当社グループは「地球を舞台とした事業活動を通じ、豊かな社会の創造と資源循環社会の構築に貢献する」を企業理念として掲げ、環境・リサイクル、製錬、電子材料、金属加工、熱処理という5つのコアビジネスにおいて、皆さまの暮らしを支える製品・サービスを提供しています。
1884年(明治17年)に秋田の鉱山・製錬事業から始まった当社グループは、時代の変化とともに事業内容を様々に進化させ、現在は独自の循環型事業を形成し、サステイナブルな社会の構築に貢献しています。今後も長年の経験を活かしながら、変化に対応して成長を継続し、企業価値を着実に向上させていきます。
当社グループは、2018年度から2020年度の3年間の中期計画である「中期計画2020」のもと、引き続き事業基盤の強化を図るとともに、さらなる成長に向けて経営資源を積極投入することによって、底堅さと成長性を兼ね備えた企業になることを目指しています。
中期計画2020の基本方針は以下のとおりです。
成長市場における事業拡大
自動車、情報通信、環境・エネルギー及び医療・ヘルスケアの各分野へ、経営資源を積極的に投入する
既存ビジネスでの競争力強化
成熟した国内市場における事業対応力の強化と製錬・リサイクル複合コンビナート機能の深化により、既存事業の収益力をより一層高める
中期計画2020における経営数値と、2018年度の実績値は以下の通りです。
※ROE:自己資本当期純利益率(親会社株主に帰属する当期純利益/期首・期末平均自己資本)
ROA:総資産経常利益率(経常利益/期首・期末平均総資産)
為替・金属価格
2018年度は、中期計画2020と比較して国内・国際市場における環境の変化や為替相場・金属価格の変動など、当社グループを取り巻く事業環境に様々な変化はありましたが、中期計画2020の基本方針に沿った各施策を着実に進め、一定の成果を得ることができました。具体的には次のとおりです。
環境・リサイクル部門
○ 廃棄物処理事業は、エコシステム山陽㈱とエコシステム秋田㈱において低濃度PCB廃棄物の処理能力を拡大しました。また、廃棄物の溶融・再資源化の拡大のためメルテックいわき㈱の集荷量を拡大しました。
○ 土壌浄化事業は、自然由来汚染土壌の現地浄化推進に向けて、新たな浄化技術を採用した浄化法の受注拡大に努めました。また、国内の埋立処分場の新設・拡張に向けた取り組みを進めました。
○ リサイクル事業は、自社製錬所向けリサイクル原料である廃電子基板のグローバル集荷を拡大しました。また、国内外の環境規制の強化を背景に、自動車リサイクルや家電リサイクルにおいて処理量を増加させました。
○ 海外事業は、インドネシアにおいて有害廃棄物の集荷を拡大しました。また、インドネシアやタイにおいて埋立処分場の新設・拡張や業容拡大に向けた取り組みを進めました。
製錬部門
○ 貴金属銅事業は、製錬・リサイクル複合コンビナート機能の深化に向けて、小坂製錬㈱においてリサイクル原料など多様な原料の処理を推進するとともに、すずの実収率向上にも取り組みました。
○ PGM(白金族)事業は、欧州やアジアの拠点を活用し、使用済み自動車排ガス浄化触媒の集荷量を拡大しました。
○ 亜鉛事業は、亜鉛の増産に向けて、秋田製錬㈱において原料中の不純物の除去設備の建設に着手しました。また、タイの拠点を活用し東南アジア向けに亜鉛合金を拡販しました。
○ 自社製錬所向け原料の長期的な安定確保のため、メキシコ・チワワ州のロス・ガトス 銀・亜鉛・鉛プロジェクトでは鉱山の建設工事を推進し、アメリカ・アラスカ州のパルマー亜鉛・銅プロジェクトでは探鉱活動を進めました。
電子材料部門
○ 半導体事業は、ヘルスケア機器向け近赤外LEDの開発やサンプルワーク拡大など、新規LEDの用途拡大に取り組みました。
○ 電子材料事業は、発電効率の高い新型パネル向け銀粉の特性を向上させました。また、コンデンサなどの電子部品向け導電性アトマイズ粉の特性向上やサンプルワーク拡大に取り組みました。
○ 機能材料事業は、次世代のアーカイブ用データテープ向け磁性粉の特性向上に取り組みました。また、燃料電池材料の拡販を進めました。
○ 研究開発では、殺菌用途向け深紫外LEDの特性向上や半導体接合材料の顧客認定取得などに向けて、研究開発費を増額し、新規製品の早期事業化に努めました。
金属加工部門
○ 伸銅品事業は、自動車やスマートフォンなどの電子部品向けに耐熱性や導電性、強度などの特性を高めた銅合金を拡販しました。国内拠点では生産性向上や高特性銅合金の増産に取り組み、海外では中国において2拠点目となる加工拠点を開設しました。
○ めっき事業は、メキシコにおいて新拠点を立ち上げサンプル出荷を開始し、国内やタイでは生産性向上や増産に取り組みました。また、タイにおいて2拠点目となるめっき拠点を開設しました。
○ 回路基板事業は、鉄道向けや自動車向けの拡販を進めました。また、DOWAパワーデバイス㈱において主力製品並びに自動車向け新規製品を増産しました。
熱処理部門
○ 工業炉事業は、自動車部品メーカーの旺盛な需要を背景に、新規設備の拡販とメンテナンス事業の拡大に取り組みました。また、北米において新たなメンテナンス拠点を開設しました。
○ 熱処理事業は、国内外において堅調な自動車向けの需要を取り込みました。また、インドにおいて新たに2つの熱処理加工拠点の建設を進め、国内やタイ、インドネシアにおいて生産性向上や設備増強に取り組みました。
経営環境については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりとなりますが、2019年度は足元の環境変化も踏まえ、中期計画2020の達成に向けて各事業部門において次の取り組みを行います。
当社は、上記方針を定めておりませんが、基本的な考え方として、次のとおり「情報と時間ルール」を定めております。
当社取締役会は、議決権割合が20%以上となる当社株式の買付行為(以下、大規模買付といいます)を受け入れるかどうかは、最終的には、株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると認識しております。その判断にあたっては、当社の事業規模や事業領域に照らして、大規模買付を行おうとする者(以下、大規模買付者といいます)と当社取締役会の双方からの「適切な情報提供」と「十分な検討期間の確保」が必要であると考えます。
このような基本的な考え方に基づき、当社取締役会は、大規模買付を認識したときは、大規模買付者に対し、次の情報(以下、大規模買付情報といいます)を他の株主及び取締役会に提供することを求めます。
① 大規模買付の目的及び内容
② 買付価格の算定根拠及び買付資金の裏付け
③ 大規模買付完了後に意図する当社経営方針及び事業計画
④ その他株主価値に影響する重要な事項に関する情報
当社取締役会は、大規模買付情報を検討したうえで、当該大規模買付に対する評価意見を公表します。その際には、取締役会から独立した第三者により構成される委員会の意見を求めます。
また、当社取締役会は、当社株式の取引や異動状況を常に注視し、大規模買付がなされた場合に迅速かつ適切な対応をとり得る社内体制を整備いたします。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
①経済情勢
日本、北米、アジア、欧州など当社グループの主要市場における景気後退、及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
②非鉄金属相場、為替相場
当社グループが取扱う製品には、金、銀、銅、亜鉛など国際的な相場により価格が決定されるものがあります。また、これら主要地金の原料は海外から調達しており、国際的市況の変動、為替相場の変動によるリスクを負っています。これに対し、当社グループは非鉄金属先渡取引や為替予約などを通じてヘッジするなど、リスクの軽減に取り組んでいます。
③公的規制
当社グループは、国内においては環境・リサイクル関連法、独占禁止法等の法的規制の適用を受けているとともに、海外においても各国の法的規制、たとえば関税・輸出入規制や外国為替管理法の規制を受けています。このような中、当社グループとしては、法的手続きによる権利の保全にも万全を期しています。しかしながら、将来において、現在予測し得ない法的規制が設けられる可能性があり、これらの法的規制に係る指摘を受けた場合、当社グループの事業活動が制限される可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④株価の変動
当社グループは、当連結会計年度末時点で取引先を中心に約244億円の市場性のある株式を保有しており、これらの株価変動リスクを負っています。
⑤金利の変動
当社グループの当連結会計年度末の有利子負債残高は1,352億円で、総資産の27%を外部調達しており、急激な金利上昇によって業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥災害や停電
当社グループは、製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っています。しかし、生産施設で発生する災害、停電又はその他の中断が発生した場合、当社グループの生産能力が著しく低下する可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
当連結会計年度における当社グループの事業環境については、自動車関連製品は一部で中国市場の減速による影響を受けました。電子部品関連製品はスマートフォン向けにおいて需要が減少しました。新エネルギー関連製品は中国向け需要減少の影響を受けました。相場環境については、為替、金属価格とも国際情勢を窺いながらの値動きとなりましたが、為替は概ね前期並みの水準となり、金属価格は前期と比べ亜鉛や銀などが下落しました。
当期は「中期計画2020」の初年度にあたり、「成長市場における事業拡大」と「既存ビジネスでの競争力強化」の基本方針のもと、諸施策を着実に進めました。
これらの結果、当期の連結売上高は前期並みの452,928百万円となり、連結営業利益は前期比40%減の18,671百万円となりました。連結経常利益は同33%減の24,309百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は同39%減の14,986百万円となりました。
主要セグメントの経営成績は、次のとおりです。
環境・リサイクル部門
廃棄物処理事業は、国内の廃棄物発生量が堅調に推移するなか、廃棄物の処理量は概ね前期並みとなりました。土壌浄化事業は、新たな浄化技術を採用した浄化法の受注拡大に努めました。リサイクル事業は、自社製錬所のリサイクル原料となる廃電子基板の集荷量を拡大し、自動車リサイクルや家電リサイクルにおいて処理量を増加させました。海外事業は、インドネシアにおける有害廃棄物の集荷増が寄与し、概ね前期並みの廃棄物処理高となりました。
これらの結果、当部門の売上高は前期比5%増の104,436百万円、営業利益は同14%増の5,686百万円、経常利益は同10%増の6,271百万円となりました。
製錬部門
貴金属銅事業は、副産金属であるすずの実収率向上に取り組みました。PGM(白金族)事業は、使用済み自動車排ガス浄化触媒からの金属回収量が見込みを下回りました。亜鉛事業は、買鉱条件の悪化や電力単価上昇の影響を受けました。持分法適用会社では、小名浜製錬㈱などの利益が減少しました。
これらの結果、当部門の売上高は前期比2%増の221,668百万円、営業利益は同94%減の592百万円、経常利益は同64%減の4,624百万円となりました。
電子材料部門
半導体事業は、スマートフォン向けLEDの需要が減少しました。電子材料事業は、中国市場において太陽光パネル向け銀粉の需要が減少しました。機能材料事業は、アーカイブ用データテープ向け磁性粉の在庫調整が継続しました。新規製品の早期事業化に向けて、殺菌用途向け深紫外LEDや半導体接合材料などの研究開発費を増額しました。
これらの結果、当部門の売上高は前期比16%減の64,984百万円、営業利益は同61%減の2,176百万円、経常利益は同49%減の3,142百万円となりました。
金属加工部門
伸銅品事業は、自動車向けは堅調に推移し、スマートフォン向けは中国市場を中心に需要が減少しました。めっき事業は、自動車の電装化需要を取り込みました。回路基板事業は、鉄道向けや自動車向けの拡販を進めたものの、産業機械向けの需要が減少しました。
これらの結果、当部門の売上高は前期比2%増の92,069百万円、営業利益は同14%減の6,299百万円、経常利益は同15%減の6,448百万円となりました。
熱処理部門
熱処理事業は、中国の自動車生産台数が減少した影響を受け受注が減少しました。工業炉事業は、新規設備の受注が増加し、国内外で設備メンテナンスの需要が拡大しました。
これらの結果、当部門の売上高は前期比5%増の29,739百万円、営業利益は同7%減の2,437百万円、経常利益は同3%増の2,572百万円となりました。
その他部門
その他部門では、売上高は前期比5%減の11,628百万円、営業利益は同8%増の791百万円、経常利益は同10%増の846百万円となりました。
(注) 当該項目に記載の売上高には消費税等を含めていません。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より2,529百万円増加し、19,002百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は37,555百万円(前期比26,429百万円収入増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益23,499百万円、非資金費用である減価償却費の計上18,628百万円、仕入債務の増加5,883百万円などがあった一方で、棚卸資産の増加13,471百万円や法人税等の支払い7,904百万円などがあったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は51,025百万円の支出(前期比17,015百万円支出増)となりました。これは、環境・リサイクル部門などを中心とした設備投資23,684百万円や貸付けによる支出23,818百万円があったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は15,944百万円の収入(前期比8,143百万円収入減)となりました。これは、有利子負債の増加21,930百万円や、配当金の支払い5,641百万円などによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は、次のとおりです。
(注) 1 金額は、販売価格によっています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3 環境・リサイクル部門は、廃棄物処理、金属リサイクル、土壌浄化処理受託及び運輸事業を行っており、売上高が処理高であるため、記載を省略しています。
4 熱処理部門は、金属熱処理加工、表面処理加工、熱処理加工設備・その付属設備の受託生産事業を行っており、売上高が生産高であるため記載を省略しています。
5 その他の部門は、工事の請負、不動産の賃貸及び見込生産を行っているため、記載を省略しています。
当連結会計年度におけるセグメントごとの受注実績は、次のとおりです。
(注) 1 その他主要な製品に関しては、受注生産を行っていません。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3 熱処理部門(熱処理炉)の受注残高の増加は、DOWAサーモテック㈱において受注高が増加したことなどによるものです。
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりです。
(注) 1 金額は販売価格によっています。
2 セグメント間の取引については相殺消去しています。
3 最近2連結会計年度の主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
4 上記の金額には消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としています。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り・予測を実施しています。
a 貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については過去の一定期間における貸倒実績から算出した貸倒実績率により計上し、貸倒懸念債権については個別に債権の回収可能性を検討し回収不能見込額を計上しています。
b 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の課税所得及び継続的な税務計画をもって検討し、全部又は一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に調整額を費用として計上しています。
c 退職給付に係る負債
従業員の退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準及び退職率などが含まれます。当社グループは、割引率を主に日本国債の金利により決定しているほか、報酬水準の増加率及び従業員の平均勤務期間については当社グループの過去の実績値に基づいて決定しています。
d 環境対策引当金
「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(平成13年6月22日 法律第65号)及び「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法施行令の一部を改正する政令」(平成24年 政令第298号)の規定により、ポリ塩化ビフェニル廃棄物を保有している事業者は適切な保管と届出が要求され、2027年3月31日までに処分することが義務付けられました。
当社グループは、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理に係るコストが、当連結会計年度以前の事象により起因して将来発生するものであること、及び金額を合理的に見積ることが可能であることなどにより、当連結会計年度末における処分費用の見積額を計上しています。
e 固定資産の減損
当社グループは、主として事業グループ単位を資産グループとし、遊休資産は個々の資産グループとしています。
減損の兆候がある資産グループについては、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回る場合には、減損損失を特別損失に計上しています。なお、資産グループの回収可能価額は、正味売却価額により測定しており、時価については不動産鑑定評価額等合理的に算定された評価額に基づいて算定しています。
f その他有価証券等の減損
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関に対する持分を所有しています。これらの株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式が含まれます。
当社グループは投資価値が著しく下落しかつ回復可能性がないと判断した場合、これら有価証券の減損を実施しています。公開会社の株式は、期末月平均の株価が取得原価の50%を下回った場合、また非公開会社の株式は、原則として当該会社の実質価額が取得原価の50%を下回った場合に、回復する見込が合理的に予測できる場合を除き減損処理を行うこととしています。
② 当連結会計年度の財政状態の分析
a 資産の部
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して38,152百万円増加し494,683百万円となりました。流動資産で9,672百万円の増加、固定資産で28,479百万円の増加となります。
流動資産の増加は、原材料及び貯蔵品が11,569百万円、現金及び預金が3,182百万円増加した一方で、流動資産その他が3,925百万円減少したことなどによるものです。
固定資産の増加は、長期貸付金が23,189百万円、有形固定資産が10,040百万円増加した一方で、投資有価証券が 6,909百万円減少したことなどによるものです。
b 負債の部
負債については、前連結会計年度末と比較して39,756百万円増加しました。これは、有利子負債が25,414百万円、その他流動負債が8,979百万円、支払手形及び買掛金が6,111百万円増加したことなどによるものです。
c 純資産の部
純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益が14,986百万円となり、配当金の支払いなどを行った結果、株主資本が8,415百万円増加しました。また、その他の包括利益累計額がその他有価証券評価差額金の減少などにより10,016百万円減少し、純資産合計では前連結会計年度末に比較し1,603百万円減少しました。この結果、自己資本比率は48.0%となりました。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を当連結会計年度から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っています。
③ 当連結会計年度の経営成績の分析
a 売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比較し、銀粉の販売が減少したことなどから、電子材料部門などで減収となりました。この結果、前連結会計年度の454,754百万円に対し0.4%減少し452,928百万円となりました。
b 売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は、物品費が増加したことなどにより、前連結会計年度の387,831百万円に対し、2.2%増加し396,495百万円となりました。
これらの結果、売上高に対する売上原価率は前連結会計年度の85.3%に対し、87.5%となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、給料及び手当の増加などにより、前連結会計年度の35,975百万円に対して5.0%増加し、37,761百万円となりました。
c 営業利益
当連結会計年度の営業利益は前述の要因により、前連結会計年度の30,948百万円に対し39.7%減少し、18,671百万円となりました。
d 営業外収益(費用)
当連結会計年度は、受取利息の増加などにより、前連結会計年度の5,407百万円の収益(純額)に対し、5,638百万円の収益(純額)となりました。
e 特別利益(損失)
当連結会計年度は、特別利益で補助金収入など1,067百万円を計上しましたが、特別損失では、固定資産除却損など1,877百万円を計上しました。
これにより、当連結会計年度の特別利益から特別損失を差引いた純額は、前連結会計年度の1,381百万円の損失に対し、810百万円の損失となりました。
f 税金等調整前当期純利益
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の34,974百万円に対し32.8%減少し、23,499百万円となりました。
g 法人税等
当連結会計年度の法人税等は8,389百万円となりました。税効果を適用した当連結会計年度の税金等調整前当期純利益に対する法人税等の比率は、法定実効税率の31.3%より4.4ポイント高い35.7%となりました。
h 非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は、主に㈱日本ピージーエム、DOWA IPクリエイション㈱などの非支配株主に帰属する利益からなり、当連結会計年度は、前連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益570百万円に対し447百万円減少し、非支配株主に帰属する当期純利益123百万円となりました。
i 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の24,693百万円に対し39.3%減少し、14,986百万円となりました。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、コアビジネスである環境・リサイクル部門、製錬部門、電子材料部門、金属加工部門、熱処理部門を中心に事業を行っており、このうち、当連結会計年度の売上高の48.9%を占める製錬部門は、非鉄金属相場及び為替相場の変動の影響を受けやすいため、状況に応じて非鉄金属先渡取引及び為替予約取引などによりリスク軽減に努めています。
当社グループでは、今後も収益性の向上及び財務体質の改善に努めていきますが、非鉄金属相場及び為替相場の急激な変動、景気動向などの外的要因により業績に影響を受ける可能性があります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社は、金融情勢を勘案して保有現預金残高を決定するとともに、短期流動性確保の手段として、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結しているほか、短期社債(電子コマーシャル・ペーパー)の発行枠350億円を設けています。長期性資金については、機動的な調達手段として、社債300億円の募集に関する発行登録(発行予定期間:2019年3月30日~2021年3月29日)を行っています。
また、当社グループは、グループファイナンスを行うことで、グループ各社の資金の一元管理を行い資金効率の向上を図っています。
製錬部門の事業会社であるDOWAメタルマイン㈱は、米国の鉱山会社であるSunshine Silver Mining & Refining社(以下SSMRC)とともに、メキシコ合衆国チワワ州においてロス・ガトス銀・亜鉛・鉛鉱山開発プロジェクト(以下本プロジェクト)を推進しています。
2019年5月にDOWAメタルマイン㈱とSSMRCとの間で本プロジェクトに対する両社の権益比率を変更することに合意し、契約を締結しました。この契約により、本プロジェクトに対するDOWAメタルマイン㈱の権益比率は30%から48.5%になり、SSMRCの権益比率は70%から51.5%になります。
各セグメントでは、常に現行商品の改良・改善に努めていますが、これに加え、お客様のご要望を先取りした次期商品の開発、及び事業の基盤となる製造プロセス技術、設備技術の改善・改良を進めました。また、グループ全体として有望な新規商品については、社内インキュベーションセンターによって、開発・事業化を加速させました。さらに、近未来を見据えた新しいコンセプトの商品や革新的新技術に関する基礎研究領域については、大学等との交流を大幅に拡大し、数多くの共同研究を実施することによって、将来有望な開発テーマを着実に創出して来ています。これらの研究開発活動により、現在から近未来に渡る広範囲のフェイズにおける「技術立社」を推進しています。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ② 連結損益計算書」の当連結会計年度における「開発研究費」は5,888百万円ですが、これには研究開発費のほか、新鉱床探鉱費等716百万円が含まれています。
各セグメントの研究開発活動、主な成果及び研究開発費は次のとおりです。
環境・リサイクル部門
環境・リサイクル事業の競争力強化に向けて、環境技術開発センターが関連事業所と連携して、「効率的な資源循環技術の開発」「有害廃棄物の無害化処理・管理技術の開発」「土壌・地下水汚染の浄化技術開発」等に取り組みました。
主な成果としては、次のようなものが挙げられます。
資源循環技術では、廃基板や小型家電などを対象に有効な選別技術によって産物の付加価値を向上させ、事業収益に貢献しています。
廃棄物処理技術では、有害廃棄物の無害化処理・管理技術向上とともに、時限事業である低濃度PCB廃棄物処理事業の保有技術や施設の有効活用を見据えた事業検討に取り組んでいます。
土壌・地下水汚染の浄化技術では、自然由来重金属含有土壌の浄化技術であるDME(乾式磁力選別処理)工法の現地施工事業の開発に取り組んでいます。
さらに、大型リチウムイオン二次電池や太陽光パネルの無害化・再資源化の研究に取り組み、将来の事業化のための技術確立を実施しています。
また、ブランドビジョン「motivate our planet」のもとに、将来事業、グリーンビジネスの可能性について、事業・技術の両面から検討を行っています。
なお、当部門における研究開発費は
製錬部門
今後の製錬事業をさらに発展させるために、課題解決に向けて製錬技術研究所を中心とし各事業所及び大学、研究機関、民間研究施設等を利用することによって、「電力使用量の削減」「有価金属の高効率回収技術の確立」「環境負荷低減技術の構築」に精力的に取り組みました。
主な取り組みとしては、次のようなものが挙げられます。
電力使用量の削減に関しては、銅電解並びに亜鉛電解において新型電極を使用した電力原単位低減試験を進めており、電力使用量の削減を達成できるように継続して取り組んでいきます。
有価金属の高効率回収技術の確立に関しては、銅製錬・鉛製錬・亜鉛製錬のコンビナート機能を深化させて、ベースメタルの実収率の維持~向上をさせながら、レアメタルや貴金属・白金族の高効率な回収技術を確立させていきます。
環境負荷低減技術の構築に関しては、近年リサイクル原料由来によるハロゲン負荷増加の影響で、各工程でトラブルが発生していることから、事前にハロゲンを除去するプロセスや、ハロゲンの有効活用できるプロセスの開発に取り組んでいます。
なお、当部門における研究開発費は
電子材料部門
グローバルな競争、流動的な経済情勢の中で、更に成長・発展し、変化に対応するために半導体材料研究所、電子材料研究所、機能材料研究所並びに各事業所の技術開発部門において、化合物半導体、オプトデバイス、導電性材料、磁性材料、各種機能性粉体などで、技術力強化と新たな市場開拓・用途展開を見据えての新製品の開発・現行製品の品質改善・生産性の向上に取り組みました。
特に新規商品の拡充に重点を置き、民生・産業用の殺菌用途及び医療用の分析・治療用途向けの紫外LED及び半導体接合用途向けの金属ナノ粒子、電装部品等への導電性フィラーの研究開発に取り組みました。
その結果、導電性フィラーは、市場の要求に対応した技術改善、独自技術の開発の成果として顧客から良好な評価を得ており、今後の増販・販路拡大が期待されます。
なお、当部門における研究開発費は
金属加工部門
金属加工事業分野では、車載用標準材である「NB-109」「NB-105」といった銅合金の顧客の使用特性の改善、及びめっき技術開発などを行い、世界標準材としての位置付けを固めていきます。また、スマートフォン用など小型コネクタ材として必須の高強度材「YCuTシリーズ」に新たなプロセスを開発し、ばね性の高い新商品「YCuT-GM」をラインアップしています。並行してこれらの生産性向上にも取り組んでいます。
めっき事業分野では、エコカー向け貴金属めっき材の機能特性向上及び生産性改善を通じて、エコカーの高性能化と需要拡大に対応していきます。また、省資源化に貢献する、部分めっきの高精度化・高効率化に取り組んでいます。
サーマルデバイス事業分野では、主力製品である金属セラミックス接合基板の信頼性・生産性向上に引き続き取り組んでおり、改良品をリリースしていく予定です。新エネルギーや鉄道、エコカー向けに新製品である新構造基板の市場投入を開始しており、引き続き製造プロセスの改善、生産性向上、コストダウンに取り組んでいます。
なお、当部門における研究開発費は
熱処理部門
顧客ニーズを的確に捉えた新商品開発を目指し、既存技術と開発技術を融合させた新たな次世代商品を顧客と一緒に創出することで、熱処理・工業炉両事業部門に貢献するとともに、総合熱処理メーカーをめざして商品開発に取り組みました。
工業炉事業分野では、顧客の事業環境変化を的確に捉え、今後益々加速する海外現地化や生産規模が縮小する国内生産に対応し、セル式かつ低コストな熱処理設備の開発を進めました。また、セル式で汎用性のある真空浸炭や真空焼結向け真空熱処理設備を開発し、販売を開始しました。更に、セル式真空浸炭炉・MIM(脱脂・焼結)装置も導入し、顧客からの試作対応及び装置導入における検証サービスを上期中に開始する予定です。
熱処理事業分野では、高強度自動車部品に適用されている制御窒化工法においては、理想的な温度制御、雰囲気制御が可能な実証炉の開発を進めており、上期中までには完成する見込みであり、更なる高強度化で用途拡大を目指します。また、ドライコーティング開発においては、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜の引合いが多く、堅調に推移しています。共同研究も数社と進め、技術力を強化しながら、更なる市場拡大を狙っています。他にも、耐酸化性に優れた新膜開発も大詰めを迎えており、合わせ持つ優れた摺動特性が、従来膜との世代交代を推し進めるものと期待しています。
この他に既存設備の省エネ・低CO2化技術開発も継続的に行っており、両事業部門の売上拡大に寄与するとともに、顧客とのパートナーシップ強化に貢献しました。
なお、当部門における研究開発費は