文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「私たちは誠実を旨とし、本物・安心・健康な『食』の提供を通じて、人々の豊かなくらしとしあわせに貢献します」をグループ理念と定め、グループ理念の実践により、社会への責任を果たしてまいります。
また、当社グループは、グループ理念を通じて以下のグループビジョンの実現を目指します。
・地球環境に配慮し、世界の『食』に貢献する21世紀のエクセレントカンパニーを目指します。
・お客様の立場に立ち、お客様にご満足いただける価値創造企業を目指します。
・持続可能な『食』の資源調達力と技術開発力を高め、グローバルに成長を続ける企業を目指します。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、2018年度から2021年度までの4ヵ年を対象とするグループ中期経営計画「Innovation toward 2021」において、2021年度に売上高1兆円、営業利益310億円、ROA(総資産経常利益率)5.7%、D/Eレシオ(負債資本倍率)1.5倍、自己資本比率30.0%の目標を掲げております。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
安全で高品質な商品を、お客様のもとにお届けすることが当社グループの使命であり、食品安全を含めた品質保証体制、危機管理体制及びグループガバナンス体制の構築に、継続して取り組んでまいります。
また、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」の策定にあたっては、長期経営ビジョンとして「10 年後のありたい姿」を「グローバル領域で「マルハニチロ」ブランドの水産品、加工食品を生産・販売する総合食品企業」と定義しました。当ビジョンの実現に向けた最初の4年間となる当中期経営計画では「企業価値の向上と持続的成長」を基本方針として、以下の3つの経営戦略に取り組んでまいります。
①収益力の更なる向上
水産資源アクセスを最大限に生かしたバリューチェーンを再構築するとともに、加工食品においては生産拠点の再編をはじめとする利益率の改善と商品開発力の強化に取り組みます。
②成長への取り組み
利益成長実現のために、国内外における水産事業バリューチェーンへの投資、冷凍食品事業への積極投資、そして中長期的な成長領域への先行投資として、養殖事業、介護食事業、化成事業への投資を行います。
③経営基盤の強化
成長への投資を最優先としながらも、財務基盤の強化を図ります。運転資本の効率的な運用にも取り組み、より強固な財務体質を目指します。
なお、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」と併せて策定しました「サステナビリティ中長期経営計画」及び「新コーポレートブランド戦略」についても着実に推進してまいります。
① サステナビリティ中長期経営計画
持続的な企業価値の向上に取り組む企業グループとして、事業活動を通じた経済価値の創造とともに、社会価値、環境価値の創造にこれまで以上に注力していくことで、人類社会が直面する社会課題の解決に貢献します。
② 新コーポレートブランド戦略
マルハニチロらしいブランドの魅力を、より広く、深く、知って頂くために、企業ブランドマネジメントの強化に取り組み、積極的なコミュニケーション活動を展開します。
また、ブランドステートメントである「海といのちの未来をつくる」のもと、マルハニチログループだからこそ提供できる価値を通じて、社会にとって「かけがえのない存在」を目指します。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)食の安全
当社グループは、独自のフードディフェンス管理基準の生産工場、物流拠点での運用や、日常的な食品の安全性評価と最新の科学情報の収集及び法令の研究など、食品安全を含めた品質保証体制の強化に取り組んでおります。
しかしながら、上記の取り組みの範囲を超える事象が発生した場合には、当社グループの業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)原材料調達の変動
当社グループは国内及び海外から水産物を始めとした原材料を購入し、安定的な原材料の確保と適正価格の維持に努めております。しかしながら、原材料の需要動向、漁獲高の変動などにより、原材料の調達が困難になった場合や購入価格が高騰した場合には当社グループの業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)為替レートの変動
当社グループの取り扱い製商品には海外からの輸入製商品が多く含まれており、為替レート変動の影響を受けております。このため、為替レートの変動によるリスクをヘッジすることを目的として、為替予約等を行い、為替レートの変動による影響を最小限に止めております。しかしながら、予測を超えて急激に為替レートが変動した場合には当社グループの業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)金利の変動
当社グループの借入金は、当連結会計年度末で263,408百万円となっております。今後の金利動向により調達金利が変動し、当社グループの業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)原油価格の高騰
当社グループでは、漁業・養殖事業で漁業を行っております。原油価格の高騰があった場合には、漁船の燃油コストの上昇につながり当社グループの業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)自然災害
当社グループでは、国内外に多数の生産拠点を有しております。地震や台風等の自然災害が発生した場合には、生産設備の破損、物流機能の麻痺等により事業活動が制限され、当社グループの業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)人材の確保・育成
当社グループが今後の成長を実現していくためには、営業・技術・経営管理等の各方面において優秀な人材を確保・育成していくことが重要な課題と認識しており、必要な施策を実施しております。しかしながら、人材の確保・育成ができなかった場合には、当社グループの事業目的の達成が困難になる可能性があります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当期におけるわが国経済は、雇用情勢の改善傾向が続くなか、企業収益もおおむね堅調に推移しております。しかしながら、人手不足の問題は一層深刻なものとなってきており、また海外に目を向けると米国と中国の深刻な貿易摩擦問題や英国のEU離脱問題の長期化による世界経済全体への悪影響が懸念されます。
当社グループ関連業界におきましては、原材料価格の上昇や物流費等にかかるコストアップ要因もあり、依然として予断を許さない状況が続いています。
このような状況のもと、当社グループでは中期経営計画「Innovation toward 2021」の基本方針である「企業価値の向上と持続的成長」の実現のため、「収益力の更なる向上」「成長への取り組み」「経営基盤の強化」を推進する一方、コーポレートブランディング活動にも継続的に取り組んでまいりました。
その結果、売上高は922,468百万円(前期比0.4%増)、営業利益は21,758百万円(前期比11.2%減)、経常利益は25,233百万円(前期比9.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は16,695百万円(前期比3.7%増)となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。
なお、当期より、一部事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
漁業・養殖事業
漁業・養殖事業は、国内外の水産資源の持続可能かつトレーサビリティの確保できる供給源として、効率的な操業により収益の確保に努めました。
当期は、度重なる台風の影響等による養殖クロマグロの出荷減により減収となりました。また、マグロ・カツオの魚価安により利益率が低下した結果、漁業・養殖事業の売上高は35,469百万円(前期比7.5%減)、営業利益は1,526百万円(前期比34.6%減)となりました。
商事事業
商事事業は、国内外にわたる調達・販売ネットワークを持つ水産商事ユニット・畜産商事ユニット、市場流通の基幹を担う荷受ユニットから構成され、国内外の市場動向を注視しながらお客様のニーズに対応した的確な買付販売と水産加工事業の強化により、収益の確保に努めました。
水産商事ユニットは、主要魚種の多くが高値圏にあるなか、売上高は増加しましたが、世界的な魚価高による調達コスト増加の影響もあり、減益となりました。
荷受ユニットは、台風の来襲など夏場に天候不順が続き、鮮魚の取扱高が減り、また冷凍魚の魚価高を売価に転嫁できず、減収減益となりました。
畜産商事ユニットは、鶏肉・豚肉の取扱いが減少、また牛肉・鶏肉の利益率が低下したことにより、減収減益となりました。
以上の結果、商事事業の売上高は445,094百万円(前期比1.0%減)、営業利益は3,280百万円(前期比31.1%減)となりました。
海外事業
海外事業は、中国・タイにおける水産物・加工食品の販売に加え、オセアニアでの基盤を強化している海外ユニット、すりみ等の生産を中心とした北米商材の日本・北米・欧州での販売を展開する北米ユニットから構成され、水産物と加工食品の世界的な需要拡大に対応し、グローバル市場における収益の確保に努めました。
海外ユニットは、タイでのペットフード事業、ニュージーランドでの操業漁船1隻追加が売上増に寄与したものの、ニュージーランド・豪州にて主要魚種の漁獲が振るわず、タイでは主要輸出品のエビが他輸出国との競合にさらされた結果、増収減益となりました。
北米ユニットは、助宗すりみ・フィレの効率的な生産と日欧米主体の順調な販売、及びエビ・タコなどの欧州での販売拡大などにより増収となりましたが、アラスカのマス不漁による冷凍品・缶詰等の大幅減産と魚価高騰に加え、為替変動もあり減益となりました。
以上の結果、海外事業の売上高は175,884百万円(前期比3.8%増)、営業利益は7,238百万円(前期比17.4%減)となりました。
加工事業
加工事業は、家庭用冷凍食品の製造・販売を行う家庭用冷凍食品ユニット、缶詰・フィッシュソーセージ・ちくわ・デザート等の製造・販売を行う家庭用加工食品ユニット、業務用商材の製造・販売を行う業務用食品ユニット、及び化成品・調味料・フリーズドライ製品の製造・販売を行う化成ユニットから構成され、お客様のニーズにお応えする商品の開発・製造・販売を通じて収益の確保に努めました。
家庭用冷凍食品ユニットは、お弁当のおかず向け商品の販売減により減収となりましたが、工場生産性の改善により、増益となりました。
家庭用加工食品ユニットは、消費者の健康志向を背景にさば・いわし等の青魚及びさけの缶詰の需要増等により増収となりました。また、利益面では増収効果とデザートで収益性改善を重視した販売に努めた結果、増益となりました。
業務用食品ユニットは、介護食、コンビニエンスストア等の取り組みが下支えして増収となりましたが、水産原料、畜産原料等の価格高騰に加え、自社工場製品の販売が低調に推移したことにより減益となりました。
化成ユニットは、フリーズドライ製品及び機能性表示食品制度を追い風としたDHA・EPAの販売が好調に推移し、増収増益となりました。
以上の結果、加工事業の売上高は235,490百万円(前期比1.2%増)、営業利益は6,308百万円(前期比18.8%増)となりました。
物流事業
物流事業は、2019年2月の東京・城南島物流センターの火災、2018年9月の大阪・南港物流センターの台風被害等の重大事象が発生しましたが、早期の再稼働に努めてまいりました。全面復旧にはしばらく時間を要する見込みですが、引き続き対応を進めてまいります。
当期は、上記の重大事象による減収や、燃料調整費の上昇等に伴う動力費の増加、労務コストの上昇、平和島物流センターの新規稼働に伴う賃借料の増加等がありましたが、首都圏をはじめとする大都市圏において旺盛な保管需要を取り込んだことにより、売上高は16,348百万円(前期比2.4%増)、営業利益は1,878百万円(前期比0.4%増)となりました。
(2)財政状態の状況
総資産は520,318百万円となり、前期に比べ3,711百万円増加いたしました。これは、主としてたな卸資産の増加によるものであります。
負債は369,938百万円となり、前期に比べ6,619百万円減少いたしました。これは、主として仕入債務及び借入金の減少によるものであります。
非支配株主持分を含めた純資産は150,379百万円となり、前期に比べ10,329百万円増加いたしました。
各セグメントの資産は次のとおりであります。
なお、当期より、一部事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
漁業・養殖事業の総資産は38,806百万円となり、前期に比べ1,757百万円増加いたしました。これは、主としてたな卸資産の増加によるものであります。
商事事業の総資産は128,233百万円となり、前期に比べ7,202百万円増加いたしました。これは、主としてたな卸資産の増加によるものであります。
海外事業の総資産は121,253百万円となり、前期に比べ3,364百万円減少いたしました。これは、主として現預金の減少によるものであります。
加工事業の総資産は143,680百万円となり、前期に比べ2,536百万円増加いたしました。これは、主としてたな卸資産の増加によるものであります。
物流事業の総資産は35,308百万円となり、前期に比べ431百万円減少いたしました。これは、主として有形固定資産の減少によるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動の結果得られた資金を、主として設備投資及び借入金の返済に使用した結果、当連結会計年度末には11,575百万円と前連結会計年度末に比べ3,611百万円減少いたしました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は16,187百万円となり、前期に比べ13,549百万円減少いたしました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、主に設備投資によるもので、11,854百万円となり、前期に比べ3,120百万円減少いたしました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、主に借入金の返済によるもので、7,863百万円となり、前期に比べ5,450百万円減少いたしました。
(4)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、国内及び海外からの水産物の調達費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資によるものであります。
当社グループは、中期経営計画「Innovation toward 2021」に掲げておりますとおり、成長への投資を最優先としながらも、財務基盤の強化を図ります。運転資本の効率的な運用にも取り組み、より強固な財務体質を目指します。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
(5)目標とする経営指標の進捗状況等
中期4ヵ年経営計画「Innovation toward 2021(2018-2021)」の進捗状況は次のとおりであります。
|
指標 |
2017年度 |
2018年度(前期比) |
2021年度(最終年度) |
||||
|
売上高 |
9,188 |
億円 |
9,224 |
億円 |
( 0.4%増) |
1 |
兆円 |
|
営業利益 |
244 |
億円 |
217 |
億円 |
(11.2%減) |
310 |
億円 |
|
ROA (総資産経常利益率) |
5.5 |
% |
4.9 |
% |
( 0.6pt減) |
5.7 |
% |
|
D/Eレシオ |
2.3 |
倍 |
2.1 |
倍 |
( 0.2減) |
1.5 |
倍 |
|
自己資本比率 |
22.3 |
% |
24.1 |
% |
( 1.8pt増) |
30.0 |
% |
(6)生産、受注及び販売の実績
なお、当期より、一部事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
①生産・仕入実績
当連結会計年度における生産・仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
漁業・養殖事業(百万円) |
40,345 |
94.5 |
|
商事事業(百万円) |
404,146 |
102.6 |
|
海外事業(百万円) |
171,091 |
98.2 |
|
加工事業(百万円) |
164,149 |
100.4 |
|
物流事業(百万円) |
14,314 |
102.4 |
|
報告セグメント計(百万円) |
794,046 |
100.8 |
|
その他(百万円) |
10,355 |
122.7 |
|
合計(百万円) |
804,402 |
101.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
②受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
漁業・養殖事業(百万円) |
35,469 |
92.5 |
|
商事事業(百万円) |
445,094 |
99.0 |
|
海外事業(百万円) |
175,884 |
103.8 |
|
加工事業(百万円) |
235,490 |
101.2 |
|
物流事業(百万円) |
16,348 |
102.4 |
|
報告セグメント計(百万円) |
908,289 |
100.3 |
|
その他(百万円) |
14,179 |
108.9 |
|
合計(百万円) |
922,468 |
100.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、販売実績額が総販売実績額の100分の10
以上となる販売先がないため省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
特記すべき事項はありません。
当社グループでは、お客様の健康に役立つ商品をご提案するための研究開発、技術蓄積を旨として、「生涯健康」をスローガンに研究活動を進めております。
特に、水産・食品分野を中心として、①食品の美味しさ・栄養成分の保持・増強、②微生物制御、③機能性素材開発、④環境・自然と調和した水産資源調達技術の4つの領域に注力いたしました。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
主なセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果は次のとおりであります。
漁業・養殖事業
世界的な人口増加と新興国の経済成長により、良質かつヘルシーなたんぱく源である魚需要が世界規模で急増しているなか、水産、養殖分野での取り組みの重要性が高まっております。特にSDGs目標14「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」に貢献することを目指して、養殖魚の餌となる天然魚や魚粉原料をできる限り使用しないで、大豆などの植物性タンパク質を有効利用できるよう、原料を発酵処理したり、養殖魚の腸内細菌を活用するといった研究開発を行っております。また、ブリやカンパチは、血合肉が変色しやすく改善が求められているため、これまでに血合肉の変色を抑制できる養殖用飼料を開発・実用化しており、さらに高いレベルの品位を目指して改良を進めております。さらに沿岸域での海面養殖だけではなく、台風や赤潮などの自然環境に影響されにくく、残餌や糞により海洋環境を汚すことのない閉鎖循環型陸上養殖につきましても、研究助成を受けて産官学と連携を取りながら研究開発を進めております。
「機能性表示食品制度」は、科学的根拠の提示と適切な品質管理のもと、事業者責任において食品に機能性を表示することを可能とした制度です。この制度は、加工食品のみならず、農水産物などの生鮮食品も対象としておりますが、生鮮食品の各種栄養成分や機能性関与成分の含量は加工食品と比べて安定しにくいため、規格管理が難しいことが障壁となっておりました。当社ではこのハードルを越えるべく、代表的な養殖魚として知られる「カンパチ」の機能性関与成分であるDHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)量について、年間を通じた調査を行い、規格管理を実施することで2018年1月に生鮮食品区分の水産品として初の機能性表示食品の届出が受理され、2018年8月より販売を開始しております。
商事事業
エビの加工現場で用いる独自配合の浸漬剤を開発・実用化いたしました。素材が持つ美味しさを保ち、品質を向上させる技術として、特に食感の改良が認められております。
魚介類の国内での消費量が減少し続ける中、魚介類の価値を高めるための一つの取り組みとして、魚由来の成分の健康に及ぼす影響、さらに、日常の食生活の中で魚を中心とする食事の健康への効果を実証するための各種検討を進めております。
海外事業
水産加工現場から排出される未利用資源の有効利用に関する技術開発を行い、環境負荷低減の取り組みを進めております。
主に海外で漁獲される魚介類の鮮度保持技術の開発を行っており、原料それ自体の鮮度での差別化を指向した取り組みも併せて進めております。
加工事業
食品の見た目、香り、味や食感などの特徴を官能評価で数値化し、プロファイリングを行い、栄養成分や物性などの美味しさに関わる科学的な要素を分析し比較することで、理論的に食品の特徴をコントロールする取り組みを行っております。
食塩を控えるなど健康志向の強い消費者に対応できるよう、減塩しても美味しさが変わらない技術を開発し、当社商品への応用展開を進めております。
自然解凍冷凍食品、フローズンチルド商品など、多様なカテゴリーからなる当社商品に関して、商品の安全性担保のための基盤となる微生物的品質保証体制構築や新規殺菌技術の開発を進めております。独立行政法人製品評価技術基盤機構との共同研究では、近年注目を浴びているマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS)を用いた、食中毒原因菌であるセレウス菌(Bacillus cereus)の迅速かつ精密な識別・同定(菌種特定)法を確立いたしました。
2015年4月の制度化で誕生した機能性表示食品は、健康の維持や増進など、科学的な根拠に基づいた機能が事業者の責任でわかりやすく表示されているので消費者が正しく選ベ、さらに、安全性も確保されているものです。当社では、長年続けてきた魚油由来の健康成分であるDHAとEPAに関する研究成果をもとに、機能性表示食品の開発にいち早く取り組みました。その結果、業界初やカテゴリー初となる機能性表示食品を次々に開発し、これまでに、DHA・EPAを関与成分とした中性脂肪を低下させる機能がある食品、DHAを関与成分とした情報の記憶をサポートする機能がある食品として、多数の品目について消費者庁で届出を受理されております。また、DHA・EPA以外にも、当社が原料調達などでの優位性を有する他の素材についても検討を進めており、サケ肉に含まれるイミダゾールジペプチドの疲労感軽減効果に基づいた機能性表示食品「サーモンソーセージ」が2019年2月に受理されました。
さらに水産・食品分野のリーディングカンパニーとして、関連学会での発表はもとより、関連セミナーにおける講師、地域における理科授業の実施など、成果や技術力の情報発信に加え、社会に対する貢献活動に継続して取り組んでまいりました。