第2 [事業の状況]における各事項の記載につきましては、消費税等抜きの金額で表示しております。
グループ理念(人がいきいきとする環境を創造する)の下、自由闊達・価値創造・伝統進化の3つの価値を“大成スピリット”として全役職員が共有し、自然との調和の中で、安全・安心で魅力ある空間と豊かな価値を生み出し、次世代のための夢と希望に溢れた地球社会づくりに取り組みます。
今回、当社グループでは、「中期経営計画(2018-2020)」の最終年度における数値目標の未達原因の分析も踏まえながら中長期的な外部環境や構造変化を特定し、グループ理念などにもとづいて「中長期的に目指す姿[TAISEI VISION 2030]」を策定いたしました。
新たにスタートした「中期経営計画(2021-2023)」は「[TAISEI VISION 2030]の実現に向けて、この3年間で集中的に取り組むこと」と位置付けております。
中長期的に目指す姿[TAISEI VISION 2030]
CDE³(キューブ) :Construction, Development, Engineering, Energy, Environment
■基本姿勢
安全・安心の実現
「人」と「技術」と「情報」の最適活用
■業績数値イメージ
■ステークホルダーへの還元
中期経営計画(2021-2023)
・[TAISEI VISION 2030]の実現に向けて、足元の事業環境を考慮しながら、3年間で集中的に取り組むこと
・既存事業に対する取り組みに加えて、M&Aの活用による事業領域の拡大に向けた取り組みを実施
■重点課題|事業関連
■重点課題|サステナビリティ関連
※DX:デジタル・トランスフォーメーション
■2023年度数値目標(M&Aの実現を織り込んでいない)
■投資計画
(3)その他経営方針に関する事項
2018年3月にリニア中央新幹線ターミナル駅新設工事に関して、独占禁止法違反容疑で当社及び当社顧問が東京地方検察庁により起訴され、2019年2月より東京地方裁判所にて公判手続が行われておりましたが、2021年3月に東京地方裁判所より、当社に対する有罪判決及び当社顧問に対する執行猶予付き有罪判決が言い渡されました。また、2020年12月には公正取引委員会より独占禁止法違反として排除措置命令を受けました。
当社は、これらを受け、2021年3月に東京高等裁判所へ控訴すると共に、公正取引委員会による排除措置命令の取消訴訟を東京地方裁判所に提起いたしました。
引き続き、裁判手続において、独占禁止法違反にあたらないことを主張してまいります。
当社グループの事業に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態、並びに社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、リスクが発生する可能性を認識し、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの事業は国内建設事業の占める割合が高く、国内建設市場の急激な縮小や競争環境の激化が生じた場合には、建設事業の受注高・売上高・売上総利益が減少するリスクが生じます。
このリスクに対応するため、リニューアル分野やエンジニアリング事業、開発事業に注力するとともに、M&Aの活用による事業領域の拡大に向けた取り組みを実施しております。また、脱炭素などの環境・社会課題の解決に貢献する技術開発の推進、DXによる生産システムの変革など、サステナビリティを踏まえた経営基盤の整備を進めております。
原材料の価格が高騰した際、請負代金に反映することが困難な場合には、工事収支が悪化するリスクが生じます。
このリスクに対応するため、資材価格動向のモニタリングや予測及び予測精度向上に向けた取り組みを継続するとともに、集約購買・国際調達等による原価低減に努めております。
営業上の必要性から、市場価格に基づいて評価される不動産・有価証券等の資産(リスク資産)を保有しているため、時価の下落により、資産が毀損するリスクがあります。
このリスクに対応するため、リスク資産の総量規制枠を設定し、経済合理性の観点から保有資産の見直しを定期的に実施することによりリスクの低減を図っております。
年金資産の時価の下落及び運用利回り・割引率等の退職給付債務算定に用いる前提に変更があった場合には、退職給付費用が増加するリスクが生じます。
このリスクに対応するため、確定拠出年金制度を一部採用することによりリスクの低減を図っております。
金利水準が急激に上昇した場合には、資金調達コストが増加するリスクが生じます。
このリスクに対応するため、金利関連のデリバティブ等の金融商品を利用するとともに、年度ごとに資金の調達額や調達手段を見直すことによりリスクの低減を図っております。
当社グループは、PFI事業・レジャー事業を始めとした土木事業・建築事業・開発事業に付帯関連する事業を営んでおります。これらの事業の多くは、事業期間が長期にわたるため、事業環境が大きく変化した場合には、事業収支が悪化するリスクが生じます。
このリスクに対応するため、事業環境の変化に即した事業計画の見直しによりリスクの低減を図っております。
土木事業・建築事業の遂行は、建設業法・建築基準法・労働安全衛生法・公共工事入札契約適正化法・独占禁止法等による法的規制を受けております。当社グループにとって特に影響が大きいリスクは以下のとおりです。
当社グループが、建設業法等に違反し、監督官庁による処分や指導を受けた場合には、営業活動が制限されるリスクが生じます。
このリスクに対応するため、建設業法をはじめとした各種関連法令の事前確認を徹底するとともに、役職員及び専門工事業者に対して法令遵守の啓発活動及び遵守状況のモニタリングを実施しております。
当社グループは、「グループ行動指針」をはじめとするコンプライアンスに関する諸規程を整備し、その遵守を徹底しておりますが、担当者の錯誤等により独占禁止法に違反し、当社グループ又は役職員が刑事罰・行政処分を受けた場合には、営業活動が制限されるリスクが生じます。
このリスクに対応するため、入札業務の適正確認手続きに関する社内規程や内部通報制度等を整備し、違反行為の抑止に努めております。
なお、万一、独占禁止法違反が発生した場合には、速やかな情報収集と正確な状況把握に努め、適宜弁護士等の専門家の助言・指導等を仰ぎながら、適正に対応するとともに、再発防止策を策定し、周知・徹底いたします。また、実行者を懲戒処分規定に基づいて厳正に処分することとしております。
当社グループが知的財産権を有する施工技術や建物・設備に関する商品・サービス等が、他者に侵害された場合には、受注機会の逸失・訴訟コスト発生等のリスクが生じます。
このリスクに対応するため、専門部署間において特許関連情報を適時共有するとともに、社内研修の実施や知的財産関連情報の定期的な発信等の啓発活動を行っており、保有財産の保全監視に努めております。
なお、当社グループの権利が侵害された場合には、侵害者に対する警告を行い、必要に応じて法的措置を講じます。
また、当社グループによる他者の知的財産権侵害が危惧される場合には、専門部署にて調査・判定を行う体制を整備しております。
当社グループは、財務報告の適正性を確保するために内部統制体制を整備しておりますが、担当者の錯誤等により、財務報告が適正に行われなかった場合には、上場廃止・青色申告取消し等のリスクが生じます。
このリスクに対応するため、規定・マニュアル等の整備、会計処理がマニュアルに則って適正に行われているかのモニタリング、正確な財務報告等に関する啓発教育を実施し、内部統制の実効性確保に努めております。
なお、不適切な財務報告リスクが発生した場合には、速やかな情報収集と正確な状況把握に努めるとともに、不適切な財務報告事例等について管理部門をはじめ関連する部門に水平展開し、適正な財務報告の重要性を周知いたします。また、実行者を懲戒処分規定に基づいて厳正に処分することとしております。
建設作業所等において反社会的勢力からの接触を受け、錯誤等により何らかの取引を行ってしまった場合には、社会的信用の失墜と営業活動が制限されるリスクが生じます。
このリスクに対応するため、反社会的勢力への対応マニュアルの整備や全役職員へのメール発信等により、反社会的勢力への対応方針を全役職員へ周知・啓発しております。
なお、反社会的勢力から不当要求を受けた場合には、速やかに警察等の外部機関に通報し、組織的に対応いたします。また、契約後に相手方が反社会的勢力であることが判明した場合には、必要に応じて警察と協議のうえ、速やかに契約を解除することとしております。
当社グループは、品質管理・施工技術に関する業務標準や業務フローを定め、品質マネジメントシステムを運用しておりますが、ルールの不徹底や技術者・作業員の錯誤等により、施工不良が発生し、適正な品質を確保できなかった場合には、手直し工事に伴う追加コストや損害賠償金の負担等のリスクが生じます。
このリスクに対応するため、品質マネジメントシステムを確実に運用するとともに、品質に関するパトロール、過去の不具合事例の周知等を行い、役職員及び専門工事業者の品質管理力の強化を図っております。
当社グループは、設計管理要領・品質マニュアル等を策定し、設計関連のチェック体制を構築しておりますが、担当者の錯誤等により、設計不良が発生し、顧客の要望水準を充足できなかった場合には、設計や施工の手直しに伴う追加コストや損害賠償金の負担等のリスクが生じます。
このリスクに対応するため、QMS(クオリティーマネジメントシステム)等の制定によって設計業務を体系化し、設計業務プロセスの監視を行っております。
建設事業では、事前の施工計画等の検討に基づき、適正工期による契約に努め、施工中は確実な工程管理を実施しておりますが、事故・トラブル及び労務不足や資機材調達遅延等により、建物等の引き渡しが遅延した場合には、工事促進に伴う追加コストや遅延損害金の負担等のリスクが生じます。
このリスクに対応するため、組織的管理体制を構築し、労務状況の早期把握や関係本部のパトロールによる工程進捗状況の把握を徹底し、確実な工程管理に努めております。
役職員のパソコン・スマートデバイス等の紛失・盗難、操作上の錯誤等の内部要因及びコンピュータウイルス感染やサイバーテロ等の外部要因により、当社グループや顧客の個人情報等の流出やシステムダウンが発生した場合には、事後対応に要するコストの発生や損害賠償金の負担、業務の遅延・停滞等のリスクが生じます。
このリスクに対応するため、役職員及び専門工事業者に対して情報管理規程体系に基づく取扱ルール・ガイドライン・マニュアル等の遵守を徹底させるとともに、ウイルス対策ソフトの常時更新や信頼性の高いハードの導入、データバックアップ体制の整備を行っております。また、組織内CSIRT(Computer Security Incident Response Team:「シーサート」)を設置し、被害予防を図っております。
なお、情報漏洩・システムトラブルリスクが発生した場合には、情報を一元化して正確な状況把握に努め、適切に対応してまいります。また、重大な電子情報セキュリティインシデント発生時には、組織内CSIRTにより被害最小化と迅速な復旧を図ります。
大規模災害が発生した場合には、本社・支店の機能が麻痺し、事業継続が困難となるリスクが生じます。
このリスクに対応するため、BCP(事業継続計画)を策定しております。例えば、震度6弱以上の地震が発生した場合には、BCPを自動発動し、速やかに対策本部を立ち上げて、被災情報の収集や被災物件の復旧活動等を行うこととしております。
また、本社・支店の非常用電源や通信手段の確保、業界団体や専門工事業者等との連携体制の構築、大規模災害訓練の定期的実施等によりリスクの低減に努めております。
新型コロナウイルスや悪性鳥インフルエンザ等の感染症の流行に伴い、役職員やその家族、専門工事業者の作業員等が感染し、就業不能となった場合には、事業継続が困難となるリスクが生じます。
このリスクに対応するため、流行発生時の対応計画を策定し、役職員や専門工事業者への啓発を行うとともに、必要な消毒液・マスク・個人防護具の備蓄を行っております。
なお、今般の新型コロナウイルス感染症の流行に対しては、時差出勤、交代勤務及びテレワーク(在宅勤務)の実施に加えて、海外への渡航制限を含めた不要不急の出張や社内外の会議等への出席についても慎重に対応しております。今後も状況を注視しつつ、機動的に対策を講じてまいります。
当社グループにおいて、従業員の労働環境・労働条件に関する事業主の義務を十分に果たすことができない場合には、法違反の責任追及・損害賠償請求が発生するリスクが生じます。
このリスクに対応するため、勤怠管理や健康管理を適正に行うための体制を整備しております。また、過重労働防止のため、要員配置や業務内容・配分の見直し等の措置を講じるとともに、休暇取得の促進等を通じて総労働時間の適正化を図っております。
当社グループの建設作業所等において環境関連法規に違反した場合には、刑事罰・行政処分・損害賠償請求等を受けるリスクが生じます。
このリスクに対応するため、EMS(環境マネジメントシステム)を制定・運用するとともに、環境パトロールによりその遵守状況をチェックしております。
当社グループの建設作業所において人身や施工物等に関わる重大な事故が発生した場合には、被災者への補償や追加工事費用発生等による工事収支の悪化、指名停止等による営業活動の制限等のリスクが生じます。
このリスクに対応するため、労働安全衛生マネジメントシステムに基づいた安全衛生管理体制を推進するとともに、役職員及び専門工事業者に対する安全衛生教育・指導等を実施することにより事故災害発生防止を図っております。
建設事業の工事代金を受領する前に取引先が信用不安に陥った場合には、工事代金の回収遅延・不能のリスクが生じます。
このリスクに対応するため、組織的なプロジェクトリスク管理体制を整備し、具体的根拠と客観的評価に基づいた与信管理の徹底に努めております。
当社グループの事業において、発注者や関係者の要求・担当者の契約約款に対する理解不足等から、著しく不利な契約を締結した場合には、過度な義務の負担による工事収支の悪化や工事代金の回収不能等のリスクが生じます。
このリスクに対応するため、不利益条項に対する審査ルールを徹底するとともに、必要に応じて外部の専門家に対応策の検証を依頼する等、営業段階から組織的な契約リスク管理体制を整備・運用しております。また、営業担当者に対して意思決定ルール等を周知教育するための社内研修を行い、リスクの抑止を図っております。
当社グループは、世界各国で事業を行っており、テロ・戦争・暴動等の発生及びその国の政情悪化等により、事業継続が困難となるリスクがあります。また、現地の法律・商習慣への理解不足等から、著しく不利な契約を締結した場合には、過度な義務の負担による工事収支の悪化や工事代金の回収不能等のリスクが生じます。
これらのリスクに対応するため、事業継続に関しては、役職員の安全を確保する手段や非常時の危機管理体制の確立に努めるとともに、必要に応じて日本政府・現地日本大使館・外部専門家等との連携を図ってまいります。また、契約上のリスクに対しては、審査ルールを徹底するとともに、契約後は契約条件の履行状況を継続的にチェックし、リスク低減を図っております。
なお、カントリーリスクが発生した場合には、情報を一元化して正確な状況把握に努め、適切に対応してまいります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
日本経済は、新型コロナウイルス感染症の流行が世界経済に多大な影響を及ぼす中、非製造業の企業収益を中心に弱さが見られ、また、雇用情勢や所得の先行きに対する不透明感も長期化していることから、全体として厳しい状況が継続しました。
建設業界においても、公共投資は堅調に推移したものの、企業業績の低迷から民間設備投資が減少し、建設投資は前年度を下回る水準で推移しました。
こうした状況のもと、当社グループの経営成績は次のとおりとなりました。
受注高は、土木事業及び開発事業で増加したものの、建築事業が前連結会計年度に複数の海外大型工事を受注したこと等に伴い減少したことから、前連結会計年度比1.8%減の1兆6,506億円となりました。
売上高は、土木事業及び建築事業で前連結会計年度までに複数の大型工事が竣工あるいは最盛期を迎えたこと等により減少したことから、前連結会計年度比15.5%減の1兆4,801億円となりました。
営業利益は、土木事業及び建築事業の減収に加え、開発事業で前連結会計年度に高収益の物件売却があったこと等に伴い売上総利益が減益となったことから、前連結会計年度比22.2%減の1,305億円となりました。経常利益は、営業外損益が概ね前連結会計年度並みとなったことから、同21.6%減の1,359億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に独占禁止法関連損失引当金戻入額を計上したこと等に伴う特別損益の悪化により、同24.2%減の925億円となりました。なお、ROE(自己資本当期純利益率)は、前連結会計年度比5.0%低下の11.6%となりました。
経営成績に重要な影響を与える主な要因としては、建設市場の動向並びに建設コストの変動等による経営環境の変化があります。
当連結会計年度における経営環境は、新型コロナウイルス感染症の流行や東京オリンピック・パラリンピック関連の大型案件の一巡などにより、競争環境が激化し、厳しい状況が続きました。今後については、短期的には新型コロナウイルス感染症が収束に向かえば、民間設備投資が徐々に回復すると想定されるものの、先行きの不透明感から、当社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況が継続すると考えられます。
また、中長期的には、国内建設需要の減少や少子高齢化に伴う担い手確保問題の顕在化等による業界再編圧力の高まり、環境・社会課題を事業を通じて解決する方向への変化、DXの成否が競争力を左右する時代への変化といった外部環境・構造変化が予想されます。これらの変化に先駆的に対応していくことが重要な課題であると考えております。
報告セグメント等の経営成績並びに経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容を示すと次のとおりであります(報告セグメント等の業績につきましては、セグメント間の内部取引を含めて記載しております。)。
売上高は、前連結会計年度までに複数の大型工事が竣工あるいは最盛期を迎えたこと等により、前連結会計年度比8.2%減の4,507億円となりました。営業利益は、減収に加え、前連結会計年度に複数の高収益の大型工事が竣工を迎えたこと等に伴う利益率低下により完成工事総利益が減少したことから、同21.4%減の560億円となりました。
売上高は、前連結会計年度までに複数の大型工事が竣工あるいは最盛期を迎えたこと等により、前連結会計年度比21.6%減の9,606億円となりました。営業利益は、前連結会計年度に収支改善が進まなかった一部の大型工事が竣工を迎えたこと等に伴い利益率が好転したものの、減収に伴い完成工事総利益が減少したことから、同22.8%減の638億円となりました。
不動産業界におきましては、ビル賃貸市場では、オフィス集約等により、都心部を中心に空室率が上昇傾向にあるものの、分譲マンション市場では、住環境への関心の高まりを背景に、全般として堅調に推移しました。
当社グループにおきましては、売上高は、当社における開発不動産の売却及び連結子会社におけるオフィスビル引渡件数の増加等により、前連結会計年度比12.3%増の1,328億円となりました。営業利益は、連結子会社において前連結会計年度に高収益の物件売却があったこと等により開発事業総利益が減少したことから同23.0%減の96億円となりました。
売上高は、前連結会計年度比4.0%減の138億円、営業利益は同4.6%減の11億円となりました。
完成工事未収入金の減少等により、資産合計は前連結会計年度末比1.0%・193億円減の1兆8,706億円となりました。
工事未払金の減少等により、負債合計は前連結会計年度末比9.7%・1,098億円減の1兆262億円となりました。
自己株式を取得したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に加え、株式相場上昇によるその他有価証券評価差額金の増加等により、前連結会計年度末比12.0%・905億円増の8,444億円となりました。また、自己資本比率は前連結会計年度末比5.2%好転の44.9%となりました。
税金等調整前当期純利益を1,354億円獲得したこと等により、当連結会計年度収支は674億円の収入超となりました。(前連結会計年度は774億円の収入超)
前連結会計年度との比較では、売上債権の減少等により工事関係収支が好転したものの、未払金の減少及び税金等調整前当期純利益の減少等により99億円の悪化となりました。
有形固定資産の取得等により、当連結会計年度収支は186億円の支出超となりました。(前連結会計年度は332億円の収入超)
前連結会計年度との比較では、定期預金の増加等により519億円の悪化となりました。
配当金の支払、自己株式の取得等により、当連結会計年度収支は373億円の支出超となりました。(前連結会計年度は666億円の支出超)
前連結会計年度との比較では、社債の発行による収入等により293億円の好転となりました。
以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は4,942億円(前連結会計年度末比116億円増)となり、また、資金調達に係る有利子負債の残高は2,190億円(同108億円増)となりました。なお、当期の資金調達に係る有利子負債の残高のうちノンリコース債務は1億円であります。
資本の財源及び資金の流動性については、中長期的に目指す姿[TAISEI VISION 2030]及び中期経営計画(2021-2023)に基づき、新たに生み出すキャッシュとこれまで蓄積してきた手元資金を主な原資として、株主還元や環境関連投資、DX投資などへ適切に資金を配分してまいります。
なお、中期経営計画(2021-2023)においては、M&Aを実行する場合を除き、実質無借金の維持を経営数値目標としております。
(4)生産、受注及び販売の状況
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(注) 1 受注実績、売上実績においては、セグメント間の取引を相殺消去しております。
2 当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。
(参考) 提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
(注) 1 前期以前に受注したもので、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注高にその
増減額を含めております。したがって、当期売上高にもかかる増減額が含まれております。また、前期以
前に外貨建で受注したもので、当期中の為替相場の変動により請負金額に変更のあるものについても同様
に処理しております。
2 次期繰越高の施工高は、支出金により手持高の施工高を推定したものであります。
3 当期施工高は(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
4 前期の土木事業及び建築事業の期中受注高のうち海外工事の割合は各々1.2%、13.9%、当期の土木事業
及び建築事業の期中受注高のうち海外工事の割合は各々7.0%、1.8%であります。
② 受注工事高の受注方法別比率
建設事業の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
(注) 1 第160期に完成した工事のうち主なものは、次のとおりであります。
2 第161期に完成した工事のうち主なものは、次のとおりであります。
3 第160期及び第161期ともに、完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
(注) 手持工事のうち主なものは、次のとおりであります。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。
なお、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
特記事項はありません。
当社グループは、「建設事業を核とした成長基盤を構築する」という基本方針のもと、「本業の強みを発揮できる注力分野(エネルギー・環境、都市開発・PPP、リニューアル、エンジニアリング)の高付加価値化」、「高付加価値化につながる技術の研究開発」、「省人化・省力化施工技術の開発」等を重点施策と位置づけ、建設生産システムの革新による生産性向上を目指し、経営資源を戦略的に投入しております。
具体的には「環境関連の評価技術、土壌浄化技術による受注支援」、「老朽化インフラの大規模更新・修繕工事の受注推進」、「IoT・AI等を活用した省人化技術の差別化提案による受注拡大」、「差別化につながる施工技術の開発」、「計画技術の高度化」、「オープンイノベーションによる技術開発の推進」、「先端技術を取り入れた技術センター施設の更なる機能拡充」、「ICT活用による自律化機械、遠隔制御技術の開発」、「構工法の開発や3Dプリンタによる新しい形状部材の製作」等を推進しております。
当連結会計年度における研究開発費は
(土木事業)
複数の自動運転建設機械の協調運転を制御するシステム「T-iCraft®」を開発しました。本システムは、建設機械のメーカーを問わず自動運転・有人運転のいずれにも対応し、最大32台までの複数機種の建設機械の協調制御が可能となります。実際の造成現場において4機種の自動建機により「掘削・積込」、「運搬」、「敷均し」、「転圧」の施工を制御し、業界に先駆けて協調運転の実用性を確認しました。今後、本システムをダム本体建設工事に導入し施工データを蓄積することにより、施工エリア・運搬ルートを入力するだけで工程最適化を図ることができる機能及びデジタルツイン技術を利用したモニタリングシステムを追加・実装し、施工における「DX」の推進につなげてまいります。
(2) 津波浸水解析結果の可視化技術「T-Tsunami Viewer」の開発
津波の浸水解析結果を短時間かつ正確に3次元映像やVR映像に自動変換する可視化技術「T-Tsunami Viewer」を開発しました。従来の可視化手法では、津波や浸水を平面的に表現していたため直感的に理解することが困難でしたが、本技術により、広域から街区まで、様々なスケールで押し寄せる津波の挙動や浸水状況を3次元で分かりやすく可視化し、より効果的なBCPの策定が可能となります。今後、津波の来襲や浸水等が予想される沿岸域の自治体及び工場等の施設を保有する企業に対して、積極的に提案してまいります。
(3) コンクリートひび割れ画像解析技術「t.WAVE®」に対するAI自動検出機能の追加
開発済のコンクリートひび割れ画像解析技術「t.WAVE®」に、AIを用いたひび割れ自動検出機能を追加しました。本機能を用いたひび割れを特定する作業に関する実証の結果、一定の精度を保ちつつ作業時間の短縮と費用の削減を実現しました。今後、コンクリート構造物の維持管理業務をさらに正確かつ迅速、安価に実施できるよう、AIの活用拡大を進め、老朽化したインフラ構造物の長寿命化の実現に寄与してまいります。
大成ロテック㈱において、生産性向上・働き方改革に寄与する技術として「i-Pavement/ICT対応技術の開発」、循環型社会・低炭素社会の構築に寄与する技術として「アスファルトの再生利用技術の高度化に関する研究」等を実施しております。また、舗装や道路構造物の耐久性向上・長寿命化を目指した技術や維持修繕・メンテナンス技術として「適用箇所の要求性能に応じた改質アスファルトの開発」、「路盤強化工法を用いた舗装の長寿命化技術に関する共同研究」や「アスファルト舗装やコンクリート舗装用の高耐久な補修材料の開発」を実施しております。
建物内における歩行者の属性を考慮し、緊急時・平常時の混雑や避難経路の制約等、周辺状況を踏まえて行動を予測・再現し、あらゆる状況下での歩行者の移動を定量的に評価するシステム「T-MultiAgent JINRYU」を開発しました。従来は、多様な歩行者の行動を詳細に再現し、幅広い用途に対して万能に機能する仕組みを構築することは困難でしたが、本システムによりあらゆる場面を想定して施設内の様々な歩行者の移動を予測することが可能となります。今後、多くの人々が集まる商業施設や劇場・ホール等の大規模集客施設を対象とするだけでなく、超高層オフィスビル、集合住宅、地下インフラ施設等からの避難や施設自体の活性化にも適用し、より安全性と快適性の高い、魅力的な空間づくりを進めてまいります。
(2) 意匠性に優れた木材利用耐震構法「T-WOOD® BRACE」の開発
集成材・CLT等の木質系材料と鋼板を組合せ、意匠性と構造性能を兼ね備えた耐震工法「T-WOOD® BRACE」を開発しました。従来の耐震構法は、耐震部材が意匠性に乏しく、見た目が画一的な印象になりがちでしたが、本耐震工法は、鋼板と木質系材料を組合せることで、従来と同等の構造性能を確保しながらデザインの自由度を高めることが可能となります。今後、本耐震構法をはじめとした独自の木材利用技術「T-WOOD®」シリーズの更なる普及・展開を通じ、国産木材の利用促進に貢献するとともに、安全・安心で利用者が親しみや温もりを感じられる建物を提供してまいります。
大口径多段拡径場所打ちコンクリート杭工法「T-EAGLE® 杭工法」における、(-財)ベターリビングの評定(CBL FPO12-19号)を取得しました。本工法により、杭の引抜き抵抗力と鉛直支持力の増加・向上による敷地面積の有効活用と工期短縮、コスト削減が可能となります。また、本評定の取得により、従来は超高層建築物のみに使用されてきた本工法が、高さ40m程度の中層建築物にも適用することが可能となります。今後、都市部等で計画される中層から超高層までの幅広い建築物の基礎工事に対して、合理的な施工法として積極的に提案してまいります。
建物の外装(壁面や窓)と太陽電池モジュールを一体化させた外装システム「T-Green® Multi Solar」を開発し、普及展開を進めております。本システムは、都市部の新築中高層ビルの垂直な外装を利用して発電するもので、太陽電池モジュールを外装パネル化した「ソリッドタイプ」と、窓ガラスに太陽電池をストライプ(縞)状に配置した「シースルータイプ」の2つのタイプがあり、これらを組み合わせることで様々な建物の外装に適用することが可能となります。「シースルータイプ」は、発電機能に加え、窓に必要な眺望・採光・遮熱・断熱の各機能を備えております。また、本システムは平常時の消費電力削減だけではなく、災害時には独立した非常用電源としても機能します。今後、都市型ZEBを実現する創エネルギー技術として、環境経営に積極的に取り組む企業、BCPを強化する企業、災害時の活動拠点となる公共施設、LCPを強化したい集合住宅等に対し、積極的に提案してまいります。
ウィルス等に強い殺菌力を有する深紫外線(DUV)を照射する空間殺菌灯「T-LED DUV Light」と、DUV照射を安全に制御するシステムを併せて開発しました。従来の蛍光灯ランプの殺菌灯は、寿命が短く、使用するランプに合わせ器具が大きくなるといった課題がありましたが、LEDを光源とすることで長寿命化と軽量化等を実現しました。本製品は一般的な天井高さの施設において、机上面へ2~3時間のDUV照射をすることにより一般的な細菌やウィルスを99%程度殺菌できます。また、本システムの設定により、人が不在の場合のみ室内全体にDUV照射を行うことで利用者の安全を確保します。今後、感染リスクが高い不特定多数の人が利用する学校、病院といった公共施設や、BCPを強化する企業等に対し、接触感染防止のための設備として、積極的に提案してまいります。
(土木事業・建築事業共通)
(1) カーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」の開発
工場の排気ガス等より回収したCO2から製造する炭酸カルシウムを用いて、コンクリート製造過程で排出する量を上回るCO2を内部に固定することで、CO2収支をマイナスとすることが可能となるカーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」を開発しました。今後、炭酸カルシウム等カーボンリサイクル材料の開発・市販の状況を踏まえ、現場打ちコンクリートや二次製品等の多様な建設資材に取り入れてまいります。また、利用者に広く提供できるよう、「T-eConcrete研究会」と連携し商品化に向けた更なる技術開発を進めてまいります。
カメラ映像やIoT機器から得られたデータを用いて建設現場の施工状況を可視化し、遠隔地からリアルタイムに工事関係者間で情報共有できるシステム「T-iDigital Field」を開発しました。本システムにより建設機械稼働状況やコンクリート性状、作業進捗等の施工情報を容易に閲覧することができ、関係者間の情報共有や生産性の向上を図ることが可能となります。また、クレーン衝突防止、建設機械と作業員の位置・動線管理のための機能を活用することで、的確な安全指導による災害防止や安全意識の向上による災害リスクの低減を図ることが可能となります。今後、デジタルデータを活用した統合的な現場管理システムを構築することにより、工事関係者間における的確な判断と施工・安全管理を支援し、更なる働き方改革、生産性の向上を目指してまいります。
(3) 塩素化エチレン類を無害化する細菌を用いた地下水浄化工程の効率化
有害な塩素化エチレン類を無害なエチレンまで完全に浄化できる「デハロコッコイデス属細菌UCH007株」を大量培養した状態で輸送し、汚染帯水層に注入する技術を独自に確立しました。本技術により、汚染された地下水の浄化工程の効率化を図ることが可能となります。今後、短期間での浄化が求められるような地下水汚染サイトに本技術を適用してまいります。
(4) 希少動植物の保全計画ツール「水辺コンシェルジュ」の開発
建設工事に際し、水辺に生息する希少動植物の保全を目的として、代償地の創出を検討する等、保全計画の迅速な立案を可能とするツール「水辺コンシェルジュ」を開発しました。本ツールを導入したタブレット端末を用いて保全計画策定に必要な情報をビジュアルでわかりやすく提示することで、関係者とのスムーズな合意形成及び情報共有を図り、適切な代償候補地の選定等早期に保全計画を立案することが可能となります。今後、本ツールを自然豊かな地域における建設事業へ適用することにより、希少動植物の保全に積極的に取り組み、豊かな生物多様性を備えた社会の実現を目指してまいります。
(5) 装置内での多様な試験が可能な「高出力・高精細X線CT試験装置」の運用を開始
建設工事で使用する材料の内部の様子を非破壊・3次元で可視化できる「高出力・高精細X線CT試験装置」を、国内の建設会社で初めて導入し、運用を開始しました。従来は、破壊試験や切断による内部の確認による評価が一般的でしたが、本装置により材料の内部に浸透する流体の動きや、材料の分布に基づいて生じる実際の現象を非破壊で観察できるため、精密な評価が可能となります。今後、建設材料の安全性や耐久性等の品質を可視化し、各種試験中における材料内部の状態を正確に理解することにより、新しい視点による研究開発を進め、新材料の開発、シミュレーション技術の高度化等の技術開発を推進し、更なる技術力の向上を目指してまいります。