(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、原油安や低金利等が企業収益や設備投資に好影響を与え、全体として緩やかな回復傾向が続いてきました。一方で、中国をはじめとする新興国経済の減速を契機に、輸出と生産に弱さが見られるようになり、個人消費でも足踏みが見られるようになるなど、依然として先行き不透明な状況が続いてきました。
当業界においては、住宅市場で新設住宅着工戸数が前年同月比で増加と減少を繰り返すなど、一部不安定な動きも見られましたが、全体としては持ち直しの動きが続きました。一般建設市場では、公共工事受注高が平成28年3月に14ヶ月振りに前年同月比プラスに転じたものの、その他の月ではマイナスが続くなど、全体としては弱い動きとなりました。一方で民間工事受注高は、平成26年10月より18ヶ月連続で前年同月の水準を上回るなど、製造業を中心とした好調な設備投資を背景に堅調に推移してきました。
このような経済状況の中で、当社グループは平成27年度を最終年度とした第4次中期経営計画の投資計画を当初計画より拡大し、不動産開発投資を積極的に行うなど、国内コア事業を中心として業績を拡大してきました。
また、競争力強化の一環として、平成27年4月にマンション管理事業を主たる事業とする大和ライフネクスト株式会社と株式会社ダイワサービスを経営統合しました。さらに平成27年8月には、当社との株式交換により大和小田急建設株式会社を完全子会社とし、平成27年10月に、建設・土木事業を主たる事業とする株式会社フジタと大和小田急建設株式会社を経営統合するなど、成長基盤を構築してきました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は3,192,900百万円(前連結会計年度比13.6%増)、経常利益は233,592百万円(前連結会計年度比15.3%増)となりましたが、金利市場の動向を踏まえた退職給付債務の割引率変更に伴う特別損失の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は103,577百万円(前連結会計年度比11.6%減)となりました。
セグメント別の概況は次のとおりです。
① 戸建住宅事業
戸建住宅部門では、お客様の住まいづくりに真摯に向き合い、お客様目線で地域に密着した事業展開を推進してきました。
注文住宅では、「繰り返しの大地震でも初期性能を維持する持続型の耐震性能」と「2m72cmの高い天井がもたらす大空間のゆとり」を実現する当社戸建住宅最上位商品「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」の販売拡大に引き続き注力してきました。
また、平成27年10月には、業界最高クラスとなる天井高と開口幅を実現する新構法や狭小地を有効活用できる工法を採用した3・4・5階建戸建住宅商品、新「skye(スカイエ)」を発売しました。当商品の投入により、今後需要の拡大が見込まれる都市部での賃貸併用住宅、店舗併用住宅等の多様なニーズに対応できる商品ラインアップを強化しました。
さらに、戸建住宅の建設を検討されているお客様向け体験施設として、関西エリア(奈良工場内)、関東エリア(東京本社敷地内)に続き、中部エリア(三重工場内)に「TRY家Chubu(トライエ・中部)」をオープンしました。当施設は「見て、触れて、理解できる」をコンセプトに、当社戸建住宅の基本構造や居住環境・先進技術を体感できる施設として、オープン以来多くのお客様にご来場いただいています。
以上の結果、当事業の売上高は378,306百万円(前連結会計年度比0.8%増)、営業利益は16,515百万円(前連結会計年度比86.8%増)となりました。
② 賃貸住宅事業
賃貸住宅部門では、新たに営業拠点を13ヶ所新設し、国内163拠点の体制で地域に密着した営業活動と受注の拡大に努めてきました。
商品開発においては、2階建賃貸住宅商品として、平成27年5月に伝統的な街並みに調和するとともに城下町や宿場町等の街並み規制に対応した「セジュールウィット京和風」を、平成27年7月にはご入居者様の趣味やライフスタイル等に合わせた新たな空間「PLUS Room」を追加した「セジュールウィットプラス」を発売しました。
3階建賃貸住宅商品では、平成27年4月にタイル張り外壁と独自開発の高遮音床を使用することで高級感を高めた「セジュールオッツαJT」を、平成27年9月には津波の災害に備えて階段室屋上に緊急避難スペースを確保した「セジュールオッツW-ev」を発売するなど、商品ラインアップの拡充に努めてきました。
以上の結果、当事業の売上高は880,161百万円(前連結会計年度比13.9%増)、営業利益は81,903百万円(前連結会計年度比17.7%増)となりました。
③ マンション事業
マンション部門では、社会やお客様にとってより付加価値の高いマンションの供給に努めてきました。
平成27年6月に販売を開始した分譲マンション「プレミスト高尾サクラシティ」(東京都)(※1)は、立地周辺の生活利便性と自然環境を両立させた当社複合開発物件で、経済産業省によるスマートマンション導入加速化推進事業の認定を受け、各期とも完売しました。
また、平成28年3月より販売を開始した分譲マンション「プレミストタワー大阪新町ローレルコート」(※2)は、5駅5線が徒歩圏内という立地に恵まれ、販売は順調に推移しました。さらに同月、住宅地として公示地価日本一の東京都千代田区六番町に立地する分譲マンション「プレミスト六番町」や、最寄り駅の白金台駅まで徒歩1分と利便性に優れ、洗練された街に立地する分譲マンション「プレミスト白金台」の販売を開始するなど、東京都心における販売にも注力してきました。
また、株式会社コスモスイニシアにおいては、シンプルでスクエアな外観デザイン、梁・柱の凹凸のないフラットな居住空間を追求した創業40周年プロジェクト「イニシア武蔵新城ハウス」(神奈川県)を販売し、早期に全戸完売しました。
以上の結果、当事業の売上高は279,311百万円(前連結会計年度比20.7%増)、営業利益は15,796百万円(前連結会計年度比46.0%増)となりました。
※1.当社、株式会社コスモスイニシアの共同事業。
※2.当社、近鉄不動産株式会社の共同事業。
④ 住宅ストック事業
住宅ストック部門では、戸建・集合住宅を所有されているオーナー様へのインスペクション(点検・診断)を通じたリレーションの強化に努めてきました。
当社既オーナー様以外のリフォーム市場開拓のために、平成27年10月にリフォーム専門ショールームとして4店舗目となる「リフォームサロン桃花台店」(愛知県)をオープンし、地域に根ざしたリフォーム専門ショールームとして、多くのお客様にご来店いただいています。
また、平成28年1月より戸建住宅のオーナー様向けに電動シャッターや玄関ドア等の防犯関連のリフォームを提案する「しあわせ計画 新春キャンペーン」や、集合住宅のオーナー様向けには、入居シーズンのピークを前に空室対策や賃料収益の改善に繋がるリフォームを提案する「新春 収益力アップキャンペーン」を開催するなど、様々なリフォーム提案を行い、業容の拡大を図ってきました。
以上の結果、当事業の売上高は95,508百万円(前連結会計年度比4.2%増)、営業利益は11,297百万円(前連結会計年度比13.2%増)となりました。
⑤ 商業施設事業
商業施設部門では、テナント企業様の事業戦略に対応した適切な出店計画の提案や、エリアの特性を活かしたバリエーション豊富な企画を行うとともに、オーナー様の相続税等の税務対策ニーズに応える企画提案を行い、長期的なリレーションを強化するなど、受注の拡大を図ってきました。
また、平成27年4月に都市型商業施設「BiVi千里山」(大阪府)、6月に「BiVi日出」(大分県)、さらに9月には「BiViつくば」(茨城県)がオープンするなど、商業施設の全国展開に努めてきました。
以上の結果、当事業の売上高は495,533百万円(前連結会計年度比8.6%増)、営業利益は80,332百万円(前連結会計年度比19.4%増)となりました。
⑥ 事業施設事業
事業施設部門では、法人のお客様の目的に応じた様々な施設建設のプロデュースや、企業資産の有効活用をトータルサポートすることで、業容の拡大に努めてきました。
豊富な施工実績をもとにお客様の物流システムの最適化・効率化をバックアップし、物流施設開発を全国各地で進めるとともに、用地を「買う・借りる・ノンアセットで運営する」など、法人のお客様の様々な物流ニーズにお応えしてきました。
また、生産設備に対する投資を検討している企業様をターゲットに、環境配慮型工場「D's SMART FACTORY(ディーズ スマート ファクトリー)」の見学会を実施するなど、生産施設の提案を強化してきました。
さらに、退院後の在宅復帰を目指す患者様をサポートする医療型高齢者住宅や、旧耐震基準の病院をターゲットにした建替え・移転の提案を強化し、医療介護関連施設の受注拡大を図ってきました。
株式会社フジタにおいては、海外では、カタールでの地下鉄車両基地やメキシコでの自動車製造工場等の大型物件を受注し、国内では、物流・医療介護施設、高速道路などを中心に大型物件を複数受注するなど、建築・土木事業ともに好調に推移しました。
以上の結果、当事業の売上高は736,355百万円(前連結会計年度比26.6%増)、営業利益は68,003百万円(前連結会計年度比76.9%増)となりました。
⑦ その他事業
環境エネルギー事業では、建設から運営管理までワンストップで手掛ける太陽光発電事業「DREAM Solar」を積極的に展開してきました。水面を利用した太陽光発電施設「DREAM Solar フロート1号@神於山」(大阪府)や、大和ハウスグループ最大規模の太陽光発電所「DREAM Solar 和歌山市」等、当期間は新たに30ヶ所にて運転を開始し、稼働中の太陽光発電所は全国で116ヶ所となりました。また、新たな再生可能エネルギー電源開発として、岐阜県飛騨市において水力発電所(平成29年11月運転開始予定)の建設に着手しました。
フィットネスクラブ事業では、スポーツクラブNAS株式会社において、平成27年6月に奈良県初出店となる大型複合施設「スポーツクラブNAS学園前」、平成27年9月に「スポーツクラブNASなかもず」(大阪府)、平成27年10月に「スポーツクラブNAS大高」(愛知県)をオープンし、店舗数は全国70店舗となりました。
都市型ホテル事業では、ダイワロイヤル株式会社において、平成27年8月に「ダイワロイネットホテル千葉駅前」、平成27年10月に「ダイワロイネットホテル徳島駅前」、平成27年12月に「ダイワロイネットホテル銀座」(東京都)をオープンしました。さらに、平成28年3月には、愛媛県初出店となる「ダイワロイネットホテル松山」と、博多や下関方面へのアクセスに優れビジネスや観光の拠点に最適な「ダイワロイネットホテル小倉駅前」(福岡県)をオープンし、全国44ヶ所となりました。
ホームセンター事業では、ロイヤルホームセンター株式会社において、平成27年5月に横浜市最大のペットフロアを設けたホームセンター「ロイヤルホームセンター戸塚深谷店」(神奈川県)、平成27年10月には、建築資材や工具等の品揃えを充実させた資材館を併設したホームセンター「ロイヤルホームセンター豊中店」(大阪府)をオープンし、地域のニーズに即した店舗開発を図ってきました。これにより店舗数は全国53店舗となりました。
物流事業では、大和物流株式会社において、平成27年4月に主に卸売業様やメーカー様向けの物流センター「仙台港物流センター」、「神奈川宮下物流センター」をオープンし、各企業様の物流ニーズに沿った提案の強化を図ってきました。
以上の結果、当事業の売上高は458,870百万円(前連結会計年度比7.6%増)、営業利益は9,573百万円(前連結会計年度比7.0%減)となりました。
(注)1.各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものです。(「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照。)
2.上記金額に消費税等は含んでいません。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加278,497百万円、投資活動による資金の減少202,447百万円、財務活動による資金の減少130,185百万円等により、あわせて45,620百万円減少しました。この結果、当連結会計年度末には188,923百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は278,497百万円(前連結会計年度比99.7%増)となりました。これは、主に156,214百万円の税金等調整前当期純利益を計上したことや、退職給付債務の計算における割引率変更により退職給付に係る負債が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は202,447百万円(前連結会計年度は235,027百万円の減少)となりました。これは、主に賃貸等不動産等の有形固定資産の取得を行ったことや、不動産開発事業への投資を進めたことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は130,185百万円(前連結会計年度は129,202百万円の増加)となりました。これは、主に借入金等の有利子負債の返済を行ったことによるものです。
(1)生産実績
当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していません。
(2)受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前連結会計 |
受注残高 (百万円) |
前連結会計 |
|
戸建住宅 |
384,971 |
2.9 |
98,795 |
9.7 |
|
賃貸住宅 |
900,389 |
11.6 |
259,183 |
9.2 |
|
マンション |
263,280 |
10.6 |
24,514 |
△39.2 |
|
住宅ストック |
93,209 |
3.0 |
14,541 |
4.0 |
|
商業施設 |
509,596 |
10.5 |
115,021 |
23.8 |
|
事業施設 |
830,553 |
26.6 |
578,695 |
34.9 |
|
その他 |
381,073 |
15.6 |
54,820 |
187.0 |
|
合計 |
3,363,074 |
13.8 |
1,145,572 |
24.1 |
(注)1.各セグメントの金額は外部顧客への受注高・受注残高を表示しています。
2.上記金額に消費税等は含んでいません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
戸建住宅 |
376,218 |
1.1 |
|
賃貸住宅 |
878,617 |
14.0 |
|
マンション |
279,118 |
21.0 |
|
住宅ストック |
92,653 |
3.0 |
|
商業施設 |
487,483 |
9.6 |
|
事業施設 |
733,453 |
26.7 |
|
その他 |
345,356 |
6.5 |
|
合計 |
3,192,900 |
13.6 |
(注)1.各セグメントの金額は外部顧客への売上高を表示しています。(「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照。)
2.総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。
3.上記金額に消費税等は含んでいません。
(参考)提出会社個別の事業の状況は次のとおりです。
受注高、売上高及び繰越高
|
期別 |
部門別 |
前期 繰越高 (百万円) |
当期 受注高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期 売上高 (百万円) |
次期 繰越高 (百万円) |
|
第76期 自 平成26年 4月1日 至 平成27年 3月31日 |
建築請負部門 |
416,771 |
1,250,749 |
1,667,521 |
1,154,455 |
513,065 |
|
不動産事業部門 |
52,473 |
333,402 |
385,876 |
310,142 |
75,733 |
|
|
その他事業部門 |
25 |
6,376 |
6,401 |
6,376 |
25 |
|
|
計 |
469,270 |
1,590,528 |
2,059,799 |
1,470,975 |
588,823 |
|
|
第77期 自 平成27年 4月1日 至 平成28年 3月31日 |
建築請負部門 |
513,065 |
1,309,012 |
1,822,077 |
1,226,634 |
595,443 |
|
不動産事業部門 |
75,733 |
390,226 |
465,959 |
412,119 |
53,840 |
|
|
その他事業部門 |
25 |
11,121 |
11,146 |
11,012 |
134 |
|
|
計 |
588,823 |
1,710,360 |
2,299,184 |
1,649,765 |
649,418 |
(注)1.損益計算書においては、建築請負部門は「完成工事高」、不動産事業部門は「不動産事業売上高」、その他事業部門は「その他の売上高」として表示しています。
2.前期以前に受注したもので契約の更改により金額に変更あるものについては、当期受注高及び当期売上高にその増減を含めています。
3.次期繰越高は(前期繰越高+当期受注高-当期売上高)です。
4.上記金額に消費税等は含んでいません。
今後のわが国経済においては、雇用情勢・所得環境の改善が続く中で、各種政策効果もあり、緩やかな回復に向かうことが期待されます。一方で、中国経済の減速や、資源国経済の下振れ等が国内景気に悪影響を与えることも懸念され、楽観視できない状況が続くものと見られます。
当業界においては、中長期的には、人口減少による国内住宅着工戸数の減少が見込まれ、また今後の消費増税等の各種政策の動向によっては、住宅市場が冷え込むことが予想されます。一般建設市場では、民間企業を中心に設備投資が堅調に推移していくことが見込まれ、一方で建設資材価格の動向には注視していく必要があります。
このような経済状況の中で当社グループは、平成28年度を初年度とする3ヶ年計画「大和ハウスグループ第5次中期経営計画」を策定しました。当社はこの計画に基づき、将来の環境変化に備えつつ、幅広い事業領域の多様な収益源を活かし、計画の達成を目指していきます。
当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。なお、本項において将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)法的規制等に関するリスク
当社グループは、国内、海外を問わず、建設・不動産事業をはじめ多種多様な事業を行っており、国内においては会社法、金融商品取引法、建築・不動産関連法令、環境関連法令、各種業法等、海外においてはそれぞれの国・地域の法令・規制の適用を受けるため、当社グループの事業に関連する法令・規制は多岐にわたっています。
これらの法令等を含めコンプライアンスが遵守されるよう役職員に対し、研修等を通じ徹底を図っていますが、もし徹底が十分でなく適用法令等の違反が発生した場合には、処罰、処分その他の制裁を受けたり、当社グループの社会的信用やイメージが毀損したりといったことで、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、特に建設業法や宅建業法等をはじめ有資格者の選任・配置が義務づけられている場合については、適法に事業活動ができるようその確保に努めていますが、それらが十分に確保できなかった場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、国内、海外を問わず、これらの法令・規制等が改廃されたり、新たな法的規制が設けられたりといった場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)個人情報等の漏洩等に関するリスク
当社グループは、多数のお客様の個人情報をお預かりしている他、様々な経営情報等を保有しています。これらの情報の管理については、グループ各社において情報管理に関するポリシーや事務手続等を策定し役職員等に対する教育・研修等により情報管理の重要性の周知徹底、セキュリティ対策等を行っています。
しかしながら、これらの対策にもかかわらず重要な情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用等に影響を与え、その対応のための多額の費用負担やブランド価値の低下により業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)競合に関するリスク
当社グループは、建設・不動産事業をはじめとする様々な事業を行っており、これらの各事業において、競合会社との間で競争状態にあります。したがって、当社グループが、商品の品質や価格、サービスの内容、営業力等の観点から、これらの競合会社との競争において優位に立てない場合、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)事業戦略・グループ戦略に関するリスク
当社グループは、事業戦略上、必要に応じて企業や事業の買収、組織再編等を行っています。
しかしながら、企業や事業の買収、組織再編等が想定どおりに進行せず、グループ会社間におけるシナジー効果が期待通りの成果をもたらさないことなどにより、事業戦略上想定した利益が達成できず業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)海外事業に関するリスク
当社グループは、中国を中心とした海外事業を展開していますが、急激なインフレーションや為替相場の変動、政治・経済情勢の不確実性による内乱、暴動、戦争、訴訟リスク、外交関係の悪化や法令上の制約等による事業遂行・代金回収の遅延、不能、送金の制約等が発生するリスク、不動産引き締め政策等の法制度の改正や政策の変更による購買意欲減退のリスク等を負っています。したがって、これらのリスクが発生した場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)協力会社・委託先への依存に関するリスク
当社グループは、その提供する商品、建物及びサービス等について、当社グループの役職員等が直接実施する場合を除いては、一定の技術を保有する協力会社及び委託会社へ発注しています。
したがって、協力会社等の予期せぬ業績不振や事故等により事業を継続できなくなるなどの不測の事態が発生した場合は、商品・サービス等の提供遅延やお客様への損害賠償等が発生する可能性もあり、その場合には、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)安全・環境に関するリスク
当社グループは、事業を行うに際し工場、建設現場等を多数有しているため、特に安全、環境面を最優先に配慮、対策のうえ事業を行っています。しかしながら、これらの配慮、対策にもかかわらず現場事故、環境汚染等の事故等が発生した場合には、人的・物的な被害等により業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)自然災害等に関するリスク
当社グループは、国内及び海外に事務所・工場・研究開発等の施設を展開しており、地震、台風、津波、火山の噴火等の大規模な自然災害の発生により、従業員や施設・設備等への直接的な被害のほか、情報システムや通信ネットワーク、流通・供給網の遮断・混乱等による間接的な被害を受ける可能性があります。上記のような被害が発生した場合には、これらの回復費用や事業活動の中断等による損失、またお客様の所有建物に対する点検や応急処置の実施、その他社会的な支援活動を行うための費用等が発生し、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)金利の上昇に関するリスク
市中金利の上昇や当社の格下げによる金利の上昇により、資金調達コストの上昇を招き、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、融資を利用して土地や建物を取得するお客様にとっては、市中金利の上昇によって支払総額の増加につながることにより需要が減退する可能性があり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)不動産を含む資産の価値下落に関するリスク
当社グループは、国内および海外において不動産の取得、開発、販売等の事業を行っており、不動産市況が悪化し地価の下落、賃貸価格の下落が生じた場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、その場合には、当社グループが保有する不動産の評価額について引き下げを行う必要が生ずる可能性があります。
さらに、当社グループが所有する不動産以外の棚卸資産や有形固定資産、のれんなどの無形固定資産、投資有価証券等の投資その他の資産についても、評価額について引き下げを行う必要が生ずる可能性があり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)原材料・資材価格・人件費等の高騰に関するリスク
原材料・資材価格・人件費等の高騰は仕入価格や工事原価の上昇を招きますが、売上価格に転嫁できない場合は、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)賃貸等不動産における空室及び賃下げに関するリスク
当社グループは、入居者獲得の競争の激化等により、入居者や賃料が計画通りに確保できなくなる可能性があります。既存テナントが退去した場合、代替テナントが入居するまでの空室期間が長期化し、不動産の稼働率が大きく低下する場合もあります。その場合、代替テナント確保のため賃料水準を下げることもあり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)退職給付費用に関するリスク
当社グループは、株式市場その他の金融市場が今後低迷した場合等に、年金資産の価値の減少や、退職給付債務の見直しによる数理計算上の差異等の発生により、年金に関する費用が増加する可能性があります。また、追加的な年金資産の積み増しを要するなどにより、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14)不動産開発事業に関するリスク
当社グループは、プロジェクトの完了までに多額の費用と長い期間を要する不動産開発事業を行っており、プロジェクト進行中において、様々な事由により、想定外の費用発生、プロジェクトの遅延もしくは中止を余儀なくされる場合があり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(15)住宅関連政策・税制の変更に関するリスク
住宅ローンの金利優遇措置、太陽光発電システム補助金制度等の住宅需要刺激策の変更もしくは廃止により、住宅需要が減退し、当社グループの住宅関連事業に影響を与える可能性があります。また、税制変更による消費税率等引き上げなどにより、お客様の税負担が増加した場合には、戸建住宅等の購買需要が減退する可能性があり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(16)品質保証等に関するリスク
当社グループの住宅関連事業は、お客様の満足度を高めるために長期保証システムを提供するとともに、品質管理にも万全を期していますが、長期にわたるサポート期間の中で、予期せぬ事情により重大な品質問題が発生した場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。
当社グループでは、「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、社会に役立つ価値の創造を目指し、官公庁、大学、異業種企業とも密接に連携を図りながら、基礎・応用研究から新技術・新商品開発まで多岐にわたる研究開発活動を行っています。
なお、当連結会計年度の研究開発費は7,998百万円、研究開発スタッフは当連結会計年度末現在で377名となっています。
当連結会計年度の主な活動は次のとおりです。
(1)戸建住宅事業、賃貸住宅事業、マンション事業、住宅ストック事業
・3・4・5階建住宅商品「skye(スカイエ)」向けに重量鉄骨ラーメン構造「DRF構法」を開発しました。制震装置を搭載し、大空間・大開口と敷地の有効活用を可能にし、外張り断熱通気外壁の採用により、断熱性能と耐久性能を高めました。
・特殊フィルムを複層ガラスに組み込むことにより、光の屈折、拡散を利用した自然採光の照度向上と目隠し効果に優れた「明るくすウインドウS」を開発しました。北側及び隣地に近接した暗くなりがちな部屋の窓として有効で、都市型住宅商品「skye(スカイエ)」に搭載しました。
・大空間・大開口が特長の「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」の室内空間バリエーションとして、高い耐震性能は維持したまま、天井高2m72cmに、床の高さに変化をつけることで最大3m8cmの天井高を可能にする構法を開発しました。
・沿岸部や臨海部の市街地における津波の被害を軽減するために、屋上部に緊急避難場所を確保した鉄骨ラーメン構造のタワー型の階段室を開発し、3階建賃貸住宅商品「セジュール オッツW-ev(ダブリュー‐イーヴイ)」に採用しました。
・女性向け防犯配慮型賃貸住宅「D-room SW(ディールーム エスダブリュ)」の商品力を高めるために、不在時に荷物の受け渡し、ペットの見守りができる、入浴時に気軽に音楽を楽しめるなどの追加機能を開発しました。
・平成25年に開発・販売したスマートタウン「SMA×ECO TOWN(スマ・エコタウン)晴美台」(大阪府)が、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会が主催する「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2016」において、エネルギーとコミュニティの自立に向けた取り組みが評価され、「最優秀レジリエンス賞(まちづくり・コミュニティ)」を受賞しました。
なお、当事業に係る研究開発費は4,847百万円です。
(2)商業施設事業、事業施設事業
・環境・防災配慮型次世代オフィス「大和ハウス福島ビル」を竣工しました。当ビルは、自然の力を活かす「パッシブコントロール」、創エネ・省エネ・蓄エネを行う「アクティブコントロール」、それらを適正に制御する「スマートマネジメント」を組み合わせることにより、平成25年改正省エネルギー基準における基準値と比較してCO2排出量を最大53%削減できます。従業員が入居、運用しながら次世代オフィス環境配慮技術の効果検証を行い、得られた成果を今後の提案に活かします。
・環境配慮型オフィス「D's SMART OFFICE(ディーズ スマート オフィス)」の要素技術として「パッシブエアフローウィンドウ」を開発し、「大和ハウス福島ビル」に搭載しました。春や秋の中間期には自動開閉窓から自然通風を取り入れ、夏季はスクリーンとガラスの間の熱気を排出することで、快適性を失わずに空調負荷を低減して、省エネルギー性能を高めます。
・当社とスリーエム ジャパン株式会社、株式会社菱晃の3社による「自然採光システムによる省エネ照明と快適性向上」に対する取り組みが、一般財団法人 省エネルギーセンター主催の平成27年度「省エネ大賞(製品・ビジネスモデル部門)」において「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました。
・株式会社フジタは、建築現場の内装仕上げ検査を対象とした管理システム「仕上チェッカー」をマンションの内覧会で検査に初めて適用し、その有効性を確認しました。是正指示書作成時間を90%削減することができ、ミスも削減することができます。
・株式会社フジタは、ダム堤体の解体にあたり、異なる3種の雷管を組み合わせた国内初となる発破工法を用いることで、環境負荷(振動・騒音レベル)低減を実証しました。
・大和リース株式会社は、屋上緑化事業や壁面緑化事業で培われたノウハウを活かし、4種類の単体ユニットを自由に組み合わせて、お客様のご要望にあったカスタマイズが可能な、癒しのある緑化空間を創り出す室内緑化システム新商品「i.G(アイ・ジー)」を開発しました。
・大和リース株式会社は、複合商業施設における環境改善の取組みが評価され、JHEP認証制度(※)で評価ランクAAを取得しました。既存商業施設の環境改善による認証取得は日本初となります。
なお、当事業に係る研究開発費は2,339百万円です。
※.JHEP認証制度:生物多様性の価値を定量的に評価する方法HEPをもとに(公財)日本生態系協会が2008年に創設した認証制度。
(3)その他の事業
・当社と大和リース株式会社は幹線道路沿いの立体駐車場等の施設向けに「大気浄化壁面緑化システム」を共同開発しました。汚染された外気をファンで土壌層に取り込み、汚染物質を吸着させ、さらに植物や土壌の微生物が分解することで、空気中のPM2.5を約65%削減、二酸化窒素を約90%削減することができます。
・大和リース株式会社は、東京都市大学と、ブラウンフィールドにおけるファイトレメディエーション(植物による土壌浄化)の共同研究を開始し、当社を含む複数企業が参加する研究会を発足しました。臨海部を中心とした地域での土壌浄化に対する有効性を調査・研究し実効性を検証します。
なお、当事業に係る研究開発費は811百万円です。
当連結会計年度におけるわが国経済は、原油安や低金利等が企業収益や設備投資に好影響を与え、全体として緩やかな回復傾向が続いてきました。一方で、中国をはじめとする新興国経済の減速を契機に、輸出と生産に弱さが見られるようになり、個人消費でも足踏みが見られるようになるなど、依然として先行き不透明な状況が続いてきました。
当業界においては、住宅市場で新設住宅着工戸数が前年同月比で増加と減少を繰り返すなど、一部不安定な動きも見られましたが、全体としては持ち直しの動きが続きました。一般建設市場では、公共工事受注高が平成28年3月に14ヶ月振りに前年同月比プラスに転じたものの、その他の月ではマイナスが続くなど、全体としては弱い動きとなりました。一方で民間工事受注高は、平成26年10月より18ヶ月連続で前年同月の水準を上回るなど、製造業を中心とした好調な設備投資を背景に堅調に推移してきました。
当連結会計年度における当社グループの財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりです。
(1)当連結会計年度末の財政状態の分析
① 資産の状況
当連結会計年度末における資産合計は、3兆2,578億円となり、前連結会計年度末の3兆210億円と比べ2,367億円の増加となりました。その主な要因は、現金預金が減少したものの、投資用不動産等の取得により有形固定資産が増加したこと及び、販売用不動産の仕入によりたな卸資産が増加したこと等によるものです。
② 負債の状況
当連結会計年度末における負債合計は、2兆758億円となり、前連結会計年度末の1兆9,081億円と比べ1,676億円の増加となりました。その主な要因は、退職給付に係る負債の増加や仕入債務の増加によるものです。
③ 純資産の状況
純資産合計については、1,035億円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことや、大和小田急建設株式会社の完全子会社化による資本剰余金の増加などにより、前連結会計年度末の1兆1,128億円に比べ691億円増加し、1兆1,819億円となりました。
なお自己資本比率は、当連結会計年度末においては35.9%となり、前連結会計年度末の36.6%から大きな変動はありません。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は3兆1,929億円となり、前連結会計年度の2兆8,107億円に比べ3,821億円の増収となりました。前連結会計年度に比べ賃貸住宅事業(※)において899億円、事業施設事業(※)において1,123億円、開発物件の売却により619億円の増収となっています。
※.開発物件の売却を除きます。
② 営業利益
当連結会計年度の営業利益は2,431億円となり、前連結会計年度の1,803億円に比べ627億円の増益となりました。前連結会計年度に比べ、販売費及び一般管理費の増加で288億円の減益となったものの、売上高の増加で621億円、開発物件の売却利益の増加で228億円の増益となりました。
③ 経常利益
退職給付数理差異償却損を営業外費用に91億円計上したものの、営業利益の増益を受け、当連結会計年度の経常利益は2,335億円となり、前連結会計年度の2,026億円に比べ309億円の増益となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
経常利益は増益となったものの、退職給付債務の割引率を変更したことによる特別損失849億円を計上したことなどにより、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1,035億円となり、前連結会計年度の1,171億円に比べ135億円の減益となりました。
(3)当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりです。