第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度の世界経済は、景気の減速が懸念されたものの、総じて緩やかな回復を継続しました。中国では経済構造改革が進められるなか、成長のペースは鈍化しました。欧州では中国や他の新興国向け輸出が減少したことにより低迷した状況が継続しました。米国では資源国経済の悪化及びドル高の影響による輸出の低迷や、個人消費の勢いが鈍化した局面があったものの、当連結会計年度末にかけて製造業の生産回復や、新規雇用者数の増加が見られました。国内経済は、雇用情勢の改善を背景に個人消費の持ち直しが見受けられたものの、設備投資や輸出が伸び悩み、景気の減速が懸念されました。また、当連結会計年度は、前連結会計年度からの円安傾向が持続しましたが、当連結会計年度末にかけて急速に円高が進みました。

 非鉄金属業界におきましては、ニッケル価格は、鉱石供給面への懸念から前連結会計年度において一時急伸したものの、その後、供給過剰感や中国経済の減速懸念などから一転して下落基調となりました。銅価格は、総じて下落基調となりましたが、当連結会計年度末にかけて持ち直しました。金価格は、小幅な値動きが続くなか下落基調で推移しましたが、当連結会計年度末にかけて持ち直しました。

 材料事業の関連業界におきましては、車載用電池向け部材の需要が増加し、スマートフォン向けなどの部材もおおむね堅調な販売環境を維持しましたが、パソコンやタブレットなどでの需要低迷から在庫調整の動きがみられました。

 

 以上より、当連結会計年度の連結売上高につきましては、円安の影響に加え、ニッケル及び金の増販があったものの、金属価格が下落したことなどにより、前連結会計年度に比べ659億27百万円減少の8,554億7百万円となりました。

 連結営業利益は、円安及び増販による好転要因があったものの、金属価格の下落による在庫評価影響の悪化などにより、前連結会計年度に比べ660億59百万円減少の597億20百万円となりました。連結経常損益は、連結営業利益の悪化に加え、シエラゴルダ鉱山社において減損損失を計上したことによる持分法による投資損失の計上及び為替差損益の悪化などにより、前連結会計年度に比べ1,869億90百万円減少の127億64百万円の損失となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、ヴァーレ ニューカレドニア社への投資に対する投資損失引当金の取崩しによる戻入益などの好転要因はありましたが、連結経常損益が大幅に悪化したため、前連結会計年度に比べ914億22百万円減少の3億9百万円の損失となりました。

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

① 資源セグメント

 菱刈鉱山につきましては、操業は順調に推移しました。

 海外鉱山につきましては、当社グループが自ら操業を行うポゴ金鉱山(米国)では、鉱石の金品位の低下により、前連結会計年度に比べ生産量及び販売量は下回りました。当社が経営に参画しているモレンシー銅鉱山(米国)は、拡張工事の実施により、生産量及び販売量は前連結会計年度を上回りました。シエラゴルダ鉱山社において減損損失を計上したことによる持分法による投資損失の計上に加えて、銅及び金価格の下落などにより、セグメント損失となりました。

 売上高は、前連結会計年度に比べ59億60百万円増加の1,197億51百万円となりましたが、セグメント損益は前連結会計年度に比べ980億92百万円悪化し、443億17百万円の損失となりました。

 なお、当社における金銀鉱(菱刈鉱)の産出量は、前連結会計年度に比べ7千t減少し141千t(含有金量6,909kg)となりました。

 

② 製錬セグメント

 ニッケルは、電気ニッケル生産能力の6万5千t/年体制による操業を継続したことから、前連結会計年度を上回る生産量と販売量になりました。コーラルベイニッケル社は順調な操業を継続しました。タガニートHPALニッケル社においては渇水により一時、操業に影響が出ましたが、前連結会計年度に比べ生産量及び販売量は上回りました。

 銅は、東予工場の定期炉修工事を実施いたしましたが、生産量と販売量は前連結会計年度並みを維持いたしました。

 売上高は、金属価格の下落などから、前連結会計年度に比べ683億59百万円減少の6,419億32百万円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ560億65百万円減少の252億58百万円となりました。

 なお、当社における銅の生産量は、前連結会計年度に比べ9千t減少し、420千tとなりました。金の生産量は、前連結会計年度に比べ3,269kg増加し、22,278kgとなりました。また、ニッケル(フェロニッケルを含む)の生産量は、前連結会計年度に比べ6千t増加し、86千tとなりました。

③ 材料セグメント

 電池材料及び結晶材料は、車載用電池向けやスマートフォン向け需要が好調を維持しましたが、その他の製品で顧客の在庫調整の動きが顕著となり減販となりました。また、これらの減販による悪化に加え、車載用電池向けやスマートフォン向け需要の増加に対応した増産体制を構築するための費用が増加したことなどにより、セグメント利益は前連結会計年度を下回りました。

 売上高は、前連結会計年度に比べ26億9百万円減少の1,715億97百万円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ69億42百万円減少の59億72百万円となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度におきましては、持分法による投資損益の悪化により、前連結会計年度に比べて税金等調整前当期純利益が減少しましたが、有形固定資産の取得が減少したことに加え、長期借入金の新規借入を増加したことなどから、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末から201億5百万円増加し、1,978億25百万円となりました。

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、持分法による投資損益の悪化により、税金等調整前当期純利益が減少し、投資損失引当金も減少しましたが、たな卸資産が減少したことなどから、前連結会計年度に比べて2億99百万円の減少に止まり、1,197億4百万円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、モレンシー銅鉱山拡張投資及びタガニートプロジェクト等での有形固定資産の取得の減少等により、前連結会計年度に比べて121億48百万円支出が減少し、928億76百万円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の新規借入の増加等により、前連結会計年度に比べて350億44百万円支出が減少し、40億3百万円の支出となりました。

 

   (注)「事業の状況」に記載している金額は、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」を除き、消費税等を除いた金額であります。

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績及び受注状況

 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また連結会社間の取引が複雑で、報告セグメントごとの生産実績及び受注状況を正確に把握することは困難なため、当社の主要な品目等についてのみ「1.業績等の概要」において、各報告セグメントの業績に関連付けて記載しております。

 

(2)販売実績

 当連結会計年度における販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

資源

119,751

+5.2

製錬

641,932

△9.6

材料

171,597

△1.5

報告セグメント計

933,280

△6.5

その他

15,291

△11.9

調整額

△93,164

連結財務諸表計上額

855,407

△7.2

 (注)1.セグメント間の販売実績は、各セグメントに含めて表示しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

住友商事㈱

136,925

14.9

133,912

15.7

三井物産㈱

75,918

8.2

63,915

7.5

 

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

 当社グループは、本年2月に発表いたしました平成28年度から平成30年度までの3年間を対象とする「2015年中期経営計画」(以下、「15中計」という。)を実行し、企業価値の一層の向上をめざしてまいります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 基本方針

当社グループは、以下の経営理念、経営ビジョン、CSR方針を経営の基本方針としております。

「SMMグループ経営理念」

・ 住友の事業精神に基づき、地球および社会との共存を図り、健全な企業活動を通じて社会への貢献とステークホルダーへの責任を果たし、より信頼される企業をめざします

・ 人間尊重を基本とし、その尊厳と価値を認め、明るく活力ある企業をめざします

 

「SMMグループ経営ビジョン」

・ 独自技術を駆使してものづくり企業としての社会的な使命と責任を果たします

・ コンプライアンス、環境保全および安全確保を基本としたグローバルな企業活動により、非鉄金属、電子・機能性材料などの高品質な材料を提供し、企業価値の最大化をめざします

 

「CSR方針」

1.資源の有効利用およびリサイクルを推進するとともに、技術革新やエネルギー効率の継続的な改善などにより、地球温暖化対策に取り組みます

2.国内外において地域に根ざした活動を積極的に推進し、地域社会との共存を図ります

3.健全な事業活動を継続するために、人権を尊重するとともに、多様な人材が活躍する企業を目指します

4.安全を最優先し、快適な職場環境の確保と労働災害ゼロを達成します

5.多様なステークホルダーとのコミュニケーションを強化し、健全な関係を構築します

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは「15中計」において、財務体質の健全性を示す指標として連結自己資本比率50%以上の維持を掲げております。

 

(3) 事業戦略

 世界経済の先行きに懸念材料が散見され、中長期的に見通しが立てにくいものの、為替レートの変動、優良資源の希少化や資源ナショナリズムの拡大など、当社をとりまく事業環境は大きく変化しています。こうした環境変化も踏まえながら、当社は、資源・製錬・材料の3つのコアビジネスの継続的成長により、「世界の非鉄リーダー」「日本のエクセレントカンパニー」となるべく、ニッケル生産量15万t/年体制と銅30万t・金30tの権益分年間生産量、新規の材料製品での経常利益50億円/年を目標に掲げ、連結売上高1兆円/年・親会社株主に帰属する当期純利益1千億円/年をめざして、成長戦略を推進してまいります。

 当社は、銅製錬を事業の淵源とする会社であり、優良な資源権益の確保にとどまらず、それらを製錬・加工して高品質の地金や材料を供給することで社会に貢献するとともに、企業価値を向上させていくことができると考えています。そのことが真の意味での「世界の非鉄リーダー」であると認識し、これに向けて更なる成長をめざします。

 また、「日本のエクセレントカンパニー」となるべく、連結売上高1兆円/年、親会社株主に帰属する当期純利益1千億円/年の規模と収益力を持ち、確固とした経営理念・経営ビジョンや、これらに基づくコーポレート・ガバナンスの徹底とCSR活動の充実を図る等の強固な経営基盤の下で、成長戦略を継続的に打ち出し実現していく企業をめざします。

 成長戦略の柱となる各大型プロジェクトの遂行については、「種蒔き」「植付け」「育成」「刈取り」のステージにそれぞれ区分し、3つのコアビジネスの大型プロジェクト案件が「種蒔き」「植付け」「育成」「刈取り」の各ステージにあり、これらのPDCA管理を徹底することを基本モデルとして、継続的な成長戦略の遂行を図っていくこととしています。

 

① 資源

 資源事業は、長期ビジョンとして、平成33年度に権益分年間生産量銅30万t・金30tとすることをめざして探鉱と開発案件への参入を進めます。銅は、すでに稼働しているモレンシ―銅鉱山、セロ・ベルデ銅鉱山の拡張とシエラゴルダプロジェクトの商業生産開始、さらにはモレンシー銅鉱山の権益追加取得により、権益分年間生産量30万tが視野に入ってきました。金については、探鉱活動に加え権益の取得を積極的に推進するとともに、菱刈鉱山及びポゴ金鉱山の周辺探鉱を推し進めて、追加金量の獲得に注力してまいります。

 

② 製錬

 ニッケル精錬は、タガニートプロジェクトと電気ニッケル生産能力の6万5千t/年への増産起業が平成25年に完工し、ニッケル10万t/年体制が完成いたしました。さらに長期ビジョンとして、新規鉱源確保とニッケル生産能力増強により、これを15万t/年に引き上げる構想を描いています。これを踏まえ、さらに競争力を強化するべく、スカンジウム等の新たな資源の回収を事業化していくとともに、資源・精錬開発センターにおいてニッケル精製法、HPALの技術革新に取り組みます。

 銅製錬は、買鉱条件の好転や原油価格下落によるエネルギーコストの低下等により事業環境は改善しております。安定操業、二次原料の増処理、固定費の削減等により、一層の競争力の強化を図ります。

 

③ 材料

 平成25年度から平成27年度までの3年間を対象とする「2012年中期経営計画」(以下、「12中計」という。)で事業構造の転換を図り、将来の成長が期待される電池材料や結晶材料などの製品群に投資を集中しました。「15中計」では、これら製品群を確実に戦力化して収益の向上を図ります。また、さらなる成長を目指して、研究開発部門と協力して、新商品上市に向けて精力的に取り組みます。

 

④ 研究開発

 「15中計」に基づいて、従来同様、重点的な資源配分を継続し、材料系新商品開発の加速、資源・製錬技術の革新、プロセス開発の推進に取り組んでまいります。

 

(4) 買収防衛策について

① 基本方針の内容の概要

 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社が企業価値・株主共同の利益を継続的かつ安定的に確保し、向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。

 当社は、株式の大量買付であっても、当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。また、株式会社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。

 しかしながら、株式の大量買付の中には、対象会社の企業価値・株主共同の利益を損なうものも少なくありません。

 当社は、当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大量買付を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付に対しては、必要かつ相当な対抗措置を採ることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えます。

 

② 基本方針実現のための取組みの具体的な内容の概要

a.基本方針の実現に資する特別な取組みの概要

  当社は、平成28年2月15日に、「2015年中期経営計画」を公表し、引き続き「世界の非鉄リーダー」と「日本のエクセレントカンパニー」をめざす基本戦略の下、「資源」「製錬」「材料」の各事業の成長戦略を継続的に推進してまいります。具体的には、資源・製錬事業においては、ニッケル年産15万t体制および権益分年間生産量として銅30万t・金30tをめざして事業の拡大を図り、材料事業においては、今後、需要の伸びが期待される分野において積極的な商品開発や経営資源の投入を行い成長戦略を進めてまいります。

  当社は、より透明性の高い経営をめざして、取締役のうち3分の1以上を独立した社外取締役として選任する方針を定めており、この方針に基づき、取締役8名のうち3名を独立した社外取締役としております。また、監査役4名のうち2名を社外監査役として選任しております。社外取締役および社外監査役の独立性の判断にあたっては、会社法に定める社外要件、株式会社東京証券取引所が定める独立性の基準および当社が定めた独立性の基準に従います。かかる基準によれば、当社の社外取締役と社外監査役はいずれも当社からの独立性を有しております。取締役、執行役員等の指名・報酬等については、執行役員でない取締役会長および独立社外取締役を構成員とし、独立社外取締役が過半数を占めるガバナンス委員会において助言を得ることとしています。また、取締役および監査役の自己評価等により取締役会の実効性のさらなる向上を図っております。加えて、執行役員制度を採用しており、執行役員の権限と責任の明確化と執行役員に対する大幅な権限委譲を行い、執行機能を強化しております。

 

b.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要

  当社は、平成28年2月15日開催の取締役会において「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)」の更新を決議し、第91期定時株主総会において、株主の皆様の過半数の賛成により、ご承認をいただきました(以下、更新後の対応策を「本プラン」といいます。)。

  当社取締役会は、当社の企業価値・株主共同の利益に資さない当社株式の大量買付を行う者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止し、当社の企業価値・株主共同の利益に反する大量買付を抑止するとともに、大量買付が行われる際に、当社取締役会が株主の皆様に代替案を提案したり、あるいは株主の皆様がかかる大量買付に応じるべきか否かを判断するために必要な情報や時間を確保すること、株主の皆様のために交渉を行うこと等を可能とすることを目的としております。

  本プランは、当社株券等の20%以上を買収しようとする者が現れた際に、買収者に事前の情報提供を求める等、上記の目的を実現するために必要な手続を定めております。

  買収者が本プランに定められた手続に従わない場合や当社株式の大量買付が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれがある場合等で、本プランに定められた発動要件を満たす場合には、当社は、買収者による権利行使は原則として認められないとの行使条件及び当社が買収者以外の者から当社株式と引換えに新株予約権を取得できる旨の取得条項が付された新株予約権を、その時点の当社を除く全ての株主の皆様に対して新株予約権無償割当ての方法により割り当てます。本プランに従って新株予約権の無償割当てがなされ、その行使又は当社による取得に伴って買収者以外の株主の皆様に当社株式が交付された場合には、1個の新株予約権につき、原則として0.5から1株の範囲内で当社株式が発行されることから、買収者の有する当社の議決権割合は、最大約50%まで希釈化される可能性があります。

  当社は、本プランに従った新株予約権の無償割当ての実施、不実施又は取得等の判断については、取締役の恣意的判断を排するため、独立委員会規則に従い、当社経営陣から独立した当社社外取締役等のみから構成される独立委員会を設置し、その客観的な判断を経るものとしております。また、当社取締役会は、これに加えて、本プランに定められた場合には、株主総会を招集し、株主の皆様の意思を確認することがあります。

  こうした手続の過程については、適宜株主の皆様に対して情報開示を行い、その透明性を確保することとしております。

  本プランの有効期間は、平成31年6月開催予定の定時株主総会終結の時までとしております。

 

③ 具体的取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由

 当社の「15中計」及び既に実施しているコーポレートガバナンス強化のための取組みは当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ安定的に向上させるための具体的方策として策定されたもので、まさに当社の基本方針に沿うものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 また、本プランは、企業価値・株主共同の利益を確保、向上させる目的をもって導入されたものであり、当社の基本方針に沿うものです。特に、本プランは、第91期定時株主総会において株主の皆様により承認されていること、その内容として合理的な客観的要件が設定されていること、独立性を有する社外取締役のみによって構成される独立委員会が設置されており、対抗策の発動に際しては必ず独立委員会の判断を経ることが必要とされていること、独立委員会は当社の費用で第三者専門家の助言を受けることができるとされていること、有効期間は原則として3年間とされており、また、その満了前であっても当社取締役会によりいつでも廃止できるとされていることなどにより、その公正性・客観性が担保されており、企業価値・株主共同の利益に資するものであっ

て、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

(5)その他

 ㈱ジェー・シー・オーは、引き続き施設の維持管理、低レベル放射性廃棄物の保管管理等に専念しております。当社は、同社がこれらに万全の態勢で取り組むことができるよう引き続き支援を行ってまいります。

 

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1)非鉄金属価格及び為替レートの変動

① 非鉄金属価格の低下

 ニッケル、銅、金などの非鉄金属の価格は、ロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)、その他の国際市場において決定されます。(以下、それらの市場において決定された価格を、LME相場等という。)LME相場等は、国際的な需給バランス、政治経済の状況、投機的取引、さらには代替素材の競争力などの影響を受けて変動します。それらの影響によりニッケル、銅、金などのLME相場等が著しく低下しその状態が長期間続いた場合、当社グループの財政状態及び経営成績の重大な悪化につながります。

 

② 為替レート(円高)

 銅精鉱、ニッケルマットなどの輸入原料だけでなく、非鉄金属地金の国内価格につきましても、米国ドル建てのLME相場等を基準に決定されることから、当社が製錬事業から得る製錬マージンは実質的に米国ドル建てであります。また、海外への鉱山投資、材料事業への投資並びに同事業の製品等の輸出から得られる収入も外国通貨建てであります。したがって、為替レートが大きく円高に振れ、長期間継続した場合、当社グループの財政状態及び経営成績の重大な悪化につながります。

 

 これらに対し、当社グループは原料調達、製造それぞれにおいて競争力の強化を図り、環境悪化を克服するために諸施策を推進しております。

 

(2)非鉄金属原料の購入契約条件の悪化及び供給障害

 当社グループは、銅精鉱、ニッケルマットなどの非鉄金属原料の調達について、自山鉱比率を高めていく方針でありますが、現在は過半を投資に裏打ちされていない長期買鉱契約により調達しております。

 長期買鉱契約については、原料購入条件について毎年改定交渉を行いますが、その際さまざまな市場の要因により必ずしも必要量を妥当な価格により購入することができない場合があります。さらに、製品価格は需給など主に非鉄金属地金自身の要因により決まることから、製品価格に原料購入条件の悪化を転嫁することが難しい場合があります。

 また、異常気象、大規模地震、供給者の操業上の事故及び労働争議など当社の管理の及ばない事態により原料の供給が遅延又は停止することがあります。これらにより当社グループの生産が制約を受け、財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。

 これらに対し、当社グループは海外鉱山開発及び優良な海外鉱山等への投資により自山鉱比率を高め、安定した原料ソースの確保を進めております。

 

(3)鉱山投資の不確実性

 当社グループは、上述のとおり原料調達における自山鉱の比率を高めていくために鉱山投資を行っていく方針でありますが、探鉱結果に基づき想定した採鉱可能埋蔵量及び採鉱コストと実際が異なる、あるいは将来異なっていくことにより投資回収が想定どおり進まない可能性があります。鉱山開発においては、環境行政上の手続きを含むさまざまな事態により生産開始が遅延し、開発費用の負担が増加する可能性があります。これら鉱山投資の不確実性に起因する追加投資あるいは採鉱コスト上昇の負担が、当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。

 これらに対し、当社グループは長年の探鉱経験及び鉱山評価ノウハウの蓄積に基づく慎重な採算性判断により厳選した投資を実行しております。

 

(4)環境保全と法令遵守に係るリスク

 当社グループの事業、特に鉱山業及び非鉄金属製錬業は、労働安全、労働衛生、環境保全、鉱害又は公害防止、鉱業又は産業廃棄物処理、毒劇物管理など広範な法令の適用を受けております。それらの法令により、事業者の過失の有無に拘わらず損害補償を課せられること、休廃止した鉱山の維持管理を課せられることがあります。また、新たな環境規制などにより追加の費用負担が発生する可能性があります。さらに鉱山業及び非鉄金属製錬業は、環境汚染と鉱業又は産業廃棄物処理のリスクとそれに対応する責任を負っております。以上、関係法令を遵守しつつ事業を経営していくため、相当額の必要コストを負担しなければならない場合、また不測の事態によりリスクが顕在化し、その対応に要するコストが想定を上回る場合が考えられ、それらのコスト負担が当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。

 これらに対し、当社グループは環境マネジメントシステム及びリスクマネジメントシステムを厳格に運用し環境保全と法令遵守に万全を期すとともに、負担コストの適正化を図ることとしております。

 

(5)市場変化と新商品開発及び知的財産に係るリスク

 当社グループの材料事業が対象とする市場では、利用技術、顧客要求、商品寿命が急速に変化する一方で、新商品の開発は長期化し、多くの資金及び人材投入を要することがあります。また、新商品の市場投入後、技術進歩により当該商品が陳腐化した場合、変化する顧客要求に対応できない場合及び競争相手の同等品の市場占有が進行した場合には、要した投資の回収が計画通りに見込めないこともあります。

 また、当社グループの材料事業の主要製品の販売量は、携帯端末、パソコン、家電製品などを製造する顧客の生産水準に依存しており、顧客が製造するこれら製品の需要の周期的変化、技術革新の進展、経済動向一般その他の要因によって変化いたします。

 これらにより、材料事業における新商品開発及び既存商品の販売が計画どおりに進まない場合、当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすことが考えられます。

 当社グループは、知的財産権の獲得と管理の重要性を認識し、法令にしたがって取得保全手続きを行っておりますが、知的財産権の保全手続きにつきましては必ずしも確実に取得できるものではなく、第三者との係争、第三者による違法な実施などにより当社の研究開発成果の享受が脅かされる場合が考えられます。

 これらに対し、当社グループは研究開発成果の早期実現をめざした研究開発体制を敷き、影響の軽減を図っております。また、知的財産権の管理につきましては専門部所を設け、確実な取得及び保全に努めております。

 

(6)海外進出

 当社グループは、製品の製造拠点及び販売の市場を海外に求め、国際的に事業を展開しております。海外における事業活動につきましては、政情不安、環境・労働・課税・通貨管理・貿易上の法令及び規制の変化、知的財産権等の法的権利の限定的保護あるいは不十分な強制力、外国為替の変動、財産の没収あるいは国有化など個々の国毎に政治的、経済的リスクが存在しております。非鉄金属価格の高騰などを背景とする国家や地方政府による資源事業への介入・増税への動き、あるいは各方面からの環境対策要求の高まりなどを含め、それらのリスクの顕在化により当該投下資金の回収を達成しえなくなる場合が考えられます。

 これらに対し、当社グループはカントリーリスクを十分に検討し、投資の意思決定を行っております。

 

(7)災害等

 当社グループの製造拠点は、顧客との関係、原料調達、グループ内関連事業との連携、経営資源の有効活用などの点より立地していますが、それら地域に大規模な地震、風水害等不測の災害や事故が発生した場合、損害が多額になるとともに当該製造拠点での生産が大幅に低下する可能性があります。

 これらに対し、当社グループは、可能かつ妥当な範囲で保険を付するとともに二次的な影響を抑えるための対応の整備を図っております。

 

(8)情報管理

 顧客情報や個人情報の流出が発生した場合には、損害補償等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 これらに対し、当社グループでは、セキュリティ対策システムの導入や情報セキュリティ教育の実施を進めております。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)モレンシー銅鉱山の共同運営契約

 当社の連結子会社であります住友金属鉱山アリゾナ社は、米国モレンシー銅鉱山を共同保有し、同鉱山の共同運営を行う契約を米国フリーポート・マクモラン社の関係会社と締結しております。これにより、住友金属鉱山アリゾナ社は、同鉱山の生産物の権益見合いの15%を引き取る権利・義務を保有しております。

 

(モレンシー銅鉱山の権益追加取得について)

 当社と米国フリーポート・マクモラン社は、当社が米国モレンシー銅鉱山への権益を追加取得することにつき、平成28年2月15日に合意し、以降必要な許認可の取得作業を進めてまいりました。

 このたび、権益取得にかかるすべての要件を満たしたため、平成28年5月31日付けで米国フリーポート・マクモラン社の関係会社より権益を追加取得しました。

 上記に伴い、米国モレンシー銅鉱山の共同運営を行う契約を一部見直しております。
 当社の連結子会社である住友金属鉱山アメリカ社の100%子会社であるエス・エム・エム モレンシー社が、新たに同鉱山の生産物の権益見合いの13%を引き取る権利・義務を保有することとなりました。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

(2)カンデラリア鉱山社の共同運営契約

 当社の連結子会社でありますエス・エム・エム・エー カンデラリア社は、チリ共和国カンデラリア鉱山社の株式の20%を保有し、同社の共同運営を行う契約をカナダ国ルンディン・マイニング社と締結しております。これにより、エス・エム・エム・エー カンデラリア社は、カンデラリア鉱山社の生産物の20%を購入する権利・義務を保有しております。

 

(3)ポゴ金鉱山の共同運営契約

 当社の連結子会社であります住友金属鉱山ポゴ社は、米国ポゴ金鉱山を共同保有し、同鉱山の共同運営を行う契約を、住友商事㈱の関係会社と締結しております。これにより、住友金属鉱山ポゴ社はオペレータとして同鉱山の操業を実施し、並びに同鉱山の生産物の権益見合いの85%を引き取る権利・義務を保有しております。

 

(4)セロ・ベルデ鉱山社の共同運営契約

 当社の連結子会社でありますエス・エム・エム セロ・ベルデ ネザーランド社は、ペルー共和国のセロ・ベルデ鉱山社の株式の21%を保有し、当社はセロ・ベルデ鉱山社の共同運営を行う契約を、米国フリーポート・マクモラン社及び同社の関係会社並びにペルー共和国ブエナベンチューラ社と締結しております。これにより、当社は、セロ・ベルデ鉱山社で生産された銅精鉱につき、当初10年間は生産量の50%、11年目以降は生産量の21%を購入する権利・義務を保有しております。

 

(5)PT ヴァーレ インドネシアの共同運営契約

 当社は、インドネシア共和国のPT ヴァーレ インドネシアの株式の20%を保有し、同社の共同運営を行う株主間契約を、カナダ国のヴァーレ・カナダ社と締結しております。これにより、当社は、PT ヴァ-レ インドネシアのソロワコ鉱山の生産物の20%を購入する権利・義務を保有しております。

 

(6)コーラルベイニッケル社の共同運営契約

 当社の連結子会社でありますコーラルベイニッケル社は、三井物産㈱及び双日㈱並びにフィリピン共和国リオツバ・ニッケル・マイニング社より合計46%の出資を受け、当社は、同三社とコーラルベイニッケル社を共同運営する契約を締結しております。これにより、コーラルベイニッケル社は、リオツバ・ニッケル・マイニング社から同社のリオツバ鉱山のニッケル鉱のうち、HPAL法に適した鉱石を全量購入する権利を保有し、当社はコーラルベイニッケル社の生産物を全量購入する権利を保有しております。

 

(7)シエラゴルダ鉱山社の共同運営契約

 当社の連結子会社でありますエス・エム・エム シエラゴルダ インベルシオネス社は、チリ共和国シエラゴルダ鉱山社に45%の出資をしており、当社は同社の共同運営を行う契約を住友商事㈱及びカナダ国KGHM インターナショナル社と締結しております。これにより、当社は、シエラゴルダ鉱山社で生産された銅精鉱の50%を購入する権利・義務を保有しております。

 

 

(8)リードフレーム事業に関する共同運営契約

 当社と日立金属㈱は、リードフレーム事業において共同出資によりSHマテリアル㈱を設立しております。当社は日立金属㈱との間でSHマテリアル㈱の「株主間契約」を締結し、これに基づき事業運営を行っております。

 

(9)タガニートHPALニッケル社の共同運営契約

 当社の連結子会社でありますタガニートHPALニッケル社は、三井物産㈱並びにフィリピン共和国ニッケルアジア社より合計37.5%の出資を受け、当社は、同二社とタガニートHPALニッケル社を共同運営する契約を締結しております。これにより、タガニートHPALニッケル社は、ニッケルアジア社の子会社であるタガニート・マイニング社から同社のタガニート鉱山のニッケル鉱のうち、HPAL法に適した鉱石を全量購入する権利を保有し、当社はタガニートHPALニッケル社の生産物を全量購入する権利を保有しております。

 

6【研究開発活動】

当社グループでは資源、製錬及び材料をコアビジネスとして選択と集中を進めるなか、研究開発においても研究開発費の重点配分を行い、「鉱山開発・操業技術」、「製錬・プロセス技術」、「結晶育成技術」、「粉体合成技術」、「表面処理技術」、「樹脂技術」の6つをコア技術とし、「評価・分析技術」、「数理解析技術」を基盤技術と定め、技術ドメインを明確にして重点的な開発を実行しております。具体的には、資源開発及び非鉄製錬分野におけるさらなる技術開発、また、材料分野では、最近社会的に関心が高い環境・エネルギー分野及び情報通信分野の材料・新技術開発を中心に取り組んでおります。研究開発は新商品の売上目標規模を明確にした上で実施しており成果を挙げつつあります。

 なお、当連結会計年度に投入した研究開発費は57億72百万円であり、研究所の費用を管理上、各セグメントに配分した後の調整額等△1億74百万円が含まれております。

 セグメントごとの研究開発活動の状況は次のとおりであります。

 

(1)資源セグメント

非鉄原料鉱石の処理に関して、精鉱の品質及び実収率の改善のための浮遊選鉱、リーチング等の選鉱技術開発や、菱刈鉱山や国内の休廃止鉱山から排出される坑廃水の処理に関する技術開発を行っております。その他、探査技術や鉱石採掘法の効率化の技術開発等を行っております。

当セグメントに係る研究開発費は2億94百万円であります。

 

(2)製錬セグメント

非鉄金属事業において、原料対応力、コスト競争力強化に繋がる製錬技術の開発や新プロセス技術の開発を行っております。新たにHPAL法の原料となるニッケル鉱石からクロム分をクロマイトとして分離・回収する技術や、浸出残渣から鉄を資源化する技術を開発しパイロットプラントを建設しました。さらに、HPALプロセスからスカンジウムを回収する技術を開発し、パイロットプラントによるスケールアップ試験を経て、このたび実操業プラントを建設することとなりました。また、ハイブリッド自動車の二次電池からニッケルをはじめとするレアメタルなどのリサイクルプロセスの開発も進めております。

当セグメントに係る研究開発費は11億20百万円であります。

 

資源・精錬分野における競争力を一層強化するため、「資源・精錬開発センター」において、当面の重要課題であるニッケル生産量15万t/年体制の構築にむけて、新プロセスの研究開発を推進しています。

 産学連携では、九州大学と組織対応型連携契約を締結し、共同研究と人材育成を継続してきております。選鉱技術の改善やスカンジウムの分離精製技術の開発などに取り組んでいるほか、九州大学全体のシーズを活用して資源・製錬分野を中心にさまざまなテーマでの連携を進めています。

 

(3)材料セグメント

環境・エネルギー分野で注目されている二次電池および情報通信分野で注目されている情報通信端末用のSAWフィルターに関連した機能性材料を中心に研究開発を進めております。

二次電池関連では、リチウム二次電池の正極材料であるニッケル酸リチウムについて、コスト・容量・安全性確保などの機能向上を図り、ハイブリッド自動車、電気自動車用電池への積極的な展開に取り組んでおります。

情報通信分野では、情報通信端末用SAWフィルターのチップに用いられるタンタル酸リチウム基板の増産のため、結晶育成技術や加工技術の開発に取り組んでおり、1回の育成で得られる結晶から、より多くの基板を得るための技術を開発しました。

製品ライフサイクルの短い材料事業においては、事業部門との連携を強化し、スピード感をもった研究開発による新規材料の開発・上市が求められています。

材料事業関連の研究開発機能のより一層の強化を目的として、平成27年10月1日付で既存の材料開発センター(東京都青梅市)を「材料研究所」に、市川研究所(千葉県市川市)を「市川研究センター」に名称を見直し発足させました。

そこで、材料研究所を材料事業関連の研究開発の拠点と位置付け、従来、市川研究所において進めてきた有機樹脂関連の研究開発テーマを材料研究所に、次世代電池関連の研究開発テーマを電池研究所(愛媛県新居浜市)に移管して、より事業部門との連携を取りやすくしました。

一方、市川研究所は市川研究センターに名称変更し、粉体基礎研究と評価技術に特化して種まき機能の強化を図りました。

 

産学連携では、東北大学と包括的な共同研究と人材教育を進める組織連携協力協定を締結し、同大学の広範囲にわたる研究機能を活用して、新素材の開発、評価技術の開発及び人材育成を進める体制を整備しております。

当セグメントに係る研究開発費は45億32百万円であります。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純損失」を「親会社株主に帰属する当期純損失」としております。

 

(1)財政状態の分析

① 資産の部

 総資産は、前連結会計年度末に比べ1,094億46百万円減少し、1兆6,308億円となりました。

 流動資産は、主に譲渡性預金である有価証券が増加しましたが、金属価格の下落による影響に加え、当連結会計年度末にかけて急速に円高が進んだことなどにより、受取手形及び売掛金並びにたな卸資産が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ67億82百万円の減少となりました。固定資産は、ヴァーレ ニューカレドニア社への投資に対する投資損失引当金の取崩による増加などがあったものの、シエラゴルダ鉱山社における減損損失などにより持分法による投資損失が計上されたこと、並びに一般株式の株価下落に伴い時価評価額が低下したことにより投資有価証券が減少したことから、前連結会計年度末に比べ1,026億64百万円の減少となりました。

 

② 負債の部

 負債の部の合計は、前連結会計年度末に比べ264億96百万円減少し、5,548億5百万円となりました。

 流動負債は、未払法人税等の減少などにより、前連結会計年度末に比べ131億58百万円の減少となりました。固定負債は繰延税金負債の減少などにより、前連結会計年度末に比べ133億38百万円の減少となりました。

 

③ 純資産の部

 純資産の部の合計は、一般株式の株価下落に伴いその他有価証券評価差額金が減少したこと、配当を実施したこと、並びに円高により為替換算調整勘定が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ829億50百万円減少し、1兆759億95百万円となりました。

 

④ 経営指標

 当社グループは、平成25年度から平成27年度までの3年間を対象とする「12中計」に基づき、さらなる企業価値・株主共同の利益の向上を実現するために邁進しました。

 「12中計」においては、財務体質の健全性を示す指標として連結自己資本比率50%以上の維持、株主還元として連結配当性向25%以上を継続いたしました。なお、当連結会計年度の自己資本比率は60.3%となり、連結配当性向は親会社株主に帰属する当期純損失を計上したため、記載しておりません。

 

(2)経営成績の分析

① 連結売上高

 当連結会計年度の連結売上高は、8,554億7百万円となりました。円安の影響に加え、ニッケル及び金の増販があったものの、金属価格が下落したことなどにより、前連結会計年度に比べ659億27百万円の減収となりました。

 

② 連結営業利益

 当連結会計年度の連結営業利益は、597億20百万円となりました。円安及び増販による好転要因があったものの、金属価格の下落による在庫評価影響の悪化などにより、前連結会計年度に比べ660億59百万円の減少となりました。

 

③ 連結経常損益

 当連結会計年度の連結経常損益は、127億64百万円の損失となりました。連結営業利益の悪化に加え、シエラゴルダ鉱山社において減損損失を計上したことによる持分法による投資損失の計上及び為替差損益の悪化などにより、前連結会計年度に比べ1,869億90百万円の減少となりました。

 

④ 親会社株主に帰属する当期純損益

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損益は、3億9百万円の損失となりました。ヴァーレ ニューカレドニア社への投資に対する投資損失引当金の取崩しによる戻入益などの好転要因はありましたが、連結経常損益が大幅に悪化したため、前連結会計年度に比べ914億22百万円の減少となりました。

 

 なお、当連結会計年度の世界経済は、景気の減速が懸念されたものの、総じて緩やかな回復を継続しました。中国では経済構造改革が進められるなか、成長のペースは鈍化しました。欧州では中国や他の新興国向け輸出が減少したことにより低迷した状況が継続しました。米国では資源国経済の悪化及びドル高の影響による輸出の低迷や、個人消費の勢いが鈍化した局面があったものの、当連結会計年度末にかけて製造業の生産回復や、新規雇用者数の増加が見られました。国内経済は、雇用情勢の改善を背景に個人消費の持ち直しが見受けられたものの、設備投資や輸出が伸び悩み、景気の減速が懸念されました。また、当連結会計年度は、前連結会計年度からの円安傾向が持続しましたが、当連結会計年度末にかけて急速に円高が進みました。

 非鉄金属業界におきましては、ニッケル価格は、鉱石供給面への懸念から前連結会計年度において一時急伸したものの、その後、供給過剰感や中国経済の減速懸念などから一転して下落基調となりました。銅価格は、総じて下落基調となりましたが、当連結会計年度末にかけて持ち直しました。金価格は、小幅な値動きが続くなか下落基調で推移しましたが、当連結会計年度末にかけて持ち直しました。材料事業の関連業界におきましては、車載用電池向け部材の需要が増加し、スマートフォン向けなどの部材もおおむね堅調な販売環境を維持しましたが、パソコンやタブレットなどでの需要低迷から在庫調整の動きがみられました。

 

(3)キャッシュ・フローの分析

 当社グループのキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載しております。