより、業績は伸び悩みました。

 

以上の結果、木材建材事業の売上高は2,236億27百万円(前期比54.1%減)、経常利益は60億95百万円(同23.6%減)となりました。

 

 <住宅・建築事業>

戸建注文住宅事業におきましては、一次取得者層に対して、土地をお探しのお客様へのきめ細やかな提案を引き続き強化したほか、エネルギー消費量が正味ゼロとなるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様の住宅の受注拡大に注力しました。また、前期に積み上がった受注について当期に着実に工事を進めたことにより、業績は前期を上回りました。なお、当期より収益認識に関する会計基準等の適用に伴い、全ての工事契約について、一定の期間にわたり収益を認識する方法(工事進行基準)に変更しています。

賃貸住宅事業におきましては、屋根、外壁等に高い耐久性を持つ外装材を採用し、建物のデザイン性を高めた賃貸住宅「Forest Maison CARRÉ(フォレストメゾン・カレ)」を発売する等、受注拡大に取り組みましたが、貸家市場の減速等により、業績は伸び悩みました。

リフォーム事業におきましては、当社グループオリジナルの耐震・制震工法等に基づく高い技術力を活かした耐震リフォームの受注拡大に注力しましたが、消費税増税の反動減の影響等により、業績は伸び悩みました。

分譲住宅事業におきましては、東京、大阪、名古屋に設置している支社を中心に組織体制を強化し、三大都市圏での事業拡大に注力した結果、仕入・販売ともに堅調に推移しました。

木化事業におきましては、当期は商業用店舗兼事務所建物、保育所施設を竣工する等、引き続き非住宅物件の木造化・木質化を推進しました。

なお、当社は、非住宅事業のさらなる強化を図るべく、昨年7月に株式会社丸井グループで内装施工事業等を行う子会社の株式を一部取得し、持分法適用関連会社としました。また、当社グループと丸井グループは、各事業での協業に向けて業務提携契約を締結し、空間プロデュース事業等に共同で取り組むこととしました。

 

以上の結果、住宅・建築事業の売上高は4,740億3百万円(前期比4.7%増)、経常利益は225億70百万円(同4.5%増)となりました。

 

 <海外住宅・不動産事業>

海外における戸建住宅事業におきましては、米国において、当社グループが事業活動を展開しているワシントン州、ユタ州、テキサス州、メリーランド州、ノースカロライナ州等の地域では、住宅市場が堅調に推移しました。その結果、米国全体の引渡戸数は前期より増加し、業績は好調に推移しました。ビクトリア州、ニューサウスウェールズ州及びクイーンズランド州等で事業を展開している豪州においては、低調な住宅市場を背景に引渡戸数が前期より減少し、業績は伸び悩みました。

米国における不動産開発事業におきましては、集合住宅及び商業複合施設の売却を順調に進めたこと等により、業績は堅調に推移しました。

東南アジアにおいては、ベトナム、インドネシア、タイにおいて、取組中の戸建住宅及び分譲マンションプロジェクトを着実に進めました。

なお、昨年12月に戸建住宅事業を行うScott Park Group Pty Ltd.(本社:豪州西オーストラリア州)を連結子会社とし、豪州西部エリアに新たに進出しました。また、戦略的パートナーである株式会社熊谷組と本年1月に合弁会社を設立し、インドネシアのジャカルタにおいて、不動産開発事業に着手することとしました。

 

以上の結果、海外住宅・不動産事業の売上高は3,993億60百万円(前期比9.5%増)、経常利益は345億41百万円(同33.8%増)となりました。

 

<資源環境事業>

バイオマス発電事業におきましては、北海道紋別市ほか全国3か所に所在する各発電事業所が安定的に稼働したことから、業績は堅調に推移しました。

海外における植林事業におきましては、当社グループが事業を展開するニュージーランド南島ネルソン地区において、昨年2月に発生した山火事の影響等で植林木の販売数量が減少したことにより、業績は伸び悩みました。

なお、国内における山林経営におきましては、林業経営の効率化に取り組むとともに、昨年4月より開始された森林経営管理制度に関して、同年9月に山口県長門市と、同年12月に長野県と林業・木材産業分野における連携協定を締結する等、市町村向けのコンサルティング事業の推進に取り組みました。

 

以上の結果、資源環境事業の売上高は192億63百万円(前期比1.3%減)、経常利益は35億51百万円(同11.5%減)となりました。

 

<その他事業>

当社グループは、上記事業のほか、有料老人ホーム運営事業、住宅顧客等を対象とする保険代理店業等の各種サービス事業等を行っています。また、株式会社熊谷組に係る持分法による投資利益も含まれます。

 

その他事業の売上高は234億25百万円(前期比5.2%増)、経常利益は14億84百万円(同14億0百万円増)となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

 

①生産実績

 当社グループの展開する事業は多様であり、生産実績を定義することが困難であるため記載しておりません。

 

②受注実績

 当連結会計年度における住宅・建築事業の受注実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高 (百万円)

前期比 (%)

受注残高 (百万円)

前期比 (%)

住宅・建築事業(提出会社)

309,269

△16.3

290,938

△14.0

 

(注) 1 住宅・建築事業のうち、提出会社における注文住宅及び賃貸住宅、並びにその他請負の該当金額を記載しております。

2 受注高には、当連結会計年度の新規受注に加えて、期中の追加工事によるものが含まれております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

③販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

木材建材事業

223,627

△54.1

住宅・建築事業

474,003

+4.7

海外住宅・不動産事業

399,360

+9.5

資源環境事業

19,263

 △1.3

報告セグメント計

1,116,253

△15.7

その他事業

23,425

 +5.2

調整額

△35,584

 -

合計

1,104,094

△15.6

 

(注) 1 各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。

2 調整額には、特定のセグメントに区分できない管理部門等における売上高を含み、セグメント間の内部売上高を消去しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、木材建材事業におきまして、「収益認識に関する会計基準」等の適用に伴い、国内流通事業に係る収益について、従来は、顧客から受け取る対価の総額を収益として認識しておりましたが、顧客への商品の提供における当社の役割が代理人に該当する取引については、顧客から受け取る額から仕入先に支払う額を控除した純額で収益を認識する方法に変更したことによるものです。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末における総資産は、工事契約に係る収益認識の方法を変更したことによる完成工事未収入金の増加や、サービス付き高齢者向け住宅の新設に伴う建物及び構築物の増加等により、前連結会計年度末より337億92百万円増加し、1兆47億68百万円となりました。負債は、社債の新規発行や長期借入金の増加等により、前連結会計年度末より302億17百万円増加し、6,477億4百万円になりました。なお、純資産は3,570億64百万円、自己資本比率は32.1%となりました。

 

セグメントごとの資産は、次のとおりであります。

 

<木材建材事業>

当連結会計年度末における木材建材事業の資産は、前連結会計年度末日(休日)満期の受取手形が当連結会計年度に決済されたこと等により、前連結会計年度末より118億17百万円減少し、1,955億91百万円となりました。

 

<住宅・建築事業>

当連結会計年度末における住宅・建築事業の資産は、工事契約に係る収益認識の方法の変更に伴い完成工事未収入金が増加したこと等により、前連結会計年度末より260億15百万円増加し、1,817億89百万円となりました。

 

<海外住宅・不動産事業>

当連結会計年度末における海外住宅・不動産事業の資産は、分譲住宅事業及び不動産開発事業の拡大に伴い、たな卸資産及び投資有価証券が増加したこと等により、前連結会計年度末より150億95百万円増加し、3,365億80百万円となりました。

 

<資源環境事業>

当連結会計年度末における資源環境事業の資産は、ニュージーランド・ネルソン地区に保有する植林地で発生した山火事の影響のほか、バイオマス発電設備の減価償却が進み有形固定資産が減少した一方、手元流動資金が増加したこと等により、前連結会計年度末より27百万円増加し、759億0百万円となりました。

 

<その他事業>

当連結会計年度末におけるその他事業の資産は、サービス付き高齢者向け住宅の新設に伴う建物及び構築物の増加等により、前連結会計年度末より101億78百万円増加し、771億46百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より74億63百万円増加して 1,125億65百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により資金は45724百万円増加しました(前連結会計年度は406億89百万円の増加)。これは、国内外における分譲住宅事業の拡大に伴うたな卸資産の増加等により資金が減少した一方で、税金等調整前当期純利益55118百万円の計上等により資金が増加したことによるものであります。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により資金は388億74百万円減少しました(前連結会計年度は716億59百万円の減少)。これは、 米国での集合住宅及び商業複合施設の開発や持分法適用関連会社の持分取得に資金を使用したこと等によるものであります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により資金は11億42百万円増加しました(前連結会計年度は115億23百万円の増加)。これは、配当金の支払により資金が減少した一方で、普通社債の発行等により資金が増加したことによるものであります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、長短の資金使途に応じて最適な資金調達手法を機動的に利用し、資金返済時期の分散や調達コストの低減を実現することを基本方針としております。また、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、金融機関との取引関係の維持、調達先の分散、複数の金融機関とのコミットメントライン(特定融資枠)の設定など、資金調達リスクを軽減するため様々な対応策をとっています。当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は2,684憶91百万円となっております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

当社は特に以下の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定が重要であると考えております。

 

①販売用不動産及び仕掛販売用不動産の評価

販売用不動産及び仕掛販売用不動産について、正味売却価額が帳簿価額を下回る場合、たな卸資産の簿価切下げに伴う評価損を計上しております。正味売却価額の見積りにあたっては、新型コロナウイルス感染症による今後の不動産市況への影響が予想されるものの、当面の販売計画に著しい影響は生じないとの仮定を置き、当連結会計年度末現在における販売見込額を算定しています。経済情勢や不動産市況の悪化等により、正味売却価額が見込以上に下落した場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において評価損の追加計上が必要となる可能性があります。

 

②投資有価証券の評価

その他有価証券のうち、時価のある有価証券については時価法を、時価のない有価証券については移動平均法による原価法を採用しております。時価のない有価証券について、その実質価額が取得原価に比べ著しく下落した場合、回復の見込が確実と認められる場合を除き、減損処理しております。時価のない有価証券の実質価額の見積りにあたっては、翌連結会計年度にわたり新型コロナウイルス感染症による投資先の業績への影響が生じるとの仮定を置き、当連結会計年度末現在における回収可能見込額を算定しています。将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が発生した場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において評価損の追加計上が必要となる可能性があります。

 

③貸倒引当金

売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。貸倒懸念債権等特定の債権の回収可能性の見積りにあたっては、翌連結会計年度にわたり新型コロナウイルス感染症による取引先の業績への影響を勘案し、当連結会計年度末現在における回収可能見込額を算定しています。取引先の財政状態及び業況が見込以上に悪化した場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

 

④固定資産の減損

減損の兆候がある資産又は資産グループについて、そこから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が減損損失判定時点の帳簿価額の合計を下回る場合に、減損損失判定時点の帳簿価額の合計と回収可能価額との差額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、並びに減損損失の認識及び測定の前提となる将来キャッシュ・フローの見積りにあたっては、翌連結会計年度にわたり新型コロナウイルス感染症による業績への影響が生じるとの仮定を置き、直近の取締役会等で承認された将来の利益計画にその影響を加味しています。これらの見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。

 

⑤繰延税金資産

繰延税金資産は、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。繰延税金資産の回収可能性の見積りにあたっては、翌連結会計年度にわたり新型コロナウイルス感染症による業績への影響が生じるとの仮定を置き、直近の取締役会等で承認された将来の利益計画や将来減算一時差異のスケジューリングにその影響を加味しています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りや将来減算一時差異のスケジューリングに依存するため、その見積の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において繰延税金資産の調整額を収益又は費用として計上する可能性があります。

 

⑥会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響

新型コロナウイルス感染症の広がりは、当社グループの事業活動に影響を及ぼしておりますが、今後の広がり方や収束時期等を予測することは極めて困難であります。このため、繰延税金資産の回収可能性や減損損失の認識の判定等、上記①から⑤に記載した項目については、連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、翌連結会計年度にわたり影響が生じるとの一定の仮定を置いて最善の見積りを行っております。これらの見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において繰延税金資産の調整額及び減損損失の追加計上等が必要となる可能性があります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

住友林業は、1691年の創業以来、「森」や「木」とともに歩んでまいりました。現在当社グループでは、経営理念において公正、信用を重視し社会を利するという「住友の事業精神」に基づき、人と地球環境にやさしい「木」を活かし、人々の生活に関するあらゆるサービスを通じて、持続可能で豊かな社会の実現に貢献することを謳っております。研究開発分野においても、「木の価値を高める」を基本に、地球環境から住環境まで、私たちの暮らしを取り巻く環境を、より豊かに創造することを目指して取り組んでおります。

また、創業から350周年を迎える2041年を目標に高さ350mの木造超高層建築物を実現する研究技術開発構想である「W350計画」を2018年2月にまとめました。中大規模から高層建築物の木造化・木質化を図り、街を森にかえる環境木化都市の実現を目指して取り組んでまいります。

当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は22億71百万円であり、この中には各セグメントに配分していない、筑波研究所の研究開発費19億20百万円が含まれております。筑波研究所では各研究グループが、資源・材料から建築・住まいに至る、川上から川下までを網羅する研究技術開発を進めるとともに、「木」と「緑」の価値を高める新たな価値創造型研究を進めております。また、大学や政府の研究開発機関等とも密接な連携・協力関係を保っており、これにより研究開発活動を効果的に進めております。各研究グループの主な活動内容は、以下のとおりであります。

 

①建築住まいグループ

木造建築物に関する構造技術、防耐火技術、音・振動対策技術、改修技術などの開発を行っております。建築住まいグループの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。

・中大規模木造建築に関する技術の開発

国内外で普及が期待される中大規模木造建築に関する構造構法、耐火関連技術、木質部材の開発を進めております。

・次世代住宅構法の開発

BF構法(ビッグフレーム構法)をベースに次世代の地震対策技術や大スパン対応技術の開発を進めております。

住環境の改善、省エネルギー技術の開発

遮音性をはじめとする音環境の改善技術、エネルギー消費量の削減や有効活用のための開発を進めております。

 

②資源グループ

国内外の植林並びに新たな育種技術等の研究開発を行っております。資源グループの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。

・植林技術の開発

未利用樹及び早生樹における植林技術の研究開発、さらに国内の苗木の大量生産技術の開発に取り組んでおります。

・育種・培養技術の開発

国内外の優良な形質を持つ樹木について、さらにその形質を高める遺伝子育種(遺伝子組換えではない)や、古木・貴重木を再生・増殖するための組織培養技術の開発に取り組んでおります。

緑化技術の開発

温熱・防災効果のある機能性緑地の開発や、高層木造建築へ対応できる特殊緑化技術の開発を進めております。

 

③材料グループ

新しい木質材料の開発や木材利活用技術の開発等を行っております。材料グループの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。

新しい木質材料の開発

MDF(中密度繊維板)やパーティクルボードなど木質ボードの性能改善や製造技術の開発を進めるとともに、中大規模木造建築で求められる高強度木質構造材や木質耐火材料の開発に取り組んでおります

・新しい木材利用技術の開発

木の可能性を引き出し木材の利活用を推進するため、木質資源のバイオリファイナリーに取り組むとともに、木材繊維の新たな領域での利活用を進めております

 

④木のイノベーショングループ

「木」や「緑」がもつ特性の解明や、それらを含む環境空間が快適性や知的生産性、更には医学的効果に及ぼす影響などの研究を行っております。木のイノベーショングループの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。

  ・「木」と「緑」がもつ特性とその効用に関する研究

木質空間・緑化空間が人の五感に与える影響や、メンタルヘルスなどに及ぼす医学的な効果の研究に取り組んでおります

生産性向上に関する研究

木や緑の空間が人の心理生理に及ぼす影響(疲労回復や疲労軽減、創造性、コミュニケーション等)の研究を進め、生産性向上の定量化とその因子の特定のための研究を進めております

 

なお、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動の状況及び研究開発費は次のとおりであります。

 

<木材建材事業>

国内の建材製造子会社において、安全性や機能性を付与した住宅用部材・建材の開発等を行っております。当事業に係る研究開発費は3億41百万円であります。