第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは企業理念として、人間尊重を経営の基本に、健康で心豊かな生活と食文化に貢献し、社会とともに成長することを目指しております。その実現のため、魚を中心とした総合食品会社として成長するとともに、安心・安全な食品の供給と環境保全を経営の重点課題に掲げております。また、内部統制システムを整備し企業倫理の徹底、法令の遵守、情報の共有化を進めるとともに、的確な情報開示による透明度の高い事業運営を行うことにより企業価値を高め、社会に貢献してまいります。

 

(2) 対処すべき課題

 水産・食品業界を取り巻く環境は、世界的にはアジア新興国を中心とした所得増加により、水産物需要が高まりを見せ、水産物原料の確保が課題となっています。一方で、国内では中長期的には人口減少によるマーケットの縮小が見込まれており、海外事業の拡大が重要となっています。また、足下の状況では、エネルギー価格、原材料価格の高騰や急激な為替変動、地政学的リスクが顕在化するなど、経済・事業の先行きに不透明感が増しています。こうした環境の中で、食品メーカーとして供給責任を果たしながら、社会と事業の持続可能性を追求してまいります。

 

  中期経営計画『Build Up Platform 2024』の概要
  『経営基盤の強化を図りながら、「事業課題への継続的取組み」と「持続的成長への挑戦」を柱

 とする戦略を進め、社会と極洋それぞれが共有するべき価値を創造していくことで、新たな成長へ

 の礎となる「高収益構造への転換」を目指す。』という基本方針のもと、ESG、SDGsといった持続

 可能な社会の実現に向けた責任を果たしながら、事業を推進してまいります。
  なお、詳細は当社ウェブサイトをご参照ください。
 (https://www.kyokuyo.co.jp/files/20210329.pdf)

 


 

 

当社では、2023年4月からコア事業を明確にしたセグメント構成に変更しました。従来の「水産商事」、「食品」、「鰹・鮪」、「物流サービス」から、「水産事業」、「生鮮事業」、「食品事業」、「物流サービス」のセグメントとし、事業を展開してまいります。また、セグメント変更と同時に、機動的な事業運営を図り、「高収益構造への転換」を加速させるため、水産・生鮮・食品の3事業に事業本部を設置しました。事業本部による一元管理により、全体効率を追求した、収益性の高い体制を目指します。

 

各セグメントの施策は次のとおりであります。

水産事業セグメントでは、世界的に水産物の買い付け競争が厳しくなる中、調達力を増強し、取扱い量を拡大します。また、買付から加工、販売まで自社グループ内で完結する一貫体制の強化で、収益性の向上を図ります。海外事業については、日本産水産物の輸出販売を中心としたビジネスモデルから、海外で生産、販売するビジネスモデルへのシフトを推進するため、生産拠点の整備に注力します。

 生鮮事業セグメントでは、当社が得意とする寿司種をはじめとした生食商材と、生食で提供されることが多いカツオ、マグロ商材を同じセグメント内で取り扱うことで、事業運営の効率化を図ります。生食商材については、定番商品の品質向上と、自社工場製品の販売拡大による工場の高稼働に努め、安定的な利益を確保します。養殖事業については、専門部署の「資源開発部」を設置し、エキスパートによる生産管理の強化で収益の改善を図るとともに、新規養殖事業の取組みを推進していきます。

 食品事業セグメントは、冷凍・チルド食品と缶詰、おつまみ製品などで構成されます。冷凍・チルド食品は、煮魚、焼魚やフライ製品など加工度の高い商品に特化し、自社工場の収益性を含めた管理体制の向上を目指します。自社工場製品の販売に注力するとともに、生産アイテムの集約により、工場稼働の効率性を高めます。缶詰は主要取引先との関係強化によるシェア拡大に努め、おつまみ製品は新商品の投入により、売上の拡大を図ります。

 物流サービスセグメントは、冷蔵倉庫事業において、キョクヨーグループの在庫を核とした、適正で、安定的な庫腹率の管理に努めます。利用運送事業においては、配送と保管一体型サービスの外部への営業強化により、事業拡大を図ります。また、トラック運転手の不足が懸念される2024年問題への対応として、トラック向けの予約システムの利用を推進します。

 管理面は、財務・人材基盤の強化とESG経営を根幹に、安定的な利益の積み上げ、自己資本比率の向上による財務基盤の強化に努め、株主への配当水準の向上を念頭に置いたうえで、積極的な投資、有利子負債の削減などバランスよく配分します。また、事業拡大を目的とした人材育成強化のため、2023年4月に導入した新人事制度を通じて、人材基盤を強固なものにしていきます。ESG経営については、SDGsの取組みを強化することは、企業経営の根幹を成すものであるという考えのもと、社会課題の解決に貢献する「社会価値」を追求し、社会から必要とされる存在を目指します。

 

(3) 目標とする経営指標

  当社グループにおける中期的な連結経営指標の目標はD/Eレシオ1.5倍、営業利益率・経常利益率

 2%超としております。なお当期(2023年3月期)実績は、D/Eレシオ1.6倍、営業利益率3.0%、経

 常利益率3.0%でした。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループでは、環境保全、気候変動、責任ある調達、人権尊重など様々なサステナビリティ活動を推進するため、「サステナビリティ推進委員会」を設置しています。㈱極洋の代表取締役を委員長とするサステナビリティ推進委員会は、委員である取締役、各部署長、支社長、関係会社社長の出席のもと年2回開催し、社会課題の解決に向けた対応について審議・決定、推進するとともに、取締役会に重要事項や取組みの進捗状況を報告しています。取締役会は報告を受け、サステナビリティ活動を監督する役割を担っています。

 

また、持続的成長と中長期的な企業の価値向上において、重要な経営課題であるサステナビリティの取組みを当社グループ全体で推進するため、2021年に策定した「キョクヨーグループサステナビリティ基本方針」に基づいた事業活動を展開しております。

 

<キョクヨーグループサステナビリティ基本方針>

1.価値の創出と共有

安心・安全な商品・サービスの提供を通じて社会に価値を創出し共有することで、さまざまな社会課題を解決し、健康で心豊かな生活と食文化に貢献します。

 

2.社会とのコミュニケーション

さまざまなステークホルダーとの積極的なコミュニケーションを推進し、社会の要請や期待に応え社会的責任を果たすことで、豊かな社会づくりに貢献します。

 

3.多様な人材が活躍できる環境

新たな価値の創出の源泉である人材の多様性を尊重し、一人ひとりが活躍できる環境づくりに努めます。

 

4.環境との調和

地球環境への負荷低減や気候変動の緩和、生物多様性と生態系の保全などに配慮した、環境と調和した事業活動に努めます。

 

5.コーポレートガバナンスの充実

迅速かつ透明性の高い経営のもと、公正な事業活動を行うとともに、コンプライアンスの徹底とリスクマネジメントの強化に努めます。

 

(2)リスク管理

①気候変動リスクについて

 キョクヨーグループサステナビリティ基本方針の「4.環境との調和」の考えのもと、サステナビリティ推進委員会において、リスクのインパクトの大きさおよび発生する可能性の高さ・頻度から重要リスクの特定・評価を行い、未然防止・回避・低減・最小化等の対応策を検討し、進捗状況をモニタリングしています。

 

②人的資本について

キョクヨーグループサステナビリティ基本方針の「3.多様な人材が活躍できる環境」の考えのもと、会社と従業員の双方向での丁寧なコミュニケーションを重視し、提出会社の社員を対象に、毎年、人事部による個別面談を実施することで、様々な声を聞き取っています。また、ハラスメントのない、全ての従業員が互いに尊重し合える、職場づくりのため、毎年事業年度の初めに、従業員へハラスメント防止に関する通達を行うとともに、万が一に備えた対策として、臨床心理士や精神保健福祉士等の資格を持つ専門家と契約し、ハラスメント全般に関する外部の相談窓口を設置しています。

 

(3)戦略

①気候変動リスクについて

当社グループでは、気候変動は事業基盤である海洋環境の変化や異常気象を引き起こし、当社グループや社会に様々な影響を及ぼすことから、重要な経営課題として認識しています。一方で、当社グループの事業は多様であるため、新たな事業機会の獲得にもつながると考えています。

2022年5月に「気候関連情報開示タスクフォース(TCFD)による提言」への賛同を表明した当社では、TCFD提言に沿って今後起こりうるさまざまな事象を想定し、対策を検討しています。その対象範囲は当社グループの事業全般であり、国際エネルギー機関(IEA)や国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による複数のシナリオを参照し、気温上昇によるリスクおよび機会への対応策(緩和策・適応策)を検討しています。今後は、定期的にリスクおよび機会への対応策の見直しを行っていきます。

 

<主なリスクと対応策>

 

リスク・インパクト

対応策

移行リスク

・炭素税上昇によるエネルギー関連

 コストや容器包装材コストの上昇

・漁獲規制の強化

・消費者の行動変化

・再生可能エネルギー利用、

 プラスチック使用量削減

・養殖事業の拡大、未利用魚の活用

・環境配慮商品の開発や認証商品の増加

物理的リスク

・海洋環境の変化

 (海水温上昇、海水面上昇)

・異常気象

・陸上養殖

・物流拠点の分散・見直し

 

  (注)1 移行リスク:脱炭素社会への移行に伴う、法律や市場の変化に起因するリスク

      2 物理的リスク:気候変動自体により発生する物理的事象が資産に損害を及ぼすリスク

 

②人的資本について

 当社グループにおける、人材の多様性を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりです。

 当社グループでは、働きやすい職場環境づくりを進めることが仕事に対するモチベーションを高め、従業員が能力を発揮し、結果として生産性の向上や効率的な経営の実現、メンタルヘルスの不調の予防などにもつながると考えています。そのために、企業理念である「人間尊重」に基づいた施策や法令に則った制度の導入・整備を進めています。

 

 主な戦略は以下のとおりです。

 なお、連結グループに属する全ての会社についての記載が困難であるため、提出会社のものを記載しております。

 

ア.若手社員の育成

 各階層別の教育・研修を実施していますが、特に食品事業の拡大を重要な事業課題として捉えており、食品メーカーとしての将来を担う若手社員の育成に力を入れています。新入社員に対しては入社後、当社グループの国内主力工場において約8ヵ月間の現場研修を実施しています。生産現場を体験しながら、様々な食品製造に関するプログラムを履行することで、食品事業に知見の深い社員を養成しています。

 

イ.主体的な学びのサポート

 社員が自発的に学び、成長することをサポートするための通信教育講座を充実させています。また、各講座の修了時に奨励金を支給するなどの支援制度を設け、積極的な受講を促す体制を整えています。

 

ウ.女性活躍の推進

 女性活躍の推進については、「女性管理職比率の向上」、「女性が働きやすい環境の整備」、「人材育成」を目指し、将来の女性リーダー候補を対象とした研修や座談会の実施、ジョブローテーションによる幅広いキャリアの蓄積とモチベーションの向上、育児等で一時退職した従業員を再雇用するキャリアリターン制度の導入等、様々な施策に取り組んでいます。

 また、産休・育休中の社員に対しては、社内報を送付するほか、社内規則や組織の改正などの社内情報をスマートフォンで手軽に確認できるイントラネットを設置し、スムーズな職場復帰に向けた支援を行っています。

 

エ.男性の家事・育児への積極的な参画

 男性の家事・育児への積極的な参画に向け、社内報等での啓発を通じて、男性が育休を取得しやすい職場環境づくりにも取り組んでいます。

 

(4)指標及び目標

①気候変動リスクについて

 当社グループは、中期経営計画「Build Up Platform 2024」で、2050年カーボンニュートラルに向けた取組みの推進を掲げています。

 この方針のもと、エネルギーの効率的な利用等による、CO2排出量削減に取り組むとともに、日々の点検、管理を通じて、フロンの漏洩防止に努めています。

 また、プラスチック使用量の削減にも積極的に取り組んでいます。プラスチックは、原材料である石油の採掘・輸送から、精製、生産に係る過程だけでなく、焼却時にもCO2を排出することから、ライフサイクル全体を通じて気候変動の一因になっているとの考えのもと、当社グループ製品の包材等に使用するプラスチック使用量を減らす取組みを行っています。

 

気候変動に関するリスクの緩和・評価・管理をするために定めた指標と目標は以下のとおりです。

目標

目標年

対象範囲

指標

対応

CO2排出量削減

(Scope1・2)※1

2050年

連結会社※2

(一部を除く)

CO2排出量の前年実績比1%削減

(Scope1・2)

点検等、日常の事業活動を通じての省資源活動

冷凍機の更新時に省エネ設備を導入

プラスチック使用量削減

2030年

連結会社

工場

包材に使用するプラスチック使用量30%削減(原単位、基準年:2019年)

CO2排出量の少ない素材への材質変更

ノントレー包装

包材のダウンサイジング等

 

※1:Scope1 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセスからの排出)

   Scope2 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出(電力会社からの買電など)

※2:㈱極洋、キョクヨー秋津冷蔵㈱、極洋商事㈱、極洋食品㈱、極洋水産㈱(大井川工場・惣右衛門工場)、キョ

   クヨー総合サービス㈱、キョクヨーフーズ㈱、極洋フレッシュ㈱、指宿食品㈱、インテグレート・システム

   ㈱、海洋フーズ㈱

 

②人的資本について

当社では、上記「(3)戦略 ②人的資本について」において記載した、人材の多様性を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。

指標

目標

実績(当事業年度)

女性の継続雇用の割合

2026年3月31日までに入社9~11年目の女性の継続雇用割合を男性と同水準の60%以上とする

67%

退職者の再雇用

2026年3月31日までに退職した女性の再雇用実績を1名以上とする

2名

男性社員の育児休業取得率及び育児を目的とした休暇利用者の割合、人数

2026年3月31日までに50%以上、かつ、育児休業等を取得した者を1名以上とする

47.4%

9名

 

※連結グループに属する全ての会社についての記載が困難であるため、提出会社のものを記載しております。

 

3 【事業等のリスク】

経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。

(1) 食品の安全性の問題

当社グループは、総合食品グループとして安心・安全な商品およびサービスを提供し、消費者・ユーザーの信頼を獲得することを最重要課題としております。当社では品質保証部を設置し、当社及び当社グループ全体を対象として品質保証体制の構築と維持管理を行い、継続的に見直しを図っております。また社内規則を整備するなどして食品事故を未然に防ぐとともに、問題が発生した場合でも速やかに対応できる体制を構築しております。しかしながら、当社の管理体制でカバーしきれない不測の製品クレームなどが発生した場合、製品の回収など想定外の費用の発生やグループ信用力の低下により、当社グループの業績と財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

また原材料の調達や当社製品の加工・製造を行っている国や地域における食品の安全性に係わる問題の発生により、出荷制限や輸入禁止措置が発令された場合に原材料の調達及び製品の供給に支障をきたし、当社グループの業績と財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(2) 海外事業に関するリスク

当社グループは、中国・東南アジアでの海外加工をはじめとして、欧州、北米などで海外事業を営んでおり、調達リスクに応じた適正在庫を保有しております。しかしながら、海外における物流システムの不備、予期しない法律または規制の変更、紛争、テロ、暴動、世界的感染症拡大などの要因による社会的混乱が、当社グループの業績とそれらの国々における在庫資産や人材確保に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 原材料価格の変動

当社グループは国内外から水産物をはじめとする原材料を買付しており、将来の原材料市況を想定したうえで在庫を保有しております。しかしながら、漁獲規制の強化や水揚げ数量の変動など予想以上に原材料市況に影響を与える事象が生じた場合、当社グループの業績と財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(4) 養殖事業におけるリスク

当社グループは、漁獲規制などが年々厳しくなる中、原料の確保を目的に養殖事業を行っております。施設管理に細心の注意を払い、歩留まりの向上に努めておりますが、予防困難な魚病、台風や津波など自然災害によって魚の大量斃死や養殖設備が破損する場合には、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 為替レートの変動

当社グループは、水産物を中心に原材料・製品の輸出入など為替変動の影響を受ける事業を行っております。円建て決済、為替予約などによるリスクヘッジで、為替レートの急激な変動による影響を最小限にとどめる対応を行っておりますが、当該リスクを完全に回避する方策はなく、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

一般的には、水産物の外貨建て輸入代金決済において円安はコスト高に、外貨建て輸出代金決済において円高は売上収入の減少になります。

 

(6) 原油価格の変動

当社グループは、海外まき網船の操業など重油を燃料とした事業を行っております。効率的な事業運営を図っておりますが、原油価格の高騰はコストの上昇につながり、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 自然災害への対応

当社グループは、大規模な地震をはじめとする自然災害が発生した場合に備え、事業継続計画(BCP)の策定、社員安否確認システムの整備などの対策を講じておりますが、被害が発生した場合には、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 情報システムに関するリスク

当社グループは、コンピューターウィルス感染などによるシステム障害や情報漏洩に対し、適切な対策を講じておりますが、予測不能のウィルスの進入や情報への不正アクセスなどにより、事業運営に支障をきたす場合や内部情報が漏洩するおそれがあり、その結果、当社グループの業績と財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(9) サステナビリティに関するリスク

「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響があったものの、行動制限の解除とともに経済活動が徐々に正常化した一方で、ロシア・ウクライナ問題の長期化や、急激な為替変動など、依然として先行き不透明な状況が続きました。

水産・食品業界におきましては、新型コロナウイルス感染の再拡大により、外食産業に一時停滞の動きが見られたものの、旅行支援やインバウンドの復活により外食・観光産業が回復傾向となった一方で、生産・供給面では原材料・原油価格の高騰が長引き、厳しい経営環境が続きました。

 このような状況の中で、中期経営計画『Build Up Platform 2024』(2021年度~2023年度)の2年目として、『経営基盤の強化を図りながら、「事業課題への継続的取組み」と「持続的成長への挑戦」を柱とする戦略を進め、社会と極洋それぞれが共有するべき価値を創造していくことで、新たな成長への礎となる「高収益構造への転換」を目指す。』という基本方針のもと、目標達成に向け取り組んでまいりました

当連結会計年度の売上高は、水産商事、食品、鰹・鮪、物流サービスの各セグメントで前年実績を上回りました。その結果、2,721億67百万円と前期比185億91百万円増加(前期比7.3%増)しました。

営業利益は、鰹・鮪セグメントは前年実績を大幅に上回りましたが、水産物相場の高値継続で需要が減退し、相場が下落した水産商事セグメント、主副原料の高騰により影響を受けた食品セグメント、電気料金の高騰に影響を受けた物流サービスセグメントは前年実績を下回りました。その結果、81億5百万円と前期比17億13百万円増加(前期比26.8%増)しました。

経常利益は81億82百万円と前期比12億77百万円増加(前期比18.5%増)し、親会社株主に帰属する当期純利益は、57億82百万円と前期比11億47百万円増加(前期比24.8%増)しました。

また、当社グループが重視しております経営指標の当期実績は海外売上高が254億円(前期比38.5%増)、有利子負債資本倍率が1.6倍(前期比0.1ポイント悪化)、営業利益率が3.0%(前期比0.5ポイント上昇)、経常利益率が3.0%(前期比0.3ポイント上昇)となりました。

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

水産商事セグメント

2022年前半から水産物の相場が上昇する中、第2四半期までは前年に比べて販売数量は減少したものの、業務筋の回復や先高観による原料確保の動きに販売単価の上昇が加わり、売上は拡大しました。しかしながら、第3四半期以降は、高値継続に起因した消費の鈍化により、需要の減退が鮮明になりました。国内販売においては、主要魚種のサケ、エビと高額商品のカニの取扱いが前年を下回るとともに、需要減少に伴う相場下落により、収益が大きく落ち込みました。

一方で海外事業については、欧米では、ロシア・ウクライナ問題に端を発した物価高騰により、年後半に景気が減速し、カニやエビなどの高額商品の消費は鈍化しましたが、新規販売先の開拓を進めた結果、海外売上高は想定を上回りました。また、円安の影響もあり、海外マーケットで優位性のあるホタテやマグロ等の輸出が伸長しました。

この結果、売上は前期を上回りましたが、利益は前期を下回りました。水産商事セグメントの売上高は1,227億83百万円(前期比1.6%増)、営業利益は26億83百万円(前期比47.9%減)となりました。

 

食品セグメント

 業務用冷凍食品は、回転寿司ルート向けを中心に寿司種の販売が伸長しました。また、コスト上昇に伴う価格改定により、一部で消費減退の動きが見られたものの、量販店の惣菜売り場を中心に、水産フライ・天ぷら類やエビフリッターなどの販売が拡大しました。しかしながら、価格改定分を上回る主副原料費の高止まりが続き、収益を圧迫しました。

市販用冷凍食品は、主力商品の煮魚・焼魚の販売が宅配、ドラッグストア向けを中心に拡大しました。缶詰は、製造コストが上昇し、不漁のためにサバ缶の一時休売を余儀なくされるなど、厳しい環境が続きましたが、主力商品に集中した販売施策により、売上は前年並みを確保しました。おつまみ・珍味製品は消費者の志向の変化により販売が低迷したことに加え、原材料価格の高騰から収支が悪化しました。

この結果、売上は前期を上回りましたが、利益は前期を下回りました。食品セグメントの売上高は1,083億28百万円(前期比11.8%増)、営業利益は9億36百万円(前期比10.5%減)となりました。

 

鰹・鮪セグメント

 世界的な引き合いの強さからマグロの相場が高止まりする中で、一部商材に需要減退の動きが見られたものの、外食産業の回復を背景とした力強い需要がありました。インドマグロなどの販売が順調に推移したほか、自社工場製品を中心とした加工品の販売が回転寿司ルート向けを中心に大きく伸長し、利益は計画を大幅に上回りました。国産養殖クロマグロは高品質の維持に注力し、収益を確保しました。海外まき網事業は、水揚げ量は減少したものの、市場全体で品薄状態が続いたことでカツオの魚価が上昇し、売上・収益ともに拡大しました。

この結果、売上・利益とも前期を上回りました。鰹・鮪セグメントの売上高は392億20百万円(前期比14.4%増)、営業利益は53億25百万円(前期比438.8%増)となりました。

 

物流サービスセグメント

 冷蔵倉庫事業は、荷動きが低調な中で庫腹率が高い状態が続き、保管料の増加により売上が伸長しました。利用運送業も、外部取引先への営業強化により売上が拡大しました。しかしながら、収益を圧迫している電気料金の上昇に伴って価格改定を進めたものの、収益は全体として減少しました。

この結果、売上は前期を上回りましたが、利益は前期を下回りました。物流サービスセグメントの売上高は13億61百万円(前期比15.8%増)、営業利益は2億3百万円(前期比6.9%減)となりました。

 

   生産・仕入、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

 

 ① 生産・仕入実績

当連結会計年度における生産・仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

水産商事

158,978

3.6

食品

64,712

9.0

鰹・鮪

40,854

15.4

物流サービス

その他

616

7.0

合計

265,161

6.6

 

 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

   2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 ② 受注実績

  受注生産は行っておりません。

 

 ③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

水産商事

122,783

1.6

食品

108,328

11.8

鰹・鮪

39,220

14.4

物流サービス

1,361

15.8

その他

473

11.8

合計

272,167

7.3

 

 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

   2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 財政状態

  総資産は、前連結会計年度末に比べ158億40百万円増加し、1,463億1百万円となりました。流動

 資産は、棚卸資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ146億75百万円増加し、

 1,142億2百万円となりました。固定資産は、投資その他の資産が増加したことなどにより、前連

 結会計年度末に比べ11億65百万円増加し、320億98百万円となりました。

  負債合計は、短期借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ110億49百万円増

 加し、993億34百万円となりました。

  純資産は、前連結会計年度末に比べ47億91百万円増加し、469億66百万円となりました。

  この結果、自己資本比率は32.5%(前連結会計年度末比0.2ポイント減)となりました。

 

 

 

(3) キャッシュ・フロー

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フロー

現金及び現金同等物に係る換算差額

現金及び現金同等物の増減額

現金及び現金同等物の期首残高

現金及び現金同等物の期末残高

△1,128

△5,225

5,743

53

△557

7,097

6,539

△6,243

△2,338

9,011

73

502

6,539

7,042

△5,115

2,887

3,267

20

1,060

△557

502

 

 

   当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加などにより、62

  億43百万円の支出となりました。

   投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出などにより、23億38百万円の

  支出となりました。

   財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増加などにより、90億11百万円の収入となりま

  した。

   この結果、現金及び現金同等物の期末残高は期首残高より5億2百万円増加し、70億42百万円と

  なりました。

 

当社グループは、事業活動に適切な流動性の維持と十分な資金を確保すると共に、グループ内でキャッシュマネージメントシステムを活用するなど運転資金の効率的な管理により、事業活動における資本効率の最適化を目指しております。また、営業活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物を資金の主な源泉と考え、さらに金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーの発行などによる資金調達を必要に応じて行い、十分な流動性の確保と財務体質の向上を図っております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、食生活にとって大切な動物性蛋白質資源及びその他の食料資源をより有効に活用し、生物多様性の保全に努めながら、安心・安全で豊かな食生活を実現することを使命とし、以下の取り組みを行っております。

(1) 魚肉蛋白質や脂質などの水産化学分野の基礎的研究。

(2) 食品衛生及び安全性の確認に関する研究。

(3) 冷凍食品、缶詰、健康食品等の新製品開発。

(4) 国内外工場と協力した製造ラインの設計や改善。

(5) 生産性向上活動およびDX活用工場の拡大・拡充。

(6) 大学や研究機関と連携した、新規性を持つ技術や装置の開発。

(7) SDGs達成を目的とした原料・ゴミの廃棄率およびプラスチック使用量の低減に関する研究。

(8) 養殖場の効率化と魚の品質向上に関する研究。

 

当連結会計年度の研究開発活動はそのほとんどが食品事業に関するものであり、研究開発費の総額は338百万円となりました。