文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 日本国土開発グループの経営の基本方針
①経営理念
当社グループは「もっと豊かな社会づくりに貢献する」ことを経営の基本理念として、グループ各社はこの基本理念に貢献する場・機会を創出するという考えのもと事業展開を図ることで、すべてのお客様に信頼され社会から必要とされる企業集団を目指しております。
②経営方針
Active 若々しい感性で新しい価値の実現に挑戦する
Creative 確かな技術と手造りの心で快適な環境を創造する
Evolution 多様な個性と生き生きとした社風で共に進化する
③SDGsへの取り組み
当社グループは、国連が定める持続可能な開発目標SDGsの達成を目標の一つとして取り入れております。
当社グループの経営理念を具現化するため、SDGsをガイドラインとして「グローバルに豊かな社会づくりに貢献する企業活動」を全社員が考え、行動します。社会的な課題解決と事業との両立を企業の使命とし、高い目標に挑戦しております。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
これからの建設事業は、インフラ新設の市場が縮小し、特に当社規模の事業者においては一過性ではない厳しい環境が今後継続するものと考えております。この状況を打開するため、当社グループとしては機械化・DX化を成し遂げるとともに、建設業界においてサプライチェーンとなり得る、高い専門性を有するグループ企業の活用により、利益生産性の向上を目指してまいります。さらに、安定した収益基盤の拡大を図るため、関連事業にも引き続き注力し、開発投資を継続してまいります。
また、近年多発する自然災害、脱炭素社会に向けた取り組み、人口減少問題による建設業の担い手不足、デジタル社会の到来など、社会が大きく変化していくなか、当社の独自の強みを創造してまいります。
以上のような環境の変化に対応するため、当社グループは2022年度をスタートとする3カ年計画「中期経営計画2024」を策定いたしました。
①日本国土開発の目指すべき姿
当社創業の歴史は、戦後荒廃した国土の復興にあり、重機をオペレーター付きでレンタルする事業から始まりました。人力主体の工事方式から建設機械を活用した工事方式へ転換し、社会課題であった「建設業の生産性革命」を実現しました。我々は建設の機械化・DX化を成し遂げ、再び「建設業の生産性革命」を社会に提供し、世の中の社会課題を解決する「先端の建設企業」となり、経営理念である「もっと豊かな社会づくりに貢献する」を実現してまいります。

②長期ビジョンと中期経営計画2024
前中期経営計画でも長期ビジョンに「建設×マシナリー×ICT」を掲げ、生産性向上を目的に機械化を推進してきました。今後はさらにDX(Digital Transformation)を加えて、建設事業において、さらなる利益生産性の向上を図るとともに、当社グループにしかない「独自の強み」を創出して新たな事業領域を構築し、一定領域でのシェアを高めることでグループ全体の高収益化を図ります。
「中期経営計画2024」では、建設事業の利益改善と関連事業の拡大を進め、 新規事業創出に打ち込む期間とし、新たな事業ポートフォリオの構築を推進していきます。

③「中期経営計画2024」計数目標
2024年度までの3カ年中に「ROE 10%」水準の体制を再構築することを目標とします。また、株主還元については、目標とした配当性向30%を継続的に実施してきましたが、今後はより継続的に安定した株主還元を実施するため、株主資本を基準とする「DOE」を採用します。各年度で「DOE 2.5~3.0%」水準の達成を目標とし、合わせて機動的に自己株式を取得するなど中長期的な株主価値向上を目指します。

④資本戦略
開発投資(不動産・エネルギー・新規事業)を拡大し、安定収益基盤のさらなる拡大と適時適切な資産の入れ替えによる資本効率の維持向上を図ります。業務のDX化及びR&D投資も積極的に行い、建設事業の利益改善と新技術の開発を進め、M&A・アライアンスにも注力していきます。

⑤ESG経営の推進
国連が定める持続可能な開発目標「SDGs」が、当社の経営理念「わが社はもっと豊かな社会づくりに貢献する」と方向性を一にするものとして、SDGsの達成を経営計画の目標の一つとして位置づけ、ESG経営上の重要課題(マテリアリティ)を設定しています。新中期経営計画の策定にあたり、脱炭素、働き方改革・健康経営、労働・安全・衛生、企業統治に関する非財務情報のKPI(重要業績評価指標)を設定しました。
長期ビジョンで掲げた「先端の建設企業」になるべく、KPIの達成に向けた各種取り組みを推進していきます。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 事業環境について
①建設市場の動向
国内外の景気後退や国及び地方公共団体の公共投資予算の削減等により、建設市場が著しく縮小した場合や今後競合他社との競争が激化し、民間工事における受注価格が下落する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、不動産開発事業・再生可能エネルギー事業を主とする関連事業による収益源の多様化に取り組んだ結果、一定の安定収益基盤を確立するとともに、市況に応じた資産売却による収益確保の体制も整いつつあります。関連事業では、積極的に開発投資を実施し、市場の変動に耐えうる収益基盤を拡大させるとともに、土木事業による独自の機械力の提案と、建築事業による設計施工案件など高付加価値提案により、建設事業では特命受注の獲得増大を図っております。また、土木・建築・関連の3事業連携とグループ企業活用による提案力の強化、ICT施工やDX戦略による省力化技術の確立により、市場の縮小にも柔軟に対応できる事業体質の構築に取り組んでおります。
②震災復興関連工事について
当社グループは、東日本大震災発生当初より、被災地域での除染作業やがれきの廃棄物処理及び収集運搬、減容化処理施設の建設・解体等の震災復興関連工事を数多く手掛けており、連結売上総利益に占める割合は高い状況が続いておりましたが、縮減傾向にあった当該事業は、一定の収束を迎えました。
これに対応するため当社グループは、受注体制の見直しを図ってきており、土木事業では、太陽光発電事業に関する造成工事を中心に、独自の機械力を武器にした民間受注の獲得とグループ活用による受注幅の拡大、建築事業では生産物流施設をはじめとした設計施工案件の割合を増加させることで、利益率の改善を図っております。また、関連事業では、再生可能エネルギー事業の展開による安定収益基盤の確立と、不動産開発事業による効果的な資産の売却により、利益の確保を図っております。
③人材確保に係るリスク
建設業界においては、建設技術者・技能労働者の高齢化が進み、計画的な人員確保の重要性が高まってきております。当社グループでは、計画的な人員確保に向けて採用の強化に努めておりますが、需給関係の急激な逼迫により人員確保が困難となった場合には、受注機会の喪失や納期遅延等の問題が発生する恐れがあり、業績に影響を与える可能性があります。
このリスクに対応するため、特に技能労働者の地位向上への取り組みとしてキャリアアップシステムの推進、優良職長認定制度、褒章につながる国土交通省の建設マスターへの推薦を行っております。また、DX化や独自の機械力を活用したICT施工による省人化、省力化施工によって施工効率の向上に挑戦してまいります。さらに、成果に見合った報酬が得られる人事制度の構築や、労働環境の改善等、働き方改革を推進しており、優秀な人財の確保を採用市場でアピールしてまいります。
当社グループでは、ダイバーシティ&インクルージョンの活動として、経営トップ自らが健康管理最高責任者(CHO)となり、2018年9月に「健康経営宣言」を制定しております。この活動推進に対して、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人として、経済産業省と日本健康会議が共同で進める「健康経営優良法人~ホワイト500~」に3年連続で選定(2020年、2021年には健康経営銘柄にも選定)されております。今後もさらに従業員の健康増進に向けた活動を推進してまいります。
④労務単価及び資材価格の高騰
建設工事の施工は長期間に及ぶものが多いことから、契約期間中に想定外に労務単価や工事用資材の価格が高騰する可能性があります。単価の高騰分について請負金額に反映できない場合には、業績に影響を与える可能性があります。
このリスクに対応するため、労務状況の常時確認や主要資材の市場価格調査を行い、資材・労務価格等の急激な変動に対しては先行調達や代替工法の提案等により対応しております。特に大きな影響が及ぶ可能性のある建築事業では、設計施工案件の割合を増加しており、フロントローリングの実行に繋げる体制が整いつつあります。
(2) 取引先の信用リスクについて
景気の減速や建設市場の縮小などにより、発注者、協力会社、共同施工会社の信用不安などが顕在化した場合、資金の回収不能や施工遅延を引き起こし、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、案件採択にあたっては、施主の信用調査を実施後、その内容について審査委員会で審議を行い、経営会議(大口のものについては取締役会)への結果報告を経て承認する手続きとしており、与信判定に応じた工事代金の受領・支払などの取引条件の確保に取組んでおります。
(3) 施工物の瑕疵について
継続的な施工教育の実施や、ISOなどの品質管理手法を活用した施工管理の徹底により、品質管理には万全を期しておりますが、万一施工物に関する重大な瑕疵があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、本社に品質管理担当部署をおき、品質管理基準に基づき全案件を同一目線で統括管理を行っております。また、現場巡回パトロールにおいて、品質管理項目を強化しているほか、施工上の難易度が高い現場は重点管理現場として、品質に関する監査を追加して実施しております。
(4) 建設活動に伴う事故について
建設事業は、作業環境や作業方法の特性から危険を伴うことも多く、他の産業に比べ事故発生率が高くなっております。人身や施工物などに関わる重大な事故が発生した場合、業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、工事着手にあたり施工計画を策定し、安全な作業環境を整え施工しております。また、徹底した安全教育の実施、危険予知活動や安全パトロールなどの災害を撲滅するための活動を実施しております。事業部門とは独立した安全品質環境本部が各現場へ安全パトロールを実施すると共に、過去事例や他社事例に基づき教育を行うなど、指導・監督の下、安全管理には十分に配慮された体制で施工を行っております。また、すべての工事において、建設工事保険、賠償責任保険等の付保によるリスクヘッジも行っております。
(5) 資産保有リスクについて
営業活動の必要性から、投資有価証券・事業用不動産等の資産を保有しておりますが、時価が著しく低下した場合、評価損や減損損失の計上等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、事業用資産については、案件毎に定期的に減損リスク等を把握し、投資有価証券については、個別銘柄ごとに、株式保有に伴うコストやリスク、営業上の便益等の経済合理性を総合的に勘案のうえ、保有意義を見直し、取締役会にて保有の適否を検証しております。
(6) 関連事業に係るリスクについて
①不動産開発
当社グループは関連事業として主力事業である土木事業及び建築事業とは求められるノウハウが異なる不動産開発事業を展開しております。当該事業に係るプロジェクトは事業期間が長期間にわたることから、事業環境に著しい変化が生じた場合や開発が想定通りに進捗しない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、不動産開発事業は、関係部署による事前協議を行った上で、決裁基準に応じて経営会議・取締役会で厳格に判断を下しており、計画段階から着手後にかけて、常に事業リスクや環境変化の兆候を把握することに努め、適時適切に事業計画の点検と見直しを実施しております。
②太陽光発電
太陽光パネルの発電効率低下のリスクについては、適切なメンテナンス、モニタリングを実施する対策を取っておりますが、自然災害や事故等の原因で、発電所修復のための休業中に発電量が予定より大幅に減少した場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、自然災害や事故等の原因による施設等の被害に関しては、各種保険に加入することでリスクの軽減を図っております。
(7) 海外事業に伴うリスクについて
海外工事について、予期しない法律、規制、政策の変更、テロ紛争、伝染病等が発生した場合や、経済情勢の変化に伴う工事の縮小、延期等が行われた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、外貨建ての資産・負債を有しているため、為替レートの変動により為替差損が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、進出国の的確な情勢把握に努めており、テロ紛争・伝染病等の対応については、「海外緊急事態対応マニュアル」に基づき、役職員及び家族の安全を第一に捉え、進出国のリスク状況に応じては本邦への緊急搬送サービスや現地での適切な医療体制の確保の充実を図るなど危機管理体制の一層の強化に努めております。また、為替変動リスクに対応するため、予測しがたい急激な為替の変動に備え、必要に応じ為替予約などを通じ外貨建資産に対しヘッジを実施するなど、可能な限りリスクの回避をしております。
(8) 法的規制について
建設事業の遂行は、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、国土利用計画法、都市計画法、独占禁止法等により多数の法的規制を受けております。当社グループの各社では、特定建設業許可、一級建築士事務所登録、宅地建物取引業の許認可等を受けております。現時点において、当該許認可等の取消となる事由に抵触する事象は発生しておりませんが、将来、何らかの理由により、当該許認可等が取消され又はそれらの更新が認められない場合、もしくはこれらの法律等の改廃又は新たな法的規制の新設、適用基準の変更によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、常に建設業法をはじめとした各種関連法令の制定改廃動向を予め把握するとともに、役職員及び専門工事業者に対して法令遵守の啓発活動及び遵守状況のモニタリングを実施しております。
(9) 大規模災害に関するリスクについて
地震等の天災、人災等が発生したことにより、事業継続に深刻な支障をきたした場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、ゼネコンとしての社会的使命を果たすため、「事業継続計画」を策定しております。R&D拠点であるつくば未来センターと社員寮を、本社機能の代替拠点に設定し、臨機応変に対応できる体制を整えております。また、基幹システムはクラウドサービスを利用しております。サーバー群は停電、耐震性に優れたデータセンターに設置されており、データ保全もサービス内で実施されております。
なお、震災時の社員安否の確認には、「事業継続計画」に基づき「安否確認サービス」を利用し、状況を的確に把握した上で、災害時に迅速な事業活動が行えるよう準備をしております。今後更に災害時の情報共有を簡便且つ的確にできる仕組み、サービスを導入すべく取り組んでまいります。
(10) 情報セキュリティリスクについて
サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルスの侵入等による情報流出、重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、信用が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、当社グループでは、「情報セキュリティ基本方針」の定めに従い、「情報セキュリティ基本規程」を基に情報セキュリティ全般に関して、適切な情報管理を徹底するよう努めております。また、各要領・マニュアルに基づいた「社員教育」を徹底し、全社の推進レベルの向上を図ることで、浸透したテレワーク体制にも対応を図っております。
(11) 訴訟等に関するリスクについて
国内外の事業等に関連しての訴訟、紛争、その他法的手続きにおいて、当社グループの主張や予測と相違する結果となった場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、訴訟等につきましては、顧問弁護士等外部の専門家と緊密に連携し対応できる体制を構築しております。
(12) 工事における一定の期間にわたり収益を認識する方法について
当社グループは、一定の期間にわたり収益を認識する方法を適用しております。工事進捗度の見積りは、見積総原価に対する発生原価の割合をもって行い、工事請負総額に工事進捗度を乗じて完成工事高を算出しております。
工事案件ごとに継続的に見積総原価や予定工事期間の見直しを実施する等適切な原価管理に取り組んでおりますが、それらの見直しが必要になった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、現場の予算を基に、徹底した原価管理を行い、適宜決算に反映するようにしております。
(13) 新型コロナウイルス感染症について
新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受けて、感染症の収束には時間を要すると思われ、国内外の景気に不透明さが拡がるなか、建設事業においては、不動産市況・設備投資動向などの外部環境の変化により受注高の減少が懸念されるなど、当社を取り巻く経営環境に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため当社グループは、2020年に社長を本部長とする「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し、全社を挙げてのテレワークや時差出勤の推進、感染状況に応じた出張自粛などの対策を継続しております。建設現場では、基本的な感染拡大防止策に加えて、感染者が出た場合でも早期に関係先に情報共有し対策を講じることで事業を継続できる体制を整備しています。
コロナ禍による先行き不透明な状況が続く中、受注高減少のリスクはあるものの、リモート化/デジタル化の進展に伴うデータセンターの建設やECの普及に伴う物流倉庫建設の需要が高まっており、このような需要に対し取り組みを強化しております。
また関連事業では、キャンプ&ワーケーション施設を開業しており、ニューノーマルに対応した取組みも推進しております。
(14) 気候変動リスクについて
気候変動により自然災害が激甚化傾向にあり、気候変動に伴う物理的リスクとして、施行中工事への被害や施工遅延、自社所有物件への被害等により、事業の継続性に影響を及ぼす可能性があります。
また、脱炭素社会への移行リスクとして、炭素税の導入や、工事施工に係る各種法規制の強化に伴う大幅な建設コストの増加により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような気候変動に伴う事業への影響を重要な経営課題の一つと捉え、2021年10月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明しており、2022年7月に公表した中期経営計画2024において、2030年度までのCO2排出削減目標(Scope1,2:42%削減、Scope3:25%削減※いずれも2020年度比)を設定しました。
なお、当該CO2排出削減目標については、現在SBT認定を取得するため申請中でございます。
※SBT(Science Based Targets):パリ協定(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を下回る水準に抑え、また1.5℃に抑えることを目指すもの)が求める水準と整合した5年~15年先を目標年として企業が設定する温室効果ガス排出削減目標
脱炭素社会への移行リスクの対応として、再生可能エネルギーの需要拡大が見込まれており、80メガワット超の太陽光発電事業を手掛ける当社グループは、そのノウハウを活用することで機会を創出致します。
また、気候変動に伴う物理的リスクの対応として、災害復旧・事前防災の需要拡大が見込まれており、ガレキ混じり土砂の分別・改良と現地発生土のリサイクルを可能とする、当社の独自開発技術である回転式破砕混合工法(通称:ツイスター工法)は、この物理的リスクに対応するとともにCO2削減にも寄与致します。当社グループは、事業の継続性に影響を及ぼすこの社会課題の解決に貢献して参ります。
今後は、TCFDが示す推奨に基づき、ガバナンス体制の構築、シナリオ分析等を実施し、適切な情報開示を進めて参ります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
また、当社グループは「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)、(収益認識関係)及び(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が弱まり、徐々に持ち直す傾向にありますが、国内外での再拡大には継続して注意が必要です。また、ウクライナ情勢によって生じた地政学的リスクや、これに伴う金融資本市場の不安定な変動など、先行きについては不透明な状況が続いております。
国内建設業界におきましては、民間建設投資において、巣ごもり需要によるEC市場の拡大に加えアフターコロナを見据えた設備投資意欲の向上が見られました。また、国土強靭化計画等を背景とする関連予算の執行により、公共建設投資は一定の底堅さを維持しました。しかし、受注競争の激化や建設資材の価格高騰等の影響もあり、厳しい事業環境が続いており、先行きについては引き続き注視が必要な状況となっております。
このような状況のなか、2019年度から3カ年計画で取組んでまいりました『中期経営計画2021 Move 75 PhaseⅠ』においては、震災復興事業の収束を見越し、事業ポートフォリオ改革を着実に進行してまいりました。その結果、再生可能エネルギー・不動産開発事業を主とする関連事業が成長し、3カ年計画の最終年度である当連結会計年度においては、全体に占める営業利益の割合は73%に達し、親会社株主に帰属する当期純利益の計画達成にも大きく寄与しました。以上から、当社グループの経営成績は以下のとおりとなりました。
当連結会計年度の経営成績については、売上高は126,790百万円(前連結会計年度比7.6%増)、売上総利益は16,997百万円(前連結会計年度比10.7%減)、営業利益は7,957百万円(前連結会計年度比24.7%減)となりました。また、経常利益は8,398百万円(前連結会計年度比20.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,389百万円(前連結会計年度比4.2%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。(セグメントの経営成績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しており、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。)
(土木事業)
土木事業においては、売上高は55,148百万円(前連結会計年度比0.7%減)であり、セグメント利益は、前年同期に寄与した好採算案件が竣工により減少したことに伴い628百万円(前連結会計年度比83.9%減)となりました。
建築事業においては、売上高は58,984百万円(前連結会計年度比8.5%増)であり、セグメント利益は、前年同期に寄与した好採算案件が竣工により減少したことに伴い1,542百万円(前連結会計年度比69.6%減)となりました。
関連事業においては、売上高は大型販売用不動産の売却により13,855百万円(前連結会計年度比66.9%増)であり、セグメント利益は、大型販売用不動産の売却に伴う収益及び前年に完成した自社事業である松島どんぐり太陽光発電所が寄与したことにより5,823百万円(前連結会計年度比255.7%増)となりました。
地域ごとの業績は次のとおりであります。
日本国内での売上高は119,522百万円であり、営業利益は7,682百万円となりました。
アジアにおける売上高は7,268百万円であり、営業利益は274百万円となりました。
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
(注)売上実績においては、「外部顧客への売上高」について記載しております。
なお、参考のため、提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
提出会社の受注高(契約高)及び売上高の状況
(注) 1.前事業年度以前に受注したもので、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含んでおります。したがって、当期売上高にも係る増減額が含まれております。また、前事業年度以前に外貨建で受注したもので、当事業年度中の為替相場により請負金額に変更のあるものについても同様に処理しております。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しており、当事業年度の前期繰越高については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。
3.当期受注高のうち海外工事の割合は前事業年度7.1%、当事業年度4.0%であります。そのうち主なものは次のとおりであります。
当事業年度 請負金額10億円以上の主なもの
② 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
(注) 1.海外工事の国別割合は以下のとおりであります。
2.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度 請負金額10億円以上の主なもの
当事業年度 請負金額10億円以上の主なもの
3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
環境省 16,651百万円(16.3%)
当事業年度
該当事項はありません。
④ 繰越高(2022年5月31日現在)
繰越工事のうち請負金額10億円以上の主なもの
資産は、受取手形・完成工事未収入金等15,038百万円、無形固定資産1,050百万円などの増加要因が、有形固定資産4,536百万円、販売用不動産3,490百万円などの減少要因を上回ったことにより、前連結会計年度末比5,958百万円増の154,724百万円となりました。
②負債の部
負債は、支払手形・工事未払金等6,085百万円、未成工事受入金1,800百万円などの増加要因が、長期借入金4,259百万円、短期借入金1,539百万円などの減少要因を上回ったことにより、前連結会計年度末比222百万円増の74,778百万円となりました。
③純資産の部
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益7,389百万円の計上及び配当金2,310百万円の支払いなどの結果、前連結会計年度末比5,735百万円増の79,946百万円となりました。なお、自己資本比率は、前連結会計年度末比1.6ポイント増の51.2%となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益10,981百万円の計上、仕入債務の増加6,065百万円などの収入要因が、売上債権の増加14,953百万円、法人税等の支払額3,231百万円などの支出要因を上回り、3,759百万円の収入超過(前連結会計年度は4,572百万円の収入超過)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入6,048百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入1,549百万円などの収入要因が、有形固定資産の取得による支出1,973百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,514百万円などの支出要因を上回り、4,331百万円の収入超過(前連結会計年度は2,172百万円の支出超過)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出5,875百万円などの支出要因が、自己株式の売却による収入244百万円などの収入要因を上回り、8,082百万円の支出超過(前連結会計年度は16,910百万円の収入超過)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、47,170百万円(前連結会計年度末は46,954百万円)となりました。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工事の完成に要する外注費等の工事費や人件費等の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものであります。
これらの資金は、自己資金及び金融機関からの借入及び社債の発行により調達しており、当連結会計年度においては、調達実績はありません。
当社グループは運転資金の効率的な調達を行うため、当連結会計年度末においては、5,400百万円の当座貸越契約及び12,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積り及び判断が行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積り等については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる場合があります。
当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち,重要なものは以下のとおりであります。
なお,新型コロナウイルス感染症の拡大による影響に係る会計上の見積りの前提は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(一定の期間にわたり収益を認識する方法による収益認識)
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件をもとに減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定を実施しておりますが、市況の変動などにより、これらの前提条件に変更が生じた場合、減損処理が必要となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、2021年12月10日開催の取締役会において、藤信化建株式会社の発行済株式の全部を取得する株式譲渡契約を締結することを決議し、これに基づき、2021年12月13日に株式譲渡契約を締結し、2021年12月23日に本株式を取得しております。本株式取得に伴い、藤信化建株式会社は当社の連結子会社となりました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
当社グループの研究開発は、自動化・省力化など生産性を向上する差別化技術及び現場施工に密着した技術に積極的に取り組んでいることが特徴であります。
当連結会計年度の研究開発費は
(1) マシナリー×ICT(Information and Communication Technology)による土工の高速化・省力化技術の開発
土工事における省力化、生産性の向上を目的として、建設機械におけるICT活用の標準化を進めております。特に、高速走行が可能なスクレーパを技術導入することで工期短縮、省人化を可能とし、土工事に関する様々な情報の数値化を図ることで、最適な土工事を実現する施工管理システムの開発を行っております。また、工事の進捗管理にUAV(Unmanned Aerial Vehicle)を導入し3次元地形データを作成することで最適な運土計画を立案するとともに、台風・豪雨時等の土砂災害リスクをリアルタイムに評価し対策に反映させております。さらに、土量や土質性状の管理にAI/ICTを用いた評価手法を導入することによって、省人化や品質向上に関する開発を大学等との共同研究により進めております。
(2) 回転式破砕混合工法(ツイスター工法)の改良品質の高度化と適用性拡大
土質性状に応じた破砕混合メカニズムについて大学等と共同研究を実施して不良土改良技術の高度化を進めるとともに、適用性拡大を目的として「自走型」と「プラント型」の機械を新たに開発いたしました。自走型は機械装置のワンパッケージ化を実現したことで狭隘部での工事を可能としております。プラント型は組立解体に新規方式を採用することで大幅に工期短縮を実現しています。さらに、改質土の更なる高品質化とオペレーションの自動化を目的として、土の供給機のハード面での性能向上と土量の計測技術の開発を進めております。
リニューアル技術では、独自技術である機能性吸着材と国土開発工業㈱のエポキシ樹脂コンクリート補修製品を混和した、塩分吸着性能及び防錆性能を有する「ハイブリッドエポキシ樹脂」のNETIS登録が完了しております。ひび割れ注入・断面修復工法への適用を目的とした検証試験を実施し、その効果についてモニタリングを行っております。
独自の地盤改良技術である動圧密工法は、ICTを活用した施工・品質管理の高度化、省人化を進めており、静的地盤圧縮工法のリフューズプレス工法とともに現場条件に合わせた最終処分場の減容化技術として他社との差別化を図っております。
(5) 機能性吸着材
環境分野等への応用を目的に、機能性吸着材の技術開発を実施しております。世界の水問題の解決を目標に、途上国でも持続可能な機能性材料を用いた井戸水砒素処理技術の開発を進め、バングラデシュでの現地実証試験を行っております。
(6) 福島エコクリート株式会社
福島エコクリートは福島県浜通りの復興を目的とした「福島イノベーション・コースト構想」の実践企業に位置付けられており、SDGs実践の観点から地元産業副産物の「地産地消」、カーボンニュートラル時代への貢献を目指した技術開発に取り組んでおります。具体的には、次世代の石炭火力発電方式として期待されている石炭ガス化複合発電(IGCC)から発生するスラグ(CGS)、バイオマス灰の活用検討を行う他、石炭灰を主原料とした人工砕石のブルーカーボン領域としての環境修復材分野への適用、医療分野(人工透析排水処理)及び鉱山分野(酸性排水)の中和処理材への活用検討も実施しております。さらに本年度から、製品である石炭灰混合材料によるCO2固定量の最大化を目指した取組みにも着手しております。
これらの技術開発は福島県の「実用化促進技術開発補助金事業」に採択されており、福島県と開発成果の共有化を図るとともに、南相馬市との連携協定の締結、地元大学(東北大、日本大工学部)との共同研究体制で実施することで、技術開発のスピード化、技術信頼性のアップ、社会実装の迅速化、地元への成果反映を図っております。
施工省力化・合理化技術
工事の省力化並びに合理化を図るため、土の有効活用及びコスト改善の方法として回転式破砕混合工法(ツイスター工法)の建築利用、物流施設におけるコストトップランナーとなるための工法として高強度ステンレスによる鋼製型枠、PCaユニット化、ICT重機活用、無足場工法による施工及び機械化施工の検討を実施しています。今後、大型物流倉庫の案件に適用し生産性向上を目指します。
BIMを利用した支援技術
BIM(Building Information Modeling)の活用を進め、施工の省力化並びに品質向上を図っております。設備・建築総合モデルでの早期検証を確立し、案件でのフロントローディングを実施しております。また、構造モデルの積算活用を実施しています。今後も業務効率を改善し、質の高い施工管理を目指します。
省エネ技術の実用化
省エネシステムの手法と再生可能エネルギーをセットとした再生エネ100%スキームを営業革新の一手として展開、生産工場への適用を図っております。また、オフィスビルやマンションに対してはZEB(Net Zero Energy Building)やZEH(Net Zero Energy House)の実現に向けた取り組みを進めております。
配筋検査システムの開発
当社を含めたゼネコン21社と共同開発契約を結び「配筋検査システム」の開発に取り組んでいます。この配筋検査システムは、AI(人工知能)を活用した鉄筋認識に関する技術により適切な配筋施工の実施を支援するシステムで、施工管理者の熟練度によらない効率的かつ正確な配筋検査を可能とし、鉄筋検査の業務時間削減へつなげます。今後も現場試行を継続的に実施し、より汎用性の高い機能の開発を引き続き進めてまいります。
研究開発活動は特段行われておりません。