文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは企業理念として、人間尊重を経営の基本に、健康で心豊かな生活と食文化に貢献し、社会とともに成長することを目指しております。その実現のため、水産物を中心とした総合食品会社として成長するとともに、安心・安全な食品の供給と環境保全を経営の重点課題に掲げております。また、内部統制システムを整備し企業倫理の徹底、法令の遵守、情報の共有化を進めるとともに、的確な情報開示による透明度の高い事業運営を行うことにより企業価値を高め、社会に貢献してまいります。
水産・食品業界を取り巻く状況は、世界の人口増、所得増により海外の水産物需要が高まりを見せ、水産物原料の確保について厳しい状況が続く一方で、国内においては少子高齢化、ライフスタイルなどの変化による、消費者ニーズの多様化が見込まれております。また今般の新型コロナウイルス感染拡大により、経済・事業の先行きに不透明感が増しているものの、状況を注視しながら、食品メーカーとして供給責任を果たしてまいります。
中期経営計画『Change Kyokuyo 2021』の概要
『魚を中心とした総合食品会社として、高収益構造への転換をはかり、資源、環境、労働などの社会的要請を踏まえ、事業のウイングの拡大と時間価値の提供により企業価値の向上を目指す』という基本方針のもと、『ESG重視の事業活動』を通じて『拡大』『強化』『均衡』の各戦略を進めることで、高収益構造へ大きく転換していくことを目指してまいります。
なお、詳細は当社ウェブサイトをご参照ください。
(https://www.kyokuyo.co.jp/files/180330.pdf)


各セグメントの施策は次の通りであります。
水産商事セグメントでは、市況動向を踏まえながら、国内外サプライヤーとの関係強化により、安定供給の維持・拡大に努めるとともに、グループ内連携の強化による販路の構築、商品の高付加価値化により安定収益体質への転換を図ります。また海外拠点において、自社工場製品や日本産海産物の販売をさらに強化し、海外販売の拡大を進めます。
冷凍食品セグメントでは、塩釜工場など自社工場製品の販売強化と生産性向上により、売上・利益の拡大を図るとともに、畜肉・冷凍野菜や食卓用商品など、魚以外のカテゴリーの拡販に取り組み、事業規模の拡大に努めます。また、「時短」「簡便」などマーケットのニーズを捉えた高付加価値商品の開発、販売を進めます。
常温食品セグメントでは、サバ缶やイワシ缶など青物缶詰を中心に品質にこだわった自社ブランド商品を投入し、売上拡大に努めます。またECサイトの充実により顧客獲得を進め、事業規模拡大を図ります。
物流サービスセグメントでは、集荷貨物の安定的な確保を図るとともに、配送体制の強化に努めます。
鰹・鮪セグメントでは、当社の強みである漁獲、養殖、国内外における買付から加工、販売まで一貫した体制のもと収益安定化を図ってまいります。海外まき網事業は所有船舶の操業効率化に努め、養殖事業は生産性向上により安定供給体制を構築し、事業収益の安定化を図ってまいります。加工及び販売事業は自社漁労原料や養殖クロマグロ、養殖真鯛などの高付加価値化を図り、販売ルートの拡大を進めてまいります。
管理面は、財務体質の強化や自己資本比率の向上、キャッシュ・フローの改善に努め、資本構成の均衡を図ります。事業利益は株主への配当水準の向上を常に念頭に置いた上で、成長戦略への投資や有利子負債の削減などバランスよく配分していきます。また「拡大」「強化」「均衡」各戦略のプラットフォームとしてESG活動を進め、社会的責任への要請に応えた経営を行ってまいります。
(3) 目標とする経営指標
当社グループにおける中期的な連結経営指標の目標は海外売上高15%、自己資本当期純利益率10%、自己資本比率30%、有利子負債資本倍率1.7倍以内を目標としております。なお当期(2020年3月期)実績は海外売上高11.2%、自己資本当期純利益率が6.3%、自己資本比率が29.4%、有利子負債資本倍率が1.7倍でした。
経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、総合食品グループとして安心・安全な商品およびサービスを提供し、消費者・ユーザーの信頼を獲得することを最重要課題としております。当社では品質保証部を設置し、当社及び当社グループ全体を対象として品質保証体制の構築と維持管理を行い、継続的に見直しを図っております。また社内規則を整備するなどして食品事故を未然に防ぐとともに、問題が発生した場合でも速やかに対応できる体制を構築しております。しかしながら、当社の管理体制でカバーしきれない不測の製品クレームなどが発生した場合、製品の回収など想定外の費用の発生やグループ信用力の低下により、当社グループの業績と財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また原材料の調達や当社製品の加工・製造を行っている国や地域における食品の安全性に係わる問題の発生により、出荷制限や輸入禁止措置が発令された場合に原材料の調達及び製品の供給に支障をきたし、当社グループの業績と財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは量販店向けや外食・産業給食向け、問屋や商社向けなど、多様な販売ルートを有しており、取引先を分散することで、リスクをヘッジしております。しかしながら、緊急事態宣言の発動による営業自粛など、販売環境の急激な変化が発生した場合、当社グループの業績と財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、中国・東南アジアでの海外加工をはじめとして、欧州、北米などで海外事業を営んでおり、調達リスクに応じた適正在庫を保有しております。しかしながら、海外における物流システムの不備、予期しない法律または規制の変更、テロ、暴動、世界的感染症拡大などの要因による社会的混乱が、当社グループの業績とそれらの国々における在庫資産に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは国内外から水産物をはじめとする原材料を買付しており、将来の原材料市況を想定したうえで在庫を保有しております。しかしながら漁獲規制の強化や水揚げ数量の変動など予想以上に原材料市況に影響を与える事象が生じた場合、当社グループの業績と財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、漁獲規制などが年々厳しくなる中、原料の確保を目的に養殖事業を行っております。施設管理に細心の注意を払い、歩留まりの向上に努めておりますが、予防困難な魚病、台風や津波など自然災害によって魚の大量斃死や養殖設備が破損する場合には、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、水産物を中心に原材料・製品の輸出入など為替変動の影響を受ける事業を行っております。円建て決済、為替予約などによるリスクヘッジで、為替レートの急激な変動による影響を最小限にとどめる対応を行っておりますが、当該リスクを完全に回避する方策はなく、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
一般的には、水産物の外貨建て輸入代金決済において円安はコスト高に、外貨建て輸出代金決済において円高は売上収入の減少になります。
当社グループは、海外まき網船の操業など重油を燃料とした事業を行っております。効率的な事業運営を図っておりますが、原油価格の高騰はコストの上昇につながり、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、大規模な地震をはじめとする自然災害が発生した場合に備え、事業継続計画(BCP)の策定、社員安否確認システムの整備などの対策を講じておりますが、被害が発生した場合には、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、コンピューターウィルス感染などによるシステム障害や情報漏洩に対し、適切な対策を講じておりますが、予測不能のウィルスの進入や情報への不正アクセスなどにより、事業運営に支障をきたす場合や内部情報が漏洩するおそれがあり、その結果、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、当初緩やかな景気回復の動きがみられたものの、貿易摩擦、原油価格や為替相場の動向に加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界的混乱状態により、先行き不透明な状況となりました。
水産・食品業界におきましては、人手不足による労働コスト・物流コストの上昇に加え、世界的な水産物需要の増大による買付コストの上昇など、厳しい状況が続きました。
このような状況のもとで、中期経営計画『Change Kyokuyo 2021』(2018年度~2020年度)の2年目として、『魚を中心とした総合食品会社として、高収益構造への転換をはかり、資源、環境、労働などの社会的要請を踏まえ、事業のウイングの拡大と時間価値の提供により企業価値の向上を目指す』という基本方針のもと、『ESG重視の事業活動』を通じて『拡大』『強化』『均衡』の各戦略を進め、高収益構造へ大きく転換していくことを目指し、取り組んでまいりました。
当連結会計年度の売上高は、前期10月に連結子会社において事業所を売却したことにより、物流サービスセグメントは前年実績を下回りましたが、水産商事、冷凍食品、常温食品、鰹・鮪の各セグメントは前年実績を上回りました。その結果、2,625億19百万円と前期比63億68百万円増加(前期比2.5%増)しました。
営業利益は、冷凍食品、常温食品、物流サービスの各セグメントは前年実績を上回りましたが、紅鮭・チリ銀鮭の市況下落により、鮭鱒で損失計上を余儀なくされた水産商事セグメント、水揚げ数量減少、カツオ魚価の下落の影響を受けた鰹・鮪セグメントは前年実績を下回りました。その結果、29億18百万円と前期比9億12百万円減少(前期比23.8%減)しました。
経常利益は36億8百万円と前期比8億26百万円減少(前期比18.6%減)し、親会社株主に帰属する当期純利益は20億37百万円と前期比8億77百万円減少(前期比30.1%減)しました。
また、当社グループが重視しております経営指標の当期実績は海外売上高比率が11.2%(前期比1.0ポイント上昇)、自己資本当期純利益率が6.3%(前期比3.3ポイント下降)、自己資本比率が29.4%(前期比1.7ポイント上昇)、有利子負債資本倍率が1.7倍(前期比0.2ポイント改善)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
エビ・北洋魚などの取扱いが伸長したほか、イワシ・ホタテなどの輸出や、米国子会社による北米販売が堅調に推移しました。一方、利益面では紅鮭・チリ銀鮭の市況下落により、鮭鱒で損失計上を余儀なくされました。この結果、売上は前期を上回りましたが、利益は前期を下回りました。
水産商事セグメントの売上高は1,271億4百万円(前期比1.7%増)、営業利益は17億50百万円(前期比28.4%減)となりました。
水産冷凍食品事業では寿司種を中心とした生食用商品及び切身・煮魚・焼魚などの加熱用商品の拡販に努めました。調理冷凍食品事業ではカニ風味かまぼこやエビフライなどの水産フライが伸長し、家庭用冷凍食品事業では米飯類や煮魚などアイテムの多様化に努めました。この結果、売上・利益ともに前期を上回りました。
冷凍食品セグメントの売上高は849億46百万円(前期比3.1%増)、営業利益は9億49百万円(前期比1.8%増)となりました。
缶詰は、イワシ缶・サンマ缶・カツオ缶の販売が伸長し、また珍味製品も堅調に推移しました。利益面では原料価格高騰が続くなか、価格改定や規格変更、新製品投入などにより利益率の改善を進めました。この結果、売上・利益とも前期を上回りました。
常温食品セグメントの売上高は193億70百万円(前期比2.1%増)、営業利益は7億5百万円(前期比46.4%増)となりました。
前期10月に行った大阪事業所の売却により、売上は前期を下回りましたが、入庫貨物の確保を図り、配送事業の強化に努めた結果、利益は前期を上回りました。
物流サービスセグメントの売上高は9億88百万円(前期比0.7%減)、営業利益は3億15百万円(前期比18.7%増)となりました。
加工及び販売事業では、本マグロ原料や、カツオ、マグロの加工品の販売が伸長し、養殖事業では出荷魚の大型化を進めたことで、販売が伸長しました。一方、海外まき網事業では、水揚数量、魚価が前期を下回り、経費削減に努めたものの、収支が悪化しました。この結果、売上は前期を上回りましたが、利益は前期を下回りました。
鰹・鮪セグメントの売上高は296億58百万円(前期比4.3%増)、営業利益は2億13百万円(前期比71.1%減)となりました。
生産・仕入、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産・仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
受注生産は行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
総資産は、前連結会計年度末に比べ34億89百万円減少し、1,111億84百万円となりました。
流動資産は、たな卸資産や受取手形及び売掛金が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ41億73百万円減少し、852億51百万円となりました。固定資産は、有形固定資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ6億84百万円増加し、259億32百万円となりました。
負債合計は、借入金を圧縮したことなどにより、前連結会計年度末に比べ40億85百万円減少し、785億91百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度末に比べ5億96百万円増加し、325億93百万円となりました。
この結果、自己資本比率は29.4%(前連結会計年度末比1.7ポイント増)となりました。
(単位:百万円)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、たな卸資産を積極的に圧縮したことから、94億10百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出などにより、29億31百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金を圧縮したことにより、48億17百万円の支出となりました。
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は期首残高より16億91百万円増加し、63億13百万円となりました。
当社グループは、事業活動に適切な流動性の維持と十分な資金を確保すると共に、グループ内でキャッシュマネージメントシステムを活用するなど運転資金の効率的な管理により、事業活動における資本効率の最適化を目指しております。また、営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を資金の主な源泉と考え、さらに金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーの発行などによる資金調達を必要に応じて行い、十分な流動性の確保と財務体質の向上を図っております。
なお、連結会計年度末においては、コロナウイルス感染拡大に伴う信用不安が懸念されたことから、例年より手許資金を多めに確保し、資金繰りに万全を期しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは第5 経理の状況 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成の基本となる重要な事項)及び(追加情報)に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループは、食生活にとって大切な動物性蛋白質資源及びその他の食料資源をより有効に活用すること、また、安心・安全で豊かな食生活を実現することを使命とし、以下の取り組みを行っております。
(1) 魚肉蛋白質や脂質などの水産化学分野の研究及び食品の衛生や安全性についての基礎的研究
(2) 研究所及び併設する製品開発工場における調理・水産冷凍食品、常温食品等の新製品開発
(3) 海外工場における独自技術の開発及び生産技術指導を通じた新製品開発や品質の安定化
(4) 国内工場におけるイクラ、助子等の魚卵製品を始めとする水産加工品の製造技術の開発・改良
(5) 国内工場における生産安定化や効率化を目的としたAIの活用
当連結会計年度の研究開発活動はそのほとんどが冷凍食品事業に関するものであり、研究開発費の総額は