文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
CEOメッセージ
ガバナンス・コンプライアンスを成長戦略として根付かせ
あらゆる状況下においても成長できる事業ポートフォリオを構築する
株主・投資家のみなさまにおかれましては、大和ハウスグループの経営に対してご理解とご支援を賜り、厚く御礼を申しあげます。
まずは、2019年度における一連の不祥事に対してみなさまにご迷惑・ご心配をおかけしましたこと、心より深くおわびを申しあげます。当社グループとしては、不祥事が相次いだ事態を真摯に受けとめ、コンプライアンス体制を立て直すとともに、さらなる成長戦略の鍵として、昨年11月にガバナンスの強化策を公表しました。これを確実に実行し、継続して改善していくことが、経営トップの使命であると考えます。
ここで強調したいのは、ガバナンスの強化は、今後の成長戦略の基盤を構築するために必要不可欠な取組みであるということです。この点を全役職員に周知徹底させてまいります。それとともに、コンプライアンス違反事案が生じた際には、それに対して正対する。すなわち事案にまっすぐに立ち向かい、適切に対処していく。この姿勢を企業グループ全体で堅持し、「攻めと守りのバランス経営」を徹底してまいります。
成長に向けたガバナンス強化策の進捗
2020年6月の株主総会後に新たに社外取締役2名が加わりました。1名は経営者の経験もあり技術畑出身で社外監査役であった桑野氏です。そしてもう1名は女性で海外経験があり現在は大学准教授である関氏です。また商社出身で海外経験のある常務執行役員であった一木が、海外事業担当として取締役に就任します。我々が今まで持っていなかった経歴を持ち合わせた人財が取締役会メンバーに加わることで、多様性の充実と取締役会の実行性が今まで以上に高まるものと期待しております。
そして取締役の上限年齢を設定しましたが、これに伴いますます経営人財の育成は重要な課題となっておりますので、引き続き取組みを強化していきます。
ガバナンス・コンプライアンスは成長戦略
守りながら攻めることで組織を強くする
昨年11月にガバナンスの強化策を公表しましたが、基本的な考えは、ガバナンスの強化はこれからの成長を実現する上で不可欠な基盤をなすものであるということです。かつて当社グループの売上高が1兆円を超えた頃、当時の経営陣が「攻めと守りのバランス経営」を掲げました。これが今日の成長に至る基盤となりました。
現在、各事業の規模やグループ会社の数が拡大する中で、事業の成長に経営体制の整備が追いついていないという現状を謙虚に反省し、「攻めと守りのバランス経営」に立ち戻ることが重要と考えます。「守ることが成長につながる」という考え方を全役職員が共有し、ガバナンスの強化に注力いたします。
今年4月からは、事業本部制へ組織運営を変更しています。この変革は、創業100周年に向けた大きな改革であり、長期的な目線での改革であります。創業者、石橋信夫は「スピードは最大のサービス」と語り、当社はそれを強みとしていかんなく発揮することで今日まで成長してきました。今後もその強みは継承していかねばなりません。だからこそ、新しい事業本部制による業務執行体制により、それぞれの現場においてスピード感を持って進めていきたいと考えています。本格的な始動は2021年度からになりますが、新型コロナウイルス感染症拡大が経営環境に甚大な影響を及ぼす中、事業本部制が的確に機能するかどうかが試されており、新たな組織体制のもとで全役職員を挙げて成果を出してまいります。そして取締役会としては、ここをしっかり管理・監督していく所存です。
2019年度はビジネス領域が堅調に推移
不動産投資の継続・強化に沿った売却により
売上高及び営業利益は過去最高を更新
第6次中期経営計画の1年目にあたる2019年度は、第3四半期まで、ハウジング領域が、10月の消費税増税の影響を受け、駆け込み需要の反動減を受けるなど厳しい事業環境であったものの、ビジネス領域が堅調に推移し、全体として業績は順調に推移しておりました。第4四半期以降、新型コロナウイルス感染症拡大が経営に影を差すこととなりましたが、結果としては、ビジネス領域の商業施設及び事業施設が堅調に推移したことと、不動産投資の継続・強化に沿って売却を進めたことなどにより、2019年度の売上高は4兆3,802億円、営業利益は3,811億円と過去最高を更新しました。
私は今年の初めに「改革」、「変革」、「革新」という三つの「革」の時代ということを意識しておりましたが、奇しくも新型コロナウイルス感染症拡大の影響に直面している現在、「革」に向けた取組みの重要性をあらためて認識しています。
売上高の約4割を占めるビジネス領域の商業施設事業及び事業施設事業は堅調に推移しています。特に当社グループの横軸での連携を最大限に活かし、都市の再開発事業を各地で積極的に展開していますが、今後は住宅と商業施設に加えて物流施設もセットにした開発も手がけ、新たな可能性を拡げていきたいと考えています。
一方、海外事業については、東南アジアでは物流施設開発を進めておりますが、特に生鮮食品や冷凍食品を産地から消費地まで所定の温度を保ったまま流通させるコールドチェーンのニーズに対応した物流施設を手がけるなど、事業規模は拡大基調にあります。しかしながら、2020年度においてはアメリカ及びオーストラリアを含め、いずれのエリアにおいても新型コロナウイルス感染症拡大の影響は免れない状況です。中長期的な視点のもと、各エリアにおけるニーズを読み取り、人財の補強を図りながら、事業の拡大を加速させていきます。
物流施設の底堅い需要を背景に
不動産開発に引き続き注力する
現状は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえた対応を含め、フロー事業とストック事業のバランスを見ながら、あらゆる場面で収益が確保できるポートフォリオの構築を図っています。当社グループの事業を牽引する不動産開発の今後の展開について申し上げると、不動産開発のプロジェクトの規模は年々大きくなっており、また、新たなお客さまからお声がけをいただくことも増えました。それが事業機会の拡大につながっていますが、現状に慢心することなく、お客さまのニーズに真摯に向き合い、対応してまいります。
ストック事業としての不動産開発では、中でも多様なお客さまの物流ニーズにお応えできるマルチテナント型物流施設を全国各地で展開していますが、おかげさまで、竣工後1年以内には入居率がほぼ100%となっています。今後は、請負であるフロー事業に加えて、不動産開発という安定したストック事業の展開がますます重要になるものと考えており、引き続きニーズの高いマルチテナント型物流施設への取組にも注力してまいります。
なお、物流施設の底堅い需要を背景に、当社が開発した物件は順調に売却することができており、2019年度の実績は売上高1,406億円、営業利益500億円を計上することができました。2020年度においては、売上高で1,463億円、営業利益440億円を計画しております。
ハウジング領域は再成長に向けた基盤を整備する
コア事業の1つである賃貸住宅事業は、売上高の約1/4を占めておりますが、昨今の金融機関によるアパートローンの融資規制に伴い、厳しい市場環境が続いています。請負については、エリア特性に基づいた戦略と、土地オーナーさまと入居者さまが魅力を感じていただけるような新商品の投入などによりてこ入れを図っていきます。一方、管理運営事業については、入居率が97%と極めて高い点が当社の強みです。当社としては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響がある中、入居者さま・オーナーさまの双方に対して、少しでも安心していただけるよう、入居者さま向けの賃料支払猶予措置を取らせていただきました。これは収入不安を抱えた入居者さまに対して3ケ月分の賃料の支払を猶予し、最大2年間で分割してお支払いいただくこととしました。今後も請負・賃貸管理の両面から賃貸住宅事業の強化を進めてまいります。
戸建住宅事業については、主力ブランド「xevo(ジーヴォ)」がお客さまから高い評価をいただいていますが、課題はラインアップのさらなる充実です。昨年10月に、WEBから家づくりを体感できる「Lifegenic(ライフジェニック)」という商品を販売しました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響下において、対面での営業活動が制限されている中、この商品は大きな反響を得ており、手ごたえを感じております。また新型コロナウイルスの影響により在宅勤務をされるお客さまが増えていることから、在宅勤務に対応できる居住空間に向けての要望も既にいただいております。新型コロナウイルス感染症拡大が収束した後の人々の働き方、住まい方の変化にいち早く対応できるよう、提案・商品開発に取り組んでまいります。
また、2018年にストック事業の新ブランドとして立ち上げた「Livness(リブネス)」はグループ全体で「住み替え分野での信頼できる専門家」を意識した事業展開が進んでいます。現状、住宅ストック事業の売上高は全体の約3%にとどまっているものの、住宅に加えて、商業施設及び事業施設を扱う事業部も参画しており、今後の更なる事業拡大が期待できます。
加えて、リブネスはブランドとしての事業拡大を図る一方で、日本の人口減少と少子高齢化に向けた社会課題解決型の事業としても重要な役割を果たすと考えています。
その具体例が、「リブネスタウンプロジェクト」という当社がこれまでに手掛けた住宅団地の「再耕」を目指した取組みです。現在、兵庫県三木市や神奈川県横浜市などの当社がかつて開発した住宅団地において、多岐にわたる実験的な取組みを行っています。今後は、在宅勤務が拡がり、働き方が変化することによって、住まい方が変化していくことが想定されます。特に子育て世代においては、仕事の都合上便利な都心部や駅前に集中していた住まいを、ワークスペースが確保された戸建住宅や郊外型ニュータウンへ移住することも考えられます。そのような新しい暮らし方にも対応でき、郊外の住宅の魅力が改めて見直される時代に向けて、ふさわしい街づくりへの取組み、提案を引き続き進めてまいります。
経営環境が悪化したときこそ経営革新を図るチャンス
2020年度の経営環境は、申すまでもなくたいへん厳しいものになると考えています。しかしながら、これまで積み上げてきたことを踏まえて、今年度もなすべきことを着実にやり遂げ、事業を推進していく覚悟です。
経営環境が良いときはさらに事業を伸ばすのは当然として、逆に悪化した際に落ち込むのは仕方がないというのではなく、経営のすべてを見直すことで事業を推進していく姿勢が重要です。経営環境が良いときも悪いときも、事業機会ととらえて成長し、企業価値の向上を図っていくことに変わりはありません。今年度はまさに経営環境のきわめて悪いときにおける挑戦であり、当社グループとしての真価が問われる一年であると肝に銘じています。
これまで当社グループは、「先の先を読んで手を打て」の考え方のもと、いかなる厳しい時代においても活路を拓き、新たな成長のきっかけを生み出してきました。今回においてもそれは変わりません。この危機に直面したことで様々な気づきが生まれました。当社がこれからも成長し続けるためには、今のポートフォリオを様々な角度から見直し、より強固なものとする必要があると考えています。経営トップとして決して動じることなく、凡事徹底を通じて事業を推進してまいります。
大和ハウスグループのこれからの街づくりはR3(現実+再生可能エネルギー+回復力・復元力)
描いた未来の夢、その夢をカタチにすることが私たちの使命
現在進めている新たな街づくりの展開としては、環境を組み合わせた取組みです。これまでも当社の強みは多様な事業ポートフォリオを活かした一気通貫での街づくりですが、そこに環境エネルギー事業による付加価値を強みとして、「R3」、すなわちリアリティ(現実)、リニューアブル(再生可能)、レジリエンス(回復力・復元力)をキーワードとした街づくり「コレカラ・シティ」を企画し、追求していきます。
その代表例が、昨年7月に千葉県船橋市にて立ち上げた大型複合開発「船橋グランオアシス」です。これは物件の施工時から竣工後の暮らしに至るまで、再生可能エネルギー由来の電気のみを利用するという日本初の街づくりです。
建物を建てることに加え、街に再生可能エネルギー由来の電力を供給するといった環境エネルギー事業も含めて、当社グループの総合力を結集して取り組んでいます。
ここでの挑戦は、描いた未来の夢をカタチにする、実現させることにあります。当社グループでは、このプロジェクトを必ず成功させるとともに、現実となった「夢」をさらにブラッシュアップして、今年度以降、同様のプロジェクトを全国の事業所等で展開していくことにより、当社グループにおける新たな可能性を拓いていきたいと考えています。
気候変動というリスクに真摯に向き合い、環境貢献型事業を育てる
多くの機関投資家の方々が、長期的かつ持続的な企業価値向上に向けた取組みの一環として、気候変動の問題について重大な懸念を表明されています。当社は7つのマテリアリティを特定していますが、その1つである「環境負荷の低減と企業収益の両立」に注力しております。
その根本的な考え方は、自社活動で得た省エネや再エネのノウハウを事業機会に活かすということです。自社活動では、国際イニシアティブのEP100・RE100・SBTに加盟し、既存施設での省エネ改善と新築施設でのゼロ・エネ施設化を図るとともに、「自分たちの使うエネルギーは自分たちで創る」と決意し、2040年までにすべての電力使用量を自ら創った再生可能エネルギーで賄う」ことを目標としております。ハードルの高い課題ではありますが、将来のあるべき姿から逆算して設定した目標に向かって進んでおり、私としては計画を前倒しする強い意志で実現を目指しております。
一方、商品においても今年4月からすべての戸建住宅をZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様とするなど、取組みを加速させています。今後はZEHやZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の推進、環境エネルギー事業の拡大、「コレカラ・シティ」の開発、「リブネスタウンプロジェクト」などと連携を図るなどして、環境貢献型事業の拡大に注力していきます。
創業者精神の継承を継続し
当社の長期視点をステークホルダーと共有する
昨年来、米国主要企業の経営者団体であるビジネス・ラウンドテーブルや、ダボス会議でも話題となったステークホルダー資本主義という考え方が拡がりを見せており、当社を取り巻く社会は、今まで以上に長期視点になってきていると実感します。当社においては、「100周年に売上高10兆円の企業グループ」という創業者の長期視点がありますが、そこへ至る道筋は、まだはっきりとお示しすることはできていません。現在は3年間の中期経営計画を公表しておりますが、今後は、もう少し長いスパン、例えば10年長期で進むべき道を、従業員をはじめステークホルダーのみなさまに示し、そこに至るまでの3年間にどう向き合っていくのかを考え、お示しするのが良いのではないかと考えています。
当社は、マテリアリティの筆頭に「社会課題を起点とした事業機会の拡大」を掲げています。これは65年の歴史において追求してきた事業推進の原点であります。新型コロナウイルス感染症拡大によって世界経済が大きく揺らぐ中で、今また創業者精神を発揮して、社会の課題に真正面から取り組む必要があります。この取組みをもとにして、中長期の成長を成し遂げていく覚悟です。そして、当社の次の世代により良い形で経営のバトンを渡したいと考えています。
当社は全てのステークホルダーのみなさまに向けてこれからも変わらず真摯に向き合っていきたいと考えています。株主・投資家のみなさまに向けては、対話の機会を大切にし、信頼性・透明性の高い経営体制をお示ししていきます。従業員に向けては、働き方改革を進めながら、一人一人が成長を実感できるような体制を構築していきます。お客さまに向けては、信頼の回復。そして、取引先パートナーとはこれからも共存共栄で仕事を続けてまいります。さらに地域社会のために当社が貢献できることは何かを常に考え続けてまいります。
当社はこれからも時代の先の先を見据え、社会課題の解決を通じて企業価値の向上に愚直に取り組んでまいります。つきましては、変わらぬご支援を賜りますよう心よりお願い申しあげます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)リスク管理体制について
当社は、「大和ハウスグループ・リスク管理規程」を策定し、同規程上で、「リスク」を「当社グループに損失を与える事象、経営に影響を及ぼす事象、その他将来生み出す収益に対して影響を与えるおそれのある事象」と定義しています。その上で、当社グループを取り巻くリスクを具体的に例示し、それらのリスクについての平時・有事の対応体制を明文化しています。具体的な体制は、以下のとおりです。
①平時の体制
リスク情報の適正・迅速な収集という観点から、本社、事業所又はグループ会社(海外含む)が覚知したリスク情報を、即時に当社の本社リスク管理委員会に報告させるというルールを設け、運用しています。本社リスク管理委員会へ報告されたリスク情報は、速やかに役員や関連部門責任者に伝達され、そこからさらに内部統制委員会と取締役会及び監査役会に報告されています。
内部統制委員会や本社リスク管理委員会では、報告されたリスク情報を基に、リスクの顕在化を予防するための対策等が議論・決定され、事業執行の現場に対する具体的な指示が出されます。指示の内容は、事業所とグループ会社のリスク管理委員会に共有され、同委員会において、自事業所・自社に引き直した形で、従業員に周知されています。

②有事の体制
重大リスクが顕在化した場合には、緊急対策本部を立ち上げて対応し、業績等への悪影響の最小化に努めています。すなわち、「大和ハウスグループ・リスク管理規程」の下位規範である「緊急対策本部設置・運営細則」において、「当社グループの経営に重大な影響を及ぼすリスク」を「重大リスク」と定義し、重大リスクが顕在化した場合の緊急対策本部設置フロー、緊急対策本部のメンバー、緊急対策本部の業務等を明文化することで、速やかに緊急対策本部を立ち上げて適正な対応を執る体制としています。
(2)当社グループの事業等に関するリスクについて、連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に
重大な影響を与える可能性がある事項には、以下のようなものがあります。なお、本項において将来に関する事項
が含まれていますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものです。
国内、海外を問わず、法的規制が改廃されたり、新たな法的規制が設けられたりした場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、国内、海外における建設・不動産事業を行っており、国内においては会社法、金融商品取引法、建築・不動産関連法令、環境関連法令、各種業法等、海外においてはそれぞれの国・地域の法的規制の適用を受けます。また、グループ会社においては、ホテル事業、物流事業、保険事業、スポーツクラブ運営事業、クレジットカード事業等の多種多様な事業を行っており、各事業の業法その他の関連法令がそれぞれの会社に適用されます。このように、当社グループの事業に関連する法令は広範にわたっており、法的規制の改廃や新設によっての影響を受ける場面は少なからず存在しているものと考えられます。しかし、当社グループの事業に関連する法的規制の改廃や新設については、その動向を事前にモニタリングすることにより、事前の対応・対策を行う体制としていることから、当該リスクが当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性は低減されています。
また、法的規制に違反するリスクも想定されますが、当社グループにおいては、上記のとおりグループ全体を含めたリスク管理体制を構築してリスクの顕在化の予防を図っており、また従業員に対する積極的な法令知識の研修・啓蒙や、各種マニュアル・チェックリストの作成を推進するなどの対策を講じています。それでも、当該リスクが顕在化してしまった場合には、処罰、処分その他の制裁を受けたり、当社グループの社会的信用やイメージが毀損されたりすることで、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業の円滑・効率的な運用等を目的として、ITシステムの利活用を推進しています。サイバー攻撃等により、ITシステムが長期間にわたり正常に作動しなくなった場合、当社グループの業務が著しく停滞し、業績等への悪影響が生じる可能性があります。また、個人情報や法人の秘密情報等が外部に漏えいした場合には、当社グループの社会的信用に影響を与え、また損害賠償等を行う必要が生じることにより業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対策として、当社では、CSIRT(※1)・SOC(※2)を設置し、サイバーセキュリティに関する脅威の監視・分析や、対応を行っています。また、IT統制規程(「個人情報保護規程」、「情報セキュリティ管理規程」等)の策定や、いわゆる入口対策・出口対策、情報保護対策を行っており、加えて役職員等に対して標的型攻撃メール訓練を実施するなどの教育・研修を行って情報管理の重要性の周知徹底を図っています。グループ会社に対しても、各グループ会社にIT担当者を設置し、セキュリティトピックの提供、セキュリティレベルの実態把握、問題解決の指導等を実施しています。
※1. CSIRT(Computer Security Incident Response Team):サイバーセキュリティ関連のインシデントが起こった場合に対応する専
門組織。専門組織による早期の問題解決、サイバー攻撃による被害の範囲や深刻度の判断、セキュリティトピックの提供を行う。
※2. SOC(Security Operation Center):情報システムへの脅威の監視や分析等を行う専門組織。社内IT機器のログ情報の24時間監
視、ログ分析に基づく攻撃の有無の判断、ウイルス解析を行う。
当社グループは、国内及び海外に事務所・工場・研究開発等の施設を展開しており、地震、台風、水害、火山の噴火等の大規模な自然災害の発生により、従業員や施設・設備等への直接的な被害のほか、情報システムや通信ネットワーク、流通・供給網の遮断・混乱等による間接的な被害を受ける可能性があります。また、とりわけ地震、台風、水害の際には、当社が引き渡した建物に被害が生じる可能性もあります。これらの場合には、被害回復のための費用や事業活動の中断等による損失、また顧客の所有建物に対する点検や応急処置の実施、その他社会的な支援活動を行うための費用等が発生し、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。自然災害であるため、リスクが顕在化する可能性の程度や、業績等への悪影響の程度を見積もることは困難ですが、当社グループでは、いわゆるBCMについての規程・マニュアルを策定することで、自然災害発生時の対応を適正・迅速に行うことができるよう事前の対策を実施しています。また食料の備蓄、IP無線や衛星電話の導入等の通信環境の整備も行っており、リスクが顕在化した場合の業績等への悪影響を最小化するための取組みを行っています。
④ 感染症に関するリスク
重大な健康被害をもたらす感染症が大規模に蔓延した場合、感染拡大を防止する観点から、当社の営業活動や工事現場の操業を停止せざるを得なくなる可能性があり、また不動産市況の悪化により、不動産の取得・開発等の事業に悪影響が出る可能性があります。さらに、グループ会社においても、同様に営業活動を停止せざるを得なくなる可能性があり、特にホテル事業やスポーツクラブ運営事業等において、顧客の大幅な減少という事態に直面する可能性があります。
これは、外的要因に起因するものであるため、リスクが顕在化する可能性の程度や、業績等への悪影響の程度を合理的に見積もることは困難ですが、リスクが顕在化した場合には、まずは当社グループのステークホルダーの健康被害を最小化することを最優先に取り組む方針であり、感染拡大を防ぐため、感染リスクの高い国・地域への渡航の禁止、事業所の閉鎖、テレワーク(在宅勤務)等の対策を実施しています。
当社グループは、海外事業において、急激なインフレーションや為替相場の変動、政治・経済情勢の不確実性による内乱、暴動、戦争、外交関係の悪化や法令上の制約等による事業遂行・代金回収の遅延・不能・送金の制約等が発生するリスク、不動産引き締め政策等の法制度の改正や政策の変更による購買意欲減退等、外的要因に基づく様々なリスクを負っており、これらのリスクが顕在化した場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、現地法令への違反・不正行為等のリスクが顕在化する可能性のほか、地理的な遠隔性等の要因からこれらリスクの発見が遅滞するなどの場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、商品・サービスの提供や、商品の原材料の製造などの一部について、一定の技術を保有する業者に委託しています。もし、当該業者が事業を停止してしまうなどの事態が発生した場合、商品・サービス等の提供が遅滞したり、そもそも提供できなくなるおそれがあります。当社グループは、このような事態を防止すべく、特定の業者に依存することなく、なるべく分散的に発注・委託を行うよう努めていますが、当該リスクが顕在化した場合には、当社グループの業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業戦略上、必要に応じて企業や事業の買収、組織再編等を行っています。
しかしながら、企業や事業の買収、組織再編等が想定どおりに進行せず、グループ会社間におけるシナジー効果が期待通りの成果をもたらさないことなどにより、事業戦略上想定した利益が達成できず業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内及び海外において不動産の取得、開発、販売等の事業を行っており、不動産市況が悪化し地価の下落、賃貸価格の下落が生じた場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、その場合には、当社グループが保有する不動産の評価額について引き下げを行う必要が生ずる可能性があります。
さらに、当社グループが所有する不動産以外の棚卸資産や有形固定資産、のれんなどの無形固定資産、投資有価証券等の投資その他の資産についても、評価額について引き下げを行う必要が生ずる可能性があり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
原材料・資材価格・人件費等の高騰は仕入価格や工事原価の上昇を招きますが、売上価格に転嫁できない場合は、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
住宅ローンの金利優遇措置、太陽光発電システム補助金制度等の住宅需要刺激策の変更もしくは廃止により、住宅需要が減退し、当社グループの住宅関連事業に影響を与える可能性があります。また、税制変更による消費税率等引き上げなどにより、顧客の税負担が増加した場合には、戸建住宅等の購買需要が減退する可能性があり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、株式市場その他の金融市場が今後低迷した場合等に、年金資産の価値の減少や、退職給付債務の見直しによる数理計算上の差異等の発生により、年金に関する費用が増加する可能性があります。また、追加的な年金資産の積み増しを要するなどにより、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの住宅関連事業は、顧客の満足度を高めるために長期保証システムを提供するとともに、品質管理にも万全を期していますが、長期にわたるサポート期間の中で、予期せぬ事情により重大な品質問題が発生した場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 安全・環境に関するリスク
当社グループは、事業を行うに際し工場、建設現場等を多数有しているため、特に安全、環境面を最優先に配慮、対策のうえ事業を行っています。しかしながら、これらの配慮、対策にもかかわらず現場事故、環境汚染等の事故等が発生した場合には、人的・物的な被害等により業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑭ 金利の上昇に関するリスク
市中金利の上昇や当社の格下げによる金利の上昇により、資金調達コストの上昇を招き、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、融資を利用して土地や建物を取得する顧客にとっては、市中金利の上昇によって支払総額の増加につながることにより需要が減退する可能性があり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、建設・不動産事業をはじめとする様々な事業を行っており、これらの各事業において、競合会社との間で競争状態にあります。したがって、当社グループが、商品の品質や価格、サービスの内容、営業力等の観点から、これらの競合会社との競争において優位に立てない場合、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、プロジェクトの完了までに多額の費用と長い期間を要する不動産開発事業を行っており、プロジェクト進行中において、様々な事由により、想定外の費用発生、プロジェクトの遅延もしくは中止を余儀なくされる場合があり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑰ 賃貸等不動産における空室及び賃下げに関するリスク
当社グループは、入居者獲得の競争の激化等により、入居者や賃料が計画通りに確保できなくなる可能性があります。既存テナントが退去した場合、代替テナントが入居するまでの空室期間が長期化し、不動産の稼働率が大きく低下する場合もあります。その場合、代替テナント確保のため賃料水準を下げることもあり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
当連結会計年度におけるわが国経済は、第3四半期連結累計期間(2019年4月~12月)までは、個人消費の持ち直しや雇用・所得環境の改善が継続するなど、緩やかな回復傾向が続いてきました。
一方で、米国・中国等の通商問題をはじめとする世界経済の不確実性の高まりなどに加え、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大懸念により先行きは増々不透明な状況となっています。
住宅市場においては、新設住宅着工戸数で分譲戸建のみ前年比プラスとなったものの、持家、貸家、マンションの着工戸数が前年比マイナスとなり、全体では前年比マイナスとなりました。一般建設市場においても、不動産業用、倉庫、医療・福祉用が建築着工床面積で前年比プラスとなった一方、他の用途は減少し、全体は前年比マイナスとなりました。
そのような事業環境の中で当社グループは、本年度より開始した3ヶ年計画「大和ハウスグループ第6次中期経営計画」に基づき、積極的な不動産開発を行い、Business分野(商業施設・事業施設事業)の拡大や、海外展開の加速に取り組んできました。また、ガバナンスの強化策として、事業執行への権限委譲及び役割責任の所在の再定義や、グループ各事業・地域により異なるリスクへの組織対応力強化等、将来の成長に向けた体制の再構築を検討してきました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は4,380,209百万円(前連結会計年度比5.7%増)、営業利益は381,114百万円(前連結会計年度比2.4%増)、経常利益は367,669百万円(前連結会計年度比2.3%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は233,603百万円(前連結会計年度比1.6%減)となりました。
なお、当社は、2019年12月に公表の「施工管理技士の技術検定試験における実務経験の不備について」に関し、2020年1月に外部調査委員会を設置し、事実関係の調査、原因分析を行ってきましたが、4月に外部調査委員会より「調査報告書」を受領し、国土交通省へ報告しました。今後、当社は、外部調査委員会の指摘を真摯に受け止め、同様の事態を発生させることないよう再発防止に努めていきます。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」をご参照ください。下記の前連結会計年度との比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。
① 戸建住宅事業
戸建住宅部門では、お客様の住まいづくりに真摯に向き合い地域に密着した事業展開を推進し、販売拡大に努めてきました。
国内の注文住宅事業においては、持続型の耐震性能と外張り断熱による快適性、2m72cmの高い天井がもたらす大空間のゆとりを実現する「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」をはじめ、木造住宅「xevo GranWood(ジーヴォ グランウッド)」、3・4・5階建戸建住宅商品「skye(スカイエ)」に加え、2019年11月には、Webサイト上で楽しく簡単な家づくりを体験できる「Lifegenic(ライフジェニック)」を発売し、多彩な商品ラインアップで、お客様ニーズへの対応に注力してきました。また、戸建専用住宅からコンビネーションハウジング(併用住宅)、Livness(リブネス)ブランドによる戸建住宅の買取再販事業へと提案の幅を拡大し、事業を推進してきました。
海外においては、豪州シドニー近郊にて事業推進中のBox Hillプロジェクトの契約数が順調に増加しており、米国におけるStanley-Martin Communities, LLCの業績が好調に推移しました。
しかしながら、当事業の売上高は497,880百万円(前連結会計年度比1.1%減)となり、営業利益は18,080百万円(前連結会計年度比24.3%減)となりました。
② 賃貸住宅事業
賃貸住宅部門では、土地オーナー様の抱える課題やご所有地の特性、市場ニーズ等を総合的に判断し、土地オーナー様のみならず地域やご入居者様にとって最も価値の高い土地活用の提案を行っています。
国内においては、都市部や中心市街地での店舗付賃貸住宅や中高層物件への取組強化と、医療福祉施設等レジデンスに留まらない事業提案の推進により、受注拡大を図ってきました。
海外においては、米国の「オーレリアン」が賃貸開始時より90%を超える稼働率を維持する中、不動産持分47%を大和ハウスグローバルリート投資法人に売却しました。
しかしながら、当事業の売上高は1,005,902百万円(前連結会計年度比4.6%減)となり、営業利益は98,587百万円(前連結会計年度比5.8%減)となりました。
③ マンション事業
マンション部門では、社会やお客様にとって、資産価値に加えて付加価値の高いマンションづくりに努めるとともに、一貫体制による安心・安全・快適な暮らしを支える管理サービスの提供に取り組んできました。
国内においては、首都圏の「プレミスト有明ガーデンズ」(東京都)が周辺の商業施設をはじめとした開発による将来性が評価されるとともに、都心へのアクセスと生活利便性が好評を博し、ファミリー、DINKSを中心に販売が順調に進捗し完売しました。
株式会社コスモスイニシアにおいては、都心の優良不動産を低予算で取得可能にする共同出資型の投資用不動産「セレサージュ表参道」、「セレサージュ中目黒」(ともに東京都)の販売が好調に推移し、どちらも総募集口数を完売しました。
海外においては、豪州シドニー近郊で開発・販売した「フラワー・ミル・オブ・サマーヒル」が全住戸完売しました。
以上の結果、当事業の売上高は372,731百万円(前連結会計年度比8.5%増)となりましたが、営業利益は15,883百万円(前連結会計年度比23.4%減)となりました。
④ 住宅ストック事業
住宅ストック部門では、当社施工の戸建・賃貸住宅を所有されているオーナー様に対し、インスペクション(点検・診断)を通じたリレーションの強化や保証期間延長のためのリフォーム提案を強化してきました。加えて、再生可能エネルギーの固定価格買取制度において買取期間満了を迎える戸建住宅オーナー様に向けた家庭用蓄電池の販売や、法人のお客様の事業用資産に向けたメンテナンス提案に注力し、受注拡大を図ってきました。
また、より良質な既存住宅の流通の活性化に向けた「Livness(リブネス)」事業においては、全国の戸建住宅・マンションオーナー様向けに「想いをつなぐ売却キャンペーン」やセミナーを実施しました。
さらに、「Livness Town Project(リブネスタウンプロジェクト)」として、高齢化が進む、過去当社が開発した住宅団地「ネオポリス」の再生等、社会課題を解決する事業を推進してきました。
以上の結果、当事業の売上高は145,619百万円(前連結会計年度比10.5%増)となり、営業利益は16,723百万円(前連結会計年度比22.1%増)となりました。
⑤ 商業施設事業
商業施設部門では、テナント企業様の事業戦略に対応した適切な出店計画の提案や、エリアの特性を活かしたバリエーション豊富な企画提案を行ってきました。特に、ホテル・商業ビル等の大型物件への取組みの強化や、投資用不動産の購入を検討されているお客様に向けて、当社で土地取得・建物建築・テナントリーシングまで行った物件を販売するなど業容の拡大を図り、事業を推進してきました。
国内においては、JR広島駅前において、ホテル・商業施設・オフィスが一体となった大型複合施設「GRANODE(グラノード)広島」を開業し、沖縄県豊見城市豊崎において県初となる水族館併設の大型商業施設「iias(イーアス)沖縄豊崎」(2020年6月グランドオープン予定)など、当社グループが保有する経営資源を組み合わせ、お客様のニーズに合わせた複合施設開発に取り組んでいます。
海外においては、2019年10月に米国カリフォルニア州にて商業施設「Trade」を取得し、運営管理を開始しました。
以上の結果、当事業の売上高は806,784百万円(前連結会計年度比10.4%増)となりましたが、営業利益は140,632百万円(前連結会計年度比1.4%減)となりました。
⑥ 事業施設事業
事業施設部門では、法人のお客様の様々なニーズに応じた施設建設のプロデュースや資産の有効活用をトータルサポートすることで業容の拡大を図ってきました。
物流施設関連では、さいたま市最大の大型物流施設「DPL浦和美園」をはじめ、全国26ヶ所の物流施設を新たに着工し、豊富な経験とノウハウでお客様の物流戦略をバックアップしてきました。
医療介護施設関連では、老朽化した施設や、耐震基準を満たしていない病院をターゲットに建替えや移転の提案、また高齢者住宅・複合介護施設等医療法人の経営課題を解決するソリューション提案を強化してきました。
事務所・工場等の拠点サポート関連では、広島西飛行場跡地を産業団地として再開発する「広島イノベーション・テクノ・ポート」に着手し、当社開発の全国25ヶ所の工業団地への企業誘致を強化してきました。
食品施設関連では、食品製造・加工事業者を対象に、HACCP(※)義務化に向けたセミナーを開催するとともに、安全認証に適応した施設建設の提案を強化してきました。
以上の結果、当事業の売上高は1,152,347百万円(前連結会計年度比12.3%増)となり、営業利益は120,636百万円(前連結会計年度比20.2%増)となりました。
※.食品の製造・加工等のあらゆる段階で発生する恐れのある微生物汚染等の危害を事前分析・管理する衛生管理手法。
⑦ その他事業
ホームセンター事業では、ロイヤルホームセンター株式会社が、「ロイヤルホームセンターキセラ川西」(兵庫県)を新たにオープンするなど、様々なお客様の暮らしに役立つ店舗を展開してきました。
アコモデーション事業では、大和リゾート株式会社が、その地域の伝統や文化を活かしたインテリアデザインの採用が特徴であるD-PREMIUMシリーズを金沢市、奈良市にオープンさせるなど新規に3ヶ所開業し、地域特性や立地条件に配慮したホテル展開を進めてきました。
物流事業では、大和物流株式会社において、「柏インター物流センター」(千葉県)等5ヶ所を新たに竣工し、お客様に最適な物流網を提案してきました。
フィットネスクラブ事業では、スポーツクラブNAS株式会社において、「スポーツクラブNAS 蕨」等、新たに4ヶ所をオープンしました。
以上の結果、当事業の売上高は530,079百万円(前連結会計年度比9.7%増)となり、営業利益は19,285百万円(前連結会計年度比42.4%増)となりました。
(注) 1.各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものです。(「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照。)
2.上記金額に消費税等は含んでいません。


当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加149,651百万円、投資活動による資金の減少317,273百万円、財務活動による資金の増加169,128百万円等により、あわせて230百万円減少しました。この結果、当連結会計年度末には276,068百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は149,651百万円(前連結会計年度比57.9%減)となりました。これは、主に349,683百万円の税金等調整前当期純利益を計上したものの、請負工事に係る仕入債務の支払日程の見直しと併せて手形支払いの大部分を廃止したことによる影響、及び前連結会計年度末が休日であった影響による仕入債務の減少や法人税等の支払いを行ったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は317,273百万円(前連結会計年度は313,989百万円の減少)となりました。これは、主に大規模物流施設や商業施設等の有形固定資産の取得を行ったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の増加は169,128百万円(前連結会計年度は86,979百万円の減少)となりました。これは、主に、前連結会計年度末に係る株主配当金及び当連結会計年度の中間配当金の支払いを行ったものの、たな卸資産や投資用不動産の取得等のために借入金やハイブリッド社債の発行による資金調達を行ったことによるものです。
3.生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載していません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.各セグメントの金額は外部顧客への受注高・受注残高を表示しています。
2.上記金額に消費税等は含んでいません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.各セグメントの金額は外部顧客への売上高を表示しています。(「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照。)
2.総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。
3.上記金額に消費税等は含んでいません。
(参考)提出会社個別の事業の状況は次のとおりです。
受注高、売上高及び繰越高
(注) 1.損益計算書においては、建築請負部門は「完成工事高」、不動産事業部門は「不動産事業売上高」、その他事業部門は「その他の売上高」として表示しています。
2.前期以前に受注したもので契約の更改により金額に変更あるものについては、当期受注高及び当期売上高にその増減を含めています。
3.次期繰越高は(前期繰越高+当期受注高-当期売上高)です。
4.上記金額に消費税等は含んでいません。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成して います。この連結財務諸表作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮 定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
なお、新型コロナウイルスの感染症拡大の影響を踏まえた会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりです。
退職給付債務及び関連する費用の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しています。数理計算上の仮定には、割引率、昇給率、退職率等の様々な計算基礎があります。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
退職給付債務の算定において、主要な仮定の変化が当連結会計年度末の退職給付債務に与える感応度は以下のとおりです。マイナス(△)は退職給付債務の減少を、プラスは退職給付債務の増加を表しています。感応度分析は分析の対象となる数理計算上の仮定以外のすべての数理計算上の仮定が一定であることを前提としています。
当連結会計年度末(2020年3月31日)
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係) (6)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりです。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、その達成を保証
するものではありません。
CFOメッセージ
ガバナンスを再構築し、ステークホルダーからの信頼回復に努めると共に
サステナブル経営、攻守のバランスが取れた財務戦略を実施してまいります

株主・投資家のみなさまにおかれましては、大和ハウスグループの経営に対してご支援を賜り、厚く御礼を申し上げます。代表取締役副社長CFOとしてガバナンスと社会への取組みを進める中で、ESGが、企業が長期的に成長を遂げるための重要な要素となっていることを日々実感しております。
2019年度に発覚したコンプライアンス違反事案については、ステークホルダーのみなさまにご迷惑・ご心配をおかけしましたこと、深くおわびを申し上げます。信頼を揺るがす事態を招いた厳しい状況を直視し、グループ全体でガバナンスの強化に向けた施策を確実に実行し、信頼回復に邁進する所存です。まずは、私より改善策とこれまでの進捗についてお伝えし、その後、財務戦略についてお話いたします。
社外取締役比率を3分の1以上に変更し
多様性の充実を図り、取締役会の実効性をさらに高めます
コーポレート・ガバナンスの強化に向けては、代表取締役副社長である私が中心となり、プロジェクトを立ち上げ、昨年11月にガバナンス強化策に向けた基本方針を公表しました。第6次中期経営計画の最終年度となる2021年度までをグループガバナンス再構築における一定期間と定め、国内外のグループ会社を含めたガバナンスに関する4つの基本方針に則り、各強化策を着実に実行しております。
まず、基本方針1である「経営体制及び管理・監督のあり方の再検討」については、2020年6月の株主総会の決議をもって、取締役会のメンバー構成は、社内取締役9名、社外取締役5名となり、社外取締役比率は3分の1以上となりました。そして、社内取締役の上限年齢を代表取締役は69歳、取締役は67歳に設定するとともに、社内監査役、執行役員にも67歳の上限年齢を設定しました。これにより、取締役会における議論の活性化、多様性、そして円滑な世代交代が実現できるものと考えております。今後は企業価値向上のための中長期的な経営戦略及び監督機能の強化に向け、経営における意思決定機能や管理・監督機能を再整備し、経営体制の最適化を図ってまいります。
リスク管理体制、ガバナンス体制を見直し
コーポレート・ガバナンスを強化する
基本方針2「業務執行の機動性及びリスク対応体制の強化」については、国内事業の業務執行体制は7つの事業本部に再編し、関連するグループ会社を傘下に配置します。それぞれの事業本部が業績とリスク管理、コンプライアンスに関する権限と責任を持ち、一貫して管理する体制としており、本社各部門は各事業本部を横断的に補佐し、ガバナンス機能の強化に努めます。2020年4月から導入しておりますが、2021年4月からの本格運用開始に向け、組織体制や運用方法の検討を進める1年と位置付けております。また法令遵守の徹底という点では、昨年11月に立ち上げたコンプライアンス推進部が、本社部門と現場をつなぎ、リスク事案やコンプライアンス違反事案の発生を未然に防ぐとともに、業務環境の整備を進めております。
一方、海外事業については、海外事業本部を設置し、各地域ごとの管理体制の構築を進めており、アメリカ及びオーストラリア、東アジア、ASEANなどのエリアに分け、エリアごとに一貫した管理とする考えです。
今後の取組みとしては、グループ内の重複事業についての組織・機能等の最適化を進めるとともに、グループ本社機能の再整備を行い、確実かつ効率的なグループ運営とグループガバナンス強化を図っていきます。
また、基本方針3「リスク情報の収集と共有の強化」については、リスク報告基準を明確化し、内部通報の外部窓口を新設しました。今後は、リスク情報の再整備事項の運用定着と新業務執行体制に沿った継続的な改善に取り組んでまいります。
サステナブル経営のための基盤の強化に向けて投資する
基本方針4「持続性・実行性を支える環境の強化」については、役職員へのリスク・コンプライアンス教育の継続実施、グループ内部監査体制及びリスクアプローチの強化を進めております。今後も、コンプライアンス活動を持続し、実効性を高める効率的な業務基盤の強化に向けて取り組んでまいります。
中長期の持続的な成長に向けては、経営基盤の強化に対する投資が重要です。第6次中期経営計画では、設備投資2,500億円のうち1,000億円を働き方改革及び技術基盤整備に関する投資に充てています。
10年後の日本を見すえると、人口減少にともなって住宅需要は約4割減少すると予測されています。加えて、建築に携わる建設技能労働者は約6割減るという予測もあります。これから先、住宅の提案営業をどのように行うかということに加えて、「いかにして建てるか」ということが業界における競争優位を左右する時代が到来します。
そのため、BIM(ビルディング インフォメーション モデリング)の導入による法令等適合のチェックの効率化など、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務システムの強化に向けた取組みが必須といえます。また、作業ロボットによる現場での無人施工なども進めていく必要があります。
現状、第6次中期経営計画の中で1,000億円をすべて投資する段階には至っておりませんが、第6次以降を見すえて中長期の取組みとして、経営基盤の強化に取り組んでまいります。
なお、ガバナンス強化策の実施状況については、今後も定期的にみなさまにご報告させていただきます。
キャッシュ・フロー経営をこれまで以上に推進する
財務状況につきましては、事業規模が着実に拡大し、2020年3月期決算においては売上高・営業利益は過去最高を更新する中で、投資が予想を超えて進捗いたしました。特に不動産開発への投資は、第6次中期経営計画においては7,000億円を計画しておりますが、1年目で3,626億円の投資となりました。
現状、不動産の投資及び回収ともに順調に進んでおりますが、有利子負債はこの1年で2,649億円増加し、総額で1兆434億円となっています。D/Eレシオ(負債資本倍率)は0.60倍となり、第6次中期経営計画において適正な財務レバレッジとして定めた「0.5倍程度」を上回る水準となっています。ただし不動産投資が増加するのを見越し、財務健全性の維持として2019年9月に、総額1,500億円に及ぶ公募ハイブリッド社債(劣後特約付社債)を発行しております。これは資本増強という観点からD/Eレシオの改善につながるもので、ハイブリット債考慮後ではD/Eレシオは0.54倍となっています。
目下、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が続く中で、資金需要が高まっていること、及び今後の不動産市況が不透明なことから、2020年度においては新規の不動産投資についてはこれまで以上に慎重に臨みます。一方、簿価で約5,500億円ある未稼働物件に対しては、現在、建物への建設投資を進めおり、これを早く稼働させ、リーシングをし、収益物件へと仕上げていきます。また、このような状況だからこそ、新規投資のチャンスという考え方もありますので、良い新規投資案件があれば検討していきます。
財務健全性の維持とともに、キャッシュ・フロー経営の推進はこれまで以上に重要であると考えています。従来、資産の回転率向上は当社の財務戦略における重要な取組みの一つであり、特に販売用不動産の回転率の改善は課題の一つととらえています。現状、住宅については年0.6回転程度(当社単体)にとどまっておりますが、これを年1回転までは改善していく考えです。一方、分譲マンションの販売用土地・建物の在庫は約3,900億円となっていますが、年間売上げに対してやや過大と認識しており、こちらも滞留が生じないように施策を進めてまいります。
このほか、商業や事業向け不動産の回転率は比較的良いものの、推移を注意深く観察しつつ、状況に機敏に対処してまいります。
冒頭、有利子負債は1兆円を超えていると申しましたが、投資不動産は同程度の1兆円保有しております。その半分は、マルチテナント型物流施設です。
当社では、これまでお客さまのニーズに合わせた物流倉庫やレンタル倉庫を多数手掛けてきました。その実績を踏まえて、昨今、取組みを強化しているマルチテナント型物流施設は、幅広いお客さまの物流ニーズに対応し、早く入居したいお客さまの要請に応えられるものであり、物流業界のトレンドに合致していると認識しています。新型コロナウイルス感染症拡大の影響下においても、お客さまのニーズは依然として高く、インターネットを通じた通信販売の需要増を背景にニーズはむしろ高まっています。加えて、当社の強みが発揮できる複合開発・市街地の再開発等の分野への投資も引き続き取り組んでまいります。
そのためにも、施設の早期稼働を通じてキャッシュ・フローへの寄与を図っていく考えです。資金計画では3年間で4,000億円の開発物件売却を予定しております。1年目は1,895億円を売却し、2年目においては約1,900億円の売却を予定しており、2年間で約3,800億円となる予定です。新型コロナウイルス感染症拡大が不動産市況に与える影響は、いささか見えづらいところもありますが、まだ追加で売却できる物件を保有しており、キャッシュ・フローや、利益達成、また傘下のリートの成長等、様々な観点で状況を見ながら検討してまいります。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響に向けて万全の備えで対応する
当社では常に時代の一歩先を見すえた財務戦略に取組み、経営の守りを固めることに注力してきました。現時点では金利上昇のリスクは見込んでいないものの、先程述べました公募ハイブリッド社債(劣後特約付社債)は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受ける前というタイミングで、低金利で財務健全性に寄与する資金を調達することができたと考えております。
また、投資が増加し不動産開発の残高が増える中、従来は傘下の上場リートが主な売却先でしたが、私募リートや私募ファンドなど売却先の多様化も進めております。
不動産開発における当社の強みとしては、多種多様な建物を手がけられる点と、テナント企業さまが多岐にわたっている点などを挙げることができます。これらの点を活かしながら、物件売却のタイミングも見極めていきます。
一方で、厳しい市況の中でキャッシュ・フロー経営を推進していくためには、より少ない資金を効率よく回して稼ぐという発想が欠かせません。そのために、不動産開発に加えて新たなビジネスを育てています。
当社グループでは、2018年からストック事業の強化に向けてグループ統一の新ブランド「Livness(リブネス)」を立ち上げました。これは既存住宅の売買仲介をはじめ、買取再販やリノベーション・リフォームなどを全事業に亘って手がけるものです。事業展開において資本効率が良い上に、「世の中のために役立つ」という創業者精神にもかなっています。このリブネスを新たな事業の柱として成長させていくことが、逆境を乗り切っていく鍵になると考えています。
株主還元について
当社では「ROE13%以上」、「D/Eレシオ0.5倍程度」、「配当性向30%以上及び機動的な自社株買いの実施」の3つを資本政策の指標として掲げております。その重要な指標の1つであるROE(自己資本利益率)につきましては、目標である13%以上を2016年度以降、達成することができました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、市況が悪化していくことを想定すれば、今後はより一層3つの指標のバランスを取り、攻めと守りの両面に配慮した財務戦略を実施していくことが重要であると考えております。
また、配当金につきましては、一株当たり利益(EPS)を上げてきた結果、2020年3月期は年間配当115円、配当性向32.7%、10期連続の増配を達成することができました。2021年3月期については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を勘案し、業績は減収減益の計画となっており、増配は難しいものの、安定配当継続の観点から、年間配当金90円、配当性向56.9%とさせていただきました。そして、自社株買いについては、取得株数1,000万株、取得金額300億円を上限に現在実施しております。当面は、想定していた以上に営業キャッシュ・フローが下がっているため、手元資金を厚くし、新型コロナウイルス感染症拡大が収まったあとの状況を見極めたいと考えており、追加の自社株買いについては、今後の状況を見ながら検討してまいります。
2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大を背景に、たいへん厳しい事業環境での取組みとなります。しかし、こうした事態に直面したときこそ、当社グループが継承してきた創業者精神が真価を発揮するはずです。
今後も株主・投資家はじめステークホルダーのみなさまと対話を重ね、ご意見をいただくとともに、社名が表す「大いなる和」のもとで、すべての役職員が一致団結して、「世の中の役に立つ」事業の推進により持続的成長を成し遂げてまいります。引き続きご支援をたまわりますよう心よりお願い申しあげます。
2019年度末の総資産は、前連結会計年度末比で2,933億円増加し、4兆6,273億円となりました。その主な要因は、海外事業の強化等によりたな卸資産が増加したことや、投資用不動産等の取得により有形固定資産が増加したことによるものです。
負債合計については、前連結会計年度末比で1,636億円の増加となり、2兆8,539億円となりました。その主な要因は、仕入債務を支払ったものの、たな卸資産や投資用不動産の取得等のために借入金やハイブリッド社債の発行による資金調達を行ったことによるものです。
純資産合計については、前連結会計年度末比で1,296億円増加し、1兆7,733億円となりました。その主な要因は前連結会計年度に係る株主配当金を支払ったものの、2,336億円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによるものです。
リース債務等を除く有利子負債残高は、前連結会計年度末比で2,649億円増加し、1兆434億円となりました。D/Eレシオについては、2010年度が始まる時点の2009年度末の0.74倍と比較すると、内部留保と2013年度に実施した増資によって、0.60倍へ改善されています。資産の内訳については、賃貸等不動産の残高が1兆1,261億円となり、近年大きな割合を占める状況となっています。今後も、開発用不動産の取得等により、資産が膨らむことが予測されますが、最適資本構成の検証により財務の健全性維持に努めていきます。
キャッシュ・マネジメントの基本的な考え方としては、事業活動によるキャッシュ創出額を基準として投資を行うことです。優良な投資機会に対しては、積極的な投資を行う必要があり、外部から調達する資金を含めて投資枠の設定を行っています。そのため、D/Eレシオが一時的に0.5倍を超えることがありますが、中長期的には、0.5倍程度として有利子負債の水準をコントロールし、成長投資と財務健全性の維持の均衡を図っています。
2019年度における営業活動CFは、2,347億円となり、前連結会計年度に比べ1,179億円減少しました。自己資本に対する営業活動CFは、前連結会計年度の22%から8ポイント下降し14%で推移しています。主な要因としては、3,496億円の税金等調整前当期純利益を計上したものの、請負工事に係る仕入債務の支払日程の見直しと併せて手形支払いの大部分を廃止したことによる影響、及び前連結会計年度末が休日であった影響による仕入債務の減少や法人税等の支払いを行ったことなどによるものです。
投資活動CFについては、第6次中期経営計画における投資計画に基づき、賃貸等不動産等の取得や、不動産開発事業への投資を2,895億円実行したことなどにより、△3,172億円となりました。その結果フリー・キャッシュ・フロー(営業活動CF+投資活動CF)は△824億円となり、たな卸資産や投資用不動産の取得等のために借入金やハイブリッド社債の発行による資金調達を行ったことなどにより、財務活動CFは1,691億円となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の2019年度末残高(休日調整後)は前連結会計年度末から849億円増加し、2,760億円となりました。
キャッシュ創出力を示す減価償却前の営業利益(EBITDA)(※1)は4,563億円となっており、キャッシュを生み出す力は着実に成長しています。今後についても、有利子負債の水準を一定程度に維持しつつ、優良な投資案件への積極的な投資を行うという方針を継続するとともに、新たな収益の柱を育てることによって、キャッシュ創出力をさらに高め、企業価値を向上させていきます。
2019年度末の企業価値(EV)(※2)は、時価総額1兆7,838億円にリース債務等を除くネット有利子負債7,620億円を合算し2兆5,458億円となっています。企業価値とキャッシュ創出力の倍率を示すEV/EBITDA倍率は2019年度末で5.6倍となっています。
税引後営業利益(NOPAT)(※2)は、2,645億円となり、投下資本(自己資本+有利子負債)2兆5,725億円(※3)に対する利益率(ROIC)は10.3%となりました。
当社は、第6次中期経営計画においてはROE13%以上を経営目標のひとつに掲げていましたが、D/Eレシオ0.5倍を目安として借入等を行い事業を展開しているため、事業投資においては投下資本全体に対するリターンがWACC(株主資本コストと負債コストの加重平均)を上回るように意識をして取り組んでいます。ROICの維持・向上によって、株主資本に対する利益率(ROE)の維持・向上に努めていきます。
※2 税引後営業利益(NOPAT)=営業利益×(1-実効法人税率)
※3 期中平均
なお、新型コロナウイルスの感染症拡大に伴う事業活動への影響等については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりです。
経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。
当社グループでは、「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、社会に役立つ価値の創造を目指し、官公庁、国内外の大学、異業種企業とも密接に連携を図りながら、基礎・応用研究から新技術・新商品開発、これらの新技術の建築物や街づくりへの活用・検証まで多岐にわたる研究開発活動を行っています。
なお、当連結会計年度の研究開発費は
当連結会計年度の主な活動は次のとおりです。
・20代~30代をメインターゲットとしたWeb限定の戸建住宅商品「Lifegenic(ライフジェニック)」を開発しました。Webサイト上で「ライフスタイル診断」を行い、その結果に基づいた戸建住宅の提案をします。家づくりにおける複数回にわたる打合せを簡潔にし、お客様に家づくりを楽しんでいただくと共に、接客時間やインテリア提案の効率化を図ります。
・当社と株式会社ナスタは、スマートキーを搭載した戸建住宅向け宅配ボックス「Next-Dbox(ネクスト・ディーボックス)」・新型「D’s box(ディーズボックス)」を共同開発しました。これらの宅配ボックスは、スマートフォンのアプリと連動させることができるスマートキーを搭載することにより、従来の暗証番号操作での開錠を不要とし、2タッチで開錠可能としたことで、利便性と安全性を高めました。
・当社と大和リース株式会社は、国立大学法人熊本大学と、応急仮設住宅の早期提供を目指した共同研究契約を締結しました。契約の概要として、応急仮設住宅の配置計画及び設計作業の省力化による早期提供を実現させるための研究、応急仮設住宅を3次元で見える化し、ご入居者様や行政、施工者に完成イメージを共有する研究、応急仮設住宅のメンテナンスにBIMを利活用することの研究等があり、今後、応急仮設住宅の供給に関する研究成果を広く活用できるようオープンにしていきます。
・建設現場の働き方改革の一環として、建物の天井施工作業を軽減できるアシスト機器を開発しました。「天井施工アシスト機器」は、建物の天井施工作業時に、天井パネルや石膏ボードを天井まで持ち上げ、固定する「(新型)天井ボードリフター」と、床からでも容易にビスが打てる「天井ビス打ち機」を組み合わせることで、高負荷作業を軽減できる機器です。
・千葉県船橋市の「AGCテクノグラス中山事業場」跡地での複合開発(以下、「船橋塚田プロジェクト」)において、日本初(※1)の「施工」から「暮らし」まで実質再生可能エネルギー電気(以下、再エネ電気)を100%供給するまちづくりを開始しました。戸建住宅や分譲マンション、賃貸住宅において、ご入居者様が利用可能な電気をはじめ、共用部や街灯の電気等も再エネ電気のみを供給するとともに、居住街区及び商業施設における施工時の工事用電源にも同電気を利用します。また、戸建住宅間の電力融通や分譲マンションでのデマンドコントロールなどにより、当プロジェクト街区外から供給する再エネ電気をさらに削減する取組みも行います。
なお、当事業に係る研究開発費は4,951百万円です。
※1. 当社調べ。
・当社と株式会社フジタは、株式会社キッズウェイと共に、クラウド型管理システム「CONNET(コネット)」を共同開発しました。「CONNET」は、建設現場と現場管理者をはじめとした関係者同士をつなぐアプリケーションであり、現場から離れている関係者がリアルタイムで現場の状況を把握することができ、「移動時間の削減」、「確認待ち時間の短縮」など「業務の効率化」に寄与することが期待できます。
・日本初の拘束材に木質の集成材を用いた座屈拘束ブレース「木鋼ハイブリッドブレース」を開発しました。当技術は、地震力に抵抗する平鋼の芯材を集成材の拘束材で補強することにより、地震時に作用する圧縮力によって座屈することなく、優れた耐震性能を発揮できるブレース(筋かい)です。近年の建設市場では、非住宅系木造建築物の着工床面積(※2)が増加し、木材利用の機運が高まる中、木質材料の耐震部材への適用を可能としました。
・株式会社フジタは、給電装置から電力の供給を受けながら空撮が可能な「建機追従型有線給電ドローン」を開発しました。空撮した映像は、無人化施工の建設機械オペレーターに提供され、あらゆる視点からの映像チェックが可能となり、作業効率の向上と省人化が可能となります。また、バックホウ用遠隔操縦ロボット「ロボQS」(※3)を装着したバックホウと連携させた実証実験を長崎県島原市で実施し、本技術の有用性を確認しました。今後、無人化施工現場への導入や他の建設機械への応用、災害が発生した地域での活用など幅広く利用できるよう実証試験を進め、実工事への本格導入を目指します。
・株式会社フジタは、株式会社長府製作所と共同で、静かで風が気にならない寝室用パネルエアコン「眠リッチ®」を開発しました。本製品は、送風を用いる一般的なエアコンとは異なり、赤外線を利用した放射冷暖房システムを採用したもので、睡眠時に最適な室内環境を提供し、ストレスを低減します。今後、全国のマンションや戸建住宅などへ順次導入を目指すほか、全国のデベロッパーや住宅メーカー、ホテル、医療福祉施設等の事業者及び、一般消費者への提案を進めます。
・株式会社フジタは、タグチ工業株式会社と共同で、トンネル工事の際、坑内に設置しても広い作業スペースを確保できる中断面トンネル用「上下自在連続ベルトコンベア」を開発しました。掘削作業区間では搬送ベルトを高所に配置することで作業スペースを確保、さらに覆工部では搬送ベルトを低所に配置し覆工設備の通過を優先し効率的に作業することを可能としました。
・次世代の農業の在り方として、天候・季節・地域に左右されずに、誰でも簡単に農業に従事できる新たな農業のカタチを実現する「植物工場」が期待される中、当社は三協立山株式会社と共同で「agri-cube ID(アグリキューブ・アイディー)」を開発しました。植物工場システム「agri-cube ID」の特長として、お客様の多様な事業計画に対応し、「フリルレタス」が最短32日間で促成栽培可能なオリジナル技術を採用、安心の栽培サポートプログラムを提案し、“農業の工業化”を推進します。
なお、当事業に係る研究開発費は5,177百万円です。
※2. 建築着工統計調査をもとに当社が算出。
※3. 株式会社フジタが国土交通省九州地方整備局九州技術事務所及び株式会社IHIと共同開発した、市販の汎用油圧ショベルを無
線遠隔操縦するロボット