(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の改善や設備投資に足踏みが見られたものの、雇用・所得環境の改善が継続するなど、全体として緩やかな回復傾向が続いてきました。
当業界においては、住宅市場では、新設住宅着工戸数が分譲マンションで若干の弱さが見られたものの、持家・貸家・分譲住宅がプラスとなり、全体としては堅調に推移してきました。一般建設市場では、民間工事受注高が、不動産業・卸売業・小売業等を中心とした積極的な設備投資により堅調に推移したことに加え、公共工事受注高も通期でプラスに転じるなど、総じて好調に推移してきました。
このような経済状況の中で当社グループは、平成30年度を最終年度とする3ヶ年計画「大和ハウスグループ第5次中期経営計画」に基づき、堅調な国内需要の取り込みによるコア事業の拡大を図るとともに、不動産開発投資等を積極的に行ってきました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は3,512,909百万円(前連結会計年度比10.0%増)、経常利益は300,529百万円(前連結会計年度比28.7%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は201,700百万円(前連結会計年度比94.7%増)となりました。
セグメント別の概況は次のとおりです。
① 戸建住宅事業
戸建住宅部門では、お客様の住まいづくりに真摯に向き合い、地域に密着した事業展開を推進し、販売の拡大に努めてきました。
注文住宅では、「繰り返しの大地震でも初期性能を維持する持続型の耐震性能」と「2m72㎝の高い天井がもたらす大空間のゆとり」を実現する戸建住宅商品「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」の販売拡大に引き続き注力してきました。
また、賃貸併用・店舗併用等の多様なニーズに対応できる3・4・5階建戸建住宅商品「skye(スカイエ)」をはじめとする併用住宅の販売を強化してきました。
さらに、自然環境との共生・調和をコンセプトに、環境負荷ゼロを目指す新しい戸建住宅環境ブランド「For Nature(フォーネイチャー)」を立ち上げ、お客様と共に環境負荷ゼロの戸建住宅の普及に努めてきました。
以上の結果、当事業の売上高は390,332百万円(前連結会計年度比3.2%増)、営業利益は19,290百万円(前連結会計年度比16.8%増)となりました。
② 賃貸住宅事業
賃貸住宅部門では、新たに営業拠点を11ヶ所新設し、国内173拠点の体制で地域に密着した営業活動と受注の拡大に努めてきました。
平成28年7月には、業界初となる全戸に家庭用リチウムイオン蓄電池を標準搭載した防災配慮型賃貸住宅商品「セジュールNewルピナ」を発売するなど、商品ラインアップの拡充に努めてきました。
また、優れた防犯性と安全性をご入居者様に提供するセキュリティ賃貸住宅の累計契約戸数が20万戸を超えるなど、事業を推進してきました。
管理事業では、大和リビング株式会社において、新たに営業拠点を11ヶ所新設し、より地域に密着した営業を展開してきました。また、電子書籍やオンライン英会話等のメニューから好きなサービスを選択してご利用いただける「D-room+」のコンテンツを拡大するなど、ご入居者様へのサービス向上に努めてきました。
以上の結果、当事業の売上高は977,215百万円(前連結会計年度比11.0%増)、営業利益は94,299百万円(前連結会計年度比15.1%増)となりました。
③ マンション事業
マンション部門では、社会やお客様にとって付加価値の高いマンションの供給に努めてきました。
平成28年10月には、立地周辺の生活利便性と自然環境を両立させた物件として高い評価を受けた分譲マンション「プレミスト高尾サクラシティ」(東京都)が、7期連続で全戸即日申込登録をいただき、全戸完売しました。
平成29年3月には、白金台駅まで徒歩1分と利便性に優れ、洗練された街に立地する分譲マンション「プレミスト白金台」(東京都)が完成するなど、事業を推進してきました。
また、那覇市近郊で発展が著しい豊見城市に立地する分譲マンション「ジ・オーシャンテラス豊崎シーサイドテラス」(沖縄県)の販売を開始するなど、地方都市における販売にも注力してきました。
株式会社コスモスイニシアにおいては、平成29年3月に、レストラン・大浴場・ラウンジ等の充実した共用施設を備えたアクティブシニア向け分譲マンション「グランコスモ武蔵浦和」(埼玉県)が人気を博し、全戸完売しました。
しかしながら、前期に比べ竣工物件が減少したことにより、当事業の売上高は262,867百万円(前連結会計年度比5.9%減)、営業利益は13,431百万円(前連結会計年度比15.0%減)となりました。
④ 住宅ストック事業
住宅ストック部門では、戸建・賃貸住宅を所有されているオーナー様に向け、インスペクション(点検・診断)を通じたリレーションの強化や、キャンペーンを通じた様々なリフォーム提案を行い、事業を推進してきました。
また、既存住宅の性能向上を図るリフォームを支援する国の補助事業「長期優良住宅化リフォーム推進事業」を活用した提案を強化するなど、業容の拡大を図ってきました。
以上の結果、当事業の売上高は105,592百万円(前連結会計年度比10.6%増)、営業利益は13,081百万円(前連結会計年度比15.8%増)となりました。
⑤ 商業施設事業
商業施設部門では、テナント企業様の事業戦略に対応した適切な出店計画の提案や、エリア特性を活かしたバリエーション豊富な企画提案を行うとともに、市街地開発・大型物件への取り組みを強化することで、業容の拡大を図ってきました。特に食品スーパーを核とした複合施設や自動車ショールーム、ビジネスホテル等の受注が堅調に推移しました。
大型の開発案件では、JR広島駅北側再開発エリアにホテル・商業施設等の複合施設を建設する「広島二葉の里プロジェクト」の工事に着手しました。
また、戸建住宅・分譲マンションとの住・商一体の複合開発を進める「高尾サクラシティ」(東京都)内に、平成29年6月の開業を目指す大型商業施設「iias(イーアス)高尾」の開業準備を進めてきました。
以上の結果、当事業の売上高は569,776百万円(前連結会計年度比15.0%増)、営業利益は100,742百万円(前連結会計年度比25.4%増)となりました。
⑥ 事業施設事業
事業施設部門では、法人のお客様の様々なニーズに応じた施設建設のプロデュースや資産の有効活用をトータルサポートすることで業容の拡大を図ってきました。
物流施設関連では、首都圏近郊において総延床面積約387,000㎡の国内最大級の物流施設「DPL流山」(千葉県)の3棟のうちの1棟「DPL流山Ⅰ」を、その他のエリアにおいて「DPL岩手北上」等を着工しました。また、「Dプロジェクト有明Ⅰ」(東京都)を売却し投資回収するなど、事業を推進してきました。
医療介護施設関連では、旧耐震基準の病院をターゲットとした建替えや移転、患者様の在宅復帰をサポートする介護関連施設の提案を引き続き強化してきました。
生産施設関連では、食品製造企業を対象としたセミナーを開催するとともに、HACCP(※1)やFSSC22000(※2)等の安全認証取得に対応した施設建設の提案を強化してきました。
株式会社フジタにおいては、国内ではタワーマンションや物流・鉄道施設等、海外では空港関連や自動車工場用地の造成工事等で大型物件を受注するなど、建築・土木事業ともに堅調に推移しました。
以上の結果、当事業の売上高は828,478百万円(前連結会計年度比12.5%増)、営業利益は78,967百万円(前連結会計年度比16.1%増)となりました。
※1.食品の製造・加工等のあらゆる段階で発生する恐れのある微生物汚染等の危害を事前分析・管理する衛生管理手法
※2.食品安全マネジメントシステムの国際規格ISO22000と、それを発展させたISO/TS 22002-1(またはISO/TS 22002-4)を
統合した国際食品安全イニシアチブ(GFSI)が制定したベンチマーク承認規格
⑦ その他事業
ホームセンター事業では、ロイヤルホームセンター株式会社において、平成28年4月に次世代環境配慮型ホームセンター「ロイヤルホームセンター津島店」(愛知県)をオープンしました。その他にも東京都・千葉県・兵庫県等において新店舗をオープンし、全国57店舗となりました。
物流事業では、大和物流株式会社において、「加福町物流センターⅠ」(愛知県)・「加福町物流センターⅡ」・「つくばロジスティクスセンター」(茨城県)をオープンし、大和物流株式会社による物流センター数は全国77ヶ所となりました。
都市型ホテル事業では、ダイワロイヤル株式会社において、「ダイワロイネットホテル京都駅前」・「ダイワロイネットホテル名古屋太閤通口」・「ダイワロイネットホテル郡山駅前」(福島県)をオープンし、全国47ヶ所となりました。
以上の結果、当事業の売上高は513,581百万円(前連結会計年度比11.9%増)、営業利益は16,861百万円(前連結会計年度比76.1%増)となりました。
(注)1.各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものです。(「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照。)
2.上記金額に消費税等は含んでいません。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加287,691百万円、投資活動による資金の減少343,643百万円、財務活動による資金の増加80,086百万円等により、あわせて24,386百万円増加しました。この結果、当連結会計年度末には213,309百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は287,691百万円(前連結会計年度比3.3%増)となりました。これは、主に294,865百万円の税金等調整前当期純利益を計上したことや、仕入債務の増加及び販売用不動産の減少などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は343,643百万円(前連結会計年度は202,447百万円の減少)となりました。これは、主に賃貸等不動産等の有形固定資産の取得を行ったことや、不動産開発事業への投資を進めたことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の増加は80,086百万円(前連結会計年度は130,185百万円の減少)となりました。これは、主に社債の発行や借入等を行ったことなどによるものです。
(1)生産実績
当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していません。
(2)受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
受注高 (百万円) |
前連結会計 |
受注残高 (百万円) |
前連結会計 |
|
戸建住宅 |
388,994 |
1.0 |
100,130 |
1.4 |
|
賃貸住宅 |
982,277 |
9.1 |
265,727 |
2.5 |
|
マンション |
269,467 |
2.4 |
31,771 |
29.6 |
|
住宅ストック |
103,925 |
11.5 |
15,897 |
9.3 |
|
商業施設 |
583,354 |
14.5 |
136,576 |
18.7 |
|
事業施設 |
885,469 |
6.6 |
645,937 |
11.6 |
|
その他 |
447,282 |
17.4 |
97,394 |
77.7 |
|
合計 |
3,660,772 |
8.9 |
1,293,435 |
12.9 |
(注)1.各セグメントの金額は外部顧客への受注高・受注残高を表示しています。
2.上記金額に消費税等は含んでいません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
戸建住宅 |
387,660 |
3.0 |
|
賃貸住宅 |
975,733 |
11.1 |
|
マンション |
262,211 |
△6.1 |
|
住宅ストック |
102,568 |
10.7 |
|
商業施設 |
561,799 |
15.2 |
|
事業施設 |
818,226 |
11.6 |
|
その他 |
404,708 |
17.2 |
|
合計 |
3,512,909 |
10.0 |
(注)1.各セグメントの金額は外部顧客への売上高を表示しています。(「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照。)
2.総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。
3.上記金額に消費税等は含んでいません。
(参考)提出会社個別の事業の状況は次のとおりです。
受注高、売上高及び繰越高
|
期別 |
部門別 |
前期 繰越高 (百万円) |
当期 受注高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期 売上高 (百万円) |
次期 繰越高 (百万円) |
|
第77期 自 平成27年 4月1日 至 平成28年 3月31日 |
建築請負部門 |
513,065 |
1,309,012 |
1,822,077 |
1,226,634 |
595,443 |
|
不動産事業部門 |
75,733 |
390,226 |
465,959 |
412,119 |
53,840 |
|
|
その他事業部門 |
25 |
11,121 |
11,146 |
11,012 |
134 |
|
|
計 |
588,823 |
1,710,360 |
2,299,184 |
1,649,765 |
649,418 |
|
|
第78期 自 平成28年 4月1日 至 平成29年 3月31日 |
建築請負部門 |
595,443 |
1,371,691 |
1,967,135 |
1,312,747 |
654,387 |
|
不動産事業部門 |
53,840 |
406,068 |
459,908 |
386,959 |
72,949 |
|
|
その他事業部門 |
134 |
20,558 |
20,693 |
20,687 |
5 |
|
|
計 |
649,418 |
1,798,319 |
2,447,737 |
1,720,394 |
727,342 |
(注)1.損益計算書においては、建築請負部門は「完成工事高」、不動産事業部門は「不動産事業売上高」、その他事業部門は「その他の売上高」として表示しています。
2.前期以前に受注したもので契約の更改により金額に変更あるものについては、当期受注高及び当期売上高にその増減を含めています。
3.次期繰越高は(前期繰越高+当期受注高-当期売上高)です。
4.上記金額に消費税等は含んでいません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針
当社は「建築の工業化」を企業理念に昭和30年に創業し、住宅の需要拡大とともにプレハブ住宅メーカーとして成長してきました。さらに、お客様ニーズに対応した多角化を推進し「人・街・暮らしの価値共創グループ」へと成長してきました。
そして、創業50周年にあたる平成17年度に、新経営ビジョン「心を、つなごう」を掲げるとともに、新しいグループシンボル「エンドレスハート」を策定、お客様とともに新たな価値を創り、活かし、高めることで人が心豊かに生きる社会の実現を目指す複合事業体として、「共に創る。共に生きる。」をシンボルメッセージに100周年に向けて新たなスタートを切りました。
当社グループの事業領域は、戸建住宅・賃貸住宅・マンション・リフォームを中心とした「Housing」、商業施設・物流施設・医療介護施設・不動産開発・環境エネルギー等の「Business」、ホテル・ホームセンター・フィットネスクラブ等の「Life」と、多様な分野に広がっています。幅広い事業活動を行う中で、当社グループが一体となってお客様一人ひとりとの絆を大切にし、生涯にわたり喜びを分かち合えるパートナーとなって永遠の信頼を育んでいく所存です。
創業者 石橋信夫は生涯、日本のため、社会のために、何をすれば良いのかを考え続け、事業を通じて人を育て、社会を発展させていくことが、企業経営の根本であると説き続けました。これからの未来も、私たち一人ひとりが、原点を忘れることなく継承を重ね、成熟した日本でのさらなる成長を推進し、無限の可能性が広がる世界市場の開拓を進め、サステナブルな社会を実現するための限りない挑戦を続けていきます。
(2)中期的な経営指標・経営戦略
当社グループは、平成30年度を最終年度とする3ヶ年計画「大和ハウスグループ第5次中期経営計画」を上方修正しました。将来の環境変化に備え、売上高4兆円に向けた基盤を築くことをテーマに、下記8項目を基本方針に掲げ、平成30年度に売上高3兆9,500億円、営業利益3,400億円、親会社株主に帰属する当期純利益2,240億円、ROE10%以上を目指していきます。
①国内需要の取り込みによるさらなるコア事業の拡大
東京五輪に向けた堅調な国内の不動産・建築需要の取り込みを行い、さらなるコア事業の拡大を図ります。
②不動産開発への積極投資
成長ドライバーである賃貸住宅・商業施設・事業施設を中心に海外を含め7,000億円の不動産投資を実施し、さらなる事業規模拡大を図ります。
③海外展開の加速
安定的な成長が見込める米国や豪州等の先進国や、中長期的な成長が見込めるASEANを重点エリアとして海外事業の売上高を2,500億円へ拡大していきます。
④プラス1、プラス2ビジネスの創出
コア事業の顧客資源の活用や新たな顧客基盤の拡大による、プラス1、プラス2ビジネスの創出を図っていきます。
⑤将来のコア事業の育成
今後ますます社会的にニーズが高まると思われる「中古住宅事業」「ヒューマン・ケア事業」「アコモデーション事業」等を中心に将来のコア事業として育成していきます。
⑥規模拡大に対する人財基盤の強化
多様な人財が活躍できる環境整備により、人財基盤の強化を図っていきます。
⑦ものづくり基盤の強化による生産性の向上
ものづくりのさらなる効率化により、生産性の向上を図っていきます。
⑧経営効率と財務健全性の維持
財務の健全性を維持しながら、株主資本の有効な活用により株主価値の持続的な成長を図っていきます。
(3)経営環境及び対処すべき課題
今後のわが国経済においては、雇用情勢・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあり、緩やかな回復に向かうことが期待されます。一方で、米国や欧州の政治動向や金融市場の動向・通商政策等の不確実性が国内景気に悪影響を与えることも懸念され、楽観視できない状況が続くものと見られます。
当業界においては、住宅市場では、短期的には、消費増税の再延期により市場の急激な冷え込みは回避されたものの、中長期的には、人口減少等による国内住宅着工戸数の減少が予想されます。一般建設市場では、平成32年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて建設需要の高まりが見込まれる一方で、建設資材価格の動向には引き続き注視していく必要があります。
このような経済状況の中で当社グループは、平成30年度を最終年度とする3ヶ年計画「大和ハウスグループ第5次中期経営計画」を上方修正し、将来の環境変化に備えつつ、幅広い領域の多様な収益源を活かし、新たな計画目標の達成を目指していきます。
また、平成29年2月には、米国において戸建住宅事業を行う「Stanley-Martin Communities, LLC(以下、スタンレー・マーチン社)」を持分取得しました。今後は、スタンレー・マーチン社が現地で行う事業領域の更なる発展を目指すとともに、米国での当社グループの事業拡大を加速していきます。
当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。なお、本項において将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)法的規制等に関するリスク
当社グループは、国内、海外を問わず、建設・不動産事業をはじめ多種多様な事業を行っており、国内においては会社法、金融商品取引法、建築・不動産関連法令、環境関連法令、各種業法等、海外においてはそれぞれの国・地域の法令・規制の適用を受けるため、当社グループの事業に関連する法令・規制は多岐にわたっています。
これらの法令等を含めコンプライアンスが遵守されるよう役職員に対し、研修等を通じ徹底を図っていますが、もし徹底が十分でなく適用法令等の違反が発生した場合には、処罰、処分その他の制裁を受けたり、当社グループの社会的信用やイメージが毀損したりといったことで、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、特に建設業法や宅建業法等をはじめ有資格者の選任・配置が義務づけられている場合については、適法に事業活動ができるようその確保に努めていますが、それらが十分に確保できなかった場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、国内、海外を問わず、これらの法令・規制等が改廃されたり、新たな法的規制が設けられたりといった場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)個人情報等の漏洩等に関するリスク
当社グループは、多数のお客様の個人情報をお預かりしている他、様々な経営情報等を保有しています。これらの情報の管理については、グループ各社において情報管理に関するポリシーや事務手続等を策定し役職員等に対する教育・研修等により情報管理の重要性の周知徹底、セキュリティ対策等を行っています。
しかしながら、これらの対策にもかかわらず重要な情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用等に影響を与え、その対応のための多額の費用負担やブランド価値の低下により業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)競合に関するリスク
当社グループは、建設・不動産事業をはじめとする様々な事業を行っており、これらの各事業において、競合会社との間で競争状態にあります。したがって、当社グループが、商品の品質や価格、サービスの内容、営業力等の観点から、これらの競合会社との競争において優位に立てない場合、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)事業戦略・グループ戦略に関するリスク
当社グループは、事業戦略上、必要に応じて企業や事業の買収、組織再編等を行っています。
しかしながら、企業や事業の買収、組織再編等が想定どおりに進行せず、グループ会社間におけるシナジー効果が期待通りの成果をもたらさないことなどにより、事業戦略上想定した利益が達成できず業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)海外事業に関するリスク
当社グループは、海外事業において、急激なインフレーションや為替相場の変動、政治・経済情勢の不確実性による内乱、暴動、戦争、訴訟リスク、外交関係の悪化や法令上の制約等による事業遂行・代金回収の遅延、不能、送金の制約等が発生するリスク、不動産引き締め政策等の法制度の改正や政策の変更による購買意欲減退のリスク等を負っています。したがって、これらのリスクが発生した場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)協力会社・委託先への依存に関するリスク
当社グループは、その提供する商品、建物及びサービス等について、当社グループの役職員等が直接実施する場合を除いては、一定の技術を保有する協力会社及び委託会社へ発注しています。
したがって、協力会社等の予期せぬ業績不振や事故等により事業を継続できなくなるなどの不測の事態が発生した場合は、商品・サービス等の提供遅延やお客様への損害賠償等が発生する可能性もあり、その場合には、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)安全・環境に関するリスク
当社グループは、事業を行うに際し工場、建設現場等を多数有しているため、特に安全、環境面を最優先に配慮、対策のうえ事業を行っています。しかしながら、これらの配慮、対策にもかかわらず現場事故、環境汚染等の事故等が発生した場合には、人的・物的な被害等により業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)自然災害等に関するリスク
当社グループは、国内及び海外に事務所・工場・研究開発等の施設を展開しており、地震、台風、津波、火山の噴火等の大規模な自然災害の発生により、従業員や施設・設備等への直接的な被害のほか、情報システムや通信ネットワーク、流通・供給網の遮断・混乱等による間接的な被害を受ける可能性があります。上記のような被害が発生した場合には、これらの回復費用や事業活動の中断等による損失、またお客様の所有建物に対する点検や応急処置の実施、その他社会的な支援活動を行うための費用等が発生し、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)金利の上昇に関するリスク
市中金利の上昇や当社の格下げによる金利の上昇により、資金調達コストの上昇を招き、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、融資を利用して土地や建物を取得するお客様にとっては、市中金利の上昇によって支払総額の増加につながることにより需要が減退する可能性があり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)不動産を含む資産の価値下落に関するリスク
当社グループは、国内および海外において不動産の取得、開発、販売等の事業を行っており、不動産市況が悪化し地価の下落、賃貸価格の下落が生じた場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、その場合には、当社グループが保有する不動産の評価額について引き下げを行う必要が生ずる可能性があります。
さらに、当社グループが所有する不動産以外の棚卸資産や有形固定資産、のれんなどの無形固定資産、投資有価証券等の投資その他の資産についても、評価額について引き下げを行う必要が生ずる可能性があり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)原材料・資材価格・人件費等の高騰に関するリスク
原材料・資材価格・人件費等の高騰は仕入価格や工事原価の上昇を招きますが、売上価格に転嫁できない場合は、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)賃貸等不動産における空室及び賃下げに関するリスク
当社グループは、入居者獲得の競争の激化等により、入居者や賃料が計画通りに確保できなくなる可能性があります。既存テナントが退去した場合、代替テナントが入居するまでの空室期間が長期化し、不動産の稼働率が大きく低下する場合もあります。その場合、代替テナント確保のため賃料水準を下げることもあり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)退職給付費用に関するリスク
当社グループは、株式市場その他の金融市場が今後低迷した場合等に、年金資産の価値の減少や、退職給付債務の見直しによる数理計算上の差異等の発生により、年金に関する費用が増加する可能性があります。また、追加的な年金資産の積み増しを要するなどにより、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14)不動産開発事業に関するリスク
当社グループは、プロジェクトの完了までに多額の費用と長い期間を要する不動産開発事業を行っており、プロジェクト進行中において、様々な事由により、想定外の費用発生、プロジェクトの遅延もしくは中止を余儀なくされる場合があり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(15)住宅関連政策・税制の変更に関するリスク
住宅ローンの金利優遇措置、太陽光発電システム補助金制度等の住宅需要刺激策の変更もしくは廃止により、住宅需要が減退し、当社グループの住宅関連事業に影響を与える可能性があります。また、税制変更による消費税率等引き上げなどにより、お客様の税負担が増加した場合には、戸建住宅等の購買需要が減退する可能性があり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(16)品質保証等に関するリスク
当社グループの住宅関連事業は、お客様の満足度を高めるために長期保証システムを提供するとともに、品質管理にも万全を期していますが、長期にわたるサポート期間の中で、予期せぬ事情により重大な品質問題が発生した場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。
当社グループでは、「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、社会に役立つ価値の創造を目指し、官公庁、国内外の大学、異業種企業とも密接に連携を図りながら、基礎・応用研究から新技術・新商品開発、これらの新技術の建築物や街づくりへの活用・検証まで多岐にわたる研究開発活動を行っています。
なお、当連結会計年度の研究開発費は8,380百万円となっています。
当連結会計年度の主な活動は次のとおりです。
(1)戸建住宅事業、賃貸住宅事業、マンション事業、住宅ストック事業
・戸建住宅最上位商品「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」の商品特長を生かしたラインアップの拡充として、「xevoΣ 平屋暮らし」、「xevoΣ 和暮らし」を開発しました。「xevoΣ」の特長である天井高2m72cm、開口幅最大7m10cmの大空間・大開口が実現する「グランリビング」について、「xevoΣ 平屋暮らし」ではさらに最大高さ約6mの勾配天井、最大深さ約3mの軒下空間を追加して、屋外とつながる開放的で心地よい室内空間のバリエーションを増やしました。「xevoΣ 和暮らし」には「続き間」、「縁」を取り入れた「和のグランリビング」と和に合う外壁柄を採用しました。
・賃貸住宅商品のラインアップの拡充として、家庭用リチウムイオン蓄電池を業界に先駆けて標準搭載した「セジュールNewルピナ」を開発しました。北欧風の外観と3階建、店舗併用・保育園併用賃貸住宅、高齢者向け賃貸住宅等のニーズに応えられる対応力を特長とした防犯配慮型賃貸住宅商品です。採用する蓄電池は、収納スペースなどに納まるコンパクトなサイズながら、停電を感知すると自動的に放電モードに切り替わり、家電製品やスマートフォンなどに連続8時間電力供給できる非常用電源になります。停電時に電子レンジ、炊飯器等の消費電力の大きい家電製品が使用できるように最大出力1.4kWのタイプを採用しました。
・当社は、街づくりにおいてZET(ネット・ゼロ・エネルギー・タウン)の普及・拡大を推進しています。当社のZETは、自然エネルギーを上手く活用できるパッシブデザインを積極的に採用し、建物自体の断熱性能向上と併せて、大幅な省エネ化を進めています。また、景観向上と防災を兼ね備えた無電柱化の推進にあたり、性能向上とコストダウンを両立させる技術・スキームを開発・採用しています。さらに、「セキュレア豊田柿本」(愛知県)では、電力融通や蓄電池の連携制御等によるデマンド抑制を行っています。ZETの普及・拡大の取り組みが、フジサンケイグループが主催する第26回「地球環境大賞」の「国土交通大臣賞」を受賞しました。
なお、当事業に係る研究開発費は,4,324百万円です。
(2)商業施設事業、事業施設事業
・当社とロイヤルホームセンター株式会社は、新築大型店舗におけるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化を目的として創エネ・省エネを行うアクティブコントロール、自然の力を活かすパッシブコントロールとこれらを適正に制御するエネルギーマネジメントを積極的に導入しています。平成28年4月にオープンした「ロイヤルホームセンター津島店」(愛知県)では延べ床面積10,000㎡を超える商業店舗では日本で初めてZEBを実現しました。大型物販店舗におけるZEB化推進が評価され、一般財団法人省エネルギーセンター主催の平成28年度「省エネ大賞(省エネ事例部門)」において「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました。
・大和ハウス東京ビルは、平成29年3月、LEED-EBOM(リード・イーボム)認証(既存建物)において、最高ランクのプラチナ認証を取得しました。当社は、LEED認証におけるノウハウの蓄積や今後の世界的なニーズに対応するため、大和ハウス東京ビルにおいてプロジェクトチームを設立し活動を推進、プラチナ認証取得に至りました。
・株式会社フジタは、同業他社と共同(全7社)で、コンクリートの乾燥収縮ひずみを0~800×10-6の範囲で制御する技術を確立しました。コンクリートの乾燥による収縮ひび割れは、建築物の耐久性と美観に大きな影響を及ぼします。乾燥収縮ひずみを通常より小さく制御できる技術の開発により、乾燥収縮ひび割れを大幅に低減することが期待できます。
・大和リース株式会社は、店舗用建築を低価格で、スピーディーに提供するため、躯体工事のみを施工する店舗用プレハブシステム「DL-Store(ディーエル-ストア)」を開発しました。自社工場で生産した部材を現場で組み立て、基礎工事から躯体工事まで実働2週間で建築できます。
なお、当事業に係る研究開発費は,2,678百万円です。
(3)その他の事業
・株式会社フジタは、平成11年に国土交通省九州地方整備局と共同開発した、災害復旧時に現地にある一般の建設機械に装置を取り付けるだけで無人化できる簡易遠隔操縦装置「ロボQ」の改良機「ロボQⅡ」を開発しました。ワンタッチ着脱化、故障モニタリングおよびフェールセーフ機能を搭載し、メンテナンス性・安全性を改善、さらに組立時間を短縮し、緊急時の機動性を向上しました。併せて無人化施工オペレータも育成しています。
・大和リース株式会社は、屋上緑化や壁面緑化事業で培ったノウハウを活かし、緑化新商品「D's ガーデン puzzle(ディーズガーデンパズル)」を開発しました。植栽プランターとソファのパーツを自由に組み合わせあらゆる空間にフィットする高いインテリア性を備えています。キッズデザイン協議会主催の「第10回 キッズデザイン賞」を受賞しました。
なお、当事業に係る研究開発費は1,377百万円です。
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の改善や設備投資に足踏みが見られたものの、雇用・所得環境の改善が継続するなど、全体として緩やかな回復傾向が続いてきました。
当業界においては、住宅市場では、新設住宅着工戸数が分譲マンションで若干の弱さが見られたものの、持家・貸家・分譲住宅がプラスとなり、全体としては堅調に推移してきました。一般建設市場では、民間工事受注高が、不動産業・卸売業・小売業等を中心とした積極的な設備投資により堅調に推移したことに加え、公共工事受注高も通期でプラスに転じるなど、総じて好調に推移してきました。
当連結会計年度における当社グループの財政状態及び経営成績の分析は、以下のとおりです。
(1)当連結会計年度末の財政状態の分析
① 資産の状況
当連結会計年度末における資産合計は、3兆5,558億円となり、前連結会計年度末の3兆2,578億円と比べ2,980億円の増加となりました。その主な要因は、投資用不動産の取得により有形固定資産が増加したことによるものです。
② 負債の状況
当連結会計年度末における負債合計は、2兆2,259億円となり、前連結会計年度末の2兆758億円と比べ1,501億円の増加となりました。その主な要因は、社債や借入金による資金調達を行ったことによるものです。
③ 純資産の状況
純資産合計については、1兆3,299億円となり、前連結会計年度末の1兆1,819億円に比べ1,479億円増加しました。その主な要因は、前連結会計年度に係る株主配当金を支払ったものの、2,017億円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによるものです。
なお自己資本比率は、当連結会計年度末においては36.8%となり、前連結会計年度末の35.9%から大きな変動はありません。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は3兆5,129億円となり、前連結会計年度の3兆1,929億円に比べ3,200億円の増加となりました。前連結会計年度に比べ賃貸住宅事業(※)において1,087億円、商業施設事業(※)において693億円、事業施設事業(※)において617億円、その他事業において509億円の増収となっています。
※.開発物件の売却を除きます。
② 営業利益
当連結会計年度の営業利益は3,100億円となり、前連結会計年度の2,431億円に比べ669億円の増益となりました。前連結会計年度に比べ、販売費及び一般管理費の増加で314億円の減益となったものの、売上高の増加で601億円、原価率の改善で268億円、退職給付数理差異の影響で165億円の増益となりました。
③ 経常利益
営業利益の増益により、当連結会計年度の経常利益は3,005億円となり、前連結会計年度の2,335億円に比べ669億円の増益となりました。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
経常利益が増益となったことにより、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は2,017億円となり、前連結会計年度の1,035億円に比べ981億円の増益となりました。
(3)当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりです。