第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済対策や日銀の金融緩和策の効果などにより、企業収益に改善がみられ、また、所得環境・雇用情勢の改善傾向から個人消費が持ち直すなど、景気は全体として緩やかな回復基調が続きました。

建設業界におきましては、復興関連を中心に公共投資は堅調に推移し、民間建設投資も企業業績を背景として非住宅投資の回復傾向が続きましたが、建設資材価格の動向や労務の需要状況など収益に影響を与える懸念材料が存在する経営状況でありました。

このような情勢下、当社は、当期を初年度とする「中期経営計画」(平成26年度~平成28年度)」に基づき、外部要因に左右されない安定した収益を確保できる経営基盤の構築に努めてまいりました。

当連結会計年度における当社グループの連結業績につきましては、売上高は前年同期比6.0%増の1,188億75百万円(前連結会計年度は1,121億30百万円)となり、営業利益は60億77百万円(前連結会計年度は31億92百万円)、経常利益は55億20百万円(前連結会計年度は35億48百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は28億71百万円(前連結会計年度は27億44百万円)となりました。また、セグメント別の業績につきましては、以下のとおりであります。

 

セグメント

①土木事業

土木事業の売上高は518億35百万円(前年同期比29.1%増)であり、セグメント利益は53億41百万円(前年同期比20.6%増)となりました。

②建築事業

建築事業の売上高は568億97百万円(前年同期比5.4%減)であり、セグメント利益は36億45百万円(前年同期比353.3%増)となりました。

③開発事業

不動産の売買、賃貸等による売上高は11憶28百万円(前年同期比35.6%減)であり、セグメント利益は64百万円(前年同期比74.2%減)となりました。

④関係会社

関係会社の売上高は93億円(前年同期比10.3%減)であり、セグメント利益は8億20百万円(前年同期比15.4%減)となりました。

⑤その他

建設用資機材の賃貸及び受託業務等による売上高は6億82百万円(前年同期比15.4%増)であり、セグメント利益は7億29百万円の損失(前年は5百万円の利益)となりました。

 

地域ごとの業績

①日本

日本国内での売上高は1,134億51百万円であり、セグメント利益は67億59百万円となりました。

②アジア

アジアにおける売上高は54億24百万円であり、セグメント利益は6億81百万円の損失となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益47億円に対し、立替金の減少11億円、未収消費税等の減少11億円、預り金の増加14億円等の収入要因が、仕入債務の減少63億円等の支出要因を上回り、42億円の収入超過(前連結会計年度は17億円の収入超過)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出12億円等により13億円の支出超過(前連結会計年度は20億円の支出超過)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入25億円に対し、長期借入金の返済による支出14億円、配当金の支払5億円等を差し引きし、4億円の収入超過(前連結会計年度は8億円の収入超過)となりました。

以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、202億円(前連結会計年度末は172億円)となりました。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 受注実績

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

当連結会計年度

(自  平成27年6月1日

   至  平成28年5月31日)

土木事業

41,249

△22.0

建築事業

61,529

△3.2

開発事業

1,116

△33.7

関係会社

10,423

△8.8

その他

524

97.7

合計

114,843

△11.5

 

(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2) 売上実績

セグメントの名称

売上高(百万円)

前年同期比(%)

当連結会計年度

(自  平成27年6月1日

   至  平成28年5月31日)

土木事業

51,835

29.1

建築事業

56,897

△5.4

開発事業

1,105

△36.1

関係会社

8,505

△13.4

その他

531

102.9

合計

118,875

6.0

 

(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。

      当社グループでは生産実績を定義することが困難なため、「生産の状況」は記載しておりません。

 

 

なお、参考のため、提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。

 

提出会社の受注高(契約高)及び売上高の状況

(1) 受注高、売上高、繰越高

期別

種類別

前期
繰越高
(百万円)

当期
受注高
(百万円)


(百万円)

当期
売上高
(百万円)

次期
繰越高
(百万円)

前事業年度

(自  平成26年6月1日

至  平成27年5月31日)




土木

57,888

52,850

110,738

40,147

70,591

建築

57,429

63,568

120,997

60,167

60,829

小計

115,317

116,418

231,735

100,315

131,420

開発事業等

110

2,300

2,410

2,344

66

合計

115,427

118,718

234,146

102,659

131,486

当事業年度

(自  平成27年6月1日

至  平成28年5月31日)




土木

70,591

41,249

111,841

51,835

60,005

建築

60,829

61,529

122,359

56,897

65,462

小計

131,420

102,779

234,200

108,732

125,467

開発事業等

66

1,814

1,880

1,810

69

合計

131,486

104,593

236,080

110,543

125,537

 

(注) 1.前事業年度以前に受注したもので、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含んでおります。したがって、当期売上高にもかかる増減額が含まれております。また、前事業年度以前に外貨建で受注したもので、当事業年度中の為替相場により請負金額に変更のあるものについても同様に処理しております。

2.当期受注高のうち海外工事の割合は前事業年度6.7%、当事業年度5.5%であります。そのうち主なものは次のとおりであります。

    当事業年度  請負金額10億円以上の主なもの

 

吉田建築股份有限公司

水緑清翫住宅新築工事

 

Lend Lease Singapore Pte Ltd

Paya Lebar Central 地下工事

 

 

 

(2) 受注工事高の受注方法別比率

工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

(自  平成26年6月1日

至  平成27年5月31日)

土木

37.4

62.6

100

建築

60.6

39.4

100

当事業年度

(自  平成27年6月1日

至  平成28年5月31日)

土木

35.9

64.1

100

建築

57.2

42.8

100

 

(注) 百分比は請負金額比であります。

 

 

(3) 売上高

期別

区分

国内

海外

合計
(B)
(百万円)

官公庁
(百万円)

民間
(百万円)

(A)
(百万円)

(A)/(B)
(%)

前事業年度

(自  平成26年6月1日

至  平成27年5月31日)




土木

25,346

14,801

-

-

40,147

建築

12,832

38,426

8,908

14.8

60,167

小計

38,178

53,227

8,908

8.9

100,315

開発事業等

50

2,293

-

-

2,344

38,229

55,521

8,908

8.7

102,659

当事業年度

(自  平成27年6月1日

至  平成28年5月31日)




土木

32,406

19,194

234

0.5

51,835

建築

10,611

41,096

5,189

9.1

56,897

小計

43,017

60,290

5,424

5.0

108,732

開発事業等

12

1,797

-

-

1,810

43,030

62,088

5,424

4.9

110,543

 

(注) 1.海外工事の国別割合は以下のとおりであります。

国名

台湾

シンガポール

前事業年度(%)

60.3

39.7

100

当事業年度(%)

43.0

57.0

100

 

 

2.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。

     前事業年度  請負金額10億円以上の主なもの

      環境省             平成25年度(平成24年度繰越)南相馬市除染等工事

      富士電機株式会社        木曽岬干拓地メガソーラー土木工事

      愛知県名古屋市         吉根中新築工事

      三菱地所レジデンス株式会社   ザ・パークハウス武蔵野中町新築工事

      大和リース株式会社       浜見平地区複合施設整備事業

     当事業年度  請負金額10億円以上の主なもの

      環境省             平成25年度南相馬市除染等工事(その2)

      国土交通省東北地方整備局    国道45号飯野道路改良工事

      三菱地所レジデンス株式会社   ザ・パークハウス文京江戸川橋新築工事

   社会福祉法人鳴瀬会       特別養護老人ホーム「すみた荘」新築工事     

   九州おひさま発電株式会社    日置市養母発電所建設工事(土木工事)

 

3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。

   前事業年度

   環境省             18,027百万円(18.0%)

   当事業年度

   環境省             21,493百万円(19.4%)

 

 

(4) 繰越高(平成28年5月31日現在)

区分

国内

海外

合計
(B)
(百万円)

官公庁
(百万円)

民間
(百万円)

(A)
(百万円)

(A)/(B)
(%)




土木

46,606

13,398

-

-

60,005

建築

17,263

39,812

8,386

12.8

65,462

小計

63,870

53,210

8,386

6.7

125,467

開発事業等

4

64

-

-

69

63,875

53,275

8,386

6.7

125,537

 

繰越工事のうち請負金額10億円以上の主なもの

 

中日本高速道路株式会社 

 

新東名高速道路 秦野インターチェンジ工事

 

株式会社日立製作所電力システム社

 

新見哲多 土木工事

 

千葉県船橋市

 

(仮称)船橋市立船橋高等学校第3体育館新築工事

 

生活協同組合連合会コープネット事業連合

 

コープネット新野田流通センター(仮称)新築工事

 

JFEエンジニアリング株式会社

 

岩国市ごみ焼却施設整備運営事業(土木建築工事)

 

 

 

3 【対処すべき課題】

今後の建設業界におきましては、公共投資は減少傾向が続くとみられますが、民間投資は緩やかな増加基調が続き、また、東京オリンピック・パラリンピック関連施設、大型再開発、リニア中央新幹線工事などの本格化により建設投資全体は中期的には堅調に推移すると予想されます。

一方、労務、資機材の逼迫による建設コストの再高騰が懸念されており、今後も経営環境は予断を許さない状況が続くものと思われます。

このような状況のもと、当社は中期経営計画(平成26年度~平成28年度)に基づき”強い優良な企業”を目指し、以下の重点施策に取り組んでまいります。

・土木・建築事業は、施工技術の合理化によるブランド力の再構築と業務イノベーションの追及による生産性向上を図る。

・関連事業は、保有不動産の有効活用、土木・建築事業とのコラボレーションにより新たなストックビジネスを展開する。

・海外事業は、既存市場における収益確保のための体制整備と新市場における新たなビジネスモデルを構築する。

そして人材育成制度・プログラムの整備と評価制度との体系化により”強い社員”を育成し、これらの重点施策を推進することにより、企業価値のさらなる向上に努めてまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

また、文中将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 建設市場の動向

国内外の景気後退等により、建設市場が著しく縮小した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 取引先の信用リスク

建設業は、一取引における請負金額が多額であり、また、支払条件によっては、工事代金の回収に期間を要する場合があります。このような状況において、取引先に関する厳格な審査の実施や信用不安情報の早期収集など、可能な限り信用リスク回避の方策を講じておりますが、万一、発注者、協力会社、共同施工会社の信用不安などが顕在化した場合、資金の回収不能や施工遅延を引き起こし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 資材価格の高騰

工事用資材の価格が高騰した際、請負金額に反映することが困難な場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 施工物の瑕疵

継続的な施工教育の実施や、ISOなどの品質管理手法を活用した施工管理の徹底により、品質管理には万全を期しておりますが、万一施工物に関する重大な瑕疵があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 建設活動に伴う事故

建設事業は、作業環境や作業方法の特性から危険を伴うことも多く、他の産業に比べ事故発生率が高くなっております。工事着手にあたり施工計画を策定し、安全な作業環境を整え施工しております。また、徹底した安全教育の実施、危険予知活動や安全パトロールなどの災害を撲滅するための活動を実施しております。しかしながら、万一、人身や施工物などに関わる重大な事故が発生した場合、業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 資産保有リスク

営業活動の必要性から、有価証券・不動産等の資産を保有しておりますが、時価の変動により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)海外事業に伴うリスク

海外工事について、予期しない法律、規制、政策の変更、テロ紛争、伝染病等が発生した場合や、経済情勢の変化に伴う工事の縮小、延期等が行われた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、外貨建ての資産・負債を有しているため、為替レートの変動により為替差損が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 法的規制

建設事業の遂行は、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、国土利用計画法、都市計画法、独占禁止法等により多数の法的規制を受けております。そのため、これら法律の改廃や新たな法的規制の新設、適用基準の変更等によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 災害リスク

地震等の天災、人災等が発生したことにより、事業継続に深刻な支障をきたした場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 情報セキュリティ

事業活動を通して得た取引先の情報や、営業上・技術上の機密情報などの管理については、情報の取扱い等に関する規定類の整備・充実や従業員等への周知・徹底を図るなど、情報セキュリティを強化しております。しかしながら、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルスの侵入等による情報流出、重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、信用が低下し、影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

特記事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、現場施工に密着した技術あるいは工事受注に有効な差別化技術の開発に積極的に取り組んでいることが特徴であります。

当連結会計年度の研究開発費は348百万円であり、セグメント別の内訳は土木事業273百万円、建築事業74百万円であります。主な研究開発成果は以下のとおりであります。

 

(土木事業)

(1) CIM(Construction Information Modeling)による設計施工管理技術

生産性の向上、品質の確保等を目的として、設計・提案・施工・管理の効率化や高精度化を実現した次世代施工技術の開発を進めております。具体的には、土工事における調査・測量、設計、施工、維持管理という生産工程において、CIM、ICT(Information and Communications Technology)を活用し、高効率かつ高精度の施工を行い、施工工程で得られた電子情報をシームレスに共有する事を目指しております。UAV(Unmanned Aerial Vehicle)による航空測量技術の活用を進めるとともに社員の技術習得を進めております。

 

(2) 不良土改良技術

東日本大震災後、資源循環型社会形成が強く望まれる社会的ニーズより、地盤改良分野においては、従来の施工技術では改良が困難な建設副産物を再資源材として利用する機運が高まっており、これまでは適正に処分されていた建設副産物をも資源として活用する地盤改良技術が期待されております。

当社は、東日本大震災以前から資源循環型社会形成を背景として、当社保有技術の回転式破砕混合工法を主に適用した独自技術の開発に取り組んでおります。平成16年には、公益社団法人日本材料学会から「ツイスター工法(回転式破砕混合工法)を用いた遮水土の製造技術」(第2回変更・平成27年5月)として技術認証を受けております。また、平成19年5月には同学会より「平成18年度技術賞」を、NPOリサイクルソリューションから「利用促進賞」を、リデュース・リユース・リサイクル推進協議会(3R推進協議会)からは「国土交通大臣賞」及び「会長賞」を受賞するなど、技術的優位性の評価を多方面から受けております。本工法の施工実績は既に460万立方メートルを超えており、適用実績も各種建設発生土の有効利用、遮水混合土の製造、汚染土壌の浄化、各種副産物の再資源化と多岐にわたっております。

建設発生土の有効利用については、土砂災害などで河川に堆積した葦地下茎や廃棄物が混在する堆積土を、葦地下茎と廃棄物、それと土砂とに分別し、分別した土砂を築堤材料へと有効利用する技術を応用し、甚大な被害をもたらした東日本大震災で発生した災害廃棄物の復興資材への再生利用について技術検討を行い、災害廃棄物由来の混合土砂や津波堆積物を瓦礫と土砂に分別・処理する復興施工技術として新たな開発を行いました。

この技術は、平成23年12月に開催された公益社団法人地盤工学会主催の震災関連シンポジウムにおいて、優れた地盤改良技術として評価を得て、平成24年に宮城県で圃場に堆積した災害廃棄物由来の土砂の分別・処理工事を受注しました。次いで、平成25年には宮城県、岩手県で粗選別後の災害廃棄物由来の土砂の分別処理や改質処理の工事を受注し、高度な復興施工技術として高い評価を得ました。平成28年5月には復興施工技術の取り組みが評価され、公益社団法人日本材料学会から二度目となる「平成28年度技術賞」を受賞しました。

また、安定的な供給が困難であった高含水比土に対応する地盤改良システムを開発し、北海道にて遊水地掘削高含水比土砂の改良工事を受注し、高い改良効果を発揮して評価を得ております。

回転式破砕混合工法は、これまでの実績が評価され、平成28年5月に国土交通省から「平成28年度 準推奨技術(新技術活用システム検討会議(国土交通省))」に選定されました。これは、国土交通省のホームページ掲載期限(最大10年)後も準推奨技術の名称を使用でき、引き続き推奨技術等専用サイトにて紹介されることから、今後も数多くの工事での採用が期待されます。

今後もソフト、ハード両面からの技術開発を行い、地盤改良、汚染土壌の浄化、各種副産物の再資源化への適用拡大を図っていきます。

 

 

(3) 処分場関連技術

一般廃棄物や産業廃棄物の処分場、放射性廃棄物の処分施設に活用可能な技術として、降雨浸透抑制型覆土(キャピラリーバリア)とベントナイトを用いた遮水ライナーの研究開発を継続しております。

キャピラリーバリアの技術は、元々は放射性廃棄物の処分時の覆土を対象にして開発されたため、数百年を超える長期耐久性と放射性核種の移行抑制性能が求められました。長期耐久性を実現するために、砂、砂利、粘性土という天然材料のみを使用して覆土を設計し、放射性核種の移行を抑制するために、降雨浸透、地下水の吸い上げを同時に抑制する技術として開発されました。キャピラリーバリアは、これまでに6か所の一般廃棄物処分場の閉鎖工事に適用され、平成27年度に受注した同様の工事においても適用が予定されております。また、平成12年に実規模実証試験施設として運用を開始した宮城県蔵王町の実規模土槽では、現在も現位置試験を継続しており、長期の貴重なデータを取得し、耐久性を確認しているとともに、コンサルタント等の視察の場として活用しております。

一般廃棄物処分場では、ベントナイトを用いた遮水ライナーの実績が増加してきました。当社もツイスター(回転式破砕混合工法)を用いて遮水土を製造する事で、コスト削減、品質安定性を同時に実現できるようになりました。現地発生土やベントナイト原鉱石の利用でコスト削減を図り、ツイスター(回転式破砕混合工法)の連続品質管理システムを用いて品質の安定性を実現しております。現在は、放射性廃棄物の処分施設を対象として、更に透水係数の低い遮水土の製造を目指した開発を実施しております。そして、平成27年5月には、公益社団法人日本材料学会の「ツイスター工法(回転式破砕混合工法)を用いた遮水土の製造技術」の第2回更新において、透水係数が1.0×10-10m/sまでの材料製造技術の認証を受けました。更に、長期の耐久性を有するCa型ベントナイトを用いた遮水土の製造方法等の開発にも取り組んでおります。一方で、地盤工学会「低透水性土質材料の活用と性能評価技術に関する研究委員会」に参加し、遮水土の性能評価方法について研究を実施しております。

 

(4) 石炭灰有効利用技術

東日本大震災により被災したインフラの復旧や沈下地盤の復旧、防潮堤や防災緑地等の津波多重防御の構築などに大量の土砂が必要となり、福島県、宮城県内では多量の土砂が不足すると見込まれております。その代替品として、石炭灰混合材料の有効活用が期待されております。

当社では、沖縄電力株式会社と開発してきた頑丈土破砕材の技術をベースとして、配合範囲の拡大や処分場に堆積している既成灰の利用によって、石炭灰混合材料を大量・安定的に提供すべく、技術開発を進めております。具体的には以下の課題を実施しております。

①製造設備システムの高度化・最適化

・全体設備能力の拡大

・配合の多様化に対応するプラント構成機器計画

・プラント運転管理技術の開発

②石炭灰混合材料製造技術の向上

・石炭灰微量物質の溶出特性・不溶化機構の研究(秋田大学と共同研究)

③品質管理技術の開発

・簡易分析方法の開発と適用

 

(5) リニューアル技術

当社技術である高性能陰イオン交換物質とADOXのエポキシ樹脂コンクリート補修製品を混和した、防錆性能を有するハイブリット製品の開発を行っております。その性能については、これまでの基礎試験結果から確認されておりますが、更なる検証試験を実施するにあたり、コンクリート材料やエポキシ樹脂に関する研究実績を持つ東海大学工学部土木工学科・伊達教授との共同研究を継続しております。

 

 

(6) ADOX工法

ADOX工法は2液無溶剤型のエポキシ樹脂接着剤を使用した構造物補修・補強工法であります。本工法に関連した事業強化のため、平成13年10月に日本アドックス株式会社を設立し、構造物診断から接着剤の製造・販売及び施工まで一貫したシステム作りに取り組んでおります。一般的なエポキシ樹脂の施工環境温度が5℃以上であるのに対して、5℃以下の低温下での施工を可能にし、また、施工技術の機械化を確立することにより、ダムや高速道路等に広く採用されております。

平成23年7月には、技術名称「寒冷地用エポキシ樹脂コンクリート補修材ADOX1380W」として、NETIS(国土交通省の新技術情報提供システム)登録を完了しております。本材料は、平成24年10月から平成28年3月までの期間で開始された、国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所のほかに当社を含む材料メーカー6社との共同研究「コンクリートのひび割れ注入・充填後の品質評価及び耐久性に関する研究」の試験材料に取り上げられております。なお、本共同研究は追加試験などの実施により平成29年3月までとなり、1年間延長されております。

新たな市場として、道路橋コンクリート床版の耐久性向上に取り組んでおり、昨年度に引き続き本年度も北海道等の寒冷地を中心に、また、近畿地方においても「ADOX床版防水工法」の採用が増えております。また、樹脂系あと施工アンカーへの適用に関し、太陽光発電関連の工事等で採用が増えております。厨房や食品工場等のリニューアルでは、使用材料として速硬性や耐荷重性、耐熱性のほかに抗菌性も求められております。ADOXの代表的な製品4種類の抗菌性について評価し、高い抗菌性を有することを確認しております。今後、抗菌性を新たな機能としてPRするとともに、抗カビ性についても評価していく予定であります。更なる市場開拓として、他製品のNETIS登録を進めるとともに、新製品の開発や炭素繊維シート補強への適用を目指した取り組みも継続しております。

 

(7) イオン吸着剤

高性能イオン交換物質を利用した、環境、医薬、触媒、各種添加剤等への応用が期待できる技術開発を実施しております。これまで、基本性能の把握、製造加工技術、再生技術等の研究開発を実施し、ハイブリット吸着剤の開発を進めており、優れた吸着性能を持つことを確認しております。

更に、高度水処理システムや井戸水浄化等の環境分野、添加剤の産業分野などへの用途開発を進めております。また、生体関連物質の吸着や脱臭効果も確認しており、新たな用途開発に向けて研究開発を行っております。

 

(8) 除染関連技術

東日本大震災以降、内閣府除染モデル実証事業、環境省南相馬市拠点除染業務を通じて、除染関連技術の開発を行い、それらの技術を用いて環境省南相馬市本格除染工事を施工しております。

現在は、主に中間貯蔵施設を対象とした技術開発を実施しております。具体的には、処分容器を兼ねた高耐久性保管コンクリート容器の製作技術、Na型ベントナイトを用いた高性能な遮水土の製造技術等の開発を継続しております。

 

 

(9) 機械化技術

当社保有技術をベースとした機械施工の実施において、品質向上、コスト低減、安全性向上を目的に機械システムの開発・改良を行っております。また、新たな工法等に関連した機械技術の開発の取り組みに対しては、試験機の検討、試験実施を行っております。

①ツイスター(回転式破砕混合工法)の高度化

 施工の効率化、安全性の向上、新技術への対応を目標に下記内容についての開発を進めております。

・大量・連続施工を目指した能力アップ、耐摩耗対策

・自走式ツイスター(回転式破砕混合工法)の大型化、付帯設備の簡易移動システムの検討

②ICT、情報化施工技術の開発

 独自性、技術の差別化を目標に、下記内容について取り組み、成果をあげております。

・CIM導入に向けた、UAVによる航空測量技術の取得・応用の検討

・ICT建機の現場実証試験

・現場設備のICT化に関する技術開発

③自動化・ロボット化に関する研究開発

無人化施工とICTの連携を見据え、様々な現場作業における自動化・ロボット化の適用性について調査・検討を行っております。

④シールド・トンネル施工技術の研究開発

 独自性、技術の差別化を目標に、下記内容について取り組み、成果をあげております。

・長距離シールド施工対応技術の開発

・シールド掘削土量管理システムの開発

⑤傾斜地におけるメガソーラ設置工法の開発

 傾斜地にメガソーラを設置する新しい工法の開発に取り組み、成果をあげております。

 

(10) トンネル技術の高度化

トンネル関連の施工技術を調査・検証・開発を行い、実際に現場へ適用することで効果・問題点を明確にすることができ、成果をあげております。また、トンネルに関する社員の技術力向上に向けた活動を行っております。

①新技術のノウハウを取得し、トンネル技術力の向上を図る

・表層品質管理手法(透気係数:トレント法、表面吸水試験:SWAT等)の実施

・LHT(Lining concrete Humidity・Thermal sheet)シートによる養生効果の検証

・簡易な養生管理手法の実証

②トンネル掘削ズリの迅速な重金属含有確認技術の向上

 

 

(建築事業)

(1) 生産性向上技術

①CFT造(コンクリート充填鋼管構造)技術

鋼管とコンクリートを組み合わせた複合構造により、型枠や鉄筋施工を削減し、工期短縮できるCFT造の施工技術ランクを取得しました。更に適用範囲拡大のために、コンクリート強度を高くした実験など技術的な蓄積を行い、都市部の高層建物や商業施設などの受注拡大を図っております。

②柱RC造・梁S造(混合構造)技術

RC造とS造の長所を活かし、柱梁接合部を単純化することで、建物の大スパン化、省力化、工期短縮、低コスト化する技術開発に取り組んでおります。主に物流センターなど大スパン構造物への適用を図っております。

③IT活用技術

BIM(Building Information Modeling)の設計、施工への活用を進め、建設プロセスにおける品質や性能の向上、省力化を図っております。また、施工現場における業務効率を改善し、質の高い施工管理を目指すなど、建築技術と情報技術の融合化を推進しております。

 

(2) 施工品質向上技術

①環境負荷低減コンクリート

石炭火力発電所の副産物である石炭灰を加熱改質したコンクリート混和材(CfFA)を活用した技術開発を推進し、コンクリート構造物の高耐久化や長寿命化、そして資源の有効活用やCO2削減を図っております。本技術開発は、大分大学と共同研究で取り組んでおります。

②コンクリート品質向上技術

充填センサーや透明型枠を利用したコンクリート打設管理、スマートセンサ型枠によるコンクリート強度の推定、LHTシートによるコンクリートの保温・保湿養生、高強度・高流動コンクリートの実機試験等を通じて高品質なコンクリート技術の確立に取り組んでおります。

 

(3) 免震・振動技術

①低床免震システム

仕上高さ200mm、メンテナンスフリーで高性能な「低床免震システム」は、消防署の通信指令室やエネルギー関連の監視制御室、先端技術による微細加工装置など、地震に対して最高レベルの安全性が要求される用途で、多くの導入実績をあげております。現在、業界初となる第三者機関の任意評定を受審中であります。

②長周期地震・大変位対応の免震装置

長周期・長時間地震動などの想定以上の大きな揺れに対応できる免震装置を大手機械メーカーである株式会社不二越と共同で開発を進めております。これまで困難とされていた高層階や液状化地盤に立地する建物などの機器免震、床免震にも適用範囲の拡大が図られ、地震に対する安全性の確保、並びに安全余裕度の向上を目標としております。

③振動台設備の活用

技術センター保有の3次元大型振動台を活用して、大学や企業などの研究機関から様々な振動試験を受託しております。これらの実験、試験、検証による耐震・制振・免震技術のノウハウは、建築物件への適用や技術開発への展開を可能にするとともに、安心・安全な社会基盤や生活環境の構築にも大いに貢献しております。

 

(4) 建物再生技術

スクラップ&ビルドの時代が終わり、資産の有効活用が注目される中、地震対策技術をベースに低コスト、資産価値向上の実現を図るソリューション技術「DRESS」を展開。建物・耐震診断をはじめ、耐震補強、内外装設備のリニューアル・リノベーション技術の研究開発に取り組んでおります。

特に的確な診断が求められる躯体調査では、直径20mmの小さなサンプルでコンクリートの劣化度・強度を判定できる「ソフトコアリング」や耐震補強工事で無振動、無粉塵、無騒音を可能にする接着ブレース工法や炭素繊維補強工法など、建物の状況や条件に合わせた建物再生技術の充実化を図っております。

 

 

(5) 省エネルギー・最適環境技術

持続可能な循環型社会に適した建築物を目指し、省エネルギーや長寿命化など設備・環境技術の開発に取り組んでおります。特に省エネ・環境診断で、赤外線カメラを利用した結露測定や気流・温熱解析ソフトによる室内環境の見える化(定量的評価手法)は、既存建物の環境条件をより的確に検証できる技術で、様々な用途分野の活用が期待されております。また、食品工場エンジニアリングではグローバルスタンダードであるFSSC22000等の規格・認証に対応するため、建設の観点から異物混入や虫の侵入、カビの発生等を防ぐサニテーション技術を整備し、食品工場における安全衛生環境の実現を追求しております。

 

(6) 植物工場

植物工場は密閉された空間において植物を栽培する際に、光、温度、湿度、CO2濃度等の環境をコントロールして野菜等を育成するものであり、いわゆる4定(定時、定量、定品質、定価格)、食の安心・安全の観点から多方面において注目を浴びております。とりわけ、東北地方においては、福島第一原発の事故による放射能対応、被災地の復興・雇用促進を目的として、多くの導入が計画されております。

このような現状に対して当社では、平成26年5月に技術センター管理棟屋内に人工光型植物工場の試験プラントを設置しました。ここでは、建設会社として植物工場における環境制御手法を検討するとともに、実際に数種類の葉物野菜を生産して試験的に稼働することにより、室内環境情報や光熱費データの収集など事業化に向けた基礎データの蓄積を行います。具体的には、既に植物工場プラントの製造販売及び生産野菜の販売を行っている株式会社成電工業のプラントを設置し、同社の出口戦略等を参考として事業化に向けた課題(環境コントロール、事業規模、コストなど)の整理を行います。また、技術的にはNPO法人植物工場研究会(理事長:古材豊樹千葉大名誉教授)に参加することで、千葉大学から指導を受けるとともに、関連企業からの情報収集も行っております。

前期までに植物工場を運営する上でのランニングコストの算出、環境制御手法やプラント管理などの問題の提起を終えております。今期は主に、付加価値の高い高機能野菜の一種である低カリウムレタスなどの栽培方法について技術を習得しました。また、これまで検討されていない品種の野菜についても低カリウム栽培を試行しており、当社の独自技術として多品種の高付加価値野菜の栽培技術確立を目指しております。

 

(開発事業)

研究開発活動は特段行われておりません。

 

(関係会社)

研究開発活動は特段行われておりません。

 

(その他)

研究開発活動は特段行われておりません。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

(2) 経営成績の分析

①売上高

当連結会計年度の売上高は、1,188億円(前連結会計年度は1,121億円)となりました。

セグメント別の売上高は土木事業が518億円(前連結会計年度は401億円)、建築事業が568億円(前連結会計年度は601億円)、開発事業が11億円(前連結会計年度は17億円)、関係会社が85億円(前連結会計年度は98億円)、その他が5億円(前連結会計年度は2億円)となりました。

②売上総利益

当連結会計年度の売上総利益は、132億円(前連結会計年度は97億円)となりました。

③営業利益

当連結会計年度の営業利益は、60億円(前連結会計年度は31億円)となりました。

セグメント別では、土木事業が53億円(利益率10.3%)、建築事業が36億円(同6.4%)、開発事業が0億円(同5.9%)、関係会社が8億円(同9.6%)の利益、その他が7億円の損失(前連結会計年度は0億円の利益)となりました。

④経常利益

当連結会計年度の経常利益は、支払利息、為替差損、コミットメントライン費用等の営業外費用が、受取利息、受取配当金等の営業外収益を上回ったため、55億円(前連結会計年度は35億円)となりました。

⑤親会社株主に帰属する当期純損益

親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等を考慮し28億円(前連結会計年度は27億円)となりました。

 

(3) 財政状態の分析

①資産の部

当連結会計年度末における流動資産の残高は、709億円で、主なものは、現金預金202億円、受取手形・完成工事未収入金等355億円、未成工事支出金53億円、立替金54億円であります。

固定資産は、207億円で、主なものは、有形固定資産106億円、投資その他の資産99億円であります。

この結果、資産合計は916億円となりました。

②負債の部

当連結会計年度末における流動負債の残高は、421億円で、主なものは、支払手形・工事未払金等179億円、未成工事受入金111億円、預り金61億円であります。

固定負債は、84億円で、主なものは、長期借入金24億円、退職給付に係る負債36億円であります。

この結果、負債合計は505億円となりました。

③純資産の部

当連結会計年度末における純資産の残高は、410億円で、主なものは株主資本390億円であります。また、1株当たり純資産額は、401.73円となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの状況

第2 事業の状況 1業績等の概要 (2) キャッシュ・フローに記載のとおりであります。