第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)中長期的な経営戦略および会社の対処すべき課題

当社および当社グループにおいて、中期経営計画「MVIP+(プラス)2020」(2018年度~2020年度)の初年度である2018年度は概ね計画通りに推移した。2019年度は不透明な経営環境が続くことが予想されるが、2018年度に続き養殖では規模の拡大や養殖成績の安定化に取組み、また、ライフスタイルの変化への対応として、魚をはじめとする素材の美味しさを引き出し、簡単・便利/即食/健康などに配慮した高品質な商品群を拡大・強化していく。CSR活動では「豊かな海を守る活動」「フードロス」「健康経営」など更に強化し、「MVIP+(プラス)2020」が目指す姿の実現に向けた取組みを進めていく。

なお文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものである。

 

 中期経営計画「MVIP+(プラス)2020」の主な内容

① 基本的な考え方
 経営の基本方針「水産資源の持続的利用と地球環境の保全に配慮し、水産物をはじめとした資源から、多様な価値を創造し続け、世界の人々のいきいきとした生活と希望ある未来に貢献する。」を実現するため、2016年に「CSR行動宣言」を制定した。
 この方針と宣言に基づき、中期経営計画では、独自の技術を活かし、持続可能な水産資源から世界の人々に健康をお届けしていく。

 

 「中期経営計画の基本的な考え方」

独自の技術を活かし価値を創造するメーカーを目指す

 

~ 持続可能な水産資源から世界の人々を健康に ~

 

 

② 主要戦略

中期経営計画「MVIP+(プラス)2020」では、事業を通じた社会課題への取組の強化により、企業価値向上に努めていく。

(ⅰ)持続可能な水産資源の利用と調達の推進

・当社グループの取り扱う水産物の資源状態を把握し、その持続可能性への配慮など当社の対応状況について

 適宜発信していく。

・原料/製品の調達において、人権の尊重などに配慮した「CSR調達」をサプライヤーとともに進めていく。

(ⅱ)資源の最大活用と製品ロスの最小化を目指し、動植物性残渣の削減や賞味期限延長などの検討

(ⅲ)水産資源などの素材がもつ機能を活かした、健康に寄与する医薬原料や食品の拡大

(ⅳ)ライフスタイルの変化に対応した事業への構造転換

・日本に限らず欧米でも社会環境の変化に伴い、食事に求められるものが変わってきている。簡便/即食などのニーズに対応した美味しく、鮮度の良い商品を拡大すると同時に、これらの加工・生産機能の強化・再編を進めていく。

(ⅴ)海外展開の加速

・水産/食品事業における、欧州での更なる拡大とアジアへの注力

・医薬原料の海外展開

(ⅵ)水産資源の持続可能性につながる研究開発の更なる強化

・養殖事業の海外展開や新魚種への挑戦

・新規機能性脂質の研究

(ⅶ)働き方改革や健康増進支援策等を通じた健康経営の推進

(ⅷ)コーポレートガバナンスの強化

 

 

 


 

③ 投資・財務戦略

(ⅰ)投資戦略:国内外ともに成長事業への設備投資を強化し、持続的な成長を目指す。

 

水産事業

230

億円

食品事業

360

億円

ファインケミカル事業

60

億円

物流・海洋事業他

150

億円

M&A他

100

億円

投資総額

900

億円

 

 

減価償却費

570

億円

 

 

 

(ⅱ)財務戦略:~事業リスクに対応できる財務体質に向けて~

  持続的な成長を財務面から支えるために、1)収益力の強化、2)投資効率の良い経営、3)自己資本の充実

 による経営安定化を進める。また、グループ会社を含めROAを指標とした投資管理の更なる強化を進めて

 いく。

 


 

 

④ 中期経営計画 MVIP+(プラス)2020の目標とする姿(KPI)

 

 

2018年度計画

2018年度実績

2019年度計画

 

2020年度目標

売上高

6,980億円

7,121億円

7,100億円

 

7,560億円

営業利益

220億円

216億円

240億円

 

290億円

経常利益

235億円

253億円

265億円

 

320億円

当期純利益

160億円

153億円

175億円

 

220億円

ROA

3.6%

3.5%

3.9%

 

4.5%

 

 

(参考)ROE

11.1%

10.8%

11.4%

 

12.0%

 

※算出に用いた為替レート:USD 110円 EUR 135円

※ROA={「当期純利益」+「支払利息」×(1-実効税率)}/{(前期末「資産合計」+当期末「資産合計」)÷2}

 

(2)株式会社の支配に関する基本方針

 ① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の概要
   上場会社である当社の株券等については、株主をはじめとする投資家による自由な取引が認められていること

 から、当社取締役会としては、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方は、最終的には株主

  全体の意思により決定されるべきものであり、特定の者の大量取得行為に応じて当社株券等を売却するか否かに

  ついても、最終的には当社株主の判断に委ねられるべきものであると考えている。
    その一方で、会社の取締役会の賛同を得ずに行う企業買収の中には、1)重要な営業用資産を売却処分するなど

 企業価値を損なうことが明白であるもの、2)買収提案の内容や買収者自身について十分な情報を提供しない

 もの、3)被買収会社の取締役会が買収提案を検討し代替案を株主に提供するための時間的余裕を与えないもの、

 4)買収に応じることを株主に強要する仕組みをとるもの、5)当社グループの持続的な企業価値増大のために必要

 不可欠なお客様、取引先および従業員等のステークホルダーとの間に築かれた関係を破壊するもの、6)当社

 グループの技術と研究開発力、グローバルネットワークによる水産物のサプライチェーン、安全・安心な商品・

 サービスの提供など当社グループの本源的価値に鑑み不十分または不適当なもの、など当社グループの企業価値

 ひいては株主共同の利益に反するものも想定される。
   当社としては、このような大量取得行為をおこなう者は当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として

 不適切であり、この不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するため、

 当社グループの企業価値ひいては株主の皆様の利益を確保することが必要と考えている。

 

 ② 基本方針の実現に資する取組みの概要

  当社では、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるための取組みとして次の施策

 を既に実施している。
  (ⅰ)中期経営計画による企業価値向上への取組み
      2018年度より、新中期経営計画「MVIP+(プラス)2020」を策定し推進している。

 (ⅱ)コーポレート・ガバナンスの強化
     当社は、当社グループ全体の継続的な企業価値向上を具現化していくためにはコーポレート・ガバナンスの

   強化が必要であると認識しており、重要な戦略を効率的かつ迅速に決定、実行していく業務執行機能と、業務

   執行に対する監督機能を明確化し、経営における透明性を高めるための各種施策の実現に取り組んでいる。

 

 ③ 不適切な者によって当社の経営方針の決定が支配されることを防止する取組み
   当社株式の大量買付行為が行われた場合には、買付者等に対して必要かつ十分な情報の提供を求め、併せて当社

  取締役会の意見の開示など適時適切な情報開示を行い、株主の皆様の検討のための時間と情報確保に努める等、

  金融商品取引法、会社法及びその他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じていく。

 

 

 ④ 上記取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由
   上記②および③に記載の取組みは株主共同の利益を確保し、向上させるための取組みであり、上記①の基本方針

 に沿うものである。これらの取組みは、株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を

  目的としたものではない。

 

2 【事業等のリスク】

投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがある。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

① 食品の安全性に係るリスク

近年、残留農薬問題、鳥インフルエンザ、放射能汚染問題や冷凍食品業界での農薬混入事件など食品の品質に関する問題が発生している。当社グループでは、厳しい品質保証基準と品質保証の仕組みを構築しており、例えば、工場内への持込み物禁止ルールの徹底、薬剤保管庫・検査室の管理徹底など、お客様に安全な商品をお届けするための品質保証に最大限努めている。しかしながら、想定を超える問題等が発生した場合には、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。

② 水産物市況によるリスク

当社グループが取り扱う水産物は、主に海外から国内へ輸入・販売している。生鮮魚類の水揚げ数量の増減、養殖における魚病の発生、大規模な自然災害などによる需給変動の影響を受け、水産物市況の動向が想定を超える場合には、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。

③ 原材料価格の変動によるリスク

当社グループの使用する燃料、主副原料、資機材等の原材料は、その価格が市場の状況により変動する。これら原材料価格が予想を大きく超えて高騰しコストダウンで吸収しきれない場合、また販売価格に転嫁できない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性がある。

④ 海外事業におけるリスク

当社グループは、北米、南米、アジアならびにヨーロッパ等において事業を展開しているが、それらの地域において政治や経済動向の変化、戦争、テロ、養殖事業における魚病の発生、大規模な自然災害などが発生した場合には、当社グループの経営状況に影響を及ぼす可能性がある。

⑤ 養殖事業におけるリスク

当社グループは、国内や海外において養殖事業を営んでいるが、予防困難な魚病等が発生した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性がある。

⑥ 為替レートの変動によるリスク

当社グループは、商品や原材料の輸出入取引があり為替レート変動の影響を受けている。このリスクを軽減するため為替予約等を行っているが、予測を超えた大幅な為替レートの変動があった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性がある。

⑦ 法的規制等の変更等によるリスク

当社グループは、事業を遂行していくうえで、国内および海外の様々な法的規制を受けている。将来において、現在予期しえない法的規制等の変更や新設があった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性がある。

⑧ 会計制度の変更によるリスク

当社グループでは、新たな会計基準の適用など会計制度の変更によって、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性がある。

⑨ 株価変動等による保有資産への影響によるリスク

当社グループでは保有する有価証券等の資産について取引先との関係や資産状況等を勘案しながら随時見直しを行っている。しかしながら、急激な株価変動や投資先の業績不振等により有価証券等の資産価値が下落し、減損処理を必要とする場合には、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。

  ⑩ 情報システムに関するリスク

当社グループでは、販売促進キャンペーン、通信販売等により多数のお客様の個人情報を保有している。当社グループは、これらの重要な情報の紛失、誤用、改竄等を防止するため、規程等を整備するほか、従業員に対する教育・研修等を通じた情報管理の重要性の周知徹底を行うなど、適切なセキュリティ対策を実施している。しかしながら、停電、災害、ソフトウェアや機器の欠陥、コンピュータウィルスの感染、不正アクセス等予測の範囲を超える出来事により、情報システムの崩壊、停止または一時的な混乱、顧客情報を含めた内部情報の消失、漏洩、改竄等のリスクが考えられ、これらの事態が発生した場合には、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。

  ⑪ 環境に関するリスク

当社グループは、廃棄物削減・再資源化、省エネルギー、二酸化炭素排出の削減、包装容器リサイクルの徹底を図り、事業を遂行していくうえで環境に関連する各種法律、規制を遵守している。
 しかしながら、関係法令等の変更によって新規設備の投資、廃棄物処理方法の変更等による大幅なコストの増加が発生する場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。

  ⑫ 訴訟のリスク

当社グループは、事業を遂行していくうえで、各種関係法令を遵守し、従業員がコンプライアンスを理解し、実践することに最善の努力をしている。
 しかしながら、事業を遂行していくうえで、国内国外を問わず訴訟提起をされるリスクを抱えており、万一当社グループが訴訟を提起された場合、その結果によっては当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。

  ⑬ 人材の確保・育成によるリスク

当社グループが今後の成長を実現していくためには、営業・技術・経営管理等の各方面において優秀な人材を確保・育成していくことが重要な課題と認識しており、必要な施策を実施している。しかしながら、人材の確保・育成ができなかった場合には、当社グループの事業目的の達成が困難となる可能性がある。

  ⑭ 事業を取り巻く環境の変化によるリスク

当社グループは、事業の遂行にあたって景気等の経済状態による消費動向が大きく影響を及ぼす可能性がある。世界同時不況による消費不振や需要減退等が起こった場合は、当社グループの業績・財政状態に悪影響を及ぼすリスクが考えられる。また、日本国内の少子・高齢化現象が市場全体の縮小を及ぼすリスクが考えられる。

  ⑮ 債権管理に関するリスク

当社グループは、取引先の信用リスクに備えているが、取引先の信用不安による予期せぬ貸倒れリスクなどが顕在化し、追加的な損失や引当の計上が必要となる場合には、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。

  ⑯ 自然災害に関するリスク

当社グループは、生産ラインの安全で正常な稼動を確保するために定期的な設備点検を行っているが、地震、台風および津波などに被災し、長期間稼動が停止した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性がある。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りである。

(1)経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益は改善に足踏みが見られるが、設備投資や雇用情勢の改善が継続するなど緩やかな回復基調で推移した。

世界経済(連結対象期間1-12月)については、米国の保護主義的な政策の影響やEU諸国の政治動向などが懸念されるなか、米国では個人消費や設備投資が増加するなど良好に推移した。また、欧州では失業率の低下や個人消費の増加傾向が続くなど景気は緩やかに回復した。一方、中国では緩やかな減速が見られた。

当社および当社グループにおいては、販売は総じて順調に推移したが、原料価格の高騰や南米の鮭鱒養殖事業において前年の稚魚の斃死の影響などがあり、厳しい事業環境となった。

このような状況下で当連結会計年度の営業成績は、売上高は7,121億11百万円前期比348億18百万円増)、営業利益は216億85百万円前期比15億55百万円減)、経常利益は253億58百万円前期比7億74百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は153億79百万円前期比18億54百万円減)となった。

なお、当連結会計年度の期首より、在外子会社等の収益及び費用については、各社の決算日の直物為替相場により円貨に換算する方法から、期中平均為替相場により円貨に換算する方法に変更したため、遡及適用後の数値で前連結会計年度との比較を行っている。また、当連結会計年度の期首より、セグメント別の経営成績をより適切に把握するため、セグメントに帰属する販売費及び一般管理費の配賦基準を見直している。

 

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する

当期純利益

2019年

3月期

712,111

21,685

25,358

15,379

2018年

3月期

677,293

23,240

24,583

17,234

前期増減

34,818

△1,555

774

△1,854

前期比

105.1

%

93.3

%

103.2

%

89.2

%

 


セグメント別の経営成績は次のとおりである。

(単位:百万円)

 

売上高

前期増減

前期比

営業利益

前期増減

前期比

水産事業

289,991

6,132

102.2

%

10,292

△732

93.4

%

食品事業

342,328

17,067

105.2

%

11,906

△1,011

92.2

%

ファイン事業

26,513

649

102.5

%

2,612

67

102.7

%

物流事業

16,663

302

101.8

%

1,990

59

103.1

%

その他

36,614

10,667

141.1

%

1,156

△130

89.9

%

全社経費

%

△6,272

192

97.0

%

合計

712,111

34,818

105.1

%

21,685

△1,555

93.3

%

 

 

 

 

① 水産事業

水産事業については、漁撈事業、養殖事業、加工・商事事業を営んでいる。
<当連結会計年度の概況>
水産事業では売上高は2,899億91百万円前期比61億32百万円増)となり、営業利益は102億92百万円前期比7億32百万円減)となった。
 
漁撈事業:前期比で増収、増益
<日本>
・かつおやさばなどの漁獲が好調だったことにより増収・増益となった。
<南米>
・価格の高い魚の漁獲増や販売価格の上昇もあり増収・増益となった。
 
養殖事業:前期比で減収、減益
<日本>
・ぶりは、夏場でも品質の良い「若ぶり」(注1)の販売尾数の増加や販売価格の上昇があったが、まぐろの販売価格低迷に加え赤潮被害の影響や、鮭鱒の生産コストの上昇などもあり減収・減益となった。
<南米>
・鮭鱒は、前年の稚魚の斃死の影響により販売数量が大幅に減少したが、生産コストの低減に努め、減益幅を抑えることができた。

 

加工・商事事業:前期比で増収、増益
<日本>
・すりみや飼料油飼の販売は好調に推移したものの、えびの販売価格下落や鮭鱒の仕入価格上昇などにより増収・減益となった。
<北米>
・かにの取扱量の減少による減収もあったが、すりみや助子の販売価格上昇や労務コスト削減効果もあり増益となった。

<ヨーロッパ>
・販売エリアの拡大など順調に推移したことにより増収・増益となった。

 

② 食品事業

食品事業については、加工事業およびチルド事業を営んでいる。
<当連結会計年度の概況>
食品事業では売上高は3,423億28百万円前期比170億67百万円増)となり、営業利益は119億6百万円前期比10億11百万円減)となった。
 
加工事業:前期比で増収、減益
<日本>
・冷凍食品の米飯や野菜、練り製品を中心に販売が伸長したが、すりみなど原料価格の上昇もあり増収・減益となった。
<北米>
・家庭用冷凍食品のコスト削減効果があったが、業務用冷凍食品の生産性悪化などがあり減収・減益となった。
<ヨーロッパ>
・生産体制の整備が進み、魚を中心とした惣菜商品の販売が好調に推移し増収となったが、原料価格の上昇などにより減益となった。
 
チルド事業:前期比で増収、減益
<日本>
・コンビニエンスストア業界の再編による供給店舗の増加に加え、おにぎり・弁当・麺類の販売が伸長したことにより増収となったが、新工場の竣工に伴う減価償却費や立ち上げ費用が発生し減益となった。

 

③ ファイン事業

ファイン事業については、医薬原料、機能性原料(注2)、機能性食品(注3)、および医薬品、診断薬の生産・販売を行っている。
<当連結会計年度の概況>
ファイン事業では売上高は265億13百万円前期比6億49百万円増)となり、営業利益は26億12百万円前期比67百万円増)となった。
<医薬原料、機能性原料、機能性食品>
・乳児用粉ミルクに添加するDHAなどの機能性原料の販売が国内外とも堅調に推移したことに加え、特定保健用食品「イマークS」など通信販売の広告宣伝費削減もあり増収・増益となった。
<臨床診断薬、産業検査薬、医薬品>
・診断薬事業の販売が好調に推移し増収となったが、化粧品事業の売却の影響などにより減益となった。

 

④ 物流事業

物流事業については、冷蔵倉庫事業、配送事業、通関事業を営んでいる。
<当連結会計年度の概況>
物流事業では売上高は166億63百万円前期比3億2百万円増)となり、営業利益は19億90百万円前期比59百万円増)となった。
・労務費や電力料などのコストが増加したが、営業再開した冷蔵庫の影響や既存冷蔵庫の在庫量が堅調に推移し増収・増益となった。

 

(注1)産卵時期を早めることで春から夏に旬を迎える養殖ぶり。夏場でも品質の良いぶりの出荷が可能と
 なっている。(「黒瀬の若ぶり」は当社が保有するブランド名。)

(注2)サプリメントの原料や乳児用粉ミルク等に添加する素材として使用されるEPA・DHAなど。

(注3)主に通信販売している特定保健用食品「イマークS」やEPA・DHAなどのサプリメント。

 

その他

(売上原価、販売費及び一般管理費)

売上原価は前期比360億83百万円増5,733億85百万円となった。販売費及び一般管理費は、給料及び手当が9億48百万円増加し、広告宣伝費が4億56百万円減少したため、前期比2億89百万円増1,170億39百万円となった。

 

(営業外収益・営業外費用)

営業外収益は前期比19億53百万円増55億59百万円となった。これは主として持分法による投資利益が14億26百万円増加したことなどによるものである。

営業外費用は前期比3億75百万円減18億87百万円となった。これは主として支払利息が2億56百万円減少したことなどによるものである。

 

(特別利益・特別損失)

特別利益は前期比41億84百万円減11億44百万円となった。これは主として投資有価証券売却益が38億22百万円減少したことなどによるものである。

特別損失は前期比18億95百万円減18億98百万円となった。これは主として減損損失が6億70百万円減少し、災害による損失が6億32百万円減少したことなどによるものである。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は前期比18億54百万円減153億79百万円となり、前期の1株当たり当期純利益55円33銭に対し、49円41銭になった。

 

 生産、受注及び販売の実績は、次の通りである。

 ① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次の通りである。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

水産事業

107,917

1.5

食品事業

296,606

4.3

ファイン事業

22,275

13.2

合計

426,799

4.0

 

(注) 1.金額は、販売価格による。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていない。

 

 ② 受注実績

 受注生産は行っていない。

 

 ③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次の通りである。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

水産事業

289,991

2.2

食品事業

342,328

5.2

ファイン事業

26,513

2.5

物流事業

16,663

1.8

その他

36,614

41.1

合計

712,111

5.1

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去している。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱食品株式会社

80,998

11.9

81,182

11.4

 

 

(2)財政状態

    「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年

    度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結

    会計年度との比較・分析を行っている。

 

流動資産は前期比55億51百万円減2,476億3百万円、固定資産は12億30百万円増2,303億9百万円、総資産は前期比43億20百万円減4,779億13百万円となった。

流動資産は、前連結会計年度末に比べて2.2%減少し、2,476億3百万円となった。これは現金及び預金が137億64百万円減少し、受取手形及び売掛金が40億72百万円増加し、仕掛品が44億56百万円増加したことなどによる。
 固定資産は、前連結会計年度末に比べて0.5%増加し、2,303億9百万円となった。これは有形固定資産が47億42百万円増加したことなどによる。
 この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて0.9%減少し、4,779億13百万円となった。

流動負債は前期比101億69百万円減2,026億99百万円、固定負債は32億2百万円減1,090億54百万円、負債は前期比133億72百万円減3,117億54百万円となった。

流動負債は、前連結会計年度末に比べて4.8%減少し、2,026億99百万円となった。これは短期借入金が109億79百万円減少し、支払手形及び買掛金が47億67百万円増加したことなどによる。

固定負債は、前連結会計年度末に比べて2.9%減少し、1,090億54百万円となった。これは長期借入金が18億27百万円減少し、退職給付に係る負債が15億0百万円減少したことなどによる。
 この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて4.1%減少し、3,117億54百万円となった。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べて90億51百万円増加し、1,661億58百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益を153億79百万円計上したこと、為替換算調整勘定が29億22百万円減少したことなどによる。

以上により当連結会計年度末のROAは3.5%になった。なお、中期経営計画「MVIP+(プラス)2020」では、KPIとして「ROA 4.5%」を設定している。

 

(3)キャッシュ・フロー

現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比81億53百万円減少し、161億65百万円となった。

営業活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益246億5百万円(前期比15億15百万円減)、減価償却費182億72百万円(前期比6億72百万円増)、売上債権の増加51億36百万円(前期比24億47百万円減)、たな卸資産の増加80億86百万円(前期比24億47百万円減)、仕入債務の増加54億26百万円(前期比30億21百万円減)などの結果、246億93百万円の収入(前期比36億31百万円収入減)となった。

投資活動によるキャッシュ・フローは、日本クッカリー㈱における新工場竣工などの有形固定資産の取得による支出219億17百万円(前期比48億60百万円減)、投資有価証券の売却による収入16億67百万円(前期比49億94百万円減)、投資有価証券の取得による支出25億53百万円(前期比23億71百万円増)などにより、168億3百万円の支出(前期比47億36百万円支出減)となった。

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純減額119億18百万円(前期比107億37百万円減)、長期借入れによる収入156億33百万円(前期比193億55百万円減)、長期借入金の返済による支出154億47百万円(前期比224億71百万円減)などにより、159億56百万円の支出(前期比78億0百万円支出増)となった。

   

   (資本の財源及び資金の流動性についての分析)

中期経営計画「MVIP+(プラス)2020」では、3年間で営業キャッシュフローと現預金の活用で約1,200億円を創出し、成長ドライバーを中心に約900億円の投資を行うことにしている。初年度の当連結会計年度では営業キャッシュフローと現預金の有効活用により229億97百万円の設備投資、117億32百万円の借入金の返済を行った。

 

(4) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りを行っており、貸倒引当金、たな卸資産、有価証券、退職給付に係る負債、法人税等などに関する見積り及び判断に対して継続的に評価を行っている。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの結果と異なる可能性がある。

 

(5) 今後の方針について

当社は、2018年度より、新たに策定した新中期経営計画「MVIP+(プラス)2020」を推進する。取組みの詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載している。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項なし。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、海洋資源をもとにした水産製品、食品から、医薬品、養殖魚の飼料まで、「食」と「健康」に関する研究開発を行っている。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は46億8百万円である。なお、中期経営計画において水産、食品、ファイン事業の主要3事業の個々の強化に加え、それぞれの事業領域の境目となる分野で融合を進めることでより高い成果を目指していることから、全ての研究開発費にかかる費用をセグメント別に関連づけることが困難であるため、その総額を記載している。当連結会計年度における研究開発の主な概要は次の通りである。

 

当社は、東京イノベーションセンター(中央研究所)を中心に水産・食品・ファイン事業に関連する技術開発、商品開発及び水産養殖等に関する研究開発活動を展開している。水産に関しては食塩を低減しても塩味やおいしさをしっかり感じられる「塩味増強技術」に関する研究、食品に関しては独自の技術を活かしたフライ衣やすりみの品質向上に関する研究、養殖に関しては肉質向上機能性飼料や養殖魚の成熟制御、まぐろの完全養殖やエビの陸上養殖の事業化などに関する研究を行っている。機能性素材に関する研究では、高純度なEPAの研究や新しい医薬・機能性脂質に関する研究を行っている。当社の研究開発費は、39億67百万円である。

日水製薬㈱では、ファイン事業に関連する研究開発活動を展開している。同社では、新たなビジネス創出の機会として、将来有望と考えられる研究プロジェクトや独創的かつ萌芽的なアイデアなどを早期に発掘し、共同研究また実用化に通じる創成を目指す日水製薬オープンイノベーションプログラム「NeyeS」(エヌアイズ)の公募を行った。多くの研究機関からの応募テーマに対して、同社研究課題とのマッチング、研究内容の独創性や有用性、研究計画の実現性等を判断し、5件を採択した。「NeyeS」の活動を通じて、再生医療関連技術、細胞培養関連シーズおよび検査・検出技術などをテーマとして、基礎研究から臨床研究および検査・情報処理まで斬新でユニークなアイデアやノウハウ、将来的な医療に役立つシーズを探索し、支援していく。日水製薬㈱の研究開発費は、6億40百万円である。