第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営方針

企業理念

地球を舞台とした事業活動を通じて、豊かな社会の創造と資源循環型社会の構築に貢献する

 

ビジョン(2030年のありたい姿) 

本業とする資源循環と優れた素材・技術の提供を進化させ、安心な未来づくりに貢献し続ける 

 

当社グループは、1884年(明治17年)の創業以来、時代の変化とともに事業内容を様々に進化させてきました。現在では、5つのコアビジネス(環境・リサイクル、製錬、電子材料、金属加工、熱処理)からなる独自の「循環型ビジネスモデル」を形成し、企業理念の実現を目指しています。

当社グループの「循環型ビジネスモデル」を構成する製品・サービスは、いずれも社会の根幹を支えているとともに、経済活動に伴う環境負荷の低減に寄与しています。そのため、これらの製品・サービスを発展的に進化させ続け、様々な社会課題の解決に取り組むことが重要であると考えています。

これからも社会の変化に適応しながら、5つのコアビジネスをそれぞれに進化させ、サステナブルな社会の実現に貢献する製品・サービスを提供し続けることにより、当社の企業価値の最大化を目指していきます。

 

≪価値創造ドライバー:循環型ビジネスモデル≫

DOWAグループは、5つの事業領域を組み合わせた独自の循環型ビジネスモデルを構築しています。

世界中から廃棄物やリサイクル資源を集めるネットワークを保有し、多種多様な金属のリサイクルをするとともに、リサイクルできない廃棄物を適正に処理し環境負荷の低減を図っています。また、世界を変える技術革新に貢献する素材の生産や、製品の寿命を伸ばす技術・サービスを提供しています。

循環型ビジネスモデルを通じた社外との連携により新たな価値を創出することで、循環のクオリティを追求し、本質的な循環を実現します。

 


 

強み01

リサイクル原料の集荷(集める)

グローバルな原料集荷ネットワークを構築し、サンプリングや分析精度に対する高い信頼性を基盤として、多様なリサイクル原料の安定的かつ継続的な集荷を実現しています。

強み02

高効率な金属の生産(分ける・つくる)

製錬所や廃棄物処理・リサイクル施設を連携させ、リサイクル原料や使用済み製品等から、20種類以上の金属を高効率に回収・生産しています。また、リサイクルできないものは焼却、埋立等により環境負荷を低減しています。

強み03

金属の高付加価値化(つくる)

超高純度化、薄膜成長、粒子合成、金属組織制御、表面処理等の技術を用いて金属の可能性を引き出すことにより、高機能な製品・サービスを顧客に提供しています。

 

 

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題等

当社は2022年度より、「循環型ビジネスモデルの進化」と「サステナビリティ・マネジメントの強化」を基本方針とする「中期計画2024」(対象期間:2022年度~2024年度)を推進してきました。また、その進捗を踏まえ、2025年5月に2025年度~2027年度を対象期間とする「中期計画2027」を公表しました。

なお、「中期計画2027」の詳細につきましては、当社ウェブサイトをご参照ください。

 https://hd.dowa.co.jp/ja/ir/strategy/plan.html

 

<中期計画2024のレビュー>

施策につきましては概ね計画通りに実行し、「循環型ビジネスモデルの進化」では新製品・新技術の実用化が進みました。また、「サステナビリティ・マネジメントの強化」では、活動の効率化を図り事業貢献に直結させるフェーズへと移行しました。事業投資は計画に基づいて実施し、一部は収益貢献を果たしました。加えて、事業ポートフォリオの見直しにより、収益性や経営効率の向上を進めました。一方で、金属価格の下落やエネルギー価格の上昇といった外部環境の変化に加え、販売面では一部の製品・サービスで市場や競争環境の変化が生じた結果、最終年度の財務数値は目標未達となりました。

今後は、これまでの施策や投資成果の刈り取りに注力するとともに、新たな変化への対応を進めていきます。

 

《注力テーマのレビュー》



 

《財務目標の達成状況》


 

<中期計画2027(対象期間:2025年度~2027年度)>

① DOWAグループが目指すもの

近年、日本は大量生産・大量消費・大量廃棄型の「線形経済(リニアエコノミー)」から、あらゆる段階で資源を効率的かつ循環的に利用し、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値の最大化を図る「循環経済(サーキュラーエコノミー)」への移行を目指しています。そのため、これからは環境を守り、限りある資源を有効活用しながら、経済を発展させることが一層求められます。

当社グループは5つの事業領域を組み合わせた独自の「循環型ビジネスモデル」を推進しており、循環経済への移行はグループにとって大きな追い風となります。複合的かつ長期的である本質的な循環を目指し、140年にわたり積み上げてきた技術や「循環型ビジネスモデル」をドライバーとしてクオリティの高い循環の実現を目指します。

循環のクオリティを追求し続けることにより、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、企業価値のさらなる向上を図っていきます。

 


 

 

② 基本戦略

「中期計画2027」においては、企業価値の向上に向けて、「価値の創出」・「変動の抑制・期待の醸成」を基本戦略とし、成長事業の強化、新規事業・製品の開発、資本効率の向上、リスクの低減等の施策を推進します。

各取り組みの詳細は「中期計画2027」の公表資料をご参照ください。

 


 

③ 経営目標

「中期計画2027」の経営目標及び前提条件は、次のとおりです。

《財務目標》

 

2024年度実績

2025年度予想

中期計画2027

(2027年度目標)

営業利益(億円)

322

240

470

経常利益(億円)

435

340

600

ROA(%)

6.7

9

ROE(%)

7.0

10

 

※ROA:総資産経常利益率(経常利益/期首・期末平均総資産)

ROE:自己資本当期純利益率(親会社株主に帰属する当期純利益/期首・期末平均自己資本)

 


 

《前提条件・感応度(営業利益/年)》

 

前提条件

(中期計画2027)

変動幅

感応度

(2025年度)

為替(米ドル)

142.0円/$

±1円/$

4.9億円

9,000$/t

±100$/t

0.3億円

亜鉛

2,600$/t

±100$/t

5.3億円

 

 

 

④ 資本政策・資本配分方針

「中期計画2027」の資本政策は、事業から生み出す資金で資金需要を賄うことを基本とし、健全な財務基盤を前提に、事業投資による利益向上や段階的な株主還元の拡充を行うこととしています。

 

《株主還元方針》

当社は、株主の皆様への利益還元を経営における最重要課題の一つと位置付けています。「中期計画2027」の資本政策は、事業から生み出す資金で資金需要を賄うことを基本とし、健全な財務基盤を前提に、事業投資による利益向上や段階的な株主還元の拡充を行うこととしています。

本方針を踏まえ、「中期計画2027」の期間(2025年度~2027年度)の株主還元方針は、次のとおりとします。

 


 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 全般

① ガバナンス

a サステナビリティ関連方針

当社グループは、サステナビリティ基本方針を制定しています。また、サステナビリティ基本方針を頂点とするサステナビリティ方針体系を整備し、企業理念やビジョンの実現へとつながる、各サステナビリティ分野における方向性を明確にしています。


b サステナビリティ推進体制

当社グループは、企業理念及びサステナビリティ基本方針に基づき、サステナビリティの取り組みをグループ一体で推進していくため、代表取締役社長を議長とする「サステナビリティ推進会議」と、その傘下に経営企画担当役員を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しています。

 


 

《サステナビリティ推進会議》

サステナビリティ推進会議では、サステナビリティに関する重要な方針や施策及びその進捗等について審議・決定を行います。重要な事項につきましては取締役会へ報告し、定期的に監督を受けています。

サステナビリティ推進会議は、「DOWAグループのマテリアリティ」等当社グループのサステナビリティに関する重要課題を検討テーマとしています。

 

*2024年度の検討テーマ:

資源循環型社会の形成、社会リスク・環境リスクを低減する製品・サービスの拡充、気候変動対応、環境保全、労働安全衛生の確保、組織力の強化(ダイバーシティ推進、雇用確保、人材育成など)、リスクマネジメントの推進、コーポレート・ガバナンスの強化、DX(データ利活用)の推進

 

 

《サステナビリティ委員会》

サステナビリティ委員会は、経営企画担当役員を委員長とし、DOWAホールディングス㈱(以下、HDという。)各部長、事業会社企画室長等で構成されています。関連部署が連携しながらグループ全体で各種の取り組みを推進しています。

本委員会は毎月開催し、「DOWAグループのマテリアリティ」に関して、方針や対応策の検討、取り組みの進捗確認等を行っています。特に重要度の高い案件につきましては「サステナビリティ推進会議」に報告し、審議する仕組みとしています。

 

② 戦略

「中期計画2027」においては、「中期計画2024」の活動実績や各項目の重要性を踏まえて「DOWAグループのマテリアリティ」を設定しています。

マテリアリティ

基本方針

資源循環型社会の形成

・天然資源の有効活用や各種リサイクルの拡充などにより、持続可能な資源循環型社会の形成に寄与し続ける

社会リスク・環境リスクを

低減する製品・サービスの拡充

・気候変動や廃棄物の増加などに代表される様々な社会リスク・環境リスクを低減する製品・サービスを絶え間なく顧客に提供する

環境保全

・DOWAグループの全拠点の操業に関わる環境負荷を低減する

労働安全衛生の確保

・事故・災害の発生抑制などにより労働環境を改善し、DOWAグループで働く全ての人に安心を提供する

人的資本の強化

(組織力の強化から改称)

・多様な人材の活躍推進、人材育成の強化、多様な働き方への対応などにより、DOWAグループ全体の人材・組織といった人的資本を強化する

人権の尊重 ※新規追加

・人権リスクの評価、人権教育の推進、救済措置の整備によりDOWAグループの企業活動に関係するすべての人々の人権を守る

コーポレート・ガバナンスの

強化

・高い水準のコーポレート・ガバナンスを構築し、維持・向上を図る

リスクマネジメントの推進

・DOWAグループにとってのリスクを把握し、適時・適切な対策を講じる

品質保証の強化 ※新規追加

・品質保証体制の整備、分析・評価のデジタル化を推進し、不正が生じない仕組みを整え、製品の品質保証を強化する

気候変動対応

・CO2を始めとする温室効果ガス(GHG)の排出削減と、社会の気候変動対策に貢献する製品・サービスの拡充を推進する

データ利活用の推進(DX)

・ビッグデータやデジタル技術を活用し、組織および働き方を変革する

 

 

 

③ リスク管理

a 基本的な考え方

当社グループは、経営に重大な影響を及ぼす危機を未然に防止し、万一発生した場合の被害を極小化するため、リスクマネジメントの高度化に取り組んでいます。また、各事業活動における顕在的・潜在的リスクの洗い出し、対応策の実施、レビュー、監査という一連のリスクマネジメントフローの強化・充実を進めています。

 

リスクマネジメント基本方針

私たちDOWAグループは、事業推進に影響を及ぼす可能性があるリスク事象を適時に識別・評価したうえで、戦略的なリスク対応を可能とする経営基盤を確立するため、グループ全社的なリスクマネジメント体制を整備・運用します。

 

 

b リスクマネジメント体制

当社グループは、下図のとおり、3線ディフェンスをモデルとした内部統制上の「Ⅳ線ディフェンス体制」を基軸とするリスクマネジメント体制を構築しています。

生産等の操業を担う事業子会社(第Ⅰ線)及びそれらを統括する5つの事業会社(第Ⅱ線)が定期的なリスク評価を含むリスクマネジメントサイクルを実施し、持株会社である当社各部(第Ⅲ線)が必要な指示・監督・サポートを行います。また、当社監査部(第Ⅳ線)が監査を実施し、これらの有効性を評価します。

リスクは、「戦略リスク」、「経済リスク」、「オペレーションリスク」、「ハザードリスク」の4つを大区分とし、それぞれにリスクシナリオ詳細を設け、COSO及びJISQ2001を参照した統合的なリスクマネジメントを図っています。「戦略リスク」、「経済リスク」は主に経営戦略会議及び経営執行会議にて、「オペレーションリスク」、「ハザードリスク」は主にサステナビリティ推進会議にて、リスクマネジメントの状況を監督します。更に、各会議の審議において重要とされた事項は、取締役会へ報告し、監督を受けます。

 


 

④ 指標及び目標

a 「中期計画2024」におけるマテリアリティの指標及び目標

DOWAグループのマテリアリティの指標及び目標は次のとおりです。

9つのテーマ

主な施策

指標

2024年度

実績

目標

 

 

 

 

 

 

マテリアリティ1

資源循環型社会の形成

リサイクル原料の集荷拡大

小坂製錬向けリサイクル原料の集荷量

(2021年度=100)

116

110

(2024年度)

使用済み排ガス浄化触媒の

集荷量

(2021年度=100)

68

140

(2024年度)

使用済みリチウムイオン電池リサイクル処理量

(2021年度=100)

210

400

(2024年度)

リサイクル原料由来比率の向上

生産する金属に占める

リサイクル原料由来比率

(製錬部門の売上高ベース)(注) 1

69%

70%

(2024年度)

マテリアリティ2

社会リスク・環境リスクを低減する製品・サービスの拡充

顧客ニーズを踏まえた

主要製品・サービスの拡販

マテリアリティ3

気候変動対応

(注) 2

気候変動対策の全社活動の推進

気候変動対応の推進体制の構築

・TCFDレポートと気候変動対応ロードマップに基づいた中期シナリオの作成

・次期中計に向けた実行計画の作成

・TCFDレポートの公開

・気候変動対応ロードマップの作成

気候変動対応の全社方針・目標の策定

TCFDへの取り組み

 

マテリアリティ4

環境保全

環境管理システムの確立

(ISO14001/EA21に準拠した「仕組み」の維持・拡充)

EHS-MS(環境・安全衛生マネジメントシステム)の運用事業所率

(ISOに準拠)

99%

100%

(2024年度末)

リスクマネジメントの向上(環境事故リスクの最小化・対応力の強化)

環境事故発生数

5件

0件

 

 

9つのテーマ

主な施策

指標

2024年度

実績

目標

 

 

 

 

 

 

マテリアリティ5

労働安全衛生の確保

マネジメントシステムの確立

EHS-MS運用事業所率

99

100

2024年度

事故・労働災害の再発防止

度数率(派遣を含み請負を含まない)

1.28

0.7

2024年度

強度率(派遣を含み請負を含まない)

0.01

0.01

2024年度

健康経営の推進

定期健診受診率

99

(グループ全体)

100

(グループ全体)

マテリアリティ6

組織力の強化

(ダイバーシティ推進、雇用確保、人材育成など)

離職率の低減

新卒入社3年後の定着率
(HD籍)

89

100%の維持

社員充実度サーベイの実施状況

サーベイの

継続実施

サーベイの

定着化

人材育成方針の公開(方針策定及び、WEBサイトや社内ポータルサイトを通じた浸透)

人材育成方針の作成及び
内部・外部公開

人材育成方針に基づき、自ら学べる教育環境を整備

方針の公表・浸透

グローバル人材育成

(海外で必要な基礎知識を赴任前~1年間で学習する仕組みの構築)

海外赴任前教育に加え、
赴任後教育の拡充

赴任後のオンライン教育の継続

継続実施

育児・介護と仕事の両立支援強化

男性の育児休業取得率向上(HD籍)

89.1

100

2024年度

労働時間の削減(総労働時間管理の実施と有給休暇取得目標の設定)

有給休暇取得率の向上

82.9

80%以上

女性の活躍推進

女性新規採用比率(HD籍)の
向上

27

30%以上

65歳までの活躍促進

定年延長の導入

100

グループ全社の

導入

人権の保護

ハラスメントの撲滅

DEI研修、ハラスメント研修の継続実施

ハラスメント

研修の継続実施

障がい者の活躍促進

障がい者雇用率

2.7

(HD単体)

2.3%以上

(グループ全体)

ガ 

 

 

 

 

マテリアリティ7

リスクマネジメントの

推進

ISO9001/OHSASに準拠した

「仕組み」の構築

製品を持つ事業所の準拠率

87%

80%

(2024年度)

品質保証教育の確立

教育受講者数

累計546名

累計350名

(2022~2024年度)

マテリアリティ8

コーポレート・ガバナンスの強化

内部統制の効果的かつ効率的な体制整備と運営

マテリアリティ9

DX(データ利活用)の推進

IT基盤の構築

グループ共通クラウド基盤の運用

運用開始(2023年8月)以降、当初計画通り2025年度からのDX本格化に向けたIT基盤整備完了

2023年度下期

運用開始

DX人材の育成

育成人数

72名

(累計193名)

累計80名

(2022~2024年度)

 

(注) 1 本項目の「リサイクル原料」には、小坂製錬向けリサイクル原料以外の2次製錬原料等を含みます。

2 取組の詳細につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 気候変動対応」に記載しています。

3 HD籍と記載があるのは、当社から社外への出向者を含み、社外から当社への出向者を除いた人員です。

 

b 「中期計画2027」におけるマテリアリティの指標及び目標

DOWAグループのマテリアリティの指標及び目標は次のとおりです。

 

《環境》

マテリアリティ

主な施策

指標

目標

資源循環型社会の形成

 

社会リスク・環境リスクを低減する製品・サービスの拡充

循環型ビジネスモデルのさらなる強化

動静脈連携ビジネス創出テーマ数

新規3案件以上

(2027年度)

リサイクル金属・金属製品の品目の拡大

リサイクル金属認証品目数

(2024年度:8品目)

15品目以上

(2027年度)

GXに資するリサイクルの推進

使用済みリチウムイオン電池

リサイクル処理量

(2024年度=100%)

400%

(2027年度)

気候変動対応

GHG削減に向けたマネジメント

GHG排出量

(スコープ1・2)

2013年度比

22%削減

(2027年度)

リサイクル金属・金属製品の

品目の拡大

DOWAグリーンアクションの

品目数

(2024年度:22品目)

50品目以上

(2027年度)

環境保全

ISO14001/EA21に準拠した環境マネジメントシステムの強化

事業所のEHS-MS(環境・安全衛生マネジメントシステム)準拠率

100%

(2027年度)

公害・環境事故防止

環境事故発生数

0件

生物多様性の保全

TNFDに基づいた情報開示

生物多様性に

取り組む

体制の構築

 

 

《社会》

マテリアリティ

主な施策

指標

目標

労働安全衛生の確保

ISO45001に準拠した安全衛生

マネジメントシステムの強化

事業所のEHS-MS準拠率

100%

(2027年度)

事故・労働災害の再発防止

度数率(派遣・請負含む)

0.7

強度率(派遣・請負含む)

0.01

健康経営の浸透

定期健診受診率(グループ全体)

100%

健康経営推進体制の強化

健康経営体制の

量的・質的拡充

人的資本の強化

離職率の低減

新卒入社3年後の定着率

(HD籍)

100%

育児・介護と仕事の両立支援強化

男性の育児休業取得率

(HD籍)

100%

(2027年度)

労働時間の削減

(総労働時間管理と有給休暇取得)

有給休暇取得率

80%

女性の活躍推進

女性新規採用比率(HD籍)

30%

人権の尊重

グループマネジメントによる

人権対応の強化

バリューチェーンにおける重要な人権リスクの特定

顕著な人権課題の

特定と対応

人権意識の浸透

重要な人権リスクに関する

教育実施

継続実施と

内容の拡充

 

 

 

《ガバナンス》

マテリアリティ

主な施策

指標

目標

コーポレート・ガバナンスの強化

 

リスクマネジメントの推進

統制環境の醸成

内部統制教育の強化

階層別教育の拡充

品質保証の強化

ISO9001に準拠した品質保証体制の強化

製品を持つ国内事業所の準拠率

100%

(2027年度)

品質保証教育の強化

教育受講者数

累計500名

(2025~2027年度)

データ利活用の推進

(DX)

DX/AI・クラウド活用による事業変革

DX推進指標(経営視点)

(2024年度:3.0)

3.3

(2027年度)

ITガバナンス強化

DX推進指標(IT視点)

(2024年度:2.7)

3.0

(2027年度)

DX人材の育成

DXエンジニア育成人数

累計150名

(2025~2027年度)

 

 

 

(2) 気候変動対応

① ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、グループ全体のガバナンスに統合されています。詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) 全般 ① ガバナンス」をご参照ください。

また、「気候変動対応ワーキンググループ」を設置し、実行計画のモニタリング等の事業競争力の強化を両立した気候変動対策を推進しています。

 

② 戦略

「中期計画2027」において、気候変動対応を重要課題(マテリアリティ)の一つとし、全社の推進体制を整え、2050年までのカーボンニュートラル実現を目指した活動を推進しています。

これまでは、TCFD提言のフレームワークに基づいた「TCFDレポート」や、当社グループの気候変動に対する活動状況と新たな目標等を示した「カーボンニュートラル社会の実現に向けて ~2030年度に向けた取組みと2050年カーボンニュートラル実現に向けたロードマップ~」を公表しています。

なお、「気候変動対応」の詳細につきましては、当社ウェブサイトをご参照ください。

https://hd.dowa.co.jp/ja/csr/environment/climate-change.html

 

TCFDレポート

https://hd.dowa.co.jp/ja/csr/environment/climate-change/main/01/teaserItems1/00/linkList/0/link/DOWA_TCFD_report_2205.pdf

カーボンニュートラル社会の実現に向けて ~2030年度に向けた取組みと2050年カーボンニュートラル実現に向けたロードマップ~

https://hd.dowa.co.jp/ja/csr/environment/climate-change/main/010/teaserItems1/01/linkList/0/link/DOWA_2050CN_roadmap_ja.pdf

 

③ リスク管理

気候変動に関するリスク管理は、グループ全体のリスク管理に統合されています。詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) 全般 ③ リスク管理」をご参照ください。

 

《物理リスク対策の推進》

近年、豪雨や台風等の気象災害の激甚化、頻発化により気象災害への備えの重要性が拡大しています。当社は気候変動の物理リスクへの対応として、国内すべての生産拠点を対象として立地する地域の自然災害に対する脆弱性についてのリスク調査を行っています。洪水、浸水、高潮、土砂崩れ等に加え、地震や津波、火山などの幅広い災害を対象としてリスク評価を行い、評価結果を事象ごとに整理したうえで、特に優先度の高い災害や地域については、各拠点のBCPや防災計画に反映し対策を進めています。

 

④ 指標及び目標

気候変動対応方針

DOWAグループは、気候変動対応を経営の重要課題とし、温室効果ガスの排出削減に取り組みます。

また、多様な事業を通じて脱炭素社会の実現に貢献することにより、グループの持続的な成長につなげていきます。

 

 

当社グループは、自社のGHG排出削減と、社会の気候変動対策に貢献する製品・サービスの創出・拡大の両輪で、気候変動対応に取り組んでいます。また、2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けたこれらの取り組みを、グループの持続的な成長に結びつけるため、2030年度の「GHG排出削減目標」と「製品・サービスによる貢献目標」をそれぞれ設定しています。

 


 

 

 

a 2050年のカーボンニュートラル実現に向けて

長期目標

DOWAグループは、2050年までにカーボンニュートラルの達成を目指します。

 

 

b 2030年度のGHG排出削減目標

当社グループの日本国内で排出するスコープ1及び2の2030年度のGHG排出目標は、1,200千t-CO2です。今後、社会動向や技術革新等の変化を注視し、中長期の視点でさらなる削減に取り組んでいきます。なお、スコープ3のGHG排出量は2024年度より公表を開始しましたが、引き続き目標への取り入れについて検討を行っていきます。

 


 

上記のGHG排出目標は、日本政府が掲げる「2030年度において温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す」ために策定された『地球温暖化対策計画』の区分ごとに設定した削減目標に基づいています。

当社グループのGHG排出量の実績(スコープ1、スコープ2、スコープ3)につきましては、当社ウェブサイトをご参照ください。なお、当該サイトは2025年12月までに更新予定です。

https://hd.dowa.co.jp/ja/csr/esg/data/environment.html#environment_08

 

c 2030年度の製品・サービスによる貢献目標

当社グループは、社会の気候変動対策に貢献する幅広い製品・サービスを提供しています。再生可能エネルギーに欠かせない太陽光パネル用銀粉や燃料電池・EV向けの金属材料、また使用済みリチウムイオン電池や太陽光パネルのリサイクル等、サプライチェーンを通じてGHG排出削減に貢献する製品・サービスが数多くあります。また、今後の脱炭素社会に向けて欠かせない非鉄金属を、リサイクルをはじめとする持続可能な資源循環プロセスを組み入れた循環型ビジネスモデルによって社会に提供しています。

このような当社グループならではの貢献を「DOWAグリーンアクション(略称:DGA)」と名付けるとともに、2030年度の目標を設定し、取り組みを推進しています。DGAは、対象とする製品・サービスがサプライチェーンのどの段階でどのような効果をもたらすか等の複数の軸で分類し、環境・社会貢献及び利益貢献等の評価基準に基づいて選定しています。当社グループは、今後もDGAの拡充・拡販並びにその創出を支える技術開発を推進していきます。

なお、「DGA」の詳細につきましては、当社ウェブサイトをご参照ください。

https://hd.dowa.co.jp/ja/csr/environment/climate-change.html

 

 

(3) 人的資本

当社グループは、人材がすべての企業活動の基本と考えています。長い歴史の中で多くの困難を乗り越えられたのは、その時々に顕在化した課題に正しく向き合って、課題解決に取り組むために開発、製造、販売、管理等当社グループ各職場の最前線で働く一人ひとりの力が結集したからです。

グループの永続的な発展のためにも、更には世の中から求められる企業グループであり続けるためにも、私たちは企業理念に共感した一人ひとりの力を結集させて「成長し続ける組織」を目指します。

 

① ガバナンス

人的資本に関するガバナンスは、グループ全体のガバナンスに統合されています。詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) 全般 ① ガバナンス」をご参照ください。特に、当社の組織力強化は、HD人事部が主体となり、他部門、事業会社、各拠点等と連携しながら取り組みを進めています。当社人事部は、採用・人材開発、人事・組織、労政・グローバル人事、そして健康保険・労働衛生の4つの担当で構成されています。

人事機能としては一般的に人材採用、人材評価、人材育成、労務、環境構築があり、当社人事部の4つの担当が有機的に関わりながら、それぞれの機能をブラッシュアップさせることで、組織力強化につなげています。

 


 

 

② 戦略

人材育成方針

私たちDOWAグループでは、社員一人ひとりが自発的に研鑽を積むことを促します。

そのために、役職や年齢・性別・勤務地などに関わらず、意欲がある者には学ぶ機会を公平に提供します。

人材育成においては、一人ひとりの短所を正すのではなく、長所を伸ばすことを基本とします。

 

 

《人材育成の環境整備に向けた取組》

・現場の最前線で働く社員を対象とした研修プログラムを充実させます

・学びたいという意欲さえあれば、日程や時間帯や地域等縛られずに受講できる、充実したオンライン研修プログラムを用意します

・個人の能力に留まらず一人ひとりの力を結集させるために、メンバーの長所を活かしてチーム力を高める組織運営プログラムを導入します

 

人的資本に関する2030年のありたい姿を、「経済的価値と社会的価値との両立を図り、成長し続ける人と組織をつくる」と定め、「成長し続ける人と組織」の状態につきましては、次のとおり3つに分けて定義しました。

 

・様々な社会課題の解決に貢献する当社事業の価値と役割に社員それぞれが共感している

・社内外への情報開示の結果、社員エンゲージメントが高まり、DOWA全体で成果発揮できている

・多様な人材や価値観を尊重し、能力を発揮できる環境下で変化とチャレンジが促進されている

 

 

ありたい姿の達成に向けた取り組みは次のとおりです。

 

ⅰ 勝ち抜ける人材層の拡充

a グループ全体での採用力の強化

日本は少子高齢化が進行しており、総務省の労働力調査によると日本の2024年度平均の就業者数は6,793万人と、前年度に比べ37万人増加していますが、近年の出生率低下もあり、今後の労働力は加速度的に減少していく見通しです。2030年を過ぎたところで労働供給制約社会に入るという予測もあり、社会全体で人手が不足する状態であり、各方面で人の取り合いとなり、転職の増加や人の流動化が進む見込です。

当社にとっても人材確保は喫緊の課題であり、グループ全体での採用力を強化していく必要があるため、新卒採用・キャリア採用を更に強化し、採用及び人員の定着を図ること、また、グループ全体の認知度向上を図ることを基本方針として、施策を推進します。

また、当社では、若手社員に対する定期的な面談を継続して実施しており、仕事への動機づけや上司部下間のコミュニケーション向上に努めています。職場全体での計画的な育成を通じて新入社員の着実な成長を促進し、HD社員の新卒入社3年後の定着率100%を目指します。

 

b 中核人材の育成

当社は、これまで社員の自ら「学びたい」という意欲をより尊重し、自律的に学ぶ風土の醸成を目指すため、より自由度の高い選択型教育制度のシステムを導入し、運用を改定して受講を促進しています。外部環境の変化が激しく正解を見出しづらい時代においては、社員一人ひとりが自己の能力を最大限発揮できる組織とすることが組織力強化につながると考え、今後も意欲ある社員の成長促進の支援として、学びたいときに学べる環境を整備します。

一方で、これまでと同様に階層別教育も重要な教育機会と捉え、研修内容のブラッシュアップに取り組むほか、選択型教育と階層別教育を組み合わせたメニューも整備し、グループ全体で育成強化を目指します。

 

ⅱ 働きたいと思う組織づくり

日本において人口の減少が見込まれる中、出産・育児そして介護といったライフステージの変化を経ながらも、長く働くことができ、そしてそれぞれの社員が自己実現に向け取り組めるような環境づくりが必要です。当社では働き方や価値観が多様化する現代において、社員が安心して働き続けられる制度の整備に加え、やりがいを持って働ける環境を提供し、社員自らが働き続けたいと思える組織づくりを進めていきます。

具体的な取り組みとしては、処遇制度の見直し・改定による多様な働き方の支援や健康経営の更なる促進、また、働き方改革・ダイバーシティーの推進や社員エンゲージメント向上のための施策を推進します。これらの施策を通じて、社員が安心して働き続けられる魅力的な職場を実現し、組織全体のエンゲージメントと生産性の向上を図ります。

 

ⅲ 社内外に開かれた会社

現代社会においては、情報の透明性とデータ活用がますます重要視されています。各社が持つ人的資本の価値を対外的に明示することが、企業の信頼性と競争力を高める要素となります。当社でもデータ活用による人材活用を推進し、人的資本の対外開示を進めます。また、社員に対しても会社の動きや制度に関する情報を提供することで、社内外の認知度を向上させ、外部からの評価及び社員の会社に対するエンゲージメントの向上を目指します。

具体的には、情報共有・人的コミュニケーションの促進として、DXを活用して人材を発掘し、社員のキャリア計画を強化し、社内の流動性を促進します。社員が自身の能力を最大限に発揮できる環境を整えることで、会社全体の活力を高めます。

 

ⅳ 人事のDX推進

当社は、2022年7月にDX認定を取得し、全社の取り組みとしてDXを推進することを社内外に宣言しました。人事部においては、過去から蓄積してきた膨大な人事関連データの統合・解析・活用を進めています。

情報を的確かつ適時に引き出せる体制づくりを進め、人材の発掘、効果的な育成、公平な処遇を目指します。

 

 

③ リスク管理

人的資本に関するリスク管理は、グループ全体のリスク管理に統合されています。詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) 全般 ③ リスク管理」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

当社グループは、「DOWAグループのマテリアリティ」それぞれに指標及び目標を設定しています。人的資本に関する指標及び目標は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) 全般 ④ 指標及び目標」に記載していますので、ご参照ください。

 

 

3 【事業等のリスク】

1 基本的な考え方及びリスクマネジメント体制

「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) 全般 ③ リスク管理」をご参照ください。

 

2 具体的なリスクの内容

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあります。また、当該リスクが顕在化する時期につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載していません。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

戦略リスク

①市場変動に関わるリスク

影響度:小~大

(リスクの内容)

当社グループの製品・サービスに関連する主要な用途市場及び需要地における景気の悪化、産業構造の変化及びそれに伴う需要の減少は、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。事業セグメントにおける主な市場及び代表的なリスクは次のとおりです。

〇環境・リサイクル部門

・日本及び東南アジアでの企業の生産活動の停滞等に伴う廃棄物の発生量の減少

・リサイクル原料(有価金属を含む廃電子基板等)のグローバル市場での発生量の減少

・リサイクルの進展による廃棄物処理ニーズの多様化

〇製錬部門

・海外鉱山の稼働状況等による製錬原料の調達条件の悪化

・原料組成の変化に伴う、製錬原料(鉱石やリサイクル原料)中の有価金属や不純物の含有量及び含有率の変化

〇電子材料部門

・情報通信機器や新エネルギー分野の産業構造の変化やそれに伴う需要の減少

・主要な用途市場における代替技術の開発やそれに伴うニーズの変化

〇金属加工部門

・自動車や情報通信機器の産業構造の変化やそれに伴う需要の減少

・主要な用途市場における代替技術の開発やそれに伴うニーズの変化

〇熱処理部門

・自動車の産業構造の変化やそれに伴う需要の減少

〇全社共通

・カントリーリスクに伴うサプライチェーンの分断や再編、関税政策等

(リスクへの対応)

当社グループは、市場リスクや事業構造変化に関わるリスクが異なる複数の事業で構成される独自の事業ポートフォリオを構築しています。これにより、当社グループ全体としてリスクを分散し業績安定性の確保に努めています。

 

 

②気候変動に関わるリスク

影響度:中~大

(リスクの内容)

気候変動はグローバルな視点で取り組まなければならない重大な社会課題であり、事業環境の変化、気象災害による工場の操業停止や設備管理コストの増加、また事業活動を行う地域におけるカーボンプライシング(炭素税等)の導入や気候変動に関する情報開示の制度化による投資環境の変化等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

当社グループは、2050年までにカーボンニュートラルを目指すとともに、気候変動対応の取り組みをグループの持続的な成長に結びつけるため、2030年度の中間目標として、「GHG排出削減目標」と「製品・サービスによる貢献目標」を設定しています。また、2023年5月には、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けたロードマップを策定しました。GHGの削減に向け既存技術を最大限に活用し、新たな技術の導入に計画的に取り組みます。省エネルギーや再生可能エネルギー、燃料転換、電化等に加え、バイオマス燃料やアンモニアバーナー等の自社開発も積極的に進めていきます。将来的にはCO2を回収・貯留するネガティブエミッション技術の活用も検討する等、複数のオプションで気候変動対策を推進していきます。

また、気候変動問題をはじめとするサステナビリティ課題につきましては、サステナビリティ推進会議において、重要な方針や施策及びその進捗等について審議し、特に重要な事項につきましては取締役会へ報告し、監督を受ける体制としています。

 

 

 

経済リスク

③相場変動に関わるリスク

影響度:中~大

(リスクの内容)

当社グループが取り扱う製品や原料には、非鉄金属や為替等グローバル市場において価格が決定されるものがあるため、金属価格や為替の相場変動によるリスクを負っており、金属価格の下落や円高の進展等が発生し、更にそれらが長期間継続した場合において、当社グループの経営成績及び財務状況等が悪化する可能性があります。特に製錬部門は、金、銀及びPGM(白金族金属)等の貴金属や、銅及び亜鉛等のベースメタルを外貨建で取り扱っていることから、相場変動の影響を大きく受けます。

(リスクへの対応)

当社グループは、非鉄金属先渡取引や為替予約取引等のデリバティブ取引をヘッジ手段として活用することにより、金属価格変動リスク、為替変動リスクの回避・軽減に取り組んでいます。相場変動の影響を大きく受ける製錬部門においては、主に原料・製品に含まれる金属価格や外貨建による原料・製品の購入・販売等に係る為替をヘッジ対象とし、相場変動リスクの縮小に努めています。

ただし、これらの対応を踏まえても、主要な金属の価格及び為替の変動により、営業利益に以下の影響があるものと想定しています。

2025年度業績予想における感応度(営業利益/年)

 

 

前提条件

変動幅

感応度

為替(米ドル)

142.0円/$

±1円/$

4.9億円

9,000$/t

±100$/t

0.3億円

亜鉛

2,600$/t

±100$/t

5.3億円

 

なお、感応度につきましては、現時点で合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の影響額は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

 

④株価下落に関わるリスク

影響度:小~中

(リスクの内容)

当社グループは、当連結会計年度末時点で取引先を中心に31,031百万円の市場性のある株式を保有しており、これらの株価変動リスクを負っています。

(リスクへの対応)

市場性のある株式の保有の適否につきまして、個別の銘柄毎に当初の保有目的に合致しているか、保有に伴う便益やリスクは資本コストに見合っているか等を踏まえて継続保有の可否を総合的に判断し、その内容を取締役会において定期的に検証しています。保有を続けても企業価値の向上に資さないと判断した場合は、市場への影響を考慮しつつ順次売却していきます。

 

 

⑤資金調達に関わるリスク

影響度:小~中

(リスクの内容)

当社グループの当連結会計年度末の有利子負債残高は81,266百万円で、総資産の12%を外部調達しており、急激な金利変動は当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

当社グループでは、変動金利条件の有利子負債を一定範囲内とすることで金利上昇リスクの低減を図っています。また、調達手法、調達先のバランスを最適化することで、資金調達リスク及び調達コストの低減を図っています。

 

 

 

⑥資産減損等に関わるリスク

影響度:小~中

(リスクの内容)

当社グループの資産は投融資金額に見合う将来キャッシュ・フローが得られないと見積られた場合、減損損失を認識するリスクがあります。減損損失を認識した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

特に鉱山関連の投融資からの将来キャッシュ・フロー総額は、有価金属の品位、将来市場価格及び操業コスト等の各種の前提条件の変化による影響を受けます。

なお、当連結会計年度末におけるロス・ガトス鉱山(メキシコ)への当社グループの出資比率は30%であり、投資残高は連結貸借対照表の投資有価証券に18,645百万円計上されており、当社グループの連結総資産において重要性のある鉱山関連の投資と認識しています。

(リスクへの対応)

当社グループでは、主要な投資案件についてレビューを年1回行い、最新の将来キャッシュ・フローを確認しています。計画に対する乖離が認められた場合には、各課題への対応策を次年度の実行計画に反映しています。

ロス・ガトス鉱山につきましては、上記に加え運営会社に取締役及び従業員を派遣するとともに、DOWAメタルマイン㈱が、共同出資のパートナー及び運営会社と開催するManagement Committee(3か月に一度開催)、Operations Committee(毎月開催)へ参加すること等により、鉱山経営の管理・監督の強化に努めています。

 

 

オペレーションリスク

労働安全衛生に関わるリスク

影響度:中~大

(リスクの内容)

当社グループでは、「安全はすべてに優先する」との基本理念に基づき諸活動を推進していますが、生産活動や輸送・運搬活動に伴う事故・災害等の発生により、従業員の安全・健康が脅かされたり、計画通りの操業が困難になる可能性があります。

(リスクへの対応)

当社グループでは、環境・安全部を中心に、グループ各社の安全環境責任者・担当者が連携し、安全活動の推進・情報共有・相互支援を行っています。特に、リスクアセスメントの強化、新規事業における安全監査、建設工事における標準ルール「DOWA生産技術標準(DTMS)」の運用等、未然防止策を重点的に実施しています。また「健康経営宣言」を策定し、従業員及びその家族の健康維持・増進に取り組んでいます。

 

 

⑧環境保全に関わるリスク

影響度:中~大

(リスクの内容)

当社グループは、環境関連法令や鉱山保安法に基づき、大気、水質、土壌等の汚染防止に万全を期していますが、環境汚染が発生した場合や関連法令の改正等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

当社グループは、国内外の主要な事業所において、国際規格であるISO14001や環境省が策定したエコアクション21を活用した環境管理システムを構築しています。管理にあたっては、環境関連法令の規制値より更に厳しい社内基準値を設けモニタリングを行うことで大気、水質、土壌等の汚染防止に努めています。

また、当社グループが保有する国内の全ての鉱山は既に事業活動を停止していますが、鉱山保安法に基づき、休廃止鉱山及び関連施設等を巡回点検することにより安定的な状態を維持し、坑廃水等による環境汚染や陥没、山崩れ等の鉱害の防止に努めています。

 

 

 

⑨品質管理に関わるリスク

影響度:中

(リスクの内容)

当社グループは、モノづくりをするうえで「品質」の重要性を認識しており、製品の品質管理には万全を期していますが、重大な品質不良や品質異常が発生した場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

当社グループでは、品質保証部を中心に、グループ全体での品質リスクマネジメント体制の強化を図り、日本鉱業協会等が制定する品質保証に係るガイドラインの周知運用や事業横断的な品質教育等を実施しています。また、主要製造工場は、品質マネジメントシステムの国際規格ISO9001の認証を取得しています。更に、調達面では、適切な頻度でサプライヤー調査や監査を実施して調達品の品質確保を図り、品質不良や品質異常の発生の防止に努めています。

 

 

⑩人材確保に関わるリスク

影響度:中

(リスクの内容)

当社グループは、事業の継続及び拡大に必要な人材の確保を適宜行っていますが、今後少子高齢化による国内労働人口の減少、採用競争の激化を背景に、一部の製造拠点において事業継続に必要な人材の確保が困難になる可能性があります。その結果、操業体制の維持に支障が生じる、新たな事業への参入機会を逸する等、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があり、更には成長機会を失う可能性があります。

(リスクへの対応)

当社グループは定年延長や働き方改革の実施、多様で柔軟な働き方を可能にする制度の整備・充実化等を通じて、社員が意欲をもって仕事に取り組める環境の整備を進め、多彩な人材、優秀な人材の確保に努めています。また、デジタル技術を積極的に活用し、全社的に事業の効率化・省力化を進めるほか、人材育成制度を更に充実させることで社員一人ひとりの能力を高め、人材の確保に伴うリスクの低減に努めています。

 

 

⑪法的規制に関わるリスク

影響度:小~中

(リスクの内容)

当社グループは、国内においては環境・リサイクル関連法、独占禁止法、関税・輸出入規制、外国為替管理法をはじめ広範な法的規制の適用を受けています。また、海外においても各国の法的規制の適用を同様に受けており、投資そのものに制限を受ける可能性もあります。

また、将来において、現在予測し得ない法的規制が設けられた場合、当社グループの事業活動が制限される可能性があり、経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

当社グループは、国内外における法的手続きによる権利の保全に万全を期すことにより、法的規制の変化へ対応しています。

 

 

 

ハザードリスク

⑫情報セキュリティに関わるリスク

影響度:中

(リスクの内容)

当社グループは、事業活動の中で、顧客、取引先及び当社グループ内の機密情報や個人情報を有しており、サイバーテロ等によるこれらの漏洩、改ざん、破壊等が発生した場合、信用の失墜、損害賠償の請求等により、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

当社グループは、秘密保持契約の締結や情報関連規則の遵守、マルウェア対策及び多要素認証等の情報セキュリティ対策システムの導入、運用、従業員教育により、データの安全で円滑な活用とともに、情報セキュリティに関するリスクの低減に努めています。

 

 

⑬自然災害に関わるリスク

影響度:小~大

(リスクの内容)

大規模な地震、台風、豪雨、豪雪や流行性の感染症蔓延等により、当社グループの事業拠点が被害を受け、またサプライチェーンが混乱することで事業活動が制限され、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(リスクへの対応)

当社グループでは、各拠点の立地リスクを踏まえながら、設備の耐震性強化や排水能力の増強等、防災・減災のための各種対策を行っています。また、可能な限り早期の復旧を図るため、BCP(事業継続計画)の整備や訓練活動を各拠点において進めています。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における当社グループの事業の状況につきましては、自動車の生産が低調であったことから、当社の自動車関連製品及びサービスの受注は減少しました。情報通信関連製品の販売は堅調に推移しました。また、新エネルギー関連製品の販売は第2四半期以降、調整局面が継続しています。環境・リサイクル関連サービスは廃棄物処理の受注が堅調でした。相場環境につきましては、前期と比較して平均為替レートは円安ドル高となりました。また、金、銀、銅及び亜鉛の平均価格は上昇しました。電力代等のエネルギーコストは前期と比較して減少しました。

このような状況の中、当社は企業価値の向上と持続可能な社会の実現への貢献に向け、「循環型ビジネスモデルの進化」と「サステナビリティ・マネジメントの強化」を「中期計画2024」の基本戦略とし、5つのコアビジネスのさらなる強化と経営基盤の充実化のための諸施策を着実に推進しました。

これらの結果、当期の連結売上高は前期比5.4%減678,672百万円、連結営業利益は同7.4%増32,226百万円、連結経常利益は同2.6%減43,598百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は同2.6%減27,128百万円となりました。

 

主要セグメントごとの経営成績は次のとおりです。

 

環境・リサイクル部門

売上高、営業利益、経常利益の状況

(単位:百万円)

 

2024年3月

2025年3月

増減

増減率

売上高

150,389

180,142

29,752

19.8%

営業利益

10,537

13,909

3,371

32.0%

経常利益

11,181

14,967

3,786

33.9%

 

廃棄物処理事業では焼却の処理量及び処理単価は堅調に推移しました。また、溶融・再資源化の処理量は増加しました。土壌浄化事業では土壌浄化の受注が堅調に推移しました。また、不燃性廃棄物の再資源化の処理量は増加しました。リサイクル事業では当社製錬所向けのリサイクル原料の集荷量は増加し、家電リサイクルの処理量は減少しました。また、平均為替レートが前期比で円安ドル高となり、金、銀及び銅の平均価格が上昇したことが業績に寄与しました。東南アジア事業では廃棄物処理の受注が増加しました。

これらの結果、当部門の売上高は前期比19.8%増180,142百万円、営業利益は同32.0%増13,909百万円、経常利益は同33.9%増14,967百万円となりました。

 

主要製品・主要サービスの状況

2024年3月期第1四半期連結期間を100として指数化)

 

2024年3月

2025年3月

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

国内の廃棄物中間処理量

100

93

91

94

103

93

93

89

家電リサイクル処理台数

100

103

106

98

99

99

97

94

東南アジアの廃棄物処理額

100

90

98

109

106

96

119

130

 

 

製錬部門

売上高、営業利益、経常利益の状況

(単位:百万円)

 

2024年3月

2025年3月

増減

増減率

売上高

317,848

266,355

△51,492

△16.2%

営業利益

8,942

10,561

1,619

18.1%

経常利益

18,202

17,142

△1,059

△5.8%

 

貴金属銅事業では金、銀及び銅の生産量は減少しました。PGM(白金族)事業では白金族金属価格低迷の影響を受け、使用済み自動車排ガス浄化触媒の集荷量が減少しました。亜鉛事業では亜鉛の生産量は減少しました。また、電力代等のエネルギーコストは減少しました。加えて、ヘッジコストが改善しました。一方で、亜鉛の棚卸資産の簿価切下げによる損失幅は拡大しました。製錬部門全体では、平均為替レートが前期比で円安ドル高となり、金、銀、銅及び亜鉛の平均価格が上昇したことが業績に寄与しました。営業外損益では海外鉱山にかかる収益は減少しました。

これらの結果、当部門の売上高は前期比16.2%減266,355百万円、営業利益は同18.1%増10,561百万円、経常利益は同5.8%減17,142百万円となりました。

 

主要製品・主要サービスの状況

2024年3月期第1四半期連結期間を100として指数化)

 

2024年3月

2025年3月

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

リサイクル原料取扱量

(小坂製錬㈱)

100

92

101

85

100

97

103

98

亜鉛生産量(秋田製錬㈱)

100

58

107

102

102

63

101

63

 

 

電子材料部門

売上高、営業損益、経常利益の状況

(単位:百万円)

 

2024年3月

2025年3月

増減

増減率

売上高

183,174

164,861

△18,313

△10.0%

営業損益

1,652

△592

△2,245

-%

経常利益

3,508

310

△3,198

△91.2%

 

半導体事業ではウェアラブル機器向け近赤外LED及び受光素子(PD)の販売は低調に推移しました。電子材料事業では太陽光パネル向けの需要が第2四半期以降、調整局面となったことに加え、競合他社との競争激化により、銀粉の販売は減少しました。一方で、半導体事業と電子材料事業では、平均為替レートが前期比で円安ドル高となったことが業績に寄与しました。機能材料事業では磁性粉の販売が低調に推移しました。営業外損益ではサンプル収入が減少しました。

これらの結果、当部門の売上高は前期比10.0%減164,861百万円、営業損益は同2,245百万円減592百万円の損失、経常利益は同91.2%減310百万円となりました。

 

主要製品・主要サービスの状況

2024年3月期第1四半期連結期間を100として指数化)

 

2024年3月

2025年3月

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

LED販売量

100

122

98

115

106

120

121

101

銀粉販売量

100

117

151

120

131

83

61

39

 

 

 

金属加工部門

売上高、営業利益、経常利益の状況

(単位:百万円)

 

2024年3月

2025年3月

増減

増減率

売上高

116,447

128,798

12,351

10.6%

営業利益

4,940

5,291

350

7.1%

経常利益

5,187

5,939

752

14.5%

 

伸銅品事業では自動車の生産が低調であったことから、自動車関連製品の販売は前期を下回りました。情報通信関連製品の販売は増加しました。また、銅の価格が第1四半期末にかけて上昇したことが業績に寄与しました。めっき事業では自動車向けの需要が低調に推移しました。回路基板事業では原材料費等が上昇しました。

これらの結果、当部門の売上高は前期比10.6%増128,798百万円、営業利益は同7.1%増5,291百万円、経常利益は同14.5%増5,939百万円となりました。

 

主要製品・主要サービスの状況

2024年3月期第1四半期連結期間を100として指数化)

 

2024年3月

2025年3月

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

伸銅品販売量

100

111

122

112

105

107

114

104

 

 

熱処理部門

売上高、営業利益、経常利益の状況

(単位:百万円)

 

2024年3月

2025年3月

増減

増減率

売上高

32,227

33,780

1,553

4.8%

営業利益

2,428

2,110

△317

△13.1%

経常利益

3,218

2,194

△1,023

△31.8%

 

熱処理事業では国内の自動車生産が低調であったことから、熱処理受託加工の受注は減少しました。また、販売費及び一般管理費等のコストが増加しました。加えて、前期比で一時金収入が減少しました。工業炉事業ではメンテナンスの受注が増加しました。営業外損益では、為替相場が連結会計年度末にかけて円高に推移したことを受けて、為替評価損を計上しました。

これらの結果、当部門の売上高は前期比4.8%増33,780百万円、営業利益は同13.1%減2,110百万円、経常利益は同31.8%減2,194百万円となりました。

 

主要製品・主要サービスの状況

2024年3月期第1四半期連結期間を100として指数化)

 

2024年3月

2025年3月

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

熱処理加工売上高

100

109

113

107

102

105

105

110

工業炉売上高

100

156

151

226

111

159

152

323

 

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 

前連結会計年度

 

当連結会計年度

 

比較増減

 

百万円

 

百万円

 

百万円

営業活動によるキャッシュ・フロー

118,630

 

12,827

 

△105,802

投資活動によるキャッシュ・フロー

△26,261

 

△41,418

 

△15,156

財務活動によるキャッシュ・フロー

△59,204

 

△4,120

 

55,084

換算差額

867

 

910

 

42

増減

34,032

 

△31,800

 

△65,832

現金及び現金同等物の期首残高

37,760

 

73,049

 

35,288

新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額

1,256

 

 

△1,256

現金及び現金同等物の期末残高

73,049

 

41,249

 

△31,800

 

 

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末より31,800百万円減少し、41,249百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金は12,827百万円の収入前期比105,802百万円支出増)となりました。主に、税金等調整前当期純利益38,604百万円、棚卸資産の増加52,658百万円、及び減価償却費28,787百万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金は41,418百万円の支出前期比15,156百万円支出増)となりました。主に、有形固定資産の取得による支出45,855百万円、関係会社の有償減資による収入4,847百万円、及び投資有価証券の売却による収入3,138百万円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー) 

財務活動による資金は4,120百万円の支出前期比55,084百万円収入増)となりました。主に、有利子負債の増加14,736百万円、社債の償還による支出10,000百万円、及び配当金の支払7,976百万円等によるものです。

 

b 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の資金需要は運転資金及び成長分野を中心とした設備投資、研究開発投資、株主への利益配分等によるものです。当社は、これらの資金需要に対しては内部資金からの充当を主としており、グループファイナンスを通じて内部資金の効率向上に努めています。また、必要に応じて外部からの資金調達を実施しており、実施にあたっては、金融機関からの借入又は社債等の多様な手段の中から、その時々の市場環境も考慮したうえで当社にとって有利な手段を選択しています。

また、金融情勢を勘案して保有現預金残高を決定するとともに、短期流動性確保の手段として、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結しているほか、短期社債(電子コマーシャル・ペーパー)の発行枠450億円を設けています。長期性資金につきましては、機動的な調達手段として、社債300億円の募集に関する発行登録(発行予定期間:2025年5月3日~2027年5月2日)を行っています。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は、次のとおりです。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

製錬部門

268,348

△10.3

電子材料部門

165,519

△9.4

金属加工部門

130,482

11.9

合計

564,350

△5.7

 

(注) 1 金額は、販売価格によっています。

2 環境・リサイクル部門は、廃棄物処理、金属リサイクル、土壌浄化処理受託及び運輸事業を行っており、生産実績がないため、記載を省略しています。

3 熱処理部門は、金属熱処理加工、表面処理加工及び熱処理加工設備・その付属設備の受託生産事業を行っており、売上高が生産高であるため記載を省略しています。

4 その他は、工事の請負及び不動産の賃貸を行っており、生産実績がないため、記載を省略しています。

 

b 受注実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの受注実績は、次のとおりです。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

熱処理部門(熱処理炉)

2,784

△47.6

3,535

△23.9

その他(工事の請負)

1,281

△34.8

707

△20.5

合計

4,065

△44.2

4,243

△23.3

 

(注) 上記以外のその他主要な製品に関しては、概ね受注から役務提供までの期間が短いため、受注状況にする記載

   を省略しています。

 

c 販売実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりです。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

環境・リサイクル部門

100,098

12.4

製錬部門

254,096

△14.9

電子材料部門

158,382

△11.1

金属加工部門

128,717

10.6

熱処理部門

33,763

4.9

その他

3,614

25.1

合計

678,672

△5.4

 

(注) 1 金額は販売価格によっています。

2 セグメント間の取引につきましては相殺消去しています。

3 最近2連結会計年度の主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

田中貴金属工業㈱

92,782

12.9

89,765

13.2

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

① 当連結会計年度の財政状態の分析

a 資産の部

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して40,766百万円増加673,537百万円となりました。流動資産で25,187百万円の増加、固定資産で15,578百万円の増加となります。

流動資産の増加は、棚卸資産の増加53,437百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加6,695百万円、及び現金及び預金の減少31,488百万円等によるものです。
 固定資産の増加は、有形固定資産の増加14,516百万円、及び繰延税金資産の増加1,912百万円等によるものです。

b 負債の部

負債につきましては、前連結会計年度末と比較して13,520百万円増加しました。これは、コマーシャル・ペーパーの増加20,000百万円、借入地金の増加14,666百万円、1年内償還予定の社債の減少10,000百万円、及び長期借入金の減少8,247百万円等によるものです。

c 純資産の部

純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益が27,128百万円となり、配当金の支払い等を行った結果、株主資本が18,402百万円増加しました。また、為替換算調整勘定の増加等により、その他の包括利益累計額が7,008百万円増加し、純資産合計では前連結会計年度末に比較し27,245百万円増加しました。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末と比較して0.2ポイント高い59.2%となりました。

 

② 当連結会計年度の経営成績の分析

a 売上高

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比較し、白金族金属価格低迷の影響を受け、使用済み自動車排ガス浄化触媒の集荷量が減少したこと等から、製錬部門等で減収となりました。この結果、前連結会計年度の717,194百万円に対し、5.4%減の678,672百万円となりました。

b 売上原価、販売費及び一般管理費

当連結会計年度の売上原価は、売上数量の減少に伴う原料代が減少したこと等により、前連結会計年度の635,748百万円に対し、6.9%減の592,043百万円となりました。

これらの結果、売上高に対する売上原価率は前連結会計年度の88.6%に対し、87.2%となりました。

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、給料及び手当の増加等により、前連結会計年度の51,443百万円に対し、5.8%増の54,403百万円となりました。

c 営業利益

当連結会計年度の営業利益は前述の要因により、前連結会計年度の30,003百万円に対し、7.4%増の32,226百万円となりました。

d 営業外収益(費用)

当連結会計年度は、為替差益の減少等により、前連結会計年度の14,742百万円の収益(純額)に対し、11,372百万円の収益(純額)となりました。

e 特別利益(損失)

当連結会計年度は、特別利益で投資有価証券売却益等3,370百万円を計上しましたが、特別損失では、減損損失等8,363百万円を計上しました。

これにより、当連結会計年度の特別利益から特別損失を差引いた純額は、前連結会計年度の977百万円の損失に対し、4,993百万円の損失となりました。

f 税金等調整前当期純利益

当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の43,768百万円に対し、11.8%減の38,604百万円となりました。

 

g 法人税等

当連結会計年度の法人税等は10,565百万円となりました。税効果を適用した当連結会計年度の税金等調整前当期純利益に対する法人税等の比率は、法定実効税率の31.3%より3.9ポイント低い27.4%となりました。

h 非支配株主に帰属する当期純利益

非支配株主に帰属する当期純利益は、主に㈱日本ピージーエム、CONSTANTINE MINING LLC.等の非支配株主に帰属する利益からなり、当連結会計年度は、前連結会計年度の1,680百万円に対し、45.8%減の911百万円となりました。

i 親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の27,853百万円に対し、2.6%減の27,128百万円となりました。

 

③ 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されており、この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としています。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り・予測を実施しています。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。

a 貸倒引当金

当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権につきましては過去の一定期間における貸倒実績から算出した貸倒実績率により計上し、貸倒懸念債権につきましては個別に債権の回収可能性を検討し回収不能見込額を計上しています。

b 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産につきまして、将来の課税所得及び継続的な税務計画をもって検討し、全部又は一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を取り崩しています。

c 退職給付に係る負債

従業員の退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準及び退職率等が含まれます。当社グループは、割引率を主に日本国債の金利により決定しているほか、報酬水準の増加率及び従業員の平均勤務期間につきましては当社グループの過去の実績値に基づいて決定しています。

d 環境対策引当金

「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(平成13年6月22日 法律第65号)及び「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法施行令の一部を改正する政令」(平成24年 政令第298号)の規定により、ポリ塩化ビフェニル廃棄物を保有している事業者は適切な保管と届出が要求され、2027年3月31日までに処分することが義務付けられました。

当社グループは、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理に係るコストが、当連結会計年度以前の事象により起因して将来発生するものであること、及び金額を合理的に見積ることが可能であること等により、当連結会計年度末において、処分費用を見積計上しています。

e 固定資産の減損

当社グループは、主として事業グループ単位を資産グループとし、遊休資産は個々の資産グループとしています。

減損の兆候がある資産グループにつきましては、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回る場合には、正味売却価額及び使用価値により減損損失を測定し、計上しています。

 

f その他有価証券等の減損

当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関に対する持分を所有しています。これらの株式には価格変動性が高い市場価格のある株式と、株価の決定が困難である市場価格のない株式が含まれます。

当社グループにおいて、市場価格のある株式は期末月平均の株価が取得原価の50%を下回った場合、また市場価格のない株式は当該会社の実質価額が取得原価の50%を下回り、かつ回復する見込があると認められない場合に、減損処理を行うこととしています。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループは、コアビジネスである環境・リサイクル部門、製錬部門、電子材料部門、金属加工部門、熱処理部門を中心に事業を行っており、このうち、当連結会計年度の売上高の39.2%を占める製錬部門は、非鉄金属相場及び為替相場の変動の影響を受けやすいため、状況に応じて非鉄金属先渡取引及び為替予約取引等によりリスク軽減に努めています。

当社グループでは、今後も収益性の向上及び財務体質の改善に努めていきますが、非鉄金属相場及び為替相場の急激な変動、景気動向等の外的要因により業績に影響を受ける可能性があります。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度における「開発研究費」は8,967百万円です。これには研究開発費6,884百万円のほか、新鉱床探鉱費等2,082百万円が含まれています。

各セグメントの研究開発活動、主な成果及び開発研究費は次のとおりです。

 

《開発研究費》

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

環境・リサイクル部門

593

製錬部門

2,710

電子材料部門

4,205

金属加工部門

718

熱処理部門

304

全社・その他

434

合計

8,967

 

 

(1) 研究開発目標

当社グループは、社会課題の解決に貢献する次世代の製品やサービスの実現に向けて、研究開発に注力しています。各事業会社はディビジョンラボ等を活用し、現行製品・サービスの改良・改善を行うとともに、当社事業開発部を中心とするグループ内及び社外との連携促進活動により、近未来のニーズに対応する新しいコンセプトの製品・サービスや革新的新技術の開発を推進しています。

また、「自動車」「情報通信」「環境・エネルギー」「医療・ヘルスケア」の4分野を高い成長が見込める市場と位置付け、独自の循環型ビジネスモデルで培ってきた、優れた素材・技術の社会実装を通じて、社会課題の解決と新たな価値創造に取り組んでいます。

 


 

(2) 各セグメントにおける研究開発テーマ及び主な成果

① 環境・リサイクル部門

研究開発テーマ及び主な成果

 環境・リサイクル事業の競争力強化に向けて、環境技術研究所が関連事業所と連携して、「効率的な資源循環技術の開発」「有害廃棄物の無害化処理・管理技術の開発」「土壌・地下水汚染の浄化技術開発」等に取り組みました。

 

○資源循環

・廃基板や小型家電等を対象とする有効な選別技術による産物の付加価値向上

○廃棄物処理

・有害廃棄物の無害化処理・管理技術向上

・低濃度PCB廃棄物処理事業の保有技術やインフラを有効活用したリチウムイオン電池無害化処理の事業検討

○土壌・地下水汚染の浄化

・自然由来重金属含有土壌の浄化技術である乾式磁力選別処理(DME)工法の現地施工事業の実施

・揮発性有機塩素化合物(VOC)汚染土壌の迅速浄化として新たな土壌浄化用鉄粉の開発・事業展開

○新規技術の開発

・リチウムイオン電池に含まれる有価金属の高品位化

・太陽光パネルの無害化・再資源化の研究

・食品残渣からのメタン発酵発電による再生可能エネルギー技術の確立

 

 

② 製錬部門

研究開発テーマ及び主な成果

 サステナブルな製錬事業モデル構築のため製錬技術センターを中心として各事業所及び大学、研究機関、民間研究施設等との連携により、「省エネルギーを含む化石エネルギー使用量の削減」「高効率な処理プロセスの確立」「原材料の変化対応技術力の強化」に取り組みました。

 

○省エネルギーを含む化石エネルギー使用量の削減

・電解において新型電極を使用した電力原単位低減

・低炭素エネルギーへの転換、代替に関する技術開発

○高効率な処理プロセスの確立

・製錬コンビナート機能の深化により顕在化した課題へ新規プロセスを開発することによる、ベースメタル

 実収率の維持・向上、及びレアメタル、貴金属、白金族金属の高効率な回収技術の確立

○原材料の変化対応技術力の強化

・リサイクル原料を含む二次原料や副資材の多様化による既存プロセスの悪影響に対する除去及び回収技術

 の開発

 

 

③ 電子材料部門

研究開発テーマ及び主な成果

グローバルな競争、流動的な経済情勢の中で、更に成長・発展するため、化合物半導体ウェハ、LED、導電材料、磁性材料、各種機能性粉体等で、現行製品の品質改善・生産性向上のための技術力強化と、新たな市場開拓・用途展開を見据えた新製品の開発に取り組みました。

 

○半導体部門

 ・近赤外LED及び受光素子(PD)の次期モデル向けの開発

 ・紫外LEDの特性向上のための技術開発

○電子材料部門

 ・次世代太陽光パネル向けの市場拡大を見据えた高特性銀粉及び銀コート銅粉の材料開発

 ・導電材料の生産性向上のための技術開発

○機能材料部門

 ・燃料電池材料の研究開発、量産化及び生産性向上による顧客からの良好な評価の獲得

 

 

④ 金属加工部門

研究開発テーマ及び主な成果

自動車や情報機器等の高機能化・多機能化が進み、基幹部品も更なる高性能化が求められています。顧客の期待を上回る製品・サービスの提供を目指して、銅合金、めっき及び金属-セラミックス基板につきまして、新規製品の開発や製造プロセスの改善、生産性向上に取り組みました。

 

○金属加工事業

・車載用標準材銅合金(NB-109・NB-105)の顧客における使用特性の改善及びめっき技術の開発

・各種コネクタ・端子用すず系耐熱・低挿入力めっき「アドバンストリフロー/STAR」の生産性改善及び特性

 向上

・耐摩耗性と接触信頼性に優れた銀-グラファイト複合めっき「SilC plating®」の製品化

・スマートフォン用等小型コネクタ材「YCuTシリーズ」への新プロセスの開発

・疲労特性に非常に優れた新商品「YCuT-AX」の製品化

・スマートフォンカメラ(VCM)用板バネに最適な超高強度「DCNA®」の製品化

○めっき事業

 ・高圧端子向け貴金属めっきの生産性改善と特性向上

 ・省資源化に貢献する部分めっきの高精度化・高効率化

○サーマルデバイス事業

 ・金属セラミックス接合基板の信頼性・生産性向上及び新製品の販売開始

 ・高速鉄道、エコカー及び新エネルギー発電向け新構造基板の改良と高機能化

 

 

⑤ 熱処理部門

研究開発テーマ及び主な成果

 既存の技術と新たな技術を融合した次世代商品を開発・事業化することにより、工業炉・熱処理事業を有する総合熱処理メーカーとして事業拡大に取り組みました。

 

○工業炉事業

・CO2削減ニーズに対応した、汎用性のあるセル式真空浸炭や真空焼結向け真空熱処理設備の競争力・商品力

 強化

・熱処理工程から排出されるCO2をほとんど排出させないバッチ式真空浸炭炉「Z-TKM」の競争力・商品力強化

・アンモニア(水素)燃料バーナの開発継続

○熱処理事業

 ・高強度自動車部品向け制御窒化工法の用途開発・適用拡大

 ・ドライコーティング分野における量産化の開始及び冷間鍛造用膜の長寿命化

 

 

⑥ 全社・その他

研究開発テーマ及び主な成果

当社グループは、自動車、情報通信、環境エネルギー、医療・ヘルスケアの4分野を高い成長が見込める市場と位置付け、独自の循環型ビジネスモデルで培ってきた、優れた素材・技術の社会実装を通じて、社会課題の解決と新たな価値創造に取り組んでいます。有望な新規商品につきましては、「社内インキュベーション制度」によって、開発・事業化を加速しています。更に、近未来を見据えた新しいコンセプトの製品・サービスや革新的新技術に関する基礎研究領域につきましては、「DOWAテクノファンド」等を通じた大学や研究機関等との交流により、数多くの共同研究を実施し、将来有望な開発テーマの創出に努めています。

 

・共創研究所の設置:東北大学

期間:2022年4月1日~2025年3月31日(第一期)、2025年4月1日~2028年3月31日(第二期)

目的:東北大学の高い技術シーズとDOWAの保有技術をより深く融合させ、カーボンニュートラルや労働人口減少といったサステナビリティに関する課題の解決に貢献する先端技術の創生を目指す。

・寄附講座の設置 :東北大学 大学院環境科学研究科、秋田大学 大学院国際資源学研究科

・包括協定の締結 :東北大学、秋田大学、岡山大学、熊本大学、群馬大学