当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間の世界経済は、中国の構造改革推進による経済成長の減速などが懸念されるなか、北朝鮮及び中東を巡る地政学的リスクが高まりましたが、企業業績の改善を背景に世界的な株高が継続するなど、経済全体としては拡大基調となりました。米国では、企業業績及び個人消費が引き続き好調に推移しました。中国は、インフラ投資、不動産、自動車、サービス業などが牽引役となり、高い経済成長率を維持しました。欧州は、物価上昇により個人消費の回復に一服感が表われつつありますが、内需主導で経済成長を維持しました。国内経済は、インバウンド需要や輸出の持ち直しなどにより、内需と外需でバランスのとれた緩やかな回復が継続しました。
為替相場は、英国のEU離脱の影響で円高が急速に進んだ前年同期間と比べ、円安となりました。また、米国大統領選挙後、新政権が掲げていた大幅減税策やインフラ投資政策への期待から、前年同期間は期末にかけて一時的に円安が急進しましたが、当第3四半期連結累計期間は大きな変動がありませんでした。
非鉄金属業界におきましては、中国の経済成長減速への懸念が和らいだことなどにより、ニッケル及び銅価格ともに上昇基調が継続し、いずれも前年同期間を上回りました。
材料事業の関連業界におきましては、車載用電池向け部材の需要が引き続き増加しました。スマートフォン向けなどの部材については、一部に在庫調整が続いているものの、概ね堅調な販売環境が継続しました。
このような状況のなか、当第3四半期連結累計期間の連結売上高は、主要非鉄金属価格の上昇及び円安の影響などにより前年同期間に比べ1,213億81百万円増加し、6,858億41百万円となりました。連結営業利益は、増収により前年同期間に比べ304億27百万円増加し、784億25百万円となりました。連結経常利益は、連結営業利益の増加に加え、シエラゴルダ鉱山社に関する持分法による投資損失が減少したことなどにより、前年同期間に比べ1,164億87百万円増加し、910億9百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期間において計上されたヌサ・テンガラ・マイニング社の解散に伴う投資有価証券清算益がなかった一方、国内連結子会社である株式会社ジェー・シー・オーにおける廃止措置準備引当金繰入額が減少したことなどにより、前年同期間に比べ978億10百万円増加し、649億81百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 資源セグメント
菱刈鉱山は計画通り順調な生産を継続しております。ポゴ金鉱山の生産量及び販売量は鉱石の金品位低下などがあったものの、前年同期間並みとなりました。モレンシー銅鉱山の生産量及び販売量は鉱石の銅品位低下などにより、前年同期間を下回りました。シエラゴルダ鉱山社の生産量及び販売量は操業度等の改善により、前年同期間を上回りました。持分法による投資損益は、セロ・ベルデ鉱山社において鉱業事業者に対する過年度のロイヤリティ等を計上したものの、シエラゴルダ鉱山社において前年同期間に計上された減損損失が当期はなかったことなどにより好転しました。これに加えて、銅価格が上昇したことなどにより、セグメント損益は前年同期間に比べ大幅に好転しました。
売上高は、前年同期間に比べ283億23百万円増加の1,154億94百万円となり、セグメント損益は、前年同期間に比べ996億37百万円好転の370億8百万円の利益となりました。
② 製錬セグメント
金の生産量及び販売量は前年同期間を上回りましたが、ニッケル(フェロニッケルを含む)並びに銅の生産量及び販売量は前年同期間を下回りました。コーラルベイニッケル社の生産量及び販売量は前年同期間並みとなりましたが、タガニートHPALニッケル社の生産量及び販売量は前年同期間を上回りました。非鉄金属価格は前年同期間を上回り、さらに為替相場が前年同期間に比べ円安となったことなどから、セグメント利益は前年同期間を上回りました。
売上高は、前年同期間に比べ887億44百万円増加の4,941億13百万円となり、セグメント利益は、前年同期間に比べ145億90百万円増加の351億65百万円となりました。
③ 材料セグメント
電池材料の販売量は、増産体制の構築が進展したことで前年同期間を上回りました。一方、スマートフォンの部材向け結晶材料の販売量は、顧客の在庫調整が続いたことなどにより前年同期間を大幅に下回りました。リードフレーム事業撤退による影響はあったものの、電池材料の販売が好調であったことから、当セグメント全体では前年同期間に比べ増収となり、セグメント利益は前年同期間を上回りました。
売上高は、前年同期間に比べ78億52百万円増加の1,340億円となり、セグメント利益は、前年同期間に比べ36億30百万円増加の113億77百万円となりました。
(2)財政の状況
① 資産の部
資産合計は、前連結会計年度末に比べ422億6百万円増加し、1兆7,272億24百万円となりました。
流動資産合計は、有価証券及び流動資産のその他に含まれる未収入金が減少したものの、現金及び預金並びに受取手形及び売掛金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ172億13百万円増加し、6,108億66百万円となりました。固定資産合計は、投資その他の資産のその他に含まれる長期貸付金が減少したものの、投資有価証券が増加したことに加えて、カナダのアイアムゴールド社からコテ金開発プロジェクト(カナダ オンタリオ州)の権益の一部を取得したことに伴い、鉱業権が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ249億93百万円増加し、1兆1,163億58百万円となりました。
② 負債の部
負債合計は、前連結会計年度末に比べ405億57百万円減少し、6,203億40百万円となりました。
流動負債合計は、短期借入金が減少したものの、1年内償還予定の社債が増加したことに加えて、流動負債のその他に含まれる未払金が増加したことなどにより、前連結会計年度末並みの2,111億42百万円となりました。固定負債合計は、1年内償還予定の社債への振替えにより社債が減少したことに加えて、長期借入金が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ408億56百万円減少し、4,091億98百万円となりました。
③ 純資産の部
純資産の部の合計は、為替換算調整勘定が前連結会計年度末に比べ円高となったことにより減少したものの、親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したこと、その他有価証券評価差額金が増加したこと、並びに非支配株主持分が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ827億63百万円増加し、1兆1,068億84百万円となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更はありません。また、新たに生じた事業上及び財務上の重要な対処すべき課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容など(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
① 基本方針の内容の概要
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社が企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ安定的に確保し、向上させていくことを可能とする者である必要があると考えております。
当社は、株式の大量買付であっても、当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。また、株式会社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。
しかし、株式の大量買付のなかには、対象会社の企業価値・株主共同の利益を損なうものも少なくありません。
当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を損なう大量買付を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付に対しては、必要かつ相当な対抗措置を採ることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えます。
② 基本方針実現のための取組みの具体的な内容の概要
a.基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
当社は、平成28年2月15日に、平成28年度から平成30年度までを対象とした「2015年中期経営計画」(以下、「15中計」という。)を公表し、引き続き長期ビジョンである「世界の非鉄リーダー」と「日本のエクセレントカンパニー」をめざす基本戦略の下、「資源」「製錬」「材料」の各事業の成長戦略を継続的に推進してまいります。
具体的には、資源・製錬事業においては、ニッケル年産15万t体制及び権益分年間生産量として銅30万t・金30tをめざして事業の拡大を図り、材料事業においては、今後、需要の伸びが期待される分野において積極的な商品開発や経営資源の投入を行い成長戦略を進めてまいります。
当社は、より透明性の高い経営をめざして、取締役のうち3分の1以上を独立した社外取締役として選任する方針を定めており、この方針に基づき、取締役8名のうち3名を独立した社外取締役としております。また、監査役4名のうち2名を社外監査役として選任しております。社外取締役及び社外監査役の独立性の判断にあたっては、会社法に定める社外要件、株式会社東京証券取引所が定める独立性の基準及び当社が定めた独立性の基準に従います。かかる基準によれば、当社の社外取締役と社外監査役はいずれも当社からの独立性を有しております。取締役、執行役員等の指名・報酬等については、執行役員でない取締役会長及び独立社外取締役で構成(取締役会長を置かない場合は独立社外取締役のみで構成)されるガバナンス委員会において助言を得ることとしています。また、取締役及び監査役の自己評価等により取締役会の実効性のさらなる向上を図っております。加えて、執行役員制度を採用しており、執行役員の権限と責任の明確化と執行役員に対する大幅な権限委譲を行い、執行機能を強化しております。
b.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要
当社は、平成28年2月15日開催の取締役会において「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)」の更新を決議し、平成28年6月開催の第91期定時株主総会において、株主の皆様の過半数の賛成により、ご承認をいただきました(以下、更新後の対応策を「本プラン」といいます。)。
本プランは、当社の企業価値・株主共同の利益に資さない当社株式の大量買付を行う者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止し、当社の企業価値・株主共同の利益に反する大量買付を抑止するとともに、大量買付が行われる際に、当社取締役会が株主の皆様に代替案を提案し、あるいは株主の皆様が当該大量買付に応じるべきか否かを判断するために必要な情報や時間を確保すること、株主の皆様のために交渉を行うこと等を可能とすることを目的としております。
本プランは、当社株券等の20%以上を買収しようとする者が現れた際に、買収者に事前の情報提供を求める等、上記の目的を実現するために必要な手続を定めております。
買収者が本プランに定められた手続に従わない場合や当社株式の大量買付が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれがある場合等で、本プランに定められた発動要件を満たす場合には、当社は、買収者による権利行使は原則として認められないとの行使条件及び当社が買収者以外の者から当社株式と引換えに新株予約権を取得できる旨の取得条項が付された新株予約権を、その時点の当社を除く全ての株主の皆様に対して新株予約権無償割当ての方法により割り当てます。
本プランに従って新株予約権の無償割当てがなされ、その行使又は当社による取得に伴って買収者以外の株主の皆様に当社株式が交付された場合には、1個の新株予約権につき、原則として0.5から1株の範囲内で当社株式が発行されることから、買収者の有する当社の議決権割合は、最大約50%まで希釈化される可能性があります。
当社は、本プランに従った新株予約権の無償割当ての実施、不実施又は取得等の判断については、取締役の恣意的判断を排するため、当社経営陣から独立した当社社外取締役等のみから構成される独立委員会を設置し、その客観的な判断を経るものとしております。
また、当社取締役会は、これに加えて、本プランに定められた場合には、株主総会を招集し、株主の皆様の意思を確認することがあります。
こうした手続の過程については、適宜株主の皆様に対して情報開示を行い、その透明性を確保することとしております。
本プランの有効期間は、原則として、平成31年6月開催予定の第94期定時株主総会終結の時までとなっております。
③ 具体的取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
当社の「15中計」並びに既に実施しているコーポレートガバナンス強化のための各施策は、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ安定的に向上させるための具体的方策として策定されたもので、まさに当社の基本方針に沿うものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
また、本プランは、企業価値・株主共同の利益を確保、向上させる目的をもって導入されたものであり、当社の基本方針に沿うものです。特に、本プランは、第91期定時株主総会において株主の皆様により承認されていること、その内容として合理的な客観的要件が設定されていること、独立性を有する社外取締役等のみによって構成される独立委員会が設置されており、本プランの発動に際しては必ず独立委員会の判断を経ることが必要とされていること、独立委員会は当社の費用で第三者専門家の助言を受けることができるとされていること、有効期間は、原則として3年間とされており、また、その満了前であっても当社取締役会によりいつでも廃止できるとされていることなどにより、その公正性・客観性が担保されており、企業価値・株主共同の利益に資するものであって、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は、40億94百万円であります。
また、乾式銅製錬工程と湿式ニッケル製錬工程を組み合わせ、使用済みリチウムイオン二次電池から銅とニッケルを回収し、電池材料に再資源化するプロセスを実用化いたしました。
(5)設備の状況
当第3四半期連結累計期間において、前連結会計年度末に計画中であった重要な設備の新設について完了したもの及び新たに確定した設備の新設計画は、次のとおりです。
(重要な設備の新設の完了)
住鉱国富電子株式会社を主体として進めておりました、タンタル酸リチウム/ニオブ酸リチウム基板の40万枚/月体制を目的とした生産設備等については、ほぼ完工いたしました。今後、需要動向にあわせて、適時、設備を稼働させてまいります。
(重要な設備の新設計画の追加)
タガニートHPALニッケル社において主にステンレス鋼の原料となるクロマイトの回収プラント建設のため、31百万米ドルの投資を計画しております。
(6)従業員数
当第3四半期連結会計期間末において、当社グループの従業員数は、前連結会計年度末より327名減少し、7,057名となっております。
これは主に、第1四半期連結会計期間にリードフレーム事業を行う連結子会社3社を売却し、当第3四半期連結会計期間にさらに連結子会社1社が持分法適用関連会社となったことにより、材料セグメントに属する人員が減少したためです。
(7)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
世界経済は、堅調な米国、緩やかな回復基調が続く日本及び欧州に加え、中国やその他新興国での景気持ち直しが継続することにより、全体としては今後も緩やかな成長ペースが続くものと期待されますが、中国を始めとする新興国や資源国経済の先行き、米国による保護主義・排外主義の強まり、英国のEU離脱問題の帰趨、地政学的リスクなど、景気下振れの不安要素は少なくありません。
当社グループをとりまく事業環境のうち、非鉄金属業界につきましては、ニッケル及び銅ともに当年度の需給はほぼ均衡もしくは若干の供給不足と見込まれております。ニッケル及び銅価格は、いずれも需給の改善に沿った水準に回復しつつあります。材料事業の関連業界につきましては、車載・通信分野においては、一時的な調整局面はあったとしても、全般的には好調な状況が継続するものと見込まれます。
このような状況のなか、当社グループは、平成28年2月に発表いたしました平成28年度から平成30年度までの3年間を対象とする「15中計」を実行し、さらなる競争力の強化と企業価値の一層の向上を目指してまいります。
(8)経営者の問題認識と今後の方針について
世界経済の先行きには懸念材料も多く、また、優良資源の希少化や資源ナショナリズムの拡大、環境規制の強化、為替相場の変動など、当社をとりまく事業環境は大きく変化しております。こうした環境変化も踏まえながら、当社は、資源・製錬・材料の3つのコアビジネスを持続的に成長させ、「世界の非鉄リーダー」「日本のエクセレントカンパニー」となるべく、ニッケル生産量15万t/年体制と銅30万t・金30tの権益分年間生産量、新規の材料製品での経常利益50億円/年、連結売上高1兆円/年・親会社株主に帰属する当期純利益1千億円/年をめざして、成長戦略を推進してまいります。
資源事業では、銅については、モレンシー銅鉱山及びセロ・ベルデ銅鉱山の拡張、シエラゴルダプロジェクトの商業生産開始、さらにはモレンシー銅鉱山の権益追加取得により、権益分年間生産量30万tが視野に入ってきました。今後は特にシエラゴルダ銅鉱山の安定フル生産とコスト削減に注力してまいります。金については、カナダの産金会社であるアイアムゴールド社が92.5%の権益を保有するコテ金開発プロジェクト(カナダ オンタリオ州)の同社持分の30%(プロジェクト全体の27.75%)を取得、目標達成に向け一歩前進しました。今後も引き続き、操業鉱山の周辺探鉱を進めるとともに、ジョイントベンチャーへの参入検討に加え、M&Aも視野に入れて権益獲得に取り組んでまいります。
製錬事業では、ニッケルについては、タガニートプロジェクトと電気ニッケル生産能力の6万5千t/年への増産起業が平成25年に完工し、ニッケル10万t/年体制が完成いたしました。さらに長期ビジョンとして、新規鉱源確保とニッケル生産能力増強により、これを15万t/年に引き上げる構想を描いています。また、スカンジウムやクロマイトといった新たな資源回収の事業化を推進します。銅製錬は、安定操業の維持、二次原料の増処理、固定費の削減等による収益力の向上を図ってまいります。製錬事業の競争力をさらに強化するべく、資源・精錬開発センターにおいて、資源・製錬技術の革新に取り組んでまいります。
材料事業では、リードフレーム事業については、事業環境変化への対応と経営資源の成長分野への集中を図るべく、売却・撤退を進めております。今後は電池材料・結晶材料の大型投資を確実に戦力化して収益向上に貢献させていくほか、他の製品群についても環境変化に即した事業運営を展開してまいります。また、研究開発部門との協働や顧客との密接な関係づくりから、次の成長の担い手となる新製品の上市を狙ってまいります。
(注)「事業の状況」に記載している金額は、「3 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)財政の状況」を除き、消費税等を除いた金額であります。