文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
<CEOメッセージ>
“将来の夢”の周知と理解
第7次中期経営計画初年度の振り返り
6つのマテリアリティの取り組み
ステークホルダーの皆さまへ
ステークホルダーの皆さまと“将来の夢”を共創し、
企業価値の向上を目指し続ける
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループでは、“将来の夢”(パーパス)を起点とした世の中の役に立つ「事業の推進」によるキャッシュ・フローの創出と、世の中の変化に対応した「基盤の強化」によるサステナビリティの向上を両立するビジネスモデルによって、事業を通じて社会課題を解決し、ステークホルダーからの信頼・共感を得ることで、次の事業機会・事業投資へ繋げる[価値創造プロセス]を実現しております。この価値創造プロセスの好循環により、持続的な企業の成長と社会課題に解決に取組むことで、企業価値の向上と“将来の夢”の実現を目指しております。
当社グループにおいて、サステナビリティ課題に取組むことは、企業の価値創造の源泉や強み、ビジネスモデルを強化することであり、将来キャッシュ・フローひいては事業の持続的成長ならびに企業価値の維持・向上につながるものと捉えており、環境・社会の観点から世の中の変化に対応した取組みを進めております。
[価値創造プロセス]

1.サステナビリティ全般
当社グループは長期視点での経営課題をマテリアリティ(最重要課題)として特定し、短・中期においては中期経営計画の方針に落とし込み、企業のサステナビリティのための課題解決に取組んでおります。マテリアリティならびに中期経営計画の進捗は、定期的に取締役会へ報告しております。
特に、SDGs・ESGへの取組みについては、全社環境推進委員会およびサステナビリティ委員会から重要な情報の提供を受けたうえで、コーポレートガバナンス委員会において、意見交換を行っております。
全社環境推進委員会は、当社グループが取組むべき環境活動の基本的事項について審議・決定し、全社の環境活動を指示・統括しております。
サステナビリティ委員会は、ESG課題のうち、従業員や取引先との関係性等、特に「社会」の分野を中心とした重要課題の現状を把握したうえで、改善内容について審議・決定し、当該決定に関する全社の取組みを指示・統括しております。
(2)リスク管理
中長期的に大きな影響を与えるリスクとしては、環境に関する(気候変動)リスクや、人財基盤に関わるリスク、人権に関するリスク、情報セキュリティに関するリスク、コンプライアンスリスク等を認識しており、全社的なリスク管理プロセスに統合してマネジメントしております。リスク・機会の特定・評価は、中期経営計画や環境行動計画の策定に合わせて、詳細分析を行い、同計画の重要課題の特定や主要施策、目標水準に反映しております。
2.気候変動への対応
当社グループでは、創業100周年にあたる2055年を見据えた環境長期ビジョン「Challenge ZERO 2055」を策定しております(※)。また、特に重要な7つの目標を「チャレンジ・ゼロ」として2030年のマイルストーンを明確にしているほか、マテリアリティの1つに「サーキュラーエコノミー&カーボンニュートラル」を掲げ、全社の取組みを加速させております。
気候変動の緩和と適応は、当社グループが取組むべき最も重要なテーマの1つであり、着実な取組みを進めるために、第7次中期経営計画では重点テーマの1つに「すべての建物の脱炭素化によるカーボンニュートラルの実現(カーボンニュートラル戦略)」を掲げ、カーボンニュートラル戦略を策定するとともに、環境行動計画「エンドレス グリーン プログラム2026」ではより詳細な目標を設け、取組みを推進しております。
※ 気候変動に関しては、社会的要請をふまえ2050年としております。
(1)ガバナンス
当社グループでは、「気候変動の緩和と適応」を重要な経営課題の1つに位置づけ、気候変動戦略の遂行に責任をもつ環境担当役員を選任。統括責任者を当社代表取締役社長(CEO)、委員長を当社環境担当役員とする「全社環境推進委員会」を設置しております。年2回実施する当委員会は、気候変動を含む当社グループの環境活動に関する基本的事項および環境に関するリスクや機会について審議・決定し、全グループの環境活動を統括しております。
また、中期経営計画に合わせて策定している環境行動計画「エンドレス グリーン プログラム」(気候変動問題を含む)は、環境経営に関する重要な事項として、取締役会への報告事項としており、年1回、環境担当役員が取締役会に進捗状況を報告し、適宜、戦略や目標、計画等の見直しを行っております。
2022年度は、「エンドレス グリーン プログラム 2026」の最終計画を決議するとともに、「エンドレスグリーン プログラム2021」の全社実績について取締役会でレビューを実施いたしました。その結果、ZEH・ZEBのさらなる推進を図るよう指示があり、各事業本部において取組みを強化いたしました。

(2)戦略
気候変動にともなうリスクと機会には、脱炭素社会に向かうなかで生じる規制の強化や技術の進展、市場の変化といった「移行」に起因するものと、地球温暖化の結果として生じる急性的な異常気象や慢性的な気温上昇といった「物理的変化」に起因するものが考えられます。また、その影響は短期のみならず、中長期的に顕在化する可能性もあります。そこで当社グループでは、気候変動にともなうさまざまな外部環境の変化について、その要因を「移行」と「物理的変化」に分類のうえ、影響を受ける期間を想定し、財務影響を評価し、重要なリスクと機会を特定しております。
また、当社グループでは特定したリスクと機会をふまえ、将来の外部環境の変化に柔軟に対応した事業戦略を立案するため、複数のシナリオを用いて、事業への影響評価を実施しております。シナリオ分析にあたっては、「移行」が進むシナリオとして1.5℃シナリオを参照、極端な「物理的変化」が進むシナリオとして4℃シナリオを参照し、事業戦略の妥当性を検証しております。
今般実施した簡易シナリオ分析では、いずれのシナリオにおいても、2030年時点における将来シナリオを想定し、当社グループの提供するネット・ゼロ・エネルギー住宅や建築物の需要、環境エネルギー事業等の拡大が見込まれ、その収益増は負の財務影響を上回る見込みであることを確認し、リスク対応の妥当性とより積極的な事業機会獲得の重要性を再認識いたしました。これらの分析を踏まえ、2030年までに「原則全棟ZEH・ZEB化、原則すべての新築建物の屋根に太陽光発電を搭載する」との方針を決定し、ZEH率・ZEH-M率・ZEB率を第7次中期経営計画における重要管理指標の1つに設定いたしました。
なお、分析の対象は当社グループのコア事業である戸建住宅・賃貸住宅・マンション・商業施設・事業施設・環境エネルギー事業を対象に、重要なリスク・機会に限っての簡易分析としております。今後は対象となる事業のさらなる拡大を図るとともに、リスク・機会の網羅性の向上や、シナリオ分析の精緻化等にも取組んでまいります。

[気候変動に関する主なリスクと機会]
影響を受ける期間:短期(1年未満)、中期(1年以上5年未満)、長期(5年以上)
財務影響の程度:小(100億円未満)、中(100億円以上1,000億円未満)、大(1,000億円以上)
[カーボンニュートラル実現のための移行計画]
当社グループは、「気候変動の緩和と適応」を重要な経営課題と位置づけ、環境長期ビジョンに掲げる「2050 年カーボンニュートラルの実現」に向けた挑戦を続けております。
2022年度からスタートした第7次中期経営計画の「カーボンニュートラル戦略」では、バリューチェーンを通じた温室効果ガス排出量(スコープ1・2・3)を2030年までに40%削減(2015年度比) することをマイルストーンに設定し、全事業、全方位で取組みを加速させます。なかでも、当社グループが直接関与する事業活動におけるGHG排出量(スコープ1・2) については、「自社発電由来の再生可能エネルギーによるRE100(再エネ利用率100%) の早期達成」等を通じて、2030年までに70%削減(2015年度比) することを目指します。また、最も排出量の多い販売建物の使用によるGHG排出量(スコープ3/カテゴリ11)については、すべての事業において原則として、「全棟ZEH・ZEB化、全棟太陽光発電搭載」を推進し、2030年までに63%削減(2015年度比)することを目指してまいります。

(3)リスク管理
気候変動リスクは、中長期的に大きな影響を与えるリスクの1つと認識し、全社的なリスク管理プロセスに統合してマネジメントしております。リスク・機会の特定・評価は、中期経営計画や環境行動計画の策定に合わせて、概ね3~5年おきに詳細分析を行い、同計画の重要課題の特定や主要施策、目標水準に反映しております。
具体的には環境部門において、脱炭素社会への移行にともなう「外部環境の変化」と地球温暖化の進展にともなう「物理的変化」を特定。その発生確率とこれらが現実化した場合の財務影響から重要なリスクと機会を評価しております。こうして特定した重要なリスクと機会については、各部門別に具体的な対策を検討し、環境行動計画において、グループ全体・部門別・事業所別に重要管理指標と目標を設定し取組みを推進しております。そのうえで、グループ全体として年2回の全社環境推進委員会、部門別には年2回の事業本部環境委員会、事業所別には年2回の事業所ECO診断/研修にて進捗管理を行っております。
(4)指標及び目標
気候変動にともなうリスクの最小化と機会の最大化を目指し、短・中・長期の目標を設定して、取組みを推進しております。なお、これらの目標は中期経営計画の指標の1つとして設定するとともに、同計画の対象期間と合わせて策定している環境行動計画「エンドレス グリーン プログラム」においては、さらに詳しい管理指標と目標を設定し、「環境と企業収益の両立」を目指して、取組みを加速させております。
※ 2022年度実績およびその他の指標については、2023年7月発行予定の
3.人的資本・多様性への取組み
当社グループでは社是に掲げる「事業を通じて人を育てる」に基づき、人財(人的資本)の価値向上が企業価値の源泉であると捉え、創業以来、人財の成長を第一に考えた経営を行ってまいりました。第7次中期経営計画では、人的資本への積極的な投資と従業員の成長の場・機会の創出を通じて、「個」と「組織」の価値を最大化し、イノベーションの基盤づくりを進めております。
多彩な事業ポートフォリオを持つ当社グループにおいて多様な人財の確保は最も重要な課題の1つであり、事業戦略に連動した多様な人財を確保するとともに、一人ひとりの個性や価値観に寄り添った成長機会を提供することで、自律的なキャリア形成を支援しております。そして、多様な「個」が健康かつ心理的安全な職場環境の中で自分らしさを発揮し、対話を通じてつながり合うことで「組織」として新たな価値が創出される、その様な組織風土・文化を醸成してまいります。
(1)戦略
人財育成方針
当社グループは、人財(人的資本)が最大の財産であるとの信念のもと、「創業者精神」を基本軸に、中長期的な視点をもって人財の育成に取組んでおります。変化し続ける社会や価値観の多様化に柔軟に対応し、潜在的な市場を発掘・創出するためには、一人ひとりの人財が持つ「強み」や「らしさ」が輝きあう組織であることが欠かせません。それぞれがプロフェッショナルとしての誇りをもって自らの「強み」を伸ばし、発揮することでチームに貢献することができるよう、複線的な成長機会の提供を通じて、従業員の自律的かつ持続的なキャリア形成を支援してまいります。そして、当社グループが掲げる“将来の夢”(パーパス)に共感する多様な人財を社内外に広く求め、それぞれが自らの“夢”の実現を“将来の夢”に重ね合わせながら相互につながり、組織の枠を超えた人の交流や学び合いを生み出すことを通じて、総合力としての人的資本の価値向上を目指してまいります。
[当社の教育体系図]

社内環境整備方針
当社グループでは多様な人財が持つ「知」や「経験」のダイバーシティがイノベーションを生み出す源泉であると考え、従業員が働きがいを実感しながら、「自分らしさ」を存分に発揮できる健全で公平な職場環境の整備に取組んでおります。
技術革新(AIやICT)の積極活用により従業員の働き方に変化を起こし、生産性の向上と従業員の健康保持ならびに改善を進めてまいります。また、従業員が持つ多様な価値観、性別、障がいの有無、性自認、性的指向、性表現、年齢、国籍、言語、文化、ライフスタイル等が尊重され、それぞれが持つ視点や発想を認め合い、活かしあい、輝きあう職場風土を、経営層および従業員相互の交流・対話を通じて醸成してまいります。
これらの取組みを通じて、従業員の自分らしい生き方や働き方の選択肢を広げ、エンゲージメントの向上につなげていくとともに、定期的なサーベイを通じてその効果を検証してまいります。
人的資本の拡充、多様性の推進
当社では多様性の1つである「女性」社員の活躍推進をダイバーシティ推進の試金石として積極的に取組んでまいりました。2005年に女性活躍推進プロジェクトを立ち上げ、2007年には専任組織である「Waveはあと推進室」を設置。業域拡大に合わせて2015年4月には同推進室を「ダイバーシティ推進室」に名称変更、2019年10月から「DE&I推進」組織として組織改編いたしました。
当社においてダイバーシティ&インクルージョンを経営に活かし、商品やサービス等のプロダクトおよびプロセスにおける新しい発想を生み出すため、また多様な視点での意思決定を強化するため、多様性を促進しております。
(2)指標及び目標
女性活躍推進
組織の意思決定に影響を与える分岐点とされる30%(クリティカル・マス)の確保に向けて、当社では「女性管理職比率」、「女性主任職比率」、「新卒採用女性比率」の3指標をKPIとして定めております。当社の女性社員比率は21.3%(2023年4月1日現在)であるため、絶対数の確保と育成を並行して進めております。
女性管理職については、第7次中期経営計画(2022~2026年度)において、初年度(2022年4月1日)に比べ約2倍となる500名登用(女性管理職比率8%)を目標として掲げております。その前段階として新卒採用女性比率30%を目標とし、会社説明会等において出産・育児等のライフイベントを支える人事制度の説明や、当社で活躍する女性社員の事例紹介等、入社後の働き方をイメージしやすい仕掛けづくりをしております。また、女性社員はもとより上司等、周りの社員に対してもマインドセットを図り、能力と意欲のある女性がキャリアを積み重ね持続的に働くことのできる環境と成長の機会を整備しております。その結果、管理職候補となる主任職層における女性比率が徐々に高まり、女性管理職比率も年々高まっております。
男性の家事・育児参画の推進
お客様の住まいと暮らしに寄り添う企業グループとして、従業員が性別に関わらず家事や育児に参画し新たな学びや気づきを得ることを支援しております。当社では2016年4月に育児休業制度の見直しを行い、育児休業の当初5日間を有給化し、男性も育児休業に踏み出しやすい環境を整えております。また、育児休業期間中だけではなく日常的に家事や育児に関われるように休暇制度やフレックスタイム制度等、柔軟な働き方を拡充してまいりました。
日本においてはまだまだ女性が担うことの多い家事や育児を、男性が単にサポートするのではなく主体的に関わることを後押ししております。男性が家事や育児を実体験として経験できる新たな機会を生み出すとともに、女性の精神的・肉体的負担を軽減することで、誰もが活躍できる社会を創ることを目指しております。
※1.2020年に実施した社内アンケートにて、育児休業を「取得したい(取得したかった)」と回答した男性社員比率が80%であったことから、第7次中期経営計画終了時(2026年度)の目標を「80%」に設定しております。
※2.各年度における入社3年後の定期採用者の定着率。
ダイバーシティスコアの事業所評価への組み入れ
会社全体でのダイバーシティを推進するために、事業所単位での状況を可視化することで、各職場におけるダイバーシティの推進度を測り促進することを目的とし、2019年度より事業所における経営健全度を評価する項目に「事業所ダイバーシティスコア」を導入いたしました。具体的には、「管理職・主任職における女性比率」、「男性の育児休業取得率」、「障がい者雇用率」、「若年層の定着率」の4項目にて評価することで、会社全体で人財の多様化を進めております。
シニア活躍推進
当社は高齢化・人口減少社会の到来を見据え、同業他社に先駆けて2013年に65歳定年制を導入いたしました。その後もシニア社員の処遇体系を継続的に見直してまいりました。またキャリア採用においても50歳以上を積極的に採用するなど、高度な経験やスキルを持つ人財を確保し長く活躍できる制度を整備しております。

※1.前年度満60歳を迎えた社員が当年度継続雇用される率。
※2.前年度末で定年退職した社員(65歳到達社員)が当年度嘱託として再雇用される率。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)リスクマネジメント体制について
当社は、「リスクマネジメント規程」を制定し、リスクを「大和ハウスグループに損失を与えるおそれのある事象」と定義した上で、リスクについての平時・有事の対応体制を明文化しております。具体的な体制は、以下のとおりです。
1.平時の体制
経営管理本部長をリスクマネジメント統括責任者に選任して、同責任者が当社グループ全体のリスクマネジメント体制の構築・運用・監督を実施する体制としております。そして、同責任者の監督の下、当社の各事業におけるリスクの顕在化の予防、顕在化したリスクへの対応を推進するための組織として、事業単位のリスク管理委員会(事業本部リスク管理委員会)を設置しております。
これらの体制を含む当社グループ全体の内部統制システムを監督する組織として内部統制委員会を設置しております。同委員会の委員長は社長が、副委員長は経営管理本部長(リスクマネジメント統括責任者)が務めております。
また、リスクをはじめとする当社グループの持続的成長を阻害するおそれのある事実を早期に発見・是正することを目的として、「大和ハウスグループ内部通報規程」を制定し、複数の内部通報窓口を設置・運用しております。運用にあたっては、公益通報者保護法の趣旨を踏まえて通報者氏名・通報内容の厳秘や、不利益な取扱いを禁止する旨を同規程に定めるとともに、「社内リーニエンシー制度」の導入や、利益相反する関係者を排除して通報に対応する仕組みの構築等、より実効性を高めるための取組みを実施しております。

2.有事の体制
重大リスクが顕在化した場合には、緊急対策本部を立ち上げて対応し、業績等への悪影響の最小化に努めております。具体的には「リスクマネジメント規程」において、顕在化したリスクのうち当社グループ又はそのステークホルダーに特に重大な影響を及ぼすおそれのあるものについて、緊急対策本部を設置して、当該重大リスクへの対応・再発防止策の検討・推進を行うことを定めております。その上で、リスクマネジメント規程の下位規範である「緊急対策本部設置・運営細則」において、緊急対策本部の設置基準・メンバー・運営手順・業務等を明文化することで、速やかに緊急対策本部を立ち上げて適正な対応を執ることができる体制としております。
(2) 当社グループの事業等に関するリスクについて、連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重大な影響を与える可能性がある事項には、以下のようなものがあります。なお、本項において将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものです。
<当社グループのリスク一覧>
1.外部要因
1)法令・政策
2)事業環境
※ 労務・安全衛生に関する書類を電子的に作成・提出・管理するためのインターネットサービス。
3)不動産市場
4)ファイナンス
5)ハザード・突発的事象
2.内部要因
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響の緩和と経済活動の正常化が進む一方で、ウクライナ情勢等を受けた原材料・エネルギー価格の高騰やサプライチェーンに与える影響、金融資本市場の変動等の影響により不透明な状況が継続いたしました。企業収益の改善や設備投資、雇用も持ち直しの動きが見られ、個人消費も緩やかに回復したものの、物価上昇による消費者マインドの悪化が、経済の持ち直しの速度を弱める可能性もあり、注視が必要な状況が続いております。
国内の住宅市場における新設住宅着工戸数は、分譲住宅及び貸家が前年比プラスとなったものの、持家が減少したことにより全体では前年比がわずかにマイナスとなりました。一般建設市場でも、建築着工床面積において、事務所の使途が減少し、全体では前年比がわずかにマイナスとなりました。
このような事業環境の中で当社グループは、2022年度を初年度とする5ヵ年計画「第7次中期経営計画」のもと、「収益モデルの進化」・「経営効率の向上」・「経営基盤の強化」の3つの経営方針を掲げ、持続的な成長モデルの実現に向け、海外事業のさらなる進展や、地域を活性化させる複合再開発の推進、カーボンニュートラルの実現に向けた取組み等、各施策を実施してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は4,908,199百万円(前連結会計年度比10.6%増)、営業利益は465,370百万円(前連結会計年度比21.4%増)、経常利益は456,012百万円(前連結会計年度比21.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は308,399百万円(前連結会計年度比36.9%増)となりました。
なお、上記の営業利益には退職給付数理差異等償却益96,656百万円を含んでおり、数理差異等を除いた営業利益は368,714百万円(前連結会計年度比11.0%増)となりました。
セグメント別の概況は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」をご参照ください。下記の連結会計年度との比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

戸建住宅事業では、事業ミッション「『続く幸せ』を、住まいから」及び、事業ビジョン「LiveStyle Design(リブスタイルデザイン)~家を、帰る場所から『生きる』場所へ~」のもとで、お客様の人生に寄り添い、地域に密着した事業展開を推進してまいりました。
国内の住宅事業では、主力鉄骨造商品「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」、木造住宅商品「xevo Granwood(ジーヴォグランウッド)」、3・4・5階建「skye(スカイエ)」を中心に、オンラインで家づくりができる「Lifegenic(ライフジェニック)」や富裕層をターゲットとした当社最高級戸建住宅商品「Wood Residence MARE-希-(マレ)」等の多彩な商品ラインアップに加えて、当社オリジナルのソフト提案として「テレワークスタイル」や家族で家事をシェアする「家事シェアハウス」等、注文住宅・分譲住宅において、お客様の課題解決と社会の変化をとらえた新たな価値の提案に注力してまいりました。
また、2023年1月からはデジタル技術を使った提案力を強化し、初回提案時におけるプランの3D化やWEBコミュニケーションツール「LiveStyle診断」等をスタートしております。加えて、業界初となる24時間防犯カメラ機能付きインターホンを搭載した戸建住宅向け宅配ボックスを開発し、防犯や社会課題の改善に取組む商品を提案しております。
海外では、米国において、雇用拡大による住宅需要が見込める米国東部・南部・西部を結ぶスマイルゾーンでの戸建住宅事業を展開しております。2022年度後半は、度重なる政策金利の引き上げによる影響により受注が鈍化したものの、 需要は堅調であることから、価格調整に頼らない販売活動を継続いたしました。住宅ローン金利の上昇に一服感がみられ、足元の受注は回復傾向となっております。
以上の結果、当事業の売上高は910,076百万円(前連結会計年度比15.9%増)、営業利益は46,666百万円(前連結会計年度比21.6%増)となりました。

賃貸住宅事業では、ご入居者様に喜ばれ、長く住み続けたいと思っていただける住まいを提供し、オーナー様の資産価値の最大化に繋がる賃貸住宅経営のご提案とサポートを行ってまいりました。環境負荷を低減し、省エネ・創エネ対応の賃貸建物を推進する中、2022年10月に断熱性能を高めた「TORISIA(トリシア)」を販売開始し、ZEH-M物件のさらなる普及・拡販に努めてまいりました。
大和リビング株式会社では、ライフスタイルの変化に伴い、管理物件にインターネットや宅配ボックスを標準導入するなど、ご入居者様のニーズにあわせた仕様を備えたことにより、高い入居率を維持するとともに、当社建築物件の管理戸数も増加いたしました。
大和ハウス賃貸リフォーム株式会社では、当社施工の賃貸住宅を所有するオーナー様に対し、定期点検・診断を通じたリレーションの強化を図り、保証延長工事やリノベーション提案を継続して推進してまいりました。
また、当社及び、大和リビング株式会社、大和ハウス賃貸リフォーム株式会社の3社は、近年の貧困や少子高齢化等、多様化・複雑化する社会課題の解決に向けて、賃貸住宅「D-room」を中心とする新たな「循環型事業モデル」を確立させるために「大和ハウスグループ『D-room地域共生基金』」を設立いたしました。地域の安全・防犯、地域イベントや文化の伝承、ひとり親世帯をはじめとする子育て等に支援・貢献している10団体を選定し、2023年3月に第1回目の寄付を実施いたしました。
海外では、賃貸住宅開発事業を展開している米国において、メリーランド州で開発した賃貸住宅「ロックビルタウンセンター」の収益性が評価され、早期の売却が実現いたしました。断続的な金利上昇が機関投資家をはじめとする購買層の資金調達に影響し、収益物件のマーケットの動きに注視が必要な状況が継続しておりますが、開発した物件を高収益で売却できるタイミングを計りつつ、稼働率や賃貸による収益率の向上に注力しております。
以上の結果、当事業の売上高は1,149,424百万円(前連結会計年度比9.2%増)、営業利益は109,710百万円(前連結会計年度比13.5%増)となりました。

マンション事業では、お住まいになる方々の多彩なライフスタイルに応えるため、ハウスメーカーとして培ってきたノウハウを駆使しながら、長寿命の住まいに欠かせない基本性能や快適性、安全性、管理体制の提供を追求してまいりました。そして、お客様にとっての資産価値に加えて、環境や社会への配慮、地域社会への貢献を目指した付加価値の高いマンションづくりに努めております。
2023年3月に販売開始した「プレミスト本鵠沼」(神奈川県)は、閑静な立地と徒歩10分圏内に生活利便施設や教育施設が整う成熟した住環境に加えて、各主要都市への交通利便性の良さが評価され、販売が順調に進捗しております。
また、当社が開発する分譲マンション「プレミスト」シリーズでは、2024年度以降に着工する全棟にZEH-M仕様を採用いたします。2018年度からZEH-M仕様のマンション開発を開始し全国での開発・販売体制が整ったため、当初目標から2年前倒しで取組むこととなりました。
株式会社コスモスイニシアでは、「イニシア町田」(東京都)が、JR横浜線町田駅から徒歩4分の交通利便性と商業施設や商店街が揃う生活利便性に加え、三方が道路に面した立地の解放感や日当たりの良さなどが評価され、販売が順調に進捗し全戸完売いたしました。
大和ライフネクスト株式会社では、充実した福利厚生により企業の採用競争力を高めるため、寮・社宅ニーズ、在宅勤務等の普及によるコミュニケーション不足や体調不良時の孤立化リスクに応えるべく、法人向けクォリティレジデンス「エルプレイスシリーズ」(社員寮)を全国61ヶ所に展開しております。2023年3月には、新規物件「エルプレイス清澄白河」(東京都)を開業いたしました。
以上の結果、当事業の売上高は484,382百万円(前連結会計年度比27.5%増)、営業利益は40,879百万円(前連結会計年度比319.2%増)となりました。

商業施設事業では、テナント企業様の事業戦略やエリアの特性を活かし、ニーズに応じたバリエーション豊富な企画提案を行ってまいりました。特に、大型物件への取組みの強化や、当社で土地取得・開発企画・設計施工・テナントリーシングまで行った物件を投資家に販売する分譲事業等に注力してまいりました。
都市型ホテル事業では、大和ハウスリアルティマネジメント株式会社において、ペントアップ需要や外国人の旅行先として訪日のニーズが根強い中、2022年10月に実施された外国人観光客入国制限解除や歴史的な円安が追い風になり、コロナ前以上のインバウンド需要の回復に伴う収益増が期待されております。ダイワロイネットホテルの2023年1月から3月の平均稼働率は85.1%と改善し、順調に推移いたしました。
フィットネスクラブ事業では、スポーツクラブNAS株式会社において、スクール会員数はコロナ前の水準まで回復してまいりましたが、昨今の水光熱費高騰の影響で厳しい経営環境が続いているため、運営オペレーションの見直しによる効率化を継続し、コスト削減を徹底してまいりました。
以上の結果、当事業の売上高は1,092,167百万円(前連結会計年度比5.2%増)、営業利益は132,984百万円(前連結会計年度比7.1%増)となりました。

事業施設事業では、法人のお客様の様々なニーズに応じた施設建設のプロデュースや不動産の有効活用をトータルサポートすることで業容の拡大を図ってまいりました。
物流施設関連では、「DPL浦安Ⅳ」(千葉県)が竣工と同時に満床稼働となるなど、順調に開発を進めてまいりました。また、新潟県初となるマルチテナント型物流センター「DPL新潟巻潟東」を着工するなど、当社の強みである地方での拠点展開を活かし、製造業の国内回帰をターゲットとした地方における物流倉庫の開発を加速いたしました。なお、2022年度では全国41ヶ所の新規物流施設を着工しており、豊富な経験とノウハウでお客様の物流戦略をバックアップしております。
主に当社が開発した物流施設を管理・運営する大和ハウスプロパティマネジメント株式会社では、2023年1月完成の「DPL坂戸Ⅱ」(埼玉県)をはじめとする物流施設等30棟について新規プロパティマネジメント(PM)契約を締結し、累計管理棟数は238棟、管理面積は約938万㎡となりました。
大和物流株式会社では、物流基盤構築として2023年1月に「広島観音物流センター」、2023年3月に「丸亀物流センター」(香川県)を竣工し、物流センターを軸とした3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)を積極的に展開してまいりました。
株式会社フジタでは、大型建築工事として清掃工場建替・物流倉庫・大学施設・市街地再開発事業での複合施設・生産施設等、土木事業としてエネルギー事業関連の受注により、建設受注高は堅調に推移いたしました。また、期首繰越工事の順調な進捗と開発案件の売却増加により、売上高は前年から大幅に増加いたしました。
海外では、主な展開エリアとなるASEANにおいて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の規制緩和が進んだものの、インドネシア・ベトナム・マレーシア・タイで推進中の物流倉庫事業については、円安による日系企業の設備投資意欲の減退の影響が継続しております。今後の日系企業のASEAN進出や事業拡大の再開に注視しつつ、外資系企業への営業活動を実施してまいります。
以上の結果、当事業の売上高は1,130,230百万円(前連結会計年度比4.7%増)、営業利益は99,630百万円(前連結会計年度比20.6%減)となりました。

環境エネルギー事業では、脱炭素への流れが加速し、再生可能エネルギーへのニーズが高まるなか、EPC事業(再生可能エネルギー発電所の設計・施工)、PPS事業(電気小売事業)、IPP事業(発電事業)の3つの事業を推進してまいりました。
EPC事業では、脱FIT(再生可能エネルギーの固定買取制度)の取組みとして、屋根上や隣接地に設置した太陽光発電所から直接電力を供給する「オンサイトPPA(※)」、太陽光発電所から離れた需要家に供給する「オフサイトPPA」の2つのPPA事業の拡大に注力しており、案件が増加しております。
PPS事業では、長期化するウクライナ情勢や円安の影響による資源価格の上昇により電力仕入価格が高騰し、厳しい事業環境が続いております。当社グループでは、低圧の燃料調整費の上限撤廃、高圧における市場連動型プランの開始、電源調達量に応じた電力供給、電力卸売市場からの調達比率の低減等の施策により収益性の改善に取組んでまいりました。直近では電力卸売市場のスポット価格も落着きはじめ、収益の改善が見込まれます。
IPP事業では、太陽光発電を中心に、風力発電、水力発電を全国480ヶ所で運営しております。今後も第7次中期経営計画の3つの経営方針の一環として「原則すべての新築建築物の屋根に太陽光発電の設置」の取組みを当社グループ全体で推進し、更なる再生可能エネルギー発電事業の拡大を目指してまいります。
以上の結果、当事業の売上高は188,611百万円(前連結会計年度比17.1%増)、営業利益は6,285百万円(前連結会計年度比19.3%増)となりました。
※ Power Purchase Agreement(パワー・パーチェース・アグリーメント)の略。電力購入契約。

アコモデーション事業では、大和リゾート株式会社において、国内宿泊需要は全国旅行支援、県民割の実施により前年に比べ増加し、稼働率は前年を上回る結果となりました。
また、当社は「株式会社響灘火力発電所」の経営権を取得し、2023年1月26日付で当社グループ会社といたしました。2022年度を初年度とする5ヵ年計画「第7次中期経営計画」において、“カーボンニュートラルの実現”をテーマとし、その一つとして再生可能エネルギーの供給量拡大を掲げております。2026年度には累計1,550MW以上、2030年度には累計2,500MW以上の再エネ供給施設を自社運営し、広く社会にクリーンなエネルギーを供給することを目指しております。そのような中、より積極的に自社運営施設を拡大すべく、定格出力112MWの発電能力を有する響灘火力発電所を取得いたしました。同社が運営する「響灘火力発電所」では、現在石炭とバイオマス燃料(木質ペレット)の混焼による発電をおこなっておりますが、バイオマス燃料を100%利用したバイオマス専焼発電所へ転換し、2026年4月の運転開始を目指してまいります。
以上の結果、当事業の売上高は81,849百万円(前連結会計年度比29.8%増)、営業利益は5,497百万円(前連結会計年度は5,922百万円の営業損失)となりました。
(注) 各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものです。(「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照。)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加230,298百万円、投資活動による資金の減少505,181百万円、財務活動による資金の増加287,452百万円等により、あわせて19,903百万円増加いたしました。この結果、当連結会計年度末には346,154百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の増加は230,298百万円(前連結会計年度比31.5%減)となりました。これは、主に販売用不動産の取得や法人税等の支払いを行ったものの、税金等調整前当期純利益を440,496百万円計上したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は505,181百万円(前連結会計年度は467,423百万円の減少)となりました。これは、主に大規模物流施設や商業施設等の有形固定資産の取得を行ったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の増加は287,452百万円(前連結会計年度は24,427百万円の増加)となりました。これは、主に株主配当金の支払いを行ったものの、棚卸資産や投資用不動産の取得等のために、借入金や社債の発行による資金調達を行ったことによるものです。
3.生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 各セグメントの金額は外部顧客への受注高・受注残高を表示しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.各セグメントの金額は外部顧客への売上高を表示しております。(「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」を参照。)
2.総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。
(参考)提出会社個別の事業の状況は次のとおりです。
受注高、売上高及び繰越高
(注) 1.損益計算書においては、建築請負部門は「完成工事高」、不動産事業部門は「不動産事業売上高」、その他事業部門は「その他の売上高」として表示しております。
2.前期以前に受注したもので契約の更改により金額に変更あるものについては、当期受注高及び当期売上高にその増減を含めております。
3.次期繰越高は(前期繰越高+当期受注高-当期売上高)です。
4.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第83期の期首から適用しており、第83期以降の前期繰越高については、当該会計基準等を適用して表示しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、その達成を保証
するものではありません。
<CFOメッセージ>
着実な事業成長に向けて優良な資産を積み上げる
第7次中期経営計画(以下、7次中計)の経営方針である「経営効率の向上」及び「収益モデルの進化」に向けて取り組みを進めております。規模拡大や安定的な利益成長が期待できる分野に積極的に投資し、優良な資産を積み上げることで着実な成長を目指します。その結果として、得られるリターンを株主に還元すると共に、次の更なる成長に向けて再投資をしていきます。成長に向けた投資先としては、物流施設や商業施設を中心に新規領域への投資先としてデータセンター、公設卸売市場などを含めた不動産開発投資です。2022年度においては、不動産開発投資4,080億円の結果、投資不動産残高は1兆6,108億円となり、将来のキャピタルゲインにつながる優良な資産は順調に積み上がっています。それに加え、海外成長に向けた住宅分野への投資や、カーボンニュートラル実現に向けた投資も戦略投資として積極的に推進していきます。
そのほかDXのためのIT基盤投資、デジタルコンストラクション投資などの設備投資についても進めており、ロボット技術やドローンを活用した作業の省人化・自動化などにも取り組んでいます。将来の事業を支える人的資本・知的資本への投資も進めています。
D/Eレシオは0.6倍を上回るも投資ハードルレートを引き上げ、金利上昇に備える
経営効率の向上に向けては、財務健全性の維持も重要視しています。当社は、D/Eレシオ0.6倍程度という財務規律を設けておりますが、2023年3月末においては、有利子負債は1兆8,494億円となり、D/Eレシオは0.72倍(ハイブリッドファイナンスの資本性考慮後)となりました。
その背景として、海外成長に向けた投資が先行している事があります。米国戸建住宅事業は順調に推移していたため、少しアクセルを踏み込みましたが、急激な金利上昇を受け、受注環境が一時的に減退し、期末での在庫が増えたことに加え、円安の影響もありバランスシートが膨らみました。また国内の賃貸住宅事業や商業施設事業においては、請負だけではなく、地域に密着した土地情報を活かす分譲事業を積極的に展開しており在庫が積み上がりました。それが、有利子負債の増加の一因にもなっています。しかし分譲事業については、順調に売却ができており、高い資産回転率を維持しています。
中計策定時から、中計前半は最終年度に向けて投資が先行することは想定しており、D/Eレシオも0.6倍を上回るとみていました。しかし、昨今の金利動向や、今後を見据えて、先手先手で備えていく必要はあると考えています。それに向けた対応策の1つとして、まずは2023年2月より不動産開発投資の判断基準として設けているIRRのハードルレートを10%に引き上げました。
2008年に不動産投資委員会(現・事業投資委員会)を設置した当時は、まだまだ請負工事による利益獲得が事業の中心であったこともあり、社内に「資本コスト」を意識させる目的もあって投資判断基準にIRRを採用しました。今回の引き上げは、先の先を見据えたリスク管理の重要性への認識と、「ROE13%以上の達成」への強い意識付けにつながるものと考えています。なお、過去のプロジェクトを検証した結果、多くの案件はIRR10%以上を達成していた事から、今回の基準変更が大幅な投資縮小につながる事はないと考えています。加えて、海外での投資案件については各国に応じたリスクプレミアム等を上乗せし、リスク管理をしています。また環境貢献に資する投資を優先するという目的で、インターナルカーボンプライシング(ICP)を導入し、投資の評価基準に加えました。これにより、環境への投資促進も図っていきます。
一方、資金調達については、2022年度は2回の社債発行により2,000億円の資金調達を実施しました。金利の先高観もあり、低金利での長期の資金調達は徐々に難しくなってきています。そのため、外部からの調達だけではなく、投資用不動産、販売用不動産の売却による資金回収のスピードを更に上げていきます。金利上昇環境による不動産売買マーケットの変化を懸念する声を投資家の方からいただくこともありますが、現状は、国内の不動産売買マーケットに大きな変化はありません。当社はこれまでも、様々な場所でバラエティーに富んだアセットを開発し、これまで積み上げてきたテナントとのリレーションを活かしながら、適地を踏まえたテナント企業を誘致し、そして多様な出口によって不動産を売却することで、大きな利益を安定的に創出してきました。これらの強みを活かしながら、引き続き、不動産開発事業による大きな利益、キャッシュ・フローの創出を実現していきます。
ROE13%以上を達成し市場における企業価値を高める
2023年3月に東京証券取引所からPBR1倍割れの企業に対しての改善要請が出されました。残念ながら当社のPBRは23年3月末時点で0.9倍台となっており、まだまだ経営改善の余地があるものと考えております。2022年度のROEは14.3%となりましたが、退職給付数理差異の影響によりROEを3ポイント程度押し上げた結果です。過去実績を分析したところ、PBRが1.85倍と最も高かった2017年度は、当社の株主資本コストの2倍以上となるROE17%が実現できていました。成長ドライバーであった3事業(賃貸住宅事業、商業施設事業、事業施設事業)で高い利益率を実現しながら、利益成長率が高かったことが要因でありますが、やはり市場評価を得るにはROE13%以上の達成は欠かせないと考えています。
それに向けて、当社グループでは7次中計で掲げる通り、事業ポートフォリオの最適化を進めています。成長を牽引する事業については重点的に投資することで規模を拡大する。一方で、今後の成長性、資本効率性の面で課題のある事業については、成長シナリオを再考し、再建・再編を進めており、2022年12月にはリゾートホテル事業の譲渡を決断しました。今後の事業ポートフォリオの最適化に向けた検討にあたっては、当社グループ内でシナジーが期待できるか、当社がベストオーナーか、という点を重視し、大和ハウスだからこそ価値を最大化できる事業、将来の利益成長をけん引する事業へ経営資源を集中していく考えです。これらの取組みを並行して進めることで、最終年度にROE13%以上を到達できるものと考えています。23年3月末時点でPERは6倍であり、業界特性はあるものの、市場全体から見れば低いと考えていますので、今後も事業プロセスの見直しやIT化などによる業務の効率化を進め、グループ集中購買の取組みによるコスト競争力の強化にも引き続き取り組んでいきます。
ROICへの社内意識の向上により資本効率の高い経営を実現する
2021年4月の事業本部制の導入以降、社内においてはROICを重要な経営指標の一つとして採用してきました。各事業本部が自律的に経営を行い、ROICへの意識は高まってきているように感じています。それぞれの事業特性に応じて、事業本部長が傘下のグループ会社を含めたバランスシートに責任をもち、事業本部単位でストックとフローのバランスを取りながら利益を上げていくわけですが、利益一辺倒ではなく、投資効率を重視する意識が浸透することで適切な判断がなされることを期待しています。加えて、各事業本部の相互連携が事業全体の収益性向上につながることも期待しています。
資本効率の高い経営を実現するためには、さらなる利益率の向上と資産回転率の改善が必要です。土地を絡めた分譲事業も積極的に進めていますが、資産回転率と投資の「質」の管理は、相当に意識しています。しかし直近の回転率は0.8回転程度となっています。2012年度から2019年度にかけては概ね1倍程度で推移しておりましたので、回転率改善のために棚卸資産の販売促進や、投資不動産の売却等に引き続き取り組んでいきます。事業所評価においては、業績評価に加えてキャッシュ・フローの観点から長期滞留の土地保有の有無、売掛金の早期回収や前受金比率の増加などを評価項目とし、事業所の凡事徹底の積み重ねが資本効率の向上に寄与するようにしています。
非効率資産の圧縮に向けては、政策保有株式の縮減を継続して進めています。毎年取締役会に上程して保有理由などの精査を行い、中長期的な経済合理性を検証しています。2022年度は一部売却も含め、11銘柄の株式売却を実施しました。見直しを始めた2014年度末の98銘柄から2022年度末では56銘柄へと着実に減少しています。
海外における事業投資の状況と管理監督機能強化
CFOとして、海外事業に対しては、引き続き金利動向や世界情勢などを注視しながら監督しています。冒頭でも触れたように、土地が起点となる米国住宅事業においては、販売用不動産は22年3月末と比べて1,086億円(為替影響含む)、増加しています。住宅ローン金利の上昇や住宅価格の高騰によって需要が減少傾向になるなど事業は2022年後半から減速局面に入りました。しかし含み損が出るような状況ではありません。長期的には米国の人口増加や住宅需要の持続的な拡大が予想されることから、むしろ良い土地を取得するチャンスと捉え、潜在的な住宅需要への備えとして優良な土地の取得をきちんと精査しながら進めていきます。
中国マンション事業については2025年度、2026年度引渡し予定の2つのプロジェクトが進行中で、販売用不動産は建設が進むに従って、今後積み上がる予定です。足下の売れ行きは、まだ完成までに時間がある中、市場の不動産価格が下落局面であることから低調ではありますが、現状は値引きなどせず、状況を注視しながら現地に密着した販売を進めています。
海外におけるリスクマネジメントの強化は2019年の不祥事以来、継続的に取り組む重要課題として認識しており、RC機能の整備・強化を進めてきました。一方で、国内についても、さらなる管理監督機能の強化に向けて、2023年2月に組織改編を発表しました。本店・支社がリーダーシップを発揮し、支店との連携を通じて、管轄するエリアにおける法令遵守・ガバナンスに関する責任を全うできる体制を整えました。健全な事業所経営に向けた組織改革を押し進め、業務効率性と法令遵守の徹底を図っていきます。
安定的な株主還元を実現する
当社の株主還元に関する基本方針は、事業活動を通じて創出した利益を株主の皆さまへ還元することと併せて、中長期的な企業価値最大化のために不動産開発投資、海外事業展開、M&A、研究開発および生産設備などの成長投資に資金を投下し、1株当たり当期純利益を増大させ、株主価値向上を図ることとしています。2022年度の年間配当金額は130円、13期連続の増配を実現することができました。
一方、退職給付会計における数理計算上の差異(数理差異)の影響により、配当性向は27.7%と、公表している配当性向35%を下回りました。当社では数理差異は発生年度において一括処理する方法を採用していますが、2022年度は、金融政策の変更等の影響を受けた期末日における市場金利を踏まえ、企業年金制度および退職一時金制度の退職給付債務の算定に用いる割引率を、主として0.8%から1.5%へ変更しました。これに伴う退職給付債務の減少額として営業利益(営業費用の減額)が812億円発生し、加えて、年金資産の運用から生じる運用益159億円等を含めた数理計算上の差異も併せて966億円の影響額となりました。本件は、キャッシュ・フローを伴わない事象となることから、今回はその影響額を除いて配当金額を決定させていただき、退職数理差異の影響を除いた配当性向は35.6%となっています。また経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行する株主還元の一環として、23年5月に700万株の自己株式の消却の実施と、1,000万株(取得金額350億円)を上限とする自己株式の取得を発表しました。
今後も中計で掲げた株主還元方針に変わりはありません。コロナ禍による一時的な事業環境の変化の状況において当社グループの多様なポートフォリオの強みを再認識したことなどから、7次中計では下限配当金額130円を設定しています。着実な利益成長を実現しながら、配当性向35%以上の維持や機動的な自己株式の取得など引き続き安定的な株主還元を実現していきます。
“将来の夢”の実現に向けた
企業価値の向上を引き続き目指します
2055年に向けて策定した“将来の夢”(パーパス)の実現に向けて、2022年度は、当社の全国の事業所ごとにワークショップ等で議論を深め、それぞれの地域でどのような“未来の景色”を目指すのかを「ミライマチ宣言」としてまとめました。2023年度は組織と個人への浸透策を進め、一人ひとりが世の中の変化やお客さまをはじめとしたステークホルダーに目を向け、行動を起こしていけるようなフェーズに入っていく計画です。これらの活動を通じて培われていく思想や考え方が、当社グループの新たな企業文化の醸成につながることを期待しています。
私たち大和ハウスグループの企業価値向上は、利益を創出する事業価値と、“世の中の役に立つ”という考え方のもと事業を通じて生み出される社会価値を伴わなければ実現できないと思います。そしてそれを実行する人的資本の価値向上にも取り組まなければなりません。今後も皆様に期待していただける大和ハウスグループであり続けられるよう、“将来の夢”の実現に向けた持続的な企業価値の向上を目指していきます。
2022年度末の総資産は、2021年度末比で6,204億円増加し、6兆1,420億円となりました。その主な要因は、戸建住宅事業における販売用不動産の仕入により棚卸資産が増加したことや、投資用不動産等の取得により有形固定資産が増加したことによるものです。
負債合計については、2021年度末比で3,428億円の増加となり、3兆7,531億円となりました。その主な要因は、販売用不動産や投資用不動産の取得等のために借入金や社債の発行による資金調達を行ったことによるものです。
純資産合計については、2021年度末比で2,775億円増加し、2兆3,889億円となりました。その主な要因は、株主配当金860億円の支払いを行ったものの、3,083億円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことや、円安の影響等を受けたことにより為替換算調整勘定が増加したことによるものです。
リース債務等を除く有利子負債残高は、2021年度末比で4,240億円増加し、1兆8,494億円となりました。D/Eレシオについては、0.72倍(※1)となり、0.6倍程度としている財務規律を上回っておりますが、これは成長のための積極的な投資が先行していることによるものです。
資産内訳については、棚卸資産の残高が2兆916億円となり、大きな割合を占める状況となっております。今後も、棚卸資産や投資用不動産の取得等により、資産が膨らむことが予測されますが、最適資本構成の検証により財務の健全性維持に努めてまいります。
※1.ハイブリッドファイナンス(2019年9月に発行した公募ハイブリッド社債(劣後特約付社債)1,500億円、及び2020年10月に調達したハイブリッドローン(劣後特約付ローン)1,000億円)について、格付上の資本性50%を考慮して算出しております。
2022年度末の棚卸資産は2兆916億円となり、2018年度対比で119%の増加となっております。主な増加要因は、当社の強みの一つである「土地を起点とした複合的な事業提案力」の強化を図り、特に賃貸住宅や商業施設事業において分譲事業を推進し、投資不動産の購入を検討されているお客様に向けた販売用不動産の仕入を増加させたことによるものです。また米国住宅市場における事業拡大や中国における分譲マンションの開発等も棚卸資産の増加につながっております。セグメント別には、海外で分譲事業を展開している戸建住宅やマンション事業、国内で開発した物流施設等の売却を進めている事業施設事業の割合が高くなっております。
投資不動産は1兆6,108億円となり、2018年度対比で49%の増加となっております。内訳としては流動化不動産(※2)が1兆2,599億円で71%の増加、収益不動産(※3)が3,509億円で2.9%の増加となっており、流動化不動産の増加が投資不動産の増加につながっております。主な増加要因は収益ドライバーの一つである物流施設の開発投資を拡大したことによるものです。
資産の増加は棚卸資産や投資不動産の増加によるところが大きくなっていますが、これは成長のための投資を積極的に行っている事によるものです。投資に際しては、IRRを重要な指標として意思決定しており、売却時には資金回収及び収益獲得に寄与するものと考えております。今後も、市場の環境等を踏まえながら最適なタイミングで売却を実施し、資本効率の向上に努めてまいります。
※2.流動化不動産:値上がり益を得る目的で投資後、早期に売却可能な不動産。
※3.収益不動産:賃貸収益を得る目的で投資・開発した不動産。
キャッシュ・マネジメントについては、事業活動によるキャッシュ創出額を基準として投資を行うことを基本的な考え方としております。第7次中期経営計画において、財務規律としてD/Eレシオを0.6倍程度に設定しておりますが、優良な投資機会に対しては、積極的な投資を行う必要があり、成長のための投資が先行し一時的に規律を上回ることがあります。中長期的には、0.6倍程度に有利子負債の水準をコントロールするため、社内の投資判断基準であるIRRのハードルレートを8.5%から10%に引き上げ、成長投資と財務健全性の維持の均衡を図っております。
2022年度における営業活動CFは、2,302億円となり、2021年度に比べ1,061億円減少し、自己資本を1とした場合の営業活動CF比率は、2021年度の0.17から0.07ポイント下降し0.10となりました。その主な要因は、4,404億円の税金等調整前当期純利益を計上したものの、販売用不動産の取得や法人税等の支払いがあったことによるものです。
投資活動CFについては、第7次中期経営計画における投資計画に基づき、賃貸等不動産等の取得や、不動産開発事業への投資を4,294億円実行したことなどにより、△5,051億円となりました。その結果、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動CF+投資活動CF)は△2,748億円となり、また、棚卸資産や投資用不動産の取得等のために、借入金や社債の発行による資金調達を行ったことなどにより、財務活動CFは2,874億円となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の2022年度末残高は2021年度末から199億円増加し、3,461億円となりました。
[ 図13 ]
海外事業における売上高は6,739億円、営業利益は529億円となり、2018年度からの5年間における年平均成長率は売上高24.7%、営業利益42.3%となりました。当社業績に占める海外事業の割合も上昇傾向にあります。当社は米国の住宅会社のM&Aや中国でのマンション開発等、海外事業に積極的に取組んでおります。第7次中期経営計画において、地域密着型の海外事業による成長の加速を重点テーマの一つとし、最終年度には、海外売上高1兆円・営業利益1,000億円を目指してまいります。
[ 図21 ]
注 最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所プライム市場におけるものです。
当社は、2022年度を初年度とする5ヵ年計画「第7次中期経営計画」をスタートいたしました。初年度は、退職給付会計における数理計算上の差異の影響もありますが、順調なスタートを切ることができました。D/Eレシオについては、投資が先行しており、財務規律を上回っておりますが、最終年度に向けてコントロールしてまいります。原材料・エネルギー価格の高騰や金融資本市場の変動等の影響により厳しい事業環境が続きますが、計画達成に向けて、「収益モデルの進化」「経営効率の向上」「経営基盤の強化」の3つの経営方針を掲げ、持続的な成長モデルの実現に向け、海外事業のさらなる進展や、地域を活性化させる複合再開発の推進、カーボンニュートラルの実現に向けた取組み等、各施策を実施してまいります。
経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。
当社グループでは、「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、社会に役立つ価値の創造を目指し、官公庁、国内外の大学、異業種企業とも密接に連携を図りながら、基礎・応用研究から新技術・新商品開発、これらの新技術の建築物や街づくりへの活用・検証まで多岐にわたる研究開発活動を行っております。
なお、当連結会計年度の研究開発費は
当連結会計年度の主な活動は次のとおりです。
・当社は、ZEH-M(※1)に対応した賃貸住宅商品「TORISIA(トリシア)」を発売いたしました。オーナー様の長期安定経営を支えるため、「地球環境・ご入居者・街への3つの持続価値」をコンセプトに掲げ、当社オリジナルの「外張り断熱通気外壁」をはじめ、建物全体を高断熱化するとともに、省エネルギー設備を導入することで、ZEH-M Oriented(※2)を実現いたしました。また、太陽光発電システムを搭載(※3)することで、政府が目指すべき水準(3階建て以下)であるZEH-M、Nearly ZEH-Mの普及促進をしております。あわせて、一次防水に加え、外壁の内部にも防水層を設けた独自の「二重防水構造」を標準採用したことで、構造躯体・防水の初期保証期間を30年(※4)とし、オーナー様の大切な資産を長期にわたりサポートいたします。
※1.ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンションの略称。外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備え、再生可能エネルギー等により、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した集合住宅。
※2.強化外皮基準に適合し、一次エネルギー消費量(再生可能エネルギー等を除く)を20%以上削減した集合住宅。提案内容や一部エリアにおいては対応できない場合あり。
※3.オプション対応。
※4.初期保証30年は、全戸が住宅・賃貸住宅用途の物件に限る。
・当社は、SNSの普及やコロナ禍による住宅展示場への来場者数の減少に伴い、Webサイトを通じて資料請求や情報収集をするお客様が増加(※5)する中、「LiveStyle PARTNER(リブスタイル パートナー)」というデジタル展示場サイトを開設いたしました。当サイトでは、アバター(※6)を用いてお客様と当社担当者がコミュニケーションを図りながら仮想空間上の住宅展示場を自由に見学できる「メタバース住宅展示場」を業界で初めて(※7)公開いたしました。今後もリアルとデジタルを融合し、お客様の理想の家づくりをサポートいたします。
※5.株式会社リクルート「2021年注文住宅動向・トレンド調査」より。
※6.インターネット上の仮想空間で動作するユーザー分身のこと。
※7.当社調べ。
・当社は、株式会社バンダイナムコ研究所と株式会社ノイズの3社で、築90年以上の歴史ある古民家を改装した「XR HOUSE 北品川長屋1930」において、建物とデジタル技術を組み合わせることで創出される新しい価値を検証する共同実証実験を行いました。本実証では「XR(※8)技術」を活用し、リアル世界とバーチャル世界の共生を目指した空間や、「人」の動きに「家」が音と光で反応し、家が人格を持ったように感じさせる空間を創出しております。今後、この実証結果をもとに「少し先の未来の暮らし」を具現化するために、XR技術をどのように社会に実装させていくかを検討し、住宅・建築業界の新しい価値の創出につなげていきたいと考えております。
※8.AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、MR(複合現実)といった現実世界と仮想世界を融合する表現技術の総称。
・大和ライフネクスト株式会社(以下「大和ライフネクスト」)は、セントラル警備保障株式会社、セーフィー株式会社とともに、大和ライフネクスト管理受託マンションに対し、遠隔地でも工事品質を担保できる新たなサービスとして、ウエアラブルカメラ(身体等に装着しハンズフリーで撮影することを目的とした小型カメラ)を活用した大規模修繕工事の工事監理業務を実施いたしました。大和ライフネクストの工事監理業務を一部遠隔化し、経験のある工事監理担当者がウエアラブルカメラを活用してリモート監理を実施することで、遠隔地でも大規模修繕工事の品質を担保しながら、担当者の移動経費を削減し、リーズナブルな工事監理の提案が可能となりました。
なお、当事業に係る研究開発費は4,356百万円です。
・当社は、工場や倉庫での熱中症対策のため、室内の暑さの原因となる屋根の放射熱(※9)を一般的な折板屋根と比較して80%以上抑制する「低放射折板屋根」を日鉄鋼板株式会社、ニチアス株式会社の技術協力を得ながら開発し、全国36都府県(※10)にて本格運用を開始いたしました(※11)。「低放射折板屋根」は、折板屋根の下面に低放射裏貼材を接着することで放射熱を抑えることができる屋根材です。アルミ系遮熱シートとガラス繊維系断熱材を組み合わせた独自の低放射裏貼材が、日射で高温になった屋根の放射熱を抑制し、室内の暑さを軽減いたします。一般的な折板屋根と同等の高い施工性を維持しつつ、暑さの軽減効果を高めることのできる、費用対効果の高い屋根材です。
※9.物体表面から放出される電磁波(遠赤外線)が他の物体に吸収されて発生する熱のこと。高温の物体ほど強い電磁波を放出する。
※10.北海道、青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、新潟県、富山県、石川県、福井県、沖縄県以外の36都府県。
※11.関連特許出願済み。
・当社は、生物多様性の損失ゼロに向けて、生物多様性に配慮した施設整備に取組んでおります。当社で開発中の「Dプロジェクトみえ朝日町」では、中部地方(※12)の物流施設として初、当社の物流施設としても初めて、「いきもの共生事業所認証(ABINC認証)(※13)」を日本トランスシティ株式会社とともに取得いたしました。今後も、生物多様性に配慮した施設整備における知見の蓄積と在来種による緑化等の標準化を図ることで、当社の様々な物件で生物多様性配慮技術の実装を促進し、自然と共生した社会の実現や生物多様性の主流化に貢献してまいります。
※12.新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県。
※13.一般社団法人いきもの共生事業推進協議会(ABINC)が、一般社団法人企業と生物多様性イニシアチブ(JBIB)の開発した「いきもの共生事業所®認証ガイドライン」及び「土地利用通信簿」を評価基準として、高い生物多様性への取組みを評価・認証する制度。
・当社と株式会社フジタ(以下「フジタ」)は、静電気除去機能付エアシャワーと花粉のアレル物質作用抑制効果のある吸着性光触媒コーティング(※14)を組み合わせた花粉症対策空間「リフレッシュエアルーム」を開発し、フジタのグループ会社である藤田商事株式会社が販売を開始いたしました。「リフレッシュエアルーム」については、奈良県立医科大学監修のもと「『リフレッシュエアルーム』を用いた花粉除去及び花粉のアレル物質作用抑制による花粉症症状の軽減効果確認」(※15)に関する共同研究を実施し、花粉症症状のある被験者の同症状軽減による有意なストレス値の低下を確認しております(※16)。今後、ホテルや商業施設の他、事務所等にも展開してまいります。
※14.スギ花粉のアレル物質の作用低減化性能試験を、ITEA株式会社 東京環境アレルギー研究所で実施。コーティング有無のガラス板について、4℃で8時間後のアレル物質の作用成分の濃度を測定。
※15.奈良県立医科大学倫理委員会にて承認された内容。
※16.大和リゾート株式会社が運営するリゾートホテル「THE KASHIHARA」にて、「リフレッシュエアルーム」に15名、「一般客室」に5名の被験者が心拍センサをつけて宿泊した結果。
・当社と大和リース株式会社(以下「大和リース」)、フジタの3社は、建設現場向けの自走掃除ロボットを共同開発いたしました。本ロボットは、作業員による床の清掃作業にかかる労働時間40時間/月に相当する業務の全てを自動化することが可能です。砂利であれば15mm程度、小ねじ・釘なら50g程度のものまで、現場に散乱するさまざまな対象を清掃できます。連続4時間稼働が可能で、一度に最大15リットル分のゴミを回収できます。移動速度は0.5m/sで、1日(8時間)当たり約3,000㎡を清掃できます。これにより、作業の合間に行っていた清掃をロボットが自動で行うことで、作業員が本業に専念できるため、生産性が向上し、衛生的な職場環境の維持も可能となります。また、ロボット本体は、各ユニットに簡単に分割でき、軽量化・小型化して、作業員による持ち運びも可能です。
・フジタは、株式会社センシンロボティクスと共同で、全球測位衛星システム(GNSS)が受信不能な屋内かつ暗所のトンネル坑内等の環境でも、安定したドローンの自律飛行を実現させ、工事の進捗情報収集を自動化する「トンネル坑内自動巡視ドローンシステム」を開発いたしました。本技術では、ドローンに搭載した360度カメラで取得した画像情報を、VR空間が生成できる現場モニタリングシステムと連携させることで、建設現場の各施工段階を網羅的に記録し、BIM/CIMとあわせて施工管理情報を一元化できます。これにより遠隔拠点及び現場内において迅速な情報共有・分析を行うことを可能とし、現場巡視点検の自動化、省人化を実現、業務の効率化・高度化につなげております。
・フジタは、日本コンクリート工業株式会社と共同で、既存杭の撤去孔を効率的に、均質な改良土で埋め戻す「FUNC-RES 工法」を開発いたしました。本工法は、既存杭の撤去孔に堆積した超軟弱土を適切な強さ、かつ均質な土質に改良することで、その後の新設杭打設の施工効率を向上させ、施工期間や施工機械の稼働時間を短縮し、CO2排出量の削減や工事現場周辺の生活環境の負荷低減を実現可能とするものとして開発され、建築技術性能証明を取得いたしました。また、2021年、千葉県柏市内のマンション建替え工事において本工法を採用し、その実効性を確認いたしました。
・フジタは、株式会社三井三池製作所と共同で、山岳トンネルの掘削ズリ(掘削によって発生する岩塊)の自動かき込み、積み込みを可能とする、AI機能を搭載した積み込み機「AIロックローダ」を国内で初めて(※17)開発いたしました。本機は、発破後に切羽(掘削の最先端箇所)から運搬されたズリをかき寄せる「掘削ブーム」から直接ズリを重ダンプ等に積み込む「排土ベルコン」、センシング機器、GPU盤(AI自動運転盤)等で構成され、AIによりズリのかき込みから積み込みまでの一連の作業をオペレータ不要とすることで、省力化・省人化を実現いたしました。また、発破後の切羽のズリを迅速に処理、切羽作業エリアを早期解放し、速やかな次工程(支保工作業)への移行により、トンネル掘削サイクルの効率化を可能としました。本機は羽ノ浦トンネルの施工現場で試行・実用化し、円滑な施工性や掘削作業の省力化・安全性向上を確認いたしました。
※17.2022年8月2日発表時点。フジタ調べ。
・フジタは、株式会社河本組と共同で、水底に溜まった泥土砂(堆砂)により機能が低下している水深が深いダム湖の水質を汚濁させることなく、水底の堆砂を20m以上の高さから吸い上げ除去可能な「ハイリフト無濁浚渫工法」を開発いたしました。本工法は高性能な真空発生装置と、堆砂を搬送するため高い搬送能力を発揮する独自開発の中継ポンプユニットを搭載、効率よく堆砂を除去でき、大型の連続泥土回収タンクも開発したことで、吸引作業と土砂排出作業の切り替え動作を改善、作業にともなう水質汚濁の発生を抑え、長時間の連続吸引作業を可能といたしました。
・大和リースは、東京製鐵株式会社(以下「東京製鐵」)と株式会社ナベショー(以下「ナベショー」)と、使用済みとなったリース用建築部材の再資源化に関する枠組みを確立し、3社による協定(建材アップサイクル(※18)コンソーシアム)を締結いたしました。本取組みは、大和リースが従来処分していた使用済みのリース用外壁(金属サンドイッチパネル(※19))を、東京製鐵が鋼材の鉄源としてリサイクルし、その鋼材を大和リースが鉄骨材として購入・製品化することで鉄源の循環を構築するものです。ナベショーは金属サンドイッチパネルが排出された時点から東京製鐵に納入されるまでの物流・加工処理のフローを管理いたします。また、本取組みでは、循環型経済(サーキュラーエコノミー)の実現に貢献するだけでなく、製造時のCO2排出量が高炉鋼材の約1/4である電炉鋼材(※20)を使用するので、脱炭素社会の実現と、2050年のカーボンニュートラルの達成にも貢献いたします。
※18.捨てられるはずだったものに新しい価値をプラスして元の状態より価値を高めること。
※19.表面と裏面の塗装鉄板の間に硬質ウレタンフォーム(断熱材)を挟み込んだ外壁・内壁一体の建材のこと。
※20.高炉鋼材は、鉄鉱石(酸化鉄)の中から鉄を取り出すので、石炭(コークス)を用いた酸素の除去(還元)が必要となり、その際に大量のCO2を排出いたします。電炉鋼材は、鉄スクラップを電気で融解して鉄を製造するので、電気を発電する際に生じるCO2が主な排出量となります。
・株式会社フレームワークスは、経済産業省公募事業である令和4年度「流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(物流施設におけるサプライチェーン横断的な自動化機器の効果的導入・活用事例の創出)」において、物流施設における自動化機器の制御・管理システムに係る標準化や、商慣行に係る業務対象物の標準化のモデルケース創出の実証実験の提案が採択され、異種の複数事業者(※21)で標準化検討・実証実験を実施いたしました。これらの活動で得られた結果をもとに、今後も経済産業省が推進している、ロボットを導入しやすい環境(ロボットフレンドリー(ロボフレ)環境)の実現に貢献するとともに、サプライチェーン・物流の効率化による生産性の向上と流通・物流業の持続可能な成長に取組みます。
※21.自動化機器に関するシステムインテグレーターやメーカー、及びサプライチェーンにおける発荷主・着荷主・物流事業者。(株式会社フレームワークス、株式会社アンシェル、株式会社FAプロダクツ、株式会社オフィスエフエイ・コム、キリンビバレッジ株式会社、ロジスティード株式会社、BIPROGY株式会社、株式会社Mujinの8社)
なお、当事業に係る研究開発費は6,070百万円です。