第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国の経済は、緩やかな回復基調にありました。世界経済についても緩やかな成長が継続しましたが、英国のEU離脱問題をはじめとする欧州の政治情勢や米国新政権の政策の不確実性により、不透明な状況が続きました。

当社グループの事業環境については、自動車関連製品の需要は、国内・海外とも比較的堅調に推移しました。電子部品や新エネルギー関連の製品は、東アジアを中心に需要が伸長しました。相場環境については、貴金属や亜鉛などの金属価格が上昇しました。為替相場は、第2四半期までは円高基調で推移し、その後円安が進行しました。 

当社グループは、特色ある5つの事業部門それぞれの領域において事業拡大を進めており、その総合力により個別の事業環境の変化に強い、堅固な収益基盤を構築しています。加えて、為替相場や金属価格の変動にともなう損失発生リスクを低減することにより、収益の安定化を図っています。中期計画の2年目にあたる当期は、その基本方針である「成長の継続」に向けた各施策を着実に実施してきました。

これらの結果、当期の連結売上高は前期比1%増の410,503百万円となり、連結営業利益は同3%減の33,990百万円、連結経常利益は同4%増の36,504百万円、親会社株主に帰属する連結当期純利益は同20%増の26,169百万円となりました。

なお、当社は、株主の皆様への配当を経営における最重要課題の一つと位置付けており、企業体質強化と将来の事業展開に備えた内部留保の充実を勘案のうえ、業績に応じて配当を行う方針としています。 

当期の配当金につきましては、当期の業績、今後の事業展開、財務体質の強化などを総合的に勘案し、前期と同額の1株当たり18円としています。

 

主要セグメントの状況は、次のとおりです。

 

環境・リサイクル部門

廃棄物処理は、国内の産業廃棄物発生量が横這いのなか、廃棄物の処理単価が一部で低下した影響を受けました。土壌浄化は、既存の浄化法に加え、自然由来汚染土壌に対応した浄化法による受注が増加しました。リサイクルは、電子部品スクラップの国内外での集荷拡大に努めました。東南アジア事業では、インドネシアやタイにおいて、石油・天然ガス開発に関連する廃棄物処理の受注は回復に至らないものの、その他の産業廃棄物処理の受注は堅調に増加しました。
 これらの結果、当部門の売上高は前期比1%減の96,947百万円、営業利益は同5%増の6,629百万円となりました。

 

製錬部門

金属価格については、金や銀、亜鉛は上昇し、銅についても第3四半期以降は上昇に転じました。インジウムは前年に引き続いて下落しました。為替相場については、第3四半期以降、米国大統領選後に円安が進行したものの、前期に比べ約12円の円高水準となりました。このような状況のなか、各製錬所の一部老朽化した設備の更新や新設を行い、また、海外での探鉱活動を継続するなど事業基盤の強化を進めました。コスト面では電力原単位や物品費の削減を進めるとともに、原油価格下落による電力価格引き下げの影響がありました。
 これらの結果、当部門の売上高は前期比3%減の207,778百万円、円高の影響を受けたことなどにより、営業利益は同25%減の10,055百万円となりました。

 

電子材料部門

半導体材料製品は、スマートフォン向けの需要が低調に推移したため、販売量が減少しました。導電材料製品は、新エネルギー向け銀粉の需要が増加し販売を伸ばしました。機能材料製品は、アーカイブ用データテープ向け磁性粉の拡販に取り組みました。また、市場ニーズに応える新規製品開発を進めました。
 これらの結果、当部門の売上高は前期比29%増の62,583百万円となりましたが、輸出製品が円高の影響を受けたことなどにより、営業利益は同18%減の6,579百万円となりました。

 

金属加工部門

端子やコネクタに使われる伸銅品は、自動車向けでは海外を中心に自動車生産台数が増加するなか、販売を堅調に伸ばしました。スマートフォン向けでは、東アジアを中心に高強度品を拡販しました。貴金属めっき加工は、自動車の電装化需要を取り込み、堅調に推移しました。回路基板は、鉄道向けの需要は弱含みであったものの、産業機械向けでは緩やかな回復が見られました。
 これらの結果、当部門の売上高は円高の影響により前期比2%減の75,481百万円となりましたが、営業利益は同42%増の6,966百万円となりました。

 

熱処理部門

熱処理加工は、自動車産業の成長が続く海外地域での事業拡大を推進するなか、インドやタイ、中国において受注拡大を図りました。また、国内では堅調な受注に加えて原油価格下落による燃料コスト低減も収益に寄与しました。工業炉は、海外向けの設備拡販やメンテナンス受注の拡大に努めました。
 これらの結果、当部門の売上高は前期比4%増の25,119百万円、営業利益は同76%増の2,378百万円となりました。

 

その他部門

その他部門では、売上高は前期比8%増の12,208百万円、営業利益は同88%増の944百万円となりました。

 

(注) 当該項目に記載の売上高には消費税等を含めていません。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 

前連結会計年度

 

当連結会計年度

 

比較増減

 

百万円

 

百万円

 

百万円

営業活動によるキャッシュ・フロー

45,751

 

29,389

 

△16,362

投資活動によるキャッシュ・フロー

△23,486

 

△25,954

 

△2,468

財務活動によるキャッシュ・フロー

△11,159

 

△7,155

 

4,003

換算差額

△248

 

△54

 

193

増減

10,857

 

△3,775

 

△14,632

現金及び現金同等物の期首残高

8,044

 

18,902

 

10,857

現金及び現金同等物の期末残高

18,902

 

15,126

 

△3,775

 

 

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より3,775百万円減少し、15,126百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は29,389百万円(前年度比16,362百万円減)となりました。これは、税金等調整前当
期純利益36,735百万円(前年度比4,912百万円増)、非資金費用である減価償却費の計上15,796百万円、仕入債務の
増加5,724百万円などがあった一方で、売上債権の増加18,222百万円や棚卸資産の増加12,730百万円に加え、法人税
等の支払い5,999百万円などがあったことによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金は25,954百万円の支出(前年度比2,468百万円支出増)となりました。これは、環境・リサイ
クル部門や製錬部門などを中心とした設備投資25,964百万円があったことなどによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金は7,155百万円の支出(前年度比4,003百万円支出減)となりました。これは、有利子負債の
返済999百万円や、配当金の支払い5,555百万円によるものです。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は、次のとおりです。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

製錬部門

207,228

△4.6

電子材料部門

62,937

30.1

金属加工部門

75,769

△0.8

合計

345,935

1.1

 

(注) 1 金額は、販売価格によっています。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

3 電子材料部門は、銀粉の生産量が増加したこと等により、生産高が増加しています。

4 環境・リサイクル部門は、廃棄物処理、金属リサイクル、土壌浄化処理受託及び運輸事業を行っており、売上高が処理高であるため、記載を省略しています。

5 熱処理部門は、金属熱処理加工、表面処理加工、熱処理加工設備・その付属設備の受託生産事業を行っており、売上高が生産高であるため記載を省略しています。

6 その他の部門は、工事の請負、不動産の賃貸及び見込生産を行っているため、記載を省略しています。

 

(2) 受注状況

当連結会計年度におけるセグメントごとの受注状況は、次のとおりです。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

熱処理部門(熱処理炉)

3,593

13.6

3,034

36.0

その他部門(工事の請負)

1,062

△9.2

88

70.4

合計

4,655

7.4

3,122

36.8

 

(注) 1 その他主要な製品に関しては、受注生産を行っていません。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

3 受注高及び受注残高の前年同期比増減の理由については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載しています。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりです。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

環境・リサイクル部門

60,239

△3.4

製錬部門

187,517

△3.7

電子材料部門

60,122

29.8

金属加工部門

75,456

△2.5

熱処理部門

25,118

3.9

その他部門

2,048

22.6

合計

410,503

1.0

 

(注) 1 金額は販売価格によっています。

2 セグメント間の取引については相殺消去しています。

3 電子材料部門は、銀粉の販売量が増加したこと等により、販売高が増加しています。

4 最近2連結会計年度の主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

田中貴金属工業㈱

64,853

16.0

64,027

15.6

 

 

5 上記の金額には消費税等は含まれていません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営方針

当社は、「地球を舞台に内外の経営資源を駆使して人類の快適な暮らしを創造する」を経営理念として掲げ、安全で良質な商品・サービスを提供するため、さまざまな企業活動を行っています。また、企業活動と環境の調和を図るため、環境負荷の低減に取り組んでいます。
 今後も、法の順守と社会への貢献を尊重しながら、企業価値の増大を実現し、ステークホルダーへの責任を果たす所存です。

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題等

平成29年度は3年間の中期計画の最終年度にあたります。市場動向を見極めながら、海外事業のさらなる拡大や成長市場・周辺分野への展開による事業拡大、事業競争力の継続的強化に向けた諸施策を進めていきます。

経営環境については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載したとおりとなりますが、具体的には、各事業部門で次のような取り組みを行います。

 

環境・リサイクル部門

廃棄物処理事業では、低濃度PCB廃棄物の処理推進に向けてエコシステム山陽㈱やエコシステム秋田㈱において前処理設備の増強を進めます。また、メルテックいわき㈱の操業を開始し、一般廃棄物の処理を拡大します。土壌浄化事業では、新たな浄化技術による土壌浄化の受注拡大やエコシステム花岡㈱の土壌浄化施設の新設に取り組みます。リサイクル事業では、海外からのリサイクル原料の集荷を拡大します。海外事業については、シンガポールにおいて新焼却炉の操業を開始し、インドネシアにおいて廃棄物処理施設の新設を進めます。

 

製錬部門

貴金属銅事業では、小坂製錬㈱において副産金属のスズやアンチモンを増産します。PGM(白金族)事業では、北米や欧州など海外からの原料集荷拡大に取り組み、㈱日本ピージーエムにおいて設備増強と増処理を進めます。亜鉛事業では、リサイクル原料の処理拡大や秋田製錬㈱における亜鉛の増産に取り組むとともに、引き続き焙焼炉など重要設備の新設・更新を進めます。また、メキシコ・チワワ州のロス・ガトス 銀・亜鉛・鉛プロジェクトでは鉱山開発に着手し、アメリカ・アラスカ州のパルマー亜鉛・銅プロジェクトでは探鉱活動を継続し、自山鉱比率の向上に取り組みます。

 

電子材料部門

半導体事業では、搭載数の増加が見込まれるスマートフォンの各種センサー向けに高出力LEDやレーザー方式などの新規製品の開発・拡販を進めます。電子材料事業では、銀粉の設備増強・増産に取り組み、引き続き堅調な新エネルギー向けの需要を取り込みます。機能材料事業では、アーカイブ用データテープ向け磁性粉の拡販と特性向上に取り組みます。また、新規開発では、今後市場拡大が見込まれる滅菌・殺菌機器向け深紫外LEDや燃料電池向け電極材料、新規導電材料などの特性向上やサンプルワークの拡大を進め、早期事業化を図ります。

 

金属加工部門

伸銅品事業では、耐熱性や導電性、強度などの特性を高めた銅合金の開発・拡販を進め、自動車やスマートフォンなどの電子部品向けの需要を取り込みます。国内では設備改善による生産性向上に取り組むとともに、海外では、中国やタイ、台湾の拠点を活用し、アジアでの拡販を進めます。めっき事業では、日本やタイでの増産やメキシコの新工場の立ち上げなど、自動車向けを中心に引き続きグローバル供給体制の強化に取り組みます。回路基板事業では、新規製品の増産に向けた設備増強を進めます。

 

 

熱処理部門

工業炉事業では、国内やインド、北米において、自動車部品メーカーへの拡販に取り組みます。また、人員増強や部品の現地調達化により、海外でのメンテナンス事業を強化します。熱処理事業では、インドで新工場を立ち上げ現地顧客から受注を拡大するなど、引き続き海外展開を進めます。国内では生産能力の増強に取り組み、増加する需要に対応します。

 

(3) 株式会社の支配に関する基本方針

当社は、上記方針を定めておりませんが、基本的な考え方として、次のとおり「情報と時間ルール」を定めております。

 

情報と時間ルール

 

当社取締役会は、議決権割合が20%以上となる当社株式の買付行為(以下、大規模買付といいます)を受け入れるかどうかは、最終的には、株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると認識しております。その判断にあたっては、当社の事業規模や事業領域に照らして、大規模買付を行おうとする者(以下、大規模買付者といいます)と当社取締役会の双方からの「適切な情報提供」と「十分な検討期間の確保」が必要であると考えます。

このような基本的な考え方に基づき、当社取締役会は、大規模買付を認識したときは、大規模買付者に対し、次の情報(以下、大規模買付情報といいます)を他の株主及び取締役会に提供することを求めます。

① 大規模買付の目的及び内容

② 買付価格の算定根拠及び買付資金の裏付け

③ 大規模買付完了後に意図する当社経営方針及び事業計画

④ その他株主価値に影響する重要な事項に関する情報

当社取締役会は、大規模買付情報を検討したうえで、当該大規模買付に対する評価意見を公表します。その際には、取締役会から独立した第三者により構成される委員会の意見を求めます。

また、当社取締役会は、当社株式の取引や異動状況を常に注視し、大規模買付がなされた場合に迅速かつ適切な対応をとり得る社内体制を整備いたします。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

①経済情勢

日本、北米、アジア、欧州など当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

②非鉄金属相場、為替相場

当社グループが取扱う製品には、金、銀、銅、亜鉛など国際的な相場により価格が決定されるものがあります。また、これら主要地金の原料鉱石は海外から調達しており、国際的市況の変動、為替相場の変動によるリスクを負っています。これに対し、当社グループは非鉄金属先渡取引や為替予約などを通じてヘッジするなど、リスクの軽減に取り組んでいます。

 

③公的規制

当社グループは、国内においては環境・リサイクル関連法、独占禁止法等の法的規制の適用を受けているとともに、海外においても各国の法的規制、たとえば関税・輸出入規制や外国為替管理法の規制を受けています。このような中、当社グループとしては、法的手続きによる権利の保全にも万全を期しています。しかしながら、将来において、現在予測し得ない法的規制が設けられる可能性があり、これらの法的規制に係る指摘を受けた場合、当社グループの事業活動が制限される可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④株価の変動

当社グループは、当連結会計年度末時点で取引先を中心に約305億円の市場性のある株式を保有しており、これらの株価変動リスクを負っています。

 

⑤金利の変動

当社グループの当連結会計年度末の有利子負債残高は798億円で、総資産の20%を外部調達しており、急激な金利上昇によって業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥災害や停電

当社グループは、製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っています。しかし、生産施設で発生する災害、停電又はその他の中断が発生した場合、当社グループの生産能力が著しく低下する可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

各セグメントでは、常に現行商品の改良・改善に努めていますが、これに加え、お客様のご要望を先取りした次期商品の開発、及び事業の基盤となる製造プロセス技術、設備技術の改善・改良を進めました。また、グループ全体として有望な新規商品については、社内インキュベーションセンターによって、開発・事業化を加速させました。さらに、近未来を見据えた新しいコンセプトの商品や革新的新技術に関する基礎研究領域については、大学等との交流を大幅に拡大し、数多くの共同研究を実施することによって、将来有望な開発テーマを着実に創出して来ています。これらの研究開発活動により、現在から近未来に渡る広範囲のフェイズにおける「技術立社」を推進しています。

当連結会計年度における研究開発費の総額は4,834百万円です。

なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ② 連結損益計算書」の当連結会計年度における「開発研究費」は5,670百万円ですが、これには研究開発費のほか、新鉱床探鉱費等835百万円が含まれています。

各セグメントの研究開発活動、主な成果及び研究開発費は次のとおりです。

 

環境・リサイクル部門

環境リサイクル事業の競争力強化に向けて、環境技術研究所が関連事業所と連携して「リサイクル技術の開発」「廃棄物処理技術の開発」「土壌・地下水汚染の浄化技術開発」等に取り組みました。
 主な成果としては、次のようなものが挙げられます。
 リサイクル技術では、小型家電リサイクルなどに有効な選別技術によってリサイクル産物の品質を向上させ、事業収益に貢献しています。
 廃棄物処理技術では、有害廃棄物の管理技術向上とともに、時限事業である低濃度PCB廃棄物処理事業の保有技術や施設の有効活用を見据えた事業検討に取り組んでいます。
 土壌・地下水汚染の浄化技術では、自然由来重金属含有土壌の浄化技術であるDME(乾式磁力選別処理)工法の現地施工事業の開発に取り組みました。また、高濃度重金属汚泥を対象とした造粒・コーティング法による新規の不溶化技術を確立しました。
 また、ブランドビジョン「motivate our planet」のもとに、将来事業、グリーンビジネスの可能性について、事業・技術の両面から検討を行っています。
 なお、当部門における研究開発費は271百万円です。

 

 製錬部門

今後の製錬事業をさらに発展させるために、課題解決に向けて製錬技術研究所を中心とし各事業所及び大学、研究機関、民間研究施設等を利用することによって、「電力使用量の削減」「有価金属の高効率回収技術の確立」「環境負荷低減技術の構築」に精力的に取り組みました。
 主な成果としては、次のようなものが挙げられます。
 電力使用量の削減に関しては、当年度最終年度となる4年目に入った経済産業省/独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の委託試験事業「高不純物銅アノードによる電解精製の実現」を計画的に遂行し、実機設備での鋳造及び電解を行い、実機試験での128時間以上の連続電解において電極間距離の短縮化により電力原単位も低減でき目標を達成することができています。また、品質面でも目標のLMEグレードを達成できる見込みが得られ、ほぼ当初目標を達成して終了しています。本研究成果につきましては、今年度神戸で開催された国際学会COPPER2016にて発表しました。
 有価金属の高効率回収技術の確立に関しては、インジウム、ゲルマニウムの回収率を向上させるべく、特に製品化に繋がる後半工程に対して新規プロセス開発に取り組んでいます。従来の硫化による分離回収法から還元置換法での可能性について追及し、回収率の向上が期待できることを確認しています。今後は、ロスの多い前半工程での回収率向上に向けて取り組む予定です。
 半製品からのアンチモン回収については、本件もJOGMEC委託試験事業であり、最終年度の4年目でありました。すでに達成していた脱Sb速度に加えて、酸素効率低下の課題もノズル改良で達成できています。また、高品質Sbの新規製法として酒石酸やKOHを用いた回収プロセスを開発し、当初目標を達成して終了できました。
 環境負荷低減技術の構築に関しては、鉄源の形態変更によりスコロダイトの安全性、経済性、環境性を大幅に向上させることができることを見い出しました。本研究成果も今年度の国際学会COPPER2016において発表しました。
なお、当部門における研究開発費は348百万円です。

 

 電子材料部門

グローバルな競争、流動的な経済情勢の中で、さらに成長・発展し、変化に対応するために技術力強化とトップ商品の拡充を目的として、足元並びに将来の市場動向を見据えた戦略的な研究開発に取り組みました。
 具体的には、半導体材料研究所、電子材料研究所、機能材料研究所並びに各事業所の技術開発部門において、化合物半導体、オプトデバイス、導電性材料、磁性材料、各種機能性粉体などで、新たな市場開拓・用途展開を見据えての新製品の開発・現行製品の品質改善・生産性の向上に取り組みました。
 再生可能エネルギー関連の電極材料に使用される導電粉及びヘルスケア向け赤外LEDは、重点テーマとして継続的に取り組んでいます。
 また、新たな分野・用途開発として民生、医療の分析・殺菌等向けに深紫外LED、電子部品等への低温焼結・接合用途に金属ナノ粒子、フィラー及び燃料電池用材料等の開発にも引き続き積極的に取り組んでいます。
 特に 赤外LEDは、高効率・長寿命に優れた新方式の導入、波長域を拡大した高特性商品の開発で良好な成果を得ました。
 なお、当部門における研究開発費は3,195百万円です。

 

 金属加工部門

金属加工事業分野では、車載用標準材である「NB-109」「NB-105」といった銅合金のお客様使用特性の改善、及びめっき技術開発などを行い、世界標準材としての位置付けを固めていきます。また、スマートフォン用など小型コネクタ材として必須の高強度材「YCuTシリーズ」に新たなプロセスを開発し、ばね性の高い新商品「YCuT-GM」をラインナップしています。並行してこれらの生産性向上にも取り組んでいます。
 めっき事業分野では、エコカー向け貴金属めっき材の機能特性向上及び省資源化に貢献する、部分めっきの高精度化・高効率化に取り組んでいます。
 サーマルデバイス事業分野では、主力製品である金属セラミックス接合基板の信頼性・生産性向上に引き続き取り組んでおり、改良品をリリースしていく予定です。新エネルギーや鉄道、エコカー向けに新製品である新構造基板の市場投入を開始しており、引き続き製造プロセスの改善、生産性向上、コストダウンに取り組んでいます。
 なお、当部門における研究開発費は587百万円です。

 

 熱処理部門

顧客ニーズを的確に捉えた新商品開発を目指し、既存技術と要素技術を融合させた新たな次世代商品を顧客と一緒に創出することで、熱処理・工業炉両事業部門に貢献するとともに世界No.1の熱処理メーカーをめざして商品開発に取り組みました。
 工業炉事業分野では、顧客の環境変化を的確に捉え、今後益々加速する海外現地化や生産規模が縮小する国内生産に対応し、小規模かつ低コストな熱処理設備の開発を進めました。小ロットで汎用性のある真空浸炭や真空焼結向け小規模真空熱処理設備を開発導入し、要素技術の検証に着手しました。また、小型MIM・CIM装置も導入し、顧客からの試作対応及び装置導入における検証を開始しました。
 熱処理事業分野では、自動車部品の高強度化を目的として開発した新窒化工法をさらに進化させ、複雑で高精度の雰囲気制御が不要な新工法の開発目途付けが完了しました。当年度は進化版窒化の量産設備開発に取り組みます。また摺動部品や電子材、生体材など多岐用途への適用を目指しているDLC膜開発では、量産化試験を実施し商品化と適用拡大を進めています。
 この他に既存設備のQCD改善技術開発も継続的に行っており、両事業部門の売上拡大に寄与するとともに、顧客とのパートナーシップ強化に貢献しました。
 なお、当部門における研究開発費は431百万円です。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としています。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り・予測を実施しています。

① 貸倒引当金

当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については過去の一定期間における貸倒実績から算出した貸倒実績率により計上し、貸倒懸念債権については個別に債権の回収可能性を検討し回収不能見込額を計上しています。

② 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、将来の課税所得及び継続的な税務計画をもって検討し、全部又は一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に調整額を費用として計上しています。

③ 退職給付に係る負債

従業員の退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率及び年金資産の期待運用収益率などが含まれます。当社グループは、割引率を主に日本国債の金利により決定しているほか、報酬水準の増加率及び従業員の平均勤務期間については当社グループの過去の実績値に基づいて決定しています。

④ 環境対策引当金

「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(平成13年6月22日 法律第65号)及び「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法施行令の一部を改正する政令」(平成24年 政令第298号)の規定により、ポリ塩化ビフェニル廃棄物を保有している事業者は適切な保管と届出が要求され、平成39年3月31日までに処分することが義務付けられました。

当社グループは、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理に係るコストが、当連結会計年度以前の事象により起因して将来発生するものであること、及び金額を合理的に見積ることが可能であることなどにより、当連結会計年度末における処分費用の見積額を計上しています。

⑤ 固定資産の減損

当社グループは、主として事業グループ単位を資産グループとし、遊休資産は個々の資産グループとしています。

減損の兆候がある資産グループについては、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回る場合には、減損損失を特別損失に計上しています。なお、資産グループの回収可能価額は、正味売却価額により測定しており、時価については不動産鑑定評価額等合理的に算定された評価額に基づいて算定しています。

⑥ その他有価証券等の減損

当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関に対する持分を所有しています。これらの株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式が含まれます。

当社グループは投資価値が著しく下落しかつ回復可能性がないと判断した場合、これら有価証券の減損を実施しています。公開会社の株式は、期末月平均の株価が取得原価の50%を下回った場合、また非公開会社の株式は、原則として当該会社の実質価額が取得原価の50%を下回った場合に、回復する見込が合理的に予測できる場合を除き減損処理を行うこととしています。

 

 

(2) 当連結会計年度の財政状態の分析

① 資産の部

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して40,183百万円増加し404,604百万円となりました。流
動資産26,161百万円の増加、固定資産14,021百万円の増加となります。
 流動資産の増加は、現金及び預金が3,775百万円減少した一方で、受取手形及び売掛金が17,967百万円、原材料及
び貯蔵品が10,160百万円増加したことなどによるものです。
 固定資産の増加は、建設仮勘定が3,421百万円減少した一方で、機械装置及び運搬具が7,546百万円、投資有価証
券が7,167百万円、建物及び構築物が3,883百万円増加したことなどによるものです。

② 負債の部

負債については、前連結会計年度末と比較して15,732百万円増加しました。これは、有利子負債が1,252百万円減
少した一方で、その他流動負債が6,830百万円、支払手形及び買掛金が5,548百万円、未払法人税等が3,365百万円増
加したことなどによるものです。

③ 純資産の部

純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益が26,169百万円となり、配当金の支払いなどを行った結
果、株主資本が20,682百万円増加しました。また、その他の包括利益累計額がその他有価証券評価差額の増加など
により3,699百万円増加し、純資産合計では前連結会計年度末に比較し24,451百万円増加しました。この結果、自己
資本比率は54.2%となりました。

 

(3) 当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比較し、電子部品や新エネルギー関連の製品の販売が増加したことなどから、電子材料部門などで増収となりました。この結果、前連結会計年度の406,598百万円に対し1.0%増加し410,503百万円となりました。

② 売上原価、販売費及び一般管理費

当連結会計年度の売上原価は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度の337,314百万円に対し、1.1%増加し341,177百万円となりました。
 これらの結果、売上高に対する売上原価率は前連結会計年度の83.0%に対し、83.1%となりました。
 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、租税公課の増加などにより、前連結会計年度の34,216百万円に対して3.3%増加し、35,335百万円となりました。

③ 営業利益

当連結会計年度の営業利益は前述の要因により、前連結会計年度の35,067百万円に対し3.1%減少し、33,990百万円となりました。

④ 営業外収益(費用)

当連結会計年度は、持分法による投資利益の増加などにより、前連結会計年度の11百万円の費用(純額)に対し、2,513百万円の収益(純額)となりました。

⑤ 特別利益(損失)

当連結会計年度は、特別利益で固定資産売却益など1,867百万円を計上しましたが、特別損失では、固定資産除却損など1,636百万円を計上しました。
 これにより、当連結会計年度の特別利益から特別損失を差引いた純額は、前連結会計年度の3,233百万円の損失に対し、230百万円の利益となりました。

⑥ 税金等調整前当期純利益

当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の31,822百万円に対し、15.4%上昇し36,735百万円となりました。

⑦ 法人税等

当連結会計年度の法人税等は10,260百万円となりました。税効果を適用した当連結会計年度の税金等調整前当期純利益に対する法人税等の比率は、法定実効税率の31.5%より3.6ポイント低い27.9%となりました。

 

⑧ 非支配株主に帰属する当期純利益(損失)

非支配株主に帰属する当期純利益は、主に㈱日本ピージーエム、DOWA IPクリエイション㈱などの非支配株主に帰属する利益からなり、当連結会計年度は、前連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純損失103百万円に対し、408百万円増加し非支配株主に帰属する当期純利益304百万円となりました。

⑨ 親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の21,826百万円に対し、19.9%上昇し26,169百万円となりました。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループは、コアビジネスである環境・リサイクル部門、製錬部門、電子材料部門、金属加工部門、熱処理部門を中心に事業を行っており、このうち、当連結会計年度の売上高の50.6%を占める製錬部門は、非鉄金属相場及び為替相場の変動の影響を受けやすいため、状況に応じて非鉄金属先渡取引及び為替予約取引などによりリスク軽減に努めています。

当社グループでは、今後も収益性の向上及び財務体質の改善に努めていきますが、非鉄金属相場及び為替相場の急激な変動、景気動向などの外的要因により業績に影響を受ける可能性があります。

 

(5) 戦略的現状と見通し

当年度の主な施策等は次のとおりです。

 

環境・リサイクル部門

○ 廃棄物処理事業では、エコシステム秋田㈱において新炉を稼働させ、低濃度PCB廃棄物の処理を拡大しました。また、エコシステム秋田㈱、エコシステム千葉㈱、エコシステム山陽㈱の各工場において、難処理廃棄物の集荷拡大に取り組みました。
○ 土壌浄化事業では、増加が見込まれる大型インフラ投資関連の需要に向けて、新たな浄化技術を採用した浄化施設の建設に向けた準備を進めました。
○ リサイクル事業では、海外からのリサイクル原料の集荷拡大に向けて、東南アジアの拠点を活用した営業活動を展開しました。また、自動車リサイクルや家電リサイクルにおいて有価物の分別・回収強化に取り組みました。
○ 東南アジアでは、シンガポールにおいて新焼却炉の建設を進めるとともに、インドネシアやタイにおいて最終処理施設の新設・拡張に向けた取り組みを進めました。

 

製錬部門

○ 貴金属銅事業では、小坂製錬㈱においてアンチモンなど副産金属の回収能力強化に取り組み、秋田製錬㈱の中間品やリサイクル原料など多様な原料の処理を進めました。
○ PGM(白金族)事業では、使用済み自動車廃触媒からのPGM回収拡大に向けて、海外からの集荷拡大に取り組みました。また、㈱日本ピージーエムにおいて新炉の操業を開始し、処理能力の向上を進めました。
○ 亜鉛事業では、秋田製錬㈱においてエネルギーコストの削減や生産性向上に取り組むとともに、焙焼炉など重要設備の新設・更新を進めました。また、タイの拠点を活用して東南アジアへ亜鉛合金を拡販しました。
○ 自社製錬所向け原料の長期的な安定確保のため、アメリカ・アラスカ州のパルマー亜鉛・銅プロジェクトでは探鉱活動を進め、メキシコ・チワワ州のロス・ガトス 銀・亜鉛・鉛プロジェクトでは鉱山開発に向けたフィージビリティー・スタディーを完了させました。

 

 

電子材料部門

○ 半導体事業では、DOWAセミコンダクター秋田㈱においてセンサー用高出力LEDの生産性向上やレーザー方式の新規製品の開発に取り組みました。また、ヘルスケア機器向けなど新規用途へのサンプルワークを進めました。
○ 電子材料事業では、堅調な需要が見込まれる新エネルギー向け銀粉の設備増強と生産性向上を進め、拡販に取り組みました。
○ 機能材料事業では、DOWAエレクトロニクス岡山㈱において、今後も底堅い需要が見込まれるアーカイブ用データテープ向け磁性粉の特性向上を進め、拡販を図りました。
○ 滅菌・殺菌機器向け深紫外LEDや燃料電池向け電極材、タッチパネル向け電極材など新規開発品のさらなる特性改善やサンプルワーク拡大に取り組みました。

 

金属加工部門

○ 伸銅品事業では、自動車やスマートフォンなどの電子部品向けに導電性や強度などの特性を高めた銅合金を開発・拡販しました。国内拠点では生産性向上や高特性品の増産に取り組み、海外では中国やタイの拠点を活用してアジアでの拡販を進めました。
○ めっき事業では、国内やタイにおいて生産性向上や増産に取り組み、メキシコにおいて新工場の建設に着手しました。また、新規めっき技術の開発やサンプルワーク拡大に取り組みました。
○ 回路基板事業では、産業機械向けのコスト競争力強化に取り組むとともに、自動車向けに小型軽量・高放熱などの特長を有する新規製品の開発・拡販を進めました。

 

熱処理部門

○ 工業炉事業では、自動車向けの受注拡大に取り組むとともに、メキシコ工場においてメンテナンス事業の整備を進めました。浜松北工場では、製造コスト低減と生産性向上による事業競争力の強化に取り組みました。
○ 熱処理事業では、国内外の堅調な自動車向け需要を取り込みました。また、メキシコの新工場立ち上げやインドの新工場建設など需要増加が期待される地域での事業拡大を進めました。

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「第2 事業の状況  1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

当社は、金融情勢を勘案して保有現預金残高を決定するとともに、短期流動性確保の手段として、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結しているほか、短期社債(電子コマーシャル・ペーパー)の発行枠250億円を設けています。長期性資金については、機動的な調達手段として、社債300億円の募集に関する発行登録(発行予定期間:平成29年3月30日~平成31年3月29日)を行っています。

また、当社グループは、グループファイナンスを行うことで、グループ各社の資金の一元管理を行い資金効率の向上を図っています。

 

(7) 経営者の問題認識と今後の方針について

本項目については、「第2 事業の状況 3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。