当期における我が国経済は、企業収益や雇用情勢の改善などにより緩やかな回復基調にありましたが、輸出の停滞や個人消費の低迷など、一部に弱さも見られました。
当社グループの業績に大きな影響を及ぼす国際原油価格は、代表的指標のひとつであるブレント原油(期近もの終値ベース)で1バレル当たり57.10米ドルから始まり、米国シェールオイルの減産観測やIEAによる世界石油需要見通しの上方修正等を背景として、5月初旬には67.77米ドルまで値を上げました。しかしながら、中国の景気減速懸念を受け同国の原油需要が低迷するとの見方から下落基調に転じ、8月下旬に42.69米ドルまで値を下げました。その後はロシアのシリアへの軍事介入による地政学リスクの高まりを受けて53.05米ドルまで上昇したものの、12月初旬のOPEC総会で減産が見送られると下落基調となり、年明け以降も世界的な石油需要の低迷とイランの制裁解除による同国の原油輸出拡大観測に伴う供給過剰懸念の高まりから1月中旬には12年ぶりの安値となる27.88米ドルまで下落しました。しかし、2月中旬にサウジアラビア、ロシア等の4カ国が増産凍結に合意したことを契機として、OPECと非OPEC産油国による生産調整への期待が高まったことから上昇基調に転じ、39.60米ドルで当期を終えております。また、国内におきましても、原油・石油製品価格は国際原油価格の変動に追従する形で推移いたしました。これらを反映して、 当期における当社グループの原油の平均販売価格は、前期に比べ、1バレル当たり36.05米ドル下落し、47.95米ドルという低水準となりました。
一方、業績に重要な影響を与えるもう一つの要因である為替相場ですが、当期は1米ドル120円近辺で始まりました。期初は、円は対米ドルで概ね118円~120円台で保ち合いに推移しましたが、5月後半に、欧州中央銀行理事が夏場の閑散期を前に量的緩和を前倒しで進めると発言し、また、イエレン米FRB議長が年内の利上げを示唆すると、世界的に米ドルが買われる展開となり、一時125円台後半まで円安が進みました。しかし、8月に上海株式相場が急落し、また、中国人民元の基準値が下落して中国経済への不安が高まると、市場ではリスク回避の動きから、一転して円買いが優勢となり、一時116円台前半まで円が強含む局面が見られました。その後、12月の米FRBによる25ベーシスポイントの利上げや1月の日本銀行による追加金融緩和(マイナス金利の一部導入)などが決定される中、120円台前半まで米ドルが買い戻される局面はあったものの、世界経済の先行き懸念が燻り米国の追加利上げ期待が後退すると、米ドルは全面安となり、期末公示仲値(TTM)は前期末から7円58銭円高の112円69銭となりました。なお、当社グループ売上の期中平均レートは、前期に比べ、12円62銭円安の1米ドル120円55銭となりました。
当連結会計年度は油価及びガス価が下落したことによる売上高の減少に加え、減損損失を計上したこと等から、連結売上高は1兆95億円(前連結会計年度比13.8%減)、経常利益は3,747億円(同34.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は167億円(同78.4%減)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
販売数量の減少及び油価・ガス価の下落により、売上高は1,096億円(前連結会計年度比15.4%減)、営業利益は120億円(同27.5%減)となりました。
販売数量が増加し、為替が円安に推移したものの、油価・ガス価の下落により、売上高は3,028億円(前連結会計年度比26.1%減)、営業利益は972億円(同45.5%減)となりました。
販売数量が増加し、為替が円安に推移したものの、油価が下落したことにより、売上高は668億円(前連結会計年度比28.9%減)、営業利益は138億円(同57.1%減)となりました。
販売数量が増加し、為替が円安に推移したものの、油価が下落したことにより、売上高は5,165億円(前連結会計年度比1.5%減)、営業利益は2,908億円(同12.7%減)となりました。
油価・ガス価が下落したものの、原油販売数量が増加し、為替が円安に推移したことにより、売上高は137億円(前連結会計年度比2.8%増)、探鉱費の減少等により、営業損失は140億円(同8.5%減)となりました。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末の2,609億円から当連結会計年度中に減少した資金2,071億円を差し引いた538億円(前連結会計年度末比79.4%減)となりました。
当連結会計年度における営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フローの状況及びそれらの要因は次のとおりであります。
なお、現金及び現金同等物に係る換算差額により、資金が40億円減少しております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,837億円(前連結会計年度比15.2%減)となりました。これは主に、油価及びガス価の下落により税金等調整前当期純利益が減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は5,435億円(前連結会計年度比4,624億円増)となりました。これは主に、長期預金の預入による支出や権益取得による支出が増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は1,567億円(前連結会計年度は41億円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入や非支配株主からの払込みによる収入が増加したことによるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 区分 | 当連結会計年度 | 前期比 |
日本 | 原油 | 1.2百万バレル | 2.5 |
(日量3.2千バレル) | |||
天然ガス | 43.8十億CF | 5.3 | |
(日量119.7百万CF) | |||
小計 | 9.4百万BOE | 5.0 | |
(日量25.7千BOE) | |||
ヨード | 514.0t | 6.5 | |
発電 | 203.6百万kWh | △1.1 | |
アジア・オセアニア | 原油 | 17.6百万バレル | 17.8 |
(日量48.0千バレル) | |||
天然ガス | 265.6十億CF | 9.8 | |
(日量725.7百万CF) | |||
小計 | 67.6百万BOE | 11.3 | |
(日量184.6千BOE) | |||
ユーラシア | 原油 | 11.8百万バレル | 20.1 |
(日量32.3千バレル) | |||
中東・アフリカ | 原油 | 90.9百万バレル | 47.4 |
(日量248.4千バレル) | |||
米州 | 原油 | 2.7百万バレル | 167.2 |
(日量7.3千バレル) | |||
天然ガス | 32.0十億CF | △15.2 | |
(日量87.5百万CF) | |||
小計 | 8.4百万BOE | 7.7 | |
(日量22.9千BOE) | |||
合計 | 原油 | 124.2百万バレル | 40.2 |
(日量339.2千バレル) | |||
天然ガス | 341.4十億CF | 6.3 | |
(日量932.9百万CF) | |||
小計 | 188.1百万BOE | 26.3 | |
(日量513.8千BOE) | |||
ヨード | 514.0t | 6.5 | |
発電 | 203.6百万kWh | △1.1 |
(注) 1 海外で生産されたLPGは原油に含みます。
2 原油及び天然ガス生産量の一部は、発電燃料として使用しております。
3 上記の生産量は持分法適用関連会社の持分を含みます。また、上記の生産量は連結子会社及び持分法適用関連会社の決算日にかか
わらず、4月1日から3月31日の実績となっております。
4 当社グループが締結している生産分与契約にかかる当社グループの原油及び天然ガスの生産量は、正味経済的取分に相当する数値を示しております。なお、当社グループの権益比率ベースの生産量は、原油146.1百万バレル(日量399.2千バレル)、天然ガス432.0 十億CF(日量1,180.4百万CF)、合計227.1百万BOE(日量620.5千BOE)となります。
5 BOE(Barrels of Oil Equivalent)原油換算量。
6 ヨードは、他社への委託精製によるものであります。
7 数量は小数点第2位を四捨五入しております。
当社グループの販売実績のうち、受注高が占める割合は僅少であるため受注実績の記載は省略しております。
a)当社グループは海外で生産された原油のうち当社取得権利量を、国内の精製会社をはじめ、国内外の需要家へ販売しております。インドネシアで生産された天然ガスは、主にLNGとして日本の電力会社、都市ガス事業者や、韓国、台湾、シンガポール等の需要家に販売しております。国内で生産された天然ガスはパイプラインを経由して沿線の都市ガス事業者等の需要家に販売しております。
b)当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 区分 | 当連結会計年度 | 前期比 | ||
販売量 | 売上高 | 販売量 | 売上高 | ||
日本 | 原油 | 741千バレル | 4,505 | △6.4 | △41.4 |
天然ガス(LPGを除く) | 65,304百万CF | 91,492 | △2.1 | △11.0 | |
LPG | 7千バレル | 41 | △5.9 | △29.2 | |
その他 | 13,561 | △28.4 | |||
小計 | 109,601 | △15.4 | |||
アジア・オセアニア | 原油 | 13,505千バレル | 82,069 | 22.6 | △21.0 |
天然ガス(LPGを除く) | 238,759百万CF | 210,288 | 16.9 | △26.3 | |
LPG | 2,354千バレル | 10,514 | △17.2 | △48.6 | |
小計 | 302,871 | △26.1 | |||
ユーラシア | 原油 | 11,666千バレル | 66,851 | 17.3 | △28.9 |
中東・アフリカ | 原油 | 89,486千バレル | 516,513 | 52.3 | △1.5 |
米州 | 原油 | 1,829千バレル | 9,301 | - | - |
天然ガス(LPGを除く) | 33,153百万CF | 4,425 | △14.1 | △66.0 | |
小計 | 13,726 | 2.8 | |||
合計 | 原油 | 117,227千バレル | 679,241 | 45.5 | △7.0 |
天然ガス(LPGを除く) | 337,216百万CF | 306,205 | 9.0 | △23.7 | |
LPG | 2,361千バレル | 10,555 | △17.2 | △48.6 | |
その他 | 13,561 | △28.4 | |||
合計 | 1,009,564 | △13.8 | |||
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 決算日が12月31日の連結子会社につきまして、連結決算日で決算を行っている会社を除き、1月から12月の業績を連結会計年度として連結しております。ただし、連結決算日との間に生じた重要な取引については連結上必要な調整を行っております。
3 販売量は、単位未満を四捨五入しております。
4 主要相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
金額 | 割合 | 金額 | 割合 | |
ADNOC | - | - | 102,493 | 10.2 |
主要な販売価格の変動については、「1 業績等の概要」に記載しております。
(1)中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
当社グループでは、石油・天然ガス開発事業における持続的な成長を実現することにより、国際的競争力を有する、上流専業企業のトップクラスを目指してまいります。また、天然ガスをコアとして、広範囲な地域への安定したエネルギー供給に貢献することにより、総合エネルギー企業へと展開・進化してまいります。そして、日本のエネルギー自給率の向上において大きな役割を果たすとともに、経済成長、社会発展に貢献いたします。
これらにより、株主をはじめとしたステークホルダーの皆様から社会的にかけがえのない存在としてより一層評価される企業となることを基本方針としております。
当社グループは、上記の基本方針に則り、以下の3つの柱に沿って取り組んでまいります。
・上流専業企業のトップクラスを目指した石油・天然ガス開発事業の持続的拡大
・ガスビジネスのグローバル展開を目指したガスサプライチェーンの強化
・社会に貢献する総合エネルギー企業を目指した再生可能エネルギーへの取り組み強化
具体的には以下の経営課題に対して的確に取り組んでまいります。
当社が手掛ける石油・天然ガスの上流事業は、地震探査や試掘井の掘削により発見した新規の油ガス田を開発し、生産された石油・天然ガスの販売により得られた利益を株主の皆様に還元するとともに、将来の成長のための新たな探鉱・開発作業に再投資することで、石油・天然ガス埋蔵量の維持拡大を図るというものであります。
石油・天然ガスの探鉱・開発・生産を行うにあたっては、安全の確保と環境への影響の最小化を最も重視すべき点と考えており、当社グループでは、国際的な基準に沿った、安全・環境等に配慮した事業運営の仕組み・枠組みを構築しております。
石油・天然ガスの上流事業には、探鉱の結果、十分な量の石油や天然ガスが発見されないリスク、開発・生産作業に係るスケジュール遅延、事故及びコスト増加のリスク、タンカーやパイプラインで輸送する際の輸送リスク、資源国の法制・税制等が変更されるというカントリーリスク等様々なリスクが存在しております。当社グループはこれらのリスクを考慮し、財務の健全性を十分に担保した上で、埋蔵量拡大による高い成長性が期待できる事業と安定した収益が期待できる事業とを組み合わせて、アセットポートフォリオの質的向上に努めるとともに、海外の石油・天然ガス開発権益と、国内のLNG基地や天然ガスパイプラインネットワークというインフラを最大限に活用することにより、企業価値のさらなる向上を目指してまいります。
当社は、平成24年5月に、当社グループが中長期にわたり持続的発展を遂げるための成長目標と、この達成に向けたイクシス生産開始までの当面5年間の重点的取り組みを明らかにするため、「INPEX中長期ビジョン~イクシスそして次の10年の成長に向けて~」を策定しました。本ビジョンは、①上流事業の持続的拡大、②ガスサプライチェーンの強化、③再生可能エネルギーへの取り組み強化を3つの成長目標とし、これを支える基盤整備として、①人材の確保、育成と効率的な組織体制の整備、②成長のための投資と適切な株主還元、③グローバル企業としての責任ある経営を掲げております。当社グループは、本ビジョンの達成を通じて企業価値の持続的向上を図り、株主をはじめとするステークホルダーの皆様から社会的にかけがえのない存在として、より一層評価される企業になることを目指します。
当社グループが直面する当面の経営課題として、平成26年後半からの油価下落への対応が挙げられます。当社グループは、引き続き個別プロジェクトごとの投資の見直しや操業費及び本社管理費等の間接経費の節減を進め、今後一定程度低い油価水準が続いた場合においても、確実に事業運営を行うことのできる強靭な体制作りを推進してまいります。
一方、当社の中長期の成長に向けた取り組みは継続的かつ確実に進めていく必要があります。まず、①上流事業の持続的拡大に関して、オーストラリアでのイクシスLNGプロジェクトは、昨年9月に生産開始スケジュールの見直しを行いましたが、平成29年第3四半期の生産開始に向けた開発作業を着実に進めてまいります。インドネシアでのアバディLNGプロジェクトについては、同年9月に年産750万トン規模のFLNGによる改定開発計画を提出しておりましたが、本年4月に政府当局より陸上LNG方式を採用した開発計画とするよう再検討を求められました。今後、本プロジェクトの早期開発を目指して政府当局と緊密に協議してまいります。また、昨年4月にアブダビ陸上ADCO鉱区権益の5%を取得したほか、マハカム沖鉱区(インドネシア)、ADMA鉱区(アラブ首長国連邦アブダビ沖)、ACG油田(アゼルバイジャン)等、既存の主要生産プロジェクトにおける安定的な生産操業及び新規埋蔵量獲得に向けた探鉱活動、優良プロジェクトへの参入機会の追求を引き続き行ってまいります。次に②ガスサプライチェーンの強化に関して、国内では、社会的要請が一層強まっている天然ガスの普及促進を図るため、本年年央の供用開始を目指して富山ラインの建設を進めております。さらに電力・ガスの小売全面自由化に向け、中部電力㈱と共同で、都市ガス事業者9社と電力卸販売に関する業務提携を行い、エネルギーに関するお客さまの多様なニーズに対応できるよう体制構築を進めております。最後に③再生可能エネルギーへの取り組み強化に関しては、昨年6月にはインドネシアにおけるサルーラ地熱発電事業へ参画する等、社会に貢献する総合エネルギー企業としての取り組みを進めております。
なお、本項の記載中、将来に関する事項については、本書提出日現在での当社グループの判断であり、今後の社会経済情勢等の諸状況により変更されることがあります。
当社グループの探鉱・開発投資実績・予測―タイプ別(百万円)
タイプ別/年度 | 平成27年度 | 平成28年度 |
探鉱投資 | 39,339 | 17,000 |
開発投資 | 880,049 | 667,000 |
合計 | 919,389 | 684,000 |
(注)1 投資額は金利相当額を含みません。
2 開発投資には持分法適用関連会社によるイクシス下流事業を含んでおります。
当社グループの探鉱・開発投資実績・予測―地域別(百万円)
地域別/年度 | 平成27年度 | 平成28年度 |
日本 | 8,844 | 5,000 |
アジア/オセアニア | 723,287 | 526,000 |
ユーラシア | 58,735 | 48,000 |
中東/アフリカ | 115,220 | 99,000 |
米州 | 13,301 | 6,000 |
合計 | 919,389 | 684,000 |
(注)1 投資額は金利相当額を含みません。
2 開発投資には持分法適用関連会社によるイクシス下流事業を含んでおります。
かかる経営課題に対処するための基本的な事業運営方針、取り組みは以下のとおりです。
①上流事業の持続的拡大
i)バランスの取れた資産構成
・地域バランス
当社グループの事業地域は日本国内、及び海外では当社が豊富な経験を有するアジア、オセアニア、中東に加え、カスピ海沿岸諸国、南北アメリカ、アフリカ等世界各地にわたっており、引き続き地域バランスを考慮した資産ポートフォリオの構築を進めてまいります。
当社グループの生産量実績―地域別(千BOE/日)
地域/年度 | 平成27年度 |
日本 | 26 |
アジア/オセアニア | 185 |
ユーラシア | 32 |
中東/アフリカ | 248 |
米州 | 23 |
合計 | 514 |
(注)1 上記の生産量は持分法適用関連会社の持分を含みます。また、上記の生産量は連結子会社及び持分法適用関連会社の決算期にかかわらず、4月1日から3月31日の実績となっております。
2 当社グループが締結している生産分与契約にかかる当社グループの原油及び天然ガスの生産量は、正味経済的取分に相当する数値を示しております。
3 アジア/オセアニアの生産量のうち、インドネシアにおける生産量は162千BOE/日となっております。
4 BOE(Barrels of Oil Equivalent)原油換算量。
・製品構成(石油・天然ガス)のバランス
当社グループの生産量の製品別構成は、石油の比率が約66%、天然ガスの比率が約34%となっております。
石油は、用途の多様性や輸送・貯蔵の容易性から利便性に優れ、扱いやすい燃料として現在も世界中で利用されております。市況商品としての性質が強いため、販売価格がマーケットの動向によって左右され、販売相手先は長期にわたって持続的な契約関係になってはいないものの、生産・輸送のための設備投資が天然ガスと比べて少額で済み、開発に要する期間も比較的短く、埋蔵量の発見後、早期に投資回収が可能となるというメリットがあります。
天然ガスは、化石燃料の中で最も環境特性に優れ、即効性の高い温室効果ガス削減対策として、今後益々需要が増えるものと期待されております。商業生産のための液化プラントやパイプラインの建設等に巨額の投資と長い準備期間が必要となり、購入する側にも受入設備に巨額な投資が必要なため、販売相手先との長期安定的な契約締結が求められますが、一旦契約が締結されれば、油価変動の影響は一定程度受けるものの、長期にわたって安定的な収益を得ることが可能となります。
新規プロジェクトの権益取得にあたっては、長期的なキャッシュ・フローを展望した上で効率的な投資を行うことが重要であり、石油と天然ガスのバランスに留意することが、安定的な事業運営に資するものと考えております。
当社グループの生産量実績―製品別(千BOE/日)
製品/年度 | 平成27年度 |
原油 | 339 |
天然ガス | 175 |
合計 | 514 |
(注)1 原油には液体分としてLPGを含みます。
2 上記の生産量は持分法適用関連会社の持分を含みます。また、上記の生産量は連結子会社及び持分法適用関連会社の決算期にかかわらず、4月1日から3月31日の実績となっております。
3 当社グループが締結している生産分与契約にかかる当社グループの原油及び天然ガスの生産量は、正味経済的取分に相当する数値を示しております。
4 BOE(Barrels of Oil Equivalent)原油換算量。
・事業ステージ(探鉱・開発・生産)のバランス
石油・天然ガスの保有埋蔵量は生産とともに年々減っていくことから、当社グループが安定的な収益を確保するためには、絶えず新規の埋蔵量を確保していく必要があります。そのためには、生産によって得られる収入を探鉱のための再投資に振り向け、次の生産収入に結びつく油ガス田の発見・開発に努めるというサイクルが重要であり、探鉱・開発・生産の各ステージにおけるプロジェクトを安定、継続的に実施していくことが必要となります。このバランスを維持するため、当社グループの主要生産アセットであるマハカム沖鉱区やADMA鉱区等での安定操業やイクシスLNGプロジェクト等における開発作業の着実な遂行に注力するとともに、新規探鉱投資についても併せて進めていく方針であります。
ii)オペレータープロジェクトの推進
プロジェクトのオペレーターを務めることは、組織、人員、資金等において大規模な経営資源の投入が必要となる一方、技術力の向上や産油国及び国際的な石油開発企業における当社グループへの評価を高め、その後の鉱区権益取得機会の拡大に寄与するという大きなメリットがあります。当社グループとしては、技術力を一層強化し、安全操業の徹底を図り、地域社会との共生を念頭に置きながらイクシスLNGプロジェクトをはじめとするオペレータープロジェクトを推進していく方針であります。
iii)内外の有力企業との連携強化
石油・天然ガス開発事業はリスクの大きな事業であり、特に大規模プロジェクトの場合には一企業では負担することが不可能な程の投資規模ともなるため、複数企業がパートナーとしてコンソーシアムを組み、リスクをシェアしながら事業を推進することが一般的です。当社グループは国際石油メジャー、その他有力な海外石油開発会社、産油国の国営石油会社、本邦の総合商社、その他エネルギー関連企業等との連携の強化を通じて、有望プロジェクトへの参画の機会を増やし、業容の拡大とリスクの分散に努めていく方針であります。
②ガスサプライチェーンの強化
当社グループは、安定的な収益基盤である国内天然ガス市場における事業基盤の確立を目指しており、有望なマーケットである関東甲信越及び北陸地域での天然ガスパイプラインネットワークの整備を継続的に進めるとともに、南長岡ガス田の安定操業体制の強化を図っております。一方、オーストラリアやインドネシアを中心に有望なガス田の権益を複数保有しており、当社グループの長期的な成長を確実なものとするために、直江津LNG基地の活用をはじめとして、これら海外ガスアセットと国内インフラを有機的に結びつけるガスサプライチェーンの一層の強化に向けて取り組んでまいります。
③再生可能エネルギーへの取り組み強化
化石燃料を採掘する企業として、温室効果ガス対策等、環境負荷の低減に取り組むことは、主要課題のひとつであると考えております。当社グループは、国内外の関係企業及び大学等との連携を活かしつつ、再生可能エネルギーである太陽光発電、地熱発電、バイオマス燃料等の開発、水素や燃料電池、あるいは高性能蓄電池といった次世代の発電・蓄電技術を利用したエネルギー利用技術を追求し、新規分野への参入機会あるいは事業化を図るとともに、環境負荷の低減に努めてまいります。
④人材の確保・育成と効率的な組織体制の整備
すべての役員・従業員が大切にすべき価値観である「INPEX バリュー」を制定し、当社グループのグローバルな人事管理制度確立のための基盤整備を進めておりますが、昨年度は「INPEX バリュー」の浸透活動を進めたほか、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定すると共に当社における多様性の受容(ダイバーシティ&インクルージョン)の定義を新たに制定しました。今後とも、引き続き効率的な組織体制の整備を進めていくとともに、多様な経験、価値観を有するグローバル人材の確保と活用を図ってまいります。
⑤成長のための投資と適切な株主還元
当社グループの成長のため中長期にわたる投資を着実に推進しつつ、健全な財務体質の維持に努めてまいります。また、イクシスLNGプロジェクトの進捗状況等を踏まえつつ、上流専業企業トップクラスの水準を意識した適切な株主還元の実施についても検討してまいります。
⑥グローバル企業としての責任ある経営
i)CSR経営の推進、ステークホルダーコミュニケーションの強化、コーポレートガバナンス体制の確立
当社グループは、グローバル企業としての責任ある経営体制の構築に努めるべく、社長を委員長とするCSR委員会のもと、CSR経営を持続的に強化するための様々な取り組みを進めております。グローバルに事業を行う企業として、国内外の幅広いステークホルダーの皆様とのコミュニケーションを重視し、積極的な情報開示を一層進めてまいります。また、コーポレートガバナンスについては、国際的な水準を目指し、これまで経営諮問委員会開催等の強化策を実施してまいりましたが、昨年6月1日適用開始のコーポレートガバナンス・コードを踏まえ、引き続き社内の体制整備を進めてまいります。
ii)HSE(Health、Safety and Environment)に関する取り組みの強化
当社グループでは、グローバル水準のHSEマネジメントシステムの整備とそれに基づくHSE活動の推進により、事業に関係する全ての人々の安全や健康の確保そして環境保全に努めております。安全や健康の確保においては、掘削・建設・操業現場などでの労働安全管理、重大事故や災害の防止に不可欠なプロセスセーフティ管理、従業員の健康管理などに取り組んでまいります。また、HSEに関する教育訓練や人材の育成を通じた能力向上等に積極的に取り組むとともに、緊急事態が発生した場合に対応ができるようマニュアル等の整備、緊急時対応訓練の実施などによる体制強化を図ってまいります。また環境保全においては、地球温暖化問題をはじめ、当社の活動が環境に与える影響を最小限に止めるよう、温室効果ガス排出量の管理、大気汚染や水質汚濁の防止、化学物質の管理、水資源の効率的な利用、土壌汚染対策、廃棄物管理及び生物多様性保全に取り組んでまいります。さらに、グローバルに事業を展開する中で、各国・地域の健康リスク・セキュリティリスクを適切に評価し、リスク低減策や脅威への防御策を確保してまいります。
当社グループといたしましては、エネルギーの安定的かつ効率的な供給の実現を通じて豊かな社会づくりに貢献するという経営理念の下、INPEX中長期ビジョンに掲げた目標達成のための取り組みを通じ、着実な成長を期していくとともに、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
(2)株式会社の支配に関する基本方針
①基本方針の内容
当社グループは、バランスの取れた資産ポートフォリオ、国際的な有力中堅企業としてのプレゼンス及び高い水準のオペレーターとしての技術力等を最大限に活かし、既発見の大規模油ガス田の早期商業生産を達成するとともに、今後とも優良な油ガス田を積極的に獲得するための投資強化を通じ、国際競争力のある我が国の中核的企業として、我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現及び企業価値のさらなる向上を目指して積極的な事業展開に努めてまいります。
②財産の有効な活用及び不適切な支配の防止のための取り組み
当社グループは、健全な財務体質のさらなる強化を図りつつ、石油・天然ガス資源の安定的かつ効率的な供給を可能とするために事業基盤の拡大を目指し、探鉱・開発活動及び供給インフラの整備・拡充等に積極的な投資を行います。当社は、これらの活動を通じた石油・天然ガスの保有埋蔵量及び生産量の維持・拡大による持続的な企業価値の向上と配当による株主の皆様への直接的な利益還元との調和を、中長期的な視点を踏まえつつ図ってまいります。
また、当社は、上記①の基本方針に基づき、投機的な買収や外資による経営支配等により、中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われること又は否定的な影響が及ぶことがないよう、経済産業大臣に対し甲種類株式を発行しております。
その内容としては、ⅰ)取締役の選解任、ⅱ)重要な資産の全部又は一部の処分等、ⅲ)当社の目的及び当社普通株式以外の株式への議決権(甲種類株式に既に付与された種類株主総会における議決権を除く。)の付与に係る定款変更、ⅳ)統合、ⅴ)資本金の額の減少、ⅵ)解散、に際し、当社の株主総会又は取締役会の決議に加え、甲種類株式の株主による種類株主総会(以下、「甲種類株主総会」という)の決議が必要とされております。但し、ⅰ)取締役の選解任及びⅳ)統合については、定款に定める一定の要件を充たす場合に限り、甲種類株主総会の決議が必要とされております。甲種類株主総会における議決権の行使に関しては、甲種類株主が平成20年経済産業省告示第220号に定める甲種類株式の議決権行使の基準に則り、議決権を行使できるものとしております。
当該基準では、上記ⅰ)及びⅳ)に係る決議については、「中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われていく蓋然性が高いと判断される場合」、上記ⅲ)の当社普通株式以外の株式への議決権(甲種類株式に既に付与された種類株主総会における議決権を除く。)の付与に係る定款変更の決議については、「甲種類株式の議決権行使に影響を与える可能性のある場合」、上記ⅱ)、ⅲ)当社の目的に係る定款変更、ⅴ)及びⅵ)に係る決議については、「中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に否定的な影響が及ぶ蓋然性が高いと判断される場合」のみ否決するものとされております。
さらに、当社の子会社定款においても子会社が重要な資産処分等を行う際に、上記ⅱ)の重要な資産の全部又は一部の処分等に該当する場合には、当該子会社の株主総会決議を要する旨を定めており、この場合も当社取締役会の決議に加え、甲種類株主総会の決議を必要としています。なお、当社の取締役会は、甲種類株主による甲種類株式の議決権行使を通じた拒否権の行使に関して権能を有しておらず、したがって甲種類株式は当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
③上記②の取り組みについての取締役会の判断
上記②の取り組みは、我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現及び持続的な企業価値の向上を目指すものであり、上記①の基本方針に沿うものであります。
また、上記②の甲種類株式は、拒否権の対象が限定され、その議決権行使も平成20年経済産業省告示第220号に定める経済産業大臣による甲種類株式の議決権行使の基準に則り行われることから、経営の効率性・柔軟性を不当に阻害しないよう透明性を高くし、その影響が必要最小限にとどまるよう設計されておりますので、上記 ①の基本方針に沿うものであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではないと考えております。
以下には、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主要な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上重要と考えられる事項については、投資家及び株主に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。なお、以下の記載は、当社グループの事業上のリスクをすべて網羅するものではありません。
また、本項の記載中、将来に関する事項については、別途記載する場合を除いて本書提出日現在での当社グループの判断であり、当該時点以後の社会経済情勢等の諸状況により変更されることがあります。
1 石油・天然ガス開発事業の特徴及びリスクについて
(1) 探鉱・開発・生産に成功しないリスク
一般的に、鉱区権益を取得するためには、対価の支払いが必要となります。また、資源の発見を目的とした探鉱活動に際して、調査・試掘等のための費用(探鉱費)が必要となり、資源を発見した場合には、その可採埋蔵量、開発コスト、産油国(産ガス国を含む。以下同じ。)との契約内容等の様々な条件に応じて一段と多額の開発費を投ずる必要があります。
しかしながら、開発・生産が可能な規模の資源が常に発見できるとは限らず、近年の様々な技術進歩をもってしてもその発見の確率はかなり低いものとなっており、また、発見された場合でも商業生産が可能な規模でないことも少なくありません。このため、当社グループでは、探鉱投資に係る費用については連結決算上保守的に認識しており、コンセッション契約(国内における鉱業権並びに海外におけるパーミット、ライセンス又はリースを含む。)の場合には100%費用計上し、生産分与契約の場合は探鉱プロジェクトの投資については100%引当金を計上し、財務の健全性を保持しております。なお、開発プロジェクトの投資であっても、個別のプロジェクトの状況から回収できない可能性がある場合は、個別に回収可能性を勘案し、引当金を計上しております。
当社グループでは、保有する可採埋蔵量及び生産量を増加させるために、有望な鉱区には常に関心を払い、今後も探鉱投資を継続する一方、既発見未開発鉱区や既生産鉱区の権益取得等を含めた開発投資を組み合わせることにより、探鉱・開発・生産各段階の資産の総合的なバランスの中で投資活動を行っていく方針です。
探鉱及び開発(権益取得を含む。)は、当社グループの今後の事業の維持発展に不可欠な保有埋蔵量を確保する上で必要なものでありますが、各々に技術的、経済的リスクがあり、探鉱及び開発が成功しない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 原油、コンデンセート、LPG及び天然ガスの埋蔵量
① 確認埋蔵量(proved reserves)
当社は、当社グループの主要な確認埋蔵量(proved reserves)のうち、今後の開発投資が巨額であり、将来の業績への影響が大きいと考えられるプロジェクトについて、米国の独立石油エンジニアリング会社であるDeGolyer and MacNaughtonに評価を依頼し、その他のプロジェクトについては自社にて評価を実施しました。確認埋蔵量の定義は、米国の投資家に広く知られている米国証券取引委員会規則S-X Rule 4-10(a)に従っており、評価に決定論的手法または確率論的手法のいずれが用いられているかに関わらず、地質的・工学的データの分析に基づき、既知の貯留層から、現在の経済条件及び既存の操業方法の下で、評価日時点以降操業権を付与する契約が満了する時点まで(契約延長に合理的確実性があるという証拠がある場合は延長が見込まれる期間が満了する時点まで)の間に、合理的な確実性をもって生産することが可能である石油・ガスの数量となっております。また、確認埋蔵量に分類されるためには、炭化水素を採取するプロジェクトが開始されているか、妥当な期間内にプロジェクトを開始することにつき合理的な確信をオペレーターが持っていなければならず、埋蔵量の定義の中でも保守的な数値として広く認識されております。ただし、かかる保守的な数値ではあっても、将来にわたる生産期間中に、確認埋蔵量が全量生産可能であることを保証する概念ではないことに留意を要します。確率論的手法を用いて確認埋蔵量を算定する場合には、確認埋蔵量を回収することができる確率が少なくとも90%以上であることが必要とされております。
当社グループ(持分法関連会社分を含む)の原油、コンデンセート、LPG及び天然ガスの確認埋蔵量については「第一部 企業情報 3 事業の内容 (2)当社グループの埋蔵量」をご参照下さい。
② 推定埋蔵量(probable reserves)及び予想埋蔵量(possible reserves)
当社は、米国証券取引委員会規則に基づく確認埋蔵量のほかに、石油技術者協会(SPE)、世界石油会議(WPC)、米国石油地質技術者協会(AAPG)及び石油評価技術者協会(SPEE)の4組織により策定されたPetroleum Resources Management System 2007 (PRMS)に基づく当社グループの推定埋蔵量及び予想埋蔵量の評価を実施しました。なお、確認埋蔵量と同様、今後の開発投資が巨額であり、将来の業績への影響が大きいと考えられるプロジェクトについては、米国の独立石油エンジニアリング会社であるDeGolyer and MacNaughtonに依頼しました。推定埋蔵量の定義は、4組織により策定されたPRMSの指針に従い、確認埋蔵量の範疇には入らない埋蔵量のうち、地質的・工学的データに基づき、確認埋蔵量より回収の可能性が低く、予想埋蔵量よりも回収が確実とされる石油・ガスの数量となっております。確率論的手法を用いて推定埋蔵量を算定する場合には、確認埋蔵量と推定埋蔵量を合計した数量に対して、回収することができる確率が少なくとも50%以上であることが必要とされております。また、予想埋蔵量の定義もPRMSの指針に従い、確認埋蔵量及び推定埋蔵量の範疇に入らない埋蔵量のうち、地質的・工学的データに基づき、推定埋蔵量より回収の可能性が低い石油・ガスの数量となっております。プロジェクトから実際に回収される石油・ガスの数量が確認埋蔵量、推定埋蔵量及び予想埋蔵量の合計を上回る可能性は低いとされています。確率論的手法を用いて予想埋蔵量を算定する場合には、確認埋蔵量、推定埋蔵量及び予想埋蔵量を合計した数量を回収することができる確率が少なくとも10%以上であることが必要とされております。新規技術データの追加や経済条件及び操業条件の明確化等により不確実性が減じた場合、推定埋蔵量及び予想埋蔵量の一部は確認埋蔵量に格上げされることがありますが、現時点の推定埋蔵量及び予想埋蔵量の全量が、確認埋蔵量と同様な確実性をもって開発・生産されると見込まれるわけではありません。
当社グループ(持分法関連会社分を含む)の原油、コンデンセート、LPG及び天然ガスの推定埋蔵量及び予想埋蔵量は、「第一部 企業情報 3 事業の内容 (2)当社グループの埋蔵量」をご参照下さい。
③ 埋蔵量の変動の可能性
埋蔵量の評価は、評価時点において入手可能な油・ガス層からの地質的・工学的データ、開発計画の熟度、経済条件等多くの前提、要素及び変数に基づいて評価された数値であり、今後生産・操業が進むことにより新たに取得される地質的・工学的データや開発計画及び経済条件等の変動に基づき将来見直される可能性があり、その結果、増加又は減少する可能性があります。また、生産分与契約に基づく埋蔵量は、同契約の経済的持分から計算される数量が生産量だけでなく、油・ガス価格、投下資本、契約条件に基づく投下資本の回収額及び報酬額等により変動する可能性があり、その結果、埋蔵量も増加又は減少する可能性があります。このように埋蔵量の評価値は、各種データ、前提、定義の変更等により変動する可能性があります。
(3) 石油・天然ガス開発事業には巨額の資金が必要となり資金回収までの期間も長いこと
探鉱活動には相応の費用と期間とが必要であり、探鉱により有望な資源を発見した場合でも、生産に至るまでの開発段階においては、生産施設の建設費用等の多額の費用と長期に亘る期間が必要となります。このため、探鉱及び開発投資から生産及び販売による資金の回収までには10年以上の長い期間を要することになります。中でも、当社が現在推進しているイクシス等の大型LNGプロジェクトの開発には巨額な投資が必要であり、経済金融情勢の変化によっては資金調達の内容に影響を及ぼす可能性があります。資源の発見後、生産及び販売開始までの開発過程において、政府の許認可の取得の遅延またはその変更、予測しえなかった地質等に関する問題の発生、油・ガス価及び外国為替レートの変動並びにその他資機材の市況の高騰などを含めた経済社会環境の変化や、LNGプロジェクトにおいて生産物購入候補者からの長期販売契約に関する合意が得られないことにより最終投資判断ができない等の要因により、開発スケジュールの遅延や当該鉱区の経済性が損なわれる等の事象が生じた場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) オペレーターシップ
石油・天然ガス開発事業においては、リスク及び資金負担の分散を目的として、複数の企業がパートナーシップを組成して事業を行う場合が多く見られます。実際の作業は、そのうちの1社がオペレーターとなり、パートナーを代表して操業の責任を負います。オペレーター以外の企業は、ノンオペレーターとしてオペレーターが立案・実施する探鉱開発計画や作業を吟味し、あるいは一部操業に参加しつつ、所定の資金提供を行うことで事業に参画します。
当社は、平成20年10月1日に完了した国際石油開発と帝国石油の経営統合を通じて、両社の持つ国内外における探鉱、開発、生産それぞれの段階での豊富な操業経験をもとに蓄積したノウハウ及び技術力が結集し、当社グループは高い操業能力を有することとなったと考えております。
当社グループは、経営資源の有効活用やノンオペレーターのプロジェクトとのバランスに配慮しつつ、経営統合により大幅に強化された技術力をもとに、イクシス等の大型LNGプロジェクトを中心として積極的にオペレータープロジェクトを推進していく方針であります。当社はLNG開発プロジェクトにおけるオペレーター経験は有しておりませんが、国内外で原油、天然ガスの開発、生産プロジェクトにおいてオペレーターとしての経験を有しているほか、インドネシアやオーストラリアなどにおけるLNGプロジェクトなどに参加し長年ノウハウ、知見等を蓄積してきており、また、メジャーを含めた他の外国の石油会社が行っているのと同様、専門のサブコントラクターや経験豊富な外部コンサルタントを起用することなどにより、LNGプロジェクトを含めたオペレータープロジェクトを的確に遂行することが可能と考えております。
オペレーターとしてのプロジェクト推進は、技術力の向上や、産油国・業界におけるプレゼンスの向上等を通じて鉱区権益取得機会の拡大に寄与することになる一方で、オペレーションに関する各種専門能力を有する人材確保上の制約、資金面での負担増大等のリスクが存在しており、これらのリスクに的確に対応できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 共同事業
石油・天然ガス開発事業では、前述の通り、リスク及び資金負担の分散を目的として数社以上の企業が共同事業を行う場合も多くなっており、この場合、共同事業遂行のための意思決定手続やパートナーを代表して操業を行うオペレーター等を取り決めるために、共同操業協定をパートナー間で締結するのが一般的になっております。ある鉱区において当社グループが共同事業を行っているパートナーとの関係が良好であっても、他の鉱区権益の取得においては競争相手となり得る可能性があります。
また、共同事業の参加者は原則として、その保有権益の比率に応じて共同事業遂行のための資金負担をしますが、一部パートナーが資金負担に応じられない場合などには、プロジェクトの遂行に影響を及ぼす可能性があります。
(6)災害・事故等のリスク
石油・天然ガス開発事業には、探鉱、開発、生産、輸送等の各段階において操業上の事故や災害等が発生するリスクがあります。このような事故や災害等が生じた場合には、保険により損失補填される場合を除き設備の損傷によるコストが生じ、更には、人命にかかわる重大な事故又は災害等となる危険性があり、その復旧に要する費用負担や操業が停止することによる機会損失等が生じることがあります。国内天然ガス事業においては、平成22年1月以降、輸入LNG気化ガスを原料ガスとして購入しており、更に平成25年8月以降、直江津LNG基地において輸入LNGを原料ガスとして購入しておりますが、当該輸入LNG気化ガス・輸入LNGの購入先及び直江津LNG基地における事故、トラブルなどにより輸入LNG原料ガスの調達ができない場合には、当社顧客への供給に支障をきたすなど、当社の国内天然ガス事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、環境問題に関しては、土壌汚染、大気汚染及び水質・海洋汚染等が想定されます。当社グループでは、「環境安全方針」を定め、当該国における環境関連法規、規則及び基準等を遵守することは勿論のこと、自主的な基準を設け環境に対して充分な配慮を払いつつ作業を遂行しておりますが、何らかの要因により環境に対して影響を及ぼすような作業上の事故や災害等が生じた場合には、その復旧等のための対応若しくは必要な費用負担が発生したり、民事上、刑事上又は行政上の手続等が開始されてそれに伴う手続関連費用や損害賠償等の金銭の支払い義務が生じたり、操業停止による損失等が生じたりすることがあります。さらに、当該国における環境関連法規、規則及び基準等(新エネルギー・再生可能エネルギー等の支援策を含む。)が将来的に変更や強化された場合には、当社グループにとって追加的な対応策を講じる必要やそのための費用負担が発生する可能性があります。
当社グループは、作業を実施するにあたっては、損害保険を付保することとしておりますが、いずれの場合も、当該事故・災害等が当社グループの故意又は過失に起因する場合には、費用負担の発生により業績に悪影響を及ぼす可能性があり、また、行政処分や当社グループの石油・天然ガス開発会社としての信頼性や評判が損なわれることによって、将来の事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)将来の廃鉱に関するリスク
石油天然ガス生産施設等について、産油国政府との石油契約や現地法令等に基づき、当社グループは、当該施設等の将来の操業・生産終了後に必要となる廃鉱作業に関連して発生する費用の現在価値の見積り額を、資産除去債務として計上しております。その後、廃鉱の作業方法の変更や掘削資機材の調達費用の高騰その他の理由により、当該見積り額が不足していることが判明した場合においては、当社グループの資産除去債務額の積み増しが必要となり、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
2 原油価格(油価)、天然ガス価格、外国為替、及び金利の変動が業績に与える影響について
(1) 油価、天然ガス価格の変動が業績に与える影響
油価並びに海外事業における天然ガス価格の大部分は国際市況により決定され、また、その価格は国際的又は地域的な需給、世界経済及び金融市場の状況を含む多様な要素の影響も受け著しく変動します。かかる事象は当社により管理可能な性質のものではなく、将来の油価、天然ガス価格の変動を正確に予測することはできません。当社グループの売上・利益は、かかる価格変動の影響を大きく受けます。その影響は大変複雑で、その要因としては以下の点が挙げられます。
① 海外事業における大部分の天然ガスの販売価格は、油価に連動していますが正比例していません。
② 売上・利益は売上計上時の油価・天然ガス価格を基に決定されているため、実際の取引価格と期中の平均油価は必ずしも一致しません。
また、国内事業における天然ガスは、平成22年1月以降、従来からの国産天然ガスに加えて、一部海外からの輸入LNG気化ガスを原料ガスとして購入しております。当社国内天然ガス販売価格は、固定価格部分と一部輸入LNG価格の変動を販売価格に反映させる部分とで形成されていますが、LNGなど競合エネルギーの市場価格の動向が、後者の部分に対して直接の影響を及ぼすのに加えて、前者の固定価格部分に関しても年度ごとの販売先との契約協議に対して間接的な影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社グループが保有する事業資産は、今後市況の変動等に基づく事業環境の変化等に伴い、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、その回収可能性の程度を反映させるように事業資産の帳簿価額を減額し、その減少額を減損損失とすることとなるため、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 外国為替の変動が与える業績への影響
当社グループの事業の多くは海外における探鉱開発事業であり、これに伴う収入(売上)・支出(原価)は外貨建て(主に米ドル)となっており、損益は外国為替相場の影響を受けます。円高時には、円ベースでの売上・利益が減少し、逆に円安時には、円ベースでの売上・利益が増加します。
一方、当社グループは必要資金の借入にあたり、外貨建で借入を行っており、外貨建借入金は、円高時は期末円換算により為替差益が生じ、円安時には期末円換算により為替差損が生じることから、上記の事業の為替リスクが減殺され、為替変動による損益面への影響を小さくする方向に働きます。なお、当社は一部為替リスクを減じる手段を講じておりますが、かかる手段は当社の為替リスクを全てカバーするものではなく、外国為替の変動が与える影響を完全に取り除くものではありません。
(3) 金利の変動が与える業績への影響
当社グループでは探鉱開発事業の必要資金の一部を借入金で賄っており、このうち大部分が米ドル建て6ヵ月LIBORベースの変動金利建の長期借入です。従って、当社の利益は米ドル金利変動の影響を受けます。なお、当社は、一部金利リスクを減じる手段を講じておりますが、かかる手段は当社の金利変動リスクを全てカバーするものではなく、金利の変動が与える影響を完全に取り除くものではありません。
3 海外における事業活動とカントリーリスクについて
当社グループは、日本国外において多数の石油・天然ガス開発事業を遂行しております。鉱区権益の取得を含む当社グループの事業活動は、産油国政府等との間の諸契約に基づき行われていることから、産油国における自国の資源の管理強化の動きや紛争等による操業停止など、当該産油国やその周辺国等における、政治・経済・社会等の情勢(政府の関与、経済発展の段階、経済成長率、資本の再投下、資源の配分、国際社会による経済活動の規制、外国為替及び外国送金の政府統制、国際収支の状況を含みます。)の変化や、OPEC加盟国におけるOPECによる生産制限の適用、当該各国の法制度及び税制の変動(法令・規則の制定、改廃及びその解釈運用の変更を含みます。)、訴訟等により、当社グループの事業や業績は、保険で損失補填される場合を除き大きな影響を受ける可能性があります。
また、産油国政府は、開発コストの増加などの事業環境の変化、事業の遂行状況、環境への対応などを理由として、鉱区にかかわる石油契約の条件の変更などを含めた経済条件の変更などを求める可能性があり、仮にかかる事態が生じ、経済条件の変更などが行われた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
4 特定地域及び鉱区への依存度について
(1) 生産量
当社グループは、インドネシア共和国マハカム沖鉱区、アラブ首長国連邦のADMA鉱区、国内の南長岡ガス田等において安定的な原油・天然ガスの生産を行っております。当社グループにおいては、経営統合を通じて、事業地域を国内及びインドネシア、オーストラリアを中心とするアジア・オセアニア地域、中東・アフリカ地域、カスピ海沿岸地域を含むユーラシア、米州などに幅広く分散し、よりバランスのとれたポートフォリオが構築されましたが、平成27年度における当社グループの生産量の地域別構成比率は中東・アフリカ地域の比率が約48%、アジア・オセアニア地域が約36%と太宗を占めております。
当社グループは、今後ともグローバルに更なる地域バランスのとれたポートフォリオの形成を目指していく方針でありますが、現状では当社グループの生産量は、特定地域及び鉱区への依存度が高いため、これらの鉱区において操業が困難になる等の問題が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 主要事業地域における契約期限等
当社グループの海外における事業活動の前提となる鉱区権益にかかる契約においては、鉱区期限が定められているのが通例であります。鉱区期限が定められている契約が延長、再延長又は更新等されない場合や延長、再延長又は更新等に際し現状よりも不利な契約条件(権益比率の減少を含みます。)となった場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、当社グループの主要事業地域であるインドネシア共和国マハカム沖鉱区におけるプロジェクトの生産分与契約の期限は、当初は平成9年3月30日でしたが、平成3年に延長が認められ、現在では平成29年12月31日となっております。また、ADMA鉱区におけるコンセッション契約に基づく鉱区権益の期限は、平成30年3月8日(ただし、上部ザクム油田は平成53年12月31日まで延長されています。)となっております。当社グループでは、これらの契約の延長、再延長又は更新等に向けてパートナーとともに努力する方針であり、マハカム沖鉱区については平成27年12月、当社は、平成30年以降の同鉱区への参画に向けた基本的な考え方等に関して、同鉱区のプロジェクトのオペレーターであるTOTAL E&P Indonesie及びインドネシア国営石油会社であるPT Pertaminaと基本合意書に仮調印致しました(平成28年1月に当該基本合意書を正式に締結しております。)が、当該基本合意書に基づく契約交渉の結果、既存の契約が延長、再延長又は更新等されない場合や延長、再延長又は更新等に際し現状よりも不利な契約条件(権益比率の減少を含みます。)となった場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、鉱区期限が定められている契約が延長、再延長又は更新等された場合でも、その時点における残存可採埋蔵量は、生産の進展により減少することが見込まれます。当社グループでは、これに代替し得る鉱区権益の取得を図っておりますが、代替し得る油・ガス田の鉱区権益を十分取得できない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、現在探鉱中の鉱区においても契約に探鉱期間が設定されており、鉱区内において商業化の可能性がある原油・天然ガスの存在を確認している場合であっても、当該期間終了までに開発移行の決定ができない場合などにおいては、産油国政府との協議により当該期間の延長、猶予期間の設定などに向けて努力する方針ですが、かかる協議が不調に終わった場合には、当該鉱区からの撤退を余儀なくされる可能性があります。また、一般に、契約につき、一方当事者に重大な違反があるときには、契約期限の到来前に他方当事者から契約解除をすることができるのが通例ですが、これら主要事業地域における契約においても同様の規定が設けられております。当社グループにおいては、そのような事態はこれまで発生したことはなく、今後についても想定しておりませんが、もし契約当事者に重大な契約違反があった場合には、期限の到来前に契約が解除される可能性があります。
また、海外における天然ガス開発・生産事業においては、多くの場合、長期の販売契約・供給契約に基づいて天然ガスを販売・供給しており、それぞれ契約期限が定められております。これらの契約における期限の到来までに、延長又は再延長に向けてパートナーとともに努力する方針ですが、延長又は再延長されない場合や延長された場合でも販売・供給数量の減少などがあった場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
5 生産分与契約について
(1) 生産分与契約の内容
当社グループはインドネシア、カスピ海周辺地域などにおいて生産分与契約による鉱区権益を多数保有しております。
生産分与契約は、一社又は複数の石油・天然ガス開発会社がコントラクターとして、産油国政府や国営石油会社から探鉱・開発のための作業を自身のコスト負担で請負い、コストの回収分及び報酬を生産物で受け取ることを内容とする契約です。すなわち、探鉱・開発作業の結果、石油・天然ガスの生産に至った場合、コントラクターは負担した探鉱・開発コストを生産物の一部より回収し、さらに残余の生産物(原油・ガス)については、一定の配分比率に応じて産油国又は国営石油会社とコントラクターの間で配分します(このコスト回収後の生産物のコントラクターの取り分を「利益原油・ガス」と呼びます。なお、天然ガスの場合は販売がインドネシア共和国側で行われることから、コストの回収分及び利益ガスを現金で受け取ります。)。これに対して、探鉱作業の失敗や生産量の減少等により期待した生産を実現することができない場合には、コントラクターは投下した資金の全部又は一部を回収できないこととなります。
(2) 生産分与契約の会計処理
当社グループが生産分与契約に基づき鉱区権益を保有している場合は、上述のとおりコントラクターとして当該鉱区の探鉱・開発作業に係る技術・資金を投下し、当該鉱区にて生産される生産物により投下した作業費を回収し、作業費回収後の残余生産物の一部を報酬として受け取っています。
生産分与契約に基づき投下した作業費は、将来回収が期待される資産として貸借対照表の生産物回収勘定に計上しています。生産開始後は、同契約に基づく作業費回収額を生産物回収勘定から控除します。
当該生産分与契約に基づき引き取る生産物は、作業費の回収部分と報酬部分に分けられるため、売上原価計算の方法にも特徴があります。すなわち、引き取った生産物の金額は一旦生産物引取原価として売上原価に計上し、そのうち事後的に算定される報酬部分である生産物の金額を売上原価の調整項目(無償配分生産物)に計上します。従って、売上原価には、報酬部分控除後の作業費回収部分のみが計上されることとなります。
6 国との関係について
(1) 当社と国との関係
本書提出日現在、当社の発行済普通株式の約18.94%及び甲種類株式は経済産業大臣が保有しておりますが、当社の経営判断は民間企業として自主的に行っており、国との間で役員派遣等による支配関係もありません。また、今後もそのような関係が生じることはないものと考えております。さらに国との間での当社の役員の兼任及び国の職員の当社への出向もありません。
(2) 経済産業大臣による当社株式の所有、売却
経済産業大臣は、現在当社の発行済普通株式数の約18.94%の株式を保有しております。同株式は平成17年4月1日付で解散した石油公団が保有していたものを、同公団の解散に伴い経済産業大臣が承継したものであります。平成17年4月1日付で解散した石油公団が保有していた石油資源開発関連資産の整理・処分については、経済産業大臣の諮問機関である総合資源エネルギー調査会の石油分科会開発部会「石油公団資産評価・整理検討小委員会」により、「石油公団が保有する開発関連資産の処理に関する方針」(以下、「答申」といいます。)が平成15年3月18日に発表されております。答申においては企業価値の成長を念頭に置きながら、適切なタイミングで市場を通じて株式を売却することが肝要とされております。また、平成23年12月2日に施行された「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」(以下、「復興財源確保法」といいます。)の附則第13条第1項第2号の規定においては、エネルギー政策の観点を踏まえつつ、その保有の在り方を見直すことによる処分の可能性について検討するとされております。このため、今後経済産業大臣は国内外で当社株式を売却する可能性があり、そのことが当社の株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。
また、経済産業大臣は当社甲種類株式1株を保有しておりますが、甲種類株主である経済産業大臣は、当社普通株主総会又は取締役会決議事項の一部について拒否権を有しております。甲種類株式に関する詳細については後記「8 甲種類株式について」をご参照ください。
7 政府及び独立行政法人が保有する当社グループのプロジェクト会社の株式の取扱いについて
(1) 石油公団が保有していた当社グループのプロジェクト会社の株式の取扱い
前述の答申において、国際石油開発(平成20年10月1日付で当社が同社を吸収合併。以下同じ。)は中核的企業を構成すべきものと位置づけられ、ナショナル・フラッグ・カンパニーとして我が国のエネルギー安定供給の効率的な確保という政策目標の実現の一翼を担うことが期待されていることから、同社(及び平成20年10月1日付で当社が国際石油開発を吸収合併して以降においては当社)ではこれを受け、政府による積極的な資源外交との相乗効果を生かし、我が国のエネルギー安定供給の効率的な確保という政策目標の実現を図るとともに、透明性・効率性の高い事業運営の推進により、株主価値の最大化を目指すこととしてまいりました。
その結果、答申において提言された石油公団保有株式の譲受け等による統合に関して、平成16年2月5日付で「石油公団保有資産の国際石油開発株式会社への統合に関する基本合意書」(以下、「統合基本合意書」といいます。)及び統合基本合意書に附属する覚書(以下、「覚書」といいます。)を締結し、平成16年3月29日付で、国際石油開発と石油公団は統合の対象となる会社、統合比率等に関する詳細について合意に達し、「石油公団保有資産の国際石油開発株式会社への統合に関する基本契約」ほか関連契約を締結しました。
統合基本合意書において国際石油開発への統合対象となった4つの会社のうち、ジャパン石油開発、インペックスジャワ株式会社(平成22年9月30日に売却完了)及びインペックスエービーケー石油株式会社の3社については平成16年に統合を完了しました。インペックス南西カスピ海石油株式会社については、株式交換により国際石油開発の完全子会社とすべく手続を進めましたが、株式交換契約の条件が成就しなかったため同契約は失効し、予定していた株式交換が取り止めとなり、その後、平成17年4月1日付の石油公団の解散に伴い、同社の石油公団保有株式は、経済産業大臣に承継されております。当社としては引き続き当該株式の取得の可能性につき検討しておりますが、当該株式に係る経済産業大臣の今後の取扱方針は未定となっていることに加え、「復興財源確保法」の規定による検討の結果如何では、今後、当社による当該株式の取得が実現しない可能性もあります。
平成16年2月5日付の覚書においては、サハリン石油ガス開発株式会社(以下、「サハリン石油ガス開発」といいます。)、インペックス北カンポス沖石油株式会社、インペックス北マカッサル石油株式会社(平成20年12月19日に清算結了)、インペックスマセラアラフラ海石油株式会社、インペックス北カスピ海石油株式会社についての取扱いが国際石油開発と石油公団の間で合意されております。サハリン石油ガス開発の株式の取扱いについては、後記「(2) 政府が保有するサハリン石油ガス開発の株式の取扱いについて」をご参照ください。サハリン石油ガス開発以外の上記各社の石油公団保有株式の国際石油開発への譲渡については、産油国や共同事業者の同意が得られること、適切な資産評価が可能となること等の前提条件が整い次第、現金を対価として譲渡することとなっておりましたが、平成17年4月1日付の石油公団の解散に伴い、上記各社の石油公団保有株式は、経済産業大臣に承継されたインペックス北マカッサル石油株式会社に係る株式を除き、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下、「資源機構」といいます。)に承継されております。資源機構は、同機構の中期目標、中期計画において、石油公団から承継した株式については、適切な時期に適切な方法を選択して処分することとしていますが、上記各社の資源機構保有株式の譲渡の時期、方法は未定となっており、今後、当社による上記各社の株式の取得が実現しない可能性もあります。
(2)政府が保有するサハリン石油ガス開発の株式の取扱い
経済産業大臣はサハリン石油ガス開発の普通株式の50%を保有しています。サハリン石油ガス開発は、サハリン島北東沖大陸棚における石油及び天然ガス探鉱開発事業を遂行するために平成7年に設立された会社であり、同社は米国エクソンモービル社をオペレーターとするサハリンIプロジェクトの30.0%の権益を有しています。同プロジェクトは、原油及び天然ガスの先行生産を目的とした第一次開発(フェーズ1)として、平成17年10月より生産を開始しております。さらに、天然ガス本格生産のための追加開発作業(フェーズ2)を行う構想があります。なお、当社は同社発行済み普通株式の約6.08%を保有しています。
前述の答申において、サハリン石油ガス開発は、国際石油開発及びジャパン石油開発とともに、日本の石油・天然ガス開発事業における中核的企業を構成すべきものとされています。
同答申を踏まえ、経済産業大臣が石油公団より承継したサハリン石油ガス開発の発行済み普通株式(50.0%)のすべてを国際石油開発を含む同社の民間株主が取得することとされており、当社が、同社の発行済み普通株式の最大33%を保有し、同社の筆頭株主になることを想定しております。ただし、当該株式の取得にあたっては、同社の共同事業者やロシア政府機関等の承諾が必要となる場合には、これらの承諾が得られることが前提となります。加えて、同社の株主構成や譲渡価格等についても、今後、合意に至る必要があります。
同社株式の追加取得が実現した場合には、当社グループは、アジア・オセアニア、中東、カスピ海等に加えて、ロシアの石油・天然ガス資産についても相当の持分を有することとなり、当社グループの海外資産ポートフォリオをよりバランスのとれたものとすることに貢献するものと期待されます。
ただし、想定どおり経済産業大臣と同社株式の追加取得について合意に至り追加取得が実現するか否か、また、追加取得が実現する場合でも具体的な取得内容及び取得時期については現時点ではいずれも未定であることに加え、「復興財源確保法」の規定による検討の結果如何では、当社による同社株式の追加取得が実現しない可能性もあります。
8 甲種類株式について
(1) 種類株式の概要
①導入の経緯
当社は、国際石油開発と帝国石油の株式移転による経営統合により、平成18年4月3日付で持株会社として設立されておりますが、これに伴い、国際石油開発が発行し、経済産業大臣が保有していた種類株式が当社に移転され、同時に当社が同等の内容の当社種類株式(以下、「甲種類株式」といいます。)を経済産業大臣に対し交付しております。もともと、国際石油開発において発行された種類株式は、前記「7 政府及び独立行政法人が保有する当社グループのプロジェクト会社の株式の取扱いについて」において記述した答申において、国際石油開発が中核的企業を構成すべきものと位置づけられ、ナショナル・フラッグ・カンパニーとして我が国向けエネルギーの安定供給の効率的実現の一翼を担うことが期待され、かかる観点から、同答申を受け、投機的な買収や外資による経営支配等により、中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われること又は否定的な影響が及ぶことがないよう、同社の役割を確保しつつ、経営の効率性・柔軟性を不当に阻害しないよう透明性を高くし、またその影響が必要最小限にとどまるよう設計され発行されたものです。
②株主総会議決権、剰余金の配当、残余財産分配、償還
法令に別段の定めがある場合を除き、甲種類株式は当社株主総会において議決権を有しません。剰余金の配当及び残余財産の分配については平成25年10月1日を効力発生日として普通株式1株につき400株の割合で株式分割を行っておりますが、甲種類株式(非上場)につきましては、株式分割を実施していないため、当該株式分割前の普通株式と同等になるよう、定款で定めております。甲種類株式は、当該甲種類株主から請求があった場合、又は甲種類株式が国若しくは国が全額出資する独立行政法人以外の者に譲渡された場合には当社取締役会の決議により償還されます。
③定款上の拒否権
当社経営上の一定の重要事項(取締役の選解任、重要な資産の処分、定款変更、統合、資本の減少及び解散)の決定については、当社株主総会又は取締役会の決議に加え、甲種類株主総会の承認決議を要する旨、当社定款に定められています。従って、甲種類株式を保有する経済産業大臣は、甲種類株主としてこれら一定の重要事項につき拒否権を有することとなります。甲種類株主の拒否権が行使可能な場合については、後記「第一部 企業情報 第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (1) 株式の総数等 ② 発行済株式の注記2」をご参照下さい。
④甲種類株式の議決権行使の基準に定める拒否権の行使の基準
かかる拒否権の行使については平成20年経済産業省告示第220号(以下、「告示」といいます。)において基準が設けられており、以下の一定の場合にのみ拒否権を行使するものとされています。
・取締役の選解任及び統合に係る決議については、それらが否決されない場合、中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われていく蓋然性が高いと判断される場合。
・重要な資産の全部または一部の処分等に係る決議については、対象となっている処分等が、石油及び可燃性天然ガスの探鉱及び採取する権利その他これに類する権利、あるいは、当該権利を主たる資産とする当社子会社の株式・持分の処分等に係るものである場合であって、それが否決されない場合、中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に否定的な影響が及ぶ蓋然性が高いと判断される場合。
・当社の目的の変更に関する定款変更、資本金の額の減少及び解散については、それらが否決されない場合、中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に否定的な影響が及ぶ蓋然性が高いと判断される場合。
・当社普通株式以外の株式への議決権の付与に関する定款変更については、それが否決されない場合、甲種類株式の議決権行使に影響を与える可能性のある場合。
なお、上記の基準については、エネルギー政策の観点から告示を変更する場合についてはこの限りではないことが規定されております。
(2) 甲種類株式のリスク
甲種類株式は、投機的な買収や外資による経営支配等により、中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われること又は否定的な影響が及ぶことがないよう、当社の役割を確保しつつ、経営の効率性・柔軟性を不当に阻害しないよう透明性を高くし、またその影響が必要最小限にとどまるよう設計され発行されたものでありますが、甲種類株式に関連して想定されるリスクには、以下のものが含まれます。
①国策上の観点と当社及び一般株主の利益相反の可能性
経済産業大臣は告示に規定された上記の基準に基づき拒否権を行使するものと予想されますが、当該基準は、我が国向けエネルギー安定供給の効率的実現の観点から設けられているため、経済産業大臣による拒否権の行使が当社又は当社の普通株式を保有する他の株主の利益と相反する可能性があります。また、エネルギー政策の観点から当該基準が変更される可能性があります。
②拒否権の行使が普通株式の価格に与える影響
甲種類株式は、上記に述べたように当社の経営上重要な事項の決定について拒否権を持つものであるため、特に、実際にある事項について拒否権が発動された場合には、当社普通株式の市場価格に影響を与える可能性があります。
③当社の経営の自由度や経営判断への影響
前述のような拒否権を持つ甲種類株式を経済産業大臣が保有していることにより、当社は、上記各事項については甲種類株主総会の決議を要することとなるため、当社は経済産業大臣の判断によってはその経営の自由度を制約されることになります。また、上記各事項につき甲種類株主総会の決議を要することに伴い、甲種類株主総会の招集、開催及び決議等の各手続に、また必要に応じて異議申立の処理に一定期間を要することとなります。
9 兼任社外取締役について
当社の取締役会は現在14名の取締役で構成されておりますが、うち5名は社外取締役であります。
社外取締役5名のうち4名は、当社の事業分野に関して長年の知識、経験を有する経営者等であり、当社としては、専門的、客観的立場から当社の事業運営に意見を述べ、当社事業の発展に寄与することを期して、取締役を委嘱しております。なお、かかる取締役は、当社株主である石油資源開発株式会社、三井石油開発株式会社、三菱商事株式会社及びJXホールディングス株式会社(以下、「当社株主会社」といいます。)の顧問等を兼任しております。
一方、当社株主会社はいずれも当社グループの事業と同一分野の事業を行っている企業であることから、競業その他利益相反の可能性があり、コーポレート・ガバナンス上の特段の留意が必要であると認識しております。
このため、当社では、当社取締役が会社法上の競業避止義務、利益相反取引への適切な対処や情報漏洩防止等に関して、常に高い意識をもって経営にあたり、当社取締役としての職務を的確に遂行していくことの重要性に鑑み、上記4名の社外取締役を含む全取締役から、これらの点を確認する「誓約書」を受理しております。
石油契約等
契約会社名 | 相手先 | 契約内容 | 契約期間 |
国際石油開発帝石㈱ | インドネシア共和国政府 | インドネシア共和国マハカム沖鉱区における生産分与契約 | 平成9年3月31日から |
インドネシア共和国政府 | インドネシア共和国インペックスアタカ鉱区における生産分与契約 | 平成9年3月31日から | |
インペックステンガ㈱ | インドネシア共和国政府 | インドネシア共和国テンガ鉱区における生産分与契約 | 昭和63年10月5日から |
ナトゥナ石油㈱ | インドネシア共和国政府 | インドネシア共和国南ナトゥナ海B鉱区における生産分与契約 | 平成10年10月16日から |
アルファ石油㈱ | オーストラリア連邦政府 | オーストラリア連邦西オーストラリア州WA-35-L鉱区における生産ライセンス | 平成20年10月17日から |
オーストラリア連邦政府 | オーストラリア連邦西オーストラリア州WA-43-L鉱区における生産ライセンス | 平成21年11月18日から | |
オーストラリア連邦政府 | オーストラリア連邦西オーストラリア州WA-55-L鉱区における生産ライセンス | 平成25年6月18日から | |
サウル石油㈱ | ティモール海条約に基づき設立されたデジグネイティッドオーソリティー ほか | オーストラリア連邦/東ティモール民主共和国ティモール海共同石油開発地域JPDA03-12鉱区における生産分与契約 | 平成14年5月20日から |
インペックスチモールシー㈱ | ティモール海条約に基づき設立されたデジグネイティッドオーソリティー ほか | オーストラリア連邦/東ティモール民主共和国ティモール海共同石油開発地域JPDA06-105鉱区における生産分与契約 | 平成18年9月22日から |
INPEX Ichthys Pty Ltd | オーストラリア連邦政府 | オーストラリア連邦西オーストラリア州WA-50-L/WA-51-L鉱区における生産ライセンス | 平成24年3月1日から |
INPEX Oil & Gas | オーストラリア連邦政府 | オーストラリア連邦西オーストラリア州WA-44-L鉱区における生産ライセンス | 平成23年5月20日から |
インペックスマセラアラフラ海石油㈱ | インドネシア共和国政府 | インドネシア共和国マセラ鉱区における生産分与契約 | 平成10年11月16日から |
インペックス北マハカム沖石油㈱ | インドネシア共和国政府 | インドネシア共和国東カリマンタン鉱区における生産分与契約 | 平成10年10月25日から |
インペックス南マカッサル石油㈱ | インドネシア共和国政府 | インドネシア共和国南マカッサル海域セブク鉱区における生産分与契約 | 平成9年9月22日から |
INPEX DLNGPL Pty Ltd | オーストラリア連邦政府 | バユ・ウンダンフィールドからオーストラリア連邦ダーウィンまでのパイプライン敷設ライセンス | 平成13年4月27日から |
インペックス南西カスピ海石油㈱ | ソカール(アゼルバイジャン共和国国営石油会社) ほか | アゼルバイジャン共和国領カスピ海海域ACG油田における生産分与契約 | 平成6年12月12日から |
インペックス北カスピ海石油㈱ | カザフスタン共和国エネルギー鉱物資源省、カズムナイガス(カザフスタン共和国国営石油会社) ほか | カザフスタン共和国北カスピ海沖合鉱区における生産分与契約 | 平成10年4月27日から |
契約会社名 | 相手先 | 契約内容 | 契約期間 | |
INPEX BTC Pipeline, | アゼルバイジャン共和国/ジョージア/トルコ共和国 | 各国政府が協力して3カ国を通過するBTCパイプラインプロジェクトの遂行、各国通過を認める契約(IGA) | 平成12年6月21日発効 | |
HGA | アゼルバイジャン共和国政府及びBTCプロジェクト当事者 | BTCプロジェクトを遂行する権利付与等契約 | 平成12年10月18日から、船積み開始後40年間(10年延長を2回可能) | |
ジョージア政府及びBTCプロジェクト当事者 | 同上 | 平成12年10月19日から、船積み開始後40年間(10年延長を2回可能) | ||
トルコ共和国政府及びBTCプロジェクト当事者 | 同上 | 平成12年10月20日から、船積み開始後40年間(10年延長を2回可能) | ||
ジャパン石油開発㈱ | アラブ首長国連邦アブダビ首長国政府 | アラブ首長国連邦アブダビ沖合海上鉱区(ADMA鉱区)における利権契約 | 昭和48年2月22日から | |
ADNOC(アブダビ国営石油会社) ほか | アラブ首長国連邦アブダビ沖合海上鉱区(ADMA鉱区)上部ザクム油田に係る修正共同開発協定 | 平成18年1月1日から | ||
インペックスエービーケー石油㈱ | アラブ首長国連邦アブダビ首長国政府 ほか | アラブ首長国連邦アブダビ沖合アブアルブクーシュ鉱区における利権契約 | 昭和28年3月9日から | |
JODCO Onshore Limited(連結子会社) | アラブ首長国連邦アブダビ首長国政府 ほか | アラブ首長国連邦アブダビ陸上鉱区(ADCO鉱区)における利権契約 | 平成27年1月1日から | |
帝石コンゴ石油㈱ | コンゴ民主共和国政府 | コンゴ民主共和国沖合鉱区における利権契約 | 平成15年11月22日から | |
GAS GUARICO, S.A. | ベネズエラ国営石油会社 | ベネズエラ・ボリバル共和国コパ・マコヤ鉱区におけるガス田の再生事業、新規探鉱及び開発事業に係る合弁事業契約 | 平成18年4月1日から | |
INPEX Gas British | カナダブリティッシュコロ | カナダブリティッシュコロンビア州ホーンリバー地域シェールガス鉱区における生産リース | 平成33年9月13日まで(最長のもの。生産井がある限り延長可) | |
カナダブリティッシュコロンビア州コルドバ地域シェールガス鉱区における生産リース | 生産リース:平成37年6月まで(最長のもの。生産井がある限り延長可能) | |||
カナダブリティッシュコロンビア州リアード地域シェールガス鉱区における掘削ライセンス | 平成28年6月23日まで | |||
インペックスカナダ石油㈱ | カナダアルバータ州政府 | カナダアルバータ州におけるオイルサンドリース(リース番号7280060T24) | 昭和55年6月25日から平成34年6月24日(リース内で操業中の場合21年間単位で延長可能) | |
カナダアルバータ州におけるオイルサンドリース(リース番号7404110452) | 平成16年11月4日から平成31年11月3日(アルバータ州鉱山鉱物法の規定に従い延長可能) | |||
カナダアルバータ州におけるオイルサンドリース(リース番号7405070799) | 平成17年7月5日から平成32年7月4日(アルバータ州鉱山鉱物法の規定に従い延長可能) | |||
Teikoku Oil(North America) Co., Ltd. | アメリカ合衆国連邦海洋エ | アメリカ合衆国メキシコ湾 キースリー・キャニオン874/875/918/919鉱区に跨る ルシウス油田における操業権益 | 平成23年6月1日から | |
(注1) HGA(Host Government Agreement)は、BTCパイプラインが通過する3カ国(アゼルバイジャン共和国、ジョージア及びトルコ共和国)の各国政府とBTCプロジェクト当事者との間で締結された各国政府の合意及び義務を定めた契約であります。
(注2) 掘削ライセンス期間中に対象層へ坑井を掘削し評価を行うことで、最大13年間(10年間+3年間延長)の生産リース期間へ移行可能となります。
当社グループにおける研究開発活動は、主に以下の観点から取り組んでおります。
(1)長期的視野に立った石油・天然ガスの探鉱・開発の技術レベルの維持・向上
(2)持続可能なエネルギー供給システム構築の推進
研究開発活動は地域ごとに集約した各報告セグメントに共通するもので、当連結会計年度は、754百万円となりました。主な研究開発活動は以下のとおりであります。
①当社中長期ビジョンで掲げている上流専業企業トップレベルの国際的競争力の確保を実現するために、埋蔵量の確保と当社の強みを創り出すという観点から、新たな探鉱コンセプトの創出、大水深油ガス田開発、シェールガス・タイトオイル開発や既存油田回収率向上等の技術を着実に獲得していくこととしています。また当社の技術力を支える共通の基盤強化のために、専門家の育成、技術標準・ガイドラインの整備、ナレッジ・マネジメント・システムの構築等、技術基盤の整備を図っております。
②上記取り組みの一環として、国内外の大学や他企業と連携を図りつつ、地質構造発達史の研究、既存油田回収率向上を目指す二酸化炭素(CO2)圧入や地下常在菌を活用した増進回収技術(EOR)の研究、生産障害となる油層中でのアスファルテン析出対策、腐食防食分野の研究などを進めております。加えて、新規技術の実用化を促進すべく国内自社フィールド等を活用した実証テストにも積極的に取り組んでいます。
③また、油ガス田開発にともなう環境対策及び各種化学分析技術の高精度化にも努めております。
④更に、将来の新たな国産エネルギー資源の確保に向け、国の主導するメタンハイドレートに関する研究・調査事業に関与し、技術的課題の克服に貢献しています。
①地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)の分離回収・貯留(CCS)技術に関して、公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)のCO2地中貯留の実証試験(平成12~19年度)に協力し、当社は引き続き貯留CO2の挙動観測技術に係る検討を継続しています。また、CO2-EORを含むCO2地下貯留(CCS)の国際基準(ISO/TC265)策定活動に積極的に貢献すると共に日本CCS調査(株)の株主として日本国内における実証プロジェクトに参加しております。
②平成20~27年度に東京大学社会連携講座を通じ、二酸化炭素(CO2)をエネルギー源として再利用する持続型炭素循環システムの研究を産学共同で実施してまいりました。本共同研究の成果として、当社八橋油田由来の地下微生物群が電気化学的な二酸化炭素(CO2)のメタン変換活性を有する事を発見、さらに当該変換反応に関与する微生物群並びに変換経路についても解明しています。
③社会に貢献する総合エネルギー企業を目指して、石油・天然ガスのみならず、新たなエネルギーの研究や事業化にも取り組んでいます。地熱発電及び太陽光発電などの再生可能エネルギーへの取り組みを強化するとともに、経済産業省及び新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主導する「人工光合成化学プロセス技術研究組合」に参加し、太陽エネルギーを利用して光触媒の水分解による水素の生成、並びに、生成された水素と二酸化炭素からプラスチック原料等基幹化学品の製造を目指す研究開発プロジェクトに取り組んでいます。
① 概要
当連結会計年度は、売上高が前連結会計年度に比べ13.8%減の1兆95億円、親会社株主に帰属する当期純利益が前連結会計年度に比べ78.4%減の167億円となりました。
当社グループは原油及び天然ガスの探鉱、開発、生産事業を行っており、また、確認埋蔵量の9割超は海外であることから、当社グループの業績は原油及び天然ガスの価格ならびに為替レートの変動に大きく左右されます。また、保有する埋蔵量は生産活動により減少するため、油田買収や探鉱活動による新たな埋蔵量の発見が不可欠となっております。当社グループでは探鉱投資に係る費用について会計上保守的に認識しており、コンセッション契約の場合には100%営業費用に計上しております。また、生産分与契約に基づき投下した探鉱プロジェクトの探鉱作業費については100%引当て、営業外費用に計上しております。
② 売上高
当連結会計年度の売上高は1兆95億円で、このうち、原油売上高は6,792億円と前連結会計年度の7,304億円と比べ511億円、7.0%の減収、天然ガス売上高は3,167億円と前連結会計年度の4,218億円と比べ1,050億円、24.9%の減収、その他の売上高は135億円と前連結会計年度の189億円と比べ53億円、28.4%の減収となりました。
当連結会計年度の販売数量は、原油が前連結会計年度と比べ36,669千バレル、45.5%増の117,227千バレルとなりました。天然ガスは、前連結会計年度と比べ27,731百万立方フィート、9.0%増の337,216百万立方フィートとなりました。このうち、海外天然ガスは、前連結会計年度と比べ29,105百万立方フィート、12.0%増の271,912百万立方フィートとなり、国内天然ガスは、前連結会計年度と比べ37百万立方メートル、2.1%減の1,750百万立方メートル、立方フィート換算では65,304百万立方フィートとなっております。海外原油売上の平均価格は1バレル当たり36.05米ドル、42.9%下落し、47.95米ドルとなりました。海外天然ガス売上の平均価格は千立方フィート当たり6.58米ドルとなり、前連結会計年度と比べ4.78米ドル、42.1%の下落となりました。なお、国内天然ガスの平均価格は立方メートル当たり52円29銭となり、前連結会計年度と比べ5円27銭、9.2%の下落となっております。売上高の平均為替レートは1米ドル120円55銭となり、前連結会計年度と比べ12円62銭、11.7%の円安となりました。
当連結会計年度の売上高の減少額1,616億円を要因別に分析いたしますと、原油及び天然ガスの売上高に関し、販売数量の増加により3,621億円の増収、平均単価の下落により6,128億円の減収、売上の平均為替レートが円安となったことにより944億円の増収、その他の売上高が53億円の減収となりました。
③ 営業利益
当連結会計年度の売上原価は5,267億円と前連結会計年度の5,254億円と比べ13億円、0.3%増加しております。これは、主に為替が円安に推移したことによるものです。探鉱費は61億円と前連結会計年度の232億円と比べ170億円、73.5%の減少、販売費及び一般管理費は865億円と前連結会計年度の876億円と比べ11億円、1.3%の減少となりました。
以上の結果、当連結会計年度における営業利益は3,901億円と前連結会計年度の5,348億円と比べ1,447億円、27.1%の減益となりました。
④ 経常利益
当連結会計年度の営業外収益は699億円と前連結会計年度の1,017億円と比べ318億円、31.3%の減少となりました。これは、有価証券売却益や受取配当金が増加したものの、為替差益が減少したこと等によるものです。
一方、営業外費用は853億円と前連結会計年度の614億円と比べ238億円、38.7%の増加となりました。これは、持分法による投資損失や固定資産除却損が増加したことによるものです。
以上の結果、経常利益は3,747億円と前連結会計年度の5,751億円と比べ2,003億円、34.8%の減益となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度は、特別損失として油価下落等に伴い一部プロジェクトで減損損失を458億円計上しました。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は3,543億円と前連結会計年度の4,644億円と比べ1,100億円、23.7%の減少となり、非支配株主に帰属する当期純損失は422億円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は167億円と前連結会計年度の778億円と比べ610億円、78.4%の減益となりました。
⑥ セグメント情報
セグメント別の売上高、営業利益については、「1 業績等の概要 (1) 業績」に記載しております。
① 資金の調達及び流動性
石油・天然ガスの探鉱・開発活動及び天然ガス供給インフラ施設等の建設においては多額の資金を必要とするため、内部留保による手許資金のほかに、外部からも資金を調達しております。探鉱資金については手許資金及び外部からの出資により、また、開発資金及び天然ガス供給インフラ施設等の建設資金については手許資金及び借入により調達することを基本方針としております。現在、開発資金借入については国際協力銀行及び市中銀行等から融資を受けており、これら融資に関しては、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の保証制度を活用しています。また、国内の天然ガス供給インフラ施設等の建設資金借入については、日本政策投資銀行及び市中銀行からの融資を受けております。なお、イクシスプロジェクトでは、当期も持分法適用関連会社である、イクシス下流事業会社を借入人として、国内外の輸出信用機関及び市中銀行からプロジェクトファイナンスの借入等を行っております。
資金の流動性については、短期の運転資金のほかに、油価の急な下落に備え、また油ガス田権益買収の際に迅速に対応するため、一定の手厚い手許資金を保有することを基本方針としており、これら手許資金は、安全性、流動性の高い金融商品で運用することを原則としています。現状の手許資金を梃子に、財務の健全性を維持しながら事業拡大を図ることで、長期的に資本効率の向上を目指すのが当社の戦略です。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は4兆3,698億円、前連結会計年度末の4兆4,991億円と比較して1,293億円の減少となりました。このうち、流動資産は9,843億円で、有価証券の減少等により前連結会計年度末と比較して3,580億円の減少となりました。固定資産は3兆3,854億円で、有形固定資産及び無形固定資産の増加等により前連結会計年度末と比較して2,287億円の増加となりました。
一方、負債は1兆1,910億円となり、前連結会計年度末の1兆2,104億円と比較して、194億円の減少となりました。流動負債は3,191億円で、前連結会計年度末と比較して460億円の減少、固定負債は8,719億円で、前連結会計年度末と比較して266億円の増加となりました。純資産は3兆1,788億円となり、前連結会計年度末と比較して1,099億円の減少となりました。このうち、株主資本は2兆5,369億円で、前連結会計年度末と比較して125億円の減少となりました。その他の包括利益累計額は3,959億円で、前連結会計年度末と比較して1,212億円の減少、非支配株主持分は2,459億円で前連結会計年度末と比較して238億円の増加となりました。
③ 連結キャッシュ・フローの分析
連結キャッシュ・フローの分析については、「1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、期首の2,609億円から当連結会計年度中に減少した資金2,071億円を差し引いた538億円となりました。