文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「公正、信用を重視し社会を利するという「住友の事業精神」に基づき、人と地球環境にやさしい「木」を活かし、人々の生活に関するあらゆるサービスを通じて、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する」ことを経営理念に掲げ、この理念のもと、企業価値の最大化をめざすことを経営の基本方針としております。
この実現のため、当社グループは、お客様の感動を生む高品質の商品・サービスを提供する、新たな視点で次代の幸福に繋がる仕事を創造する、多様性を尊重し自由闊達な企業風土をつくる、日々研鑽を積み自ら高い目標に挑戦する、正々堂々と行動し社会に信頼される仕事をする、の5つを行動指針として、経営の効率化及び収益性の向上を重視した事業展開を行っております。
また、情報開示を積極化し経営の透明性を高めることで、経営品質の向上を図っております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、「売上高」及び「経常利益」をグループ全体の成長を示す経営指標と位置づけております。また、経営の効率性を測る指標として「自己資本利益率(ROE)」、財務の安定性を測る指標として「自己資本比率」を重視しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
世界経済は、新型コロナウイルス感染症が再拡大しているものの、ワクチン接種の進展等により景気回復は緩やかに続くものと考えられます。しかしながら、米国における好調な個人消費や原材料価格の高騰等を背景としたインフレ加速の懸念や金融引き締め政策に加えて、不動産市場の成長が転換期を迎えた中国経済の減速等により、景気の先行き不透明感が続くものと考えられます。また、ウイルス変異株をはじめとする感染状況の動向についても引き続き注視する必要があります。わが国経済につきましても、景気の持ち直しは継続するものと考えられますが、年初から感染が再拡大していることによる社会経済活動への影響や、供給面での制約等による景気の下振れリスクに十分注意する必要があります。
(「中期経営計画2021」の総括)
当社グループは、「中期経営計画2021」において、「更なる成長に向けた未来志向の事業戦略の推進」、「持続的な成長に向けた経営基盤の強化」、「木を活かす研究開発・技術革新の加速」、「事業とESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みの一体化推進」という4つの基本方針に基づいて、変化する時代の中で社会課題の解決に取り組み、経営基盤の強化と未来に向けた事業の更なる推進を図ってまいりました。
数値目標につきましては、目標に掲げた全ての項目について計画を上回ることができました。
(注) 1 経常利益は退職給付会計に係る数理計算上の差異を除きます。
2 当社は、2020年12月期(第81期)より事業年度の末日を3月31日から12月31日に変更しました。また、連結子会社においても、一部を除き、同様の変更を行いました。これに伴い、決算期変更の経過期間である2020年12月期(第81期)の実績は、2020年4月1日から2020年12月31日までの9ヶ月間の数値を記載しております。
3 「中期経営計画2021」の数値目標は計画策定時点における2022年3月期の計画値です。
具体的な経営戦略につきましては、米国及び豪州において、戸建住宅事業の進出エリアを着実に広げたほか、米国における不動産開発事業を推進することにより、事業規模の拡大と多角化を進めました。また、当社が参画する木質バイオマス発電事業所の増設や、大型のサービス付き高齢者向け住宅の新設等を行い、次代の柱となり得る事業の開拓に取り組みました。さらに、持続的な企業価値の向上に必要な経営基盤の強化を目的として、公募増資及び第三者割当増資を実施し、財務体質の改善を行いました。
(長期ビジョン及び中期経営計画の推進)
当社は、このほど、長期ビジョン「Mission TREEING 2030」及び中期経営計画「Mission TREEING 2030 Phase 1」を策定しました。
<長期ビジョン>
当社グループは長期ビジョンを達成するために、重要課題を「地球環境への価値」、「人と社会への価値」、「市場経済への価値」に紐づけた上で、いずれの価値も損なうことなく、また、それぞれの価値を高めることにより、3つの価値を同時に満たす事業活動を推進してまいります。
<中期経営計画>
当社は、3年後の第85期末(2024年12月期末)に売上高1兆7,700億円、経常利益1,730億円(退職給付会計に係る数理計算上の差異を除く)、親会社株主に帰属する当期純利益1,160億円、ROE15%以上、自己資本比率40%以上を目指すこととしました。また、本中期経営計画の基本方針として、「木材資源の活用による脱炭素化への挑戦」、「収益基盤の強靭化の推進」、「グローバル展開の加速」、「持続的成長に向けた経営基盤の強化」、「事業とESGの更なる一体化」の5つのテーマを掲げ、目標達成に向けて取り組んでまいります。
①木材資源の活用による脱炭素化への挑戦
・森林のCO2吸収源としての価値を訴求した新たな事業の展開
森林資源のCO2吸収/固定量の精度の高い計測技術を確立するとともに、森林ファンドの組成やCO2クレジット化を通じて、CO2吸収源としての価値を提供する事業を展開します。
・国産材の競争力強化に向けた施策の推進
国産材の競争力強化のための施業の効率化及び生産性を向上するほか、国産材のカスケード利用*を前提とした大規模製造事業の事業化を進めます。
・中大規模木造建築事業の拡大
国内外においてエンボディード・カーボン**及びオペレーショナル・カーボン***を低減する中大規模木造建築事業を拡大します。
* カスケード利用とは、間伐材や林地残材等の森林資源及び廃材・端材を余すことなく効率的に利用することを意味します。
** エンボディード・カーボンとは、例えば建物を建築する過程(建材の原材料の調達・製造、建築、解体等)で排出されるCO2を意味します。
*** オペレーショナル・カーボンとは、建築物の使用時において排出されるCO2を意味します。
②収益基盤の強靭化の推進
・住宅・建築事業及び木材建材事業の収益力の回復、並びに将来の市場変化を見据えた変革の推進
住宅・建築事業は、コロナ後の需要を的確に捉えるとともに、中長期的な新設住宅着工戸数の減少を見据え、合理化及び生産性向上により収益力の回復を図ります。
木材建材事業は、海外製造事業の立て直しとともに、木材コンビナートを柱とした循環型の資材供給システムの確立、脱炭素関連事業、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進等により、新たな収益機会を創出します。
・資産効率の向上
低収益事業や非効率資産については保有の意義を精査した上で、資産効率向上及び資金捻出の観点から、効率改善に取り組みます。また、ROICを指標として資本効率を高める取り組みや、事業別のリスクを反映した投資判断基準等の整備を進めます。
③グローバル展開の加速
米国及び豪州における戸建住宅事業は、当社グループの収益の柱として、更なる事業拡大を図ります。資材の共同購買拡充、パネル事業等によるグループシナジー創出の取り組みと将来の人件費高騰に備えた合理化を推進します。また、不動産開発事業では他人資本を活用する事業モデルにより資金効率を高めます。
アジア事業は、戸建住宅事業の推進等により安定的な収益基盤を整備します。
④持続的成長に向けた経営基盤の強化
・デジタル化の推進
顧客関係のデジタル化、次世代設計・生産システムの開発、社内のITリテラシー向上等の「攻め」の取り組みにより全社的にデジタル化を推進します。
・人財の確保及び育成の強化、社員のエンゲージメントの向上
事業の拡大に対応した人財の確保及び育成の強化、社員のエンゲージメントの向上、働きかた改革の推進、ダイバーシティへの取り組み等を進めます。
・リスクマネジメントの強化
リスクの多様化・グローバル化に対応するために、内部監査機能の充実を図ります。
大規模自然災害、サイバーテロ、ウイルス感染症等の不測の事態に対応したBCM体制を構築します。
⑤事業とESGの更なる一体化
・RE100及びSBT(Science Based Targets)の達成に向けた施策の着実な実行
自社の事業活動に伴う環境目標であるRE100及びSBT SCOPE1*・2**についての取り組みを着実に進めます。SBT SCOPE3***については、積極的提案により脱炭素化を促進するほか、お客様に選択肢を提供できるよう、省エネルギー性能の向上、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の開発を推進します。
* SCOPE1とは、自社での燃料使用等による温室効果ガスの直接排出量を意味します。(例:社有車のガソリン使用に伴うCO2排出量)
** SCOPE2とは、購入した電力・熱による温室効果ガスの間接排出量を意味します。(例:オフィスの電力使用に伴うCO2排出量)
*** SCOPE3とは、サプライチェーンの温室効果ガス排出量を意味します。(例:販売した製品の使用時のCO2排出量)
当社グループは、以上の取り組みとともに、社会の変化を見据え、株主の皆様をはじめとするステークホルダーの声に耳を傾けながら、コーポレート・ガバナンスを充実させ、環境共生、お客様満足の向上、人権・多様性尊重、リスク管理・法令遵守に関する取り組みを引き続き強化し、企業価値の更なる向上に取り組んでまいります。
また、中期経営計画の基本方針の一つである「事業とESGの更なる一体化」を含め、SDGs(持続可能な開発目標)達成に貢献する目標に積極的に取り組むなど、企業に求められる社会的責任を果たしてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響については具体的な内容を見積もることは困難であるため、記載しておりません。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)国内外の住宅市場の動向に関するリスク
当社グループの業績は、国内外における住宅市場の動向に大きく依存しております。
国内外の経済状況の低迷や景気の見通しの後退、それらに起因する雇用環境の悪化や個人消費の落ち込みは、お客様の住宅購買意欲を減退させる可能性があります。また、各国の金利政策や住宅関連政策の変更、地価の変動、木材等の資材価格の変動による建築コストの変動等も、お客様の住宅購買意欲に大きな影響を与えるため、これらの顧客ニーズの変化が住宅市況やコスト構造を悪化させ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
上記リスクに対して、国内の住宅・建築事業では、次のような対策により、当社の独自性を強調し、住宅市場における優位性の確保を図っております。
①戸建注文住宅事業では、当社独自の商品や技術力・設計力を活かした提案を強化し、お客様の様々な要望にお応えすることで、受注拡大に努めております。具体的には、環境配慮型商品の受注に注力するとともに、天井高、床材・建具の種類やデザインに豊富な選択肢を用意し、お客様の要望に沿って様々な室内空間を実現する提案等を行っております。
②賃貸住宅事業では、多様化する入居者のライフスタイルに対応して、賃貸住宅に求められる性能を的確に把握し、より快適な住環境を提供することに努めております。その他、リフォーム事業では、高い技術力を活かした耐震リフォームや旧家再生リフォームに注力し、建築物の木造化・木質化を推進する木化事業では、中大規模木造建築物への取り組みを強化しております。
また、米国・豪州だけでなく、東南アジアにおいても、住宅事業・不動産開発事業を進めることで、参入する住宅市場を分散し、収益基盤の多様化と事業の多角化を図っております。このため、海外住宅・不動産事業においては不動産投資リスクに関する社内ルールの運用を徹底し、事業規模拡大に伴う不動産投資残高の増加に対して、各国の住宅マーケットの的確な把握とモニタリング、適正な在庫管理の徹底を図るなど、投資リスクの低減に努めております。
(2)法的規制等に関するリスク
当社グループは、木材建材事業や住宅・建築事業をはじめ人々の生活に関する様々な事業を行っております。各事業を取り巻く法規制は多岐にわたり、建築基準法、建設業法、建築士法、宅地建物取引業法、住宅品質確保促進法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、金融商品取引法、介護保険法等に加え、会社法、労働基準法、労働安全衛生法、個人情報保護法、公益通報者保護法など、多くの法規制に従う必要があります。当社グループでは次のような対策によりこれら法規制の遵守に努めておりますが、これらの法規制に適合しない事態が発生した場合、罰金や、行政処分による事業の制約によって社会的信用が低下し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
①執行役員を委員とする「リスク管理委員会」を設置し、各部署選定の全リスク項目から抽出した「重点管理リスク」の顕在化事例や、リスク回避のための対応の実効性について、定期的に確認と協議を行っております。
②親会社総務部のリスク管理・コンプライアンスグループでは、国内関係会社に対して、各種法令の遵守状況について一斉点検を実施しております。実施後には、点検で見つかった指摘事項について、各関係会社にフィードバックを実施し、各社が体制の強化や是正に取り組むよう指導しております。
③各事業本部管理部門による、支店や建築現場に対する監査や実査を実施しております。
④上記の点検や監査は、事業に応じて取得しているISO規格に基づいて実施するなど、実効性のあるマネジメント体制を構築しております。
(3)為替に関するリスク
当社グループは、海外関係会社を通じて海外での事業活動を展開しているほか、木材・建材の外貨建ての輸出入取引や三国間取引を行っております。海外での事業活動及び外貨建ての取引では、為替変動により外貨建ての収益及び費用の円換算額が増減したり、為替換算調整勘定を通じて純資産が増減したりするリスクが存在します。これらのリスクに対応するため、当社グループでは為替予約を行うなどの対策を取っておりますが、急激な為替変動は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
(4)品質保証に関するリスク
当社グループは、国内外で取扱商品・サービス及び住宅等の品質管理に万全を期しておりますが、予期せぬ事態や人為的ミスによる重大な品質問題等が発生することを、完全に回避することはできません。具体的には、品質保証責任を問われる住宅等の重大な欠陥、有料老人ホーム運営事業等における高齢者向け事業特有の事故等が発生する場合があります。また、特に海外においては、品質不良を原因とするクラスアクション等の訴訟により、高額の賠償責任や対応費用が生じるリスクがあります。さらには、合法性や持続可能性に疑義のある木材の調達により、政府によるペナルティや環境保護団体等からの批判を受けるリスクがあります。これらのリスクに備え、当社グループでは「住友林業グループ品質方針」を定め、当社グループから生み出される全ての商品やサービスは品質そのものであるという認識のもと、全員参加による「ZERO DEFECTS(ゼロディフェクト)」を追求し、次のような対策を通した品質の向上に取り組んでおりますが、多額の損害賠償や社会的信用の失墜が発生した場合には、こうしたリスクの顕在化が、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
①法規制に適合する部材の使用、有資格者の適切な配置、適切な施工体制の整備を徹底しております。
②戸建住宅事業において、長期保証制度を設け、きめ細やかなアフターサービスを提供しております。
③有料老人ホーム事業においては、オペレーションミスによる事故を回避するため、サービス提供手順のマニュアルを作成し、周知を徹底しております。施設内でインフルエンザ等の感染症が蔓延するのを防止するため、社員に予防接種を義務付けるなど感染症対策にも努めております。
④木材の調達に関しては、調達部門及びサステナビリティ推進部門による「木材調達委員会」を定期開催し、合法性と持続可能性の確認及び勉強会などを含む情報共有を実施しております。
(5)取引先への信用供与に関するリスク
当社グループは取引先に対する売上債権等の信用供与を行っており、信用リスクの顕在化を防ぐために適切な限度額を設定するなど、与信管理を徹底しておりますが、それでもなおリスクが顕在化する可能性を完全に回避することは困難です。また、信用リスクが顕在化した場合の損失に備えるため、一定の見積りに基づいて貸倒引当金を設定しておりますが、実際に発生する損失がこれを超過する可能性があります。このため、取引先の支払い不能等の信用リスクの顕在化は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
(6)海外での事業活動に関するリスク
当社グループは、海外で事業活動を展開しているほか、海外商品の取扱い等、海外の取引先と多くの商取引を行っております。各国の政治・経済・社会情勢の変化を注視し、現地の法規制等の遵守、慣習による贈収賄の横行や社員による着服の防止、重大労災の発生防止等に努めておりますが、特に、当社グループの木材の調達先及び製造拠点の一部であり、大規模植林事業も展開しているパプアニューギニアやインドネシアなどの新興国においては、これらのリスクが顕在化する可能性を完全に回避することは困難です。社内管理の不備により、法規制への違反や不法行為などのコンプライアンス違反が発生し、高額の金銭の流出事件が発生したり、現地政府からペナルティを受けたり、死亡労災等を防げずに被災者遺族から多額の損害賠償請求を受けたりした場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。こうしたリスクを最小化するために、当社では次のような対策をとっております。
①「住友林業グループ労働安全衛生方針」に定める「SAFETY FIRST(セーフティファースト)」という基本的な考えのもと、海外の各製造拠点においても、労働安全衛生体制の整備に努め、使用する重機の安全装置や作業者の安全装備を充実させるとともに、積極的な従業員教育に取り組んでおります。
②社内監査、会計監査、税務調査などで発覚した指摘事項を関係会社各社で共有し、より効果的な管理体制の構築に努めております。
③海外関係会社各社に、贈収賄防止規定を整備しております。
④海外出張者・海外駐在員に対し、渡航前に安全教育や危機管理研修を実施しております。
(7)保有・管理する山林や植林事業地に関するリスク
当社グループは、国内社有林で計画的な森林経営を展開するほか、海外でも広大な植林地を管理し、生物多様性の保全や地域社会の発展に貢献するための活動を実施しております。国内外で所有・管理する山林・植林地では、以下のような取り組みやリスク対策を実施しておりますが、大規模な山林火災や病害虫による植林木の損失、誤った伐採量の試算による過剰伐採、地域住民からの反発、環境保護団体からの批判活動が長期間続いた場合には、これらのリスクの顕在化が、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
①国内外の社有林及び植林事業地で、植林・育林・収穫を計画的かつ継続的に実施する保続林業の考え方を基本に、持続可能な木材生産に努めております。過剰に木材を伐採することがないよう、施業計画の立案とこれに沿った森林経営を実施しております。
②山林火災防止のため、火災リスクの高い時期における関係者以外の管理地への立ち入り規制や、数値化した火災リスクに応じた現場オペレーションの制定・遵守等を実施しております。また、火の見櫓から煙の発生を監視したり、パトロールを実施したりするなど、早期の火災発見体制も整備しております。
③植林木の育成が阻害されないよう、計画的な間伐や下草等の刈払いなどの植林事業地全体の日常的な管理を徹底しております。また、適時生育状況をモニターすることにより病虫害を防止するとともに、獣害防止にも努めております。
④国内外の社有林及び植林事業地を取り巻く地域社会への貢献に努め、地域社会の発展に寄与する事業を展開しております。特に大規模植林事業を展開するインドネシアやパプアニューギニアでは、地域の雇用創出、ライフライン設備の建設、環境教育等の活動を地道に展開し、地域に根差した活動を目指しております。
⑤国内外における森林資源の管理・活用拡大にあたっては、気候変動対策や生物多様性保全に配慮した取り組みを実施しております。具体的には、植林計画立案時の、地形や地質、生息する希少動物の把握に至るまでの詳細な調査実施などに努めております。
(8)情報漏洩に関するリスク
当社グループは、国内外の住宅・不動産事業等においてお客様に関する膨大な個人情報を保有しており、筑波研究所等の研究機関においては長年の研究成果等の大量の機密情報を保有しております。重要な情報の管理には万全を期しておりますが、個人情報等を含む書類・社給端末の盗難、従業員及び委託先等の人為的ミスなどの内部要因による情報漏洩、及び悪意ある第三者からの攻撃などの外部要因による情報漏洩を完全に回避することは困難です。個人情報が外部に流出した場合には、お客様及びマーケット等からの社会的信用の失墜や被害にあわれたお客様からの損害賠償請求を招く可能性や、会社の機密情報が流出した場合には、市場における競争力の低下や共同研究先からの損害賠償請求等を招く可能性があり、これらの情報セキュリティリスクの顕在化は、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。なお、このようなリスクを低減するために、当社では次のような対策をとっております。
①全従業員を対象に、個人情報や機密情報の取り扱いに関する研修を定期的に実施しております。
②内部からの情報漏洩と外部からの侵入の両方に対するセキュリティ強化のため、多層防御システムを構築しております。また、システム担当者による情報漏洩を防ぐため、社内システム部門の承認手順を多重化するなどの対策を実施しております。
③個人情報や機密情報の電子化と、一定基準のセキュリティ設定をした社給端末への集約を推進し、書類の紛失による情報流出リスクに対応しております。
④シンクライアント端末、ハードディスクを暗号化したモバイルパソコン、仮想ネットワーク等を導入し、業務内容や働きかたに合わせたIT環境を整備することで、端末紛失時の情報流出リスクに対応しております。
⑤研究・開発に関する機密情報等、企業秘密を取り扱う案件では、必ず関係先と秘密保持契約を締結しております。
(9)退職給付会計に関するリスク
当社グループは、退職給付会計に係る数理計算上の差異について、発生年度に一括して費用処理する方法を採用しております。期初時点での想定よりも年金資産の運用環境が悪化した場合や、退職給付債務の計算に用いる割引率が低下した場合、数理計算上の差異の償却費用が発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。このような数理計算上の差異の発生に伴う損益変動リスクに対応するため、確定給付型と確定拠出型を組み合わせた退職給付制度を導入しているほか、年金資産の運用において安全性と収益性を考慮した適切な投資配分などを行っております。
(10)気候変動に関するリスク
気候変動によって生じる異常気象や生物多様性の変化等は、当社グループの企業努力だけでは回避することが困難であり、地球環境や世界経済に重大な影響を与えるおそれがあると同時に、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
物理的リスクとしては、自然災害の激甚化等が、住宅建設等の工期の遅れや被災した工事中建物の復旧活動等による建築コストの増加を招く可能性があります。また、異常気象の発生等が、生物資源である樹木の植生や成長に影響を与える可能性があるほか、管理する植林地、森林等が毀損される可能性があります。
移行リスクとしては、各国の森林保護政策や伐採規制等の変更・強化が、木材調達コストの増加を招く可能性があります。また、当社グループでは、建材製造事業や都市型及び山間地型のバイオマス発電事業を展開しているほか、研究技術開発構想「W350計画」に代表される、研究開発・技術革新活動に取り組んでおりますが、これらの設備や技術、エネルギー利用や温室効果ガス排出に関連する法規制等が変更された場合、操業コストの増加や、対応のための追加コストの発生を招く可能性があります。
持続可能で豊かな社会の実現に貢献することを経営理念とする当社グループでは、持続可能性の観点から気候変動に関するリスクを主要なリスクと捉え、次のような取り組みを実施しております。
①グループ全体の事業活動から生じる温室効果ガス排出量を削減するための科学的根拠に基づいた目標※1を策定し、中期経営計画等に織り込んで目標実現に向けて取り組んでおります。
②2018年に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)※2の提言内容への賛同を表明しました。同年からTCFDの提言に基づくシナリオ分析を実施し、投資家に向けた気候関連の財務情報開示に努めております。
③2020年3月から国際的イニシアティブ「RE100」※3に加盟し、2040年までに、自社グループの事業活動で使用する電力と発電事業における発電燃料を100%再生可能エネルギーにすることを目指し、取り組みを推進しております。
※1 当社グループは、2018年4月に温室効果ガス長期削減目標を策定し、同年7月に科学的根拠に基づいた目標(SBT:Science Based Targets)として認定されました。認定は、SBTイニシアティブ(SBTi)によるものです。SBTiは、2015年に国連グローバル・コンパクト、CDP(機関投資家と協働して、企業が環境影響について情報開示と管理をすることを促す英国のNGO)、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)の4団体が、産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑えるための科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出削減目標を推進するために設立されたイニシアティブです。2018年10月に、IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)から、世界の平均気温の上昇幅の1.5℃と2℃との間には生じる影響に大きな違いがあることが報告され、2019年9月の国連気候行動サミットで1.5℃目標への流れが決定的になると、SBTiも1.5℃基準の承認基準へ移行しました。これを受け、当社グループも目標を1.5℃基準に見直し、2022年1月現在、再認定を申請中です。
※2 FSB(金融安定理事会)の指示により2015年に設置されたタスクフォースです。企業が任意で行う気候関連のリスク・機会に関する情報開示のフレームワークが示されています。
※3 国際的な環境NGOであるThe Climate GroupとCDPが連携して運営する国際イニシアティブです。
(11)自然災害等による緊急事態の発生に関するリスク
大規模な地震や風水害等の自然災害、戦争、火災、テロ、新型インフルエンザ等を含む重篤な感染症、暴動などの危機事象が発生し、従業員の生命に危機が生じるような緊急事態に陥った場合、事業継続が困難となる可能性があります。当社グループでは、そうした事態に備え、全社的な事業継続マネジメント(BCM)を推進しております。具体的には、緊急事態の発生に伴う事業中断による業績への影響の最小化を目的に、平時における活動と緊急事態発生時の対応方針等の基本事項を定める「BCM規程」を制定し、事象別の事業継続計画(BCP)を策定しております。個別のBCPを実現させるため、データ保存の二重化、安否確認システムの導入、帰宅困難対策、防災訓練、必要物資の備蓄等を実施しているほか、本社機能喪失を想定した代替拠点の整備や、平常時からのテレワーク環境の整備等によるリスクの分散に取り組んでおります。しかし、危機事象の多くは発生を予測することが困難であり、このような対策をもってしてもすべての被害や影響を回避できるとは限りません。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)については、今後感染状況がどのように収束するか、経済や社会にどのような影響を及ぼすか、先行きが不透明な状況が続いております。当社グループでは、日本国内及び事業を展開する諸外国における感染拡大状況に応じて様々な対策を実施しておりますが、世界的な移動制限や外出制限などの感染拡大防止策が当社グループの事業活動を制限し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
<要約損益計算書> (単位:百万円)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当期の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が続いたものの、ワクチン接種の進展等により社会経済活動が正常化に向かったことで、景気は持ち直しました。しかしながら、世界的なサプライチェーンの混乱や原材料価格の高騰が景気回復の下押し要因となりました。わが国経済におきましても、期初から断続的に緊急事態宣言が発出されたこと等から、厳しい状況が続きました。緊急事態宣言が解除された昨年10月以降は、ワクチン接種の進展等を背景に、個人消費を中心に経済活動が正常化に向かったことから、景気に持ち直しの動きがみられました。
住宅市場に関しましては、国内では、コロナ禍における戸建住宅需要の高まりや住宅ローン減税の特例措置に係る駆け込み需要もあり、堅調に推移しました。米国では、建設コストの増加や住宅需給のひっ迫により住宅価格が高騰したものの、雇用環境の改善や歴史的な低水準で推移した住宅ローン金利等を背景に、市場は好調に推移しました。豪州では、住宅価格の上昇やロックダウン(都市封鎖)の影響がありましたが、堅調な雇用環境や過去最低水準の住宅ローン金利の効果もあり、市場は堅調に推移しました。
このような事業環境のもと、当社グループは、当期を最終年度とする「中期経営計画2021」の実現に向け、国内では、福岡県苅田町の木質バイオマス発電事業所の営業運転開始や三重県多気町のホテルヴィソンの開業など積極的に取り組みました。米国では、戸建住宅事業の新規エリア進出のほか、新たに戸建賃貸開発事業に参入するなど事業領域を更に拡大し、当社グループのより一層の成長に向けた事業の推進に注力しました。また、堅固な財務基盤の確立及び将来の投資余力の確保を目的として、公募増資及び第三者割当増資を実施し、持続的な企業価値の向上に必要な経営基盤の強化を図りました。
その結果、売上高は1兆3,859億30百万円(2020年3月期比25.5%増)、営業利益は1,136億51百万円(同121.2%増)、経常利益は1,377億51百万円(同134.2%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は871億75百万円(同213.0%増)となりました。なお、退職給付会計に係る数理計算上の差異はプラス32億60百万円となり、数理計算上の差異を除いた経常利益は1,344億91百万円となりました。
自己資本利益率(ROE)につきましては20.2%となり、目標に掲げていた10%以上を達成しております。
(事業セグメント別の経営成績)
事業セグメント別の業績は、次のとおりです。なお、各事業セグメントの売上高には、事業セグメント間の内部売上高を含めております。
<木材建材事業>
流通事業におきましては、世界的に木材需給がひっ迫する中、当社グループの国内外での調達力を活かし、取引先に対する安定供給体制の維持に注力しました。また、収益源の多様化を目的として、バイオマス発電用の木質燃料の取り扱い拡大や国産材活用への取り組みを強化したほか、持続可能な植林木を使用した合板や建材の拡販に注力しました。その結果、業績は好調に推移しました。
製造事業におきましては、国内において、製造コストが上昇したことから業績は伸び悩みました。海外においては、インドネシアの合板や建材事業がコロナ禍の影響もあり業績は伸び悩みましたが、ニュージーランドではロックダウン(都市封鎖)の影響があったものの、MDF(中密度繊維板)やLVL(単板積層材)の販売数量が増加したことから業績は堅調に推移しました。
以上の結果、木材建材事業の売上高は2,168億58百万円(2020年3月期比3.0%減)、経常利益は99億84百万円(同63.8%増)となりました。
戸建注文住宅事業におきましては、コロナ禍における営業力強化策の一環としてWEBマーケティングの取り組みを一層強化したほか、当社の設計力を活かしてライフスタイルの変化に対応したプランの提案に注力しました。また、お客様の環境意識の高まりに対応して、エネルギー消費量が正味ゼロとなるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様の受注拡大に努めるなど、受注は好調に推移しました。施工面では、コロナ禍によるサプライチェーンの混乱が生じたものの、着工の平準化を推進しました。これらの結果、売上高は増加しましたが、木材を中心とした世界的な建設資材のコスト上昇による利益率の低下から、業績は伸び悩みました。
賃貸住宅事業におきましては、当社が建設した賃貸住宅のオーナー様から借り上げた物件をモデルルームとして体感していただく、「タウンスクエア」による受注活動を推進したほか、間取りの変化や自由な空間設計が可能となる「WF構法(ウォールフレーム構法)」を採用した賃貸住宅の受注拡大に取り組みましたが、戸建注文住宅事業と同様に建設資材コストの影響を受け業績は伸び悩みました。
分譲住宅事業におきましては、優良な土地の仕入れが奏功したことに加え、旺盛な購買意欲に支えられ業績は堅調に推移しました。
リフォーム事業におきましては、当社オリジナルの耐震・制震工法等の高い技術力を活かした耐震リフォームの受注拡大に注力したほか、「住友林業の家」のオーナー様に対する営業活動を強化しました。
また、昨年1月にコーナン建設株式会社をグループに迎え入れ、非住宅分野における中大規模建築事業や木造化・木質化に着手しました。
以上の結果、住宅・建築事業の売上高は5,109億39百万円(2020年3月期比7.8%増)、経常利益は196億41百万円(同13.0%減)となりました。
米国での戸建住宅事業におきましては、当社グループが事業活動を展開しているワシントン州、ユタ州、テキサス州及びメリーランド州等の地域において、過去最低水準の住宅ローン金利や都市部から郊外への住み替え需要の高まりを背景に、業績は好調に推移しました。また、昨年2月に米国コロラド州デンバー地区で分譲住宅事業を行うCDL homes, Inc.の事業を譲り受けたことにより、米国における戸建住宅事業エリアは14州になり、事業エリアを更に拡大しました。不動産開発事業におきましては、コロナ禍により売却を延期していた物件を含め計画どおり物件売却を進めたほか、旺盛な需要を受け一部の物件売却を早めたことから業績は好調に推移しました。
豪州での戸建住宅事業におきましては、ビクトリア州、ニューサウスウェールズ州及び西オーストラリア州等の地域において、ロックダウン(都市封鎖)の影響を受けたものの、歴史的な低水準の住宅ローン金利等を背景として業績は堅調に推移しました。なお、当社は、脱炭素社会の実現に向け、昨年10月にNTT都市開発株式会社及びHines社(米国テキサス州)と、メルボルン市における木造オフィス開発事業に参画することを決定し、ネットゼロカーボンビル*の実現を目指す取り組みを開始しました。
東南アジアにおいては、ベトナム、インドネシア、タイにおいて、取り組み中の戸建住宅及び分譲マンションプロジェクトがコロナ禍により工事や販売計画に遅れが生じました。
* ネットゼロカーボンビルとは、建物を省エネルギーや創エネルギー仕様にし、再生可能エネルギー利用と炭素クレジットによるオフセットも組み合わせ、建築物の使用時に排出されるCO2を実質ゼロにするものです。
以上の結果、海外住宅・不動産事業の売上高は6,445億73百万円(2020年3月期比61.4%増)、経常利益は1,043億34百万円(同202.1%増)となりました。
<資源環境事業>
バイオマス発電事業におきましては、昨年6月に営業運転を開始した苅田バイオマスエナジー株式会社のほか全国4か所に所在する木質バイオマス発電事業所が安定的に稼働しましたが、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)における政府の激変緩和措置が終了したことに伴う売電先との契約見直しの影響により、業績は伸び悩みました。
森林経営におきましては、ニュージーランド南島ネルソン地区で展開している森林事業において、同国内向けの販売数量の増加により、業績は堅調に推移しました。
なお、昨年6月に株式会社IHIと、熱帯泥炭地を適切に管理するコンサルティング事業の実現や、森林や土壌における炭素蓄積量など自然資本の価値を適切に評価することによる質の高い炭素クレジットの創出と販売に向けて、業務提携契約を締結しました。本提携を通じて、当社グループが国内外で培ってきた森林の管理技術や、インドネシアにおける熱帯泥炭地の管理技術等の強みを活かし、脱炭素社会への実現に貢献してまいります。
以上の結果、資源環境事業の売上高は222億99百万円(2020年3月期比15.8%増)、経常利益は39億31百万円(同10.7%増)となりました。
<その他事業>
当社グループは、上記事業のほか、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の運営事業、住宅顧客等を対象とする保険代理店業等の各種サービス事業等を行っております。また、株式会社熊谷組に係る持分法による投資利益も含まれます。
その他事業の売上高は239億44百万円(2020年3月期比2.2%増)、経常利益は30億12百万円(同102.9%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当社グループの展開する事業は多様であり、生産実績を定義することが困難であるため記載しておりません。
当連結会計年度における住宅・建築事業の受注実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 1 住宅・建築事業のうち、提出会社における注文住宅及び賃貸住宅、並びにその他請負の該当金額を記載しております。
2 受注高には、当連結会計年度の新規受注に加えて、期中の追加工事によるものが含まれております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 各セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。
2 調整額には、特定のセグメントに区分できない管理部門等における売上高を含み、セグメント間の内部売上高を消去しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 海外住宅・不動産事業セグメントの販売実績に著しい変動がありました。その内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績」に記載しております。
当連結会計年度末における総資産は、米国住宅事業を中心としたたな卸資産の増加や、公募及び第三者割当による新株式の発行等に伴う現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末より2,230億73百万円増加し、1兆3,142億26百万円となりました。負債は、木材建材事業における支払手形及び買掛金の増加等により、前連結会計年度末より824億40百万円増加し、7,741億36百万円となりました。また、公募及び第三者割当による新株式の発行等により、純資産は5,400億89百万円、自己資本比率は37.7%となりました。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
<木材建材事業>
当連結会計年度末における木材建材事業の資産は、国内流通事業におけるたな卸資産や売上債権が増加したこと等により、前連結会計年度末より326億16百万円増加し、2,199億48百万円となりました。
<住宅・建築事業>
当連結会計年度末における住宅・建築事業の資産は、分譲住宅事業におけるたな卸資産が減少した一方、新たに連結の範囲に含めた子会社が保有する有形固定資産の増加等により、前連結会計年度末より166億36百万円増加し、1,987億47百万円となりました。
<海外住宅・不動産事業>
当連結会計年度末における海外住宅・不動産事業の資産は、分譲住宅事業及び不動産開発事業の拡大に伴い、たな卸資産が増加したこと等により、前連結会計年度末より1,618億65百万円増加し、5,406億36百万円となりました。
<資源環境事業>
当連結会計年度末における資源環境事業の資産は、業務提携目的で保有する上場株式の時価下落に伴い、投資有価証券が減少したこと等により、前連結会計年度末より97億27百万円減少し、897億8百万円となりました。
<その他事業>
当連結会計年度末におけるその他事業の資産は、持分法投資利益の発生に伴い、投資有価証券が増加した一方、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の運営事業に係る減損損失の計上に伴い、のれんが減少したこと等により、前連結会計年度末より22億39百万円減少し、787億22百万円となりました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より478億15百万円増加して1,700億35百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
なお、決算期変更の経過期間である前連結会計年度は2020年4月1日から2020年12月31日までの9ヶ月間の変則的な決算であるため、前年同期の数値については記載しておりません。
営業活動により資金は915億76百万円増加しました。これは、米国住宅事業を中心としたたな卸資産の増加等により資金が減少した一方で、税金等調整前当期純利益1,339億32百万円の計上等により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により資金は402億54百万円減少しました。これは、米国での集合住宅及び商業複合施設の開発等に資金を使用したこと等によるものであります。
財務活動により資金は70億29百万円減少しました。これは、公募及び第三者割当による新株式の発行等により資金が増加した一方で、配当金の支払等により資金が減少したことによるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、長短の資金使途に応じて最適な資金調達手法を機動的に利用し、資金返済時期の分散や調達コストの低減を実現することを基本方針としております。また、金融機関との取引関係の維持、調達先の分散、複数の金融機関とのコミットメントライン(特定融資枠)の設定など、資金調達リスクを軽減するため様々な対応策をとっております。当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は3,027億63百万円となっております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社は特に以下の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定が重要であると考えております。なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。固定資産の減損につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」にも記載しております。
①販売用不動産及び仕掛販売用不動産の評価
販売用不動産及び仕掛販売用不動産について、正味売却価額が帳簿価額を下回る場合、たな卸資産の簿価切下げに伴う評価損を計上しております。正味売却価額の見積りにあたっては、近隣地域における市場価格や直近の販売状況等を踏まえた販売計画に基づいて、当連結会計年度末現在における販売見込額を算定しております。経済情勢や不動産市況の悪化等により、正味売却価額が見込以上に下落した場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において評価損の追加計上が必要となる可能性があります。
②投資有価証券の評価
その他有価証券のうち、時価のある有価証券については時価法を、時価のない有価証券については移動平均法による原価法を採用しております。時価のない有価証券について、その実質価額が取得原価に比べ著しく下落した場合、回復の見込が確実と認められなければ、減損処理しております。時価のない有価証券の実質価額の見積りにあたっては、投資先の直近の業績や事業計画等を総合的に勘案し、当連結会計年度末現在における回収可能見込額を算定しております。将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が発生した場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において評価損の追加計上が必要となる可能性があります。
③貸倒引当金
売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。貸倒懸念債権等特定の債権の回収可能性の見積りにあたっては、直近の回収状況や取引先の経営状況等を総合的に勘案し、当連結会計年度末現在における回収可能見込額を算定しております。取引先の財政状態及び業況が見込以上に悪化した場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において引当金の追加計上が必要となる可能性があります。
④固定資産の減損
減損の兆候がある資産又は資産グループについて、そこから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が減損損失判定時点の帳簿価額の合計を下回る場合、減損損失判定時点の帳簿価額の合計と回収可能価額との差額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、並びに減損損失の認識及び測定にあたっては、直近の取締役会等で承認された予算及び中長期の事業計画に基づいて、将来キャッシュ・フローを算定しております。これらの見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。
⑤繰延税金資産
繰延税金資産は、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。繰延税金資産の回収可能性の見積りにあたっては、直近の取締役会等で承認された予算及び中長期の事業計画のほか、将来減算一時差異のスケジューリングを考慮しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りや将来減算一時差異のスケジューリングに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において繰延税金資産の調整額を収益又は費用として計上する可能性があります。
該当事項はありません。
住友林業は、1691年の創業以来、「森」や「木」とともに歩んでまいりました。現在当社グループでは、経営理念において『公正、信用を重視し社会を利するという「住友の事業精神」に基づき、人と地球環境にやさしい「木」を活かし、人々の生活に関するあらゆるサービスを通じて、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する』ことを謳っております。研究開発分野においても、「木の価値を高める」を基本に、地球環境から住環境まで、私たちの暮らしを取り巻く環境を、より豊かに創造することを目指して取り組んでおります。
また、創業から350周年を迎える2041年を目標とした研究技術開発構想である「W350計画」を2018年2月にまとめました。建築物を始めとした都市の構成要素の木造化・木質化を図り、街を森にかえる、つまり街に炭素を固定させ、環境に配慮した豊かな社会づくりを目指してまいります。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は
木造建築物に関する構造技術、防耐火技術、音・振動対策技術などの開発を行っております。建築住まいグループの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。
・中大規模木造建築に関する技術の開発
国内外で普及が期待される中大規模木造建築に関する構造構法、耐火関連技術、木質部材の開発を進めております。また、実プロジェクトへの技術普及並びに、海外のアカデミアとの研究開発にも取り組んでおります。
国内外の植林並びに新たな育種技術等の研究開発を行っております。資源グループの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。
・植林技術の開発
未利用樹種及び早生樹における植林技術の研究開発、さらに国内の苗木の大量生産技術の開発に取り組んでおります。
・育種・培養技術の開発
国内外の優良な形質を持つ樹木について、さらにその形質を高めるゲノム育種や、名木・貴重木を再生・増殖するための組織培養技術の開発に取り組んでおります。
・緑化技術の開発
暑熱緩和・防災効果のある機能性緑地の開発や、高層木造建築へ対応できる特殊緑化技術の開発を進めております。
新しい木質材料の開発や木材利活用技術の開発等を行っております。材料グループの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。
・新しい木質材料の開発
既存事業のMDF(中密度繊維板)やパーティクルボードなど木質ボードの性能改善や製造技術の開発を進めるとともに、中大規模木造建築で求められる高強度木質構造材や木質耐火材料の開発に取り組んでおります。
・新しい木材利用技術の開発
木の可能性を引き出し木材の利活用を推進するため、木質資源のバイオリファイナリーに取り組むとともに、木材繊維の新たな領域での利活用を進めております。
「木」や「緑」がもつ特性の解明や、それらを含む環境空間が快適性や知的生産性、更には医学的効果に及ぼす影響などの研究を行っております。木のイノベーショングループの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。
・「木」と「緑」がもつ特性とその効用に関する研究
木質空間・緑化空間が人の五感に与える影響や、メンタルヘルスなどに及ぼす医学的な効果の研究に取り組んでおります。
・生産性向上に関する研究
木や緑の空間が人の心理生理に及ぼす影響(疲労回復や疲労軽減、創造性、コミュニケーション等)の研究を進め、生産性向上の定量化とその因子の特定のための研究を進めております。
・木造建築物の環境的価値の見える化に関する研究
ライフサイクルでの温室効果ガス排出量や炭素固定量を見える化し、木造化・木質化の環境的価値の訴求に取り組んでおります。
⑤住宅技術商品開発センター
2020年4月に新設した住宅技術商品開発センターは、住宅・建築事業本部と連携して、住宅事業向けの技術商品開発を進めております。住宅技術商品開発センターの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。
・次世代住宅/低層非住宅構法の開発
BF構法(ビッグフレーム構法)をベースに次世代の地震対策技術や大スパン対応技術の開発を進めております。
・住環境の改善、省エネルギー技術の開発
遮音性をはじめとする音環境の改善技術、エネルギー消費量の削減や有効活用のための開発を進めております。
・各種品質・性能確認試験
主に住宅の構造強度、耐火性、建材の耐候性、防水性など、取り扱う様々な商品、材料の品質、性能を確認しております。
なお、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動の状況及び研究開発費は次のとおりであります。
国内の建材製造子会社において、安全性や機能性を付与した住宅用部材・建材の開発等を行っております。当事業に係る研究開発費は