第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

 

 

 

<CEOメッセージ>

 

 


生きる歓びを分かち合える世界の実現に向けて

ステークホルダーの皆さまと共創する

代表取締役社長/CEO 芳井 敬一

 


 

 

 

第6次中期経営計画を

振り返って

 

 

 

 

 

 

 

第6次中期経営計画は当初、戸建・賃貸住宅領域は再成長に向けた基盤整備を、商業・事業施設領域は継続的な事業拡大を目指しましたが、2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、当社グループは、ステークホルダーの命と健康を守ることを最優先とし、2020年4月の緊急事態宣言下においては施工現場を一時休工するなど業界きっての対応を取りました。お客さまとの対面機会の減少や企業による設備投資の減少、またホテル・スポーツクラブ運営事業への低迷の影響を受け、最終年度である2021年度については、計画策定時の業績目標は未達となりました。しかしながら、ニューノーマルに対応する新しい需要の取り込みや、開発物件売却の積み増し、海外における戸建住宅事業の拡大等により、売上高は過去最高となりました。ROEについては利益水準の低下により、目標としている13%は未達となりましたが、配当性向は30%以上を維持し、配当金額については、12期連続の増配を実現することができました。一方、2021年12月には、2019年度に発覚した「施工管理技士技術検定試験の実務不備問題」への行政処分として22日間の営業停止処分を受け、“法を守ること”の大切さを再認識しました。この3年間は、いくつかの問題があり、皆さまに大変なご迷惑とご心配をおかけしました。改めてお詫び申し上げます。これらを教訓として、グループのガバナンスを徹底的に強化してきましたが、引き続きガバナンス体制の強化・充実に取り組んでいく所存です。

 

 

創業者精神を継承し、

お客さまに寄り添う

個客志向に原点回帰する

 

 

 

 

 

 

 

私たち大和ハウスグループは、「共に創る。共に生きる。」を基本姿勢として、戸建住宅・賃貸住宅などのハウジング領域をはじめ商業施設・事業施設などのビジネス領域に至るまで、ハウスメーカーの枠を越えた多彩な事業を通じて、ステークホルダーの皆さまと共にこれまで歩んできました。特に、創業者は「お客さまに愛される大和ハウスに」と常々社員に語っており、多くのお客さまと共に歩み、そして出会えた歓びが、私たちの事業の原動力となっています。

現在は、建物を建てることだけにとどまらず、そこに生きる人々の暮らしを支え、また生活インフラ全体における社会課題の解決に向けた新たな価値創出を実現することで、さらなる成長を目指しています。土地を起点とした複合的な事業提案力を当社グループの最大の強みとしていますが、生活インフラや住まい方・暮らし方を含む、“まち”全体に対して複合的な事業を提案する力を、今まで以上に強化していきたいと考えています。

そして国内だけでなく世界のニーズへ対応するために、創業から大切にしている個客思考、「お客さまと共に。」この姿勢を忘れることなく、取引先や地域社会とも協働して取り組んでいきます。また、新たな価値創出をスピーディーに実現するためにデジタル技術を最大限に活用していきます。

 

 

 

大和ハウスグループの

“将来の夢”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当社グループは、創業者精神「儲かるからではなく、世の中の役に立つからやる」を原点に、時代背景や社会の変化に合わせて多様化するニーズに対応し、事業を多角化してきました。しかし、急速に進む価値観の変化など、これからの時代は今までの成功体験が通じるとは思えません。そこで「“将来の夢”が人や企業を成長させる」という創業者の想いに立ち返り、100周年を迎える2055年に向けて、どのような社会を創り出したいか、そのために何をなすべきかというテーマを掲げ、若手からベテランまで全従業員参加型の“将来の夢”プロジェクトを立ち上げました。約7万人にのぼるグループ全従業員とともに、1年間かけてこれからの社会課題について話し合い、私たちの存在意義について議論を重ねました。そして導き出された“将来の夢”をパーパスと定義し、今後、当社グループが成長していくための新たな羅針盤としました。

今回、本プロジェクトを通じて、すべての世代の従業員が「社会へ貢献したい」という熱い気持ちと「数字に対する強いこだわり」を持っているという大きな気づきがありました。振り返ってみれば、この2点が、私たちのこれまでの成長を支えてきたのではないかと感じています。

 “将来の夢”すなわち「創り出したい社会×当社グループの役割」は、「生きる歓びを分かち合える世界の実現に向けて、再生と循環の社会インフラと生活文化を創造する」ということ。その中心にあるのは、何よりも先ずは顧客であるお客さま、そして従業員や取引先です。私たちを取り巻くすべての人の幸せがあってはじめて自分たちの幸せがあるという考え方です。この“将来の夢”(パーパス)をステークホルダーの皆さまと共有し、実現していくことで、愛される大和ハウスグループを未来につなげ、企業価値の向上を目指していきます。

 

 

パーパスの実現に向けた

6つのマテリアリティ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

将来の夢(パーパス)の実現に向け、「再生と循環を前提とした価値の創造」「デジタルによるリアルの革新」「多様な自分らしい生き方の実現」を当社グループが取るべきアクションと定義し、このたび6つのマテリアリティを特定しました。

①サーキュラーエコノミー&カーボンニュートラル-再生と循環を実現

  する環境経営の推進

②地域社会の再生-日本国内における社会課題解決型事業

③グローバリゼーション-海外での社会課題解決型事業の展開

④DE&I(※)-多様な価値観を受容し価値創造に活かす組織文化の醸成

⑤デジタル変革-生き方の革新のためのデジタル技術の最大活用

ガバナンスー未来を創るガバナンス

※ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン:社会の多様性、公平性、包摂性

 

 

 

第7次中期経営計画

再生と循環の社会インフラと生活文化の創造に向け、

「持続的成長モデル」を構築する

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第7次中期経営計画では、マテリアリティを念頭に、第8次中期経営計画以降の成長・企業価値の最大化も見据えた持続的成長モデルを構築します。3つの経営方針「収益モデルの進化」「経営効率の向上」「経営基盤の強化」のもと、各重点テーマに取り組みます。

これらの取り組みにより「事業の推進」と「基盤の強化」の好循環をさらに加速させるべく、「事業の推進」においては、請負型・開発型ビジネスを維持しつつ、海外事業とストック事業を拡大させるとともに、「再生・循環」をキーワードとした事業を推進し、持続的な成長を実現する収益モデルへと進化を図ります。「基盤の強化」については、人的資本の価値向上、DXによる顧客体験価値向上と技術基盤の強化、ガバナンスのさらなる強化に努めます。

最終年度の2026年度の業績目標は、売上高5兆5,000億円、営業利益5,000億円、親会社株主に帰属する当期純利益3,400億円とし、引き続きROE13%以上を目指します。また従業員の働きがい実感度を最大化させるとともに、2030年度までの新たなカーボンニュートラル計画を掲げ、環境経営を推進していきます。

なお、7次中計では、期間を5ヵ年に設定しました。当社グループの事業は、投資が不要な請負事業が中心であったところから、不動産開発事業のように先行投資が必要な事業の割合が増加してきています。不動産開発事業は、土地の仕入れから始まり、時間をかけて土地に磨きをかけていくため、結果が出るまでには一定の時間を要します。開発から売却まで高速で回転する収益モデルは、資本効率の向上にはつながりますが、従業員には今まで以上に負荷がかかり、労働人口の減少という観点からも持続性のある働き方が実現できるとは思えません。そこで、従業員や、取引先、お客さま、地域社会といったあらゆるステークホルダーの利益に配慮するステークホルダー資本主義を実現していくためにも、中長期的な価値創造に向けて収益モデルを進化させたいと考えています。“将来の夢”を踏まえ、今一度原点に立ち返り、お客さまに最も満足いただくために提供するべき“価値”は何かを改めて考えるとともに、時間をかけてステークホルダーの皆さまとの関係性を強固にすることで、持続的な成長モデルを構築していきます。

 

 

 

マテリアリティに向けた取り組みについて

 

①サーキュラーエコノミー

  &カーボンニュートラル

  -再生と循環を実現する

 環境経営の推進

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

環境課題への取り組み、気候変動への対応は、未来の子どもたちの「生きる」を支える取り組みだと認識しています。そうした考えのもと、環境課題に対しては、いち早く取り組んでおり、2021年8月には、2050年のカーボンニュートラルを目指す方針を公表しています。その実現に向けバックキャスティングし、2030年には、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量を2015年度比で40%削減する目標を掲げました。この目標達成に向け、7次中計では全事業で「カーボンニュートラル戦略」に取り組んでいきます。

まず、2040年に達成を目指すとしておりましたRE100(再生可能エネルギー100%)を17年前倒しし、2023年度の達成を目指すことに変更しました。既に、当社グループの電力使用量の1.3倍となる再生可能エネルギーの発電を行っており、これらの再生可能エネルギー価値を取得(非化石証書を購入)することで達成できる見込みです。私たちは自ら再生可能エネルギーをつくり、それを使う「再生可能エネルギーの自給自足」に取り組み、再生可能エネルギーの普及とRE100の達成を両立します。

一方、新築する自社施設に加え、各事業においてはZEHやZEB(※)の普及を進め、2030年には当社が新たに提供するすべての建物は原則ZEH・ZEBとすることを目指します。また、すべての建物に太陽光パネルの設置も進めていきます。これは、環境付加価値についてしっかりとご説明、ご理解いただいた上で、お客さま自身による設置を提案し、お客さまの事情により設置ができない場合は、当社が屋根をお借りし、自ら設置することで、100%の搭載を目指します。こうして発電した電力を、お客さまに使っていただくことでお客さまの、ひいては世の中の脱炭素化に貢献していきます。このように幅広い取り組みを行うことで、環境への取り組みと企業収益の両立を図り、2050年までにカーボンニュートラルを実現していきます。

※ZEH:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、ZEB:ネット・ゼロ・エネルギー・ビル

 

 

 

②地域社会の再生

 -日本国内における

 社会課題解決型事業

 

当社グループは、日本国内において深刻化している少子高齢化、空き家問題、地方や郊外の過疎化を対応すべき課題と認識し、その解決に向けた事業を推進しています。

 

 


 

リブネスタウンプロジェクト

私たちがこれまで開発してきた郊外型住宅団地(ネオポリス)等では、建物の老朽化や少子高齢化などの課題に直面しています。リブネスタウンプロジェクトは、「つくった責任、つかう責任」がなければ新しいまちをつくる資格はないという考えのもと、私たちが改めてまちづくりに関わることで、これらの課題を解決し、まちに活力と魅力を創出したいという想いを込め、「再耕」として、さまざまな実証実験をしながら取り組みを進めています。

「再耕」のためには、まちを支えてきた人々に「ここで過ごせてよかった」、新しい世代には「このまちに移り住みたい」と思ってもらえることが大切です。行政などと連携し、高齢者の健康維持に向けた取り組みや子育て支援の仕組みを既に検討しています。昨年は、コミュニケーションの場の創出に向けて、既存住宅をリノベーションした集会所を設置し、地域のお困りごとやニーズに対応しました。最近ではリモートワークの急速な浸透により、まちが鉄道沿線にある必要性も少なくなっています。社会変化に応じて多様化する価値観に応じて、新しい生き方の提案、新しい市場の創出を図っていきます。既に8ヶ所で進めていますが、今後さらに取り組み先を増やし、世代を超えて幸せが循環するまちづくりを手掛けていきます。

 

 

 

 

複合型開発

「再生と循環」を実現するためには、地方都市や郊外での地方創生に対して、地域経済の活性化や雇用創出に取り組まなければなりません。事業を通じてその地域のポテンシャルを最大限に引き出すことが、地域の活性化に貢献するものと考えています。これまでも広島や札幌などで住宅や商業施設、ホテルなどの複合再開発を手がけましたが、2021年度は、創業以来、多くの食品工場や冷凍・冷蔵倉庫を提供してきたノウハウを活かし、安全・安心な食の流通の再耕に向けた貢献として、富山県の公設卸売市場の建て替え事業にも着手しました。今後も、当社の強みのひとつであるグループのリソースを活かした複合開発・再開発を強力に推進していきます。

 

 

 

 


 

街並みの形成

現在、『再生可能エネルギーを活用したまちづくり』を全国で進めていますが、2021年には、施工から暮らしの電気まで、すべてを再生可能エネルギーでまかなう『実質再生可能エネルギー電気100%のまち「船橋グランオアシス」』が完成しました。

一方、街並み形成においては、今後、物流施設はひとつの重要な要素になると考えています。大型物流施設を建設することで雇用が生まれ、その地域の経済の活性化に貢献することができます。また当社では、開発した物流施設の屋根に太陽光発電システムを設置し、再生可能エネルギー電気を供給することで、環境エネルギー事業の拡大と社会への再生可能エネルギーの普及を同時に進めています。物流施設は、万が一、停電になっても電気を供給することが可能になっていることから、地域の防災拠点として活用する取り組みも進んでいます。

また、6G/7Gに向けたデータセンター整備、植物工場・陸上養殖施設などによる農業や漁業の工業化といった、生活インフラを支える施設開発にも注力していきます。住むだけのまちづくりではなく、社会課題の解決やその地域の特性を活かせるまちづくりを推進し、新しい街並みを形成していきます。

 

 

③グローバリゼーション

 -海外での社会課題解決

 型事業の展開

 


 

海外事業においては、国・地域によって異なる社会課題や地域の状況・フェーズに合わせたより価値の高いサービスの提供、国内外のノウハウの共有など、社会課題解決を見据えた地域密着型の事業展開が必要であると考えてきました。例えば、2008年頃から展開してきた中国の分譲マンション事業では、日本式の顧客サービス提供を取り入れ、お客さまの不満やトラブルにすばやくきめ細かく対応してきた実績が高く評価されています。まさしく現地のお客さまニーズを私たちの持つサービスで実現したケースと言えるでしょう。

7次中計では、米国と東アジアを重点領域として位置づけていますが、米国では3社(Stanley Martin、Trumark、CastleRock)の経営方針を尊重しながら、日本の優位性を加味し、事業を展開していきます。特に、現地のニーズに即した高品質な商品を安定的に供給するために、グループ購買の検討や、生産体制の高効率化を推し進めるなど、人手不足を見据えた「工業化」の手法も導入していく予定です。これらの取り組みを通じて生産体制を整備し、供給戸数10,000戸超の達成を目指します。

 

 

④DE&I-多様な価値観を

 受容し価値創造に活かす

 組織文化の醸成

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人財および組織体制については、ノウハウの共有や他社との協業による価値創出など、オープンイノベーションも含め、経営基盤の強化を進めていきます。事業領域が多岐にわたり、さらなる成長を目指す当社グループにとって、人財の育成および獲得は最重要課題と認識しています。

人財育成の場としては、2021年10月、みらい価値共創センター『コトクリエ』を奈良県に開所しました。企業理念の第一にある「事業を通じて人を育てること」を具現化する施設として、当社グループ従業員に留まらず、広く地域の皆さまや子供たちが活用できる、社会にオープンな場所としていきます。あらゆる世代がともに学び、考え、お互いに刺激を受け合いながら成長する場となるよう、さまざまなカリキュラムや活動を用意しています。このセンターから未来の価値を共創する「人財」が育ち、よりよい社会づくりに貢献できることを期待しています。

当社グループは、住宅メーカー、不動産デベロッパー、ゼネコンなどさまざまな顔を持っています。他に類を見ないポートフォリオを構築することができたのは、仕事をパッケージ化せず、お客さまそれぞれの課題をきめ細やかに、そして柔軟に解決してきたことによるものです。また、異なる考え方を持つ人財を育成すると同時に、キャリア採用などを通じて多様な経歴を持つ人財の獲得を重視してきた結果とも言えます。さまざまな個性やスキルを持ち寄って会社を発展させ、ステークホルダーの皆さまとのつながりを大切にしながら、時代背景に応じて変化する社会課題やお客さまのニーズにお応えしてきたことは、当社グループの一番大きな財産です。こうした企業風土を守り、磨いていくことが、独自性あふれる商品・サービスを生むために必要なことだと考えています。

また今後は、リーダーとなる人財には、多様な価値観を活かすことのできるマネジメントスキル(対話力・ルール策定力など)の習得が今まで以上に必要になると考えています。グループ会社間での交流も活発化させながら、マネジメント層の多様性確保、すなわち組織としてのダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)を推進していきます。

 

 

⑤デジタル変革

 -生き方の革新のための

 デジタル技術の最大活用

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当社グループのデジタル変革とは、お客さまへの提供価値の最大化と、安全性・生産性・品質を確保するものづくりの革新であり、生き方・働き方の革新に向けたデジタル技術の活用を意図しています。喫緊の課題である労働人口の減少、建設業界の厳しさ、労働時間規制に対応していくために、人手やコストをかけないシステム構築に向け、建設現場において最も重要である安全性・生産性・品質を確保しながら、省人化・無人化を進め、業界のリーディングカンパニーとして建設DXを推進していきます。

さらには業務プロセスの革新にデジタル技術を活用することで、新たな付加価値創出も目指していきます。加えて、当社グループが保有する多くのお客さまや建物の情報をビッグデータとして活用することで、当社グループの強みである情報資源のさらなる価値向上を図り、将来的にはお客さま一人ひとりに合わせた生き方・働き方をより豊かにする商品・サービスの提供を目指します。

 

 

⑥ガバナンス

 -未来を創るガバナンス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事業を通じて人を育て、持続可能な未来をつくるためのガバナンス強化も重要な課題です。次世代の経営人財の拡充に向けては、事業環境の変化に応じた柔軟な経営人財を配置するため、多様性を考慮した戦略的サクセッションプランを実施しています。2020年度から導入したサクセッションプラン「D-Succeed」から、すでに9名を経営人財として、事業所長や執行役員に登用しました。特に事業所長については、これまでは営業部門からの選出が中心でしたが、今回より技術・管理部門からも選出しており、多角的な視点からの事業経営を強化しています。このように事業所経営や、グループ会社社長という経験を積むことで、経営者としてのスキルや視座を高めることは、ひいては将来の経営幹部候補としての経営人財育成にもつながると考えています。

また、シナジーの創出によりグループ全体の成長を加速させるために、グループ会社との経営人財の交流も進めています。2022年4月、グループ会社の社長を大和ハウスの人事系担当役員に起用しましたが、DE&Iの推進につながる変化を期待しています。

2021年4月より導入した事業本部制では、事業本部長への権限移譲を進めて迅速な経営判断をする体制を構築してまいりましたが、当初想定していたよりもスピード感をもって機能しており、徐々に成果が生まれてきています。

 

 

ステークホルダーの皆さまへ

すべてのステークホルダーの皆さまから愛される存在であり続けます

 

創業者・石橋信夫の精神・企業理念はこれからも受け継ぎ、実践していくものであり、時代や会社の業態がどんなに変わろうとも、変わることはありません。全従業員が新たな羅針盤(“将来の夢”)が示す未来に向けて取り組み、すべての人の「生きる」を支えながら、これからもお客さまや社会の期待に応え、株主の皆さまの期待にも応える会社へと成長し続け、社会の公器として、社会的な責任・役割を果たしていきます。

 

 

<TCFD(気候変動財務情報開示タスクフォース)への対応>

 

当社グループでは、「気候変動の緩和と適応」を重要な経営課題のひとつに位置づけ、気候変動戦略の遂行に責任をもつ環境担当役員を選任。環境担当役員を委員長とする「全社環境推進委員会」を設置しております。年2回実施する当委員会は、気候変動を含む当社グループの環境活動に関する基本的事項及び環境に関するリスクや機会について審議・決定し、全グループの環境活動を統括しております。

また、中期経営計画に合わせて策定している環境行動計画「エンドレス グリーン プログラム」は、グループ全体の気候変動問題に関する戦略・パフォーマンス目標・計画・リスク管理方針が含まれており、環境経営に関する重要な事項として、取締役会への報告事項としております。なお、計画期間中は、各種管理指標の実績の取りまとめに合わせて、年1回、環境担当役員が取締役会に進捗状況を報告し、適宜、戦略や目標、計画等の見直しを行っております。

2021年度は、取締役会において新・環境行動計画「エンドレス・グリーン・プログラム2026」の基本計画について審議を行い、2026年度環境目標の水準を決議いたしました。

 

 


 

 

会議体

主なメンバー

気候変動に関する主な役割

開催頻度

取締役会

取締役、

社外取締役

気候変動戦略の監督

月1回程度

コーポレートガバナンス

委員会

代表取締役、社外取締役、

監査役、社外監査役

気候変動戦略に関する重要事項について討議のうえ、取締役会に提言

年2回程度

全社環境推進委員会

環境担当役員、

事業本部環境統括責任者、

本社機能部門長

気候変動戦略の立案・審議・決定、全社管理指標の進捗管理

年2回程度

グループ環境経営会議

グループ会社環境担当役員

気候変動戦略のグループ展開

年2回程度

事業本部環境委員会

事業本部長、環境統括責任者、

環境推進責任者

気候変動戦略の実行、個別管理指標の進捗管理

年2回程度

 

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)リスクマネジメント体制について

当社は、「リスクマネジメント規程」を制定し、リスクを「大和ハウスグループに損失を与えるおそれのある事象」と定義した上で、リスクについての平時・有事の対応体制を明文化しております。具体的な体制は、以下のとおりです。

1.平時の体制

経営管理本部長をリスクマネジメント統括責任者に選任して、同責任者が当社グループ全体のリスクマネジメント体制の構築・運用・監督を実施する体制としております。そして、同責任者の監督の下、当社の各事業におけるリスクの顕在化の予防、顕在化したリスクへの対応を推進するための組織として、事業単位のリスク管理委員会(事業本部リスク管理委員会)を設置しております。

これらの体制を含む当社グループ全体の内部統制システムを監督する組織として内部統制委員会を設置しております。同委員会の委員長は社長が、副委員長は経営管理本部長(リスクマネジメント統括責任者)が務めております。

また、リスクをはじめとする当社グループの持続的成長を阻害するおそれのある事実を早期に発見・是正することを目的として、「大和ハウスグループ内部通報規程」を制定し、複数の内部通報窓口を設置・運用しております。運用にあたっては、公益通報者保護法の趣旨を踏まえて通報者氏名・通報内容の厳秘や、不利益な取扱いを禁止する旨を同規程に定めるとともに、「社内リーニエンシー制度」の導入や、利益相反する関係者を排除して通報に対応する仕組みの構築等、より実効性を高めるための取組みを実施しております。

 


 

 

2.有事の体制

重大リスクが顕在化した場合には、緊急対策本部を立ち上げて対応し、業績等への悪影響の最小化に努めております。具体的には、「リスクマネジメント規程」において、顕在化したリスクのうち当社グループ又はそのステークホルダーに特に重大な影響を及ぼすおそれのあるものについて、緊急対策本部を設置して、当該重大リスクへの対応・再発防止策の検討・推進を行うことを定めております。その上で、リスクマネジメント規程の下位規範である「緊急対策本部設置・運営細則」において、緊急対策本部の設置基準・メンバー・運営手順・業務等を明文化することで、速やかに緊急対策本部を立ち上げて適正な対応を執ることができる体制としております。

 

(2) 当社グループの事業等に関するリスクについて、連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を与える可能性がある事項には、以下のようなものがあります。なお、本項において将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

<当社グループのリスク一覧>

分類

具体的内容

外部要因

1)法令・政策

① 法的規制

② 海外事業

③ 住宅関連政策・税制の変更

2)事業環境

④ 特定の取引先・製品・技術等への依存

⑤ 原材料・資材価格・人件費等の高騰

⑥ 競合

⑦ 建設技能労働者の減少

3)不動産市場

⑧ 不動産を含む資産の価値下落

⑨ 不動産開発事業

4)ファイナンス

⑩ 金利の上昇

⑪ 退職給付費用

⑫ 賃貸用不動産における空室及び賃下げ

5)ハザード・突発的事象

⑬ 情報セキュリティ

⑭ 自然災害・気候変動

⑮ 感染症

内部要因

 

⑯ 事業戦略・グループ戦略

⑰ 品質保証等

⑱ 安全・環境

 

 

1.外部要因

  1)法令・政策

① 法的規制に関するリスク

リスク内容

  国内、海外を問わず、法的規制が改廃されたり、新たな法的規制が設けられたりした場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、国内、海外における建設・不動産事業を行っており、国内においては会社法、金融商品取引法、建築・不動産関連法令、環境関連法令、各種業法等、海外においてはそれぞれの国・地域の法的規制の適用を受けます。また、グループ会社においては、ホテル事業、物流事業、保険事業、スポーツクラブ運営事業、クレジットカード事業等の多種多様な事業を行っており、各事業の業法その他の関連法令がそれぞれの会社に適用されます。このように、当社グループの事業に関連する法令は広範にわたっており、法的規制の改廃や新設によっての影響を受ける場面は少なからず存在しているものと考えられます。

  また、法的規制に違反した場合、処罰、処分その他の制裁を受けたり、当社グループの社会的信用やイメージが毀損されたりすることで、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策

  当社グループの事業に関連する法的規制の改廃や新設に関する情報については、その動向を常にモニタリングしており、当社グループの事業内容や業績等に影響を及ぼすリスクがある情報を入手した場合は、リスクを最小化するために、事前に対策を講じる体制としております。

  また、当社グループにおいては、経営管理本部長をリスクマネジメント統括責任者に選任し、当社グループ全体のリスクマネジメント体制の構築・運用・監督を実施する体制とするとともに、その監督の下、リスクの顕在化の予防、顕在化したリスクへの対応を推進するための組織として、事業ごとにリスクマネジメントを行う体制を構築・運用しております。さらに、従業員に対する積極的な法令知識の研修・啓蒙や、各種マニュアル・チェックリストの作成を推進するなどの対策を講じております。

  万一、重大なリスクが顕在化した場合には、緊急対策本部を立ち上げて対応し、業績等への悪影響の最小化に努めるとともに、再発防止を徹底しております。

 

 

② 海外事業に関するリスク

リスク内容

  当社グループは、海外事業において、急激なインフレーションや為替相場の変動、政治・経済情勢の不確実性による内乱、暴動、戦争、外交関係の悪化や法令上の制約等による事業遂行・代金回収の遅延・不能・送金の制約等が発生するリスク、不動産引き締め政策等の法制度の改正や政策の変更による購買意欲減退等、外的要因に基づく様々なリスクを負っており、これらのリスクが顕在化した場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策

  国内の海外本部・経営管理本部を中心に、海外の各エリアの特性に応じた地域統括会社(以下RC)を設置し、各RCに管理部門責任者を配置するなど地域に密着したガバナンス体制の構築を推進しております。また、多様化する文化・習慣、税務・法律解釈、労務問題等のリスク情報をいち早く現地にて発見・共有し、対応策や未然防止策等を講じております。

 

 

 

③ 住宅関連政策・税制の変更に関するリスク

リスク内容

  住宅ローンの金利優遇措置、住宅取得やリフォーム工事に対する補助金・助成金・給付金制度等の住宅需要刺激策の変更もしくは廃止により、住宅需要が減退し、当社グループの住宅関連事業に影響を与える可能性があります。また、消費税率の引き上げや住宅ローン減税等の税制の変更・廃止等により、住宅取得にかかるお客様の資金負担が増加した場合には、戸建住宅やマンション等の購買需要が減退する可能性があり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策

  各種補助金・助成金・給付金制度等については、制度内容の改変・廃止・受付終了等の情報を常にモニタリングし、制度の変更に応じた施策を講じております。

  また、お客様毎のライフスタイルに合わせた「生き方」提案や付加価値の高い商品を企画することにより、お客様の需要を喚起し、住宅需要の減退が業績に与える影響を軽減する対応に努めております。

 

 

  2)事業環境

④ 特定の取引先・製品・技術等への依存に関するリスク

リスク内容

  当社グループは、商品・サービスの提供や、商品の原材料の製造等の一部について、一定の技術を保有する事業者に委託しておりますが、世界の地政学的リスクの発生や感染症等に起因する資材高騰、材料逼迫、納期遅延により、突発的に商材・部品・素材の供給不安が発生するリスクや、取引先の倒産による供給停止が起こるリスクがあります。これらのリスクが顕在化した場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策

  当社グループは、上記のようなリスクが顕在化する事態を防止すべく、集中的に調達する物品については、一部の特別な仕様・性能・機能を持つ物品を除き、原則として2社以上と調達契約を締結することとしており、分散的に発注・委託を行うよう努めております。また、調達数量や代替製品の調達難易度などを検討し、優先度の高い物品から、供給先の複数拠点化、仕様変更、代替品提案、調達リードタイムの見直し、適正在庫の確保等の対策を講じております。また、継続的に調達先の与信管理を行い、供給不安のある取引先については、取引の継続の是非について、関連部門で協議を行い早期に判断できる体制を構築しております。

 

 

⑤ 原材料・資材価格・人件費等の高騰に関するリスク

リスク内容

  当社グループでは建物の建築やサービスの提供にあたり、多くの原材料や資材の調達及び下請事業者への発注を行っていますが、原材料、資材の価格や人件費等が高騰し、それを販売価格に転嫁できない場合は、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。特に世界的な異常気象や為替市場の変動、地政学的リスクの影響により、原材料や資材価格、エネルギー価格が急激に高騰した場合は、販売価格への転嫁が行えず、製造コストや物流コストの上昇につながるリスクがあります。また、依然として続く新型コロナウイルスの蔓延も原材料・資材価格の上昇に影響を及ぼしており、建築コストが増加するリスクが考えられ、これらのリスクが顕在化した場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策

  原材料・資材価格等が高騰するリスクに対しては、①仕様の見直し、②複数の取引先から仕入れることによる安定供給の維持、③新規材料の採用検討、④取引先製造拠点の変更による運搬費見直しや輸送方法の見直し、⑤取引先と連携した製造ラインの改善活動によるコストダウンなどにより、コスト上昇の抑制に取組んでおります。また、グループ会社と連携し、手配数量の集約によるスケールメリットを追求、今後の施工予定の情報を早期に入手し、事前に手配予想数量を取引先に提示することで、取引先の経費を抑えつつ、価格交渉時のコスト上昇の抑制に努めております。また、工場においては、生産ラインの効率改善、資材、労務の早期手配により原価抑制を図っております。

  人件費(労務単価)等が高騰するリスクに対しては、デジタル化やものづくりの見直しにより、現場施工の省人化・省力化を推進して生産性向上を図り、原価上昇を抑えるように努めております。

 

 

 

⑥ 競合に関するリスク

リスク内容

  当社グループは、建設・不動産事業をはじめとする様々な事業を行っており、これらの各事業において、競合会社との間で競争状態にあります。当社グループが、商品の品質や価格、サービスの内容、営業力等の観点から、これらの競合会社との競争において優位に立てない場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策

  当社グループでは、事業本部制のもと、業界に属する他社動向に関する情報を収集・分析し、必要に応じて自社事業の戦略に反映しております。

  また当社独自の土地を起点とした情報力や開発力、顧客目線に立った課題解決力などの強みを活かし、競合他社との過度な競争に巻き込まれないよう努めております。

 

 

⑦ 建設技能労働者の減少に関するリスク

リスク内容

  当社グループの主たる事業である建設工事事業には多くの建設技能者が必要ですが、日本の建設業就業者数は右肩下がりに減少しており、今後もさらに減少するとの推計もあります。人口減少の影響を受けて今後更に建設業就業者が減少すると、工程の遅れや人件費の高騰を招き、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また、建設業就業者は高齢化が進行し、次世代への技術承継が大きな課題となっており、次世代の建設業就業者が確保できない場合には、国内での事業継続に悪影響を及ぼす可能性もあります。

対応策

  当社グループでは、建設業の担い手の中長期的な育成・確保のために国土交通省が定める基本理念や具体的措置に則り、現場の働き方改革を推進するとともに、建設技能者の処遇改善に取り組んでおります。

  現場の働き方改革においては、2021年度よりすべての現場で4週8休を推進しております。加えて、建設現場における労務管理を徹底するために、取引先へのグリーンサイト(※)加入支援や建設キャリアアップシステムによる現場作業員の入退場管理を行っております。

  また、建設技能者の処遇改善として、2019年4月より取引先に対する下請代金の全額現金支払いに移行しております。加えて、優秀技能者認定制度を設け、所定の技能力を保有している建設技能者の所属する施工店へ手当の支給を行うとともに、建設技能者の増加、育成に向け、技能者育成資金補助制度、新規技能者育成研修を通じて、施工店への育成支援を行っております。

  さらに、当社グループでは、先進的な建設工程の実現に向けDXやBIMを推進しております。BIMにより、データ一元化によるプロセスの最適化を図って生産性向上につなげるとともに、デジタルコンストラクションプロジェクトでは、施工作業におけるロボティクスなどの活用による省人化や、建設現場状況の可視化による生産性向上に取組んでおります。

 

※ 労務・安全衛生に関する書類を電子的に作成・提出・管理するためのインターネットサービス。

 

 

  3)不動産市場

⑧ 不動産を含む資産の価値下落に関するリスク

リスク内容

  当社グループは、国内及び海外において不動産の取得、開発、販売等の事業を行っており、不動産市況が悪化し地価の下落、賃貸価格の下落が生じた場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、その場合には、当社グループが保有する不動産の帳簿価額の引き下げを行う必要が生じる可能性があります。

  さらに、当社グループが所有する不動産以外の棚卸資産や有形固定資産、のれんなどの無形固定資産、投資有価証券等の投資その他の資産についても、市場動向に応じて帳簿価額の引き下げを行う必要が生じる可能性があり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 当社グループは多岐にわたる事業展開を行っており、その中で所有する不動産に適した事業を選択することで資産価値向上に努めております。なお、自社所有の不動産については定期的に鑑定評価をとるなどモニタリングを行い、価値下落の兆候が認められるものについては適正に対処しております。また、不動産以外の市場価額の変動リスクがある資産は、事業上の必要性がある場合を除き、原則として保有しない方針としており、保有している資産の価格変動リスクについては定期的にモニタリングを行っております。

 

 

⑨ 不動産開発事業に関するリスク

リスク内容

  当社グループは、中長期的な戦略として不動産開発事業に重点を置き、住宅団地、分譲マンション、賃貸住宅、商業施設、物流施設、ホテルなど、様々な用途の不動産開発を行っております。これらのプロジェクトは完了までに多額の費用と長い期間を要する不動産開発事業であり、プロジェクト進行中において、様々な事由により、想定外の費用発生、プロジェクトの遅延もしくは中止を余儀なくされる場合があり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策

  当社グループでは、不動産を含む重要な投資の実行にあたっては、事業投資委員会で事業性やリスクを評価し審議しております。不動産開発事業の場合はIRRを主要な指標としておりますが、同時に、その事業が当社グループの経営理念・経営戦略・ブランドイメージと合致しているか、また、法的リスク、土壌・地下水汚染、地盤リスク、災害リスク(洪水等)、環境問題、建築費の妥当性等、ESGを含む多面的なリスク評価(16部門、 26項目)を行い審議しており、経済的な観点からは基準を満たす投資案件であっても、当該投資実行が当社の目指すべき姿・ビジョンと大きく相違する場合や、環境への影響が大きい場合等には、当該投資は実施しません。なお、リスク評価項目の見直しは定期的に行っております。そのほか事業投資についても不動産開発と同様にリスク評価を行い、審議しております。

 

 

 

  4)ファイナンス

⑩ 金利の上昇に関するリスク

リスク内容

  当社グループは不動産開発を中心とした資金需要に対応するため、資本効率を考慮しながら、自己資本と共に有利子負債による資金調達を行っております。そのため、市場金利の上昇や当社格付の低下等により、資金調達コストが上昇し、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

  また、市場金利の上昇によって、融資を利用して土地や建物を取得するお客様の支払総額が増加し、購買意欲が減退する事で業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策

  当社では、運転資金について、調達コストの低い短期借入金やコマーシャルペーパー等を中心に調達しております。一方、不動産開発等の回収に時間がかかる投資については、長期調達により流動性リスクを低減しております。長期調達については、不動産の売却期間に合わせ期間5年を中心に調達しておりますが、有利子負債が増加する中、リファイナンスリスクを減らすため、さらに期間が長い超長期の調達も実施しております。また、急激な資金市場金利の悪化による悪影響を受けないようにするため、原則として固定金利で調達するとともに、市場金利が低下するタイミングでは低い金利を享受できる変動金利による調達もバランスよく組み合わせております。特に足下の金融緩和による良好な調達環境においては、長期及び超長期を固定金利により調達しております。

  また、金融機関との良好な関係構築に努め、社債による直接金融での調達とともに、間接金融でも調達することで、安定的な資金調達を行っております。格付の維持については、目標とする財務規律を設定し、財務規律を意識した経営を行っております。

  また、融資を利用されるお客様に対しては、常に各金融機関における最新の融資商品等を把握し、お客様のニーズに即した融資のご提案を行うとともに、税理士やファイナンシャルプランナー等の外部専門家と連携することで、お客様のトータル的なファイナンスサポートを行い、最適な土地建物計画のご提案ができるように努めております。

 

 

⑪ 退職給付費用に関するリスク

リスク内容

  当社グループは、確定給付型の制度として企業年金基金制度及び退職一時金制度、また、確定拠出型の制度として確定拠出年金制度を設けております。確定給付型の制度においては、株式市場や為替市場等の金融市場が変動した場合等に、割引率をはじめとした基礎率の変動による退職給付債務の多額の増減や、多額の年金資産運用損益が発生し、退職給付にかかる費用が大幅に変動する可能性があります。なお、当社グループでは退職給付会計に係る数理計算上の差異について、発生年度に一括して費用処理しているため、年金資産の運用環境が大幅に変動した場合や、退職給付債務の計算に用いる基礎率が変動した場合、当該事象が発生した事業年度の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

対応策

  年金資産の変動リスクに対する対応策として、大和ハウス工業企業年金基金では資産運用委員会を設置し政策的資産構成割合の策定・見直し、運用受託機関の選任・評価等を実施しており、年金資産の運用は、許容可能なリスクの範囲内で、リスクリターン特性の異なる複数の投資対象に分散投資することを基本としております。

  しかしながら、当社グループの期末年金資産残高は、4,858億円となっており、株式市場や為替市場等の影響を大きく受け、2022年3月期においては、主に年金資産の運用益(評価益を含む)に起因する退職給付会計に係る数理計算上の差異が520億円(費用の減少)発生いたしました。「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号)においては、数理計算上の差異は平均残存勤務期間以内の一定の年数で按分した額を毎期費用処理すると定められており、その中でいわゆる「遅延認識」を行う事で発生期の業績への影響を緩和する事が認められていますが、当社は2003年3月期以降、発生時の一括償却を行っており、この償却方法を変更することは「会計方針の変更」に該当いたしますが、年金資産残高の増加や業績への影響が高まっていることは、正当な理由に当てはまらない事から、現在の会計制度では変更が認められておりません。なお、当期の営業利益3,832億円から数理差異等を除いた営業利益は3,322億円となります。

 

 

 

⑫ 賃貸用不動産における空室および賃下げに関するリスク

リスク内容

  当社グループは多くの賃貸目的の不動産を所有・管理していますが、入居者・テナント獲得の競争の激化等により、入居者や賃料が計画通りに確保できなくなる可能性があります。既存テナントが退去した場合、代替テナントが入居するまでの空室期間が長期化し、不動産の稼働率が大きく低下する場合もあります。その場合、代替テナント確保のため賃料水準を下げることもあり、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策

  賃貸目的の不動産を管理する事業毎に、エリアの特性や社会情勢等を踏まえ、入居者やテナント企業のニーズを的確に捉えた競争力の高い施設を提供することで、空室及び賃下げリスクを最小限にとどめるよう努めております。

 

 

  5)ハザード・突発的事象

⑬ 情報セキュリティに関するリスク

リスク内容

  当社グループは、DXによる新たな価値創造・事業の円滑・効率的な運用等を目的として、ITシステムの利活用を推進しておりますが、サイバー攻撃等により、ITシステムが長期間にわたり正常に作動しなくなった場合、当社グループの業務が著しく停滞し、業績等への悪影響が生じる可能性があります。また、個人情報や法人の秘密情報等が外部に漏えいした場合には、当社グループの社会的信用に影響を与え、また損害賠償等を行う必要が生じることにより、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策

  当社では、ファイアウォールなどのいわゆる入口対策・出口対策のほかにもエンドポイントの監視等、あらゆるアクセスを検証対象として情報保護対策を行っており、セキュリティ専門組織であるCSIRT(Computer Security Incident Response Team)・SOC(Security Operation Center)を設置して、セキュリティ・インシデントに対応しております。また、情報セキュリティに関する規程(「個人情報保護規程」、「情報管理規程」等)を整備し、加えて情報セキュリティに関するEラーニングや標的型攻撃メール訓練を役職員等に対して実施するなど教育・研修の徹底を図っております。また、グループ会社に対しても、脆弱性情報等のセキュリティトピックを共有するとともに、セキュリティレベルの実態把握、セキュリティ施策導入の推進、問題解決の指導等を実施しております。

 

 

⑭ 自然災害・気候変動に関するリスク

リスク内容

  当社グループは、国内及び海外に事務所・工場・研究開発等の施設を展開しており、地震や火山の噴火、台風や水害等の大規模な自然災害の発生により、従業員や施設・設備等への直接的な被害のほか、情報システムや通信ネットワーク、流通・供給網の遮断・混乱等による間接的な被害を受ける可能性があります。また、地震、台風、水害の際には、当社が過去に建築した建物に被害が生じる可能性があり、これらの場合には、被害回復のための費用や事業活動の中断等による損失、またお客様の所有建物に対する点検や応急処置の実施、その他社会的な支援活動を行うための費用等が発生し、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策

  当社グループでは、気候変動の緩和策に取組むとともに、いわゆるBCMについての規程・マニュアルを策定することで、自然災害発生時の対応を適正・迅速に行うことができるよう事前の対策を講じております。また、食料の備蓄、蓄電池設備の配備、IP無線や衛星電話の導入等の通信環境の整備、サプライチェーンにおける事業継続計画の策定も行っており、リスクが顕在化した場合の業績等への悪影響を最小化するための取組みを行っております。

 

 

 

⑮ 感染症に関するリスク

リスク内容

  当社グループでは各営業拠点、工場のほか、建設現場や商業施設などの人が集まる施設を保有しており、重大な健康被害をもたらす感染症が大規模に蔓延した場合、感染拡大を防止する観点から、営業活動や工事現場の操業を停止せざるを得なくなる可能性があり、また不動産市況の悪化により、不動産の取得・開発等の事業に悪影響が出る可能性があります。特にホテル事業やスポーツクラブ運営事業等においては、稼働率の低下や単価の引下げにより、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策

  上記のリスクは、外的要因に起因するものであるため、リスクが顕在化する可能性の程度や、業績等への悪影響の程度を合理的に見積もることは困難です。しかしながら、リスクが顕在化した場合には、まずは当社グループのステークホルダーの健康被害を最小化することを最優先に取組む方針であり、感染拡大を防ぐため、感染リスクの高い国・地域への渡航の禁止、事業所の閉鎖、テレワーク(在宅勤務)等の対策を実施しております。

 

 

2.内部要因

⑯ 事業戦略・グループ戦略に関するリスク

リスク内容

  当社グループは、事業戦略上、中長期的観点に立ち、必要に応じて企業や事業の買収、組織再編又は売却等を行っております。

  しかしながら、企業や事業の買収、組織再編及びこれらの実行後の統合手続等が想定どおりに進行せず、グループ内におけるシナジー効果が期待通りの成果をもたらさないことや、事業環境の前提条件の大幅かつ急激な変化等により、事業戦略上想定した利益が達成できない場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策

  事業環境は常に変化することから、上記のリスクが顕在化する可能性の程度や、業績等への悪影響の程度を見積もることは困難です。しかしながら、当該リスクへの対策として、買収等検討の際は、買収目的を明確にし、買収前に各種専門家を交えてデューディリジェンスや株式価値評価を行うことで、買収先の企業価値、事業計画の実現可能性等を適正に評価し、買収の是非の判断を行う体制としております。さらに、買収実施後、一定のPMI期間を設けており、専門の部署がPMIを推進することにより、企図した目的を達成しシナジーの最大化を図っております。また、PMI期間終了後には、主管部門の移管を行い、事業本部制によるグループ経営に移行し、事業本部主導でシナジーを追求し、グループ全体での企業価値向上と中長期的成長を実現できるよう取組んでおります。

 

 

⑰ 品質保証等に関するリスク

リスク内容

  当社グループの住宅関連事業は、お客様の満足度を高めるために長期保証システムを提供しております。品質管理には万全を期しておりますが、長期にわたるサポート期間の中で、予期せぬ事情により重大な品質問題が発生した場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策

  設計時には法的規制の遵守状況をモニタリングし、施工中においては、施工部門と異なる部門において品質検査を実施しております。更にお引渡し後の建物を定期的に点検・診断を行い、劣化診断等の長期サポート期間中の建物のモニタリングを行うことで重要な品質に関して、技術部門で情報共有し、業績等に悪影響を及ぼす可能性を最小化する体制を構築しております。

 

 

 

⑱ 安全・環境に関するリスク

リスク内容

  当社グループは、工場、建設現場等を多数有しているため、特に安全、環境面を最優先に配慮、対策のうえ事業を行っております。しかしながら、これらの配慮、対策にもかかわらず現場事故、環境汚染等の事故等が発生した場合には、人的・物的な被害等により業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策

  安全面でのリスクに対しては、施工現場の定期・特別パトロール、安全衛生協議会を通じて、当社および施工会社の従業員に対する指導・教育を行い、リスクを低減しております。

  また、環境面でのリスクに対しては、有害化学物質を代替・削減する取組みを推進するとともに、教育や訓練を実施しており、建設業において重要度の高い土壌汚染問題に対しては、専門部署を設置するなどの方法によりリスクを低減しております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

1.財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、長引く新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を大きく受けた1年となりました。国内景気は緩やかな持ち直しの動きがみられましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返される中で、個人消費の持ち直しに足踏みがあるなど一部に弱さがみられました。さらに、深刻化するウクライナ情勢により、資源や原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、供給面での制約等による世界経済の下振れリスクが拡大するなど、これまで以上に先行き不透明な状況が続く厳しい事業環境となりました。

国内の住宅市場では、住宅取得支援策の実施や生活様式の変化を背景に住宅取得への関心が高まり、新設住宅着工戸数において、持家・貸家・分譲住宅の全てで前年度比プラスとなりました。一般建設市場でも、建築物の着工床面積において、事務所・店舗・工場・倉庫の使途で増加しており、全体でも前年度比プラスとなりました。

そのような事業環境の中で当社グループは、本年度を最終年度とする3ヵ年計画「大和ハウスグループ第6次中期経営計画」に基づき、グループ全体でガバナンス体制の抜本的な見直しを図り、事業構造や組織体制の変革に向けて経営改革を進めてまいりました。そして、2021年4月には事業本部制の運用を本格始動し、事業特性に応じたリスクマネジメント体制を強化するとともに、グループ会社も含めた事業バリューチェーン一体でお客様に価値あるサービス提供していくことを追求してまいりました。

また、積極的な不動産投資で物流施設の開発強化を行い、物流ディベロッパーのトップランナーへと大きく成長し、海外事業においても、北米を中心に今後のグループ成長を牽引するための事業経営基盤を整備いたしました。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は4,439,536百万円前連結会計年度比7.6%増)、営業利益は383,256百万円前連結会計年度比7.3%増)、経常利益は376,246百万円前連結会計年度比11.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は225,272百万円前連結会計年度比15.5%増)となりました。

なお、上記の営業利益には退職給付数理差異等償却益50,989百万円を含んでおり、数理差異等を除いた営業利益は332,267百万円(前連結会計年度比0.8%増)となりました。

 

 

セグメント別の概況は次のとおりです。

 


 

 

戸建住宅事業では、事業本部制移行に際し、事業ミッション「『続く幸せ』を、住まいから」及び、事業ビジョン「LiveStyle Design(リブスタイルデザイン)~家を、帰る場所から『生きる』場所へ~」を策定し、新しいミッション・ビジョンのもとで、お客様の人生に寄り添い、地域に密着した事業展開を推進してまいりました。

2021年4月に木造とRC造の混構造を採用した当社最高級戸建住宅商品「Wood Residence MARE-希-(マレ)」を発売するとともに、Webサイト上で楽しく簡単に家づくりを体験できる「Lifegenic(ライフジェニック)」や、当社オリジナルのテレワークスタイル「快適ワークプレイス」・「つながりワークピット」、家族で家事をシェアする「家事シェアハウス」など、社会や生活の変化をとらえた多彩な商品と住まい方の提案で、お客様の課題解決と新たな価値の提案に積極的に取組んでおります。さらに、事業本部傘下の関連グループ会社とバリューチェーン改革に取組み、新築住宅だけでなく、リフォームや自宅の住み替え・売却、ご家族の住まい探しや家具の提案等、「大和ハウスの住まい」という基盤を用いて、今後もお客様のライフタイムバリューに対応した提案の拡大に取組んでまいります。

海外では、主要進出エリアである米国において、経済が好調な米国東部・南部・西部を結ぶスマイルゾーンでの戸建住宅事業の展開を進め、東海岸のStanley Martin Holdings, LLC、西海岸のTrumark Companies, LLCに加えて、2021年9月に南部のCastleRock Communities LLCを当社グループに迎えることで事業拡大の基盤を強化してまいりました。また、米国においても新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響としてサプライチェーンの混乱や行政当局の許認可業務の遅延が発生しておりましたが、戸建住宅の需要は引き続き堅調であること、安定供給に向けた資材調達の強化に注力し影響を最小限に抑えることができていることから、期初計画を上回る業績を達成いたしました。

以上の結果、当事業の売上高は626,889百万円前連結会計年度比21.5%増)、営業利益は29,708百万円前連結会計年度比36.2%増)となりました。

 

 


 

 

賃貸住宅事業では、ご入居者様に選ばれ、長く住み続けたいと思っていただける住まいをご提供し、オーナー様の資産価値の最大化・長期安定経営に繋がる賃貸住宅経営のご提案とサポートに取組んでおります。感染防止対策の徹底と社会経済活動の両立が進み、緊急事態宣言の発令等により停滞していた対面営業での提案機会が増える中で、分譲賃貸物件や環境負荷低減につながるZEH-M物件等の販売を推進してまいりました。また、Webセミナーについても引き続き定期的に開催し、最新の土地活用・賃貸住宅市場等の情報提供を通じて、お客様との継続的な関係構築を行ってまいりました。

大和リビング株式会社では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響下において、ご入居者様の転居が抑制されたことや、テレワーク等の新しいライフスタイルの浸透に伴い、インターネットを標準導入した物件へニーズが高まっていることにより、高い入居率を維持いたしました。また、同社グループの大和リビングケア株式会社では2021年12月、全国で17棟目となるサービス付き高齢者向け住宅「D-Festa(ディーフェスタ)柏たなか」(千葉県)をオープンいたしました。なお、大和リビング株式会社と大和リビングマネジメント株式会社は、2022年1月1日付で大和リビング株式会社を存続会社とする吸収合併により経営統合いたしました。意思決定の迅速化とワンストップ体制により、オーナー様やご入居者様の更なる利便性向上を目指してまいります。

海外では、主な展開エリアとなる米国において、2021年8月にテキサス州で開発した賃貸住宅を売却し、物件売却実績は2016年の売却第1号案件から累計で5件となりました。稼働中物件においても、経済活動が徐々に改善していることから入居が順調に進んでおり、物件売却に向けて順調に稼働実績を積み上げております。

以上の結果、当事業の売上高は1,029,195百万円前連結会計年度比4.7%増)、営業利益は94,337百万円前連結会計年度比3.9%増)となりました。

 

 


 

 

マンション事業では、お住まいになる方々の多彩なライフスタイルに応えるため、ハウスメーカーとして培ってきたノウハウを駆使しながら、長寿命の住まいに欠かせない基本性能や快適性、安全性、管理体制の提供を追求してまいりました。そして、お客様にとっての資産価値に加えて、環境や社会への配慮、地域社会への貢献を目指した付加価値の高いマンションづくりに努めております。

駅前大規模複合再開発物件である「プレミストタワーズ札幌苗穂」では、2街区の内、1街区(アクアゲート)が2022年1月に完成し、JR苗穂駅や大型商業施設に直結している利便性の高さと、充実した共用部・併設施設が高く評価され、早期に完売いたしました。また、「プレミスト大濠二丁目」(福岡県)では、大濠公園近接という福岡市内随一の立地に加えて、建物の高断熱化及び高効率・省エネ設備機器を採用することによりZEH-M Oriented認証を取得、自然や生態系の保全活動を目指したABINC認証を取得するなど、環境や次世代を見越した仕様が評価され、販売が順調に進捗しております。

株式会社コスモスイニシアでは、都心の優良不動産を低予算で取得可能にする共同出資型の投資用不動産「セレサージュ豊洲」(東京都)の販売が好調に推移し、総募集口数を完売いたしました。

大和ライフネクスト株式会社では、マンション1棟1棟に合わせたオンリーワンの防災マニュアルを制作するサービスを2021年6月より発売開始した他、横浜市消防局監修による「VR(バーチャルリアリティ)消防訓練サービス」を株式会社理経と共同開発し、2021年11月より同社が管理を受託するマンション管理組合向けに提供を開始いたしました。

海外では、中国において、「グレースレジデンス(和風雅頌)」(南通市)及び「グレースレジデンス(琅越龍洲)」(常州市)にて早期に住戸が完売となるなど好調な事業展開を進めており、新たに蘇州市での開発事業にも着手しております。

以上の結果、当事業の売上高は379,865百万円前連結会計年度比11.8%増)、営業利益は9,762百万円前連結会計年度比80.9%増)となりました。

 

 


 

 

住宅ストック事業では、当社施工の戸建・賃貸住宅を所有されているオーナー様に対し、インスペクション(点検・診断)を通じたリレーションの強化や保証期間延長のためのリフォーム提案を強化してまいりました。併せて法人のお客様の事業用資産に向けたメンテナンス提案に注力し、受注拡大を図ってまいりました。

様々な住まいのニーズにワンストップサービスでお応えする「Livness(リブネス)」では、コロナ禍における営業活動としてオンラインセミナーを実施してまいりました。住宅事業部門においては、全国60拠点のリブネス課を設置し、オーナー様を中心に、住み替えや売却、リノベーションなど様々なご相談に対して、当社グループをあげて対応しております。

以上の結果、当事業の売上高は126,955百万円前連結会計年度比1.8%増)、営業利益は8,877百万円前連結会計年度比15.0%減)となりました。

 

 


 

 

商業施設事業では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況を考慮しながら、テナント企業様の事業戦略やエリアの特性を活かし、ニーズに応じたバリエーション豊富な企画提案を行ってまいりました。特に、大型物件への取組みの強化や、投資用不動産の購入を検討されているお客様に向けて当社で土地取得・開発企画・設計施工・テナントリーシングまで行った物件を販売するなど業容の拡大を図り、事業を推進してまいりました。

また、大和情報サービス株式会社とダイワロイヤル株式会社では、更なる事業シナジーの最大化、経営効率化を図ることを目的に、2021年10月1日付で経営統合し、社名を大和ハウスリアルティマネジメント株式会社へ変更いたしました。同社では、海外初出店となる「ロイネットホテルソウル麻浦(マポ)」(大韓民国)を2022年3月にオープンいたしました。さらに、当社が2019年に取得し、同社が運営管理するショッピングセンター「ALPARK(アルパーク)」(広島県)では、大規模改装工事を経て2021年12月東棟、2022年4月西棟がリニューアルオープン、2023年4月に全面リニューアルオープン予定であるなど、開発企画・設計施工・運営管理事業におけるグループの経営資源を組み合わせた複合施設開発に取組んでおります。

大和リース株式会社では、2021年10月に、地域の皆様がご利用いただけるコミュニティルームや災害時の一時避難場所も設けたコミュニティ型複合商業施設「ブランチ茅ヶ崎3」(神奈川県)を開業した他、2022年3月には、「食」で結ぶ新たな交流をコンセプトに飲食店や宿泊施設等も整備した「鳥居崎海浜公園」(千葉県)をリニューアルオープンいたしました。

しかしながら、開発物件売却の減少等により、当事業の売上高は796,922百万円前連結会計年度比1.4%減)、営業利益は114,825百万円前連結会計年度比6.6%減)となりました。

 

 


 

 

事業施設事業では、法人のお客様の様々なニーズに応じた施設建設のプロデュースや不動産の有効活用をトータルサポートすることで業容の拡大を図ってまいりました。業績を牽引してきた物流施設開発に次ぐ事業の柱とすべく、データセンターブランド「DPDC(ディープロジェクト・データセンター)」を立ち上げた他、「生活インフラ」の整備の一環として、老朽化した公設卸売市場の建替え支援事業第一弾「富山市公設地方卸売市場再整備事業」や日本最大級のサーモンの陸上養殖施設も手掛けてまいりました。

物流施設関連では、2021年10月に完成した東日本最大(※1)で当社最大の延床面積(322,299㎡)を誇るマルチテナント型物流施設「DPL流山Ⅳ」(千葉県)をはじめ、全国40ヶ所で物流施設を着工するなど、豊富な経験とノウハウでお客様の物流戦略をバックアップしてまいりました。

医療介護施設関連では、老朽化し耐震基準を満たしていない建物を持つ病院をターゲットに建替えや移転の提案、さらに、CCRC(※2)やヘルスケアを核とした街づくりを起点とした提案を強化してまいりました。

事務所・工場等の拠点サポート関連では、2021年4月に「広島イノベーション・テクノ・ポートⅡ」に着手するなど、当社開発の工業団地の事業化促進、企業誘致を強化していることに加え、脱炭素社会に向け省エネ建物を推進するためZEB提案を強化してまいりました。

食品工場関連では、大型植物工場2件を着工いたしました。

大和ハウスプロパティマネジメント株式会社では、主に当社が開発した物流施設を管理・運営しており、2021年10月完成の「DPL流山Ⅳ」(千葉県)、2022年3月完成の「DPL新横浜Ⅰ」をはじめとする物流施設40棟について新規プロパティマネジメント(PM)、ビルマネジメント・ビルメンテナンス(BM)契約を締結し、累計管理棟数は209棟、管理面積は約762万㎡となりました。

株式会社フジタでは、大型タワーマンションや複数の大型物流施設、フィリピンにおけるマニラ首都圏地下鉄の追加工事等を受注したことなどにより、建設受注高は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響があった前期から大幅に改善いたしました。

以上の結果、当事業の売上高は1,139,640百万円前連結会計年度比15.1%増)、営業利益は131,769百万円前連結会計年度比13.7%増)となりました。

※1.当社調べ(1棟単体、竣工ベース)。

※2.Continuing Care Retirement Community(コンティニューイング・ケア・リタイアメント・コミュニティ)の略。地域住民や多世代と交流しながら健康でアクティブな生活を送り、必要に応じて医療・介護を受けることができる地域づくりを目指すもの。

 

 


 

 

物流事業では、大和物流株式会社において、拠点新設に伴う初期費用の発生や原油価格高騰による燃料費増加の影響もありましたが、主力である建築建材の荷動きの復調により輸送量が増加していることから、業績は堅調に推移しております。株式会社ダイワロジテックにおいては、IT事業にて物流自動化設備に関わるシステム導入の案件が増加した他、物流事業にてeコマースへのシフト、巣ごもり需要の高まりを背景に、倉庫の拡張や自動化、物量増加が進む中で、お客様の様々なニーズにこたえてまいりました。

ホームセンター事業では、ロイヤルホームセンター株式会社において、木材や住宅設備商品(給湯器・ビルトインコンロ・温水便座等)で品薄状態が続いていることや、新たな変異株の感染拡大による消費者心理の悪化もあり、厳しい事業環境が続いておりますが、地域に密着した暮らしと住まいのベストパートナーを目指して業容拡大を図っております。

フィットネスクラブ事業では、スポーツクラブNAS株式会社において、徹底した感染症対策を講じながら運営を続けております。変異株の感染拡大の影響からフィットネスクラブ会員数(自由に施設利用が可能なコース)の回復には遅れが生じておりますが、スクール会員数(各カリキュラムに沿って通うコース)は以前の水準に戻ってきております。

アコモデーション事業では、大和リゾート株式会社において、通期稼働率が前年度をわずかながら上回る結果となりました。インバウンド需要の回復は当面先となる見通しですが、国内宿泊需要では緩やかな回復がみられております。

しかしながら、環境エネルギー事業における請負工事の減少等により、当事業の売上高は501,831百万円前連結会計年度比1.1%減)、営業利益は2,542百万円前連結会計年度比76.4%減)となりました。

 

(注) 各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものです。(「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照。)

 

 

 


 

 


 

 

2.キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加336,436百万円、投資活動による資金の減少467,423百万円、財務活動による資金の増加24,427百万円等により、あわせて90,276百万円減少いたしました。この結果、当連結会計年度末には326,250百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金の増加は336,436百万円前連結会計年度比21.8%減)となりました。これは、主に販売用不動産の取得や法人税等の支払いがあったものの、税金等調整前当期純利益を353,300百万円計上したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金の減少は467,423百万円(前連結会計年度は389,980百万円の減少)となりました。これは、主に大規模物流施設や商業施設等の有形固定資産の取得を行ったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動による資金の増加は24,427百万円前連結会計年度比76.2%減)となりました。これは主に、株主配当金の支払いを行ったものの、棚卸資産や投資用不動産の取得等のために、借入金や社債の発行による資金調達を行ったことによるものです。

 

3.生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期増減率 (%)

受注残高

(百万円)

前期増減率 (%)

戸建住宅

652,260

18.9

270,808

26.4

賃貸住宅

958,164

△0.9

171,044

△28.5

マンション

472,846

45.9

147,672

208.6

住宅ストック

126,393

3.2

16,827

16.3

商業施設

788,743

5.3

163,533

1.5

事業施設

1,276,303

32.2

915,140

21.1

その他

373,837

0.2

32,414

△31.7

合計

4,648,549

14.8

1,717,441

16.0

 

(注) 各セグメントの金額は外部顧客への受注高・受注残高を表示しております。

 

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額 (百万円)

前期増減率 (%)

戸建住宅

625,862

21.8

賃貸住宅

1,026,414

4.7

マンション

373,032

12.2

住宅ストック

124,034

2.0

商業施設

781,685

△1.9

事業施設

1,119,879

14.3

その他

388,627

△3.3

合計

4,439,536

7.6

 

(注) 1.各セグメントの金額は外部顧客への売上高を表示しております。(「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照。)

2.総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。

 

(参考)提出会社個別の事業の状況は次のとおりです。

受注高、売上高及び繰越高

期別

部門別

前期

繰越高

(百万円)

当期

受注高

(百万円)

(百万円)

当期

売上高

(百万円)

次期

繰越高

(百万円)

第82期

自 2020年

4月1日

至 2021年

3月31日

建築請負部門

748,600

1,123,786

1,872,387

1,220,318

652,068

不動産事業部門

98,772

598,750

697,523

598,135

99,387

その他事業部門

45,480

45,480

45,480

847,372

1,768,017

2,615,390

1,863,934

751,455

第83期

自 2021年

4月1日

至 2022年

3月31日

建築請負部門

651,575

1,134,762

1,786,337

1,230,254

556,083

不動産事業部門

99,387

680,653

780,041

692,278

87,762

その他事業部門

53,633

53,633

53,633

750,962

1,869,049

2,620,012

1,976,165

643,846

 

(注) 1.損益計算書においては、建築請負部門は「完成工事高」、不動産事業部門は「不動産事業売上高」、その他事業部門は「その他の売上高」として表示しております。

2.前期以前に受注したもので契約の更改により金額に変更あるものについては、当期受注高及び当期売上高にその増減を含めております。

3.次期繰越高は(前期繰越高+当期受注高-当期売上高)です。

4. 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第83期の期首から適用しており、第83期の前期繰越高については、当該会計基準等を適用し表示しております。

 

4.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、その達成を保証
するものではありません。

 

 <CFOメッセージ>

 


 

将来の成長へ向けた投資を積極的に行うと共に、利益成長と資本効率向上を

両立することにより、企業価値の最大化を図ります

 

代表取締役副社長/CFO 香曽我部 武


 

 

第6次中期経営計画の振り返り

過去最高の売上高を更新するも、コロナ影響によりROEは11.7%で着地

2019年度からスタートした第6次中期経営計画において、当初は賃貸住宅、商業施設、事業施設の3事業を成長ドライバーに位置づけ、財務健全性を維持しながら資本コストを上回るROEを創出し、株主価値を向上させる3年間としていましたが、2020年の初めから新型コロナウイルス感染症が広まり、事業計画を見直さざるを得ない状況となりました。一方で、巣ごもり消費やeコマース拡大を見据え、物流施設開発への投資計画は2020年6月に3,000億円増額し、不動産開発には総額1兆587億円を投資しました。出口戦略に基づく利益確保は順調に推移し、この3年間で7,169億円の売却による回収が実行でき、投資の成果を着実に示すことができたと考えています。

最終年度である2021年度は、過去最高の売上高4兆4,395億円を達成することができましたが、ホテル・スポーツクラブ運営へのコロナ禍の影響は続き、ROE13%の目標は未達となりました。

 

コロナ禍に加え、成長投資先行により、D/Eレシオは0.6倍で推移

財務規律としているD/Eレシオ0.5倍については、コロナ禍に加え、成長分野への投資が先行していることにより、2021年度は0.61倍(ハイブリッドファイナンス資本性考慮後)という結果となりました。この3年間の資金調達については、2019年には1,500億円の公募ハイブリッド社債を発行し、2020年には1,000億円のハイブリッドローンを実行するなど、先行き不透明な環境下においても、強固な財務基盤が評価され、多様な資金調達を実行することができました。当社が取得している格付AA格を維持しながら、成長分野への投資資金を確保することができました。

 

海外事業の管理体制を強化し、継続的に事業投資を遂行

海外展開においては、地域統括会社を設置し、管理部門を配置するなど管理体制を強化しつつ、米国の住宅会社のM&Aや中国でのマンション開発に向けた継続的な事業投資を遂行し、海外事業の売上高は4,451億円を達成するに至りました。来期以降も米国事業は伸びしろがあり大幅増収が期待できるほか、中国マンション開発の業績寄与も期待できますが、海外事業については、CFOとして引き続き金利動向や世界情勢など注視しながら監督していきます。

 

働き方改革、技術基盤整備へ投資を継続

人的資本への投資としては、働き方改革に向けたデジタル投資、教育投資、採用投資を進め、この3年間で従業員の働き方は大きく変革しました。特に、2020年9月に環境配慮型施設の開発や再生可能エネルギーの活用など環境負荷低減のための資金として200億円のグリーンボンドを発行しましたが、その使途先の1つである「みらい価値共創センター」が、2021年10月に完成しました。西日本最大級のこの新研修施設は、「風・太陽・水」を活かした最先端の技術による世界水準のサステナブル建築となっています。「みらい価値共創人財」を社会と共に育むことを目指し、地域の子供たちを対象とした「共育活動」にも積極的に取り組んでおり、交流の場としても親しまれています。

また技術基盤整備への投資としては、BIMの構築によって「営業・設計・生産」から「施工・維持管理」に至る一気通貫により効率的な業務基盤のための投資を実行しました。加えて、ICTによる現場の省人化やIoT・ロボットを活用したデジタルコンストラクションへの投資も実行し、生産性の向上を図りました。
 

 

第7次中期経営計画における財務戦略・資本政策

人的資本・知的資本・環境への投資を推進

第7次中期経営計画の資本政策における最大のテーマは、将来の成長へ向けた投資を積極的に行うと共に、利益成長と資本効率向上を両立することにより、企業価値を最大化することです。経営指標としては、引き続きROE13%以上を目指しつつも、D/Eレシオは0.6倍程度、配当性向は35%以上へと見直しました。

7次中計期間においても引き続き積極的な不動産開発投資を推進し、5年間で2.2兆円の投資を計画しています。加えて、戦略投資としては、成長分野である海外事業への投資や、カーボンニュートラル実現に向けた環境への投資を予定しており、5年間の投資CFは6,500億円を計画しています。更に、将来の事業を支える人的資本・知的資本への投資も含め、住宅系共通の次世代プラットフォーム構築や、建築系の生産拠点強化、DXのためのIT基盤投資、デジタルコンストラクション投資などの設備投資には3,700億円を計画しています。

持続的成長モデルの構築に関わる投資を最優先としながら、一方で着実な利益成長によって営業キャッシュ・フローを増やし、安定的な株主還元を実現していきます。

 

ROE13%以上の実現

第7次中期経営計画期間中も成長投資のフェーズと捉えていますが、5年後の第8次中期経営計画以降の成長を見据えつつ、ROE13%以上を達成するためには、より資本効率の高い経営を実現する必要があります。そのためには、事業ポートフォリオの最適化や、M&Aでグループ入りした事業についてのガバナンス強化、低採算の事業の再構築、非効率資産の圧縮など、さまざまな観点から資本効率の改善に向けて取り組んでいきます。

また成長投資と資本政策のバランスをいかにとっていくかは課題となりますが、成長投資の機会を逃さないよう、資金調達の状況を踏まえながら、最適なタイミングで投資を実行していきます。

 

不動産開発投資では物流施設、データセンター、商業施設等の再生が成長ドライバー

不動産開発の重点投資領域は引き続き物流施設ですが、今後はデータセンターの開発も視野に入れています。投資対象は分散させていく計画で、特に既存商業施設のNSC再生バリューアップなど「再生と循環」を切り口にした開発は積極的に取り組みます。

既に、投資不動産残高は1.3兆円を超えています。特に流動化不動産における未稼働不動産は増加しておりますが、大半が建設中となっています。第7次中期経営計画期間においては未稼働不動産への開発を促進し、稼働物件についてはインカムゲインを最大化しながら、最適なタイミングで売却を図るなど、利益の最大化を図ります。なお5年後の投資不動産残高は2.1兆円を目指しています。

また出口戦略の強化に向けては、2021年11月、ダイワハウス・ロジスティクス・トラストがシンガポール証券取引所に上場しました。投資家からの期待も高いと認識しており、今後は国内で培った物流施設開発をアセアン諸国で積極的に展開していきます。回収した資金を次の開発原資に充て、循環するビジネスモデルを構築するとともに、機動的な資金調達を図っていきます。

 

資産回転率の改善によりROICを改善し、ROE向上を目指す

総資産はこの3年間で、2019年3月末の4.3兆円から2022年3月末で5.5兆円へと1.3倍増加しました。増加している要因の1つは、米国における住宅事業会社の買収や中国における進行中のマンション開発により、棚卸資産が増加していることです。今後も、選択と集中による収益源への資金投下を進め、資産回転率を意識した販売用不動産の販売を促進し、安定的なキャッシュ創出に取組みます。

また、2021年4月から本格導入した事業本部制ではROICを重要な経営指標のひとつとして採用しました。売上高・利益の成長に加えて、経営効率や社会的価値を高め、企業価値の向上を図っていく方針に基づいており、今後は事業の見直しや資本効率を重視した経営の浸透を図っていきます。それぞれの事業特性に応じて、事業本部長が傘下のグループ会社を含めたバランスシートにも責任をもち、事業本部単位でストックとフローのバランスを取りながら回転率を上げていきます。また、業務効率の改善を推し進めることでROICを改善させ、会社全体のROEの向上につなげていく考えです。

 

 

D/Eレシオ0.6倍程度の考え方

これまでD/Eレシオ0.5倍程度という数値を財務規律として設定してきましたが、その背景には、不安定な社会・経済情勢の中、安定した資金調達を行うためには格付AA格の維持が必要という考えがあったからです。加えて、不動産開発等の資金回収に時間がかかる投資については、当社のバランスシートを使うため、資本効率を考慮しない投資に対して社内的に歯止めをかける意味ももっていました。

現在、足元の金利は上昇傾向にあり、資材・労務費高騰などのリスクもあります。海外投資については、特にしっかり見極めながら投資判断をしていく考えですが、我々は第7次中期経営計画以降の成長も非常に強く意識しています。当社グループの事業は、投資が不要な建設請負事業が中心であったところから、不動産開発事業のように先行投資が必要な事業の割合が増加してきています。その状況を踏まえ、成長投資を行いながらも規律を守ることのできる最適な投資レベルを維持していくことが重要であると考え、今回、財務規律の指標を0.6倍程度(ハイブリッドファイナンス資本性考慮後)に見直しました。7次中計期間中に、成長のための投資が先行し一時的に規律を上回ることもあるかもしれませんが、2026年度の最終年度に向けて戻していく考えです。なお、進捗に応じて投資額を増額する場合には、回収も増やす施策を取る予定です。

 

株主還元について

株主資本の有効な活用により株主価値の持続的な成長を図る

当社は、事業活動を通じて創出した利益を株主の皆さまへ還元することと併せ、中長期的な企業価値の最大化のために不動産開発投資、海外事業展開、M&A、研究開発及び生産設備等の成長投資に資金を投下し、1株当たり当期純利益を増大させることをもって株主価値向上を図ることを株主還元に関する基本方針としています。2021年度は、年間配当金額126円(記念配当10円含む)、配当性向36.6%とし12期連続の増配を実現しました。

今後も基本方針に変わりはありませんが、2022年度から始まる第7次中期経営計画以降は配当性向を35%以上とし、業績に連動した利益還元を行い、かつ年間の1株当たりの配当金額の下限を130円とし、安定的な配当の維持に努めていきます。

自己株式の取得については、2020年度に1,000万株、取得金額260億円を実行しましたが、今後も市場環境や資本効率等を勘案し、状況に応じて機動的に実施していきます。

 

ステークホルダーの皆さまへ

業界トップとしての自覚をもち、社会から選ばれる企業へ

第7次中期経営計画において私がもうひとつ大切にしたい考え方は、「業界トップとしての自覚をもち、社会から選ばれる企業へ」ということです。そのためにも、事業所の業績評価を改定するとともに、法令遵守や品質技術、経営健全度評価そして人財育成を重視した経営を進めています。なかでも、人的資本への投資を充実させることで、従業員の働きがい追求と働き方改革を加速させ、成果の最大化および健全な職場環境の両立を実現していくことは、持続的な成長を実現するための大きな原動力となるはずです。

私たち大和ハウスグループは、ステークホルダーの皆さまから信頼される企業としてあり続け、“将来の夢”の実現に向けて、共創することでこれからも世の中に価値を創出してまいります。ぜひ、ご期待いただきたいと思います。

 

 


 

 

Ⅰ.財政状態

 

 

財務の状況

[ 図1 ]

 

2021年度末の総資産は、2020年度末比で4,686億円増加し、5兆5,216億円となりました。その主な要因は、戸建住宅事業及びマンション事業における販売用不動産の仕入により棚卸資産が増加したことや、投資用不動産等の取得により有形固定資産が増加したことによるものです。

負債合計については、2020年度末比で2,507億円の増加となり、3兆4,102億円となりました。その主な要因は、棚卸資産や投資用不動産の取得等のために借入金や社債の発行による資金調達を行ったことによるものです。

純資産合計については、2020年度末比で2,178億円増加し、2兆1,113億円となりました。その主な要因は、株主配当金792億円の支払いを行った一方、2,252億円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによるものです。

リース債務等を除く有利子負債残高は、2020年度末比で1,505億円増加し、1兆4,254億円となりました。D/Eレシオについては、2012年度が始まる時点の2011年度末の0.58倍と比較すると、内部留保と2013年度に実施した増資によって一時改善したものの、2021年度末においては0.61倍(※1)と上昇しております。資産の内訳については、棚卸資産の残高が1兆5,624億円となり、大きな割合を占める状況となっております。今後も、棚卸資産や投資用不動産の取得等により、資産が膨らむことが予測されますが、最適資本構成の検証により財務の健全性維持に努めてまいります。

※1 ハイブリッドファイナンス(2019年9月に発行した公募ハイブリッド社債(劣後特約付社債)1,500億円、及び2020年10月に調達したハイブリッドローン(劣後特約付ローン)1,000億円)について、格付上の資本性50%を考慮して算出しております。

 

 


 

 

①流動比率は133%から186%へと上昇。

②固定比率は188%から140%へと低下。

③固定長期適合率は85%から71%へと低

下。

④自己資本は6,571億円から2兆201億円へと成長。

 

 

 


 

 

運転資本(売上債権+棚卸資産-仕入債務)は、2,555億円から1兆6,139億円へと増加。

②リース債務等を除く有利子負債は3,836億円から1兆4,254億円へと増加、また自己資本に対する比率(D/Eレシオ)も0.58倍から0.61倍へ上昇(ハイブリッドファイナンスの資本性考慮後)

③賃貸等不動産を増加させつつ、自己資本に対する賃貸等不動産及び固定資産の比率は1.18倍から1.05倍へと低下。

 

 

 

Ⅱ.キャッシュ・フロー(CF)

 

 

基本的な考え方

 

キャッシュ・マネジメントについては、事業活動によるキャッシュ創出額を基準として投資を行うことを基本的な考え方としております。優良な投資機会に対しては、積極的な投資を行う必要があり、外部から調達する資金を含めて投資枠の設定を行っております。そのため、D/Eレシオが一時的に0.5倍を超えることがありますが、中長期的には、0.5倍程度に有利子負債の水準をコントロールし、成長投資と財務健全性の維持の均衡を図っております。なお、第7次中期経営計画においては、財務規律としてD/Eレシオを0.6倍程度へ見直しました。

 

キャッシュ・フローの状況

[ 図2・3 ]

 

2021年度における営業活動CFは、3,364億円となり、2020年度に比べ938億円減少いたしました。自己資本に対する営業活動CFは、2020年度の23%から6ポイント下降し17%で推移しております。主な要因としては、3,533億円の税金等調整前当期純利益を計上したものの、販売用不動産の取得や法人税等の支払いがあったことによるものです。

投資活動CFについては、第6次中期経営計画における投資計画に基づき、賃貸等不動産等の取得や、不動産開発事業への投資を3,178億円実行したことなどにより、△4,674億円となりました。その結果フリー・キャッシュ・フロー(営業活動CF+投資活動CF)は△1,309億円となり、また、棚卸資産や投資用不動産の取得等のために、借入金や社債の発行による資金調達を行ったことなどにより、財務活動CFは244億円となりました。

これらの結果、現金及び現金同等物の2021年度末残高は2020年度末から900億円減少し、3,262億円となりました。

 

 


 

 


 

 

 

企業価値・キャッシュ創出力

[ 図4・5 ]

 

キャッシュ創出力を示す減価償却前の営業利益(EBITDA)(※2)は4,835億円となっており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響下においてもキャッシュを生み出す力を維持し続けております。今後についても、有利子負債の水準を一定程度に維持しつつ、優良な投資案件への積極的な投資を行うという方針を継続するとともに、新たな収益の柱を育てることによって、キャッシュ創出力をさらに高め、企業価値を向上させてまいります。

2021年度末の企業価値(EV)(※3)は、時価総額2兆1,326億円にリース債務等を除くネット有利子負債1兆877億円を合算し3兆2,204億円となっております。企業価値とキャッシュ創出力の倍率を示すEV/EBITDA倍率は2021年度末で6.7倍となっております。

※2 減価償却前の営業利益(EBITDA)=営業利益+減価償却費

※3 企業価値(EV)=時価総額+ネット有利子負債

 

 


 

 


 

 

Ⅲ.損益の状況

 

 

売上高/総資産回転率

[ 図6 ]

 

 

売上高は4兆4,395億円となり、 2012年度からの10年間における年平均成長率は9.2%となりました。

総資産回転率(※4)については、2012年度から2019年度にかけて概ね1倍程度で推移しておりましたが、2021年度においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が続く中、ホテルやスポーツ施設等の一部事業における売上高の減少に加えて、物流施設を中心とした事業施設への投資機会の増加に伴い積極的な不動産開発の投資を実行したことにより低下いたしました。

今後、回転率の改善のため、ストックとフローのバランスを取りながら棚卸資産の販売促進や投資不動産の売却、政策保有株式の売却等、資産の効率的な活用の徹底に引き続き取組んでまいります。

※4 総資産は期中平均で算出

 

 

 

 


 

 

 

売上総利益/営業利益率

[ 図7 ]

 

 

売上総利益は8,646億円となり、2012年度からの10年間における年平均成長率は8.5%となりました。売上高総利益率は、2020年度と比べ0.5ポイント低下し19.5%となりました。また、営業利益は、3,832億円となり、2012年度からの年平均成長率は13.0%となりました。

営業利益率は前期と比べ0.1ポイント低下し、8.6%となりました。建設資材や労務費の高騰により売上高総利益率は0.5ポイント低下いたしましたが、生産性の向上等により従業員1人当たりの売上高を増加させ、売上高販管費率を低下させることで、営業利益率が大きく低下しないように努めております。

 

 


 

 

投下資本利益率(ROIC)/株主資本利益率(ROE)

[ 図8・9 ]

 

税引後営業利益(NOPAT)(※5)は、2,660億円となり、投下資本(自己資本+有利子負債)3兆2,784億円(※6)に対する利益率(ROIC)は8.1%となりました。

当社は、第6次中期経営計画においてはROE13%以上を経営目標のひとつに掲げておりましたが、D/Eレシオ0.5倍を目安として借入等を行い事業を展開しているため、事業投資においては投下資本全体に対するリターンがWACC(株主資本コストと負債コストの加重平均)を上回るように意識をして取組んでおります。ROICの維持・向上によって、株主資本に対する利益率(ROE)の維持・向上に努めてまいります。

    ※5 税引後営業利益(NOPAT)=営業利益×(1-実効法人税率)

    ※6 期中平均

 

 


 

 

 


 

 


 

 

 

Ⅳ.事業別経営成績

 

 

成長性分析

[ 図10 ]

 

 

2012年度に対する2021年度の利益成長率は、事業施設事業において6倍、商業施設事業において2倍、戸建住宅事業において2倍を超える水準となっております。

賃貸住宅事業においては、10年前において既に高い利益水準にあったため、2012年度比の成長率は相対的に低く示されておりますが、引き続き高い利益率で推移しております。

また、当社の強みは、事業領域間の隔たりなく事業提案ができることです。社会の変化するスピードが加速度的に増す中で、多様化する建築ニーズに対して、各事業が有する商品・サービスを複合的に組み合わせることや、周辺領域での事業展開によって得られる新たな事業機会が今後さらに増加することを見込んでおります。

これらの新たな市場が全社の成長率を牽引するよう、全体の収益性とのバランスを考慮しながら成長に向けた取組みを進めてまいります。

 

 


 

 

収益性分析

[ 図11 ]

 

 

営業利益においては、賃貸住宅、商業施設、事業施設事業の3つのセグメントで全体の80%以上を占めております。

また、住宅ストック事業においては、売上高構成比としては2.8%にとどまるものの、高い利益率・資本効率( 図12 )を示しております。市場の成長が見込まれる事業分野であるため、住宅ストック市場を中心としたグループ統一のブランド「Livness(リブネス)」を立ち上げ、積極的に取組んでおります。

また、戸建住宅、マンション事業については、人口減少に伴い、新設住宅着工戸数の減少も見込まれる中、エリアの選択やターゲットの明確化により利益率の改善を図ってまいります。

 

 


 

 

 

セグメント資産に対する営業利益率

[ 図12 ]

 

 

セグメント資産に対する営業利益率については、住宅ストック、賃貸住宅、商業施設事業が高い数値を示しております。

事業施設事業については、物流施設等の市場の急成長に対応し、積極的な投資を行っております。現在は取得済みの土地に係る建設投資を進めていることから、現時点における資産利益率は低い水準となっておりますが、今後の投資回収期にはキャッシュ・フローに大きく寄与してくることを見込んでおります。

 


 

 

事業投資の状況

[ 図13 ]

 

 

事業投資の状況としては、高い収益性・成長率を示している事業施設事業への投資を積極的に実施しております。次いで、収益性の高い商業施設、賃貸住宅事業への投資を行っております。また、これらのコア事業によって創出された資金を活用し、新たな収益の柱として育成すべく新規事業や海外事業等への投資も併せて実施しております。

 

 


 

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループでは、「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、社会に役立つ価値の創造を目指し、官公庁、国内外の大学、異業種企業とも密接に連携を図りながら、基礎・応用研究から新技術・新商品開発、これらの新技術の建築物や街づくりへの活用・検証まで多岐にわたる研究開発活動を行っております。

なお、当連結会計年度の研究開発費は9,503百万円となっております。

当連結会計年度の主な活動は次のとおりです。

 

(1) 戸建住宅事業、賃貸住宅事業、マンション事業、住宅ストック事業

・都市部の富裕層向けに、当社最高級戸建商品「Wood Residence MARE-希-(マレ)」を発売いたしました。木造と鉄筋コンクリート造を組み合わせた混構造を採用することで、傾斜地や高低差のある敷地形状を活かした提案が可能です。柱なしで最大9mまでの大開口、最大10mの大空間、最大3.5m(※1)の天井高を実現しております。併せて、日本の気候や風土に適し、高い強度を備えた国産ヒノキを梁や柱等の構造用集成材として採用しております。外壁の仕上げ材にも新たに防耐火認定を取得し、化粧木板や天然石、大判タイル、陶板外壁等、上質な素材の提案を可能といたしました。

 ※1.構造階高4m時の水平天井における高さ。

・建設中の分譲マンション「プレミストタワー新さっぽろ」は、省エネルギー性能に優れた住まいとして「平成31年度超高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)実証事業」(※2)に当社で初めて採択されるとともに、BELS(※3)による最高等級を取得いたしました。二重サッシや Low-E 複層ガラスなどで建物の基本性能を向上させ、パネルヒーターや熱交換形換気機器「ロスナイセントラル換気システム」(※4)などを採用することで、一般的な共同住宅(※5)に比べ、一次エネルギー消費量を約27%削減いたします。

※2.地域ごとに設定された断熱性能基準をクリアし、かつ6階以上の賃貸住宅やマンションで、同一規模の一般的な共同住宅と比べてエネルギー消費量を20%以上削減する「ZEH-M Oriented」に認定。

 ※3. 建築物省エネルギー性能表示制度のことで、省エネ性能を第三者評価機関が評価し認定する制度。

※4. 室外の空気を室内に取り込み、室内の汚れた空気を室外へ排出するシステム。また、熱交換器が外気を室温に近づけて給気し、室外への排気の際も温度を下げて排気するため、冷暖房中の室内の快適さを損なわずに換気可能。あわせて、少ない風量で効果的に換気し、「ロスナイエレメント」が防音材の役目を果たし、室外の音を軽減する。ただし、キッチンのレンジフードは除く。

 ※5.国土交通省が公布した「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」で定める基準建物。

・当社とパナソニック株式会社、株式会社アスカネットは、当社が神奈川県で開発中の分譲マンション「プレミスト津田山」のサロンエントランス(※6)において、空中で操作できるインターホン「空中タッチインターホン」の共同実証実験を開始いたしました。集合住宅における空中タッチディスプレイを活用した本実験は、業界初(※7)の取組みです。今後は、店舗やオフィスビルなど大型施設における導入の可能性も検討し、実用化を目指してまいります。

 ※6.「プレミスト津田山」への導入予定はなし。

 ※7.3社調べ。(2022年1月12日現在)

 

・大和ライフネクスト株式会社 (以下「大和ライフネクスト」)と株式会社理経は、横浜市との3者連携協定による「次世代型マンション防災コンテンツの共同研究開発」において、マンション居住者様向けVR(バーチャルリアリティ)消防訓練「マンション防災 マンボウ(manbow)」(※8)のサービスを共同で開発し、大和ライフネクストが管理を受託するマンション管理組合様向け(※9)に提供を開始いたしました。試験的に開催したVR消防訓練においては、これまでの集合型消防訓練に比べ、参加率が5倍という結果が得られました。近年のマンション居住者様の防災知識の向上や消防訓練への参加率低下、及び感染リスクに対する課題解決策として、より多くの方々に気軽に消防訓練に参加いただくことを可能にいたしました。

 ※8.「VR消防訓練」「マンション防災 マンボウ(manbow)」は、商標出願中。

※9.サービス開始時点では、大和ライフネクストが管理を受託するマンション管理組合を想定しており、今後は広く一般の皆様にもサービス提供をする予定。

・当社は、現場監督の業務効率向上を図るため、戸建住宅の全工事現場(※10)でWebカメラを導入いたしました。工事現場に設置されたWebカメラから、工事状況や資材の運搬状況のデータを収集し、複数の工事現場を遠隔管理できるシステム「スマートコントロールセンター」(全国12ヶ所の事業所に設置)で一元管理を行うことにより、工事現場監督は、現地に行かなくとも、タブレット端末やモニターなどを通じて、作業員との円滑なコミュニケーション体制の構築が可能となります。これまでに戸建住宅約3,400棟(※11)の工事現場において試験運用し、現場監督の業務効率が約15%向上し、長時間労働の抑制につながることを確認いたしました。

※10.工事現場の状況により設置できない場合を除く。

※11.2020年10月~2021年4月は約300現場、2021年5月~2021年12月は約3,100現場(全戸に対して設置率約60%)。

 なお、当事業に係る研究開発費は4,175百万円です。

 

 

 (2) 商業施設事業、事業施設事業、その他の事業

・日本最大級のアトランティックサーモンの閉鎖循環型陸上養殖施設を、静岡県の工業団地「D-Project Industry 富士小山Ⅰ」において着工いたしました。当施設は、断熱効果の高い外壁パネルを採用し、屋根を断熱シート防水仕様にすることで断熱性能を高め、水槽温度と室内の空気温度を近づけることで、水温の変化が生じにくいよう配慮いたしました。また、室内の陽圧管理(※12)により、埃や害虫の侵入を防ぎます。閉鎖循環型陸上養殖は、場所を選ばず建設でき、餌・水質を含めた生育環境等を管理することで、餌や排せつ物による環境負荷を軽減いたします。今後も国連が定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」や食料自給率の向上等に寄与するため、陸上養殖施設を含む食品関連施設の誘致を積極的に提案いたします。

※12.建屋内の気圧を外部より高く保つことで埃等が入り込みにくくする。

当社と株式会社フジタ(以下、フジタ)、十一屋工業株式会社は、3社の知見を集結し、角形鋼管柱の施工現場用溶接ロボットシステム「SWAN®(スワン)」を開発いたしました。「SWAN®」は、溶接技能者の角形鋼管柱継手(※13)における溶接効率を最大2倍まで向上できるロボットシステムです。市販の汎用6軸多関節型ロボットアーム(※14)を組み込んだことで、溶接技能者の作業を再現いたします。建設現場(当社2現場、フジタ1現場)でも、良好な溶接品質を確認できました。今後、当社グループ施工現場での実用化に向けて、事務所ビル、商業施設、物流施設、ホテルなど大型建築物の施工現場に導入してまいります。

※13.正方形や長方形の中空鋼材を繋げ合わせる作業のこと。

※14.株式会社ダイヘン製。

・フジタ、国立大学法人広島大学、東広島市の3者は、地方創生の新たな産官学連携モデルを目指して、東広島市及び周辺地域において、学術研究面、人材育成面、産官学連携面等で政府が提唱するSociety5.0やスマートシティの実現に関する「包括的な連携推進に関する協定」を締結いたしました。フジタは、これまで培った「街づくり」の実績とノウハウ、防災・環境等のICT技術、デジタルによる街のシミュレーション技術等を提供することで、安全と安心を支え、多様な人々が共に暮らし、誰もが健康で生活をエンジョイできるスマートシティの実現を目指します。

 

・フジタは、株式会社センシンロボティクスと共同で、「遠隔臨場(※15)ドローンシステム」と「全自動ドローンシステム」を開発いたしました。「遠隔臨場ドローンシステム」は、ドローンを遠隔地からWebブラウザでリモート操作でき、カメラの映像情報等を高画質・4G LTEにより複数拠点で同時共有できるシステムです。「全自動ドローンシステム」は、建設現場において国内初(※16)となる目視外補助者無し飛行(レベル3)(※17)を可能としたもので、ドローン飛行の操縦者・補助者の100%の省人化、現場の出来高測量と安全巡視業務の時短による50%の効率化、及び自動写真測量で出来高測量業務の時間を従来の1/4に短縮いたしました。

※15.ウェアラブルカメラやネットワークカメラを活用し、映像と音声を用いて現場に行かずとも離れた場所から確認・立会を行うこと。

※16.2021年7月12日発表時点。日本国内の建設現場において。フジタ調べ。

※17.無人地帯で補助者なしで飛行できるレベル。現場内はドローン飛行を認知している者のみで、無人地帯として認定される。

・当社とNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、「NTT Com」)は、当社が開発したマルチテナント型物流施設(※18)「DPL新富士Ⅱ」(静岡県)において、NTT Comの温度や湿度等の環境データを取得可能な2つのセンサーとIoTプラットフォーム「Things Cloud®」(※19)を活用し、熱中症やインフルエンザの発症リスクをリアルタイムに見える化する「倉庫環境監視IoTソリューション」の運用を開始いたしました。コロナ禍でのマスク着用に伴う体温の上昇により、リスクの高まる恐れが指摘されている熱中症やインフルエンザの発生リスクを見える化することで、テナント企業がより安全・安心に利用できる物流施設の実現を目指します。両社は、本ソリューションの継続的な改善に取組むとともに、当社が今後開発する施設への導入を推進し、物流施設のさらなる高付加価値化、維持運用メンテナンスの省力化を進める予定です。

※18. 複数のテナント企業が入居できる物流施設。

※19.NTT Comが提供するIoTプラットフォームの名称。デバイス接続からデータ収集、可視化、分析、管理等IoTの導入に必要な機能・プロセスを、ノンプログラミングで簡単・短期間に実現できる機能やテンプレートを提供。

・経済産業省資源エネルギー庁公募事業である令和3年度「AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業」(※20)において、当社とイオングローバルSCM株式会社、花王株式会社、株式会社日立物流、株式会社豊田自動織機の5社の共同事業(物流施設でのAIを搭載した自動運転フォークリフトなどを活用し、トラック運行と連携させる提案)が、採択されました(※21)。5社は、当該技術を活用して、荷役や物流の効率化や省エネ化に取組みます。

※20. 新技術を用いたサプライチェーン全体の輸送効率化推進事業、トラック輸送の省エネ化推進事業及びビッグデータを活用した効率的かつ適切な自動車整備による使用過程車の省エネ性能維持推進事業。

※21. 令和3年度「AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業」の応募は、大和ハウス工業株式会社、イオングローバルSCM株式会社、花王株式会社、株式会社日立物流の4社。

・大和リース株式会社は、大型システム建築商品ダイワスペースに、柱間隔が最大33mとなる「ダイワスペースWS(※22)(ダブルエス)」を開発し、販売を開始いたしました。中柱のない大空間の実現で、広いスペースが必要な物流倉庫・工場や体育館・室内練習場に適した商品です。

※22.WSは「Wide Span(ワイドスパン)」の略称。

 

・当社の研修施設「大和ハウスグループ みらい価値共創センター」は、建物・ランドスケープの環境性能や、利用者の健康・快適性、生物多様性等SDGsに関する取組みが高く評価され、米国のGreen Business Certification Inc.TM(GBCI社)による3つの国際的な環境認証「LEED®」(環境関連)、「WELL®」(健康関連)、「SITES®」(ランドスケープ関連)(※23)を日本で初めて同時取得いたしました。国内認証の「BELS」(省エネルギー)や「JHEP」(生物多様性)と合わせて5つの認証を取得したことになります。本施設は同規模の一般建築と比較して、一次エネルギー消費量を63%削減できる省エネルギー性能を備えているだけでなく、利用者の心身の健康増進や快適性の向上、生態系の再生等SDGsの達成につながる様々な取組みを設計に採用いたしました。構造体に奈良県産の集成材を座屈拘束材に用いた「木鋼ハイブリッドブレース」や同じく奈良県産の集成材を耐火被覆に用いた「木鉄ハイブリッド耐火柱」(※24)を採用したことなどが評価され、「ウッドデザイン賞2021」(※25)を受賞いたしました。

※23.LEED、SITES、WELL及び関連ロゴは、それぞれU.S. Green Building Council®、Green Business Certification Inc.TM、International WELL Building InstituteTMが商標を所有し、許可を得て使用しております。

※24. 日本製鉄株式会社が開発した1時間耐火構造柱。

※25. 特定非営利活動法人活木活木森ネットワーク、公益社団法人国土緑化推進機構、株式会社ユニバーサルデザイン総合研究所で構成される「ウッドデザイン賞運営事務局」が主催の林野庁の補助事業。

 なお、当事業に係る研究開発費は5,327百万円です。