第2【事業の状況】

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「私たちは誠実を旨とし、本物・安心・健康な『食』の提供を通じて、人々の豊かなくらしとしあわせに貢献します」をグループ理念と定め、グループ理念の実践により、社会への責任を果たしてまいります。

また、当社グループは、グループ理念を通じて以下のグループビジョンの実現を目指します。

・地球環境に配慮し、世界の『食』に貢献する21世紀のエクセレントカンパニーを目指します。

・お客様の立場に立ち、お客様にご満足いただける価値創造企業を目指します。

・持続可能な『食』の資源調達力と技術開発力を高め、グローバルに成長を続ける企業を目指します。

 

(2)経営戦略等

安全で高品質な商品を、お客様のもとにお届けすることが当社グループの使命であり、食品安全を含めた品質保証体制、危機管理体制及びグループガバナンス体制の構築に、継続して取り組んでまいります。

また、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」の策定にあたっては、長期経営ビジョンとして「10年後のありたい姿」を「グローバル領域で「マルハニチロ」ブランドの水産品、加工食品を生産・販売する総合食品企業」と定義しております。当ビジョンの実現に向けて当中期経営計画においては「企業価値の向上と持続的成長」を基本方針として、以下の3つの経営戦略に引き続き取り組んでまいります。

 

収益力の更なる向上

水産資源アクセスを最大限に生かしたバリューチェーンを再構築するとともに、加工食品においては生産拠点の再編をはじめとする利益率の改善と商品開発力の強化に取り組みます。

 

成長への取り組み

利益成長実現のために、国内外における水産事業バリューチェーンへの投資、冷凍食品事業への積極投資、そして中長期的な成長領域への先行投資として、養殖事業、介護食事業、化成事業への投資を行います。

 

経営基盤の強化

成長への投資を最優先としながらも、財務基盤の強化を図ります。運転資本の効率的な運用にも取り組み、より強固な財務体質を目指します。

 

  なお、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」と併せて策定しました「サステナビリティ中長期経営計画」及び「コーポレートブランディング活動」についても着実に推進してまいります。

 

① サステナビリティ中長期経営計画

  持続的な企業価値の向上に取り組む企業グループとして、事業活動を通じた経済価値の創造とともに、社会価値、環境価値の創造にこれまで以上に注力していくことで、人類社会が直面する社会課題の解決に貢献します。

 

② コーポレートブランディング活動

マルハニチロらしいブランドの魅力を、より広く、深く、知って頂くために、企業ブランドマネジメントの強化に取り組み、積極的なコミュニケーション活動を展開します。

また、ブランドステートメントである「海といのちの未来をつくる」のもと、マルハニチログループだからこそ提供できる価値を通じて、社会にとって「かけがえのない存在」を目指します。

(3)経営環境

2019年12月に発生が報告された新型コロナウイルスの感染拡大により、経済活動が大きく抑制され、先行きは極めて不透明な状態となっております。

世界的な感染拡大で海外経済も急速に収縮するなか、新型コロナウイルス感染拡大の影響としては、海外漁業の不振及び国内外で巣ごもり消費へのシフトによる家庭用商品の販売拡大が見込まれる一方、外食や業務筋への販売減少、景気後退による高単価商材の販売不振が想定されます。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

非常に厳しい環境下ではありますが、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」の基本方針として定めた「企業価値の向上と持続的成長」の実現のため、以下の3つの経営戦略への取り組みをより強力に推進していくことに変更はございません。

 

① 収益力の更なる向上

水産資源アクセスを最大限に生かしたバリューチェーンを再構築するとともに、加工食品においては生産拠点の再編をはじめとする利益率の改善と商品開発力の強化に取り組みます。

 

② 成長への取り組み

利益成長実現のために、国内外における水産事業バリューチェーンへの投資、冷凍食品事業への積極投資、そして中長期的な成長領域への先行投資として、養殖事業、介護食事業、化成事業への投資を行います。

 

③ 経営基盤の強化

成長への投資を最優先としながらも、財務基盤の強化を図ります。運転資本の効率的な運用にも取り組み、より強固な財務体質を目指します。

 

なお、各事業の次期における対処すべき課題は次のとおりであります。

 

漁業・養殖事業

まき網事業を主力とする漁業部門とマグロ・カンパチ・ブリの養殖部門を両軸に事業を推進します。新型コロナウイルス影響については、漁業部門で人的移動が各国で制限されていることから海外を拠点とする漁船で操業ロスが発生しております。また、養殖部門は高級商材であるマグロや活魚の外食・業務筋向け販売の減少と相場下落が大きく影響し、大幅な減収減益予想となっております。中長期的には、天災リスクを回避しながら、完全養殖クロマグロをはじめとする環境に過度の負荷をかけない漁業・養殖を目指してまいります。

 

商事事業

水産商事ユニットでは、国内におけるトップサプライヤーとして確固たるポジションを築いてまいりましたが、新型コロナウイルス影響により外食・業務筋向け販売については大幅な減収減益が見込まれます。また、世界各国の産地や物流においても様々な影響が発生しておりますが、安定的な原料調達継続のため資源アクセスの強化に努めるとともに、商品開発力の強化による加工品の拡大、及び国内外の販売ネットワークとの協働を通じた販売力の強化を進めてまいります。

荷受ユニットでは、新型コロナウイルス影響により大きく販売が落ち込んでおります。特に外食・業務筋向けの活魚や近海鮮魚といった高級商材の販売が厳しく、利益面も大きく圧迫していることから、業務の見直しを行うとともに、コスト削減に取り組み収益の改善に努めてまいります。

畜産商事ユニットでは、新型コロナウイルス影響による外食・業務筋向け販売の不振に加え、世界的な食肉の供給不足の影響も想定されるなか、内食志向に伴う量販店等の需要増に対し、国産食肉の取り扱い強化を図るとともに、海外産食肉の供給源の確保に注力し、国内外での販路開拓を進めてまいります。

 

海外事業

アジア・オセアニアユニット(旧名称:海外ユニット)では、タイ、豪州及びニュージーランドの事業拠点における収益基盤の強化、及び資源へのアクセス強化を進めるとともに、成長戦略として新規拠点候補の選定を進めてまいります。新型コロナウイルス影響により、世界的な外食需要の減少が見込まれますが、加工品需要の下支えにより、安定した利益の確保を目指してまいります。

北米・欧州ユニット(旧名称:北米ユニット)では、同じく世界的な外食需要減少見込みのなか、安定したスケソウダラ資源を主体に関連商材の効率的な生産を行い、日本を始め、欧米、アジアなどでの最適なマーケティングと鮭鱒事業の集魚強化、大幅コスト削減によって収益の確保を目指してまいります。

加工事業

家庭用冷凍食品ユニットでは、新型コロナウイルス影響による需要構造の変化への対応を進めます。マーケティングや研究開発部門との連携を強化、商品開発力を向上させるとともに、適時のプロモーション展開によって、引き続きブランド認知の拡大を図ります。また、製販一体の事業管理体制を継続強化し、収益性をさらに高めてまいります。

家庭用加工食品ユニットでは、原料事情の変動に適切に対応するとともに、新型コロナウイルスの影響による消費環境の変化に応じた販売体制と生産体制の更なる効率化により、収益確保を目指してまいります。

業務用食品ユニットでは、新型コロナウイルス影響による外食、給食向けの販売減少が想定されるなか、介護食、コンビニエンスストア、量販店惣菜、生協など業態別のニーズに対応した商品開発や販売活動を強化するとともに、単品損益管理に基づいた商品政策の推進により収益性の改善を図ってまいります。

化成ユニットでは、当期に引き続き、コンドロイチンやDHA・EPAなどの拡販に努めるとともに、フリーズドライ製品においては収益性の高い商品を中心に拡販し、事業規模拡大を目指してまいります。

 

物流事業

新型コロナウイルス影響に伴う荷動きの動向を注視しつつ、大都市圏の基幹センターの最大活用により、引き続き保管需要の取り込みを図るとともに、全国レベルで輸配送・通関等を含めた一貫物流サービスをお客様に提供することにより、収益拡大を目指してまいります。

 

(5)目標とする経営指標

  当社グループは、2018年度から2021年度までの4ヵ年を対象とするグループ中期経営計画「Innovation toward 2021」において、2021年度に売上高1兆円、営業利益310億円、ROA(総資産経常利益率)5.7%、D/Eレシオ(負債資本倍率)1.5倍、自己資本比率30.0%の目標を掲げておりました。

  しかしながら、中期経営計画の2年目にあたる2019年度においては、水産部門を中心に厳しい進捗状況となり、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益がいずれも計画を大きく下回る結果となったこと、また新型コロナウイルス感染拡大による不透明感が高まっている現況を踏まえ、目標値に至るまでのプロセスの時間軸の見直しを行うことといたしました。

 

2【事業等のリスク】

  有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

  なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

リスク

当該リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の程度

当該リスクが顕在化する可能性の程度

・債権管理

・為替・金利変動

・新型コロナウイルス感染拡大

・原材料調達の変動

・自然災害・事故等

・カントリーリスク

・税務

・原油価格の高騰

・知的財産

・固定資産の減損

・投資有価証券の減損

・情報管理

・コンプライアンス

・資金調達

 

 

 

リスク項目

影響度

発生

可能性

関連する機会とリスク(○機会 ●リスク)

主要な取り組み

新型コロナウイルス感染拡大

○巣ごもり消費へのシフトによる家庭用商品の販売拡大

●従業員感染による操業停止

●海外漁業の不振

●外食や業務筋への販売不振

●景気後退による高単価商材の販売不振

・家庭用商品等の需要増に対する対応強化

・衛生管理の徹底、フレックスタイム制等による時差出勤、在宅勤務等による従業員感染防止

・不振事業の業務見直しによる最適化

・事業継続計画(BCP)の策定、一部実施

原材料調達の

変動

●原材料の需要動向、漁獲高の変動などによる仕入価格の高騰等

●たな卸資産の評価損

・取り扱い品目、調達先、調達時期の分散化

・仕入価格、販売価格の適正維持

・在庫水準の適正化

自然災害・事故等

●生産設備の破損、物流機能の麻痺等による操業停止、商品供給不能

●養殖事業における予防困難な魚病等の発生による養殖魚の斃死

●台風、赤潮等による養殖魚の斃死

・生産、保管拠点の分散化

・事業継続計画(BCP)の策定

・共済、保険制度への加入

・病気に強い魚、養殖方法の研究

情報管理

●個人情報の漏洩等

●重要な情報の紛失、誤用、改鼠等

●情報システムの停止等

・規程、マニュアル等の整備

・従業員に対する教育の継続

・システム管理体制の構築、運用

コンプライアンス

●食品衛生法、倉庫業法、独占禁止法等の法的規制違反による対応コストの発生

●お客様からの信頼低下

・規程、マニュアル等の整備

・従業員に対する教育の継続

・内部通報制度、内部監査

資金調達

●金融危機等による資金の枯渇

●各種リスク要因により計画未達による追加の資金調達等

・資金調達先及び期間の適度な分散

・財務体質の維持・強化

・各種リスク要因の適時の分析と対応

・最新の情報に基づく適時の計画の見直し

債権管理

●予期せぬ得意先の経営破綻の発生

●追加的な貸倒損失や貸倒引当金の計上

・情報収集、与信管理等、債権保全

為替・金利変動

●輸入製商品の仕入価格への影響

●借入金の調達金利への影響

●為替・金利の変動による海外子会社業績の円貨への換算への影響

・為替予約及び変動金利から固定金利へのスワップ等

・資金調達先及び期間の適度な分散

・財務体質の維持・強化

カントリーリスク

●海外事業において進出国の政治、経済、社会、法制度等の変化による経済活動の制約

●テロ、暴動及び戦争の発生による経済活動の制約、サプライ・チェーンや流通網の遮断等

・進出国の適度な分散

・進出国に関する情報収集

税務

●各国における租税制度の改正、税務行政の変更や税務申告における税務当局との見解の相違等による追加的な税務負担等

○●将来課税所得の見積り変更等による税金費用の減少又は増加

・各国における税法の遵守

・各国における税制や税務行政の変更への対応策の実行

・税金及び税金関連費用を踏まえた事業計画又は仕組みの計画、実行

原油価格の

高騰

●漁船の燃油コストの上昇

●発送配達費等の上昇

・漁船の省エネ化

・効率的な操業

・保管配送の効率化

・在庫水準の適正化

 

 

リスク項目

影響度

発生

可能性

関連する機会とリスク(○機会 ●リスク)

主要な取り組み

知的財産

○競合他社に対する優位性の確保

○●使用許諾料等

●損害賠償、使用差止等

・規程、マニュアル等の整備

・従業員に対する教育の継続

・職務発明報奨制度

・社内担当者や弁理士事務所等を通じた調査・確認

固定資産の減損

●物流事業の物流センター、加工事業の生産拠点等の立地条件の悪化、設備の老朽化・陳腐化、販売不振等による収益悪化による減損

●金利の急激な上昇

・投資審議会、経営会議等における投資計画、投資金額の適切性に関する審議

・投資後の定期的なモニタリング及びフォローアップ

投資有価証券の減損

●急激な株価変動や投資先の業績不振等による資産価値の下落、減損等

・個別銘柄による投資価値の定期的な検証

・継続保有の意味合い薄れた銘柄の売却等

 

重点課題

(マテリアリティ)

当社グループ視点での重要度

社会視点での重要度

・ダイバーシティの推進と働き方改革の実施

・人権の啓発推進(従業員以外)

・地球温暖化対策

・循環型社会の構築

・安全・安心な食の提供

・持続可能な調達の実践

・海洋資源の保全

・安全で働きやすい職場づくりの推進

・健康経営の推進

・人権の啓発推進(従業員)

・地域社会との共存・共栄

・「消費者志向経営」の推進

・成長機会の提供

・「生涯健康計画」の推進

 

 

マテリアリティ項目

グループ視点

社会

視点

関連する機会とリスク(○機会 ●リスク)

主要な取り組み

安全・安心な

食の提供

○お客様の満足度向上によるブランドへの信用獲得による中長期的な収益力の向上

○ステークホルダーへの適切な情報公開による信頼獲得

●製品の品質クレーム・トラブルによるお客様からの信頼低下による収益力の低下

・品質PDCA活動をグループ全体で展開

・すべてのサプライチェーンとの連携を強化

・工場点検・指導の強化

・品質衛生管理教育体制の充実化

・フードディフェンス管理教育の継続

持続可能な調達の実践

●サプライチェーンにおける社会・環境問題への対応遅延による原材料調達不全リスクの増大

●気候変動による原材料の調達不全リスクの増大

・「調達基本方針」「サプライヤーガイドライン」「腐敗防止宣言」のサプライヤーへの周知徹底

・サプライヤーへのモニタリングの実施

海洋資源の保全

●サプライチェーンにおける社会・環境問題への対応遅延による原材料調達不全リスクの増大

●気候変動による原材料の調達不全リスクの増大

●認証取得・維持にかかるコストの上昇

・持続可能な漁業・養殖認証(MSC・ASC)取得水産物の取り扱いの推進

・持続可能な養殖認証の取得の推進

・輸入水産物のトレーサビリティ確認の強化

・国内外ダイアローグへの参加

・完全養殖の展開

・増養殖技術のR&D体制の強化

 

 

マテリアリティ項目

グループ視点

社会

視点

関連する機会とリスク(○機会 ●リスク)

主要な取り組み

「消費者志向

経営」の推進

○お客様の満足度向上によるブランドへの信用獲得による中長期的な収益力の向上

○ステークホルダーへの適切な情報公開による信頼獲得

・「消費者志向経営」に関する啓発研修の実施

・「消費者志向経営」を推進するための体制構築

・「お客様の声」を生かす事業活動の強化

・お客様に満足いただける応対サービスの強化

・安全・安心への取り組み強化

・持続可能な環境活動との連携

・消費者教育「食育活動」との連携

成長機会の提供

○働きがいの向上による会社の成長

○イノベーションが起きやすい環境づくり

○人材獲得競争での優位性獲得

●労務コストの上昇

・次世代経営人材教育育成プログラムの始動

・グローバル人材育成の加速

・人材育成スキームのリニューアル

「生涯健康

計画」の推進

○お客様の満足度向上によるブランドへの信用獲得による中長期的な収益力の向上

○ステークホルダーへの適切な情報公開による信頼獲得

・プロモーション活動の推進

・魚食及び魚由来の機能成分の研究・開発

・機能性表示食品、減塩やカルシウム強化、カロリーコントロールなどメタボ対策や骨強化などの「カラダの健康」への対応

・食べることそれ自体も楽しんでいただけるなど、「ココロの健康」へも配慮する商品

ダイバーシティの推進と働き方改革の実施

○働きがいの向上による会社の成長

○イノベーションが起きやすい環境づくり

○人材獲得競争での優位性獲得

●労務コストの上昇

・経営陣からの情報・メッセージ発信

・社員間の横のつながりの強化

・認定マーク「くるみん」「えるぼし」の取得

・フォーラムの開催

・IT化の推進

・新しい人事制度の創出

・在宅勤務などの定着

人権の啓発推進

(従業員以外)

○ステークホルダーへの適切な情報公開による信頼獲得

●人権問題への対応遅延による企業価値毀損

・人権啓発推進活動

地球温暖化対策

●脱炭素への取り組み遅延、脱炭素対応による生産コストの増加

●持続可能な原材料調達リスク

●気候変動への対応遅延による企業価値毀損

・省エネルギー設備の増強

・エネルギー効率の改善

・ノンフロン冷凍機への転換

・電気使用量の削減

・重油・ガス使用量の削減

循環型社会の

構築

●廃棄物削減、リサイクルへの取り組み遅延による企業価値毀損

・製造トラブルの削減

・原材料・資材・商品の廃棄削減

・廃棄物の有価物化

 

 

マテリアリティ項目

グループ視点

社会

視点

関連する機会とリスク(○機会 ●リスク)

主要な取り組み

安全で働きやすい職場づくりの推進

○働きがいの向上による会社の成長

○イノベーションが起きやすい環境づくり

○人材獲得競争での優位性獲得

●労務コストの上昇

・管理職向けセミナーの開催

・時間外労働の削減

健康経営の推進

○労働生産性の向上

○中長期的な労務コストの削減

●短期的な労務コストの上昇

・健康診断事後措置の強化

・メンタルヘルス対策の強化

・健康増進・がん予防セミナーの開催など

人権の啓発推進

(従業員)

○働きがいの向上による会社の成長

○イノベーションが起きやすい環境づくり

○人材獲得競争での優位性獲得

●労務コストの上昇

・人権啓発推進活動

・社内人権啓発研修の開催

地域社会との

共存・共栄

○ステークホルダーへの適切な情報公開による信頼獲得

●地域社会とクレーム・トラブルによるお客様からの信頼低下による収益力の低下

・ライフステージに寄り添いながら、健やかな暮らしを支える「食」の提案

・持続可能な水産資源を使った料理教室の開催

・事業場所在地における地域社会の環境保全活動への参加

・持続可能な環境資源の普及

・地域文化継承への協力

・地域社会とのコミュニケーション

・モノづくりの価値を伝える機会の創出

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

  文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概況

① 経営成績の状況

  当期におけるわが国経済は、雇用情勢の改善傾向が続くなか、企業収益もおおむね堅調に推移しておりました。しかしながら、2019年12月に発生が報告された新型コロナウイルスの感染拡大により、経済活動が大きく抑制され、先行きは極めて不透明な状態となっております。

  世界的な感染拡大で海外経済も急速に収縮するなか、当社グループ関連業界におきましては、原材料価格の上昇や物流費等にかかるコストアップ要因もあり、依然として予断を許さない状況が続いています。

  このような状況のもと、当社グループでは中期経営計画「Innovation toward 2021」の基本方針である「企業価値の向上と持続的成長」の実現のため、「収益力の更なる向上」「成長への取り組み」「経営基盤の強化」を推進する一方、コーポレートブランディング活動にも継続的に取り組んでまいりました。

  その結果、売上高は905,204百万円(前期比1.9%減)、営業利益は17,079百万円(前期比21.5%減)、経常利益は19,901百万円(前期比21.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は12,537百万円(前期比24.9%減)となりました。

 

  各セグメントの経営成績は次のとおりであります。

 

漁業・養殖事業

  漁業・養殖事業は、国内外の水産資源の持続可能かつトレーサビリティの確保できる供給源として、効率的な操業により収益の確保に努めました。

  当期は、カツオの取扱増、マグロの出荷増により増収となりましたが、マグロの原価高・カツオの魚価安により利益率が低下した結果、漁業・養殖事業の売上高は39,171百万円(前期比10.4%増)、営業損失は277百万円(前期比1,803百万円減)となりました。

 

 

商事事業

  商事事業は、国内外にわたる調達・販売ネットワークを持つ水産商事ユニット・畜産商事ユニット、市場流通の基幹を担う荷受ユニットから構成され、国内外の市場動向を注視しながらお客様のニーズに対応した的確な買付販売と水産加工事業の強化により、収益の確保に努めました。

  水産商事ユニットは、量販店・外食向けの販売は好調で売上高は前年並みとなりましたが、マグロの相場下落や中国向け高級商材の販売不振により減益となりました。

  荷受ユニットは、鮮魚全般の取扱高が減り、減収となりました。また、相場安や高級品の消費低迷により利益率も低下し、減益となりました。

  畜産商事ユニットは、鶏肉・加工品の取扱高が減ったものの、牛肉の取扱高増、豚肉の市況の回復により増収増益となりました。

  以上の結果、商事事業の売上高は434,643百万円(前期比2.3%減)、営業利益は2,509百万円(前期比23.5%減)となりました。

 

海外事業

  海外事業は、中国・タイにおける水産物・加工食品の販売に加え、オセアニアでの基盤を強化している海外ユニット、すりみ等の生産を中心とした北米商材の日本・北米・欧州での販売を展開する北米ユニットから構成され、水産物と加工食品の世界的な需要拡大に対応し、グローバル市場における収益の確保に努めました。

  海外ユニットは、前年に比べ日本産青物魚の輸出事業等の売上が伸びず、またタイ事業でのバーツ高による売上減が影響したものの、ニュージーランドでの漁獲好調とタイのペットフード事業での設備増強による操業効率の改善により減収増益となりました。

  北米ユニットは、欧州販売会社においては積極的な販売により増収となりましたが、北米鮭鱒の漁獲競争激化による現地法人の大幅な収益悪化やチリ銀鮭の相場下落、国内でのかに相場下落と取扱数量減、マダラの減枠による取扱数量減等により全体として減収減益となりました。

  以上の結果、海外事業の売上高は166,404百万円(前期比5.4%減)、営業利益は4,172百万円(前期比42.4%減)となりました。

 

加工事業

  加工事業は、家庭用冷凍食品の製造・販売を行う家庭用冷凍食品ユニット、缶詰・フィッシュソーセージ・ちくわ・デザート等の製造・販売を行う家庭用加工食品ユニット、業務用商材の製造・販売を行う業務用食品ユニット、及び化成品・調味料・フリーズドライ製品の製造・販売を行う化成ユニットから構成され、お客様のニーズにお応えする商品の開発・製造・販売を通じて収益の確保に努めました。

  家庭用冷凍食品ユニットは、主力の麺・米飯の販売促進強化による売上増により、増収増益となりました。

  家庭用加工食品ユニットは、一昨年のさば缶ブームからの需要の落ち着きとゼリー販売における天候不順の影響により減収となりましたが、缶詰主力商品群の収益性を重視した販売に努めた結果、利益は前年並みとなりました。

  業務用食品ユニットは、介護食、コンビニエンスストア、生協向け等の取り組みが下支えとなり、生産工程見直し等による生産性向上もあり増収増益となりました。

  化成ユニットは、DHA・EPAやフリーズドライ製品の販売が好調に推移し、増収増益となりました。

  以上の結果、加工事業の売上高は234,328百万円(前期比0.5%減)、営業利益は6,866百万円(前期比8.8%増)となりました。

 

物流事業

  物流事業は、冷蔵保管事業において首都圏をはじめとする大都市圏の旺盛な保管需要を取り込んだことにより、増収となりました。また、燃料費調整単価の上昇等に伴う動力費の増加や労務コストの上昇があったものの、減価償却費等が減少したことにより、売上高16,524百万円(前期比1.1%増)、営業利益は2,073百万円(前期比10.4%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

総資産は528,063百万円となり、前期に比べ7,745百万円増加いたしました。これは、主として現預金及び有形固定資産の増加によるものであります。

負債は369,085百万円となり、前期に比べ853百万円減少いたしました。これは、主として借入金及び仕入債務等の減少によるものであります。

  非支配株主持分を含めた純資産は158,978百万円となり、前期に比べ8,598百万円増加いたしました。

 

  各セグメントの資産は次のとおりです。

 

  漁業・養殖事業の総資産は44,375百万円となり、前期に比べ5,569百万円増加いたしました。これは、主としてたな卸資産の増加によるものであります。

  商事事業の総資産は125,293百万円となり、前期に比べ2,940百万円減少いたしました。これは、主として受取手形及び売掛金の減少によるものであります。

  海外事業の総資産は128,541百万円となり、前期に比べ7,288百万円増加いたしました。これは、主として現金預金の増加によるものであります。

  加工事業の総資産は139,474百万円となり、前期に比べ4,206百万円減少いたしました。これは、主として受取手形及び売掛金の減少によるものであります。

  物流事業の総資産は37,494百万円となり、前期に比べ2,186百万円増加いたしました。これは、主として有形固定資産の増加によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動の結果得られた資金を、主として設備投資及び借入金の返済に使用した結果、当連結会計年度末には21,772百万円と前連結会計年度末に比べ10,197百万円増加いたしました。

営業活動によるキャッシュ・フロー

  営業活動の結果得られた資金は39,178百万円となり、前期に比べ22,991百万円増加いたしました。

投資活動によるキャッシュ・フロー

  投資活動の結果使用した資金は、主に設備投資によるもので、22,445百万円となり、前期に比べ10,590百万円増加いたしました。

財務活動によるキャッシュ・フロー

  財務活動の結果使用した資金は、主に借入金によるもので、7,132百万円となり、前期に比べ730百万円減少いたしました。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

(ⅰ) 生産・仕入実績

  当連結会計年度における生産・仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

  セグメントの名称

  当連結会計年度

(自  2019年4月1日

    至  2020年3月31日)

  前年同期比(%)

漁業・養殖事業(百万円)

44,593

110.5

商事事業(百万円)

389,073

96.3

海外事業(百万円)

164,284

96.0

加工事業(百万円)

162,417

98.9

物流事業(百万円)

15,259

106.6

報告セグメント計(百万円)

775,629

97.7

その他(百万円)

9,979

96.4

合計(百万円)

785,609

97.7

  (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(ⅱ) 受注実績

  当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

 

(ⅲ) 販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

  セグメントの名称

  当連結会計年度

(自  2019年4月1日

    至  2020年3月31日)

  前年同期比(%)

漁業・養殖事業(百万円)

39,171

110.4

商事事業(百万円)

434,643

97.7

海外事業(百万円)

166,404

94.6

加工事業(百万円)

234,328

99.5

物流事業(百万円)

16,524

101.1

報告セグメント計(百万円)

891,072

98.1

その他(百万円)

14,131

99.7

合計(百万円)

905,204

98.1

  (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、販売実績額が総販売実績額の100分の10

以上となる販売先がないため省略しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

  売上高は前連結会計年度を17,264百万円下回る905,204百万円となりました。主な増減の内訳は、荷受ユニットにおける鮮魚全般の取扱減少による商事事業の減収10,451百万円、北米ユニットにおける北米鮭鱒の漁獲競争激化やチリ銀鮭の相場下落、国内でのかに相場下落と取扱数量減、マダラの減枠による取扱数量減等による海外事業の減収9,480百万円及びカツオの取扱増、マグロの出荷増等による漁業・養殖事業の増収3,702百万円となります。

 

連結会計年度のセグメント別売上高

セグメントの名称

  前連結会計年度

(自  2018年4月1日

    至  2019年3月31日)

  当連結会計年度

(自  2019年4月1日

    至  2020年3月31日)

前期比

増減率(%)

漁業・養殖(百万円)

35,469

39,171

3,702

10.4

商事(百万円)

445,094

434,643

△10,451

△2.3

海外(百万円)

175,884

166,404

△9,480

△5.4

加工(百万円)

235,490

234,328

△1,162

△0.5

物流(百万円)

16,348

16,524

176

1.1

その他(百万円)

14,179

14,131

△48

△0.3

合計(百万円)

922,468

905,204

△17,264

△1.9

  なお、新型コロナウイルス感染拡大により、外食や業務筋向けの販売減少等、荷受ユニットを中心に商事事業の売上高に影響が出ております。海外事業に属する在外子会社を中心に決算日が12月31日の会社については、新型コロナウイルス感染拡大による影響は含まれておりません。

 

 なお、第4四半期会計期間のセグメント別売上高は、次のとおりであります。

 

第4四半期会計期間のセグメント別売上高

セグメントの名称

2019年3月期

第4四半期会計期間

(自  2019年1月1日

    至  2019年3月31日)

2020年3月期

第4四半期会計期間

(自  2020年1月1日

    至  2020年3月31日)

前年同期比

増減率(%)

漁業・養殖(百万円)

8,575

9,267

692

8.1

商事(百万円)

95,116

91,664

△3,452

△3.6

海外(百万円)

41,976

43,934

1,958

4.7

加工(百万円)

54,806

54,952

146

0.3

物流(百万円)

3,852

3,912

60

1.6

その他(百万円)

2,981

3,082

101

3.4

合計(百万円)

207,309

206,814

△495

△0.2

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

  売上原価は、売上高の減少に伴い、前連結会計年度から11,483百万円減少し、787,135百万円(前連結会計年度比98.6%)となりました。売上原価の売上高に対する比率は、0.4ポイント悪化し、87.0%となりました。販売費及び一般管理費は、売上高の減少に伴い発送配達費等が減少し、前連結会計年度から1,102百万円減少し、100,989百万円(前連結会計年度比98.9%)となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は、0.1ポイント悪化し、11.2%となりました。研究開発費は、1,123百万円(前連結会計年度比104.7%)となりました。

 

(営業利益)

  営業利益は前連結会計年度を4,679百万円下回る17,079百万円(前連結会計年度比78.5%)となりました。主な内訳は、北米ユニットにおける北米鮭鱒の漁獲競争激化による現地法人の大幅な収益悪化やチリ銀鮭の相場下落、国内でのかに相場下落等による海外事業の減益3,066百万円、マグロの原価高・カツオの魚価安による利益率の低下等による漁業・養殖事業の減益1,803百万円及び業務用食品ユニット(介護食、コンビニエンスストア・生協向け等)、化成ユニット(DHA・EPA、フリーズドライ製品等)、家庭用冷凍食品ユニット(麺・米飯等)による加工事業の増益558百万円となります。

  また、営業利益の売上高に対する比率は、0.5%ポイント悪化し、1.9%となりました。

 

連結会計年度のセグメント別営業利益

セグメントの名称

  前連結会計年度

(自  2018年4月1日

    至  2019年3月31日)

  当連結会計年度

(自  2019年4月1日

    至  2020年3月31日)

前期比

増減率(%)

漁業・養殖(百万円)

1,526

△277

△1,803

商事(百万円)

3,280

2,509

△771

△23.5

海外(百万円)

7,238

4,172

△3,066

△42.4

加工(百万円)

6,308

6,866

558

8.8

物流(百万円)

1,878

2,073

195

10.4

その他(百万円)

1,081

952

△129

△11.9

調整額(百万円)

445

783

338

76.0

合計(百万円)

21,758

17,079

△4,679

△21.5

  なお、新型コロナウイルス感染拡大により、巣ごもり消費へのシフトによる家庭用商品の販売拡大等によって加工事業においては一部増益となっておりますが、外食や業務筋向けの販売減少等により商事事業中心に減益となっております。海外事業に属する在外子会社を中心に決算日が12月31日の会社については、新型コロナウイルス感染拡大による影響は含まれておりません。

 

 なお、第4四半期会計期間のセグメント別営業利益は、次のとおりであります。

 

第4四半期会計期間のセグメント別営業利益

セグメントの名称

2019年3月期

第4四半期会計期間

(自  2019年1月1日

    至  2019年3月31日)

2020年3月期

第4四半期会計期間

(自  2020年1月1日

    至  2020年3月31日)

前年同期比

増減率(%)

漁業・養殖(百万円)

346

△328

△673

商事(百万円)

△412

△724

△312

海外(百万円)

1,124

610

△514

△45.7

加工(百万円)

425

714

289

68.0

物流(百万円)

350

293

△57

△16.3

その他(百万円)

22

96

74

336.4

調整額(百万円)

△143

381

524

合計(百万円)

1,712

1,043

△669

△39.1

 

(経常利益)

  経常利益は前連結会計年度を5,332百万円下回る19,901百万円(前連結会計年度比78.9%)となりました。主な減益の内訳は、営業利益の減少4,679百万円、持分法による投資利益の減少468百万円となります。

  なお、当社グループでは、グループ中期経営計画において、ROA(総資産経常利益率)5.7%を目標としておりますが、前連結会計年度に比べ1.1ポイント悪化し3.8%となりました。内訳は、売上高経常利益率が前連結会計年度に比べ0.5ポイント悪化し2.2%、総資産回転率が前連結会計年度に比べ5.2ポイント悪化し172.7%となります。

  売上高経常利益率の改善のために成長への投資を最優先と考えておりますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響による景気後退が長期化することも想定されることから、投資にあたっては慎重に判断するとともに、事業ごとに収益性を勘案しながら適正な事業規模となるよう在庫、設備等を適宜見直してまいります。

 

ROA(総資産経常利益率)

 

  前連結会計年度

(自  2018年4月1日

    至  2019年3月31日)

  当連結会計年度

(自  2019年4月1日

    至  2020年3月31日)

前期比

売上高

922,468

百万円

905,204

百万円

△17,264

百万円

経常利益

25,233

百万円

19,901

百万円

△5,332

百万円

総資産

520,318

百万円

528,063

百万円

7,745

百万円

ROA

4.9

3.8

△1.1

pt

売上高経常利益率

2.7

2.2

△0.5

pt

総資産回転率

177.9

172.7

△5.2

pt

 

(注)1.ROA:経常利益/期首・期末平均総資産

2.売上高経常利益率:経常利益/売上高

3.総資産回転率:売上高/期首・期末平均総資産

 

 

 なお、総資産が7,745百万円増加しておりますが、セグメント別の内訳は、次のとおりであります。

連結会計年度のセグメント別資産

セグメントの名称

前連結会計年度

 (2019年3月31日)

当連結会計年度

(2020年3月31日)

前期比

増減率(%)

漁業・養殖(百万円)

38,806

44,375

5,569

14.4

商事(百万円)

128,233

125,293

△2,940

△2.3

海外(百万円)

121,253

128,541

7,288

6.0

加工(百万円)

143,680

139,474

△4,206

△2.9

物流(百万円)

35,308

37,494

2,186

6.2

その他(百万円)

22,720

21,392

△1,328

△5.8

調整額(百万円)

30,315

31,492

1,177

3.9

合計(百万円)

520,318

528,063

7,745

1.5

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

  親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度を4,158百万円下回る12,537百万円(前連結会計年度比75.1%)となり、1株当たり当期純利益は238円24銭(前連結会計年度は317円24銭)となりました。

  特別損益は、特別利益が4,915百万円、特別損失が3,749百万円となり、前連結会計年度に比べ147百万円減益の1,166百万円となりました。

  法人税等合計は前連結会計年度に比べ1,328百万円減少しておりますが、法人税等合計の税金等調整前当期純利益に対する比率が1.2ポイント上昇の29.9%とほぼ前連結会計年度並みであり、税金等調整前当期純利益の減少によるものであります。

  非支配株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ6百万円の増加となりました。当期純利益が減少したものの非支配株主に帰属する当期純利益が増加したため、当期純利益の減少率に比べ、親会社株主に帰属する当期純利益の減少率が大きくなっております。

 

② 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容

(総資産)

  総資産は前連結会計年度末に比べ7,745百万円(1.5%)増加し、528,063百万円となりました。総資産のうち、流動資産は前連結会計年度末に比べ2,631百万円(0.9%)増加し、301,990百万円となり、固定資産は前連結会計年度末に比べ5,115百万円(2.3%)増加し、226,073百万円となりました。

  主な増減の内訳は、営業活動によるキャッシュ・フローの収入等による現金及び預金の増加9,650百万円、設備投資等に伴う有形固定資産の増加7,855百万円、受取手形及び売掛金の減少7,963百万円となります。

  当社は、2020年3月30日開催の取締役会決議により、当社の連結子会社である大都魚類株式会社(以下「対象者」という。)の普通株式を取得し、対象者を当社の完全子会社とすることにより、ⅰ)グループ水産物サプライチェーンの再構築を通じた相互の企業価値最大化、ⅱ)両社の経営資源・ノウハウの相互活用の最大化、ⅲ)意思決定の迅速化、ⅳ)人材配置の最適化、の施策を一層進展させていくことを目的として、金融商品取引法に基づく公開買付けを行うことを決定しております。現金及び預金の増加額には、当該公開買付け等に要する資金予定額2,630百万円が含まれております。

  また、新型コロナウイルス感染拡大の影響により資金需要が今後増大する可能性も考え、手元資金は例年に比べ余裕を持たせております。

  なお、前連結会計年度の末日は銀行営業日でなかったため、受取手形及び売掛金の回収期日が一部翌銀行営業日となり、前連結会計年度末の受取手形及び売掛金の残高が例年に比べ増加しました。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2017年3月期

2018年3月期※

2019年3月期※

2020年3月期

売上高(a)

873,295

918,820

922,468

905,204

受取手形及び売掛金(b)

103,686

115,703

114,040

106,077

売上債権回転日数(日)

43.3

46.0

45.1

42.8

(b)÷(a)×365

※2018年3月期及び2019年3月期の末日は銀行営業日ではありません。

 

(負債)

  負債は前連結会計年度末に比べ853百万円(0.2%)減少し、369,085百万円となりました。負債のうち、流動負債は前連結会計年度末に比べ4,264百万円(2.1%)減少し、199,528百万円となり、固定負債は前連結会計年度末に比べ3,411百万円(2.1%)増加し、169,556百万円となりました。

  主な増減の内訳は、短期借入金の減少3,676百万円、支払手形及び買掛金の減少715百万円並びに輸入仕入に係る関税等の未払金の減少2,262百万円となります。

  新型コロナウイルス感染拡大により、当連結会計年度末直前の仕入が減少しましたが、既存の仕入債務の支払いは通常通り行われたことから、前連結会計年度に比べ、支払手形及び買掛金が減少しております。

  なお、有利子負債残高は、前連結会計年度末に対して1,693百万円減少し、261,715百万円となりました。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2017年3月期

2018年3月期※

2019年3月期※

2020年3月期

売上原価(a)

746,954

793,705

798,618

787,135

支払手形及び買掛金(b)

33,078

36,758

33,512

32,797

仕入債務回転日数(日)

16.2

16.9

15.3

15.2

(b)÷(a)×365

未払金(d)

27,877

28,290

28,158

25,896

※2018年3月期及び2019年3月期の末日は銀行営業日ではありません。

 

(純資産)

  非支配株主持分を含めた純資産は前連結会計年度末に比べ8,598百万円(5.7%)増加し、158,978百万円となりました。

  主な増減の内訳は、当期純利益等による利益剰余金の増加10,955百万円及び新型コロナウイルス感染拡大等の影響による株価下落によるその他有価証券評価差額金の減少2,811百万円となります。

  なお、当社グループでは、グループ中期経営計画において、D/Eレシオ(負債資本倍率)1.5倍及び自己資本比率30.0%を目標としておりますが、D/Eレシオについては、前連結会計年度末の2.1倍から2.0倍に、自己資本比率は前連結会計年度末の24.1%から25.1%になりました。また、1株当たり純資産は前連結会計年度末の2,381円96銭から2,520円27銭になりました。

  当連結会計年度においては小幅な改善にとどまりましたが、成長への投資を最優先として収益性を高めながら、財務基盤の強化を図ってまいります。

 

 

(単位:百万円)

 

  前連結会計年度

(自  2018年4月1日

    至  2019年3月31日)

  当連結会計年度

(自  2019年4月1日

    至  2020年3月31日)

前期比

有利子負債(a)

263,408

261,715

△1,693

自己資本(b)

125,353

132,628

7,275

総資産(c)

520,318

528,063

7,745

D/Eレシオ(倍)(a)÷(b)

2.1

2.0

△0.1

自己資本比率(%)(b)÷(c)

24.1

25.1

1.0

 

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

連結キャッシュ・フローの状況

 

 

(単位:百万円)

 

  前連結会計年度

(自  2018年4月1日

    至  2019年3月31日)

  当連結会計年度

(自  2019年4月1日

    至  2020年3月31日)

前期比

営業活動によるキャッシュ・フロー

16,187

39,178

22,991

投資活動によるキャッシュ・フロー

△11,854

△22,445

△10,590

財務活動によるキャッシュ・フロー

△7,863

△7,132

730

現金及び現金同等物に係る換算差額

△80

319

400

現金及び現金同等物の増減額

△3,611

9,919

13,531

現金及び現金同等物の期末残高

11,575

21,772

10,197

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動によるキャッシュ・フローは、39,178百万円の収入(前連結会計年度は16,187百万円の収入)となりました。税金等調整前当期純利益が21,067百万円、減価償却費が15,190百万円、売上債権の減少額が8,145百万円、法人税等の支払額6,375百万円があったこと等によるものです。

  なお、前連結会計年度の末日は銀行営業日でなかったため、売上債権の回収期日が一部翌銀行営業日となり、前連結会計年度末における売上債権の残高が例年に比べ増加していたことから、当連結会計年度の売上債権の減少による収入が7,104百万円増加しております。

  また、新型コロナウイルス感染拡大により、当連結会計年度末直前の売上、仕入が減少しましたが、既存の売上債権の回収、仕入債務の支払いは通常通り行われたことから、前連結会計年度に比べ、運転資本が減少しております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動によるキャッシュ・フローは、22,445百万円の支出(前連結会計年度は11,854百万円の支出)となりました。加工事業における生産拠点、海外事業における漁船、生産拠点、物流事業における物流センター、漁業・養殖事業における漁船等を中心に、有形固定資産の取得による支出24,132百万円と有形固定資産の売却による収入2,297百万円等によるものです。

  なお、有形固定資産の取得による支出が前連結会計年度に比べ、6,706百万円増加しております。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動によるキャッシュ・フローは、7,132百万円の支出(前連結会計年度は7,863百万円の支出)となりました。配当金の支払額2,098百万円、利息の支払額1,747百万円、借入金の返済による支出1,576百万円等によるものです。

  なお、借入れによる収入及び借入金の返済による支出の合計は、1,576百万円の支出となり、前連結会計年度の1,997百万円の支出に比べ、支出額が420百万円減少しております。

 

(資金の流動性)

  当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ10,197百万円増加し、21,772百万円となりました。

  手元流動性確保のため、主要な金融機関との関係維持・強化を図るほか、当座貸越枠等の調達手段を備えております。

  有利子負債残高は261,715百万円でありますが、短期借入金は122,510百万円であり、手元流動性は十分に確保できていると考えております。

  また、当社グループは各社が月次に資金繰り計画を作成するなどの方法により流動性リスクを管理しております。

 

(財務政策)

  当社グループは、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」において、①収益力の更なる向上、②成長への取り組み、③経営基盤の強化を掲げております。

  グループ中期経営計画に基づき、成長への投資を最優先としながらも、財務基盤の強化を図ります。運転資本の効率的な運用にも取り組み、より強固な財務体質を目指します。

  また、当社グループは国内連結子会社を含めたキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、運転資金及び設備投資資金の調達は、主に当社の借入及びグループ各社の事業活動から生じるキャッシュ・フローを資金集中することによる自己資金によっております。

 

(資金調達の方法及び状況)

  短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 

(資金需要の動向)

  当社グループでは、設備投資、運転資金、借入金の返済及び利息の支払い並びに配当及び法人税の支払い等に資金を充当しております。

  また、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」に掲げる成長への投資として、水産資源アクセスを最大限に生かしたバリューチェーンの再構築、加工事業における生産拠点の再構築をはじめとする利益率の改善と商品開発力の強化及び国内外における水産事業バリューチェーンへの投資、冷凍食品事業への積極投資、中長期的な成長領域への投資として、養殖事業、介護食事業、化成事業への投資のほか、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」と併せて策定しました「サステナビリティ中長期経営計画」及び「コーポレートブランディング活動」について着実に推進するための活動を展開するために資金を充当してまいります。

 

  設備投資を目的とした資金需要のうち主なものは、食品生産拠点、物流センター、漁船等の購入・建設費用等であり、運転資金需要のうち主なものは、商品及び原材料の仕入、製造費用、生産拠点及び物流センターの運営費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

  なお、2020年3月30日付の当社取締役会決議により、当社子会社である大都魚類株式会社を完全子会社とすることを目的として、大都魚類株式会社株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」という。)を実施することを決定しております。本公開買付け等に要する資金等は2,630百万円であり、本公開買付け等に要する資金等は十分に確保しております。

  また、新型コロナウイルスの影響拡大による資金需要が今後増大する可能性も考え、資金需要の増大にも備えてまいります。

 

各セグメントの資金需要の動向は次のとおりであります。

 

漁業・養殖事業

  漁船、漁業許可権利金、養殖設備等の購入・建設費用等及び養殖魚や養殖のために必要なエサ代、製造費用、生産拠点の運営費等の運転資金が必要となります。

 

商事事業

  安定して商品を提供するための適正な在庫水準維持に、商品の仕入等の運転資金が必要となります。

 

海外事業

  漁船、漁業許可権利金、食品生産拠点等の購入・建設費用並びに商品及び原材料の仕入、製造費用、生産拠点の運営費等の運転資金が必要となります。

 

加工事業

  食品生産拠点の購入・建設費用並びに商品及び原材料の仕入、製造費用、生産拠点の運営費等の運転資金が必要となります。

 

物流事業

  物流センターの購入・建設費用及び物流センターの運営費等の運転資金が必要となります。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

  当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社の経営者は、重要な判断と見積りや計画の策定に対し、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、これらは不確実性を伴うため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。

 

(ⅰ)新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する会計上の見積り

  新型コロナウイルス感染拡大の影響としては、国内外で、巣ごもり消費へのシフトによる家庭用商品の販売拡大が見込まれる一方、海外漁業の不振及び外食や業務筋への販売、景気後退による高単価商材の販売不振を想定しています。しかし、その影響の規模、収束時期等は不透明であることから、通期業績を見通すことは困難な状況にあると判断しております。

  当社グループでは、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りにおいて、新型コロナウイルス感染拡大の影響により売上の減少が半年程度の期間にわたると見込んでおります。また、半年経過後は想定が困難ながら徐々に回復すると仮定しております。そのため、新型コロナウイルス感染拡大の影響が仮定と異なった場合、翌連結会計年度以降の財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(ⅱ)固定資産の減損

  当社グループの資産グルーピングは、事業用資産については継続的に収支の把握を行っている管理会計上の区分に基づき、また賃貸不動産及び遊休資産については個別物件単位で行っております。

  固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。

  回収可能価額は、正味売却価額及び使用価値により測定しており、正味売却価額については、不動産鑑定士による鑑定評価額又は路線価方式による相続税評価額を基に算出した価額を使用し、また、使用価値については、将来キャッシュ・フローや加重平均コストなどの多くの見積り・前提を使用しております。

 減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、中期経営計画の前提となった数値を基に、経営環境などの外部要因、当社グループ内で用いている予算などの内部情報、過去実績などからの計画進捗状況、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し、適宜修正し見積っております。割引率については、貨幣の時間価値と将来キャッシュ・フローがその見積値から乖離するリスクの両方を反映したものであり、自己資本コストと借入金利を加重平均した資本コストによっております。

 当連結会計年度においては、減損損失として689百万円を計上しております。

  また、当連結会計年度においては、連結貸借対照表に計上されている有形固定資産148,206百万円のうち、7,406百万円(連結総資産の1%)を占める北米ユニットに属するPeter Pan Seafoods, Inc.が保有する資産グループについて減損の兆候が認められたことから、減損損失を認識するかどうかの判定を行っております。減損損失の認識の判定において、同社の予算及び中期経営計画等に基づく割引前将来キャッシュ・フローの合計が当該資産グループの帳簿価額を上回っていることから、当該資産グループの減損損失の認識は不要と判断しております。

 しかしながら、当該見積り・前提について、将来キャッシュ・フローが想定より減少した場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。

 

 

(ⅲ)たな卸資産の評価

  当社グループは、たな卸資産の貸借対照表価額は主として総平均法による原価法(収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)により算定しており、期末における正味売却価額が取得原価を下回っている場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。

 当該正味売却価額の算出方法については、見積売価から見積追加製造原価等を控除した金額に、期末在庫数量を乗じて算出しております。

 見積売価については、製品及び商品は期末日に最も近い通常取引における実績売価などにより、仕掛品は当該仕掛品等の主たる製品群の利益率実績等から見込んでおります。

  当連結会計年度において、通常の販売目的で保有するたな卸資産の収益性の低下による簿価切下額は、1,226百万円であります。

  また、当社単体においては水産物の取り扱いが多く、当事業年度の貸借対照表上、「商品及び製品」71,081百万円及び「仕掛品」15,538百万円が計上されておりますが、これらのうち、『漁業・養殖』・『商事』・『海外』セグメントの商品及び製品(45,520百万円)並びに『漁業・養殖』セグメントの仕掛品(13,468百万円)が含まれており、その合計額58,989百万円は当社単体の総資産の17%を占めております。

 正味売却価額の見積りには不確実性を伴うため、正味売却価額が想定よりも下回った場合には損失が発生する可能性があります。

 

(ⅳ)繰延税金資産の回収可能性

  当社グループは、将来の課税所得に関する収益見通しを含めた様々な予測・仮定に基づいて繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。

 収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、中期経営計画の前提となった数値を基に、経営環境などの外部要因、当社グループ内で用いている予算などの内部情報、過去実績などからの計画進捗状況等を、グループ各社又は連結納税制度を適用している会社については当該グループの損益通算される単位を考慮し、適宜修正し見積っております。

 当連結会計年度においては、繰延税金資産小計24,043百万円に対し、税務上の繰越欠損金に係る評価性引当額は、△914百万円、将来減算一時差異等の合計に係る評価性引当額は、△6,028百万円となっております。

 将来の課税所得に関する予測・仮定に基づいて、当社又は子会社が繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、当社グループの繰延税金資産は減額され、当社グループの繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 なお、税効果会計関係に関する事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (税効果会計関係)に記載のとおりであります。

 

(ⅴ)貸倒引当金

  当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。

  個別の回収可能性の検討にあたっては、取引先の財政状態、担保物の見積回収可能価額などの見積り・前提を使用しております。

 当連結会計年度においては、流動資産で△404百万円、固定資産で△3,443百万円の貸倒引当金を計上しております。

 取引先の財政状態、担保物の見積回収可能価額には不確実性を伴い、これらに対する経営者による判断が貸倒引当金の貸借対照表価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(ⅵ)投資有価証券の減損

  当社グループは、その他有価証券のうち、時価のあるものについては、期末日における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合に原則として減損処理を行い、30~50%程度下落した場合に、回復可能性を判断して減損処理を行うこととしております。時価のないものについては、当該有価証券の発行会社の1株当たり純資産額が、取得価額を50%程度以上下回った場合には回復可能性がないものとして判断し、30%~50%程度下落した場合には当該有価証券の発行会社の財政状態及び将来の展望などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。

  個別の回収可能性の検討にあたっては、当該有価証券の発行会社の財政状態、将来の展望などの見積り・前提を使用しております。

 当連結会計年度においては、投資有価証券として35,407百万円計上しております。

 有価証券の発行会社の財政状態、将来の展望などには不確実性を伴い、これらに対する経営者による判断が連結貸借対照表価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(ⅶ)退職給付会計

  当社グループは、確定給付型の制度として、確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を採用しております。また、一部連結子会社では、確定拠出制度を採用しております。

 当社においては、退職給付信託を設定しております。

 退職給付型の制度において、退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、退職率及び死亡率など年金数理計算上の見積り・前提を用いております。

 割引率については、デュレーション法(加重平均期間アプローチ)により算出した期間に対応する国債のイールド・カーブから抜粋した利回りを加重平均割引率とする方法を採用しております。

 当連結会計年度においては、退職給付に係る負債として20,951百万円を計上しております。

 これらの見積り・前提に用いる割引率、退職率及び死亡率などについては、現時点で妥当と判断したデータその他の要因に基づき設定しておりますが、実際の結果がこれらの見積り・前提と異なる場合には、将来の退職給付費用及び退職給付債務に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 なお、退職給付関係に関する事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 特記すべき事項はありません。

 

5【研究開発活動】

  当社グループでは、お客様の健康に役立つ商品をご提案するための研究開発、技術蓄積を旨として、「生涯健康」をスローガンに研究活動を進めております。

  特に、水産・食品分野を中心として、①食品の美味しさ・栄養成分の保持・増強、②微生物制御、③機能性素材開発、④環境・自然と調和した水産資源調達技術の4つの領域に注力いたしました。

  当連結会計年度における研究開発費の総額は1,123百万円であり、特定のセグメントに区分できない研究開発費の各セグメントへの配賦額を含めたセグメント別の内訳は、漁業・養殖事業83百万円、商事事業431百万円、海外事業226百万円、加工事業638百万円、物流事業17百万円、全社費用配賦差額△273百万円であります。

 

  主なセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果は次のとおりであります。

 

漁業・養殖事業

  世界的な人口増加と新興国の経済成長により、良質かつヘルシーなたんぱく源である魚の需要が世界規模で急増しているなか、水産、養殖分野での取り組みの重要性が高まっております。特にSDGs目標14「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」に貢献することを目指して、養殖魚の餌となる天然魚や魚粉原料をできる限り使用しないで、大豆などの植物性タンパク質を有効利用できるよう、原料を発酵処理したり、養殖魚の腸内細菌を活用するといった研究開発を行っております。また、ブリやカンパチは、血合肉が変色しやすく改善が求められているため、これまでに血合肉の変色を抑制できる養殖用飼料を開発・実用化しており、さらに高いレベルの品位を目指して改良を進めております。さらに沿岸域での海面養殖だけではなく、台風や赤潮などの自然環境に影響されにくく、残餌や糞により海洋環境を汚すことのない閉鎖循環型陸上養殖につきましても、研究助成を受けて産官学と連携を取りながら研究開発を進めており、山形県遊佐町で試験中のサクラマスの陸上養殖において、ASC認証を2020年3月に取得しました。ASC認証サケ基準において陸上養殖での取得は、日本初の事例となります。

  2015年4月の制度化で誕生した「機能性表示食品制度」は、科学的根拠の提示と適切な品質管理のもと、事業者責任において食品に機能性を表示することを可能とした制度です。この制度は、加工食品のみならず、農水産物などの生鮮食品も対象としておりますが、生鮮食品の各種栄養成分や機能性関与成分の含量は加工食品と比べて安定しにくいため、規格管理が難しいことが障壁となっておりました。当社ではこのハードルを越えるべく、代表的な養殖魚として知られる「カンパチ」の機能性関与成分であるドコサヘキサエン酸(DHA)・エイコサペンタエン酸(EPA)量について、年間を通じた調査を行い、規格管理を実施することで2018年1月に生鮮食品区分の水産品として初の機能性表示食品の届出が受理され、2018年8月より販売を開始しております。さらに魚種拡大の可能性についても検討を進めており、機能性をもつ生鮮食品の販売拡大を目指しております。

 

※ ASC認証:ASC(Aquaculture Stewardship Council、水産養殖管理協議会)による、養殖業に対する認証制度。環境と人にやさしい責任ある養殖業で生産された水産物に認められる証。

 

商事事業

  エビの加工現場で用いる独自配合の浸漬剤を開発・実用化いたしました。素材が持つ美味しさを保ち、品質を向上させる技術として、特に食感の改良が認められております。

  魚介類の国内での消費量が減少し続ける中、魚介類の価値を高めるための一つの取り組みとして、魚由来の成分の健康に及ぼす影響、さらに、日常の食生活の中で魚を中心とする食事の健康への効果を実証するための各種検討を進めております。

 

海外事業

  水産加工現場から排出される未利用資源の有効利用に関する技術開発を行い、環境負荷低減の取り組みを進めております。

  主に海外で漁獲される魚介類の鮮度保持技術の開発を行っており、原料それ自体の鮮度での差別化を指向した取り組みも併せて進めております。

 

 

 

加工事業

  食品の見た目、香り、味や食感などの特徴を官能評価で数値化し、プロファイリングを行い、栄養成分や物性などの美味しさに関わる科学的な要素を分析し比較することで、理論的に食品の特徴をコントロールする取り組みを行っております。

  食塩を控えるなど健康志向の強い消費者に対応できるよう、減塩しても美味しさが変わらない技術や噛みやすく飲み込みやすい食感(物性)が必要な介護食を安定して製造するための技術開発に取り組み、当社商品への応用展開を進めております。

  また、当社が長年研究・販売に取り組んでいる魚油由来の健康成分DHAには、中性脂肪の低減や認知機能をサポートする機能があり、すでに特定保健用食品あるいは機能性表示食品として販売しておりますが、さらなる有用な機能の追究や時間栄養学の視点での研究なども行い、健康長寿やクオリティ・オブ・ライフ(QOL)をサポートする素材の研究開発を進めております。

  前述の機能性表示食品は、健康の維持や増進など、科学的な根拠に基づいた機能が事業者の責任でわかりやすく表示されているため消費者が正しく選ぶことができ、さらに、安全性も確保されているものです。当社では、長年続けてきた魚油由来の健康成分であるDHAとEPAに関する研究成果をもとに、機能性表示食品の開発にいち早く取り組みました。その結果、業界初やカテゴリー初となる機能性表示食品を次々に開発し、これまでに、DHA・EPAを関与成分とした中性脂肪を低下させる機能がある食品、DHAを関与成分とした情報の記憶をサポートする機能がある食品として、多数の品目について消費者庁で届出を受理されております。

  DHA以外にも、当社が原料調達などでの優位性を有する他の素材についても検討を進めており、サケ肉に含まれるイミダゾールジペプチドの疲労感軽減効果に基づいた機能性表示食品「サーモンソーセージ」が2019年2月に受理されました。また、サケ白子に含まれるプロタミンの抗菌性を活用した口腔ケア等への応用研究、同様にサケ白子に含まれるDNAの肝機能改善効果や血糖値上昇抑制効果等のエビデンス取得など、水産物由来の機能性成分に関する研究を推進しております。

  自然解凍冷凍食品、フローズンチルド商品など、多様なカテゴリーからなる当社商品に関して、商品の安全性担保のための基盤となる微生物制御技術の研究を進めております。独立行政法人製品評価技術基盤機構との共同研究では、近年注目を浴びているマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS)を用いた、食中毒原因菌であるセレウス菌(Bacillus cereus)の迅速かつ精密な識別・同定(菌種特定)法を2018年に確立いたしました。さらに、当該分析法を用いた同定精度向上とともに、食中毒菌等の迅速検出技術、増殖予測技術についても研究を進めております。

  さらに水産・食品分野のリーディングカンパニーとして、関連学会での発表はもとより、関連セミナーにおける講師、地域における理科授業の実施など、成果や技術力の情報発信に加え、社会に対する貢献活動に継続して取り組んでまいりました。