以下「第2 事業の状況」に記載している金額には,消費税等は含まれておりません。
文中の将来に関する事項は,当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) シミズグループの中長期的な経営方針
当社は,1887年に相談役としてお迎えした渋沢栄一翁の教えである道徳と経済の合一を旨とする「論語と算盤」を「社是」とし,この考え方を基に,「真摯な姿勢と絶えざる革新志向により,社会の期待を超える価値を創造し,持続可能な未来づくりに貢献する」ことを「経営理念」として定めています。
2019年5月,当社は,2030年を見据えたシミズグループの長期ビジョン「SHIMZ VISION 2030」と,当面5年間の基本方針と重点戦略を取りまとめた「中期経営計画〈2019‐2023〉」を策定しました。
「SHIMZ VISION 2030」
■目指す姿『スマート イノベーション カンパニー』
建設事業の枠を超えた不断の自己変革と挑戦,多様なパートナーとの共創を通じて,時代を先取りする価値を創造(スマート イノベーション)し,人々が豊かさと幸福を実感できる,持続可能な未来社会の実現に貢献します。
■シミズグループが社会に提供する価値
イノベーションを通じた価値の提供により,SDGsの達成に貢献します。
①安全・安心でレジリエント※1な社会の実現
地震や巨大台風,豪雨などの自然災害リスクが高まる中,生活と事業を災害から守ることが求められています。強靭な建物・インフラの構築を通じて,安全・安心でレジリエントな社会の実現に貢献していきます。
・強靭な社会インフラの構築
・建物・インフラの長寿命化
・防災・減災技術の普及
・ecoBCP※2の普及
※1 レジリエント:強くしなやかで復元力がある
※2 ecoBCP:平常時の節電・省エネ(eco)対策と非常時の事業継続(BCP)
対策を両立する施設・まちづくり
②健康・快適に暮らせるインクルーシブ※な社会の実現
高齢化や人口減少,都市化などの急速な社会変化が進む中,誰もが安心して快適に暮らせる社会が求められています。人に優しい施設やまちづくりを通じて,健康・快適に暮らせるインクルーシブな社会の実現に貢献していきます。
・ICTを活用したまちづくり
・ユニバーサルデザインの普及
・well-beingの提供
・人類の活躍フィールドの拡大(海洋,宇宙へ)
※ インクルーシブ:すべての人が社会の一員として参加できる
③地球環境に配慮したサステナブル※な社会の実現
地球温暖化や森林破壊,海洋汚染などが深刻化する中,次世代に豊かな地球を残すことが求められています。環境負荷低減を目指す企業活動を通じて,地球環境に配慮したサステナブルな社会の実現に貢献していきます。
・再生可能エネルギーの普及
・省エネ・創エネ,ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)化の推進
・事業活動におけるCO2排出量削減
・自然環境と生物多様性の保全
※ サステナブル:地球環境を保全しつつ持続的発展が可能な
■ビジョンの達成に向けて
3つのイノベーションの融合により,新たな価値を創造するスマート イノベーション カンパニーを目指します。
①事業構造のイノベーション
ビジネスモデルの多様化とグローバル展開の加速,及び,グループ経営力の向上
②技術のイノベーション
建設事業の一層の強化に向けた生産技術の革新と未来社会のメガトレンドに応える先端技術の開発
③人財のイノベーション
多様な人財が活躍できる“働き方改革”の推進と社外人財との“共創”による「知」の集積
■目指す収益構造
スマート イノベーション カンパニーへの進化により,2030年度に連結経常利益2,000億円以上を目指します。
連結売上利益の構成は,事業別では,建設65%,非建設35%,地域別では,国内75%,海外25%を想定しています。
「中期経営計画〈2019‐2023〉」
■中期経営計画の位置付け
企業価値の持続的成長を目指し,外部環境の変化に機敏に対応しつつ,利益水準を維持するとともに,2019年度から2023年度までの5年間を新たな収益基盤の確立に向けた先行投資期間として位置付けています。
■基本方針
建設事業の深耕・進化と,非建設事業の収益基盤確立及び成長を支える経営基盤の強化を図り,グローバル展開の加速とESG経営の推進により,シミズグループの企業価値向上を実現し,SDGsの達成に貢献します。
■経営数値目標(連結ベース)
建設事業での安定的な収益基盤を維持しつつ,非建設事業の着実な収益力向上により中長期的に収益構造を強化し,グループの持続的成長を実現します。
非建設事業の成長に資する投資を着実に実施しつつ,財務体質の健全性を維持します。
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(単位:億円) |
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中期経営計画〈2019‐2023〉 |
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2023年度 目標 |
財務KPI |
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総売上高 |
18,800 |
ROE 10%以上 自己資本比率 40%以上 負債資本倍率 0.7倍以下 (D/Eレシオ) 配当性向 30%程度 |
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建設事業 |
15,500 |
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非建設事業 |
3,300 |
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売上利益 |
2,350 |
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建設事業 |
1,850 |
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非建設事業 |
500 |
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経常利益 |
1,400 |
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■資本政策
①政策保有株式の縮減
・政策保有株式の縮減を段階的に進め,資本の有効活用を図ります。
・売却代金の一部を原資として自己株式を取得し,成長戦略の実現に向けた機動的な資本政策を実施します。
②株主還元の拡充
・長期的発展の礎となる財務体質の強化と安定配当(普通配当)の維持を基本方針としつつ,成長により稼得した利益を,連結配当性向30%を目安に還元します。
■投資計画
長期ビジョン達成に向けた新たな収益基盤確立のため,5年間で7,500億円の投資を実施します。
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項目 |
投資額(5ヶ年) |
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生産性向上・研究開発投資 |
1,000億円 |
・建設生産システムの進化(ロボット等) ・研究開発拠点の拡充 ・デジタル関連投資 他 |
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不動産開発事業 |
5,000億円 |
・国内開発事業・賃貸資産の拡充 ・海外事業の拡大(ASEAN・北米等)他 新規投資額 5,000億円 売却による回収 ▲1,000億円 NET投資額 4,000億円 |
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インフラ・再生可能エネルギー 新規事業(フロンティア事業他) |
1,300億円 |
・インフラ運営・BSP事業 ・再生可能エネルギー関連事業 ・宇宙・海洋・自然共生事業 ・次世代ベンチャー投資 他 |
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人財関連 |
200億円 |
・高度プロフェッショナル人財 ・グローバル化・制度改革 他 |
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5ヶ年投資額 合計 |
7,500億円 |
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■非財務KPI
建設事業における労働生産性を向上させるとともに,ESGの観点から企業価値の向上を図り,SDGsの達成に貢献します。
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主要KPI |
2023年度目標 |
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生産性向上 |
建設事業における生産性(2016年度比) 向上率 |
20%以上 |
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環境(E) |
建設事業におけるCO2排出量(2017年度比)削減率※1 |
10%以上 |
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社会(S) |
働きがい指標※2 |
4.0以上 |
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ガバナンス(G) |
重大な法令違反件数 |
0件 |
※1 当社エコロジー・ミッション2030‐2050活動に対応する目標
※2 当社従業員意識調査による指標(5段階評価の平均)
■ESG経営の推進
シミズグループは,ESG経営を推進し,事業活動を通じて社会的責任を果たすことで,ステークホルダーからの信頼を高めるとともに,中長期的な企業価値向上と持続的な成長を実現します。
具体的な取組み
新しい環境ビジョン「SHIMZ Beyond Zero 2050」の策定
世界各国で,環境と経済の両立が目標とされ,気候変動問題への対応を“成長の機会”と捉える潮流が加速しています。また昨年日本政府においても2050年カーボンニュートラル,脱炭素社会の実現を目指すことが宣言されました。
このような情勢の中,当社グループでも新たな環境ビジョン「SHIMZ Beyond Zero 2050」を策定しました。Beyondには,事業活動による負の影響をゼロにするだけでなく,お客様や社会にプラスの環境価値を提供するという想いを込めており,当社グループが目指す持続可能な社会を「脱炭素社会」,「資源循環社会」,「自然共生社会」としています。
「SHIMZ Beyond Zero 2050」の詳細については下記URLよりご参照ください。
https://www.shimz.co.jp/beyondzero/index.html
TCFD※提言に基づく情報開示
当社は,気候変動を重要な経営課題の一つと捉え,気候変動が当社事業に及ぼす「リスク」と「機会」を分析し,その結果を経営戦略に活かしています。気候変動に対して必要な当社の対応は,長期ビジョンと中期経営計画で策定した事業戦略の方向性と整合していることを確認しました。またその結果を,コーポレートサイトやコーポレートレポートにおいて開示しています。
※ TCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース):
2015年に金融安定理事会により設置された組織。金融市場の安定化を図ることを目的に,企業等に対して気候変動リスク及び機会の財務的影響の把握と情報開示を促している。
ZEB※の推進
温室効果ガス排出量削減の有効な手段の一つであるZEBの普及促進は,建設業である当社の社会的使命の一つです。当社はこれまで業界に先駆けてZEBの普及に取り組んでおり,本年竣工した当社東北支店(Nearly ZEB)と北陸支店(ZEB)を含め,多くの設計施工実績があります。これからも当社の最先端の省エネ・創エネ技術を駆使して,サステナブルな社会の実現に向けて貢献していきます。
※ ZEB:再生可能エネルギーを除き,一次エネルギー消費量水準を基準一次エネルギー消費量から100%以上削減した建物。「Nearly ZEB」は75%以上削減した建物。
自然が持つ力にシミズの技術をプラス
近年,社会資本整備や安全・安心で持続可能な国土の利用,地域形成などの社会課題解決の有効手段として,自然環境が有する様々な機能を活用するグリーンインフラの取り組みが注目を集めています。当社では,自然が持つ賢い機能を活かしながらインフラ整備を行うとともに,当社が持つソフトや技術をプラスすることで自然の恵みを地域全体に還元する「グリーンインフラ+(PLUS)」を推進しています。地域の環境・社会・経済の価値をプラスにし,人と自然がいきいきと共生できる持続可能な社会の実現に向けて,挑戦し続けていきます。
国際イニシアチブ「The Valuable 500※」に加盟
本年,障がい者の社会参加を推進する国際イニシアチブ「The Valuable 500」に加盟しました。多様な人財によるイノベーションを創出するダイバーシティ経営,誰もが暮らしやすい街づくりに貢献する事業活動,そして誰もが生きがいを持って働き,生活できる幸せなコミュニティの実現に向けた社会貢献活動,この三つの観点から,インクルーシブな社会の実現を目指すことをコミットメント(約束)しています。
※ The Valuable 500:2019年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で発足した障がい者インクルージョン推進の国際イニシアチブ。障がい者がビジネス・社会・経済において活躍し,自らの潜在的な価値を発揮できるように,ビジネスリーダーが自ら改革を起こし自社のビジネスをインクルーシブにすることを目的としている。
(2) 対処すべき課題
■ニューノーマルにおける新しい働き方の実現
当社では,新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の中で,感染防止対策に最善を尽くしながら事業活動を継続しております。モバイルパソコンの配備やTV会議の利用など,ウィズコロナへの対応として行ってきた活動を,今後は,ニューノーマルにおける新しい働き方の実現に繋げてまいります。
柔軟で多様な働き方に応じた執務環境整備のため,2020年12月から社有施設の一部について,サテライトオフィスとしての利用を開始しました。また,2021年5月には本社オフィスを一部改修してフリーアドレスを導入するとともに,外部サテライトオフィスを整備し,運用を開始しました。本社の改修では,一部のフロアにおいて,デジタル技術を駆使して「オフィスワーカーのワークプレイスマネジメント※1」,「オフィス管理者によるワークプレイスモニタリング※2」,「執務室内の活動に合わせた設備制御」を行い,生産性の向上や協働・イノベーションの促進,働き方の行動分析・業務改革支援,感染リスクの低減を実現しています。
執務環境の整備に留まらず,リモートワークやフレックス勤務といった多様な働き方を前提とした仕組み作りのため,社内文書の押印廃止やペーパーレス化などの取組みも進めています。こうした活動を通じて,性別や障がい,国籍などの様々な背景からなる多様な価値観,考え方,スキルを有する従業員が,それぞれの能力を最大限に発揮できる環境の構築を図っています。ニューノーマルにおける新しい働き方の実現により従業員の働きがいや幸福度を向上させ,当社グループの持続的成長に繋げてまいります。
※1 ワークプレイスマネジメント:多様な働き方,対面による交流と協働機会の最大化,生産性を高める執務環境の運用を支援
※2 ワークプレイスモニタリング:セキュリティ確保や感染症発生時の追跡を可能とする行動管理と,行動分析による業務改革を可能とする執務環境の状況把握
■コンプライアンスの強化に向けた取組み
当社グループの役員・従業員が,社是である「論語と算盤」の精神に則って具体的な行動ができるよう,倫理意識の涵養とコンプライアンスの徹底に資する諸施策を継続して推進しております。
①経営トップが率先して倫理意識の涵養とコンプライアンスの徹底を図る
a.「論語と算盤」実践プロジェクト研修(当社及び子会社で実施)
・自らの業務と「論語と算盤」を重ね合わせ,日常的に語り合える風土をつくっていくことを目的として,全部門において10名程度の小集団で倫理意識を涵養
b. 経営幹部向け企業倫理研修(当社役員が受講後に,当社従業員及び子会社の役職員にイントラネットで公開)
・齋藤 孝氏「論語と算盤に学ぶ」,岡田尚人弁護士「ハラスメント防止について」
c. コンプライアンスeラーニング研修(「独占禁止法の順守」を含む)
・当社従業員約10,000名及び子会社の役職員4,200名が受講
②工事の入札に係る行動規準の周知徹底(当社及び建設事業系子会社を中心に推進)
・外部弁護士による幹部研修と意見交換
・法務部による従業員への研修・ヒアリング
・競争制限行為を誘引するリスクが高いと判断する案件を指定し,営業役員・部署長・営業担当者へのヒアリング・チェックを実施するとともに,外部弁護士によるヒアリングも実施
③独占禁止法順守に関する再発防止策の実施状況についての弁護士による客観的評価
・2021年4月に,外部弁護士より,「グループ会社を含む独占禁止法の順守に真摯に取り組んでいることが窺え,その姿勢は十分な評価に値する」との評価を得ております。
当社グループは,事業活動の遂行において直面し,あるいは事業活動の中で発生し得るさまざまなリスクを認識し,的確な管理を行うことによって,その発生の可能性を低下させるとともに,発生した場合の損失を最小限にとどめることにより,事業の継続的・安定的発展の確保に努めております。中期経営計画〈2019‐2023〉においても,基本方針において「ESG経営の推進」を掲げ,「コンプライアンスの徹底とリスクマネジメントの強化」を重要施策の一つとしております。
なお,リスクとは,以下の観点から,当社グループの経営において経営目標の達成を阻害する要因すべてを指します。
・当社グループに直接又は間接に経済的損失をもたらす可能性のあるもの
・当社グループ事業の継続を中断・停止させる可能性のあるもの
・当社グループの信用を毀損し,ブランドイメージを失墜させる可能性のあるもの
当社は,リスク管理規程に基づき,社長が委員長を務めるリスク管理委員会において,毎年度,全社の「重点リスク管理項目」を定めて各部門の運営計画に反映させており,当該項目には,法令違反リスクや安全・環境・品質に関するリスク等のESG要素も含まれております。同委員会は,本社部門,各事業部門及びグループ会社における機能別のリスク管理状況を定期的(年2回)にモニタリングし,必要に応じて是正・改善措置を指示するとともに,新たなリスクへの対応を図り,その対応状況を取締役会に定期的(年2回)に報告しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況,経理の状況等に関する事項のうち,経営者が当社グループの財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクには,次のようなものがあります。但し,当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく,現時点で予見しがたいリスクが顕在化し,投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお,文中の将来に関する事項は,当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは,こうしたリスク管理体制のもと,下記に掲げる対応策を適宜実施することにより,リスクの回避又は軽減を図ることで,経営への影響の低減に努めております。
(1)主に外部環境の変化に伴うリスク
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主なリスクの概要 |
主な対応策・取り組み |
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① |
建設市場の縮小リスク 国内外の景気後退等により民間設備投資が縮小した場合や,財政健全化等を目的として公共投資が減少した場合には,今後の受注動向に影響を及ぼす可能性があります。 |
取締役会で,建設事業の受注見通し,案件量を毎月フォローし,執行役員会議・事業部門長会議等において適宜必要な対策を指示しております。 2030年を見据えた長期ビジョン「SHIMZ VISION 2030」において非建設事業の拡充による収益構造の転換を掲げ,中期経営計画〈2019‐2023〉によって事業推進しております。 |
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② |
建設資材価格及び労務単価の変動リスク 建設資材価格や労務単価等が,請負契約締結後に予想を超えて大幅に上昇し,それを請負金額に反映することが困難な場合には,建設コストの増加につながり,損益が悪化する可能性があります。 |
工事請負契約の締結にあたって,原則として労務賃金・建設物価の変動に基づく請負代金の変更に関する規定(スライド条項等)を採用するよう,発注者との協議に努めております。 |
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③ |
取引先の信用リスク 発注者,協力会社,共同施工会社などの取引先が信用不安に陥った場合には,資金の回収不能や施工遅延などの事態が発生する可能性があります。 |
取引先に対する与信審査の徹底と継続的なモニタリングを行うとともに,当社グループの債権保全が可能な契約の締結に努めております。 |
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④ |
海外事業リスク 海外での事業を展開するうえで,進出国での政治・経済情勢,為替,租税制度や法的規制等に著しい変化が生じた場合や,テロ・戦争・暴動等の発生,資材価格の高騰及び労務単価の著しい上昇や労務需給のひっ迫があった場合には,工事の進捗や工事利益の確保に影響を及ぼす可能性があります。 |
海外事業展開にあたって,事業機会とともにカントリーリスク等も踏まえて地域や国を絞り込み,必要な対策を図っております。 (主な取り組み) ・海外大型案件取り組み時の審査体制の強化 ・契約リスク管理部署の設置 ・コンサルの活用等によるテロ対策の実施 ・腐敗防止の取り組み |
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⑤ |
投資開発事業リスク 景気の減速による不動産市況の低迷や不動産ファンド等の破綻など,投資開発分野の事業環境に著しい変化が生じた場合には,業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
企業体力に見合ったリスクの範囲内で事業を行うよう投資枠を設定し,個別案件の取り組みにおいては,投資取組基準に基づき,出口戦略(投資の回収計画)も含めて計画的に投資を行っております。 取締役会で投資開発事業の進捗状況,投資残高,事業ポートフォリオ,時価評価を定期的にフォローし,必要な対策を図っております。 |
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主なリスクの概要 |
主な対応策・取り組み |
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⑥ |
長期にわたる事業におけるリスク PFI事業,再生可能エネルギー事業等の長期にわたる事業において,諸物価や人件費,金利等の上昇,取引先の信用不安など,事業環境に著しい変化が生じた場合には,業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
取締役会でPFI事業,再生可能エネルギー事業等の進捗状況を定期的にフォローし,必要な対策を図っております。
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⑦ |
投資有価証券の価格変動リスク 投資有価証券の時価が著しく下落した場合には,業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
毎年,個別銘柄ごとに,株式保有に伴うコストやリスク,営業上の便益等の経済合理性を総合的に勘案のうえ,保有意義を見直し,取締役会にて,保有の必要性を検証したうえで,保有意義の低下した銘柄は,原則として売却しております。 |
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⑧ |
金利水準・為替相場の変動リスク 金利水準の急激な上昇,為替相場の大幅な変動等が生じた場合には,業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
金融相場変動リスク管理規程に従い,リスク管理を行っております。 (主な取り組み) ・固定金利による資金調達,金利スワップによる金利固定化による金利変動リスクの低減 ・為替予約,通貨スワップ,現地通貨による資金調達,外貨持高の調整による為替相場変動リスクの低減 |
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主なリスクの概要 |
主な対応策・取り組み |
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⑨ |
自然災害・感染症リスク 地震,津波,風水害等の自然災害や,感染症の世界的流行が発生した場合は,当社グループが保有する資産や従業員に直接被害が及び,事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 災害規模が大きな場合には,受注動向の変化・建設資材価格の高騰・電力エネルギー供給能力の低下等で事業環境が変化し,業績に影響を及ぼす可能性があります。
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BCP推進委員会を設置し,BCPの継続的見直しや訓練計画の決定及び実施状況のフォローを行っております。 (主な取り組み) ・首都直下地震,南海トラフ地震等の巨大地震を想定した震災訓練の定期的な実施 ・風水害発生時の行動基準の策定,風水害に関する従業員向け研修(eラーニング)の実施及び風水害を想定した訓練の実施 ・災害時情報共有システムの整備 ・非常用電源の確保及び備蓄品の拡充 ・データセンターのバックアップ体制の構築 ・新型コロナウイルス感染拡大に伴う感染予防・拡大防止策として,全従業員の体調確認(検温実施),PCR検査の適宜実施,テレワーク・スライド勤務の励行,不要不急の出張自粛,サテライトオフィスの設置,執務環境の整備等の施策を実施し,事業の継続に努めております。 ・加えて感染症が蔓延する中で,地震等災害が発生した場合の対応訓練を実施 |
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⑩ |
サイバーリスク 標的型メールやマルウェアによるウイルス感染,不正アクセス等のサイバー攻撃の被害にあった場合,事業活動や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。 |
(主な取り組み) ・従業員対象の標的型メール訓練の実施 ・社外公開サーバーの脆弱性診断 ・外部委託によるウイルスの常時監視 ・未知のマルウェア対策の実施 |
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⑪ |
法令の新設・改廃等に係るリスク 社会や時代の変化により,新たな法規制の制定や法令の改廃等があった場合には,業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。 |
事業活動に影響を及ぼす法令の新設・改廃等について適切に対応するため,関連規程・規則を整備し,各種会議体・イントラネット等を用いた社内周知,社内教育・研修(eラーニングを含む)を実施しております。 |
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主なリスクの概要 |
主な対応策・取り組み |
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⑫ |
長期的な気候変動リスク 脱炭素社会への移行に向けて,建築物の新築時の各種規制や炭素税の導入等がなされた場合,また気候変動の物理的影響として,平均気温の上昇や気象災害が頻発・激甚化した場合,事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 |
2019年10月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し,気候変動に関するリスクと機会を分析・開示するとともに,気候変動への対策を図っております。 (主な取り組み) ・気候変動関連のリスクと機会について,取締役会で事業戦略との整合性を確認 ・SDGs・ESG推進委員会(委員長:社長)を設置し,地球環境問題に関する基本的な方針・施策を審議・決定 ・環境ビジョン「SHIMZ Beyond Zero 2050」,CO2排出量削減の中長期目標「エコロジー・ミッション2030‐2050」を掲げ,2050年のカーボンニュートラルの実現に向け,活動を推進 ・気象災害の頻発・激甚化に対し,グループ会社や協力会社を中心にサプライヤーとの連携を強化 |
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⑬ |
退職給付債務に関わるリスク 年金資産の時価の下落及び割引率など退職給付債務の数理計算上の前提を変更する必要が生じた場合,業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
年金資産運用委員会を設置し,資産運用実績や財政決算シミュレーション等について審議を行い,年金資産運用に関する基本方針並びに政策的資産構成割合の見直し・改定を実施するとともに,委託先の運用機関による運用状況について適切なモニタリングを行い,毎年,取締役会に報告しております。 |
(2)主に業界特性・組織内部に起因するリスク
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主なリスクの概要 |
主な対応策・取り組み |
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① |
重大事故や契約不適合等のリスク 設計,施工段階における技術・品質面での重大事故・不具合や人身事故が発生し,その修復に多大な費用負担や施工遅延が生じたり,重大な契約不適合となった場合には,業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。 |
「安全第一」「人命尊重」「顧客第一」「品質確保」の事業姿勢を社内で共有し,安全と品質への意識向上を図っております。 (主な取り組み) ・技術・品質委員会,安全・環境委員会の設置 ・建設業労働安全衛生マネジメントシステム(COHSMS)の運用,安全衛生管理基本方針の制定,全社安全衛生計画の策定 ・QMS(品質マネジメントシステム)の実施,品質方針の策定,CS(顧客満足)推進活動の実施 ・事故・不具合事例のフィードバック,全社水平展開,PDCAの実施 |
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② |
個人情報・機密情報漏洩リスク 事業活動において取得した個人情報,機密情報が漏洩した場合には,業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。 |
「プライバシー・ポリシー」の制定や個人情報保護規程等の整備,全社個人情報保護管理責任者の設置により,個人情報の適切な管理を実施するとともに,情報セキュリティリスクに対応するため,各種取り組みを実施しております。 (主な取り組み) ・「情報セキュリティガイドライン」の適宜見直し ・「情報セキュリティハンドブック」の配布,ポスター掲載による啓発 ・情報セキュリティeラーニング,情報セキュリティ監査の定期的実施 ・日本シーサート協議会への加盟とCSIRT体制によるインシデント対応 |
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主なリスクの概要 |
主な対応策・取り組み |
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③ |
法令違反リスク 当社グループの主な事業分野である建設業界は,建設業法,建築基準法,宅地建物取引業法,国土利用計画法,都市計画法,独占禁止法,さらには安全・環境,労働,ハラスメント関連の法令等,さまざまな法的規制を受けており,当社グループにおいて違法な行為があった場合には,業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。 |
社是「論語と算盤」を拳拳服膺し,グループ全体で倫理意識の涵養とコンプライアンスの徹底を図っております。 (主な取り組み) ・「企業倫理行動規範」の制定 ・各種法令等に適切に対応するための関連規程類・社内体制の整備 ・企業倫理委員会(委員長:社長),企業倫理室の設置,内部通報制度(相談連絡先:企業倫理相談室,カウンセラー,外部相談窓口),内部監査体制の整備等,コンプライアンス推進体制の構築 ・経営幹部向け企業倫理研修の定期的実施 (グループ会社幹部含む) ・全従業員へのコンプライアンス研修(eラーニング含む)を毎年実施 ・独占禁止法順守プログラムや行動規準等の整備,独占禁止法違反行為に対する再発防止策の継続実施 ・社内媒体(社内報・法務ニュース等)を通じた啓発 ・グループ会社も当社に準じてこれらの取り組みを実施 |
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④ |
中長期的な担い手不足リスク 建設業の担い手である技能労働者の高齢化が進んでおり,団塊世代が大量離職するまでに,新規入職者の増加による世代交代が進まない場合,生産体制に支障をきたし,事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
官民連携のうえ,担い手の確保・育成,処遇改善,建設業界の魅力向上等に取り組んでおります。 (主な取り組み) ・適正な利益と工期の確保 ・協力会社を通じた技能労働者の賃金水準の向上,社会保険加入促進 ・週休二日推進 ・協力会社への入職支援,優良技能者の表彰・手当支給,多能工化支援 ・女性の活躍推進 ・建設業の魅力をPRする広報活動 ・建設キャリアアップシステムの展開 ・省人化工法・建設ロボットの開発・採用,ICTの活用を含む生産性向上の取り組み |
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は,前連結会計年度に比べ14.2%減少し1兆4,564億円となりました。
利益については,営業利益は前連結会計年度に比べ25.2%減少し1,001億円,経常利益は23.6%減少し1,054億円,親会社株主に帰属する当期純利益は22.0%減少し771億円となりました。
セグメントの業績は,以下のとおりであります。(セグメントの業績については,セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。また,報告セグメントの利益は,連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでおりません。なお,セグメント利益は,連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。)
(当社建設事業)
当社建設事業の売上高は,前連結会計年度に比べ13.8%減少し1兆2,133億円となり,セグメント利益は,前連結会計年度に比べ25.9%減少し1,075億円となりました。
(当社投資開発事業)
当社投資開発事業の売上高は,前連結会計年度に比べ34.8%増加し456億円となり,セグメント利益は,前連結会計年度に比べ45.4%増加し149億円となりました。
(その他)
当社が営んでいるエンジニアリング事業,LCV事業及び子会社が営んでいる各種事業の売上高は,前連結会計年度に比べ20.6%減少し4,132億円となり,セグメント利益は,前連結会計年度に比べ33.2%減少し149億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については,営業活動により806億円資金が増加しましたが(前連結会計年度は1,705億円の資金増加),投資活動により1,139億円資金が減少し(前連結会計年度は1,157億円の資金減少),財務活動により427億円の資金が減少した結果(前連結会計年度は687億円の資金増加),現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は,前連結会計年度末に比べ764億円減少し,2,763億円となりました。
③ 生産,受注及び販売の状況
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業及び開発事業では,「生産」を定義することが困難であり,また,子会社が営んでいる事業には,「受注」生産形態をとっていない事業もあるため,当該事業においては生産実績及び受注実績を示すことはできません。
また,当社グループの主な事業である建設事業では,請負形態をとっているので,「販売」という概念には適合しないため,販売実績を示すことはできません。
このため,「生産,受注及び販売の状況」については,記載可能な項目を「① 経営成績の状況」においてセグメントの業績に関連付けて記載しております。
なお,参考のため当社単体の事業の状況は次のとおりであります。
a. 受注(契約)高,売上高,及び次期繰越高
|
期別 |
種類別 |
前期 繰越高 (百万円) |
当期 受注(契約)高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期 売上高 (百万円) |
次期 繰越高 (百万円) |
||||||
|
第118期
|
建設事業 |
|
|
|
|
|
||||||
|
建築工事 |
1,581,530 |
907,799 |
2,489,330 |
1,073,463 |
1,415,866 |
|||||||
|
土木工事 |
479,023 |
286,981 |
766,005 |
283,251 |
482,753 |
|||||||
|
計 |
2,060,553 |
1,194,781 |
3,255,335 |
1,356,715 |
1,898,620 |
|||||||
|
開発事業等 |
77,918 |
79,622 |
157,541 |
60,889 |
96,651 |
|||||||
|
合計 |
2,138,472 |
1,274,404 |
3,412,876 |
1,417,604 |
1,995,272 |
|||||||
|
第119期
|
建設事業 |
|
|
|
|
|
||||||
|
建築工事 |
1,415,866 |
817,718 |
2,233,584 |
917,145 |
1,316,439 |
|||||||
|
土木工事 |
482,753 |
312,996 |
795,750 |
259,980 |
535,770 |
|||||||
|
計 |
1,898,620 |
1,130,715 |
3,029,335 |
1,177,125 |
1,852,210 |
|||||||
|
開発事業等 |
96,651 |
70,254 |
166,906 |
72,860 |
94,045 |
|||||||
|
合計 |
1,995,272 |
1,200,969 |
3,196,241 |
1,249,985 |
1,946,255 |
(注) 1 前期以前に受注したもので,契約の更改により請負金額に変更のあるものについては,当期受注(契約)
高にその増減額を含んでおります。したがって当期売上高にもかかる増減額が含まれております。
2 開発事業等は,投資開発事業,エンジニアリング事業及びLCV事業等であります。
b. 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は,特命と競争に大別されます。
|
期別 |
区分 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
|
|
第118期 |
(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
建築工事 |
50.9 |
49.1 |
100 |
|
土木工事 |
14.9 |
85.1 |
100 |
||
|
第119期 |
(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
建築工事 |
37.1 |
62.9 |
100 |
|
土木工事 |
12.9 |
87.1 |
100 |
||
(注) 百分比は請負金額比であります。
c. 売上高
|
期別 |
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
合計(百万円) |
||||||
|
第118期
|
建設事業 |
|
|
|
||||||
|
建築工事 |
130,307 |
943,156 |
1,073,463 |
|||||||
|
土木工事 |
182,237 |
101,014 |
283,251 |
|||||||
|
計 |
312,544 |
1,044,170 |
1,356,715 |
|||||||
|
開発事業等 |
300 |
60,588 |
60,889 |
|||||||
|
合計 |
312,845 |
1,104,759 |
1,417,604 |
|||||||
|
第119期
|
建設事業 |
|
|
|
||||||
|
建築工事 |
93,541 |
823,603 |
917,145 |
|||||||
|
土木工事 |
166,983 |
92,997 |
259,980 |
|||||||
|
計 |
260,524 |
916,601 |
1,177,125 |
|||||||
|
開発事業等 |
340 |
72,519 |
72,860 |
|||||||
|
合計 |
260,864 |
989,120 |
1,249,985 |
(注) 完成工事のうち主なものは,次のとおりであります。
第118期
|
森トラスト(株) |
東京ワールドゲート 神谷町トラストタワー 新築工事 |
|
|
|
|
キオクシア(株) |
キオクシア岩手株式会社 510棟(CR棟) 新築建築工事 |
|
|
|
|
道玄坂一丁目駅前地区市街地 再開発組合 |
道玄坂一丁目駅前地区第一種市街地再開発事業 施設建築物新築工事(渋谷フクラス) |
|
|
|
|
東日本高速道路(株) |
東京外環自動車道 大和田工事 |
|
|
|
|
国土交通省 |
八ッ場ダム本体建設工事 |
第119期
|
東京ガス不動産(株) |
(仮称)TGMM芝浦プロジェクトB棟Ⅱ期新築工事 |
|
|
|
|
(株)みずほフィナンシャルグループ |
(仮称)丸の内1-3計画新築工事 フィットアウト 工事タワー部分 専有 |
|
|
|
|
武蔵小金井駅南口第2地区市街地 再開発組合 |
武蔵小金井駅南口第2地区第一種市街地再開発事業 施設建築物新築工事 |
|
|
|
|
国土交通省 |
東京国際空港際内トンネル他築造等工事 |
|
|
|
|
シンガポール共和国政府 |
シンガポールMRTトムソン-イーストコースト ラインT207工区建設工事 |
d. 次期繰越高(2021年3月31日現在)
|
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
合計(百万円) |
|
建設事業 |
|
|
|
|
建築工事 |
241,239 |
1,075,199 |
1,316,439 |
|
土木工事 |
370,984 |
164,785 |
535,770 |
|
計 |
612,224 |
1,239,985 |
1,852,210 |
|
開発事業等 |
1,091 |
92,954 |
94,045 |
|
合計 |
613,316 |
1,332,939 |
1,946,255 |
(注) 次期繰越工事のうち主なものは,次のとおりであります。
|
虎ノ門・麻布台地区市街地 再開発組合 |
虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業に係る A街区・B-2街区施設建築物等新築建築工事 |
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|
勝どき東地区市街地再開発組合 |
勝どき東地区第一種市街地再開発事業施設建築物 A2地区新築工事 |
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|
東急(株) (株)東急レクリエーション |
(仮称)歌舞伎町一丁目地区開発計画 新築工事 |
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|
|
|
東日本高速道路(株) |
東京外かく環状道路本線トンネル(南行)大泉南工事 |
|
|
|
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フィリピン共和国政府 |
マニラ地下鉄 CP101工区建設工事 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 経営成績の分析
2020年度の日本経済は,年度を通じて新型コロナウイルス感染症の影響から厳しい状況が続きましたが,年度後半には個人消費や輸出,企業収益などに持ち直しの動きが見られました。
建設業界においては,官公庁工事の受注が堅調に推移した一方,民間工事の受注は感染症の影響による設備投資の低迷等により前年度を下回る水準で推移しました。
このような状況のもと,当社グループの売上高は,完成工事高及び開発事業等売上高の減少により,前連結会計年度に比べ14.2%減少し1兆4,564億円となりました。
利益については,国内建築工事及び海外工事の採算の低下などにより完成工事総利益が減少したことなどから,営業利益は前連結会計年度に比べ25.2%減少し1,001億円,経常利益は前連結会計年度に比べ23.6%減少し1,054億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は,特別損益に保有株式の売却に伴う固定資産売却益や感染症関連損失などを計上した結果,22.0%減少し771億円となりました。
セグメントの業績は,以下のとおりであります。(セグメントの業績については,セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。また,報告セグメントの利益は,連結財務諸表の作成にあたって計上した引当金の繰入額及び取崩額を含んでおりません。なお,セグメント利益は,連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。)
(当社建設事業)
当社建設事業の売上高は,前連結会計年度に比べ13.8%減少し1兆2,133億円となり,セグメント利益は,前連結会計年度に比べ25.9%減少し1,075億円となりました。
(当社投資開発事業)
当社投資開発事業の売上高は,大型開発物件を売上計上したことなどにより,前連結会計年度に比べ34.8%増加し456億円となり,セグメント利益は,前連結会計年度に比べ45.4%増加し149億円となりました。
(その他)
当社が営んでいるエンジニアリング事業,LCV事業及び子会社が営んでいる各種事業の売上高は,前連結会計年度に比べ20.6%減少し4,132億円となり,セグメント利益は,前連結会計年度に比べ33.2%減少し149億円となりました。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産の部は,現金同等物(現金預金及び有価証券に含まれる譲渡性預金)及び受取手形・完成工事未収入金等は減少したものの,賃貸事業用固定資産の取得及び株式相場の上昇に伴う保有株式(投資有価証券)の含み益の増加などにより,1兆9,086億円となり,前連結会計年度末に比べ37億円増加しました。
当連結会計年度末の負債の部は,支払手形・工事未払金等の減少などにより,1兆872億円となり,前連結会計年度末に比べ812億円減少しました。
連結有利子負債の残高は4,226億円となり,前連結会計年度末に比べ186億円減少しました。
当連結会計年度末の純資産の部は,親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加及び保有株式の時価の上昇に伴うその他有価証券評価差額金の増加などにより,8,214億円となり,前連結会計年度末に比べ850億円増加しました。また,自己資本比率は42.7%となり,前連結会計年度末に比べ4.4ポイント増加しました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況については,営業活動により806億円資金が増加しましたが,投資活動により1,139億円,財務活動により427億円それぞれ資金が減少した結果,現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は,前連結会計年度末に比べ764億円減少し2,763億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは,税金等調整前当期純利益1,108億円の計上などにより806億円の資金増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは,賃貸事業をはじめとする事業用固定資産の取得などにより1,139億円の資金減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは,配当金の支払などにより427億円の資金減少となりました。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要の主なものは,建設事業における工事代金の立替金や販売費及び一般管理費などの営業活動に伴う支出,不動産開発事業における賃貸事業用資産の取得などの設備投資に伴う支出であります。また,当社グループは,2019年5月に策定した「中期経営計画〈2019‐2023〉」において,建設事業での安定的な収益基盤を維持しつつ,非建設事業の着実な収益力向上を図ることを目的とし,2019年度から5年間で生産性向上・研究開発,不動産開発事業,新規事業などに7,500億円の投資を計画しております。
これらの資金需要に対し,自己資金に加え,金融機関からの借入金やノンリコース借入金などの有利子負債を活用することにより,必要資金の調達を行う方針であります。
なお,財務体質の健全性を維持するため,自己資本比率を40%以上,負債資本倍率(D/Eレシオ)を0.7倍以下とすることを財務上のKPIとして設定しております。2020年度の実績については,「⑥経営方針・経営戦略,経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は,我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては,期末日時点の状況をもとに種々の見積りを行っておりますが,これらの見積りには不確実性が伴うため,実際の結果と異なることがあります。
当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち,重要なものは以下のとおりであります。
なお,新型コロナウイルス感染症の拡大による影響に係る会計上の見積りの前提は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (追加情報)」に記載しております。
(工事進行基準による収益認識)
当社グループは,完成工事高及び完成工事原価の計上にあたり,期末日までの進捗部分について,成果の確実性が認められる工事については工事進行基準を適用しております。
工事進行基準の適用にあたっては,工事収益総額,工事原価総額及び期末日における工事進捗度を合理的に見積る必要がありますが,建設資材単価や労務単価等が,請負契約締結後に予想を超えて大幅に上昇する場合など,工事原価総額の見積りには不確実性を伴うため,当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは,固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり,資産のグルーピングを行い,収益性が著しく低下した資産グループについて,固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し,当該減少額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額については,将来キャッシュ・フロー,割引率,正味売却価額等の前提条件に基づき算出しておりますが,市況の変動などにより前提条件に変更があった場合には,当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 経営方針・経営戦略,経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2019年5月に策定した「中期経営計画〈2019‐2023〉」の2年目である2020年度の実績は以下のとおりであります。
a.経営数値目標(連結ベース)
(単位:億円)
|
中期経営計画〈2019‐2023〉 |
||||||
|
|
2020年度実績 |
2023年度目標 |
|
財務KPI |
2020年度実績 |
2023年度目標 |
|
総売上高 |
14,564 |
18,800 |
|
RОE |
10.0% |
10%以上 |
|
建設事業 |
13,013 |
15,500 |
|
自己資本比率 |
42.7% |
40%以上 |
|
非建設事業 |
1,551 |
3,300 |
|
負債資本倍率 (D/Eレシオ) |
0.52倍 |
0.7倍以下 |
|
売上利益 |
1,904 |
2,350 |
|
|||
|
建設事業 |
1,624 |
1,850 |
|
配当性向 |
29.7% |
30%程度 |
|
非建設事業 |
279 |
500 |
|
|
|
|
|
経常利益 |
1,054 |
1,400 |
|
|
|
|
b.投資計画
(単位:億円)
|
|
投資額(計画) (5ヶ年) |
投資額(実績) (2019~2020) |
|
生産性向上・研究開発投資 |
1,000 |
378 |
|
不動産開発事業 |
5,000 |
1,525 |
|
インフラ・再生可能エネルギー・ 新規事業(フロンティア事業他) |
1,300 |
453 |
|
人財関連 |
200 |
39 |
|
|
|
|
|
投資額合計 |
7,500 |
2,395 |
c.非財務KPI
|
非財務KPI |
2020年度実績 |
2023年度目標 |
|
|
建設事業における生産性(2016年度比)向上率 |
12.3% |
20%以上 |
|
|
建設事業におけるCO2排出量(2017年度比)削減率 |
15.3%※1 |
10%以上 |
|
|
働きがい指標※2 |
3.75 |
4.0以上 |
|
|
重大な法令違反件数 |
0件 |
0件 |
|
※1 第三者保証取得前の2021年4月時点暫定値
※2 当社従業員意識調査による指標(5段階評価の平均)
特記事項はありません。
当社グループの当連結会計年度における研究開発費は
当社は,建築・土木分野の生産性向上や品質確保のための新工法・新技術の研究開発はもとより,多様化する社会ニーズに対応するための新分野・先端技術分野や,さらに地球環境問題に寄与するための研究開発にも,幅広く積極的に取り組んでおります。技術研究所を中心とした研究開発活動は,基礎・応用研究から商品開発まで多岐にわたっており,異業種企業,公的研究機関,国内外の大学との技術交流,共同開発も積極的に推進しております。
これら研究開発の成果として,今年度も建築学会賞をはじめ様々な学協会からの賞を受賞しました。また,i-Constructionが実用の段階へと進み,ロボット施工技術の展開も進行・深化しております。
当連結会計年度における研究開発活動の主な成果は次のとおりであります。
(1)感染症対策技術
①建物内の感染防止機能を評価する「感染リスクアセスメントツール」と感染対策リスト「ソリューションマトリクス」を開発
順天堂大学大学院医学研究科感染制御科学の堀 賢 教授と当社は,建築設計の知見と医学的な知見とを融合し,建物内の感染防止機能を評価する「感染リスクアセスメントツール(オフィス版Ver.1.0)」と感染対策リスト「ソリューションマトリクス」を共同で策定しました。当社は今後,オフィスを対象にした感染対策のコンサルティングを展開し,お客様が求める感染リスク低減グレードに適した建築計画と運用方法を提案することで,新築・改修工事の受注増を目指します。また,両者で病院や学校,宿泊施設,大型商業施設,ホール等,各用途に対応したツールを策定し,広く感染対策を提案していきます。堀教授とは日常生活や業務の場面に感染対策が予め織り込まれた建築「Pandemic Ready」の実現に向けた要素技術の共同開発や社会実装化に取り組んでいきます。
②遮音性能を備えた自然換気用給気スリット「しずかスリット」を開発
建物の感染症対策や省エネに有効な自然換気用の外気吸い込み口として,室内に外気を取り入れても騒音は入ってこない新たな給気スリット「しずかスリット」を開発・実用化しました。屋外の幹線道路や鉄道から給気スリットを介して室内に入ってくる騒音のうち中心となる500~2,000Hzの騒音について,5~9db低減できることを確認しております。オイレスECO㈱がユニットを製作し,当面,当社に独占的に供給した後,外販を予定しております。本給気スリットは,大規模オフィス2件の設計提案に採用されております。今後,様々な用途の建物に対して「しずかスリット」の採用を提案していくとともに,カーテンウォール一体型のユニットの開発を進めます。
(2)ロボット・AI
①ロボット施工・IoT分野に置ける技術連携に合意
当社と鹿島建設㈱,㈱竹中工務店の3社は,建設業界全体の生産性及び魅力の向上を促進することを目的に,ロボット施工・IoT分野での技術連携に関する基本合意書を締結し,技術連携を進めることとしました。3社は,本協業を通じ,新規ロボットの共同開発や既存ロボットの相互利用を促進することで,研究開発費やロボット生産コストの低減につなげ,施工ロボットの普及加速を目指していきます。このような最先端技術の利活用は,協力会社の生産性を大幅に向上させ,技能労働者のワークライフバランスの向上や処遇改善,ひいては若年層の入職促進にも寄与し,業界の魅力向上に貢献するものであります。3社は今後,技術連携を広く業界全体に働きかけ,建設業が抱える諸課題の解決に尽力していきます。
②自律型溶接ロボット「Robo-Welder」の実施工現場での適用開始
AIを搭載した自律型建設ロボットと人とがコラボしながら工事を進める次世代型生産システム「シミズスマートサイト」の第一陣として,自律型溶接ロボット「Robo-Welder」を当社施工現場に適用しました。「Robo-Welder」が溶接した地下階の鉄骨柱の板厚は100mmで,建設ロボットによる溶接実績として日本国内で最厚であります。熟練の溶接工でも柱1本当たり8人日かかる作業を5人日で対応できる省人化効果を確認しております。今後,当社施工現場において,ロボット施工を本格的に展開するとともに,施工管理のデジタル化を進め,次世代を見据えた現場運営を目指します。
③木造床版工事を省力化できる連装ビス打ち機「Robo Slab-Fastener」を開発
「シミズスマートサイト」の一環として,木造床版のビス接合を担う連装ビス打ち機「Robo Slab-Fastener」を開発しました。ビス接合の仕様に応じて工具の間隔を調整し,タッチパネル上で工具の取り付けピッチ,ビス打ちピッチ,移動距離を設定後,開始ボタンを押すだけで,ロボットが30本/分のペースでビス打ちしながら走行します。当社施工現場のCLT床版工事に当ロボットを実適用し,生産性向上効果を確認しております。今後,木造床版工事において「Robo Slab-Fastener」の実装を進めるとともに,協働ロボットの適用工種拡大に向け,新規ロボット開発に注力していきます。
④石膏ボードの切断作業をアシストする装置「シミズ・ボードスプリッター」を開発
「シミズスマートサイト」の一環として,作業員による石膏ボードの切断作業をアシストする装置「シミズ・ボードスプリッター」を開発しました。当社施工現場で,「シミズ・ボードスプリッター」を使用することで,手作業に比べ生産性を平均で12%,切り込み箇所が多くなると50%以上向上させることができることを確認しております。今後,石膏ボードの切断作業が多い鉄筋コンクリート造の集合住宅や病院の作業所に「シミズ・ボードスプリッター」の水平展開を図ります。
⑤3Dコンクリートプリント用の繊維補強モルタル材料「ラクツム」の開発・実用化
3Dコンクリートプリンティングによる構造体を兼ねた柱型枠「埋設型枠」の造形を目的に,高強度・高靭性の繊維補強モルタル「ラクツム(LACTM:Laminatable Cement-based Tough Material)」を開発・実用化しました。当社施工現場において,自由曲面形状を有するコンクリート柱4本の埋設型枠を3Dプリンティング施工した結果,高さ4.2mの柱部材を短期間で構築できました。今後,「ラクツム」で積層造形した埋設型枠の現場適用を推進していくとともに,施工現場で実大型枠を直接プリントするオンサイト3Dプリンティングを実現するための研究開発を進めます。
⑥建物運用のデジタル変革を支援する建物OS「DX-Core」を開発
建物内の建築設備やIoTデバイス,各種アプリケーションの相互連携を容易にする,建物運用デジタル化プラットフォーム機能を備えた,基本ソフトウェアである建物オペレーティングシステム「DX-Core」を開発し,自社施設への実装を進めております。建物運用にかかわる設備機器やアプリケーション間の連携を,メーカーの違いを問わずビジュアルツールで自在に図れるため,新築・既存を問わず実装できます。今後,外部企業との協業により「DX-Core」と接続するハードウェアやアプリケーションを順次拡充し,建物の用途や規模に適したサービスメニューを提案するとともに,建物デジタル化工事のEPC受注を目指します。
⑦建物エレベータとサービスロボットの統合制御技術を開発・実装
ロボットを活用した様々なサービスを建物内で提供できる「ロボット対応型」施設の実現に向け,エレベータ等の建物設備と複数種類のサービスロボットを,共通のインターフェースを介して統合制御する技術を開発し,技術研究所本館(東京都江東区)に実装しました。本技術を導入した建物では,サービス事業者がロボットと建物設備の連動システムを独自開発する必要がなくなるため,新たなロボット活用サービスを容易に展開でき,建物利用者の利便性と建物価値の向上につながることが期待できます。今後,本技術で統合制御を行う建物設備やサービスロボットの拡充を目指し,ロボットサービス事業者等に共同実証への参加を働きかけていきます。
⑧早期火災検知AIシステム「火災検知@Shimz.AI.evo」による木造建築の火災リスクの低減
物流施設向けに開発した早期火災検知AIシステム「火災検知@Shimz.AI.evo」が,木造建築の火災検知にも効果を発揮することを確認しました。木材の初期燃焼時に発生・拡散する一酸化炭素等を含む特有のガスを検知させることで,本システムは木造建築の火災を確実に検知できます。当社は「火災検知@Shimz.AI.evo」を,物流施設やイベント施設等の大空間建築や文化的価値が高い木造建築等に広く展開し,火災リスクの低減につなげていきます。
⑨人と重機との接触災害を回避する重機搭載型のAIカメラ監視システムの開発
山岳トンネル現場における人と重機との接触災害の根絶を目指し,単眼カメラユニットと画像解析AIで構成する,重機搭載型のAIカメラ監視システムを㈱Lightblue Technologyと共同で開発しました。画像解析AIを用いて,重機に取り付けた単眼カメラの画像から重機周辺の危険区域内にいるヒトを瞬時に検知し,警告音,ライト点灯,モニター表示等でアラートを発報します。実証試験では,9割を超える高い検知精度が確認できており,今後,施工中のトンネル工事に本システムを装備した重機を導入し,現場環境下での適用性を検証するとともに,検知精度や使い勝手のさらなる改良を図り,商品化・外販開始を目指します。
⑩ドローン画像から損傷情報も反映したインフラ構造物の高精度3Dモデルを形成
RC造のインフラ構造物の劣化予測技術の高度化を目的に,ドローン計測による画像情報から,RC構造物表面の微細なひび割れ等の損傷情報も反映した高精度3次元モデルを形成するシステムを米国のカーネギーメロン大学と共同開発しました。橋長200m程度の一般的なRC橋梁を対象にした場合,損傷状況の位置・形状の誤差を数mmレベルに抑えた精緻な3次元モデルの形成を,計測を含めて数日程度で完了できます。今後,この高精度3次元モデルをベースに,構造物の耐力や余寿命をシミュレーション解析する技術の開発を進め,データ計測から評価・診断まで一気通貫で対応できるインフラ劣化予測システムの確立を目指します。
(3)i-Construction
①コンクリート品質総合管理システム「Concrete Station」を開発
土木工事のコンクリート品質に関するあらゆるリスクを着工前に全工期にわたって抽出し,具体的な対策の立案から打設管理に至る一連の施工管理業務を支援するコンクリート品質総合管理システム「Concrete Station」を開発しました。リスクロードマップ作成,打設計画支援,チェックリスト作成等の機能を備えており,経験の浅い若手土木技術者でも,コンクリート打設の施工管理を計画的に実施できます。今後,「Concrete Station」の現場適用を進めるとともに,「Concrete Station」による検討・対策・施工結果の評価・分析結果をAIに学習させ,将来的にはAIシステムによる精度の高い施工管理を目指します。
②新たなコンクリート打継ぎ処理剤「シーカ®ルガゾール-919」を開発
コンクリートの打設後に形成される脆弱層の硬化を防止する新たな打継ぎ処理剤「シーカ®ルガゾール-919」を日本シーカ㈱と共同開発しました。「シーカ®ルガゾール-919」は,特定の噴霧器を使用すると泡立つため,泡を視認することで経験が浅い作業員でもムラなく散布できます。さらには,コンクリートの打設直後に散布できることから,材工(材料費・工事費込み)で約30%のコストを削減することが可能になります。今後,「シーカ®ルガゾール-919」を先に開発したコンクリート品質総合管理システム「Concrete Station」が提供するソリューション技術に加え,現場に広く展開していきます。
③掘削形状をリアルタイムに3次元で可視化できる「リアルタイム施工管理システム」を開発
地中連続壁の掘削作業の一層の効率化に向け,地中での掘削機の位置・姿勢と掘削形状をリアルタイムに3次元で可視化できる「リアルタイム施工管理システム」を開発しました。本システムを活用することで,掘削工程のサイクルタイムを従来比で20~25%,コストを10%以上削減することが可能になります。今後,本システムを地中連続壁の採用現場に水平展開し,掘削作業を効率化していきます。
④掘削状況の可視化技術「ケーソン版SP-MAPS」を開発
3次元スキャン技術とプロジェクションマッピング技術を活用した「SP-MAPS」を,ニューマチックケーソン工事に適用しました。掘削オペレーターは,掘削面の色光から掘削の過不足をリアルタイムで把握でき,無駄なく作業を進めることができます。本システムを当社JV施工現場に試験導入し,高気圧環境下でのシステム機能の実効性,装置の耐圧性能を確認しました。今後,計測・画像照射の所要時間の短縮,計測・照射装置のスリム化等のシステム改良を図り,実工事での適用を目指します。
⑤コスト削減に寄与するPCaボックスカルバート「角丸(かくまる)カルバート」を開発
トンネル工事のコスト削減に寄与する新形状のPCaボックスカルバート「角丸カルバート」を千葉窯業㈱と共同開発しました。このボックスカルバートは,隅角部の形状を直角から円弧状にすることで内部に局所的に作用していた負荷を30%低減できます。側壁と頂版・底版の厚さを任意に設定できるため,従来のPCa部材に比べ,製作費を約15%削減可能であります。「角丸カルバート」は,当社JVが施工中の新東名高速道路川西工事の開削トンネルへの適用を予定しております。
⑥施工中の設備配管や建物躯体の施工管理を支援する「Shimz AR Eye」を開発・実用化
AR技術を活用して携帯型タブレットの端末上で建物のBIMデータとリアルタイムのライブ映像を合成表示して見える化し,双方を容易に照合できるシステム「Shimz AR Eye」を開発・実用化しました。すでに,BIMで設計した建物の新築・改修工事の18現場に試験適用し,性能や使い勝手を確認しております。当社は引き続き,建築・土木工事を問わず,AR技術を活用した施工支援ツールの導入を進め,施工管理の一層の効率化を進めます。
⑦掘削作業の負担を軽減する「ワーキングアシストAS」を開発
工事現場でのスコップを使った掘削作業の負荷低減を図るため,アシストスーツ「ワーキングアシストAS」をダイヤ工業㈱と共同開発しました。「ワーキングアシストAS」は,ベスト型で,胸回りと腰回りのベルトを締めるだけで着用でき,重量は電動タイプの1/8の約500gと非常に軽量であります。アシスト効果の計測試験では,筋肉の負担を10%程度軽減できるという結果が得られております。このアシストスーツは掘削作業だけでなく,両腕で行う重量物の持ち運び作業の負荷も軽減できることから,農業や宅配,介護等の現場への展開も視野に入れて進めております。
(4)設計技術
①BIMデータを施工から製作,運用段階まで連携させるシステム「Shimz One BIM」の整備
一貫構造計算プログラムで作成した構造計算モデルと構造BIMモデルのデータ連携を拡充する機能及び構造BIMモデルのデータから柱や梁の部材断面表を自動作成する機能を構築することで,設計者が作成するBIMデータを施工から製作,運用段階まで連携させるシステム「Shimz One BIM」を効率化しました。すでに10案件に適用して両機能の有効性を確認しており,今後,全社の設計部門に水平展開し,業務を効率化します。
②医薬品クリーンルームの設計支援ツール「GMP Visualizer」を開発
医薬品製造施設の設計支援ツールとして,医薬品GMP(Good Manufacturing Practice:適正製造規範)に準拠したクリーンルームの配置計画を効率的に立案できる3Dモデリングツール「GMP Visualizer」を開発しました。このツールは,医薬品製造施設の建築・空調計画のベースとなるクリーンルームの配置計画を検討する際に不可欠な医薬品GMPとの適合チェックを自動化します。このツールを医薬品製造施設の新築計画の設計検討に利用するとともに,既存施設のGMP適合チェックツールとしても活用し,改修提案の最適化につなげていきます。
③100MNもの支持力を備えた場所打ちコンクリート拡底杭「花びら拡底杭」を開発
400mクラスの超高層ビルを杭基礎で経済的に建設することを目的に,高い支持力を備えた場所打ちコンクリート拡底杭「花びら拡底杭」を丸五基礎工業㈱の協力を得て開発しました。従来の拡底杭の2倍近い底面積を確保することで,1本あたり100MN(約10,000トン)という非常に高い支持力を発揮します。従来工法で支持力100MNの杭を構築した場合に比べて,排土量が20~33%,施工期間が10~20%低減できることを確認しております。本工法は(一財)日本建築センターより,その有効性を証する評定を取得しており,今後,超高層案件に対して積極的に提案し,案件受注に結びつけていきます。
④能登ヒバと鉄骨を一体化した耐火木鋼梁「シミズ ハイウッド ビーム」を開発
木質建築技術「シミズ ハイウッド」の一環として,集成材と鉄骨を一体化した耐火木鋼梁「シミズ ハイウッド ビーム」を開発しました。能登ヒバを集成材に用いた耐火木鋼梁について1時間の耐火性能を認定する国土交通大臣認定を取得しました。初適用となる当社北陸支店新社屋では,古都金沢の伝統的な建築様式である格天井を最新の技術である耐火木鋼梁によって再現し,スパン25m超の木質大空間を実現しました。当社は今後,カラマツの集成材を用いた耐火木鋼梁についても大臣認定を取得するとともに,引き続き木質建築技術の開発に広く取り組んでいきます。
(5)カーボンニュートラル
「電気化学プロセスを主体とする革新的CO2大量資源化システムの開発」がNEDOのムーンショット型研究開発事業に採択
国立大学法人東京大学,国立大学法人大阪大学,国立研究開発法人理化学研究所,宇部興産㈱,千代田化工建設㈱,古河電気工業㈱と共同で,NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「ムーンショット型研究開発事業/2050年までに,地球再生に向けた持続可能な資源循環を実現」に係る公募に対して「電気化学プロセスを主体とする革新的CO2大量資源化システムの開発」プロジェクトを提案し,採択されました。本事業は,大気中に放散された希薄なCO2及び放散される前のCO2を回収して,再生可能エネルギーを駆動力とし電気化学的に富化/還元することで有用化学原料を生成するプロセスの統合システムを開発します。最終的に,カーボンリサイクルの基盤を構築することを目指します。