第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)は、以下の経営理念、経営ビジョン、サステナビリティ方針を経営の基本方針としております。

 

「SMMグループ経営理念」

・ 住友の事業精神に基づき、地球および社会との共存を図り、健全な企業活動を通じて社会への貢献とステークホルダーへの責任を果たし、より信頼される企業をめざします

・ 人間尊重を基本とし、その尊厳と価値を認め、明るく活力ある企業をめざします

 

「SMMグループ経営ビジョン」

・ 技術力を高め、ものづくり企業としての社会的な使命と責任を果たします

・ コンプライアンス、環境保全および安全確保を基本としたグローバルでの企業活動により、資源を確保し、非鉄金属、機能性材料などの高品質な材料を提供し、企業価値の最大化をめざします

 

「住友金属鉱山グループサステナビリティ方針」

 住友金属鉱山グループは、社会の持続的発展に貢献する経営課題に取り組み、事業の持続的な成長と企業価値の向上を図ります。

 

 また、上記の経営方針を受けた到達すべき目標として長期ビジョンとターゲットを以下のとおり定めています。

『長期ビジョン』

 「世界の非鉄リーダー」を目指す。

≪当社グループが目指す「世界の非鉄リーダー」≫

・ 資源権益やメタル生産量において、グローバルでの存在感(=世界トップ5に入るメタル)がある

・ 資源メジャーでも容易に模倣できない、卓越した技術や独自のビジネスモデルを有している

・ 持続的成長を実現し、安定して一定規模の利益をあげている

・ SDGs等の社会課題に積極的に取り組んでいる

・ 従業員がいきいきと働いている

『ターゲット』

・ ニッケル:生産量15万t/年

・ 銅:権益分生産量30万t/年

・ 金:優良権益獲得による鉱山オペレーションへの新規参画

・ 材料事業:ポートフォリオ経営による税引前当期利益250億円/年の実現

・ 利益:親会社の所有者に帰属する当期利益 1,500億円/年

 

 長期ビジョンとターゲットの達成に向け当社グループは3年ごとに中期経営計画を策定し実行しています。また、新たな社会課題や当社グループの事業課題を視野に入れ、長期ビジョンの実現に向けた2030年時点でのマイルストーンとして「2030年のありたい姿」を2020年3月に公表し、活動を進めています。

 

(1) 中期経営計画

 当社グループは、2019年2月に公表した、2019年度から2021年度を対象とする「2018年中期経営計画」(以下、「18中計」という。)を実行してまいりましたが、引き続いて2022年度から2024年度を対象とする「2021年度中期経営計画」(以下、「21中計」という。)を2022年2月に公表し、企業価値の一層の向上と新たな成長への挑戦を進めております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

① 経営環境

「21中計」の策定に際して考慮すべき中期的な経営環境として以下を挙げております。

・供給量の増加により非鉄金属需給は一時的に緩和

  長期的にはEV・再生エネルギー関連で需要は拡大、需給は逼迫方向

・資源開発、製錬操業をめぐる事業環境の悪化

  資源ナショナリズムの高揚

  鉱山開発における高地、奥地、深部、低品位化など開発難度の上昇

  地域社会との良好な関係性構築の難易度上昇

  環境規制強化

  投資、ランニングコスト上昇

・”素材”の必要性・需要の拡大

  EV化の進展・エネルギー供給網の構築等による、非鉄金属の需要増加

 カーボンニュートラル・デジタルトランスフォーメーション(以下、「DX]という。)の加速等による技術革新や市場拡大により事業機会が創出

・カーボンニュートラル対応・DX化の重要性の高まり

・人材確保の難化

 

② 基本戦略

 「21中計」では、『変革への新たな挑戦』をテーマに、長期ビジョン・ターゲットの実現に向けて引き続き邁進するとともに、加速するカーボンニュートラルに向けた動きやDX化などの社会環境変化に的確に対応するべく、チャレンジを続けていく当社の姿勢・戦略を『4つの挑戦』としてまとめています。

 

挑戦1:企業価値拡大-大型プロジェクトの推進

・電池材料(正極材)の生産能力増強

 新工場設立や設備増強により、27中計期間(2028~2030年度)に月産1万5千トン体制を構築。ニッケル系正極材市場シェアでトップクラスを維持。

・ケブラダ・ブランカ2銅鉱山開発プロジェクト推進(チリ)

 2022年後半の生産開始を予定。2024年度には年間7万トン(当社権益分)の生産を計画し、本プロジェクトの貢献により権益分銅生産量は年間27万トンとなる予定。

・コテ金開発プロジェクト推進(カナダ)

 2023年前半の生産開始を予定。2024年度には年間4トン(当社権益分)の生産を計画。

 

挑戦2:コアビジネスの持続可能性向上

・3事業連携(ニッケル-電池)のバリューチェーン強化

 電池材料(正極材)に必要なニッケル資源確保に向け、フィリピンのHPAL(低品位酸化ニッケル鉱の湿式処理)の鉱量確保、ニッケル新規鉱源の探索、ニッケル・コバルト・リチウムの再資源化を含む電池リサイクルを推進。

・菱刈鉱山のサステナビリティ重視の操業への転換

 マインライフ延長に向けてサステイナブルな生産体制へ移行。また新抜湯室戦力化による深部鉱体坑道探鉱の推進により新規鉱量を獲得。さらにDX等の最新技術を取り入れた操業体制の見直しによりコスト削減を実現。

・銅製錬事業の競争力強化

 電気銅生産年間45万トンの安定操業達成と、年間46万トン生産体制の確立に向けた各種設備改善により生産能力を増強。

・機能性材料事業の拡大戦略

 SiC(シリコンカーバイド)の2025年度月1万枚の量産体制確立、高品質なニッケル粉の販売拡大、機能性インクの新市場開拓を推進。

 

挑戦3:社会環境変化への適応

・温室効果ガス(以下、「GHG」という。)排出量削減

 「2050年までにGHG排出量ネットゼロ」に向け、推進体制を確立。ICMM(国際金属・鉱業評議会)コミットメントの実行や社内カーボンプライシング制度の拡大運用、カーボンクレジットの活用を検討。

・カーボンニュートラルに貢献する製品・新技術・プロセスの開発推進

 GHG排出量削減に向けて21中計期間中に総額120億円の投資を計画。GHG排出量直接削減のための新技術やプロセスの開発推進、また電池リサイクルなど新事業によるカーボンフットプリント削減への貢献を推進。

・DXへの対応

 2022年度にDX推進部門を立ち上げ、全社的なDX加速のための基盤を整備。21中計期間中に計150億円のDX関連投資等を実施予定。

・人材確保/育成/活用への取り組み

 人材確保・育成・活用のための各種取り組みを推進し、人材への積極的な投資を実施。

 

挑戦4:経営基盤強化

・安全への取り組みの強化

 「重篤災害」(休業3ヶ月以上)の防止を重点に対策を講じ、加えて「繰り返し災害」の防止に注力した取り組みを実施。

・サステナビリティ施策の推進加速

 「2030年のありたい姿」における11の「重要課題」へ取り組む体制を改編・強化。サステナビリティ推進組織に関しては、社会的要請に的確に対応するため「サステナビリティ委員会」を中核とした組織再編を実施。

・コーポレートガバナンス

 事業ポートフォリオに関する基本的な方針を策定。

 

③ 目標とする経営指標

 「世界の非鉄リーダー」実現に向けては、健全な財務体質に裏打ちされた大型プロジェクトやM&Aへの機動的な対応が欠かせません。当社グループは「21中計」において、財務体質の健全性を示す指標として連結自己資本比率50%超の維持を掲げております。

 

(2) その他

 ㈱ジェー・シー・オーは、施設の維持管理、低レベル放射性廃棄物の保管管理、施設の廃止措置に向けた準備のため、施設の解体や除染等を推進するための諸施策を進めております。当社は、同社がこれらに万全の態勢で取り組むことができるよう引き続き支援を行ってまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1)非鉄金属価格及び為替レートの変動

① 非鉄金属価格の低下

 銅、ニッケル、金などの非鉄金属の価格は、ロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)、その他の国際市場において決定されます(以下、それらの市場において決定された価格を、LME相場等という)。LME相場等は、国際的な需給バランス、政治経済の状況、投機的取引、さらには代替素材の競争力などの影響を受けて変動します。それらの影響により銅、ニッケル、金などのLME相場等が著しく低下し、その状態が長期間続いた場合、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 為替レート(円高)

 銅精鉱、ニッケルマットなどの輸入原料だけでなく、非鉄金属地金の国内価格につきましても、米ドル建てのLME相場等を基準に決定されることから、当社が製錬事業から得る製錬マージンは実質的に米ドル建てであり、海外への鉱山投資や製品等の輸出から得られる収入も外国通貨建てであります。したがって、為替レートが大きく円高に振れ、長期間継続した場合、当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

 2022年度の業績予想において、非鉄金属価格変動及び為替レート変動が連結税引前利益に与える影響は、以下のとおり試算しております。

変動要素

変動幅

連結税引前利益に与える影響

±100$/t

26億円

ニッケル

±10¢/lb

17億円

±10$/TOZ

2億円

為替レート(米ドル)

±1円/$

22億円

     (注)上記の為替レート変動の影響額は国内の金属加工収入及び海外換算為替差の合計となります。

 

 これらに対し当社グループでは、資源事業及び製錬事業のコスト低減を図るとともに、非鉄金属価格や為替レートの変動の影響を比較的受けにくい材料事業の収益安定化をめざしてまいります。また、必要に応じて、非鉄金属価格及び為替レート変動のリスクヘッジを目的とした為替予約取引、商品先物取引、通貨・商品オプション取引を利用してまいります。

 

(2)非鉄金属原料の購入契約条件の悪化及び供給障害

 銅精鉱、ニッケルマットなどの非鉄金属原料の調達について、投資に裏打ちされていない長期買鉱契約によるものもあります。長期買鉱契約については、原料購入条件について毎年改定交渉を行いますが、その際さまざまな市場の要因により必ずしも必要量を購入することができない場合があります。さらに、製品価格は需給など主に非鉄金属地金自身の要因により決まることから、製品価格に原料購入条件の悪化を転嫁することが難しい場合があります。また、異常気象、大規模地震、供給者の操業上の事故、労働争議、人権侵害及び法令違反など、当社の管理が及ばない事態により原料の供給が事態の解決まで停止することがあります。これらにより当社グループの生産が制約を受け、財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。

 これらに対し、当社グループは優良な海外鉱山等への投資を進め、その経営に関与することを通して安定した原料ソース(自山鉱)とコンフリクトフリーの原料の確保を進めております。

 

(3)鉱山投資の不確実性

 当社グループは、上述のとおり原料の安定確保に向けた鉱山投資を行っていく方針ですが、鉱山開発の難度上昇に伴い優良案件の権益獲得競争が激化するとともに参入コストは増大しております。さらにそのような中、鉱山開発の着手後には探鉱結果に基づき想定した採鉱可能埋蔵量及び採鉱コストと実際が異なる、あるいは将来異なっていくことにより投資回収が想定どおり進まない可能性があります。また、環境行政上の手続き及び地域住民の反対運動を含むさまざまな事態により生産開始が遅延し、開発費用の負担が増加する可能性があります。これら鉱山投資の不確実性に起因する追加投資あるいは採鉱コスト上昇の負担が、当社グループの財政状態及び経営成績の悪化につながる場合があります。

 これらに対し当社グループは、地域社会との共存を中心としたソーシャルライセンスの獲得を重視するとともに、長年にわたる探鉱経験及び鉱山評価ノウハウの蓄積に基づく慎重な採算性判断により厳選した投資を実行しております。また新規のプロジェクトにおいては、開発の準備段階よりかかる不確実性リスクの軽減・回避に努めております。

 

(4)HPAL技術の優位性低下

 当社グループは世界に先駆けてHPALの商業生産に成功し、現在フィリピン国内の2拠点で操業を継続しております。このHPAL技術は今まで資源化されてこなかった低品位のニッケル酸化鉱からニッケル・コバルトの回収を可能とした、当社グループにとって重要な技術の一つです。しかしながらHPALの商業生産開始後15年以上が経過し、他社でもHPALプロジェクトの計画・稼働が始まるなど、優位性の低下に繋がる動きが活発化しております。また、HPALに代わる画期的な新ニッケル製錬方法の出現の可能性などが優位性を脅かす要因として考えられます。

 これらに対し当社グループでは既存のHPAL技術に磨きをかけ、安定操業・コスト低減に向けた活動を継続することで優位性を維持するとともに、未利用資源となっているニッケル低品位鉱石のさらなる活用に向けた新プロセスの研究開発も実施していきます。

 

(5)環境保全と法令遵守

 当社グループの事業、特に鉱山業及び非鉄金属製錬業は、労働安全、労働衛生、環境保全、鉱害又は公害防止、鉱業又は産業廃棄物処理、毒劇物管理など広範な法令の適用を受けております。それらの法令により、事業者の過失の有無に拘わらず損害補償や休廃止した鉱山の維持管理を課せられることがあり、新たな環境規制などにより追加の費用負担が発生する可能性があります。また、鉱山業及び非鉄金属製錬業は、環境汚染と鉱業又は産業廃棄物処理のリスクとそれに対応する責任を負っております。さらに環境保全については法令順守にとどまらず、より積極的かつ先んじた取組みが求められております。

 関係法令を遵守しつつ事業を経営していくため、相当額の必要コストを負担しなければならない場合、また不測の事態によりリスクが顕在化し、その対応に要するコストが想定を上回る場合、さらには環境に関する社会の要請が今後より高度な水準でなされ、当社グループが迅速かつ適切に対応できないあるいはその対応に遅れが生じる場合には、コスト負担に加え当社グループの企業ブランド価値の毀損や事業活動の縮小あるいは停止などの可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすことが考えられます。

 このため、当社グループは環境マネジメントシステム及びリスクマネジメントシステムを整備し運用することで、環境保全と法令遵守に万全を期すとともに、予期せぬコスト負担を最小限に抑えるべく努めております。ま

た、「2030年のありたい姿」の実現に向けた進捗管理を行い、適宜対応することでリスクの低減を図ってまいりま

す。

 

(6)市場変化と新商品開発

 材料事業が対象とする市場では、利用技術、顧客要求、商品寿命が急速に変化する一方で、新商品の開発は長期化し、多くの資金及び人材投入を要することがあります。また、新商品の市場投入後、技術進歩により当該商品が陳腐化した場合や、変化する顧客要求に対応できない場合及び競争相手による同等品の市場占有が進行した場合には、要した投資の回収が計画通りに見込めないこともあります。加えて、材料事業の主要製品の販売量は、車載用二次電池、情報通信端末などを製造する顧客の生産水準の影響を強く受け、顧客が製造するこれら製品需要の周期的変化、技術革新の進展、経済動向、国際関係の変動によるサプライチェーンの再編等の要因によって変化します。これらにより材料事業における新商品開発及び既存商品の販売が計画どおりに進まない場合、当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすことが考えられます。

 当社グループでは、成果の早期実現をめざした研究開発体制を敷き、影響の軽減を図っています。また国の支援制度の活用や社外との共同開発、産学連携等を通じて、開発を加速させてまいります。

 

(7)知的財産

 当社グループは、知的財産権の獲得と管理の重要性を認識し、法令にしたがって取得保全手続きを行っておりますが、知的財産権の保全手続きにつきましては必ずしも確実に取得できるものではなく、第三者との係争、第三者による違法な行使などにより当社の研究開発成果の享受が脅かされる場合が考えられます。

 当社グループでは、知的財産権管理の専門部署を設け、確実な取得及び保全に努めております。

 

(8)品質問題

 当社グループは、製造・販売する製品・サービスにおいて、厳しい品質管理のもと、顧客からの要求事項をクリアした品質の確保に努めています。しかしながら、顧客の要求事項を満たさない製品・サービスが流出し、それが顧客の製品にまで影響が及び法令違反やユーザーの生命や健康を損ねる場合には、大規模リコールなどによる当社グループに対する社会的信頼の失墜等が生じ、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、顧客の満足を得られる製品・サービスを提供するため、ISO9001に基づいた品質マネジメントシステム(QMS)を確立し、品質方針・全社品質目標を定めて、当社グループが求めるQMSのあるべき姿をまとめたSMM品質標準を基準にして改善に取り組んでいます。

 また、当社グループの品質保証の推進及びその改善を図るため、品質分科会を運営し、施策の審議と実施状況の確認を行っております。このような組織・仕組みのもとで、当社グループのQMSを有効に機能させ、更なる品質の向上と管理強化に努めてまいります。

 

(9)海外進出

 当社グループは、製品の製造拠点及び販売の市場を海外に求め、国際的に事業を展開しております。海外における事業活動につきましては、政情不安、環境・労働・課税・通貨管理・貿易上の法令及び規制の変化、知的財産権等の法的権利の限定的保護あるいは不十分な強制力、外国為替の変動、財産の没収あるいは国有化など個々の国ごとに政治的、経済的リスクが存在しております。非鉄金属価格の高騰などを背景とする国家や地方政府による資源事業への介入・増税への動き、あるいは各方面からの環境対策要求の高まりなどを含め、それらのリスクの顕在化により当該投下資金の回収を達成しえなくなる場合が考えられます。

 事業のグローバル展開に伴い、当社グループではカントリーリスクを十分に検討し、投資の意思決定を行っております。また進出後も現地の状況のモニタリングを継続し、変化に応じて適宜対策を講じております。

 

(10)自然災害等

 当社グループの製造拠点は、顧客との関係、原料調達上の有利性、グループ内関連事業との連携、経営資源の有効活用などの点を考慮し立地していますが、それら地域に大規模な地震、風水害等不測の災害や事故が発生した場合、損害が多額になるとともに当該製造拠点での生産が大幅に低下する可能性があります。

 これら自然災害や重大事故に対し当社グループでは、建屋の耐震補強や津波発生時における浸水対策工事等を進めると同時に可能かつ妥当な範囲で保険を付し、二次的な影響を抑えるための体制の整備及び対応を図っております。

 

(11)気候変動対応

 国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において「パリ協定」が採択され各国で批准されたことを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされるGHGの削減を目的とした枠組みが世界的に進められており、環境規制も強化されています。今後、環境規制のさらなる強化により環境負荷物質の排出責任者として応分の負担(炭素税等)による業績への悪影響だけでなく、さらなる排出量規制に対応できない場合には事業活動の縮小あるいは停止などの可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績へ影響を及ぼすことが考えられます。

 当社グループは気候変動の重大性を認識しており、2020年3月に「TCFD」(気候変動関連財務情報開示タスクフォース:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)への賛同を表明しております。また、「2030年のありたい姿」で重要課題として掲げている気候変動への対策を積極的に進め、当社グループのGHG排出量の削減・カーボンニュートラル社会の実現に資する製品の研究開発など、目標の達成に向けた取り組みを継続してまいります。

 

(12)労働者不足

 当社グループは事業継続に必要な労働力の維持・拡充を適宜行っておりますが、国内においては今後少子高齢化による労働人口の減少により労働力の確保が今まで以上に難しくなることが想定されます。必要人員の確保ができなくなった場合には、製造現場での生産体制が維持できず減産につながるなど、事業継続の基本に関わる問題となります。またそこまでに至らなくとも、人的資本の不足により新規プロジェクトへの参入機会を逸失することで、企業として成長機会を失う事態も十分に考えられます。

 このような事態を回避するため、働き方改革や自由闊達な組織風土の再構築などに取り組み魅力ある企業としての体制を整え、人材の確保と育成を図ってまいります。また、デジタルテクノロジーの導入により合理化・省力化を進めることで必要とされる労働力の低減を進めてまいります。

 

(13)情報管理

 当社グループは、事業を展開する上で、顧客及び取引先の機密情報や個人情報及び当社グループ内の機密情報や個人情報を有しています。これら情報の外部流出や破壊、改ざん等が発生した場合には、損害補償等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、在宅勤務等によるテレワークの増加に合わせて、よりセキュリティに配慮した通信・勤務環境を整備する必要が生じています。

 これらに対し、当社グループでは、多層的なセキュリティ対策システムの導入及び更新、見直しを行うとともに、従業員に対する情報セキュリティ教育を実施しております。

 

(14)DXへの対応

 情報通信技術分野におけるテクノロジーの進化や、ビッグデータの解析、AI、シミュレーション等の著しい進展、ロボティクス技術の進歩等を受け、ビジネスの分野においてDXは業務やビジネスモデルに抜本的な変革をもたらしており、一部の海外鉱山では操業の遠隔監視や鉱石の自動搬送等の形で実用化されています。この変化への対応は競争力の維持、向上というチャンスに繋がる一方で、DX分野への経営資源の投入が過小であったり遅れた場合には必要な対応が取れず、競争力の喪失や収益力の毀損につながる可能性があると考えています。

 当社グループとしてもこの変化へ積極的に対応すべく、DX導入を推進する組織を整備し具体的な検討・対応に努めてまいります。

 

(15)感染症の流行

 現在、全世界で蔓延している新型コロナウイルス感染症だけでなく、今後も新たな感染症の流行により、急激な需要収縮やサプライチェーンの途絶による操業停止など、当社グループの業績は大きな影響を受けることが十分に考えられます。

 当社グループとしては業績への影響を最小化するため、原料などの代替調達先の確保などに取り組み、生産縮小・停止による供給障害を極小化させる体制を整えてまいります。また、取引先や従業員の安全を最優先に、テレワークによる接触機会の低減、フレックスタイムや時差出勤等の通勤手段の柔軟な対応、BCP(Business Continuity Plan)の見直しや訓練実施等の対策を引き続き展開してまいります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容は次のとおりであります。

(注)「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載している金額のうち、「(1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容 ⑤ キャッシュ・フロー」は、消費税等を含んだ金額であります。

 

① 経営成績

(単位:百万円)

 

売上高

税引前当期利益

親会社の所有者に

帰属する当期利益

当連結会計年度

1,259,091

357,434

281,037

前連結会計年度

926,122

123,379

94,604

増減

332,969

234,055

186,433

増減率(%)

36.0

189.7

197.1

 

(年間平均海外相場、年間平均為替相場)

 

単位

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

(△は減少)

$/t

6,879

9,691

2,812

$/TOZ

1,824.1

1,818.4

△5.7

ニッケル

$/lb

6.80

9.35

2.55

為替(TTM)

円/$

106.07

112.39

6.32

 

 当連結会計年度の世界経済は、変異を続ける新型コロナウイルス感染症の拡大が長期化したものの、ワクチン接種の進展などにより欧米諸国等を中心に回復基調で推移しました。しかしながら、2022年2月下旬に起きたロシアによるウクライナ侵攻により、欧州を中心にエネルギー供給等に不確実性が増し、経済成長の減速懸念が高まりました。

 為替相場につきましては、米国における量的金融緩和の縮小や急速に進むインフレーションを抑制するためのゼロ金利政策の解除などの金融政策の転換に伴い、当連結会計年度末にかけて円安ドル高傾向がより顕著となりました。これにより、当連結会計年度の平均為替レートは前連結会計年度に比べ円安となりました。

 主要非鉄金属価格につきましては、銅価格は、前連結会計年度から当連結会計年度初めまで上昇が継続し、その後は同感染症の拡大の影響を受けながらも底堅い需要に支えられ、高水準な価格帯で推移しました。ニッケル価格は、世界経済の回復傾向を受け総じて上昇基調で推移しました。金価格は、当連結会計年度中は概ね一定水準で推移し、年度末にかけて上昇基調に転じました。また、ロシアによるウクライナ侵攻後は非鉄金属価格が急騰する局面がありました。この結果、当連結会計年度の銅及びニッケル価格はいずれも前連結会計年度を上回り、金価格は前連結会計年度とほぼ同水準となりました。

 材料事業の関連業界におきましては、脱炭素化を背景とした自動車の電動化の流れが加速していることに伴い、車載用電池向け部材の需要の拡大基調が続いております。また、電子部品向け部材につきましては、自動車の電装化の進展や第5世代移動通信システム(5G)の増設及び景気の回復基調などにより、概ね堅調な需要が持続しました。

 このような状況のなか、当連結会計年度の連結売上高は、銅及びニッケル価格が前連結会計年度を上回ったこと、並びに旺盛な需要に支えられている車載用電池向け部材や粉体材料の増販などにより、前連結会計年度に比べ332,969百万円増加し、1,259,091百万円となりました。

 連結税引前当期利益は、増収及び持分法による投資損益の好転並びにシエラゴルダ銅鉱山(チリ)に係る全持分の譲渡などにより、前連結会計年度に比べ234,055百万円増加し、357,434百万円となりました。

 親会社の所有者に帰属する当期利益は、連結税引前当期利益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ186,433百万円増加し、281,037百万円となりました。

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、各セグメントの業績をより適切に評価するため、一般管理費及び金融収益の配賦方法を変更しております。前連結会計年度のセグメント利益は、一般管理費及び金融収益の配賦方法の変更を反映した数値を記載しております。

 

(資源セグメント)

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率(%)

売上高

127,042

157,315

30,273

23.8

セグメント利益

63,110

208,548

145,438

230.5

 

 セグメント利益は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響があったものの、銅価格が前連結会計年度に比べ高水準で推移したことに加え、シエラゴルダ銅鉱山に係る全持分の譲渡に伴い売却益74,374百万円を計上したことから前連結会計年度を上回りました。

 主要鉱山の概況は以下のとおりであります。

 菱刈鉱山は順調な操業を継続し、販売金量は計画通り、前連結会計年度並みの6tとなりました。

 モレンシー銅鉱山(米国)の生産量は、同感染症の拡大を踏まえ一部のミル(鉱石粉砕装置)の操業度低下策を実施したことなどにより、前連結会計年度を下回り、397千tとなりました(うち非支配持分を除く当社持分は25.0%)。

 セロ・ベルデ銅鉱山(ペルー)の生産量は、同感染症の拡大に対し一時的に保安操業を実施した前連結会計年度を上回り、402千tとなりました(うち非支配持分を除く当社持分は16.8%)。

 

(製錬セグメント)

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率(%)

売上高

693,758

942,341

248,583

35.8

セグメント利益

53,038

114,753

61,715

116.4

 

(当社の主な製品別生産量)

製品

単位

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

(△は減少)

t

442,626

418,847

△23,779

kg

17,170

16,662

△508

電気ニッケル

t

55,861

52,450

△3,411

フェロニッケル

t

13,023

12,330

△693

(注)生産量には、受委託分を含めて表示しております。

 

 セグメント利益は、非鉄金属価格の上昇などにより、前連結会計年度を上回りました。

 電気銅の生産量及び販売量は、東予工場において定期炉修(大型休転)を実施したことなどにより前連結会計年度を下回りました。電気ニッケルの生産量及び販売量は、原料不足などにより前連結会計年度を下回りました。

 Coral Bay Nickel Corporation(フィリピン)の生産量は、新型コロナウイルス感染症の影響により操業度を一時的に低下させたことなどから前連結会計年度を下回りました。Taganito HPAL Nickel Corporation(フィリピン)の生産量は、設備トラブルや台風による影響などにより前連結会計年度を下回りました。

 

(材料セグメント)

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率(%)

売上高

211,533

277,962

66,429

31.4

セグメント利益

10,481

27,625

17,144

163.6

 

 セグメント利益は、一時的に需要が低迷した前連結会計年度に比べ脱炭素化を背景に増加する需要により電池材料が増収となったほか、好調な需要が持続している粉体材料の増収などにより、前連結会計年度を上回りました。

 

② 経営成績に重要な影響を与える要因について

 主な要因として、資源・製錬セグメントは、非鉄金属価格及び為替レートの変動、材料セグメントは、市場動向の変化が挙げられます。詳細及び他の要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

③ 財政状態

(単位:百万円)

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

増減

資産合計

1,885,999

2,268,756

382,757

負債合計

663,016

711,338

48,322

資本合計

1,222,983

1,557,418

334,435

 

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ増加しました。棚卸資産、営業債権及びその他の債権などが非鉄金属価格の上昇などの影響により、持分法で会計処理されている投資が持分法による投資損益の計上などによりそれぞれ増加しました。

 負債合計は前連結会計年度末に比べ増加しました。営業債務及びその他の債務が、同様に非鉄金属価格の上昇などの影響により増加しました。

 資本合計は前連結会計年度末に比べ増加しました。利益剰余金が親会社の所有者に帰属する当期利益を計上したことにより、その他の資本の構成要素のうち在外営業活動体の換算差額が円安の影響により、それぞれ増加しました。

 

④ 財務指標

 当連結会計年度は2019年度から2021年度までの3年間を対象とする「18中計」の最終年度でありましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大が長期化したことなどにより大型プロジェクトの進捗に遅れが生じました。当社グループは、さらなる企業価値・株主共同の利益の向上に引き続き邁進してまいります。

 「18中計」においては、財務体質の健全性を示す指標として連結自己資本比率50%以上の維持、株主還元の指標として連結配当性向35%以上としております。2022年3月期通期連結業績には、シエラゴルダ銅鉱山(チリ)に係る全持分の譲渡に伴う売却益等が含まれておりますが、この売却益には、2019年度の利益剰余金期首残高で調整したSierra Gorda S.C.M.への貸付金等に対する貸倒引当金の累積的影響額(改訂IAS第28号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」)の戻入れに相当する金額が含まれておりますので、配当の算定においては、この会計処理の適用に起因する影響額を除いた上で、株主還元の指標である連結配当性向35%以上に照らし合わせ、算定しております。また、財務体質の健全性を示す親会社所有者持分比率の当連結会計年度の結果は63.7%となりました。

 2022年2月に公表した「21中計」においても財務体質の健全性を示す指標として連結自己資本比率、株主還元の指標として連結配当性向を引き続き維持し、それぞれ50%超、原則35%以上を方針としております。

 

⑤ キャッシュ・フロー

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

91,522

159,489

67,967

投資活動によるキャッシュ・フロー

△32,393

9,796

42,189

財務活動によるキャッシュ・フロー

△55,758

△129,618

△73,860

換算差額

△528

15,937

16,465

現金及び現金同等物の期首残高

155,530

158,373

2,843

現金及び現金同等物の期末残高

158,373

213,977

55,604

 

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、非鉄金属価格の上昇などの影響により棚卸資産及び前渡金が増加したものの、税引前当期利益が前連結会計年度に比べ増加したことなどにより、当連結会計年度は収入が増加しました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出などが増加したものの、シエラゴルダ銅鉱山に係る全持分を譲渡したことによる収入などがあったことなどにより、当連結会計年度は収入が増加しました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入れの返済額が前連結会計年度に比べ減少したものの、配当金の支払額が増加したこと、Coral Bay Nickel Corporationなどの子会社株式の追加取得及び発行額を上回る社債の償還による支出などにより、当連結会計年度は支出が増加しました。

 

⑥ 資本の財源及び資金の流動性

a)財務戦略の基本的な考え方

 当社グループでは、減耗する資源を取り扱っており、常に新たな資源権益獲得のための大型開発プロジェクト参画やM&Aに備える必要があります。また、新たな製錬所建設も含め、資源・製錬の開発プロジェクトは、投資を実行してから回収するまでに、比較的長期間を要します。従い一時的な大きなキャッシュ・アウトフローに耐えうる健全な財務体質を維持していくことが重要であり、当社はこのような考え方のもと、具体的には連結自己資本比率を50%超に保つことを財務戦略の基本としております。

 

b)資金調達と流動性マネジメント

 当社は事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金を確保することを目標として取り組んでいます。資金調達にあたっては、社債等の直接金融と銀行借入等の間接金融のバランスを見極めつつ、その時々のマーケット状況での有利手段を追求しています。資源・製錬事業における海外大型プロジェクトでは、現地のカントリーリスクにさらされることも多く、政府系金融機関による各種支援メニューや複数の金融機関による協調型融資の活用、プロジェクトファイナンスの組成など、その都度最適な資金調達方法を検討しております。

 また、当社はそのような大型プロジェクトも含めた将来の設備投資等の資金需要に対応しつつ、経営の安定化から一定の手元流動性を維持することも必要であると考えています。

 当社は、手元流動性の水準を考えるにあたり、流動性リスクとして連結売上高1.5ヶ月分と半年以内返済予定の借入金等の合計額を想定し、これに対し、現金・預金及び現金同等物(以下「手元現預金」)及びコマーシャル・ペーパー発行可能枠の未使用額を合わせた金額で賄うことで対応することとしています。また、金融市場の動向によりコマーシャル・ペーパーによる調達が一時的に困難になるリスクも想定し、発行に際してはコミットメントライン契約に基づく借入限度額の範囲内にとどめることを原則としています。

 さらに、手元現預金が中長期にわたり必要額に満たなくなると想定される場合には、社債の発行や金融機関からの借入金等を通じて、必要な現預金残高を確保することを考えております。

 なお、当社は、日本国内の市場においてJCRから「ダブルAマイナス」の長期発行体格付及び「J-ワンプラス」の国内CP格付を取得しており、資金調達にあたっては十分な信用力を保持しております。また、主要な国内金融機関と円貨及び外貨でのコミットメントライン契約を締結しており、金融・資本市場の流動性が逼迫した状況下でも、コミットメントラインを使用することによって十分な流動性を確保することができると考えております。

 

⑦ 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第

28号)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積

りは合理的な基準に基づいて実施しております。重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理

の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 及び 4.重要な会

計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績及び受注実績

 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また連結会社間の取引が複雑で、報告セグメントごとの生産実績及び受注実績を正確に把握することは困難なため、当社の主要な品目等についてのみ「(1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容」において、各報告セグメントの業績に関連付けて記載しております。

 

② 販売実績

 当連結会計年度における販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度(百万円)

前連結会計年度比(%)

資源

157,315

23.8

製錬

942,341

35.8

材料

277,962

31.4

報告セグメント計

1,377,618

33.4

その他

9,843

1.4

調整額

△128,370

10.7

連結財務諸表計上額

1,259,091

36.0

 (注)1.セグメント間の販売実績は、各セグメントに含めて表示しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

パナソニック㈱ ※

145,322

15.7

193,909

15.4

住友電気工業㈱

81,225

8.8

130,739

10.4

  ※2022年4月1日付で商号をパナソニックホールディングス(株)に変更しております。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)モレンシー銅鉱山の共同運営契約

 当社の連結子会社でありますSumitomo Metal Mining Arizona Inc.及びSMM Morenci Inc.は、米国モレンシー銅鉱山を共同保有し、同鉱山の共同運営を行う契約を米国フリーポート・マクモラン社の関係会社と締結しております。これにより、Sumitomo Metal Mining Arizona Inc.は、同鉱山の生産物の権益見合いの15%を、SMM Morenci Inc.は13%を引き取る権利・義務を保有しております。

 

(2)Compania Contractual Minera Candelariaの共同運営契約

 当社の連結子会社でありますSMMA Candelaria Inc.は、チリ共和国Compania Contractual Minera Candelariaの株式の20%を保有し、同社の共同運営を行う契約をカナダ国ルンディン・マイニング社と締結しております。これにより、SMMA Candelaria Inc.は、Compania Contractual Minera Candelariaの生産物の20%を購入する権利・義務を保有しております。

 

(3)Sociedad Minera Cerro Verde S.A.A.の共同運営契約

 当社の連結子会社でありますSMM Cerro Verde Netherlands B.V.は、ペルー共和国のSociedad Minera Cerro Verde S.A.A.の株式の21%を保有し、当社はSociedad Minera Cerro Verde S.A.A.の共同運営を行う契約を、米国フリーポート・マクモラン社及び同社の関係会社並びにペルー共和国ブエナベンチューラ社と締結しております。これにより、当社は、Sociedad Minera Cerro Verde S.A.A.で生産された銅精鉱につき、生産量の21%を購入する権利・義務を保有しております。

 

(4)PT Vale Indonesia Tbkの共同運営契約

 当社は、インドネシア共和国のPT Vale Indonesia Tbkの株式の15%を保有し、同社の共同運営を行う株主間契約を、カナダ国のヴァーレ・カナダ社及びインドネシア国営企業であるPT Indonesia Asahan Aluminium(Persero)と締結しております。またこの3社にPT Vale Indonesia Tbkを加えた4社による生産物を購入する権利・義務に関する契約を締結しております。これによりPT Vale Indonesia Tbkのソロワコ鉱山の合意した年間生産量についてその20%を購入する権利・義務を保有しております。

 

(5)Coral Bay Nickel Corporationの共同運営契約

 当社の連結子会社でありますCoral Bay Nickel Corporationは、フィリピン共和国Nickel Asia Corporationより10%の出資を受け、当社は、同社とCoral Bay Nickel Corporationを共同運営する契約を締結しております。これにより、Coral Bay Nickel Corporationは、Nickel Asia Corporationの子会社であるリオツバ・ニッケル・マイニング社が操業するリオツバ鉱山のニッケル鉱のうち、HPAL法に適した鉱石を全量購入する権利を保有し、当社はCoral Bay Nickel Corporationの生産物を全量購入する権利・義務を保有しております。

 なお、三井物産㈱の子会社及び双日㈱は保有していたCoral Bay Nickel Corporationの株式の全てを当社に2022年1月31日に売却しております。

 

(6)Taganito HPAL Nickel Corporationの共同運営契約

 当社の連結子会社でありますTaganito HPAL Nickel Corporationは、三井物産㈱及びNickel Asia Corporationより合計25%の出資を受け、当社は、同二社とTaganito HPAL Nickel Corporationを共同運営する契約を締結しております。これにより、Taganito HPAL Nickel Corporationは、Nickel Asia Corporationの子会社であるタガニート・マイニング社が操業するタガニート鉱山のニッケル鉱のうち、HPAL法に適した鉱石を全量購入する権利を保有し、当社はTaganito HPAL Nickel Corporationの生産物を全量購入する権利・義務を保有しております。

 

(7)ケブラダ・ブランカ銅鉱山の株主間契約について

 当社の連結子会社でありますSMM Quebrada Blanca SpAは、チリ共和国ケブラダ・ブランカ銅鉱山に90%を出資するQuebrada Blanca Holdings SpAに33%の出資をしており、住友商事㈱及びカナダ国Teck Resources Ltd.のチリ国子会社Teck Resources Chile Ltd.と株主間契約を締結しております。これにより、当社は、ケブラダ・ブランカ銅鉱山社における開発計画(ケブラダ・ブランカ2プロジェクト)をTeck Resources Ltd.等と共同で推進しております。

 

(8)シエラ・ゴルダ銅鉱山の権益譲渡及び同鉱山の共同運営契約者地位の移転について

 当社は住友商事㈱と共同で豪州のSouth32 Limitedの子会社に対して、シエラ・ゴルダ銅鉱山の全持分を2022年2月22日に譲渡しました。これにより、当社は住友商事㈱及びカナダ国KGHMインターナショナル社とで締結しておりましたSierra Gorda S.C.M.の共同運営契約の契約当事者としての地位をSouth32 Limitedの子会社に移転しております。

 

5【研究開発活動】

当社グループでは資源、製錬及び材料をコアビジネスとして選択と集中を進めるなか、研究開発においても研究開発費の重点配分を行い、「製錬プロセス技術」、「粉体合成・表面処理技術」、「結晶育成・加工技術」、「探鉱・採鉱・選鉱技術」をコア技術と位置付けています。また、「評価解析技術」、「数理解析技術」、「情報通信技術」を基盤技術と定め、技術ドメインを明確にして重点的な開発を実行しております。

具体的には、資源開発及び非鉄製錬分野における新規プロセス・技術開発、また、材料分野では、社会的ニーズの高い環境・エネルギー分野及び情報通信分野の材料・新技術開発を中心に、国家プロジェクトへの参画や産学連携を含め取り組んでおります。さらに、将来を見据えた粉体材料に関する新規技術獲得のために、粉体基礎研究にも取り組んでおります。

また、「2030年ありたい姿」実現に向け、資源、製錬、材料の3事業連携を推進し、リチウム精製、電池リサイクル等のプロセス開発を継続するとともに、GHG排出を抑制できる製品として電池正極材、当社独自技術による日射遮蔽材の開発を継続するとともに、新製錬技術の検討にも着手してまいります。

なお、当連結会計年度に投入した研究開発費は6,648百万円であり、研究所の費用を管理上、各セグメントに配分した後の調整額等941百万円が含まれております。

報告セグメントごとの研究開発活動の状況は次のとおりであります。

 

(1)資源セグメント

鉱床を探す探鉱技術、鉱床から最大限に鉱石を取り出す採鉱技術、鉱石中の有価金属を分離濃縮する選鉱技術に関する技術開発を進めております。非鉄金属原料鉱石の処理に関して、精鉱の品質及び実収率の改善のためのパイロット設備を利用した浮遊選鉱等の選鉱技術開発や探鉱技術及び鉱石採掘法の効率化の技術開発等を行っております。

資源系人材育成の教育システムを強化・充実させることを目的に、北海道大学大学院工学院と九州大学大学院工学府が民間企業及び公的機関と連携して2022年に発足し活動を開始する「資源系教育コンソーシアム」に当社は参画を表明しました。

当セグメントに係る研究開発費は183百万円であります。

 

(2)製錬セグメント

非鉄金属事業において、原料対応力、コスト競争力強化、GHG削減に繋がる製錬技術の開発や新プロセス技術の開発を行っております。また、ハイブリッド自動車や電気自動車の廃リチウムイオン二次電池から、乾式製錬工程と湿式製錬工程を組み合わせ、ニッケル、コバルト、リチウム等のメタルを回収し、電池材料に再資源化するプロセスの開発も進めております。関東電化工業株式会社との共同開発により、乾式製錬工程にて回収されたスラグから電池材料として再利用可能なレベルの高純度リチウム化合物として再資源化する技術を世界で初めて確立しております。リチウムについては、塩湖かん水からの直接回収技術の確立も進めております。

九州大学と組織対応型連携契約を締結し、共同研究と人材育成を継続しております。革新的な湿式製錬技術や排水処理技術の開発などに取り組んでいるほか、九州大学全体のシーズを活用して資源・製錬分野を中心にさまざまなテーマでの連携を進めております。

また、国内非鉄金属製錬業の持続的発展のため、東北大学多元物質科学研究所との共同研究部門では技術の先進化やそれに伴う国際競争力の強化のための共同研究や、次世代の非鉄金属製錬技術者の人材教育を推進しております。

当セグメントに係る研究開発費は2,002百万円であります。

 

(3)材料セグメント

カーボンニュートラル実現に貢献する新技術・プロセスの研究を推進しております。二次電池関連では、リチウムイオン二次電池の正極材料であるニッケル酸リチウムについて、コスト・容量・出力及び安全性確保などの機能向上を図り、ハイブリッド自動車用電池、電気自動車用電池への積極的な展開に取り組んでおり、開発した新規材料の量産移行を進めております。また、次世代の高性能ニッケル正極材や全固体電池用正極材の開発を目的に2022年7月完成目途で電池研究所(愛媛県新居浜市)の拡張、設備充実を進めております。

情報通信分野では、情報通信端末用SAWフィルターのチップに用いられるタンタル酸リチウム基板やニオブ酸リチウム基板の製造コスト低減のため、育成結晶の長尺化や育成及び加工収率向上のための技術開発に取り組んでおります。

産学連携による研究開発推進のため、東北大学と包括的な共同研究と人材教育を進める組織的連携協力協定を締結し、同大学の広範囲にわたる研究機能を活用して、機能性材料の開発、評価技術の開発及び人材育成を進める体制を整備しております。

 

また同大学とは、2050 年に向けたビジョン共創型パートナーシップに基づく取組みも行っております。この取り組みでは、2050年をターゲットとした「ありたい姿」と「ビジョン」を策定し、そこからバックキャストした具体的なステップとして、材料系素材の共同研究・開発に取組み、事業化・社会実装を実現することで、新たな価値の創造を目指します。

なお、2022年1月26日から28日に東京ビッグサイトで開催された「nano tech 2022 第21回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」に「非シリコーン系放熱グリース」と「鉄・ガリウム磁歪合金単結晶」の試作品を出展しました。

当セグメントに係る研究開発費は3,521百万円であります。