当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
なお、重要事象等は存在しておりません。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間における我が国経済は、緩やかに回復していますが、米国の通商政策等による不透明感がみられます。先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されますが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっています。加えて、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響なども、我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、金融資本市場の変動等の影響に一層注意する必要があります。
当社グループの業績に大きな影響を及ぼす国際原油価格は、代表的指標の一つであるブレント原油(期近物終値ベース)で、当中間連結会計期間は1バレル当たり75.93米ドルから始まりました。米欧中による関税措置の拡大、OPECプラスによる減産緩和の動き、中東地域をめぐる地政学的リスクの高まりなどを背景に、原油価格は一時的に乱高下する局面もありました。しかしながら、全体としては供給過剰感や需要成長の鈍さが意識され、相場はやや軟調に推移し、当中間連結会計期間末時点では1バレル当たり67.61米ドル価格となりました。
一方、業績に重要な影響を与えるもう一つの要因である為替相場ですが、当中間連結会計期間は1米ドル157円台で始まりました。1月は、米雇用統計の堅調さを受け米長期金利が上昇し、日米金利差拡大を背景に、一時158円台まで円安が進みましたが、日銀の追加利上げを受け月末には154円台をつけました。2月から3月にかけては、米経済指標が相次いで市場予想を下回り米長期金利が低下したことで円高が進行し、米追加関税方針と日銀の利上げ観測も相まって149円台で終了しました。4月は、米国の関税政策に伴う世界的な景気後退懸念が強まる中で、下旬には141円台前半まで円高が進みましたが、5月中旬の米中双方による追加関税引き下げ合意が好感され、一気に147円台後半をつけました。6月は、中東情勢悪化を受け瞬間的に142円台後半をつけた後、日銀の金利据え置きと国債買い入れ減額方針、米連邦準備理事会(FRB)の年内利下げ観測などを背景に円安が進み、期末公示仲値(TTM)は前期末から13円35銭円高の144円82銭となりました。
このような事業環境の中、当社の当中間連結会計期間の連結業績につきましては、原油の販売価格の下落により、売上収益は前年同期比1,419億円、11.9%減の1兆488億円となりました。このうち、原油売上収益は前年同期比1,120億円、12.6%減の7,801億円、天然ガス売上収益は前年同期比298億円、10.6%減の2,514億円です。当中間連結会計期間の販売数量は、原油が前年同期比866千バレル、1.2%増の71,501千バレルとなり、天然ガスは前年同期比5,020百万立方フィート、1.9%減の253,855百万立方フィートとなりました。このうち、海外天然ガスは、前年同期比797百万立方フィート、0.4%増の210,195百万立方フィート、国内天然ガスは、前年同期比156百万立方メートル、11.8%減の1,170百万立方メートル、立方フィート換算では43,660百万立方フィートとなりました。販売価格は、海外原油売上の平均価格が1バレル当たり73.51米ドルとなり、前年同期比9.41米ドル、11.3%下落、海外天然ガス売上の平均価格は千立方フィート当たり5.03米ドルとなり、前年同期比0.58米ドル、10.3%下落、また、国内天然ガスの平均価格は立方メートル当たり81円08銭となり、前年同期比4円34銭、5.7%上昇しております。売上収益の平均為替レートは1米ドル148円37銭となり、前年同期比4円02銭、2.6%の円高となりました。
売上収益の減少額1,419億円を要因別に分析しますと、販売数量の増加により26億円の増収、平均単価の下落により1,190億円の減収、売上の平均為替レートが円高となったことにより255億円の減収、その他の売上収益が0.7億円の減収となりました。
一方、売上原価は前年同期比416億円、8.8%減の4,315億円、探鉱費は前年同期比433億円、87.7%減の61億円、販売費及び一般管理費は前年同期比21億円、3.5%減の576億円、その他の営業収益は前年同期比146億円、74.0%減の51億円、その他の営業費用は前年同期比9億円、16.4%増の68億円、持分法による投資利益は前年同期比126億円、16.3%減の650億円となりました。以上の結果、営業利益は前年同期比831億円、11.9%減の6,168億円となりました。
金融収益は前年同期比127億円、15.4%減の700億円、金融費用は前年同期比277億円、39.8%減の419億円となりました。以上の結果、税引前中間利益は前年同期比682億円、9.6%減の6,449億円となりました。
法人所得税費用は前年同期比995億円、19.8%減の4,026億円、非支配持分に帰属する中間利益は187億円(前年同期は非支配持分に帰属する中間損失16億円)となりました。以上の結果、親会社の所有者に帰属する中間利益は前年同期比109億円、5.1%増の2,235億円となりました。
セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。
なお、2024年10月1日付の組織改編に伴い報告セグメントを変更しており、前中間連結会計期間との比較分析にあたっては、変更後の区分に基づく数値を用いております。
① 国内石油・天然ガス事業(国内O&G)
天然ガス販売数量の減少により、売上収益は前年同期比84億円、7.4%減の1,059億円となりましたが、売上原価の減少等により、親会社の所有者に帰属する中間利益は前年同期比78億円、83.9%増の172億円となりました。
② 海外石油・天然ガス事業(海外O&G)- イクシスプロジェクト
販売価格の下落により、売上収益は前年同期比293億円、13.8%減の1,836億円となり、親会社の所有者に帰属する中間利益は前年同期比110億円、7.3%減の1,390億円となりました。
③ 海外石油・天然ガス事業(海外O&G)- その他のプロジェクト
原油販売価格の下落により、売上収益は前年同期比1,042億円、12.2%減の7,492億円となりましたが、法人所得税費用の減少等により、親会社の所有者に帰属する中間利益は前年同期比202億円、38.9%増の722億円となりました。
当中間連結会計期間末における資産合計は前連結会計年度末比3,515億円減の7兆293億円となりました。このうち、流動資産はその他の金融資産の増加等により、前連結会計年度末比944億円増の9,646億円、非流動資産は石油・ガス資産の減少等により、前連結会計年度末比4,459億円減の6兆647億円となりました。
一方、負債合計は前連結会計年度末比429億円減の2兆2,000億円となりました。このうち、流動負債は前連結会計年度末比1,013億円増の6,349億円、非流動負債は前連結会計年度末比1,443億円減の1兆5,650億円となりました。
資本合計は前連結会計年度末比3,085億円減の4兆8,292億円となりました。このうち、親会社の所有者に帰属する持分は前連結会計年度末比2,354億円減の4兆5,863億円、非支配持分は前連結会計年度末比730億円減の2,429億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当社グループの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末の2,416億円に当中間連結会計期間中に増加した資金235億円を加え、換算差額27億円を差し引いた結果、当中間連結会計期間末において2,624億円となりました。
当中間連結会計期間における営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フローの状況並びにそれらの要因は以下のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
税引前中間利益の減少等があったものの、営業債権及びその他の債権の減少や法人所得税の支払額の減少等により、営業活動の結果得られた資金は前年同期比589億円増の4,279億円となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
定期預金の預入による支出の減少等があったものの、投資の取得による支出の増加等により、投資活動の結果使用した資金は前年同期比461億円増の3,642億円となりました。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
非支配持分への配当金の支払額の増加やコマーシャル・ペーパーの純増加額の減少等があったものの、短期借入金の増加等により、財務活動の結果使用した資金は前年同期比29億円減の401億円となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は、次のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社グループは、今後も我が国及び世界におけるエネルギー需要に応え、長期にわたり引き続き、エネルギーの安定供給の責任を果たしつつ、2050年ネットゼロに向けて「責任あるエネルギー・トランジション」の実現に取り組みます。具体策として、「現実的な移行期の燃料」としての天然ガスをよりクリーンな形で供給します。加えて、第三者向けにCCSやクリーン水素・アンモニア等の低炭素化ソリューションを提供するとともに、電力関連分野の新たな取組みを強化します。
② 財産の有効な活用及び不適切な支配の防止のための取り組み
当社グループは、資本効率性・財務健全性を意識しつつ、強固な財務体質を活かして、石油・天然ガス資源の安定的かつ効率的な供給を可能とするために事業基盤の拡大を目指し、探鉱・開発活動及び供給インフラの整備・拡充等への成長投資を行います。当社グループは、プロジェクトが生み出すキャッシュを、成長投資と株主還元にバランスよく配分することで、新たなキャッシュの創出と株主価値の増大を図り、持続的な企業価値の向上を目指します。
また、当社は、上記①の方針に基づき、投機的な買収や外資による経営支配等により、中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われること又は否定的な影響が及ぶことがないよう、経済産業大臣に対し甲種類株式を発行しております。
その内容としては、ⅰ)取締役の選解任、ⅱ)重要な資産の全部又は一部の処分等、ⅲ)当社の目的及び当社普通株式以外の株式への議決権(甲種類株式に既に付与された種類株主総会における議決権を除く。)の付与に係る定款変更、ⅳ)統合、ⅴ)資本金の額の減少、ⅵ)解散、に際し、当社の株主総会又は取締役会の決議に加え、甲種類株式の株主による種類株主総会(以下「甲種類株主総会」という。)の決議が必要とされております。ただし、ⅰ)取締役の選解任及びⅳ)統合については、定款に定める一定の要件を充たす場合に限り、甲種類株主総会の決議が必要とされております。甲種類株主総会における議決権の行使に関しては、甲種類株主が令和4年経済産業省告示第54号に定める甲種類株式の議決権行使の基準に則り、議決権を行使できるものとしております。
当該基準では、上記ⅰ)及びⅳ)に係る決議については、「中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われていく蓋然性が高いと判断される場合」、上記ⅲ)の当社普通株式以外の株式への議決権(甲種類株式に既に付与された種類株主総会における議決権を除く。)の付与に係る定款変更の決議については、「甲種類株式の議決権行使に影響を与える可能性のある場合」、上記ⅱ)、ⅲ)当社の目的に係る定款変更、ⅴ)及びⅵ)に係る決議については、「中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に否定的な影響が及ぶ蓋然性が高いと判断される場合」のみ否決するものとされております。
さらに、当社の子会社定款においても子会社が重要な資産処分等を行う際に、上記ⅱ)の重要な資産の全部又は一部の処分等に該当する場合には、当該子会社の株主総会決議を要する旨を定めており、この場合も当社取締役会の決議に加え、甲種類株主総会の決議を必要としています。なお、当社の取締役会は、甲種類株主による甲種類株式の議決権行使を通じた拒否権の行使に関して権能を有しておらず、従って甲種類株式は当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
③ 上記②の取り組みについての取締役会の判断
上記②の取り組みは、我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現及び持続的な企業価値の向上を目指すものであり、上記①の方針に沿うものであります。
また、上記②の甲種類株式は、拒否権の対象が限定され、その議決権行使も令和4年経済産業省告示第54号に定める経済産業大臣による甲種類株式の議決権行使の基準に則り行われることから、経営の効率性・柔軟性を不当に阻害しないよう透明性を高くし、その影響が必要最小限にとどまるよう設計されておりますので、上記①の方針に沿うものであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではないと考えております。
(4)研究開発活動
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は47億円であります。
当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載された㈱INPEXサウル石油(子会社)保有の東チモール民主共和国PSCTL-SO-T 19-12鉱区における生産分与契約は、2025年6月4日付で生産停止に伴い失効しました。
また、当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等として下記を追加しております。
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契約会社名 |
相手先 |
契約内容 |
契約期間 |
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JODCO Exploration Limited(子会社) |
アラブ首長国連邦アブダビ首長国政府 ほか |
アラブ首長国連邦アブダビ陸上鉱区(Onshore Block4)における利権契約 |
契約上の守秘義務に基づき、契約期間は非開示とさせていただきます。 |