文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは企業理念として、人間尊重を経営の基本に、健康で心豊かな生活と食文化に貢献し、社会とともに成長することを目指しております。その実現のため、魚を中心とした総合食品会社として成長するとともに、安心・安全な食品の供給と環境保全を経営の重点課題に掲げております。また、内部統制システムを整備し企業倫理の徹底、法令の遵守、情報の共有化を進めるとともに、的確な情報開示による透明度の高い事業運営を行うことにより企業価値を高め、社会に貢献してまいります。
①前中期経営計画(2018年度~2020年度)の振り返り
前中期経営計画『Change Kyokuyo 2021』では、資源アクセス強化のための出資、テレビCMによる企業ブランドの向上、自己資本比率やD/Eレシオ向上など財務体質の改善に一定の成果が出ました。一方で、「拡大」戦略では施策の中心であった食品事業・海外事業の規模が想定通りの進捗に至らず、「強化」戦略ではマーケットニーズに対応した商品開発のスピード強化に課題を残しました。「均衡」戦略では、市況変動や養殖環境変化などのリスク対応の遅れから、水産商事事業、養殖事業等の収益安定化が道半ばとなりました。
②新中期経営計画『Build Up Platform 2024』の概要
当社グループは、2021年4月より中期経営計画『Build Up Platform 2024』(2021年度~2023年度)をスタートさせました。『経営基盤の強化を図りながら、「事業課題への継続的取組み」と「持続的成長への挑戦」を柱とする戦略を進め、社会と極洋それぞれが共有するべき価値を創造していくことで、新たな成長への礎となる「高収益構造への転換」を目指す。』という基本方針のもと、ESG、SDGsといった持続可能な社会の実現に向けた責任を果たしながら、事業を推進してまいります。
なお、詳細は当社ウェブサイトをご参照ください。
(https://www.kyokuyo.co.jp/files/20210329.pdf)

各セグメントの施策は次の通りであります。
水産商事セグメントでは、市況動向を踏まえながら、販売に見合った買付と在庫管理を徹底し、付加価値の高い自社工場製品の販売ルート構築による収益の安定確保に努めます。また、海外拠点における現地販売の強化や食品部門と連携した自社工場製品の市場開拓を進め、海外売上高の拡大を図ります。
食品セグメントでは、商品別の組織から業態別の組織とすることにより販売力を強化するとともに、アイテムの集約化による自社工場稼働の効率化を図る一方で、国内各地の加工場の整備を進め、チルド商流の開拓を図ります。また、「生活を楽しむための食」を追求した高付加価値商品の開発を進めます。
鰹・鮪セグメントでは、自社のカツオ・マグロ加工場との連携強化による高付加価値商品の販売を進めます。海外まき網事業は操業の効率性向上に努めます。養殖事業においては、養殖クロマグロの継続的な安定供給に取組むとともに、当社グループ会社で養殖しているマダイをはじめとしたその他魚種の拡販を図ります。
物流サービスセグメントでは、キョクヨーグループの在庫を核とした収益基盤の安定化と効率的な倉庫運営に努めます。
管理面は、財務・人材基盤の強化とESG経営を根幹に、安定的な利益の積み上げ、自己資本比率の向上による財務基盤の強化に努め、株主への配当水準の向上を念頭に置いた上で、積極的な投資、有利子負債の削減などバランスよく配分します。また事業拡大を図るために、人材育成の強化や人事制度改革を推進してまいります。ESG経営については、SDGsの取組みを強化することは、企業経営の根幹を成すものであるという考えのもと、社会課題の解決に貢献する「社会価値」も追求してまいります。
(3) 目標とする経営指標
当社グループにおける中期的な連結経営指標の目標はD/Eレシオ1.5倍、営業利益率・経常利益率2%超としております。なお当期(2021年3月期)実績は、D/Eレシオ1.4倍、営業利益率1.9%、経常利益率2.0%でした。
経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、総合食品グループとして安心・安全な商品およびサービスを提供し、消費者・ユーザーの信頼を獲得することを最重要課題としております。当社では品質保証部を設置し、当社及び当社グループ全体を対象として品質保証体制の構築と維持管理を行い、継続的に見直しを図っております。また社内規則を整備するなどして食品事故を未然に防ぐとともに、問題が発生した場合でも速やかに対応できる体制を構築しております。しかしながら、当社の管理体制でカバーしきれない不測の製品クレームなどが発生した場合、製品の回収など想定外の費用の発生やグループ信用力の低下により、当社グループの業績と財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また原材料の調達や当社製品の加工・製造を行っている国や地域における食品の安全性に係わる問題の発生により、出荷制限や輸入禁止措置が発令された場合に原材料の調達及び製品の供給に支障をきたし、当社グループの業績と財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは量販店向けや外食・産業給食向け、問屋や商社向けなど、多様な販売ルートを有しており、取引先を分散することで、リスクをヘッジしております。しかしながら、緊急事態宣言の発動による営業自粛など、販売環境の急激な変化が発生した場合、当社グループの業績と財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、中国・東南アジアでの海外加工をはじめとして、欧州、北米などで海外事業を営んでおり、調達リスクに応じた適正在庫を保有しております。しかしながら、海外における物流システムの不備、予期しない法律または規制の変更、テロ、暴動、世界的感染症拡大などの要因による社会的混乱が、当社グループの業績とそれらの国々における在庫資産や人材確保に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは国内外から水産物をはじめとする原材料を買付しており、将来の原材料市況を想定したうえで在庫を保有しております。しかしながら漁獲規制の強化や水揚げ数量の変動など予想以上に原材料市況に影響を与える事象が生じた場合、当社グループの業績と財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、漁獲規制などが年々厳しくなる中、原料の確保を目的に養殖事業を行っております。施設管理に細心の注意を払い、歩留まりの向上に努めておりますが、予防困難な魚病、台風や津波など自然災害によって魚の大量斃死や養殖設備が破損する場合には、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、水産物を中心に原材料・製品の輸出入など為替変動の影響を受ける事業を行っております。円建て決済、為替予約などによるリスクヘッジで、為替レートの急激な変動による影響を最小限にとどめる対応を行っておりますが、当該リスクを完全に回避する方策はなく、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
一般的には、水産物の外貨建て輸入代金決済において円安はコスト高に、外貨建て輸出代金決済において円高は売上収入の減少になります。
当社グループは、海外まき網船の操業など重油を燃料とした事業を行っております。効率的な事業運営を図っておりますが、原油価格の高騰はコストの上昇につながり、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、大規模な地震をはじめとする自然災害が発生した場合に備え、事業継続計画(BCP)の策定、社員安否確認システムの整備などの対策を講じておりますが、被害が発生した場合には、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、コンピューターウィルス感染などによるシステム障害や情報漏洩に対し、適切な対策を講じておりますが、予測不能のウィルスの進入や情報への不正アクセスなどにより、事業運営に支障をきたす場合や内部情報が漏洩するおそれがあり、その結果、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大により急激に悪化しました。わが国経済においても、経済活動が停滞し、個人消費や雇用に大きな影響を与えました。一時的に持ち直しの動きが見られましたが、再び感染拡大がみられるなど、先行きは不透明な状況が続いております。
水産・食品業界におきましても、新しい生活様式の浸透により消費者ニーズや購買動向に変化が見られるとともに、外出自粛や外食店の営業時間短縮などにより、依然として厳しい状況が続いております。
このような状況のもとで、中期経営計画『Change Kyokuyo 2021』(2018年度~2020年度)の最終年度として、『魚を中心とした総合食品会社として、高収益構造への転換をはかり、資源、環境、労働などの社会的要請を踏まえ、事業のウイングの拡大と時間価値の提供により企業価値の向上を目指す』という基本方針のもと、『ESG重視の事業活動』を通じて『拡大』『強化』『均衡』の各戦略を進め、高収益構造へ大きく転換していくことを目指し、目標達成に向け取り組んでまいりました。
当連結会計年度の売上高は、水産商事、冷凍食品、常温食品の各セグメントで前年実績を下回りました。その結果、2,491億97百万円と前期比133億22百万円減少(前期比5.1%減)しました。
営業利益は、新型コロナウイルス感染症拡大により業務用冷凍食品の需要が減少し、影響を受けた冷凍食品セグメントを除く全セグメントで前年実績を上回りました。その結果、46億57百万円と前期比17億39百万円増加(前期比59.6%増)しました。
経常利益は48億79百万円と前期比12億71百万円増加(前期比35.2%増)し、親会社株主に帰属する当期純利益は投資有価証券売却益の計上などにより、38億38百万円と前期比18億1百万円増加(前期比88.4%増)しました。
また、当社グループが重視しております経営指標の当期実績は海外売上高比率が9.1%(前期比2.1ポイント下降)、自己資本利益率が10.5%(前期比4.2ポイント上昇)、自己資本比率が34.7%(前期比5.3ポイント上昇)、有利子負債資本倍率が1.4倍(前期比0.3ポイント改善)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
世界的なコロナ感染拡大により、日本産水産物の輸出や海外現地法人の業務筋向け販売が大きく落ち込みました。国内販売については、外出自粛の影響により外食・業務筋の需要が減少したことを受けて、巣ごもり需要で水産物の取扱いが伸びた量販店等への販売に注力しましたが、全体の落ち込みをカバーするには至りませんでした。収益面では供給過剰となったホッケの相場が下落するなど、一部の商品で損失が発生しましたが、年初より安値圏で推移した鮭鱒の取扱量が増加したことから、計画を上回る利益を確保しました。また、年末商戦では家庭におけるプチ贅沢ニーズにより、カニ・エビなどの高額商材の販売が好調に推移し、利益が改善しました。この結果、売上は前期を下回りましたが、利益は前期を上回りました。
水産商事セグメントの売上高は1,189億49百万円(前期比6.4%減)、営業利益は30億67百万円(前期比75.2%増)となりました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、外食・業務筋の需要が大幅に減少し、えびフリッターや水産フライの販売低迷が続きました。こうした状況の中、量販店への拡販に注力した結果、家庭用冷凍食品はドラッグストア向けなどが伸長し、寿司種、生食商材も徐々に回復してきましたが、全体の落ち込みをカバーするには至りませんでした。この結果、売上・利益とも前期を下回りました。
冷凍食品セグメントの売上高は797億23百万円(前期比6.1%減)、営業利益は8億49百万円(前期比10.5%減)となりました。
缶詰は、緊急事態宣言の影響による備蓄需要の増加などもあり、前期並みの利益を確保しました。また、珍味製品はコロナ禍における家飲み需要の増加や、新製品の投入などにより、販売が順調に推移しました。この結果、売上は前期を下回りましたが、利益は前期を上回りました。
常温食品セグメントの売上高は190億83百万円(前期比1.5%減)、営業利益は8億35百万円(前期比18.3%増)となりました。
海外まき網事業ではカツオ魚価の低迷が続き、売上高が減少しました。一方で、国産養殖クロマグロの販売が伸長し、コロナ禍で好調であった量販店向けを中心にマグロタタキなどの加工品の販売も順調に推移しました。この結果、売上・利益とも前期を上回りました。
鰹・鮪セグメントの売上高は299億18百万円(前期比0.9%増)、営業利益は5億6百万円(前期比137.5%増)となりました。
物流サービスセグメント
新型コロナウイルス感染症の影響により当初は荷動きが鈍化したものの、回転のよい貨物の集荷に注力し、入出庫量が増加しました。また、貨物を委託する運送会社網を拡大し、配送事業強化に努めました。この結果、売上・利益とも前期を上回りました。
物流サービスセグメントの売上高は10億79百万円(前期比9.3%増)、営業利益は3億69百万円(前期比17.3%増)となりました。
生産・仕入、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産・仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
受注生産は行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
総資産は、前連結会計年度末に比べ51億46百万円増加し、1,163億31百万円となりました。流動資産は、たな卸資産や現金及び預金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ13億97百万円増加し、866億49百万円となりました。固定資産は、投資その他の資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ37億48百万円増加し、296億81百万円となりました。
負債合計は、借入金が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ22億36百万円減少し、763億55百万円となりました。
純資産は、前連結会計年度に比べ73億82百万円増加し、399億75百万円となりました。
この結果、自己資本比率は34.7%(前連結会計年度末比5.3ポイント増)となりました。
(単位:百万円)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上などにより、59億97百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出などにより、5億27百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少などにより、46億27百万円の支出となりました。
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は期首残高より7億84百万円増加し、70億97百万円となりました。
当社グループは、事業活動に適切な流動性の維持と十分な資金を確保すると共に、グループ内でキャッシュマネージメントシステムを活用するなど運転資金の効率的な管理により、事業活動における資本効率の最適化を目指しております。また、営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を資金の主な源泉と考え、さらに金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーの発行などによる資金調達を必要に応じて行い、十分な流動性の確保と財務体質の向上を図っております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは第5 経理の状況 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成の基本となる重要な事項)及び(追加情報)に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループは、食生活にとって大切な動物性蛋白質資源及びその他の食料資源をより有効に活用し、生物多様性の保全に努めながら、安心・安全で豊かな食生活を実現することを使命とし、以下の取り組みを行っております。
(1) 魚肉蛋白質や脂質などの水産化学分野の基礎的研究。
(2) 食品衛生及び安全性の確認に関する研究。
(3) 冷凍食品、缶詰、健康食品等の新製品開発。
(4) 廃棄率の低減および有価物化に関する研究。
(5) 国内工場と協力した製造ラインの設計改善や業務品質向上活動等による生産の効率化。
(6) 生産安定化や効率化を目的としたAI活用工場の拡大・拡充。
(7) 大学や研究機関と連携した、新規性を持つ技術や装置の開発。
当連結会計年度の研究開発活動はそのほとんどが冷凍食品事業に関するものであり、研究開発費の総額は