第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社は、「わが社はもっと豊かな社会づくりに貢献する」という経営理念を掲げ、技術の更なる研鑽に努めることで、すべてのお客様に信頼され社会から必要とされる企業集団を目指しております。

当面の経営環境は、国内需要が底堅さを維持する見通しから堅調に推移すると思われますが、長期的には人口減少や社会資本の充実などから市場は縮小することが避けられない状況にあり、加えて、建設技術者や技能労働者の不足とともに働き方改革への取り組みが求められています。

このような経営環境を踏まえた成長戦略に対応し持続的成長を実現していくため、当社グループは平成29年度を初年度とした「第89期~第91期グループ中期経営計画」を推進しております。

計画初年度である第89期より、土木事業では当社グループの総合力を生かして競合の少ない国内・海外市場にEarth Movingなど当社グループ独自のノウハウを活用して取り組むとともに、関連事業部門との連携による環境エネルギー分野や土地開発事業参加型による工事受注を進めております。建築事業では生産性向上による競争力強化の柱となる超高層建築工事の第一弾が引渡を完了し、他に3件を施工しております。関連事業においては保有土地に50MWの太陽光発電所や共同事業による大型物流施設を第92期から稼働する計画で準備を進めております。また管理部門の基幹システムの刷新を軸とした生産性を高める改革に着手しております。

 

  「第89期~第91期グループ中期経営計画」要旨

 ビジョン:安定して強く優良な企業に向けた実力の形成

 経営戦略:あらゆるステージでの業務イノベーションを追求

      ・・・一人当たりの生産性向上・・・

 ・土木事業 土にこだわる「Earth Moving」ブランドの構築とトップランナーへ

 ・建築事業 お客様にメリットを提供する総合技術力の向上

 ・関連事業 高い資産効率に繋がる不動産開発と保有不動産の有効活用

 ・経営基盤 経営戦略機能の強化、利益生産性を向上する働き方改革の推進

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 建設市場の動向

国内外の景気後退等により、建設市場が著しく縮小した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 取引先の信用リスク

建設業は、一取引における請負金額が多額であり、また、支払条件によっては、工事代金の回収に期間を要する場合があります。このような状況において、取引先に関する厳格な審査の実施や信用不安情報の早期収集など、可能な限り信用リスク回避の方策を講じておりますが、万一、発注者、協力会社、共同施工会社の信用不安などが顕在化した場合、資金の回収不能や施工遅延を引き起こし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 資材価格の高騰

工事用資材の価格が高騰した際、請負金額に反映することが困難な場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 施工物の瑕疵

継続的な施工教育の実施や、ISOなどの品質管理手法を活用した施工管理の徹底により、品質管理には万全を期しておりますが、万一施工物に関する重大な瑕疵があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 建設活動に伴う事故

建設事業は、作業環境や作業方法の特性から危険を伴うことも多く、他の産業に比べ事故発生率が高くなっております。工事着手にあたり施工計画を策定し、安全な作業環境を整え施工しております。また、徹底した安全教育の実施、危険予知活動や安全パトロールなどの災害を撲滅するための活動を実施しております。しかしながら、万一、人身や施工物などに関わる重大な事故が発生した場合、業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 資産保有リスク

営業活動の必要性から、有価証券・不動産等の資産を保有しておりますが、時価の変動により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)海外事業に伴うリスク

海外工事について、予期しない法律、規制、政策の変更、テロ紛争、伝染病等が発生した場合や、経済情勢の変化に伴う工事の縮小、延期等が行われた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、外貨建ての資産・負債を有しているため、為替レートの変動により為替差損が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 法的規制

建設事業の遂行は、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、国土利用計画法、都市計画法、独占禁止法等により多数の法的規制を受けております。そのため、これら法律の改廃や新たな法的規制の新設、適用基準の変更等によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 災害リスク

地震等の天災、人災等が発生したことにより、事業継続に深刻な支障をきたした場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 情報セキュリティ

事業活動を通して得た取引先の情報や、営業上・技術上の機密情報などの管理については、情報の取扱い等に関する規定類の整備・充実や従業員等への周知・徹底を図るなど、情報セキュリティを強化しております。しかしながら、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルスの侵入等による情報流出、重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、信用が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度における我が国経済は、堅調な内外需要により企業収益が改善する中、設備投資の増加や雇用情勢の改善などによる景気の緩やかな回復が続きました。

建設業界におきましては、住宅着工は弱い動きとなったものの、企業の建設投資は工場、物流施設、土木インフラなどを中心に緩やかながら増加したほか、政府建設投資も堅調に推移し、全体的に安定した収益環境が継続しました。

当連結会計年度における当社グループの連結業績につきましては、売上高は前年同期比7.8%増1,175億79百万円(前連結会計年度は1,091億17百万円)となり、営業利益は工事採算性の向上等により、前年同期比110.0%増156億69百万円(前連結会計年度は74億60百万円)、経常利益は過年度消費税等、支払利息、コミットメントライン費用等の営業外費用が、受取利息、受取配当金等の営業外収益を上回ったため、前年同期比112.2%増153億30百万円(前連結会計年度は72億24百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等を考慮し前年同期比179.9%増102億62百万円(前連結会計年度は36億67百万円)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。(セグメントの経営成績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。)

当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。以下の前連結会計年度との比較については、前連結会計年度の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較しております。報告セグメントの変更については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に詳細を記載しております。

①土木事業

震災復興関連工事の順調な工事進捗等により、土木事業の売上高は534億7百万円(前年同期比23.2%増)であり、売上総利益率が改善したこと等により、セグメント利益は113億29百万円(前年同期比522.3%増)となりました。

②建築事業

複数の大型プロジェクトが竣工を迎えたこと等により、建築事業の売上高は480億20百万円(前年同期比11.0%減)であり、セグメント利益は22億96百万円(前年同期比52.9%減)となりました。

③関連事業

再生可能エネルギー事業の売上高の増加等により、関連事業の売上高は18億93百万円(前年同期比26.5%増)であり、セグメント利益は51百万円(前連結会計年度は5億12百万円のセグメント損失)となりました。

④関係会社

連結子会社である国土開発工業株式会社の売上高の増加等により、関係会社の売上高は164億17百万円(前年同期比42.1%増)であり、セグメント利益は26億55百万円(前年同期比74.8%増)となりました。

 

地域ごとの業績は次のとおりであります。

①日本

日本国内での売上高は1,110億59百万円であり、セグメント利益は158億88百万円となりました。

②アジア

アジアにおける売上高は65億19百万円であり、セグメント損失は2億19百万円となりました。

 

 

 生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。

なお、当社グループでは生産実績を定義することが困難なため、「生産の状況」は記載しておりません。

 

① 受注実績

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

当連結会計年度

(自  平成29年6月1日

   至  平成30年5月31日)

土木事業

67,060

28.5

建築事業

55,493

11.8

関連事業

1,719

29.8

関係会社

10,956

1.5

合計

135,229

18.7

 

(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

② 売上実績

セグメントの名称

売上高(百万円)

前年同期比(%)

当連結会計年度

(自  平成29年6月1日

   至  平成30年5月31日)

土木事業

53,407

23.2

建築事業

48,020

△11.0

関連事業

1,716

29.2

関係会社

14,435

37.8

合計

117,579

7.8

 

(注)売上実績においては、「外部顧客への売上高」について記載しております。

       

 

なお、参考のため、提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。

 

提出会社の受注高(契約高)及び売上高の状況

① 受注高、売上高、繰越高

期別

種類別

前期
繰越高
(百万円)

当期
受注高
(百万円)


(百万円)

当期
売上高
(百万円)

次期
繰越高
(百万円)

前事業年度

(自  平成28年6月1日

至  平成29年5月31日)




土木

60,005

52,183

112,188

44,603

67,584

建築

65,462

49,648

115,110

53,951

61,159

小計

125,467

101,831

227,299

98,555

128,743

開発事業等

69

1,548

1,618

1,552

65

合計

125,537

103,380

228,917

100,108

128,809

当事業年度

(自  平成29年6月1日

至  平成30年5月31日)




土木

67,584

67,060

134,645

53,407

81,237

建築

61,159

55,493

116,653

48,020

68,632

小計

128,743

122,554

251,298

101,427

149,870

開発事業等

65

2,142

2,208

2,139

68

合計

128,809

124,696

253,506

103,567

149,939

 

(注) 1.前事業年度以前に受注したもので、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含んでおります。したがって、当期売上高にも係る増減額が含まれております。また、前事業年度以前に外貨建で受注したもので、当事業年度中の為替相場により請負金額に変更のあるものについても同様に処理しております。

2.当期受注高のうち海外工事の割合は前事業年度3.8%、当事業年度3.6%であります。そのうち主なものは次のとおりであります。

   

    当事業年度  請負金額10億円以上の主なもの

 

筑豊興業股有限公司

筑豊興業汐止区厚保徳段住宅大楼新築工事

 

 

 

 

② 受注工事高の受注方法別比率

工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

(自  平成28年6月1日

至  平成29年5月31日)

土木

13.9

86.1

100

建築

59.4

40.6

100

当事業年度

(自  平成29年6月1日

至  平成30年5月31日)

土木

18.2

81.8

100

建築

58.0

42.0

100

 

(注) 百分比は請負金額比であります。

 

 

③ 売上高

期別

区分

国内

海外

合計
(B)
(百万円)

官公庁
(百万円)

民間
(百万円)

(A)
(百万円)

(A)/(B)
(%)

前事業年度

(自  平成28年6月1日

至  平成29年5月31日)




土木

31,305

13,298

44,603

建築

9,110

40,018

4,822

8.9

53,951

小計

40,415

53,317

4,822

4.9

98,555

開発事業等

4

1,548

1,552

40,420

54,865

4,822

4.8

100,108

当事業年度

(自  平成29年6月1日

至  平成30年5月31日)




土木

39,683

13,723

53,407

建築

6,022

35,478

6,519

13.6

48,020

小計

45,706

49,202

6,519

6.4

101,427

開発事業等

8

2,131

2,139

45,714

51,333

6,519

6.3

103,567

 

(注) 1.海外工事の国別割合は以下のとおりであります。

国名

台湾

シンガポール

前事業年度(%)

47.8

52.2

100

当事業年度(%)

38.5

61.5

100

 

 

2.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。

     前事業年度  請負金額10億円以上の主なもの

 

国土交通省中部地方整備局

平成26年度 東海環状小洞トンネル工事

 

積水ハウス株式会社

合同会社クリーンソーラーパワー造成、基礎・架台設置、パネル設置工事

 

伊藤忠都市開発株式会社・三井不動産レジデンシャル株式会社・株式会社ユニハイムエステート

(仮称)宝塚湯本町計画 新築工事

 

生活協同組合コープみらい

コープみらいコープ新高倉店(仮称)新築工事

 

野村不動産株式会社

(仮称)宮崎6丁目計画新築工事

 

     当事業年度  請負金額10億円以上の主なもの

 

国土交通省東北地方整備局

国道45号樫内地区トンネル工事

 

埼玉県さいたま市

芝川第8処理分区下水道工事(北建-26-85)

 

東京電力株式会社

福島第一原子力発電所 フェーシング工事(北側エリア)

 

千葉県船橋市

(仮称) 船橋市立船橋高等学校第3体育館新築工事

 

株式会社プレサンスコーポレーション

プレサンスレジェンド堺筋本町タワー新築工事

 

 

3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。

   前事業年度

   環境省             17,425百万円(17.4%)

   当事業年度

   環境省             22,768百万円(22.0%)

 

 

④ 繰越高(平成30年5月31日現在)

区分

国内

海外

合計
(B)
(百万円)

官公庁
(百万円)

民間
(百万円)

(A)
(百万円)

(A)/(B)
(%)




土木

68,254

12,983

81,237

建築

12,733

50,384

5,514

8.0

68,632

小計

80,988

63,367

5,514

3.7

149,870

開発事業等

5

63

68

80,993

63,430

5,514

3.7

149,939

 

繰越工事のうち請負金額10億円以上の主なもの

 

独立行政法人水資源機構

 

川上ダム本体建設工事

 

大阪広域水道企業団

 

送水管布設工事(千里幹線バイパス管・吹田市ほか)3工区

 

野村不動産株式会社

 

(仮称) 愛川町中津物流施設計画

 

関電不動産開発株式会社、

住友商事株式会社、

パナソニックホームズ株式会社

 

(仮称) 中央区高津PJ新築工事

 

角文株式会社

 

刈谷銀座AB地区プロジェクト

 

 

(2) 財政状態

①資産の部

当連結会計年度末における流動資産の残高は、824億60百万円で、主なものは、現金預金399億43百万円、受取手形・完成工事未収入金等266億89百万円、未成工事支出金32億6百万円、立替金68億75百万円であります。

固定資産は、392億81百万円で、主なものは、有形固定資産210億9百万円、投資その他の資産181億39百万円であります。

この結果、資産合計は1,217億42百万円となりました。

②負債の部

当連結会計年度末における流動負債の残高は、593億72百万円で、主なものは、支払手形・工事未払金等163億70百万円、未成工事受入金230億96百万円、預り金66億72百万円であります。

固定負債は、121億88百万円で、主なものは、長期借入金78億44百万円、リース債務18億89百万円であります。

この結果、負債合計は715億61百万円となりました。

③純資産の部

当連結会計年度末における純資産の残高は、501億80百万円で、主なものは株主資本473億71百万円であります。また、1株当たり純資産額は、708.61円となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益153億66百万円の計上並びに売上債権の減少31億51百万円、未成工事支出金の減少26億7百万円等の収入要因が、立替金の増加40億25百万円、法人税等の支払額40億54百万円、仕入債務の減少39億82百万円等の支出要因を上回り、93億86百万円の収入超過(前連結会計年度は275億98百万円の収入超過)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出42億61百万円、投資有価証券の取得による支出22億63百万円等により、62億18百万円の支出超過(前連結会計年度は117億10百万円の支出超過)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出25億75百万円、自己株式の取得による支出19億88百万円等により、43億61百万円の支出超過(前連結会計年度は40億14百万円の収入超過)となりました。

以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、399億43百万円(前連結会計年度末は411億49百万円)となりました。

 

 (資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工事の完成に要する外注費等の工事費や人件費等の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものであります。

これらの資金は、自己資金及び金融機関からの借入により調達しております。

なお、当社グループは運転資金の効率的な調達を行うため、総額67億99百万円の当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

特記事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、自動化・省力化など生産性を向上する差別化技術及び現場施工に密着した技術に積極的に取り組んでいることが特徴であります。

当連結会計年度の研究開発費は4億99百万円であり、セグメント別の内訳は土木事業4億28百万円、建築事業70百万円であります。主な研究開発成果は以下のとおりであります。

 

(土木事業)

(1) ICT(Information and Communication Technology)省力化技術の開発

省力化、生産性の向上を目的として、ICTの活用を進めております。当期は以下のテーマについて実施しております。

①ICTを利用したスクレーパのインテリジェント化

当社保有技術であるスクレーパのインテリジェント化による重機土工の技術革新を目的として、運搬土量管理システムの設計と走行締固め効果の評価を進めております。各種センサーの選定及び現場実証試験を実施し、軌跡管理システムのプロトタイプを完了しております。

②ICTを活用した土工品質管理

土工品質管理の自動化・省力化を目的として、品質管理装置を搭載した自律型走行計測台車の設計を進めております。開発はメーカーと共同で進めており、これまでにプロトタイプの計測台車を製作し、現場にて実証試験を行っております。

③ICT/CIM(Construction Information Modeling)を活用した総合的土工管理手法の開発

土工現場における測量、設計、施工計画及び施工、維持管理に至るすべてのプロセスにおいて、ICT/CIMを全面活用したきめ細かい管理手法の確立を目指しております。3次元モデルにより工事段階中に刻々と変化する現場状況を予測・再現することで、多発、巨大化する台風・豪雨時等の土砂災害リスクをタイムリーかつ適切に評価し、仮設防災計画・対策に直ちに反映させることで、現場内及び周辺地域の安心安全度の向上を図っております。また、国土交通省中国地方整備局のトンネル工事において、CIM要求事項に対しICTを活用した計測システムの導入及び実際の風景にCIMモデルを重ねて見ることのできるMR(Mixed Reality)を用いて、施工検討や顧客満足度の向上に役立てております。

 

(2) 回転式破砕混合工法(ツイスター工法)の高度化

当社保有技術である回転式破砕混合工法について、施工の効率化、独自技術の開発を目標に以下の課題を挙げ、取り組んでおります。

①シールド残土処理対応

大型シールド工事の残土処理を対象としたプラント組込型ツイスターの実用化を目的として、ツイスターの時間処理量拡大に向けた開発を行っております。当期は試験機による能力試験を実施し、従来型のツイスターと同等の品質で処理能力向上が図れることを確認し、実用化に向けた詳細設計を行っております。

②不良土改良技術

競争力向上のための差別化技術の開発を目的として、不良土の改良に伴う品質管理手法、及び添加材料を用いた独自改良手法の検討を行っております。現在は、河川の堤防補強盛土として製造した改良土の「推定モデル(材料評価)」の構築を目指し、回転式破砕混合工法で製造した改良土とバックホウ混合を模擬した改良土の強度・変形特性、及び透水特性について現場ごとのデータを収集し、品質性能を裏付けるモデル化への検討を行っております。

③機能性地盤材料

再生資材の有効利用技術の開発を目的として、再生資材を活用した建設発生土の性状改善効果に関する検討を大学との共同研究で進めております。現在は、長期耐久性について実施した結果の評価を進めております。また、当期はICT/AI対応を視野に入れた管理システムの開発を目指し、使用材料の土質データにより破砕・混合状態を定量的に予測できるシミュレーションについて、大学との共同研究を開始し、小型の回転式破砕混合装置を大学に導入して試験を開始しております。

 

 

(3) トンネル・シールド関連技術

トンネル・シールド関連の施工技術の開発・向上を目的として、関連する施工技術の調査・検証・開発を行い、実際に現場へ適用することで効果・問題点を明確にし、施工技術の開発を進めております。また、社員の教育活動も実施しており、トンネルに関する技術力向上に成果を上げております。当期は以下の課題を挙げ取り組んでおります。

①トンネル関連技術

トンネル切羽崩落事故防止を課題とし、コスト削減及び安全性向上につながる技術の検討に取り組んでおります。

②シールド関連技術

シールドマシンのビット耐摩耗性向上、土量管理の高度化、切羽監視等を課題とし、コスト削減及び安全性向上につながる技術の検討に取り組んでおります。

③小水力発電関連技術

小水力発電における小断面トンネル掘削の効率化を課題とし、コスト削減及び安全性向上につながる技術の検討に取り組んでおります。

 
(4) コンクリート関連技術

コンクリート関連技術として以下の課題を挙げ、開発に取り組んでおります。

①ADOX工法

ADOX工法は2液無溶剤型のエポキシ樹脂接着剤を使用した構造物補修・補強工法であります。一般的なエポキシ樹脂の施工環境温度が5℃以上であるのに対して、本材料は5℃以下の低温下での施工を可能にし、また施工技術の機械化を確立することにより、各種構造物に広く採用されております。

本材料のひとつは、技術名称「寒冷地用エポキシ樹脂コンクリート補修材ADOX1380W」として、NETIS(国土交通省の新技術情報提供システム)に登録済でありますが、加えて、平成28年12月に新材料として、技術名称「寒冷地用軟質系エポキシ樹脂コンクリート補修材コンクレッシブ1510Ⅱ」のNETIS登録を完了致しました。これらの材料は、国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所のほかに当社を含む材料メーカー6社との共同研究「コンクリートのひび割れ注入・充填後の品質評価及び耐久性に関する研究」の試験材料に取り挙げられており、引き続き平成33年3月まで研究の予定であります。

新たな市場として、道路橋コンクリート床版の耐久性向上に取り組んでおり、「ADOX床版防水工法」として、寒冷地である北海道等の北日本を中心に、さらに近畿地方においても採用が増えております。また、昨年度に引き続き、樹脂系あと施工アンカーへの適用として、太陽光発電関連の工事等で採用が増えております。更なる市場開拓として、5℃以下で施工ができる特長を生かした新製品・新工法の開発や、繊維シート補強への適用を目指した取り組みも継続しております。

②リニューアル技術

当社技術である機能性吸着材とADOXのエポキシ樹脂コンクリート補修製品を混和した、塩分吸着性能及び防錆性能を有するハイブリッドエポキシ樹脂製品の開発を行っております。その基本性能については、これまでの基礎試験結果から確認されており、平成29年5月には、技術名称「ハイブリッドエポキシ樹脂」として、新材料のNETIS登録を完了しております。ひび割れ注入工法や他工法への適用を目的とした検証試験を実施するにあたり、コンクリート材料やエポキシ樹脂に関する研究実績を持つ大学との共同研究を継続し、また平成29年6月からは、コンクリート構造物のライフサイクルマネジメントを専門分野とする大学との共同研究を開始しております。平成29年10月には、青森県や西日本高速道路株式会社において試験施工を実施しております。

③高品質コンクリート

高品質コンクリートを製造するための、施工・品質管理に関する新技術の開発を行っております。当期は、スマートセンサを活用したトンネル二次覆工コンクリートの施工・品質管理システムの構築に向け、室内試験や施工現場での実証試験を行いました。また、コンクリートの品質に大きな影響を及ぼす養生方法について、当社が開発したLHTシート(保湿・保温養生シート)の更なる機能向上を目指し、現場実証実験を行っております。また、コンクリート表層品質の改善を目的とした型枠設置タイプの養生シートの開発を進めております。

 

 

(5) 土質・地盤改良技術

土質・地盤改良技術として以下の課題を挙げ、開発に取り組んでおります。

①処分場技術の高度化・合理化

一般廃棄物や産業廃棄物の処分場、放射性廃棄物の埋設施設に活用可能な技術として、降雨浸透抑制型覆土(キャピラリーバリア)とベントナイトを用いた遮水ライナーの研究開発を継続しております。
キャピラリーバリアについては、その設計精度の向上を目的に、上部覆土の性能について調査を行っております。そのため、自然環境下における上部覆土の性能変化を調査するために、施工済みの上部覆土の性能を調査致しました。また、長期間の降雨浸透抑制効果を把握するために、屋外の実規模土槽を用いた実証試験施設にて、平成12年から現位置試験、データの取得を継続しております。

遮水ライナーについては、施工上、有利となるCa型ベントナイトを用いた遮水土を製造することを目的に、実規模を想定した混合機による遮水土の製造試験を行い、基礎データを取得致しました。

②石炭灰有効利用

沖縄電力株式会社と開発してきた頑丈土破砕材の技術をベースとして、石炭灰混合材料を大量・安定的に提供すべく技術開発を進めてまいりました。土砂よりも高品質な砕石代替材として使用できる石炭灰混合材料の製造を目標として、福島エコクリート株式会社の事業化を目指しておりましたが、本研究成果を反映した製造プラントが平成30年3月に完成し、製品の製造に移行しております。事業化に向けた研究開発として、石炭灰収集・分析及び環境安全性確保に対応した配合試験データの集積、その配合や製造方法の検討、製品の物性確認、データの解析手法についてシステムの再構築・改良、実プラントを模擬した試験装置を作成し、製造条件及び品質確認を進めております。大学との共同研究では熱力学的解析とデータ駆動型解析の検証、強度特性、溶出特性の検証を進めております。

③地盤改良技術の高度化

動圧密工法は、埋立地や盛土の支持力増強や液状化対策工法として国内外で豊富な施工実績を有しておりますが、特に海外での技術競争力強化のためICTを活用した施工・品質管理の高度化、省人化を進めております。
 事前混合処理工法(PREM工法)は、当社が開発した砂を対象とした液状化対策工法でありますが、近年は浚渫土、岸壁背面の掘削土等のリサイクル活用が主となっており、粘性土から礫質土にわたる多様な材料を回転式破砕混合機で改良する事例が増えてきております。そこで、多様な材料にも適用できる配合試験方法の見直しが必要であり、そのための基礎データを取得しております。

④土壌・水質改良

工場跡地の土壌汚染対策のほか、大型プロジェクト等で課題となっている自然由来の汚染土への対応技術の開発を進めております。新規不溶化材の開発や現場で実施できる簡易分析技術の確立、汚染土のトリータビリティ試験等を行っております。自然由来汚染土の不溶化技術は大学と共同で開発しております。

 

(6) 機能性吸着材

環境、医薬、触媒、各種添加剤等への用途開発を目的に、機能性吸着材の技術開発を実施しております。これまでに基本性能の把握、製造加工技術等の研究開発を実施し、さらに、高度水処理システム、井戸水砒素処理技術等の環境分野、各種添加剤、脱臭剤等への用途開発を進めております。

 

 

(建築事業)

(1) マンション工事の省力化施工による競争力強化

主にマンション工事の競争力強化を目的とし、工程・工法・省力化に関して検証を実施しながら、全国展開を図っております。

①工程検証

マンション工事現場の躯体工程サイクルの確認検証を、A積算時・B現場着工時・C実施工程の三段階で検証しております。検証結果を工法・技術・職人・検査等の項目で確認し、汎用性のある良い点を中心に全国水平展開し、工期短縮につなげ、生産性の向上を目指しております。

②省力化・工業化の検証

PC化・先組工法・大型パネル工法・既製品利用等の有効性を検証し、設計段階からの取組みを実施して、生産性の向上に取り組んでおります。

大阪の超高層マンション工事では、PC工事の複雑な部分は事前にモックアップを作成及び検証し、要求された品質が確保されていることを確認した上で施工を致しました。

設計施工物件においては、入手段階より設計部門と省力化・工業化の協議を開始し、生産性向上を目指しております。

 

(2) 生産性向上技術

①CFT造(コンクリート充填鋼管構造)技術

鋼管とコンクリートを組み合わせた複合構造により、型枠や鉄筋施工を削減し、工期短縮できるCFT造の施工技術ランクを取得しました。さらに適用範囲拡大のための、コンクリート強度70N/mm2とした実験を実施し、技術的な蓄積を行いました。都市部の超高層ホテル案件にて適用中であり、高層建物や商業施設等の受注拡大を図っております。

②柱RC造・梁S造(混合構造)技術

RC造とS造の長所を活かし、柱梁接合部を単純化することで、建物の大スパン化、省力化、工期短縮、低コスト化する技術開発に取り組んでおります。自社研究施設にて接合部の構造実験を実施し、第三者機関への審査申請を行った結果、第三者機関である一般財団法人ベターリビングの一般評定を取得しました。

この一般評定取得により本技術による設計施工が可能となり、現在、首都圏にて大型物流センターを施工中であります。今後も同様の物流センターや商業施設等の受注拡大を図ってまいります。

③IT活用技術

BIM(Building Information Modeling)の設計、施工への活用を進め、建設プロセスにおける品質や性能の向上、省力化を図っております。また、施工現場における業務効率を改善し、質の高い施工管理を目指すなど、建築技術と情報技術の融合化を推進しております。

 

(3) 施工品質向上技術

①環境負荷低減コンクリート

石炭火力発電所の副産物である石炭灰を加熱改質したコンクリート混和材(CfFA)を活用した技術開発を推進し、コンクリート構造物の高耐久化や長寿命化、そして資源の有効活用やCO2削減を図っております。本技術開発は、大学と共同研究で取り組んでおり、実用化の第一歩として、免震住宅の基礎部分や、首都圏の研究施設に試験的に適用しております。

②コンクリート品質向上技術

充填センサーや透明型枠を利用したコンクリート打設管理、温度ひび割れ対策としての3次元温度応力解析による内部温度・ひび割れ発生確率の推定、各種養生シートによるコンクリートの保温・保湿養生、高強度・高流動コンクリートの実機試験等をとおして高品質なコンクリート技術の確立に取り組んでおります。

 

 

(4) 免震・振動技術

仕上高さ200mm、メンテナンスフリーで高性能な「低床免震システム」は、消防署の通信指令室やエネルギー関連の監視制御室、先端技術による微細加工装置など、地震に対して最高レベルの安全性が要求される用途で、多くの導入実績をあげております。また、本免震システムの安全性、有効性を証明するため、第三者機関である一般財団法人日本建築センターに審査申請を行った結果、床免震システムでは国内初となる一般評定を平成28年10月に取得致しました。

 

(5) 建物再生技術

スクラップ&ビルドの時代が終わり、資産の有効活用が注目される中、地震対策技術をベースに低コスト、資産価値向上の実現を図るソリューション技術「DRESS」を展開しております。建物・耐震診断をはじめ、耐震補強、内外装設備のリニューアル・リノベーション技術の研究開発に取り組んでおります。

特に的確な診断が求められる躯体調査では、直径20mmの小さなサンプルでコンクリートの劣化度・強度を判定できる「ソフトコアリング」工法や耐震補強工事で無振動、無粉塵、無騒音を可能にする接着ブレース工法や炭素繊維補強工法など、建物の状況や条件に合わせた建物再生技術の充実化を図っております。

 

(6) 省エネルギー・最適環境技術

持続可能な循環型社会に適した建築物を目指し、省エネルギーや長寿命化など設備・環境技術の開発に取り組んでおります。特に省エネ・環境診断で、赤外線カメラを利用した結露測定や気流・温熱解析ソフトによる室内環境の見える化(定量的評価手法)は、既存建物の環境条件をより的確に検証できる技術で、様々な用途分野の活用が期待されております。また、食品工場エンジニアリングではグローバルスタンダードであるFSSC22000等の規格・認証に対応するため、建設の観点から異物混入や虫の侵入、カビの発生等を防ぐサニテーション技術を整備し、食品工場における安全衛生環境の実現を追求しております。

 

(7) タブレットを活用した現場支援システムの実用化

タブレットを現場施工管理に活用する事により、業務の効率化・省力化・ペーパーレス化を図っております。また、労働時間の短縮及び、出来高生産性の向上を目指しております。

タブレットの利用目的は、配筋検査及び写真・仕上げ検査及び写真・各種工程内検査及び写真・簡易連絡メモ、各種会議対応としており、当社独自のカスタマイズを行っております。

現在、数現場で試用中でありますが、この期間で現場社員の利便性・システムの内容や改良・ハード面の整備等を確認しており、平成31年6月からの全国の現場に対する展開・普及を目指し取り組んでおります。

 

(関連事業)

研究開発活動は特段行われておりません。

 

(関係会社)

福島エコクリート株式会社

①石炭灰混合材料の環境安全性の確保を目的に、研究開発で得た知見を基に実機プラント製造時の環境安全 性、製造判定手法の確立、既存の石炭灰に関する情報のデータベースの拡充を進めております。

②実機プラントの安定した製造能力の確保を目的に、製造した製品の評価と製造管理プロセス、既存設備の改善を進めております。

③石炭灰混合材料の市場拡大、競争力強化を目的に、大学との共同研究を継続するだけでなく、他の大学、研究機関との物理的特性、長期安定性の検証も合わせて進めております。