文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「私たちは誠実を旨とし、本物・安心・健康な『食』の提供を通じて、人々の豊かなくらしとしあわせに貢献します」をグループ理念と定め、グループ理念の実践により、社会への責任を果たしてまいります。
また、当社グループは、グループ理念を通じて以下のグループビジョンの実現を目指します。
・地球環境に配慮し、世界の『食』に貢献する21世紀のエクセレントカンパニーを目指します。
・お客様の立場に立ち、お客様にご満足いただける価値創造企業を目指します。
・持続可能な『食』の資源調達力と技術開発力を高め、グローバルに成長を続ける企業を目指します。
(2)経営戦略等
安全で高品質な商品を、お客様のもとにお届けすることが当社グループの使命であり、食品安全を含めた品質保証体制、危機管理体制及びグループガバナンス体制の構築に、継続して取り組んでまいります。
また、2022年度から2024年度までの3ヵ年を対象とする、グループ新中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」を策定いたしました。計画の策定にあたりましては、企業価値向上と持続的成長の実現に向け、長期経営ビジョンを次の3つに再定義しております。
① 事業活動を通じた経済価値、社会価値、環境価値の創造により、持続可能な地球・社会づくりに貢献する
② 総合食品企業として、グローバルに「マルハニチロブランド」の提供価値を高め、お客様の健康価値創造に貢献する
③ 水産資源調達力と食品加工技術力にもとづく持続可能なバリューチェーンを強化し、企業価値の最大化を実現する
以上の長期経営ビジョンの実現に向けて、非連続な成長のロードマップをバックキャストで描き、新中期経営計画では、「経営戦略とサステナビリティの統合」「価値創造経営の実践」「持続的成長のための経営基盤強化」の3つのコンセプトに取り組んでまいります。
① 経営戦略とサステナビリティの統合
・ 経営戦略とサステナビリティを一体として実現する、当社グループの価値創造のあり方として、Maruha Nichiro Value(MNV)を定義
② 価値創造経営の実践
・ 価値創造経営を推進するガバナンス体制の構築
・ マテリアリティの特定、財務・非財務KGIの設定
・ 事業ポートフォリオに基づく資源配分
・ 成長ドライバー領域への戦略投資
・ 水産・食品の枠組みを超えたバリューチェーンの価値最大化
③ 持続的成長のための経営基盤強化
・ 多様化する消費者のニーズに対応した健康価値の創造と提供
・ イノベーションエコシステムの構築
・ 人財への積極的な投資
・ コーポレートブランドの発信強化
・ 知財リスク対応と無形資産の活用・強化推進
・ DX推進基盤の構築とデジタル技術の活用
「海といのちの未来をつくる」というブランドステートメントのもと、人々の豊かなくらしとしあわせに貢献するというグループ理念の実現に向けて、変化の激しい経営環境の中にあっても、「経済価値」「社会価値」「環境価値」の創造に引き続き取り組み、企業価値の更なる向上、持続的な成長を目指してまいります。
(3)経営環境
新型コロナウイルスワクチンの普及もあり、徐々に経済活動が再開されると考えられ、緩やかな景気回復局面は一定程度継続されるものと予想されます。しかしながら、変異株発生による感染再拡大への懸念や、原油価格、原材料価格の高騰による消費マインド低下は引き続き、景気の下振れリスクとして考えられるほか、ウクライナ情勢の緊迫化、長期化による影響も想定され、予断を許さない状況が継続すると考えております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、2022年度から2024年度までの3ヵ年を対象とするグループ新中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」の初年度を迎えます。
当社グループは、「魚」をコアにした水産食品企業グループであり、製品・サービスの特性、市場及び顧客の種類などの要素で多面的にとらえて編成した複数の事業ユニットを、主に事業類似性の観点から、分割・集約したうえで、「水産資源」、「加工」及び「物流」の3区分を従来の報告セグメントとしておりましたが、水産資源調達力と食品加工技術を生かしたバリューチェーンの更なる強化拡充を図るため、「水産資源」、「加工食品」、「食材流通」及び「物流」の4区分に変更することといたしました。
また、事業ユニットの編成についても、併せて見直しを行っております。
水産資源セグメントについては、水産商事ユニットと荷受ユニットを統合し、国内外の水産物の調達・販売に関し、統一戦略に基づいた一体的な事業運営による独自の水産流通体制を構築し、顧客価値の最大化を追求してまいります。
加工食品セグメントについては、化成ユニットの名称をファインケミカルユニットに変更するとともに、家庭用冷凍食品ユニットと家庭用加工食品ユニット及び化成ユニットの調味料乾燥食品事業を統合し、加工食品ユニットとすることにより、加工食品事業を一元化し、加工食品セグメント全体の更なる成長を目指してまいります。
新設の食材流通セグメントについては、水産商事ユニットの戦略販売事業及び業務用食品ユニットを移管・統合し、食材流通ユニットとするとともに、畜産ユニットを移管し、顧客起点でのチャネル別販売機能強化、及び多様な食材流通機能の統合による顧客価値創造を加速させます。
各事業の次期における対処すべき課題は次のとおりであります。
水産資源事業
漁業ユニットは、拠点となる各国における新型コロナウイルス等による事業環境の変化に対応し、安定した漁業オペレーションを実施するとともに、自社加工度を高めるなど販売ルートを多様化することにより、収益の向上に努めてまいります。
養殖ユニットは、燃料代、飼料代等の上昇が予想されますが、国内におけるブリ・カンパチ・マグロの養殖を主軸として、技術改善とコスト削減に取り組み、収益の向上に努めてまいります。
水産商事ユニットは、調達コストの上昇分を価格に転嫁するとともに、水産各部とグループ荷受会社の一体的な事業運営により、グループサプライチェーンの強化を図り、収益の最大化に努めてまいります。
海外ユニットは、海外事業拠点における収益基盤の強化、資源へのアクセス強化及び海外における販売促進を進めてまいります。北米では2022年1月に新たに確保したアラスカのスケソウダラ資源の有効活用及び二次加工の拡大と収益力向上を目指します。欧州ではM&Aも含めた更なる事業拡大を推進いたします。タイのペットフードについては、新規参入による供給量増が予想される中、開発と製造技術の向上により販路拡大に注力いたします。
加工食品事業
加工食品ユニットは、マーケティングや研究開発部門との連携を強化し、商品開発力を向上させるとともに、積極的な販促活動を展開し、売上の拡大とブランド認知の向上を図ってまいります。原料事情の変動においては、適切に対応し、必要な値上げと売上拡大の両立を進めてまいります。また、製販一体の事業管理体制を一層強化し、収益性をさらに高めてまいります。
ファインケミカルユニットは、DHA・EPA製品を中心に拡販し、また、ヘパリンの新規取り扱い等により、事業規模拡大に努めてまいります。
食材流通事業
食材流通ユニットは、量販店、外食、コンビニエンスストア、宅配生協、介護食など顧客起点による販売活動の強化とともに、食品、水産、畜産の枠組みを超えた提案強化を進めてまいります。また、単品損益管理や更なる生産の効率化を通じて収益率の向上を目指してまいります。
畜産ユニットは、国際情勢変動による原油高、飼料穀物の高騰に加え、円安の影響による輸入食肉価格の上昇から厳しい供給環境が見込まれますが、国産食肉の取り扱い強化を図るとともに、多様な産地や付加価値商材の提案を通じてグループ内協業も含めた販路の拡大に取り組んでまいります。
物流事業
長引く新型コロナウイルス影響やウクライナ情勢などの事業環境への影響を注視しつつ、主要都市港湾地区を中心とした物流拠点を最大限に活用し、保管需要の取り込みを図るとともに、全国レベルで輸配送・通関等を含めた総合物流サービスをお客様に提供することにより、収益拡大を目指してまいります。
(5)目標とする経営指標
新中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」における財務KGIは次のとおりであります。
|
|
24年度計画 (A) |
27年度目標 (B) |
21年度実績 (C) |
差異 (A)-(C) |
差異 (B)-(C) |
|
MNEV(億円) ※ |
95~ |
110~ |
105 |
△10 |
5 |
|
売上高(億円) |
9,600~ |
10,000~ |
8,667 |
933 |
1,333 |
|
営業利益(億円) |
270~ |
310~ |
238 |
32 |
72 |
|
EBITDA(億円) |
465~ |
500~ |
426 |
39 |
74 |
|
ROIC |
4.3%~ |
5%~ |
4.3% |
- |
0.7pt |
|
ROE |
9%~ |
9%~ |
11.2% |
△2.2pt |
△2.2pt |
|
ネットD/Eレシオ |
~1.2倍 |
~1.0倍 |
1.4倍 |
△0.2pt |
△0.4pt |
※MNEV(Maruha Nichiro Economic Value):事業活動の成果に伴う経済付加価値額として、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の差に、投下資本を乗じ算出しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
|
リスク |
当該リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の程度 |
||
|
中 |
大 |
||
|
当該リスクが顕在化する可能性の程度 |
高 |
・新型コロナウイルス感染拡大 ・市場ニーズの変化 ・債権管理 ・為替・金利変動 ・カントリーリスク |
・原材料価格の変動 ・原油価格の高騰 ・自然災害・事故等 ・労働力の確保 |
|
中 |
・税務 ・知的財産 ・固定資産の減損 ・投資有価証券の減損 |
・情報管理 ・コンプライアンス ・資金調達 |
|
|
リスク項目 |
影響度 |
発生 可能性 |
関連する機会とリスク(○機会 ●リスク) |
主要な取り組み |
|
原材料価格の 変動 |
大 |
高 |
●原材料の需要動向、為替や漁獲高の変動などによる仕入価格の高騰等 ●棚卸資産の評価損 |
・取り扱い品目、調達先、調達時期の分散化 ・仕入価格、販売価格の適正維持 ・在庫水準の適正化 |
|
原油価格の 高騰 |
大 |
高 |
●動燃料コストの上昇 ●発送配達費等の上昇 |
・設備の省エネ化や効率的な操業 ・カートンモジュール化等による保管配送の効率化 ・在庫水準の適正化 |
|
自然災害・事故等 |
大 |
高 |
●生産設備の破損、物流機能の麻痺等による操業停止、商品供給不能 ●養殖事業における予防困難な魚病等の発生による養殖魚の斃死 ●台風、赤潮等による養殖魚の斃死 |
・生産、保管拠点の分散化 ・事業継続計画(BCP)の策定 ・共済、保険制度への加入 ・病気に強い魚、養殖方法の研究 |
|
労働力の確保 |
大 |
高 |
○DX推進による、ビジネスモデルの変革、企業風土の改革 ●労働力不足による操業停止、生産性の低下 |
・業務プロセスの標準化、変革による生産性の向上 ・適正な賃金体系の構築 ・労働力確保に視点をおいた操業エリアの選択 ・機械化の更なる促進 ・人員募集方法への工夫 ・デジタル技術の有効活用 |
|
情報管理 |
大 |
中 |
●個人情報・機密情報の漏洩等 ●重要な情報の盗難、紛失、誤用、改鼠等 ●情報システムの停止等 ●サイバー攻撃による対応費用の発生 ●情報漏洩等による社会的信用の低下 |
・規程、マニュアル等の整備 ・従業員に対する教育の継続 ・システム管理体制の構築、運用 ・サイバー攻撃への対処(インフラの整備、インシデント対応訓練) |
|
コンプライアンス |
大 |
中 |
●食品衛生法、倉庫業法、独占禁止法等の法的規制違反による対応コストの発生 ●お客様からの信頼低下 |
・規程、マニュアル等の整備 ・従業員に対する教育の継続 ・内部通報制度、内部監査 |
|
資金調達 |
大 |
中 |
●金融危機等による資金の枯渇 ●各種リスク要因により計画未達による追加の資金調達等 |
・資金調達先及び期間の適度な分散 ・財務体質の維持・強化 ・各種リスク要因の適時の分析と対応 ・最新の情報に基づく適時の計画の見直し ・CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の適正化による資金効率向上 ・資金調達方法多様化の検討 |
|
新型コロナウイルス感染拡大 |
中 |
高 |
○巣ごもり消費へのシフトによる家庭用商品の販売拡大 ●従業員感染による操業停止 ●外食や業務筋への販売不振 ●景気後退による高単価商材の販売不振 |
・家庭用商品等の需要増に対する対応強化 ・衛生管理の徹底、フレックスタイム制等による時差出勤、在宅勤務等による従業員感染防止 ・不振事業の業務見直しによる最適化 ・事業継続計画(BCP)の策定、一部実施 |
|
市場ニーズの変化 |
中 |
高 |
○適切な市場マーケティングによる顧客層の拡大 ●国内の少子高齢化、人口減少に伴う需要減 |
・冷凍食品・介護食領域等での研究開発力・技術力強化と商品ラインナップ拡充 ・グループ全体での海外市場展開拡大 |
|
債権管理 |
中 |
高 |
●予期せぬ得意先の経営破綻の発生 ●追加的な貸倒損失や貸倒引当金の計上 |
・情報収集、与信管理等、債権保全 |
|
為替・金利変動 |
中 |
高 |
●輸入製商品の仕入価格への影響 ●借入金の調達金利への影響 ○為替による海外子会社業績の円貨への換算への影響 ●金利の変動による海外子会社業績への影響 |
・為替予約及び変動金利から固定金利へのスワップ等 ・財務体質の維持・強化 ・資金調達方法多様化の検討 ・CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の適正化による資金効率向上 |
|
カントリーリスク |
中 |
高 |
●海外事業において進出国の政治、経済、社会、法制度等の変化による経済活動の制約 ●テロ、暴動及び戦争の発生による経済活動の制約、サプライチェーンや流通網の遮断等 |
・進出国の適度な分散 ・進出国に関する情報収集 ・資源アクセス強化による調達先の適度な分散 ・加工食品事業において、外国産から国産資源活用の可否を検討 |
|
税務 |
中 |
中 |
●各国における租税制度の改正、税務行政の変更や税務申告における税務当局との見解の相違等による追加的な税務負担等 ○●将来課税所得の見積り変更等による税金費用の減少又は増加 |
・各国における税法の遵守 ・各国における税制や税務行政の変更への対応策の実行 ・税金及び税金関連費用を踏まえた事業計画又は仕組みの計画、実行 |
|
知的財産 |
中 |
中 |
○競合他社に対する優位性の確保 ○●使用許諾料等 ●損害賠償、使用差止等 |
・適切な出願戦略の推進 ・ブランド・商標保護体制の整備 ・知財教育及び啓発による知財人材の育成 ・職務発明報奨制度 ・社内担当者や弁理士事務所等を通じた日常的な調査・確認 |
|
固定資産の減損 |
中 |
中 |
●物流事業の物流センター、加工事業の生産拠点等の立地条件の悪化、設備の老朽化・陳腐化、販売不振等による収益悪化による減損 ●金利の急激な上昇 |
・投資審議会、経営会議等における投資計画、投資金額の適切性に関する審議 ・投資後の定期的なモニタリング及びフォローアップ |
|
投資有価証券の減損 |
中 |
中 |
●急激な株価変動や投資先の業績不振等による資産価値の下落、減損等 |
・個別銘柄による投資価値の定期的な検証 ・継続保有の意味合い薄れた銘柄の売却等 |
|
マテリアリティ項目 |
関連する機会とリスク(○機会 ●リスク) |
主要な取り組み |
|
気候変動問題への対応 |
○天然水産物の漁獲量減少を補う養殖水産物の販売機会の拡大 ●CO₂排出量削減対策による生産コストの増加 ●気候変動への対応遅延による企業価値毀損 ●気候変動による原材料の調達不全リスクの増大 |
・CO₂排出量削減ロードマップの策定 ・CO₂排出量削減施策の実施(太陽光パネル設置、再生エネルギーへの切替え) ・省エネルギー設備の増強 ・エネルギー効率の改善 ・ノンフロン冷凍機への転換 ・電気使用量の削減 ・重油・ガス使用量の削減 |
|
生物多様性と生態系の保全 |
○持続可能な水産資源の提供による企業価値向上 ○自社養殖場の認証レベル管理による環境保全 ●サプライチェーンにおける社会・環境問題への対応によるコスト増加 ●認証取得・維持にかかるコストの上昇 |
・生物多様性リスク評価の実施 ・定期的な水産資源調査の実施と不明魚種、資源に心配のある魚種への対応 ・持続可能な漁業・養殖認証(MSC・ASC等)取得水産物の取り扱いの推進 ・持続可能な養殖認証の取得の推進 ・輸入水産物のトレーサビリティ確認の強化 ・国内外ダイアローグへの参加 ・自社養殖場における認証レベル管理 |
|
安全・安心な食の提供 |
○品質事故、品質クレーム減少によるコスト削減 ○お客様の満足度向上によるブランドへの信用獲得 ○ステークホルダーへの適切な情報公開による信頼獲得 ●製品の品質クレーム・トラブルによるお客様の信頼低下による収益力の低下 |
・グループ品質保証規程に基づく品質保証活動の徹底 ・品質に関する人財育成 ・サプライチェーンとの協働による食品安全・食品防御レベルの向上 ・パッケージ、WEBサイト、業者間での適切な製品品質情報の開示 |
|
循環型社会実現への貢献 |
○容器包装プラスチック使用量削減によるコスト削減 ○フードロス削減によるコスト削減 ○廃棄物削減の取り組みによるコスト削減 ●容器包装プラスチックの環境配慮型素材切替えによるコスト増加 ●廃棄物削減、リサイクルへの取り組み遅延による企業価値毀損 |
・容器包装のプラスチック使用量削減と環境配慮型素材への切替え促進 ・フードロス削減活動の推進 ・製造トラブルの削減 ・原材料・資材・商品の廃棄削減 ・廃棄物の有価物化 |
|
海洋プラスチック問題への対応 |
○漁具管理強化、紛失減によるコスト減少 ○海洋プラスチック問題へ積極的に取り組む企業としてイメージ向上 ●海洋に流出しづらい漁具への切替えによるコスト増加 |
・漁具管理ルールの策定と運用 ・海洋に流出しづらい漁具への切替え ・海岸クリーンアップ活動への従業員参加 |
|
健康価値創造と持続可能性に貢献する食の提供 |
○お客様の満足度向上によるブランド価値向上 ○ステークホルダーへの適切な情報公開による信頼獲得 ○お客様の健康価値創造と持続可能性に配慮した食を提供する企業ブランドの向上 ●製品基準を満たす製品開発コストの増加 |
・健康価値創造と持続可能性に貢献する食の製品基準の策定 ・「消費者志向経営」(未来次世代のために取り組む企業)に関する社内啓発研修の実施 ・健康価値創造と持続可能性に貢献する企業という社外評価方法の構築 |
|
マテリアリティ項目 |
関連する機会とリスク(○機会 ●リスク) |
主要な取り組み |
|
多様な人財が安心して活躍できる職場環境の構築 |
○性別・年齢・国籍等にとらわれない人財登用による社内モチベーションの向上 ○イノベーションが起きやすい環境づくり ○人財獲得競争での優位性獲得 ●人財開発および職場環境改善コストの発生 |
・新卒採用比率男性50%・女性50%の継続 ・取締役会・管理職の女性登用の推進 ・仕事と介護・育児・治療の両立支援 ・従業員の健康維持及び増進 ・従業員エンゲージメントの評価方法の確立と向上 ・グローバル人財育成の推進、等級別研修の拡充 ・選抜研修の推進等を含めた人財育成プログラムの確立 |
|
事業活動における人権の尊重 |
○ステークホルダーへの適切な情報公開による信頼獲得 ○グループ内、サプライチェーン上での人権リスク軽減 ●人権問題への対応遅延による企業価値毀損 |
・社内人権啓発研修の開催 ・国内グループ製造拠点での外国人技能実習生調査と改善対応 ・サプライチェーン上での人権調査と改善対応 |
|
持続可能なサプライチェーンの構築 |
○サプライチェーン上での社会・環境課題へのリスク低減 ●サプライチェーン上における社会・環境問題対応によるコスト増加 ●サプライチェーンにおける社会・環境問題への対応遅延による原材料調達不全リスクの増大 |
・「調達基本方針」「サプライヤーガイドライン」「腐敗防止宣言」のサプライヤーへの周知徹底 ・システムを利用したサプライヤーの登録、モニタリングの実施、リスクの有無確認とフィードバック |
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。また、当該会計基準等の適用については、原則として遡及適用されるため、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1)経営成績等の状況の概況
① 経営成績の状況
当期におけるわが国経済は、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の発出と解除が繰り返されるなど、新型コロナウイルスの感染状況に左右される不透明な状況が継続いたしました。
世界経済については、新型コロナウイルスの新規感染者数こそ爆発的に増加したものの、各国政府が実施する各種施策等の効果により、緩やかな回復が見られました。
しかしながら、依然として新たな変異株による感染拡大の懸念や、ウクライナ情勢のより一層の緊迫化懸念もあり、世界、国内共に景気の行方は不透明な状況が続いております。
当社グループ関連業界におきましては、コンテナ不足や海上輸送費の上昇といったグローバルサプライチェーンの混乱に加え、原油価格や原材料価格高騰の影響を受け、厳しい状況が継続いたしました。
このような状況のもと、当社グループでは、新型コロナウイルス感染拡大防止と従業員及び関係各位の安全を最優先としながらも、最終年度を迎えた中期経営計画「Innovation toward 2021」の基本方針である「企業価値の向上と持続的成長」を実現するため、「収益力の更なる向上」「成長への取り組み」「経営基盤の強化」の3つの経営戦略に引き続き取り組むとともに、「サステナビリティ中長期経営計画」及び「コーポレートブランディング活動」についても推進してまいりました。
その結果、売上高は866,702百万円(前期比7.1%増)、営業利益は23,819百万円(前期比47.3%増)、経常利益は27,596百万円(前期比52.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は16,898百万円(前期比193.7%増)となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。
なお、従来、報告セグメントについては「漁業・養殖」、「商事」、「海外」、「加工」及び「物流」の5区分としておりましたが、当期より「水産資源」、「加工」及び「物流」の3区分に変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
水産資源事業
水産資源事業は、国内外で漁業を行う漁業ユニット、国内において主にブリ・カンパチ・マグロの養殖を行う養殖ユニット、国内外にわたり水産物の調達・販売ネットワークを持つ水産商事ユニット、市場流通の基幹を担う荷受ユニット、中国・東南アジア・北米・欧州において水産物・加工食品の生産・販売を行う海外ユニットから構成され、新型コロナウイルスの影響により大きく変化する事業環境に対応し、収益の確保に努めました。
漁業ユニットは、新型コロナウイルスにより前期に発生した係船の影響が当期は改善され、ニュージーランドでのアジ等の漁獲販売が進み増収となりましたが、豪州での高収益商材であるメロの繰越在庫減少による販売減等により減益となりました。
養殖ユニットは、依然として新型コロナウイルスによる外食・業務筋向け販売への影響が残るものの、主要荷受及び量販店向けを中心としたマグロ販売数量増加と売価改善、ブリ相場の上昇により増収となり、マグロ原価低減も相まって事業収支は大幅に改善しました。
水産商事ユニットは、新型コロナウイルスの影響下で生産遅延や船積みの遅れが危惧されましたが、多様な買付けルートを活用して商材を確保し、販売面では量販店、宅配、医療機関・高齢者施設向けに拡販した結果、各魚種の販売単価上昇もあり、増収増益となりました。
荷受ユニットは、量販店への拡販、冷凍品の販売単価上昇及び利益率の改善により増収増益となりました。
海外ユニットは、水産物と加工食品の世界的な需要拡大に対応し、グローバル市場における収益の確保に努めました。北米は不採算であった鮭鱒事業の撤退及びスケソウダラ商材の販売価格上昇により減収増益、欧州は販売会社への追加出資による子会社化や販売増により大幅な増収増益、アジアはベトナムの加工販売会社の買収による増収、タイのペットフードでは原料安に加え、販売増により増益となり、全体では増収増益となりました。
以上の結果、水産資源事業の売上高は542,651百万円(前期比9.0%増)、営業利益は13,844百万円(前期比194.8%増)となりました。
加工事業
加工事業は、家庭用冷凍食品の製造・販売を行う家庭用冷凍食品ユニット、缶詰・フィッシュソーセージ・ちくわ・ デザート等の製造・販売を行う家庭用加工食品ユニット、業務用商材の製造・販売を行う業務用食品ユニット、国内外の畜産物を取り扱う畜産ユニット及び化成品・調味料・フリーズドライ製品の製造・販売を行う化成ユニットから構成され、お客様のニーズにお応えする商品の開発・製造・販売を通じて収益の確保に努めました。
家庭用冷凍食品ユニットは、内食需要の継続や休園休校の影響により米飯や麺、グラタン類、また惣菜・中華のおかずの主力商品が伸長し増収となりましたが、原材料や海上運賃、エネルギーコストの上昇により、減益となりました。
家庭用加工食品ユニットは、デザートは夏場から秋口の好天と業務用向け商品の導入により増収増益となりましたが、缶詰は一昨年需要増による反動、フィッシュソーセージは市場の値下げ要請が強まる中、販売も落ちこみ減収減益となり、全体では減収減益となりました。
業務用食品ユニットは、新型コロナウイルスの影響が依然として残るものの、量販店惣菜、コンビニエンスストア、介護食向けが堅調に推移し、増収増益となりました。
畜産ユニットは、欧州産豚肉が取り扱い、利益ともに増加し、北米産豚肉の取り扱い減をカバー、国産牛肉、輸入鶏肉も堅調に推移し、増収増益となりました。
化成ユニットは、DHA・EPA及びコンドロイチンの販売が伸びましたが、フリーズドライ製品の前年の需要増に対する反動の影響が大きく、増収減益となりました。
以上の結果、加工事業の売上高は295,976百万円(前期比4.9%増)、営業利益は7,813百万円(前期比3.7%増)となりました。
物流事業
物流事業は、新型コロナウイルスの影響が続くなか、水産品をはじめ畜産品や冷凍食品の集荷活動を行い入庫数量は回復傾向にあるものの、保管在庫数量については低調に推移し前年より減少しました。また、2021年4月の名古屋物流センター開業により減価償却費等が増加し、売上高は14,625百万円(前期比6.2%減)、営業利益は1,125百万円(前期比46.5%減)となりました。
② 財政状態の状況
総資産は548,603百万円となり、前期に比べ15,736百万円増加いたしました。これは、主として売上債権及び棚卸資産の増加によるものであります。
負債は360,707百万円となり、前期に比べ5,498百万円減少いたしました。これは、主として借入金の減少によるものであります。
非支配株主持分を含めた純資産は187,895百万円となり、前期に比べ21,235百万円増加いたしました。
各セグメントの資産は次のとおりです。
なお、当期より、一部の事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
水産資源事業の総資産は293,497百万円となり、前期に比べ20,744百万円増加いたしました。これは、主として棚卸資産の増加によるものであります。
加工事業の総資産は163,147百万円となり、前期に比べ1,759百万円増加いたしました。これは、主として売上債権の増加によるものであります。
物流事業の総資産は41,752百万円となり、前期に比べ2,197百万円減少いたしました。これは、主として有形固定資産の減少によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動の結果得られた資金を、主として設備投資及び借入金の返済に使用した結果、当連結会計年度末には24,430百万円と前連結会計年度末に比べ6,726百万円減少いたしました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は19,249百万円となり、前期に比べ14,111百万円減少いたしました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、主に設備投資によるもので、10,258百万円となり、前期に比べ1,737百万円減少いたしました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、主に借入金の返済によるもので、17,200百万円となり、前期に比べ6,387百万円増加いたしました。
④ 生産、受注及び販売の実績
当期より、一部事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(ⅰ) 生産・仕入実績
当連結会計年度における生産・仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
水産資源事業(百万円) |
493,028 |
107.6 |
|
加工事業(百万円) |
228,597 |
104.6 |
|
物流事業(百万円) |
13,148 |
97.8 |
|
報告セグメント計(百万円) |
734,774 |
106.4 |
|
その他(百万円) |
9,876 |
172.7 |
|
合計(百万円) |
744,650 |
107.0 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(ⅱ) 受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(ⅲ) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
水産資源事業(百万円) |
542,651 |
109.0 |
|
加工事業(百万円) |
295,976 |
104.9 |
|
物流事業(百万円) |
14,625 |
93.8 |
|
報告セグメント計(百万円) |
853,253 |
107.3 |
|
その他(百万円) |
13,448 |
99.4 |
|
合計(百万円) |
866,702 |
107.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、販売実績額が総販売実績額の100分の10
以上となる販売先がないため省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
売上高は前連結会計年度を57,652百万円上回る866,702百万円となりました。主な増減の内訳は、荷受ユニットにおける量販店への拡販、冷凍品の販売単価上昇に加え、海外ユニットの欧州の販売会社への追加出資による子会社化や販売増等による水産資源事業の増収44,854百万円、業務用食品ユニットの量販店惣菜、コンビニエンスストア、介護食向けの堅調な推移等による加工事業の増収13,844百万円、及び保管在庫数量の低調な推移による物流事業の減収960百万円となります。
連結会計年度のセグメント別売上高
|
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比 |
増減率 (%) |
|
水産資源事業 |
497,797 |
542,651 |
44,854 |
9.0 |
|
加工事業 |
282,132 |
295,976 |
13,844 |
4.9 |
|
物流事業 |
15,586 |
14,625 |
△960 |
△6.2 |
|
その他 |
13,533 |
13,448 |
△85 |
△0.6 |
|
合計 |
809,050 |
866,702 |
57,652 |
7.1 |
(注)当期より、一部の事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、前期の数値は変更後のセグメント区分に組み替えた数値となります。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度から45,700百万円増加し、746,205百万円(前期比6.5%増)となりました。売上原価の売上高に対する比率は、0.5ポイント好転し、86.1%となりました。販売費及び一般管理費は、発送配達費や保管料などの増加により、前連結会計年度から4,304百万円増加し、96,677百万円(前期比4.7%増)となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は、0.3ポイント好転し、11.2%となりました。研究開発費は、1,647百万円(前期比5.8%増)となりました。
(営業利益)
営業利益は前連結会計年度を7,647百万円上回る23,819百万円(前期比47.3%増)となりました。主な内訳は、海外ユニットにおける北米の不採算であった鮭鱒事業の撤退、スケソウダラ商材の販売価格上昇、欧州の販売会社への追加出資による子会社化や販売増、タイのペットフードの原料安や販売増等、養殖ユニットにおけるマグロ販売数量増加と売価改善、ブリ相場の上昇等による水産資源事業の増益9,147百万円、業務用食品ユニットの量販店惣菜、コンビニエンスストア、介護食向けの堅調な推移等による加工事業の増益280百万円、及び保管在庫数量が低調に推移し、また、2021年4月の名古屋物流センター開業に伴う減価償却費等の増加等による物流事業の減益978百万円となります。
なお、営業利益の売上高に対する比率は、2.7%(前連結会計年度は2.0%)となりました。
連結会計年度のセグメント別営業利益
|
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比 |
増減率 (%) |
|
水産資源事業 |
4,696 |
13,844 |
9,147 |
194.8 |
|
加工事業 |
7,533 |
7,813 |
280 |
3.7 |
|
物流事業 |
2,104 |
1,125 |
△978 |
△46.5 |
|
その他 |
1,242 |
688 |
△553 |
△44.5 |
|
調整額 |
595 |
346 |
△249 |
△41.9 |
|
合計 |
16,172 |
23,819 |
7,647 |
47.3 |
(注)当期より、一部の事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、前期の数値は変更後のセグメント区分に組み替えた数値となります。
(経常利益)
経常利益は前連結会計年度を9,502百万円上回る27,596百万円(前期比52.5%増)となりました。主な増益の内訳は、営業利益の増加7,647百万円、補助金収入の増加1,181百万円、為替差益の増加512百万円となります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度を11,145百万円上回る16,898百万円(前期比193.7%増)となり、1株当たり当期純利益は321円13銭(前連結会計年度は109円33銭)となりました。増減の内訳は、特別利益の増加1,970百万円、特別損失の減少5,519百万円、法人税等の増加5,570百万円、非支配株主に帰属する当期純利益の増加277百万円となります。
なお、特別損益は、特別利益が2,164百万円となり、固定資産売却益の増加等により1,970百万円増加し、また、特別損失が2,243百万円となり、事業整理損3,158百万円等を計上した前連結会計年度に比べ5,519百万円減少したことにより、前連結会計年度に比べ7,490百万円増益となります。
法人税等合計は前連結会計年度に比べ5,570百万円増加しており、法人税等合計の税金等調整前当期純利益に対する比率が10.7ポイント増の26.2%となっております。これは主に、前連結会計年度に計上された固定資産減損損失の認容が無くなったこと等によるものであります。
非支配株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ277百万円の増加となりました。
② 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
(総資産)
総資産は前連結会計年度末に比べ15,736百万円増加し、548,603百万円(前期比3.0%増)となりました。総資産のうち、流動資産は前連結会計年度末に比べ23,793百万円増加し、324,304百万円(前期比7.9%増)となり、固定資産は前連結会計年度末に比べ8,056百万円減少し、224,298百万円(前期比3.5%減)となりました。
主な増減の内訳は、棚卸資産の増加16,129百万円並びに売上債権の増加12,746百万円となります。
なお、売上債権回転日数は48.6日(前期比2.3日増)、棚卸資産回転日数は84.5日(前期比2.9日増)となっており、売上債権及び棚卸資産の水準は正常な範囲内と判断しております。
売上債権回転日数及び棚卸資産回転日数
|
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
|
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比 |
増減率 (%) |
|
売上高(a) |
809,050 |
866,702 |
57,652 |
7.1 |
|
売上原価(b) |
700,505 |
746,205 |
45,700 |
6.5 |
|
受取手形、売掛金 及び契約資産(c) |
102,644 |
115,391 |
12,746 |
12.4 |
|
棚卸資産(d) |
156,561 |
172,691 |
16,129 |
10.3 |
|
売上債権回転日数(日) |
46.3 |
48.6 |
2.3 |
4.9 |
|
(c)÷(a)×365 |
||||
|
棚卸資産回転日数(日) |
81.6 |
84.5 |
2.9 |
3.5 |
|
(d)÷(b)×365 |
||||
なお、セグメント別資産の内訳は、次のとおりであります。
連結会計年度のセグメント別資産
|
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (2021年3月31日) |
当連結会計年度 (2022年3月31日) |
前期比 |
増減率 (%) |
|
水産資源事業 |
272,753 |
293,497 |
20,744 |
7.6 |
|
加工事業 |
161,388 |
163,147 |
1,759 |
1.1 |
|
物流事業 |
43,950 |
41,752 |
△2,197 |
△5.0 |
|
その他 |
21,646 |
21,288 |
△357 |
△1.7 |
|
調整額 |
33,126 |
28,916 |
△4,210 |
△12.7 |
|
合計 |
532,866 |
548,603 |
15,736 |
3.0 |
(注)当期より、一部の事業につき、報告セグメントの区分を変更しており、前期の数値は変更後のセグメント区分に組み替えた数値となります。
(負債)
負債は前連結会計年度末に比べ5,498百万円減少し、360,707百万円(前期比1.5%減)となりました。負債のうち、流動負債は前連結会計年度末に比べ7,576百万円増加し、221,544百万円(前期比3.5%増)となり、固定負債は前連結会計年度末に比べ13,074百万円減少し、139,162百万円(前期比8.6%減)となりました。
主な増減の内訳は、借入金の減少9,233百万円、退職給付に係る負債の減少868百万円及び仕入債務の増加1,956百万円となります。
また、有利子負債残高は、前連結会計年度末に対して9,233百万円減少し、250,604百万円となりました。
(純資産)
非支配株主持分を含めた純資産は前連結会計年度末に比べ21,235百万円増加し、187,895百万円(前期比12.7%増)となりました。
主な増減の内訳は、当期純利益による利益剰余金の増加16,898百万円、為替換算調整勘定の増加4,617百万円及びその他有価証券評価差額金の減少2,108百万円となります。
なお、当社グループでは、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」において、D/Eレシオ(負債資本倍率)1.5倍及び自己資本比率30.0%を目標としておりましたが、D/Eレシオについては、前連結会計年度末の1.8倍から1.6倍に、自己資本比率は前連結会計年度末の26.7%から29.2%になりました。また、1株当たり純資産は前連結会計年度末の2,707円93銭から3,043円95銭になりました。
引き続き、成長への投資を最優先として収益性を高めながら、財務基盤の強化を図ってまいります。
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
|
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比 |
|
有利子負債(a) |
259,837 |
250,604 |
△9,233 |
|
自己資本(b) |
142,497 |
160,174 |
17,677 |
|
総資産(c) |
532,866 |
548,603 |
15,736 |
|
D/Eレシオ(倍)(a)÷(b) |
1.8 |
1.6 |
△0.3 |
|
自己資本比率(%)(b)÷(c) |
26.7 |
29.2 |
2.5 |
なお、当社グループでは、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」において、ROA(総資産経常利益率)5.7%を目標としておりました。目標は未達となったものの、前連結会計年度の3.4%から1.7ポイント好転し、当連結会計年度では、5.1%となりました。内訳は、売上高経常利益率が3.2%となり、前連結会計年度に比べ0.9ポイント好転、総資産回転率が160.3%となり、前連結会計年度に比べ7.8ポイント好転いたしました。
当社グループの水産資源調達力と食品加工技術力を生かしたバリューチェーンを更に強化拡充すべく、次期より事業セグメント及び事業ユニットを再編し、各ユニットのシナジーを追求します。
引き続き、成長への投資を最優先と考えておりますが、コロナ禍やウクライナ情勢の影響等により、各魚種の相場不安定化や調達コストの上昇が継続していることから、投資にあたっては慎重に判断するとともに、事業ごとに収益性を勘案しながら適正な事業規模となるよう在庫、設備等を適宜見直してまいります。
ROA(総資産経常利益率)
|
|
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比 |
|
売上高(百万円) |
809,050 |
866,702 |
57,652 |
|
経常利益(百万円) |
18,093 |
27,596 |
9,502 |
|
総資産(百万円) |
532,866 |
548,603 |
15,736 |
|
ROA |
3.4% |
5.1% |
1.7pt |
|
売上高経常利益率 |
2.2% |
3.2% |
0.9pt |
|
総資産回転率 |
152.5% |
160.3% |
7.8pt |
(注)1.ROA:経常利益/期首・期末平均総資産
2.売上高経常利益率:経常利益/売上高
3.総資産回転率:売上高/期首・期末平均総資産
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
連結キャッシュ・フローの状況
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
|
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
33,361 |
19,249 |
△14,111 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△11,996 |
△10,258 |
1,737 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△10,812 |
△17,200 |
△6,387 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
△1,168 |
1,483 |
2,651 |
|
現金及び現金同等物の増減額 |
9,383 |
△6,726 |
△16,110 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
31,156 |
24,430 |
△6,726 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、19,249百万円の収入(前連結会計年度は33,361百万円の収入)となりました。税金等調整前当期純利益27,518百万円、減価償却費16,372百万円、棚卸資産の増減額の増加14,647百万円があったこと等によるものです。
前連結会計年度に比べて営業活動の結果得られた資金が14,111百万円減少いたしましたが、主な増減の内訳は、棚卸資産の増減額による減少24,205百万円、売上債権の増減額による減少13,025百万円、税金等調整前当期純利益の増加16,992百万円等となります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、10,258百万円の支出(前連結会計年度は11,996百万円の支出)となりました。加工事業及び水産資源事業における生産拠点、物流事業における物流センター等を中心に、有形固定資産の取得による支出14,818百万円等によるものです。
前連結会計年度に比べて投資活動の結果使用した資金が1,737百万円減少いたしましたが、主な増減の内訳は、有形固定資産の取得による支出の減少7,952百万円、有形固定資産の売却による収入の増加4,184百万円、事業譲渡による収入の減少10,241百万円等となります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、17,200百万円の支出(前連結会計年度は10,812百万円の支出)となりました。借入金の返済による支出11,609百万円、配当金の支払額2,097百万円、非支配株主への配当金の支払額1,505百万円等によるものです。
前連結会計年度に比べて財務活動の結果使用した資金が6,387百万円増加いたしましたが、主な増減の内訳は、借入金の返済による支出の増加8,544百万円等となります。
(資金の流動性)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ6,726百万円減少し、24,430百万円となりました。
手元流動性確保のため、主要な金融機関との関係維持・強化を図るほか、当座貸越枠等の調達手段を備えております。
また、当社グループは各社が月次に資金繰り計画を作成するなどの方法により流動性リスクを管理しております。
(財務政策)
当社グループは、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」において、①収益力の更なる向上、②成長への取り組み、③経営基盤の強化を掲げて取り組んで参りましたが、その基本的な考え方を踏襲し、2022年度から2024年度までの3ヵ年を対象とするグループ新中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」を策定し、引き続き、成長への投資を最優先としながらも、財務基盤の強化を図ります。運転資本の効率的な運用にも取り組み、より強固な財務体質を目指します。
また、当社グループは国内連結子会社を含めたキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、運転資金及び設備投資資金の調達は、主に当社の借入及びグループ各社の事業活動から生じるキャッシュ・フローを資金集中することによる自己資金によっております。
(資金調達の方法及び状況)
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
(資金需要の動向)
当社グループでは、設備投資、運転資金、借入金の返済及び利息の支払い並びに配当及び法人税の支払い等に資金を充当しております。
また、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」の基本的な考え方を踏襲し、2022年度から2024年度までの3ヵ年を対象とするグループ新中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」を策定しております。
引き続き、成長への投資として、水産・食品の枠組みを超えたバリューチェーンの再構築、加工食品事業における収益の拡大、国内外におけるバリューチェーン拡充への投資を継続するとともに、成長ドライバー領域への投資として、海外市場への展開拡大、冷凍食品事業、介護事業、ファインケミカル事業、ペットフード事業領域の強化に向けた投資のため資金を充当してまいります。
設備投資を目的とした資金需要のうち主なものは、食品生産拠点、漁船等の購入費用、物流センターの増設費用等であり、運転資金需要のうち主なものは、商品及び原材料の仕入、製造費用、生産拠点及び物流センターの運営費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
各セグメントの資金需要の動向は次のとおりであります。
なお、当社グループは、「魚」をコアにした水産食品企業グループであり、製品・サービスの特性、市場及び顧客の種類などの要素で多面的にとらえて編成した複数の事業ユニットを、主に事業類似性の観点から、分割・集約したうえで、「水産資源」、「加工」及び「物流」の3区分を従来の報告セグメントとしておりましたが、次期より、水産資源調達力と食品加工技術を生かしたバリューチェーンの更なる強化拡充を図るため、「水産資源」、「加工食品」、「食材流通」及び「物流」の4区分に変更することといたしました。
水産資源事業
漁船、漁業許可権利金、食品生産拠点、養殖設備等の購入・建設費用並びに商品及び原材料の仕入、養殖魚や養殖のために必要なエサ代、製造費用、生産拠点の運営費等の運転資金が必要となります。
加工食品事業
食品生産拠点の購入・建設費用並びに商品及び原材料の仕入、製造費用、生産拠点の運営費等の運転資金が必要となります。
食材流通事業
食品生産拠点の購入・建設費用並びに商品及び原材料の仕入、製造費用、生産拠点の運営費等の運転資金が必要となります。
物流事業
物流センターの増設費用及び物流センターの運営費等の運転資金が必要となります。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社の経営者は、重要な判断と見積りや計画の策定に対し、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、これらは不確実性を伴うため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、下記については、重要なものとして、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(ⅰ)固定資産の減損
(ⅱ)棚卸資産の評価
(ⅲ)繰延税金資産の回収可能性
(ⅳ)新型コロナウイルス感染拡大の影響
その他の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は以下のとおりです。
(ⅴ)貸倒引当金
当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
個別の回収可能性の検討にあたっては、取引先の財政状態、担保物の見積回収可能価額などの見積り・前提を使用しております。
当連結会計年度においては、流動資産で△405百万円、固定資産で△3,392百万円の貸倒引当金を計上しております。
取引先の財政状態、担保物の見積回収可能価額には不確実性を伴い、これらに対する経営者による判断が売上債権、貸付金等の貸借対照表価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(ⅵ)投資有価証券の減損
当社グループは、その他有価証券のうち、時価のあるものについては、期末日における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合に原則として減損処理を行い、30~50%程度下落した場合に、回復可能性を判断して減損処理を行うこととしております。時価のないものについては、当該有価証券の発行会社の1株当たり純資産額が、取得価額を50%程度以上下回った場合には回復可能性がないものとして判断し、30%~50%程度下落した場合には当該有価証券の発行会社の財政状態及び将来の展望などを総合的に勘案して回復可能性を判断しております。
個別の回収可能性の検討にあたっては、当該有価証券の発行会社の財政状態、将来の展望などの見積り・前提を使用しております。
当連結会計年度においては、投資有価証券として39,735百万円計上しております。
有価証券の発行会社の財政状態、将来の展望などには不確実性を伴い、これらに対する経営者による判断が連結貸借対照表価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(ⅶ)退職給付会計
当社グループは、確定給付型の制度として、確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を採用しております。また、一部連結子会社では、確定拠出制度を採用しております。
当社においては、退職給付信託を設定しております。
退職給付型の制度において、退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、退職率及び死亡率など年金数理計算上の見積り・前提を用いております。
割引率については、デュレーション法(加重平均期間アプローチ)により算出した期間に対応する国債のイールド・カーブから抜粋した利回りを加重平均割引率とする方法を採用しております。
当連結会計年度においては、退職給付に係る負債として18,515百万円を計上しております。
これらの見積り・前提に用いる割引率、退職率及び死亡率などについては、現時点で妥当と判断したデータその他の要因に基づき設定しておりますが、実際の結果がこれらの見積り・前提と異なる場合には、将来の退職給付費用及び退職給付債務に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、退職給付関係に関する事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)に記載のとおりであります。
特記すべき事項はありません。
当社グループでは、お客様の生涯の健康に役立つ商品をご提案するための研究開発、技術蓄積を旨として、「生涯健康」をスローガンに研究活動を進めております。
特に、水産・食品分野を中心として、①食品領域、②水産・養殖領域、③機能性領域、の3つの領域に注力いたしました。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
主なセグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果は次のとおりであります。
水産資源事業
世界的な人口増加と新興国の経済成長により、良質かつヘルシーなたんぱく源である魚の需要が世界規模で急増しているなか、水産、養殖分野での取り組みの重要性が高まっております。特にSDGs目標14「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」に貢献することを目指して、養殖魚の餌となる天然魚や魚粉原料をできる限り使用しない低魚粉、低魚油飼料を開発すべく、昆虫ミールに着目した研究開発を行っております。また、ブリやカンパチは、血合肉が変色しやすく改善が求められているため、これまでに血合肉の変色を抑制できる養殖用飼料の開発・実用化を手掛け、おいしさの部分においても、呈味成分等を詳細に分析することで客観的な指標を見出し、さらに高いレベルの品位を目指して改良を進めております。
沿岸域での海面養殖だけではなく、台風や赤潮などの自然環境に影響されにくく、残餌や糞により海洋環境を汚すことのない閉鎖循環型陸上養殖については、研究助成を受けて産官学と連携を取りながら、山形県遊佐町において、サクラマス陸上養殖実証試験に係る研究開発を進めておりました。助成研究は2020年度で終了となりましたが、事業化に向けた研究を継続中であり、さらに飼育設備を拡充し、遺伝子情報を活用した高成長種苗の育種や高密度飼育技術の開発・検討に取り組んで参ります。
種苗生産研究では、2020年4月に、増養殖事業部傘下の「南さつま種苗センター」を、中央研究所管轄の新会社として組織変更した「㈱マルハニチロ養殖技術開発センター」の本格稼働により、2021年度はブリ111万尾とカンパチ27.6万尾を生産し、順調に安定生産技術を積み重ねております。ブリでは、これまで天然親魚からの採卵でしたが、昨年度から、より養殖に適した人工孵化第一世代の親魚から採卵して完全養殖を達成しており、高成長系統の選抜育種も併用し、養殖の生産性をさらに上げていく予定です。また、2021年3月に、完全養殖クロマグロ育種改良のための基盤・応用技術の開発に関して、国立研究開発法人水産研究・教育機構と協働していくことで合意し、共同研究を開始しました。この取り組みによって、人工種苗を用いたクロマグロ養殖の体質強化と持続的発展に資する技術開発を進めていきます。
水産・養殖現場では、AI(人工知能)やIoT(Internet of things)を活用して、生産性向上や省力化を目指した取り組みを進めております。ICT(情報通信技術)に関する先端技術と水産・養殖現場の課題を適切にマッチングさせ、費用対効果がでるような技術開発、例えば、AIの画像認識技術を活用した魚の尾数をカウントするシステム「かうんとと」の開発、養殖向けの環境データモニタリングシステムの開発など、様々な課題に取り組んでいます。
2015年4月の制度化で誕生した「機能性表示食品制度」は、科学的根拠の提示と適切な品質管理のもと、事業者責任において食品に機能性を表示することを可能とした制度です。この制度は、加工食品のみならず、農水産物などの生鮮食品も対象としておりますが、生鮮食品の各種栄養成分や機能性関与成分の含量は加工食品と比べて安定しにくいため、規格管理が難しいことが障壁となっておりました。当社ではこのハードルを越えるべく、代表的な養殖魚として知られる「カンパチ」の機能性関与成分であるDHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)量について、年間を通じた調査を行い、規格管理を実施することで2018年1月に生鮮食品区分の水産品として初の機能性表示食品の届出が受理され、2018年8月より販売を開始しております。さらに、株式会社ベイシアとの取組みで、水産売場において中性脂肪を低下させる効果がある機能性表示食品として販売することを検討し、届出が受理され、2021年4月よりベイシア各店での販売に至っております。現在、魚種拡大の可能性についても検討を進めており、機能性をもつ生鮮食品の販売拡大を目指しております。
エビは調理後の食感や味を向上させるために浸漬剤による処理を行っており、エビの加工現場で用いる独自配合の浸漬剤の開発・実用化を進めています。これら浸漬剤を用いた処理により、素材が持つ美味しさを保ちつつ、品質を向上させることができ、特に食感や色の改良が認められております。これらエビの浸漬に関する技術は、特許を出願、取得しております。さらに、浸漬処理の技術は、エビだけではなく、その他の水産物への応用にも取り組んでいます。
魚介類の国内での消費量が減少し続ける中、魚介類の価値を高めるための一つの取り組みとして、魚由来の成分の健康に及ぼす影響、さらに、日常の食生活の中で魚を中心とする食事の健康への効果を実証するための各種検討を進めております。
水産加工現場から排出される未利用資源の有効利用に関する技術開発を行い、環境負荷低減の取り組みを進めております。
主に海外で漁獲される魚介類の鮮度保持技術の開発を行っており、原料それ自体の鮮度での差別化を指向した取り組みも併せて進めております。
加工事業
食品の見た目、香り、味や食感などの特徴を官能評価で数値化し、プロファイリングを行い、栄養成分や物性などの美味しさに関わる科学的な要素を分析し比較することで、理論的に食品の特徴をコントロールする取り組みを行っております。
食塩を控えるなど健康志向の強い消費者に対応できるよう、減塩しても美味しさが変わらない技術や噛みやすく飲み込みやすい食感(物性)が必要な介護食を安定して製造するための技術開発に取り組み、当社商品への応用展開を進めております。
機能性表示食品は、健康の維持や増進など、科学的な根拠に基づいた機能が事業者の責任でわかりやすく表示されているため消費者が正しく選ぶことができ、さらに、安全性も確保されているものです。当社では、長年続けてきた魚油由来の健康成分であるDHAとEPAに関する研究成果をもとに、機能性表示食品の開発にいち早く取り組みました。その結果、業界初やカテゴリー初となる機能性表示食品を次々に開発し、これまでに、DHA・EPAを関与成分とした中性脂肪を低下させる機能がある食品、DHAを関与成分とした情報の記憶をサポートする機能がある食品として、多数の品目について消費者庁で届出を受理されております。また、多様な生理活性を有する脂質研究を基に開発されたプロスタグランジン製剤など、多くの医薬品を創製してきた小野薬品工業株式会社と当社が協業し、エビデンスに基づく機能性脂質製品の商品開発に共同で取り組んでいます。具体的には、当社水産加工現場から排出される未利用資源よりDHAが結合したリン脂質を含むイクラ油を基にしたサプリメントを共同で開発しました。それには睡眠の質あるいは活気・活力の向上に役立つ機能があることを臨床試験で確認し、機能性表示食品として受理されました。両社は、信頼できるパートナーとして、お互いの知見や事業ノウハウを有効活用することで、食品と医薬品の間に位置する予防・未病の分野を開拓し、より多くの方へ生涯にわたる健康をお届けしてまいります。
DHA以外にも、当社が原料調達などでの優位性を有する他の素材についても検討を進めており、サケ白子に含まれるプロタミンの抗菌性を活用した口腔ケア等への応用研究、スケソウダラ由来魚肉タンパク質の機能性研究など、水産物由来の機能性成分に関する研究を推進しております。
自然解凍冷凍食品、フローズンチルド商品など、多様なカテゴリーからなる当社商品に関して、商品の安全性担保のための基盤となる微生物制御技術の研究を進めております。独立行政法人製品評価技術基盤機構との共同研究では、近年注目を浴びているマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS)を用いた、食中毒原因菌であるセレウス菌(Bacillus cereus)の迅速かつ精密な識別・同定(菌種特定)法を2018年に確立いたしました。さらに、当該分析法を用いた同定精度向上とともに、食中毒菌等の迅速検出技術、増殖予測技術についても研究を進めております。
また、新たな取り組みとして、持続可能な“次世代の魚タンパク”の商業化生産を目指し、2021年8月に細胞培養スタートアップのインテグリカルチャー株式会社と「魚類」の細胞培養技術の確立に向けた共同研究を開始しました。同社は、細胞農業(細胞培養)が普及する世界の実現に向けて、培養コストの低価格化と、細胞培養の大規模化技術の開発を行う革新的なスタートアップ企業です。同社が独自に展開する食品グレード培養液と汎用大規模細胞培養システム “CulNet System™”は、これまで牛と家禽の細胞で有効性が確認されており、本研究ではこれらを新たに魚類の細胞にも拡張します。検証に必要な生きた魚(細胞)の提供をマルハニチロが担って、研究を推進して参ります。
さらに水産・食品分野のリーディングカンパニーとして、関連学会での発表はもとより、関連セミナーにおける講師、理科授業の実施など、成果や技術力の情報発信に加え、社会に対する貢献活動に継続して取り組んでまいりました。