当連結会計年度における我が国経済は、欧州における英国のEU離脱問題、中国やアジア新興諸国の景気の減速、米国の政権交代などにより、先行きに対する不透明感が高まる中にありながらも、企業収益の改善や設備投資に持ち直しの動きが見られるなど全体として緩やかな回復基調を維持しておりました。
建設業界においては、政府建設投資は依然底堅く、また、民間投資においても堅調に推移しており、全体的に安定した収益環境となりましたが、今後は建設技能労働者の不足や資材コストの上昇に注意を要する状況が続くものと思われます。
当連結会計年度における当社グループの連結業績につきましては、売上高は前年同期比8.2%減の1,091億17百万円(前連結会計年度は1,188億75百万円)となり、営業利益は前年同期比22.8%増の74億60百万円(前連結会計年度は60億77百万円)、経常利益は前年同期比30.9%増の72億24百万円(前連結会計年度は55億20百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比27.7%増の36億67百万円(前連結会計年度は28億71百万円)となりました。
また、セグメント別の業績につきましては、以下のとおりであります。
セグメント
土木事業の売上高は433億63百万円(前年同期比16.3%減)であり、セグメント利益は36億72百万円(前年同期比31.3%減)となりました。
建築事業の売上高は539億51百万円(前年同期比5.2%減)であり、セグメント利益は67億15百万円(前年同期比84.2%増)となりました。
不動産の売買、賃貸等による売上高は10億65百万円(前年同期比5.5%減)であり、セグメント損失は4億87百万円(前連結会計年度は64百万円のセグメント利益)となりました。
④関係会社
関係会社の売上高は115億54百万円(前年同期比24.2%増)であり、セグメント利益は14億50百万円(前年同期比76.8%増)となりました。
太陽光の売電事業、建設用資機材の賃貸及び受託業務等による売上高は4億31百万円(前年同期比36.8%減)であり、セグメント損失は84百万円(前連結会計年度は7億29百万円のセグメント損失)となりました。
地域ごとの業績
日本国内での売上高は1,042億94百万円であり、セグメント利益は73億49百万円となりました。
アジアにおける売上高は48億22百万円であり、セグメント利益は2億10百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益59億円に対し、未成工事受入金の増加129億円、売上債権の減少57億円、預り金の増加33億円、立替金の減少25億円等の収入要因が、退職給付に係る負債の減少29億円等の支出要因を上回り、275億円の収入超過(前連結会計年度は42億円の収入超過)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出69億円、投資有価証券の取得による支出49億円等により、117億円の支出超過(前連結会計年度は13億円の支出超過)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入95億円に対し、自己株式の取得による支出30億円、長期借入金の返済による支出18億円等を差し引きし、40億円の収入超過(前連結会計年度は4億円の収入超過)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、411億円(前連結会計年度末は202億円)となりました。
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セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
当連結会計年度 | ||
|
(自 平成28年6月1日 | ||
|
至 平成29年5月31日) | ||
|
土木事業 |
52,183 |
26.5 |
|
建築事業 |
49,648 |
△19.3 |
|
開発事業 |
1,023 |
△8.3 |
|
関係会社 |
10,789 |
3.5 |
|
その他 |
300 |
△42.6 |
|
合計 |
113,945 |
△0.8 |
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
|
セグメントの名称 |
売上高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
当連結会計年度 | ||
|
(自 平成28年6月1日 | ||
|
至 平成29年5月31日) | ||
|
土木事業 |
43,363 |
△16.3 |
|
建築事業 |
53,951 |
△5.2 |
|
開発事業 |
1,030 |
△6.8 |
|
関係会社 |
10,472 |
23.1 |
|
その他 |
297 |
△44.0 |
|
合計 |
109,117 |
△8.2 |
(注)売上実績においては、「外部顧客への売上高」について記載しております。
なお、当社グループでは生産実績を定義することが困難なため、「生産の状況」は記載しておりません。
なお、参考のため、提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
提出会社の受注高(契約高)及び売上高の状況
|
期別 |
種類別 |
前期 |
当期 |
計 |
当期 |
次期 | |
|
前事業年度 (自 平成27年6月1日 至 平成28年5月31日) |
建 |
土木 |
70,591 |
41,249 |
111,841 |
51,835 |
60,005 |
|
建築 |
60,829 |
61,529 |
122,359 |
56,897 |
65,462 | ||
|
小計 |
131,420 |
102,779 |
234,200 |
108,732 |
125,467 | ||
|
開発事業等 |
66 |
1,814 |
1,880 |
1,810 |
69 | ||
|
合計 |
131,486 |
104,593 |
236,080 |
110,543 |
125,537 | ||
|
当事業年度 (自 平成28年6月1日 至 平成29年5月31日) |
建 |
土木 |
60,005 |
52,183 |
112,188 |
44,603 |
67,584 |
|
建築 |
65,462 |
49,648 |
115,110 |
53,951 |
61,159 | ||
|
小計 |
125,467 |
101,831 |
227,299 |
98,555 |
128,743 | ||
|
開発事業等 |
69 |
1,548 |
1,618 |
1,552 |
65 | ||
|
合計 |
125,537 |
103,380 |
228,917 |
100,108 |
128,809 | ||
(注) 1.前事業年度以前に受注したもので、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含んでおります。したがって、当期売上高にも係る増減額が含まれております。また、前事業年度以前に外貨建で受注したもので、当事業年度中の為替相場により請負金額に変更のあるものについても同様に処理しております。
2.当期受注高のうち海外工事の割合は前事業年度5.5%、当事業年度3.8%であります。そのうち主なものは次のとおりであります。
当事業年度 請負金額10億円以上の主なもの
|
|
Evonik Methionine (SEA) Pte Ltd |
Evonik社化学工場拡張工事(Building Works-Package1) |
|
|
|
|
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
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期別 |
区分 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
|
前事業年度 (自 平成27年6月1日 至 平成28年5月31日) |
土木 |
35.9 |
64.1 |
100 |
|
建築 |
57.2 |
42.8 |
100 | |
|
当事業年度 (自 平成28年6月1日 至 平成29年5月31日) |
土木 |
13.9 |
86.1 |
100 |
|
建築 |
59.4 |
40.6 |
100 |
(注) 百分比は請負金額比であります。
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期別 |
区分 |
国内 |
海外 |
合計 | |||
|
官公庁 |
民間 |
(A) |
(A)/(B) | ||||
|
前事業年度 (自 平成27年6月1日 至 平成28年5月31日) |
建 |
土木 |
32,406 |
19,194 |
234 |
0.5 |
51,835 |
|
建築 |
10,611 |
41,096 |
5,189 |
9.1 |
56,897 | ||
|
小計 |
43,017 |
60,290 |
5,424 |
5.0 |
108,732 | ||
|
開発事業等 |
12 |
1,797 |
- |
- |
1,810 | ||
|
計 |
43,030 |
62,088 |
5,424 |
4.9 |
110,543 | ||
|
当事業年度 (自 平成28年6月1日 至 平成29年5月31日) |
建 |
土木 |
31,305 |
13,298 |
- |
- |
44,603 |
|
建築 |
9,110 |
40,018 |
4,822 |
8.9 |
53,951 | ||
|
小計 |
40,415 |
53,317 |
4,822 |
4.9 |
98,555 | ||
|
開発事業等 |
4 |
1,548 |
- |
- |
1,552 | ||
|
計 |
40,420 |
54,865 |
4,822 |
4.8 |
100,108 | ||
(注) 1.海外工事の国別割合は以下のとおりであります。
|
国名 |
台湾 |
シンガポール |
計 |
|
前事業年度(%) |
43.0 |
57.0 |
100 |
|
当事業年度(%) |
47.8 |
52.2 |
100 |
2.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度 請負金額10億円以上の主なもの
環境省 平成25年度南相馬市除染等工事(その2)
国土交通省東北地方整備局 国道45号飯野道路改良工事
三菱地所レジデンス株式会社 ザ・パークハウス文京江戸川橋新築工事
社会福祉法人鳴瀬会 特別養護老人ホーム「すみた荘」新築工事
九州おひさま発電株式会社 日置市養母発電所建設工事(土木工事)
当事業年度 請負金額10億円以上の主なもの
|
|
国土交通省中部地方整備局 |
平成26年度 東海環状小洞トンネル工事 |
|
|
積水ハウス株式会社 |
合同会社クリーンソーラーパワー造成、基礎・架台設置、パネル設置工事 |
|
|
伊藤忠都市開発株式会社・三井不動産レジデンシャル株式会社・株式会社ユニハイムエステート |
(仮称)宝塚湯本町計画 新築工事 |
|
|
生活協同組合コープみらい |
コープみらいコープ新高倉店(仮称)新築工事 |
|
|
野村不動産株式会社 |
(仮称)宮崎6丁目計画新築工事 |
3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
環境省 21,493百万円(19.4%)
当事業年度
環境省 17,425百万円(17.4%)
|
区分 |
国内 |
海外 |
合計 | |||
|
官公庁 |
民間 |
(A) |
(A)/(B) | |||
|
建 |
土木 |
59,001 |
8,582 |
- |
- |
67,584 |
|
建築 |
17,198 |
36,430 |
7,530 |
12.3 |
61,159 | |
|
小計 |
76,199 |
45,012 |
7,530 |
5.8 |
128,743 | |
|
開発事業等 |
8 |
57 |
- |
- |
65 | |
|
計 |
76,207 |
45,070 |
7,530 |
5.8 |
128,809 | |
繰越工事のうち請負金額10億円以上の主なもの
|
|
東日本高速道路株式会社 |
|
東京外かく環状道路 東名ジャンクションランプシールドトンネル・地中拡幅(南行)工事 |
|
|
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 |
|
北海道新幹線、羊蹄トンネル(比羅夫)他 |
|
|
野村不動産株式会社 |
|
(仮称)杉並区上高井戸2丁目計画新築工事 |
|
|
日清エンジニアリング株式会社 |
|
名糖産業株式会社 瀬戸工場建設工事の内 建築工事 |
|
|
株式会社ホワイト・ベアーファミリー |
|
(仮称)WBF新大阪ホテル新築工事 |
建設投資全体は、東京オリンピック・パラリンピック関連施設、大型再開発、リニア中央新幹線工事などの本格化により中期的には堅調に推移すると予想されるものの、長期的には人口減少の影響から国内建設市場の縮小は避けられない状況にあり、加えて、技能労働者の減少・高齢化など建設業の担い手不足が懸念されており、当社グループにおきましても課題となっています。
このような事業環境のもと、経営課題にスピーディーに対応し持続的成長を実現していくため、平成29年度を初年度とした「第89期~第91期グループ中期経営計画」をスタートさせることと致しました。引き続き外的要因に左右されず強い優良な企業を目指し当社グループの企業価値向上を図ってまいります。
「第89期~第91期グループ中期経営計画」要旨
ビジョン: ”安定して強く優良な企業”に向けた実力の形成
経営戦略: あらゆるステージでの業務イノベーションを追求(一人当たりの生産性向上を目指す)
・土木事業 土にこだわる「Earth Moving」ブランドの構築とトップランナーへ
・建築事業 お客様にメリットを提供する総合技術力の向上
・関連事業 高い資産効率に繋がる不動産開発と保有不動産の有効活用
・経営基盤 経営戦略機能の強化、利益生産性を向上する働き方改革の推進
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
また、文中将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
国内外の景気後退等により、建設市場が著しく縮小した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
建設業は、一取引における請負金額が多額であり、また、支払条件によっては、工事代金の回収に期間を要する場合があります。このような状況において、取引先に関する厳格な審査の実施や信用不安情報の早期収集など、可能な限り信用リスク回避の方策を講じておりますが、万一、発注者、協力会社、共同施工会社の信用不安などが顕在化した場合、資金の回収不能や施工遅延を引き起こし、業績に影響を及ぼす可能性があります。
工事用資材の価格が高騰した際、請負金額に反映することが困難な場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
継続的な施工教育の実施や、ISOなどの品質管理手法を活用した施工管理の徹底により、品質管理には万全を期しておりますが、万一施工物に関する重大な瑕疵があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
建設事業は、作業環境や作業方法の特性から危険を伴うことも多く、他の産業に比べ事故発生率が高くなっております。工事着手にあたり施工計画を策定し、安全な作業環境を整え施工しております。また、徹底した安全教育の実施、危険予知活動や安全パトロールなどの災害を撲滅するための活動を実施しております。しかしながら、万一、人身や施工物などに関わる重大な事故が発生した場合、業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。
営業活動の必要性から、有価証券・不動産等の資産を保有しておりますが、時価の変動により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
海外工事について、予期しない法律、規制、政策の変更、テロ紛争、伝染病等が発生した場合や、経済情勢の変化に伴う工事の縮小、延期等が行われた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、外貨建ての資産・負債を有しているため、為替レートの変動により為替差損が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
建設事業の遂行は、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、国土利用計画法、都市計画法、独占禁止法等により多数の法的規制を受けております。そのため、これら法律の改廃や新たな法的規制の新設、適用基準の変更等によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。
地震等の天災、人災等が発生したことにより、事業継続に深刻な支障をきたした場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
事業活動を通して得た取引先の情報や、営業上・技術上の機密情報などの管理については、情報の取扱い等に関する規定類の整備・充実や従業員等への周知・徹底を図るなど、情報セキュリティを強化しております。しかしながら、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルスの侵入等による情報流出、重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、信用が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
特記事項はありません。
当社グループの研究開発は、自動化・省力化など生産性を向上する差別化技術及び現場施工に密着した技術に積極的に取り組んでいることが特徴であります。
当連結会計年度の研究開発費は432百万円であり、セグメント別の内訳は土木事業335百万円、建築事業96百万円であります。主な研究開発成果は以下のとおりであります。
省力化、生産性の向上を目的として、ICTの活用を進めております。当期は以下のテーマについて実施しております。
当社保有技術であるスクレーパのインテリジェント化によっての重機土工の技術革新による生産性向上を目的として、運搬土量管理システムの設計と走行締固め効果の評価を進めております。メーカーと共同で各種センサーの選定及びシステム設計を実施し、現場基礎試験を完了しております。
土工品質管理の自動化・省力化を目的として、品質管理装置を搭載した自律型走行計測台車の設計を進めております。開発はメーカーと共同で進めており、これまでに機械要素、システム仕様の検討及び自律型走行試験を完了しております。
土工現場における測量、設計、施工計画及び施工、維持管理に至るすべてのプロセスにおいて、ICT/CIMを全面活用したきめ細かい管理手法の確立を目指しております。3次元モデルにより工事段階中に刻々と変化する現場状況を予測・再現することで、多発、巨大化する台風・豪雨時等の土砂災害リスクをタイムリーかつ適切に評価し、仮設防災計画・対策に直ちに反映させることで、現場内及び周辺地域の安心安全度の向上を図っております。
当社保有技術である回転式破砕混合工法について、施工の効率化、独自技術の開発を目標に以下の課題を挙げ、取り組んでおります。
大型シールド工事の残土処理を対象としたプラント組込型ツイスターの実用化を目的として、ツイスターの時間処理量拡大に向けた開発を行っております。試験機による能力試験を実施するための検討・調整を行っております。
競争力向上のための差別化技術の開発を目的として、不良土の改良に伴う品質管理手法及び添加材料を用いた独自改良手法の検討を行っております。現在は、土質性状改善と環境面を考慮した添加材料を適用した配合設計手法を開発するためのデータ蓄積を行っております。
再生資材の有効利用技術の開発を目的として、再生資材を活用した建設発生土の性状改善効果に関する検討を大学との共同研究で進めております。当期は、基礎的な改善効果を確認し、現在は長期耐久性について試験・検討を進めております。
トンネル・シールド関連の施工技術の開発・向上を目的として、関連する施工技術を調査・検証・開発を行い、実際に現場へ適用することで効果・問題点を明確にし、施工技術の開発を進めております。また、社員の教育活動も実施しており、トンネルに関する技術力向上に成果を上げております。当期は以下の課題を挙げ取り組んでおります。
覆工コンクリートの品質向上を目的として、養生条件の違いによる覆工コンクリートの品質を定量的に評価し、施工品質の向上を図っております。そのために、養生条件を変えた現場施工試験や評価方法の適用性確認などを行うとともに、LHTシート(保湿・保温養生シート)の機能向上の現場実証実験を行っております。
シールドマシンのビット耐摩耗性向上、土量管理の高度化等を課題とし、コスト削減及び安全性向上につながる技術の検討に取り組んでおります。
シールド工事での掘削土砂取り込み過多による施工事故防止を目的として、正確な掘削土量の計測と掘削直後における計測方法の確立を進めております。当期は、連続式容積計量管理システムを開発し、現場への適用試験を実施しております。
コンクリート関連技術として以下の課題を挙げ、開発に取り組んでおります。
ADOX工法は2液無溶剤型のエポキシ樹脂接着剤を使用した構造物補修・補強工法であります。一般的なエポキシ樹脂の施工環境温度が5℃以上であるのに対して、本材料は5℃以下の低温下での施工を可能にし、また施工技術の機械化を確立することにより、各種構造物に広く採用されております。
本材料のひとつは、技術名称「寒冷地用エポキシ樹脂コンクリート補修材ADOX1380W」として、NETIS(国土交通省の新技術情報提供システム)に登録済でありますが、加えて、平成28年12月に新材料として、技術名称「寒冷地用軟質系エポキシ樹脂コンクリート補修材コンクレッシブ1510Ⅱ」のNETIS登録を完了いたしました。これらの材料は、平成24年10月から平成28年3月までの期間で実施された、国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所のほかに当社を含む材料メーカー6社との共同研究「コンクリートのひび割れ注入・充填後の品質評価及び耐久性に関する研究」の試験材料に取り挙げられております。なお、本共同研究は追加試験等の実施により平成29年3月まで延長いたしました。
新たな市場として、道路橋コンクリート床版の耐久性向上に取り組んでおり、「ADOX床版防水工法」として、寒冷地である北海道等の北日本を中心に、更に近畿地方においても採用が増えております。また、昨年度に引き続き、樹脂系あと施工アンカーへの適用として、太陽光発電関連の工事等で採用が増えております。更なる市場開拓として、5℃以下で施工ができる特長を生かした新製品・新工法の開発や、繊維シート補強への適用を目指した取り組みも継続しております。
当社技術である機能性吸着材とADOXのエポキシ樹脂コンクリート補修製品を混和した、塩分吸着性能及び防錆性能を有するハイブリッドエポキシ樹脂製品の開発を行っております。その基本性能については、これまでの基礎試験結果から確認されており、平成29年5月には、技術名称「ハイブリッドエポキシ樹脂」として、新材料のNETIS登録を完了しております。ひび割れ注入工法や他工法への適用を目的とした検証試験を実施するにあたり、コンクリート材料やエポキシ樹脂に関する研究実績を持つ大学との共同研究を継続し、また平成29年6月からは、コンクリート構造物のライフサイクルマネジメントを専門分野とする大学との共同研究を開始しております。
高品質コンクリートを製造するための、材料(配合・調合等)や、施工・品質管理に関する新技術の開発を行っております。当期は、スマートセンサや充填管理システムを併用したトンネル二次覆工コンクリートの施工・品質管理システムの構築に向け、施工現場での実証試験を行っております。
土質・地盤改良技術として以下の課題を挙げ、開発に取り組んでおります。
一般廃棄物や産業廃棄物の処分場、放射性廃棄物の埋設施設に活用可能な技術として、降雨浸透抑制型覆土(キャピラリーバリア)とベントナイトを用いた遮水ライナーの研究開発を継続しております。
キャピラリーバリアは天然材料である砂、砂利、粘性土を用いて、廃棄物層内への雨水の浸透を抑制する覆土技術であります。本技術はこれまでに6か所の一般廃棄物処分場の閉鎖工事に適用され、平成27年度に受注した同様の工事にも適用され、平成28年度はキャピラリーバリアに使用する材料調査等を行いました。また、前年度から放射性廃棄物の埋設を念頭に、数百年の耐久性を有する覆土構成の検討を実施しております。更に、長期間の降雨浸透抑制効果、耐久性を把握するために、屋外の実規模土槽を用いた実証試験施設において、平成12年から現位置試験、データの取得を継続しております。
一般廃棄物処分場では、Na型ベントナイトを用いた遮水ライナーの実績が増加してきました。福島県の中間貯蔵施設でも同様の遮水ライナーが計画されております。当社は製造コストを低減するために、現地発生土やNa型ベントナイト原鉱石を利用した遮水ライナーをツイスターで製造する技術を開発し、施工実績もできております。現在は、Ca型ベントナイトを用いた遮水土の製造方法の研究開発を進めております。そして、平成27年5月には、公益社団法人日本材料学会の「ツイスター工法(回転式破砕混合工法)を用いた遮水土の製造技術」の第2回更新において、透水係数が1.0×10-10m/sまでの材料製造技術の認証を受け、当学会からNETISに有用な新技術として推薦され、「平成28年度準推奨技術」に認定されました。
東日本大震災により被災したインフラの復旧や沈下地盤の復旧、防潮堤や防災緑地等の津波多重防御の構築等に大量の土砂が必要となり、その代替品として石炭灰混合材料の有効活用が期待されております。
当社では、沖縄電力株式会社と開発してきた頑丈土破砕材の技術をベースとして、配合範囲の拡大や処分場に堆積している既成灰の利用によって、石炭灰混合材料を大量・安定的に提供すべく技術開発を進めて参りました。その結果、福島県にある火力発電所でこの技術が採用され、石炭灰混合材料が製造販売されております。当期は、土砂よりも高品質な砕石代替材として使用できる石炭灰混合材料の製造を目標として、その配合や製造方法の検討、製品の物性確認等を進めております。本技術は連結子会社である福島エコクリート株式会社の事業化を目的としたものであり、平成30年に製造開始を予定しております。
事前混合処理工法(PREM工法)は、当社が開発した液状化を防止した埋立工法でありますが、近年の施工では石分を多量に含むことが多く、そのため、配合試験と比べると強度が過大になりコスト的に不利となっておりました。これを解消するためには、配合試験方法の見直しが必要であり、そのための基礎データを取得しております。
工場跡地の土壌汚染対策のほか、大型プロジェクト等で課題となっている自然由来の汚染土への対応技術の開発を進めております。新規不溶化材の開発や現場で実施できる簡易分析技術の確立、汚染土のトリータビリティ試験等を行っております。自然由来汚染土の不溶化技術は大学と共同で開発しております。
環境、医薬、触媒、各種添加剤等への用途開発を目的に、機能性吸着材の技術開発を実施しております。これまでに基本性能の把握、製造加工技術等の研究開発を実施し、更に、高度水処理システム、井戸水砒素処理技術等の環境分野、各種添加剤、脱臭剤等への用途開発を進めております。
小水力発電は太陽光発電に続く新エネルギーとして設置や検討中の案件が増加してきております。小水力発電の事業性の調査を実施するとともに、施設の建設に求められる差別化技術の調査を実施しております。
主にマンション工事の競争力強化を目的とし、工程・工法・省力化に関して検証を実施しながら、全国展開を図っております。
①工程検証
東西支社のマンション工事現場を中心とし、躯体工程サイクルの確認検証を、A積算時・B現場着工時・C実施工程の三段階で検証しております。検証結果を環境・工法・技術・職人・検査等の項目で確認し、汎用性のある良い点を中心に展開し、工期短縮につなげ、生産性の向上を目指しております。
②省力化・工業化の検証
PC化・先組工法・大型パネル工法・既製品利用等の有効性を検証し、設計段階からの取組みを実施して、生産性の向上に取り組んでおります。
意匠や構造上複雑な部分に関し、PC化を図り、現場在来施工の手間を省くことにより、職人事情や現場環境変化に対する影響を軽減し、工程の短縮及び安定化を図っております。また、大阪の超高層マンション現場ではPC工事の複雑な部分は事前にモックアップを作成及び検証し、要求された品質が確保されていることを確認しました。この事により、現場のクリティカルパスを安定させることを狙いとしております。
設計施工物件においては、事前に入手段階より設計部と協議を開始し、生産性向上を目指しております。
①CFT造(コンクリート充填鋼管構造)技術
鋼管とコンクリートを組み合わせた複合構造により、型枠や鉄筋施工を削減し、工期短縮できるCFT造の施工技術ランクを取得しました。更に適用範囲拡大のための、コンクリート強度70N/mm2とした実験を実施し、技術的な蓄積を行いました。今後、都市部のホテル案件にて適用する予定であり、実施物件として高層建物や商業施設等の受注拡大を図っております。
②柱RC造・梁S造(混合構造)技術
RC造とS造の長所を活かし、柱梁接合部を単純化することで、建物の大スパン化、省力化、工期短縮、低コスト化する技術開発に取り組んでおります。当期においては自社研究施設にて接合部の構造実験を実施し、第三者機関への審査申請を行った結果、平成29年3月末に第三者機関である一般財団法人ベターリビングの一般評定を取得しました。これにより本技術による設計施工が可能となり、主に物流センターなど大スパン構造物への適用を図っております。
③IT活用技術
BIM(Building Information Modeling)の設計、施工への活用を進め、建設プロセスにおける品質や性能の向上、省力化を図っております。また、施工現場における業務効率を改善し、質の高い施工管理を目指すなど、建築技術と情報技術の融合化を推進しております。
①環境負荷低減コンクリート
石炭火力発電所の副産物である石炭灰を加熱改質したコンクリート混和材(CfFA)を活用した技術開発を推進し、コンクリート構造物の高耐久化や長寿命化、そして資源の有効活用やCO2削減を図っております。本技術開発は、大学と共同研究で取り組んでおり、実用化の第一歩として、免震住宅の基礎部分に試験的に適用しております。
②コンクリート品質向上技術
充填センサーや透明型枠を利用したコンクリート打設管理、スマートセンサ型枠によるコンクリート強度の推定、LHTシートによるコンクリートの保温・保湿養生、高強度・高流動コンクリートの実機試験等を通じて高品質なコンクリート技術の確立に取り組んでおります。
①低床免震システム
仕上高さ200mm、メンテナンスフリーで高性能な「低床免震システム」は、消防署の通信指令室やエネルギー関連の監視制御室、先端技術による微細加工装置など、地震に対して最高レベルの安全性が要求される用途で、多くの導入実績をあげております。また、本免震システムの安全性、有効性を証明するため、第三者機関である一般財団法人日本建築センターに受審した結果、床免震システムでは国内初となる一般評定を平成28年10月に取得しました。
②長周期地震・大変位対応の免震装置
長周期・長時間地震動などの想定以上の大きな揺れに対応できる免震装置を大手機械メーカーである株式会社不二越と共同で開発を進めております。装置を小型化、高性能化することで、これまで対応が困難な場所での適用拡大、安全余裕度の向上を目指しております。
③振動台設備の活用
技術センター保有の3次元大型振動台を活用して、大学や企業などの研究機関から様々な振動試験を受託しておりましたが、技術センター移転のため現有各施設の解体に伴い、当期をもちまして受託試験業務を終了しております。
スクラップ&ビルドの時代が終わり、資産の有効活用が注目される中、地震対策技術をベースに低コスト、資産価値向上の実現を図るソリューション技術「DRESS」を展開。建物・耐震診断をはじめ、耐震補強、内外装設備のリニューアル・リノベーション技術の研究開発に取り組んでおります。
特に的確な診断が求められる躯体調査では、直径20mmの小さなサンプルでコンクリートの劣化度・強度を判定できる「ソフトコアリング」や耐震補強工事で無振動、無粉塵、無騒音を可能にする接着ブレース工法や炭素繊維補強工法など、建物の状況や条件に合わせた建物再生技術の充実化を図っております。
持続可能な循環型社会に適した建築物を目指し、省エネルギーや長寿命化など設備・環境技術の開発に取り組んでおります。特に省エネ・環境診断で、赤外線カメラを利用した結露測定や気流・温熱解析ソフトによる室内環境の見える化(定量的評価手法)は、既存建物の環境条件をより的確に検証できる技術で、様々な用途分野の活用が期待されております。また、食品工場エンジニアリングではグローバルスタンダードであるFSSC22000等の規格・認証に対応するため、建設の観点から異物混入や虫の侵入、カビの発生等を防ぐサニテーション技術を整備し、食品工場における安全衛生環境の実現を追求しております。
また、東北の現場にて雪室の追跡計測により実用化検証を行った結果、十分な省エネルギー効果があることを確認しております。
タブレットを現場施工管理に活用する事により、業務の効率化・省力化・ペーパーレス化を図っております。また、労働時間の短縮及び、出来高生産性の向上を目指しております。
タブレットの利用目的は、配筋検査及び写真・仕上げ検査及び写真・各種工程内検査及び写真・簡易連絡メモ、各種会議対応を主目的としており、当社向けのカスタマイズを行っております。
現在、数現場で試用中でありますが、この期間で現場社員の利便性・システムの内容や改良・ハード面の整備等を確認しており、平成30年6月からの全国の現場に対する展開・普及を目指し取り組んでおります。
研究開発活動は特段行われておりません。
福島エコクリート株式会社
石炭灰混合材料の市場競争力強化を目的に、大学と連携して、環境安全性の早期判定手法を確立するとともに、既存の石炭灰に関する情報のデータベース構築を進めております。また、石炭灰混合材料の使用用途拡大を目指した検討も進めております。
研究開発活動は特段行われておりません。
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当連結会計年度の売上高は、1,091億円(前連結会計年度は1,188億円)となりました。
セグメント別の売上高は土木事業が433億円(前連結会計年度は518億円)、建築事業が539億円(前連結会計年度は568億円)、開発事業が10億円(前連結会計年度は11億円)、関係会社が115億円(前連結会計年度は93億円)、その他が4億円(前連結会計年度は6億円)となりました。
当連結会計年度の売上総利益は、153億円(前連結会計年度は132億円)となりました。
当連結会計年度の営業利益は、74億円(前連結会計年度は60億円)となりました。
セグメント別では、土木事業が36億円(利益率8.5%)、建築事業が67億円(同12.4%)、関係会社が14億円(同12.6%)の利益、開発事業が4億円(前連結会計年度は0億円の利益)、その他が0億円(前連結会計年度は7億円の損失)の損失となりました。
当連結会計年度の経常利益は、支払利息、コミットメントライン費用等の営業外費用が、受取利息、受取配当金等の営業外収益を上回ったため、72億円(前連結会計年度は55億円)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等を考慮し36億円(前連結会計年度は28億円)となりました。
当連結会計年度末における流動資産の残高は、868億円で、主なものは、現金預金401億円、受取手形・完成工事未収入金等298億円、未成工事支出金58億円、繰延税金資産32億円、立替金28億円であります。
固定資産は、324億円で、主なものは、有形固定資産174億円、投資その他の資産148億円であります。
この結果、資産合計は1,192億円となりました。
当連結会計年度末における流動負債の残高は、641億円で、主なものは、支払手形・工事未払金等203億円、未払法人税等36億円、未成工事受入金241億円、預り金94億円であります。
固定負債は、130億円で、主なものは、長期借入金90億円、リース債務16億円であります。
この結果、負債合計は772億円となりました。
当連結会計年度末における純資産の残高は、420億円で、主なものは株主資本391億円であります。また、1株当たり純資産額は、509.08円となりました。
第2 事業の状況 1業績等の概要 (2) キャッシュ・フローに記載のとおりであります。