文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 日本国土開発グループの経営の基本方針
当社グループは経営理念として「わが社はもっと豊かな社会づくりに貢献する」を掲げています。この理念は、1991年4月に創立40周年を機に策定したもので、当時は「社会が直面している問題の解決とより良い社会の構築、快適環境の創造を通じ、ゆとりある社会づくりを目指す」、この想いを経営理念に込めました。30年経った今もこの想いは変わらず、SDGs達成を目標に取り入れる等、当社グループは全てのステークホルダーに対して「豊かな社会づくり」とは何かを考えてきました。
2022年7月から当社グループは、2030年までの長期ビジョンとして「社会課題を解決する『先端の建設企業』」を目指すべき姿と位置づけ、立ち向かう社会課題として「気候変動問題」「2030年問題」を設定し、脱炭素社会の実現や人口減少による担い手不足などの諸問題に対して当社グループが持つノウハウや知見を生かし、社会課題の解決に貢献できるよう取り組んでいます。
そして、これらの方針や取組をより加速するため、サステナビリティ経営方針をこのほど策定しております。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
当連結会計年度における我が国経済は、コロナ禍が終息に向かい、世の中の経済活動への制約が解消されつつあり、景気は穏やかに持ち直す傾向にあります。一方で、世界経済では、金融引締めや物価上昇、供給面での制約が続いており、我が国経済にも影響を及ぼす可能性があることから、引き続き注視が必要な状況にあります。
世界規模で進む気候変動問題に対しては各国の脱炭素の動きが活発化しており、日本においても政府が「GX実現に向けた基本方針」を本年2月に公表し、カーボンニュートラルへの官民投資の拡大が期待されます。
建設業界においては、災害対策をはじめとする公共投資が堅調に行われており、生産物流関係や都市開発などの民間投資も増加の傾向が見受けられます。一方で、建設資材高や人手不足による労務費の高騰などにより、採算性の悪化が生じており、依然として厳しい環境にあると認識しています。
当社グループの2023年5月期業績は、不動産開発や再生可能エネルギーなどを手掛ける関連事業が当社グループの一つの柱に成長したものの、土木・建築事業の収益悪化によってROEは前期9.7%から4.2%に大幅に減少しました。
このような現状に鑑み、土木・建築事業ともに受注基準や管理体制の見直しを図るとともに、さらなる建設現場における「機械化・DX(Digital Transformation)」による省人化、合理化を進め、利益生産性の向上を目指していきます。
一方、これからの建設事業は、インフラ新設の市場の縮小などから厳しい外部環境が継続するものと考えております。このような外部環境の変化に対応するため、高い専門性を有するグループ企業の活用や関連事業本部を含めた川上の「企画提案」から「設計調達」、川下の「運営管理」まで一気通貫した事業展開により、安定した事業基盤の構築を推進していきます。
また、関連事業においては、不動産開発の推進に加え、ストックビジネスを充実させることで資産の入れ替えによる資本効率の向上と安定収益基盤の拡大を図るとともに、引き続き再生可能エネルギー関連ビジネスを展開してまいります。
さらに、2050年までのカーボンニュートラルに対応した脱炭素ビジネスに注力するなどにより将来的に当社の第4、第5の柱となる新たな事業領域の創出を目指します。
以上のような取り組みにより、事業ポートフォリオの見直しを図り、独自の強みを創出することでさらなる企業価値の向上に努めてまいります。
なお、本年6月1日付で「サステナビリティ経営本部」を設置いたしました。今後、R&D及び新規事業の取り組み強化による収益構造改革、建設業の新たな働き方が求められる「2024年問題」、それに伴う人的資本の充実と多様性への対応などを一層推進し、当社の持続可能な成長を実現していきます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、今後の環境変化など様々な要因により大きく異なる可能性があります。
当社グループは、経営理念である「わが社はもっと豊かな社会づくりに貢献する」を実現するために、新たに当社と社会の持続可能な存続と成長の実現を目指してサステナビリティ経営方針を策定しました。当社グループは、経済的価値と社会的価値において、それぞれの財務・非財務目標の達成に取り組み、その相互作用によって、企業価値の向上に努めていくことを改めて経営方針とします。
(1)サステナビリティ共通
<ガバナンス>

今年6月にサステナビリティ経営本部を設置しました。同本部が当社グループにおける経済的価値と社会的価値を同時に高めるという観点から、戦略立案などを行い、経営会議にて協議し、取締役会での決議を行う体制を構築しました。具体的なガバナンス体制は下記のとおりです。
①取締役会
・経営会議(執行役員会議)から上申されたサステナビリティ課題に関する戦略、マテリアリティ、KPIなどの項目に関して決議し、年2回報告を受け、取り組み状況を監督し、必要な改善指示を行う
②経営会議
・サステナビリティ課題に関する戦略、マテリアリティ、KPIなどの項目に関して協議し、インシデントについても取締役会へ上申する
・四半期ごとに計画、活動、指標及び目標をレビューする
・上記項目について取締役会へ報告し、監督を受ける
③サステナビリティ経営本部
・サステナビリティ課題について、方針や目標、計画策定、各施策の進捗状況のモニタリング、実績評価や改善指示など、サステナビリティに関する戦略全般を管理する
・各担当部門及びグループ会社に提言を行い、グループ全体での取り組みを推進する
・ステークホルダーとの対話を実施し、最新の知見を共有して各種方針や計画に反映する
・戦略部は財務目標、サステナビリティ推進室は非財務目標の戦略立案・進捗管理を担う
④各担当部門
・各施策の進捗状況をサステナビリティ経営本部へ年4回報告し、管理・評価を受ける
・サステナビリティ課題について、各担当部門に関する方針や目標、計画の策定、各施策の進捗状況のモニタリング、実績評価や改善指示などを実施し、管理する
・サステナビリティ経営本部が設定した計画や目標に基づき、具体的な活動を推進する
当社のサステナビリティ経営本部が主体となり、各事業本部と連携してサステナビリティ関連のリスクと機会を網羅的に抽出し評価・識別します。評価・識別は、事業への影響度の観点で実施し、重要なリスクと機会を特定しており、特定したリスクについては、当社リスク管理規程に基づき管理しています。
(2)個別テーマ
(2)-1 人的資本・多様性
当社グループは、目標とする『先端の建設企業』を実現するため、従業員が持つ個性や能力が十分に発揮され、働きがいを持ち、社員が主体的に業務に取り組むエンゲージメントを向上させることで、人的資本の最大化を目指します。
エンゲージメントの向上については、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、人材育成、健康経営、働き方改革、女性活躍を中心とした人財戦略の各種施策の中で醸成を促します。
<人財戦略>
②ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と受容)
ダイバーシティ基本方針『Diversity Evolution』を掲げ、バックグラウンドやライフスタイル、考え方が異なる人の意見を柔軟に認め合いながら、社員一人一人がパフォーマンスを最大限に発揮し自己実現を果たすための環境を整備し、多様性のある優秀な人材の獲得・確保・育成に取り組んでいます。

③健康経営
経営トップ自らが健康管理最高責任者(CHO)となり、2018年9月に「健康経営宣言」を制定しました。従業員のさらなる心と体の健康づくりを推進し、安全で働きやすく、働きがいのある職場づくりを強力に進め、生産性の向上を図っています。そして、新しい価値の実現に挑戦し、多様な個性といきいきとした社風をつくり上げ、「もっと豊かな社会づくり」に貢献していきます。なお、健康経営推進組織体制は下図のとおりです。
④働き方改革
現場を含む従業員全員の週休二日(4週8休)の実現や従業員の健康増進、プライベートにおける時間の創出などに向け、働き方改革を推進しています。ハード面では、全社員へモバイルPC、スマートフォンを貸与し、在宅勤務を含むテレワーク勤務を推奨し、育児や介護などの事情を抱える従業員が安心して働き続けられる環境づくりに力を入れています。制度面では、フレックスタイム制度、時間単位の有給休暇制度、勤務間インターバル制度などを整備し、個々の事情や業務の繁閑期に応じて働き方を柔軟に選択できる環境づくりを進めています。また、ITツールを活用した業務効率化、時間外労働状況の見える化や目標設定、働き方改革に積極的に取り組む部署を表彰する働き方改革表彰や特別インセンティブの支給など、多角的な取り組みを推進しています。
また、当社においては「場所にとらわれない 新しい働き方の実現」を目的の一つとして2023年6月に本社を移転しました。関東を中心にサテライトオフィスの活用を進めるとともに、新本社の席数は現本社の6割以下として、社員のリモートワーク(週2回)を推奨しています。
⑤女性活躍推進
女性が生き生きと働き続け、より活躍できる組織を目指しています。具体的な取り組みとして、育児休業時間の延長、育児・介護フレックスタイム制度(短時間勤務を含む)、時間単位の有給休暇制度の導入、女性の意見を取り入れたユニフォームの採用などを実施しています。今年度から、産育休のより円滑な取得と復職を目的として、休職・復職前に上司、人事部、保健師を交えた面談、休職期間中の情報提供、交流会などの一連の支援プログラムを実施いたします。また、女性のキャリアアップを支援する施策として、ワークライフバランス研修、キャリア研修、スキル&リーダーシップ研修、女性キャリア支援会議なども行っています。
<指標及び目標>
当社は2024年の法改正、いわゆる「2024年問題」について、前倒しで対応を進めており、社内目標は改正後の数値に合わせたものになっております。「健康経営」「働き方改革」「女性活躍推進」の各種指標の実績は概ね向上しています。
■各種指標の実績と目標

(2)-2 気候変動問題への取組(TCFD提言に沿った気候変動問題の情報開示)
当社グループは、2022年7月に策定した2030年までの長期ビジョンの中で、立ち向かう社会課題に「気候変動問題」を挙げています。また、「地球環境保全」をマテリアリティ(重要課題)の一つとして特定しており、2021年10月に「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」へ賛同を表明しました。脱炭素社会の実現に向けて取組みを推進し、情報開示の充実を図っていきます。
<戦略>
①シナリオ分析
気候変動対応の具体的な検討は、脱炭素社会の実現を目指す2050年までを想定したシナリオに基づき、リスクと機会を特定し、具体的な戦略立案・対応策策定へと進めています。
今回実施した分析は、脱炭素トレンドが強まり移行リスク・機会の影響が大きくなる「1.5℃/2℃上昇シナリオ」と、気候変動が大きく進み物理的リスクの影響が強まる「4℃上昇シナリオ」の2つの気候変動シナリオに基づいています。
詳細は「TCFD開示に沿った気候変動問題の情報開示」を
②リスクと機会
当社グループにおいて想定されるリスクと機会は下記のとおりです。
■想定されるリスク(影響度大のみ記載)

■想定される機会(影響度大のみ記載)

③移行計画
当社グループでは、Scope1,2に比べてScope3の排出量が非常に大きく、その大半はカテゴリー1とカテゴリー11が占めています。カテゴリー1は調達する建設資材の製造における排出、カテゴリー11は施工した建物の使用時における排出が該当します。当社グループのScope1,2の排出源は、土木事業・建築事業における施工時の排出及びオフィスからの排出が大半を占めています。Scope1,2は「重機の低炭素化」「生産性の向上」「協力会社との協働」「省エネ推進や再エネ導入」により、Scope3は「建材の低炭素化」「原材料の使用料削減」「ZEBや再エネの推進」「地域脱炭素推進」などにより、バリューチェーン全体の排出量削減に取り組んでいきます。
■事業活動におけるScope1,2,3の推移と割合

※Scope3は削減計画を大きく上回るペースで削減が進んでいるが、これは以下の理由であり、完工物件の状況により変動する。
・2020年はごみ焼却場の建設があり、焼却時のCO2排出量を算入しているが、2021年、2022年はごみ焼却場の建設がなかったこと
・平均BEIは2020年の1.0から2022年は0.72まで低下したこと
・2022年は完工物件の面積が2021年に比べ約半分であったこと
<指標及び目標>
2023年2月に当社グループの2030年度までのCO2排出量削減目標が、SBTイニシアチブ※から「パリ協定における『産業革命前と比較して気温上昇を1.5℃未満に抑える水準と整合した目標』」の認定を取得しました。
この削減目標の達成に向けて、自社の脱炭素に向けた取り組みを進めていくとともに、世界的な脱炭素ビジネスの拡大を機会と捉え、当社が保有する再生可能エネルギー事業の拡大や、カーボンプライシング対策サービスを展開し、脱炭素ビジネスの担い手として事業を展開するために脱炭素ビジョンを策定しました。
※SBTイニシアチブ:CDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)、UNGC(国連グローバル・コンパクト)、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)が設立した共同イニシアチブ。企業に対してSBTの設定を推進している。
■脱炭素ビジョン

脱炭素ビジョンは、短期・中期・長期の視点に立ち、気候変動問題に対し当社グループがどのような存在になるのかを示した「定性ビジョン」とSBT目標の実現を目指す「定量ビジョン」に分けています。
定性ビジョンでは、2025年までに脱炭素に係わる独自の強みづくりに取り組み、2030年に「脱炭素ビジネスの担い手」になること、2050年には、気候変動問題の解決に寄与し続け、経営理念である「もっと豊かな社会づくりに貢献する」を実現します。
定量ビジョンは、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、2030年までに2020年度比でScope1,2において1.5℃水準である42%削減、Scope3ではWell Below2℃水準である25%削減を設定し、全社を挙げて脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速させていきます。なお、これらの目標はSBTイニシアチブの認定を受けています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 事業環境について
①建設市場の動向
国内外の景気後退や国及び地方公共団体の公共投資予算の削減等により、建設市場が著しく縮小した場合や今後競合他社との競争が激化し、民間工事における受注価格が下落する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、建設事業においては、ICT施工やDX戦略による省力化技術の確立により、市場の縮小にも柔軟に対応できる事業体質の構築に取り組んでおります。不動産開発事業・再生可能エネルギー事業を主とする関連事業による安定収益の拡大にも引き続き注力しており、直近2ヵ年においては当社利益の中核となっております。また、今後のさらなる市況の変化に備えR&D及び新規事業への投資も強化しており、持続可能な成長を可能とする収益基盤の変革を推進してまいります。
②人材確保に係るリスク
建設業界においては、建設技術者・技能労働者の高齢化が進み、計画的な人員確保の重要性が高まってきております。当社グループでは、計画的な人員確保に向けて採用の強化に努めておりますが、需給関係の急激な逼迫により人員確保が困難となった場合には、受注機会の喪失や納期遅延等の問題が発生する恐れがあり、業績に影響を与える可能性があります。
このリスクに対応するため、特に技能労働者の地位向上への取り組みとしてキャリアアップシステムの推進、優良職長認定制度、褒章につながる国土交通省の建設マスターへの推薦を行っております。また、DX化や独自の機械力を活用したICT施工による省人化、省力化施工によって施工効率の向上に挑戦してまいります。さらに、成果に見合った報酬が得られる人事制度の構築や、労働環境の改善等、働き方改革を推進しており、優秀な人財の確保を採用市場でアピールしてまいります。
当社グループでは、ダイバーシティ&インクルージョンの活動として、経営トップ自らが健康管理最高責任者(CHO)となり、2018年9月に「健康経営宣言」を制定しております。この活動推進に対して、経済産業省及び東京証券取引所が主催する2023年の「健康経営銘柄」に選出されました。健康経営銘柄は従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる上場企業を選定するものです。建設業では当社のみが選出(原則1業種1社)され、当社は2020年、2021年にも選定されており、今回で通算3回目となり、建設業では最多となりました。また、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人として、経済産業省と日本健康会議が共同で進める「健康経営優良法人~ホワイト500~」にも4年連続で選定されております。今後もさらに従業員の健康増進に向けた活動を推進してまいります。
③労務単価及び資材価格の高騰
建設工事の施工は長期間に及ぶものが多いことから、契約期間中に想定外に労務単価や工事用資材の価格が高騰する可能性があります。単価の高騰分について請負金額に反映できない場合には、業績に影響を与える可能性があります。
このリスクに対応するため、労務状況の常時確認や主要資材の市場価格調査を行い、資材・労務価格等の急激な変動に対しては先行調達や代替工法の提案等により対応しております。特に大きな影響が及ぶ可能性のある建築事業では、設計施工案件の割合を増加しており、フロントローディングの実行に繋げる体制整備を継続しております。
(2) 取引先の信用リスクについて
景気の減速や建設市場の縮小などにより、発注者、協力会社、共同施工会社の信用不安などが顕在化した場合、資金の回収不能や施工遅延を引き起こし、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、案件採択にあたっては、施主の信用調査を実施後、その内容について審査委員会で審議を行い、経営会議(大口のものについては取締役会)への結果報告を経て承認する手続きとしており、与信判定に応じた工事代金の受領・支払などの取引条件の確保に取組んでおります。
(3) 施工物の瑕疵について
継続的な施工教育の実施や、ISOなどの品質管理手法を活用した施工管理の徹底により、品質管理には万全を期しておりますが、万一施工物に関する重大な瑕疵があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、本社に品質管理担当部署をおき、品質管理基準に基づき全案件を同一目線で統括管理を行っております。また、現場巡回パトロールにおいて、品質管理項目を強化しているほか、施工上の難易度が高い現場は重点管理現場として、品質に関する監査を追加して実施しております。
(4) 建設活動に伴う事故について
建設事業は、作業環境や作業方法の特性から危険を伴うことも多く、他の産業に比べ事故発生率が高くなっております。人身や施工物などに関わる重大な事故が発生した場合、業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、工事着手にあたり施工計画を策定し、安全な作業環境を整え施工しております。また、徹底した安全教育の実施、危険予知活動や安全パトロールなどの災害を撲滅するための活動を実施しております。事業部門とは独立した安全品質環境本部が各現場へ安全パトロールを実施すると共に、過去事例や他社事例に基づき教育を行うなど、指導・監督の下、安全管理には十分に配慮された体制で施工を行っております。また、すべての工事において、建設工事保険、賠償責任保険等の付保によるリスクヘッジも行っております。
(5) 資産保有リスクについて
営業活動の必要性から、投資有価証券・事業用不動産等の資産を保有しておりますが、時価が著しく低下した場合、評価損や減損損失の計上等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、事業用資産については、案件毎に定期的に減損リスク等を把握し、投資有価証券については、個別銘柄ごとに、株式保有に伴うコストやリスク、営業上の便益等の経済合理性を総合的に勘案のうえ、保有意義を見直し、取締役会にて保有の適否を検証しております。
(6) 関連事業に係るリスクについて
①不動産開発
当社グループは関連事業として主力事業である土木事業及び建築事業とは求められるノウハウが異なる不動産開発事業を展開しております。当該事業に係るプロジェクトは事業期間が長期間にわたることから、事業環境に著しい変化が生じた場合や開発が想定とおりに進捗しない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、不動産開発事業は、関係部署による事前協議を行った上で、決裁基準に応じて経営会議・取締役会で厳格に判断を下しており、計画段階から着手後にかけて、常に事業リスクや環境変化の兆候を把握することに努め、適時適切に事業計画の点検と見直しを実施しております。
②太陽光発電
太陽光パネルの発電効率低下のリスクについては、適切なメンテナンス、モニタリングを実施する対策を取っておりますが、自然災害や事故等の原因で、発電所修復のための休業中に発電量が予定より大幅に減少した場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、自然災害や事故等の原因による施設等の被害に関しては、各種保険に加入することでリスクの軽減を図っております。
(7) 海外事業に伴うリスクについて
海外工事について、予期しない法律、規制、政策の変更、テロ紛争、伝染病等が発生した場合や、経済情勢の変化に伴う工事の縮小、延期等が行われた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、外貨建ての資産・負債を有しているため、為替レートの変動により為替差損が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、進出国の的確な情勢把握に努めており、テロ紛争・伝染病等の対応については、「海外緊急事態対応マニュアル」に基づき、役職員及び家族の安全を第一に捉え、進出国のリスク状況に応じては本邦への緊急搬送サービスや現地での適切な医療体制の確保の充実を図るなど危機管理体制の一層の強化に努めております。また、為替変動リスクに対応するため、予測しがたい急激な為替の変動に備え、必要に応じ為替予約などを通じ外貨建資産に対しヘッジを実施するなど、可能な限りリスクの回避をしております。
(8) 法的規制について
建設事業の遂行は、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、国土利用計画法、都市計画法、独占禁止法等により多数の法的規制を受けております。当社グループの各社では、特定建設業許可、一級建築士事務所登録、宅地建物取引業の許認可等を受けております。現時点において、当該許認可等の取消となる事由に抵触する事象は発生しておりませんが、将来、何らかの理由により、当該許認可等が取消され又はそれらの更新が認められない場合、もしくはこれらの法律等の改廃又は新たな法的規制の新設、適用基準の変更によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、常に建設業法をはじめとした各種関連法令の制定改廃動向を予め把握するとともに、役職員及び専門工事業者に対して法令遵守の啓発活動及び遵守状況のモニタリングを実施しております。
(9) 大規模災害に関するリスクについて
地震等の天災、人災等が発生したことにより、事業継続に深刻な支障をきたした場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、ゼネコンとしての社会的使命を果たすため、「事業継続計画」を策定しております。R&D拠点であるつくば未来センターと社員寮を、本社機能の代替拠点に設定し、臨機応変に対応できる体制を整えております。また、基幹システムはクラウドサービスを利用しております。サーバー群は停電、耐震性に優れたデータセンターに設置されており、データ保全もサービス内で実施されております。
なお、震災時の社員安否の確認には、「事業継続計画」に基づき「安否確認サービス」を利用し、状況を的確に把握した上で、災害時に迅速な事業活動が行えるよう準備をしております。今後更に災害時の情報共有を簡便且つ的確にできる仕組み、サービスを導入すべく取り組んでまいります。
(10) 情報セキュリティリスクについて
サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウィルスの侵入等による情報流出、重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、信用が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、当社グループでは、「情報セキュリティ基本方針」の定めに従い、「情報セキュリティ基本規程」を基に情報セキュリティ全般に関して、適切な情報管理を徹底するよう努めております。また、各要領・マニュアルに基づいた「社員教育」を徹底し、全社の推進レベルの向上を図ることで、浸透したテレワーク体制にも対応を図っております。
(11) 訴訟等に関するリスクについて
国内外の事業等に関連しての訴訟、紛争、その他法的手続きにおいて、当社グループの主張や予測と相違する結果となった場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、訴訟等につきましては、顧問弁護士等外部の専門家と緊密に連携し対応できる体制を構築しております。
(12) 工事における一定の期間にわたり収益を認識する方法について
当社グループは、一定の期間にわたり収益を認識する方法を適用しております。工事進捗度の見積りは、見積総原価に対する発生原価の割合をもって行い、工事請負総額に工事進捗度を乗じて完成工事高を算出しております。
工事案件ごとに継続的に見積総原価や予定工事期間の見直しを実施する等適切な原価管理に取り組んでおりますが、それらの見直しが必要になった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクに対応するため、現場の予算を基に、徹底した原価管理を行い、適宜決算に反映するようにしております。
(13) 気候変動リスクについて
気候変動により自然災害が激甚化傾向にあり、気候変動に伴う物理的リスクとして、施行中工事への被害や施工遅延、自社所有物件への被害等により、事業の継続性に影響を及ぼす可能性があります。
また、脱炭素社会への移行リスクとして、炭素税の導入や、工事施工に係る各種法規制の強化に伴う大幅な建設コストの増加により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、このような気候変動に伴う事業への影響を重要な経営課題の一つと捉え、2021年10月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明しており、2030年度までのCO2排出削減目標(いずれも2020年度比でScope1,2:42%削減、Scope3:25%削減)を設定するなど対応を進めております。
気候変動問題への取組につきまして、「サステナビリティに関する考え方及び取組」に詳細を記載しておりますので、そちらをご確認ください。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における我が国経済は、コロナ禍が終息に向かい、世の中の経済活動への制約が解消されつつあり、景気は穏やかに持ち直す傾向にあります。一方で、世界経済では、金融引締めや物価上昇、供給面での制約が続いており、我が国経済にも影響を及ぼす可能性があることから、引き続き注視が必要な状況にあります。
世界規模で進む気候変動問題に対しては各国の脱炭素の動きが活発化しており、日本においても政府が「GX実現に向けた基本方針」を本年2月に公表し、カーボンニュートラルへの官民投資の拡大が期待されます。
建設業界においては、災害対策をはじめとする公共投資が堅調に行われており、生産物流関係や都市開発などの民間投資も増加の傾向が見受けられます。一方で、建設資材高や人手不足による労務費の高騰などにより、採算性の悪化が生じており、依然として厳しい環境にあると認識しています。
このような状況のなか、当社は2022年7月に3カ年経営計画「中期経営計画2024」及び2030年までの長期ビジョン「社会課題を解決する『先端の建設企業』」を策定しました。中期経営計画では「『独自の強み』を創る」をミッションとして、「建設を『人』から『機械』へ」をスローガンに建設現場においては「機械化・DX」による省人化・合理化を進めて利益生産性の向上に取り組むこと、「新たな事業領域を構築する」をテーマに高付加価値が提供できる「強みのある領域」を創出して事業ポートフォリオ改革を推進することを掲げ、計数目標に「ROE 10%水準」「DOE 2.5~3.0%」を設定して企業活動を進めてきました。
しかし、2023年5月期の業績は、土木事業の特定大型造成現場での是正工事による追加原価の発生、建築事業における資材価格の上昇、資材不足、建設労務費の大幅増加により不採算工事が複数発生し、原価低減や追加工事獲得などにより収支改善をはかっているものの採算が低下しました。一方、関連事業は、不動産開発事業の販売用不動産の売却、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギー事業の安定的なストック収益により、好調を維持しています。以上から、当社グループの経営成績は以下のとおりとなりました。
当連結会計年度の経営成績については、売上高は154,202百万円(前連結会計年度比21.6%増)、売上総利益は13,944百万円(前連結会計年度比18.0%減)、営業利益は4,487百万円(前連結会計年度比43.6%減)となりました。また、経常利益は4,639百万円(前連結会計年度比44.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,291百万円(前連結会計年度比55.5%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。(セグメントの経営成績については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しており、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。)
なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおり、当連結会計年度の期首より、報告セグメント利益又は損失の算定方法の変更を行っております。以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後の報告セグメント利益又は損失の算定方法により作成した数値で比較しております。
(土木事業)
土木事業においては、売上高は大型工事の進捗が遅れたこと、当期の売上計上を見込んでいた工事の受注時期が翌期以降にずれ込んだことなどから46,997百万円(前連結会計年度比14.8%減)となりました。利益面では、売上高の下方修正に加えて、施工中の特定大型造成現場での是正工事において追加原価が発生し工事損失(工事損失引当金を含む)を計上したことによりセグメント損失2,544百万円(前連結会計年度は1,108百万円のセグメント利益)となりました。
建築事業においては、手持ち工事が順調に進捗したことで売上高は92,747百万円(前連結会計年度比57.2%増)となりました。セグメント利益は、資材価格の上昇、資材不足、建設労務費の大幅増加により不採算工事が複数発生し、原価低減や追加工事獲得等により収支改善をはかったものの501百万円(前連結会計年度比76.5%減)となりました。
関連事業においては、販売用不動産の売却により、売上高は16,014百万円(前連結会計年度比15.6%増)であり、セグメント利益は、8,427百万円(前連結会計年度比43.9%増)となりました。
地域ごとの業績は次のとおりであります。
日本国内での売上高は147,044百万円であり、営業利益は4,365百万円となりました。
アジアにおける売上高は7,158百万円であり、営業利益は121百万円となりました。
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
(注)売上実績においては、「外部顧客への売上高」について記載しております。
なお、参考のため、提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
提出会社の受注高(契約高)及び売上高の状況
(注) 1.前事業年度以前に受注したもので、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含んでおります。したがって、当期売上高にも係る増減額が含まれております。また、前事業年度以前に外貨建で受注したもので、当事業年度中の為替相場により請負金額に変更のあるものについても同様に処理しております。
2.当期受注高のうち海外工事の割合は前事業年度4.0%、当事業年度15.6%であります。そのうち主なものは次のとおりであります。
当事業年度 請負金額10億円以上の主なもの
② 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
(注) 1.海外工事の国別割合は以下のとおりであります。
2.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度 請負金額10億円以上の主なもの
当事業年度 請負金額10億円以上の主なもの
3.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
該当事項はありません。
当事業年度
大和ハウス工業株式会社 18,522百万円(13.6%)
④ 繰越高(2023年5月31日現在)
繰越工事のうち請負金額10億円以上の主なもの
資産は、受取手形・完成工事未収入金等22,497百万円、投資有価証券3,384百万円などの増加要因が、現金預金23,421百万円、建設仮勘定1,240百万円などの減少要因を上回ったことにより、前連結会計年度末比7,614百万円増の162,339百万円となりました。
②負債の部
負債は、支払手形・工事未払金等13,010百万円、工事損失引当金1,139百万円などの増加要因が、未成工事受入金3,009百万円、未払法人税等1,511百万円などの減少要因を上回ったことにより、前連結会計年度末比9,532百万円増の84,310百万円となりました。
③純資産の部
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益3,291百万円の計上、資本剰余金1,544百万円の減少、自己株式1,140百万円の増加及び配当金2,277百万円の支払いなどの結果、前連結会計年度末比1,917百万円減の78,029百万円となりました。なお、自己資本比率は、前連結会計年度末比3.2ポイント減の48.0%となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加22,486百万円、未成工事受入金の減少3,009百万円等の支出要因が、税金等調整前当期純利益4,839百万円の計上、仕入債務の増加13,010百万円等の収入要因を上回り、11,062百万円の支出超過(前連結会計年度は3,759百万円の収入超過)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出3,838百万円、投資有価証券の取得による支出2,922百万円等の支出要因が、投資有価証券の売却及び償還による収入413百万円、有形固定資産の売却による収入242百万円等の収入要因を上回り、6,314百万円の支出超過(前連結会計年度は4,331百万円の収入超過)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出2,911百万円等の支出要因が、長期借入れによる収入990百万円等の収入要因を上回り、6,121百万円の支出超過(前連結会計年度は8,082百万円の支出超過)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、23,749百万円(前連結会計年度末は47,170百万円)となりました。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工事の完成に要する外注費等の工事費や人件費等の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものであります。
これらの資金は、自己資金及び金融機関等からの借入により調達しており、当連結会計年度において、短期借入金及び長期借入金1,126百万円を調達しております。
当社グループは運転資金の効率的な調達を行うため、当連結会計年度末においては、5,400百万円の当座貸越契約、9,000百万円のコミットメントライン契約及び3,000百万円のリボルビング・クレジット・ファシリティ契約を締結しております。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積り及び判断が行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積り等については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる場合があります。
当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち,重要なものは以下のとおりであります。
(一定の期間にわたり収益を認識する方法による収益認識)
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件をもとに減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定を実施しておりますが、市況の変動などにより、これらの前提条件に変更が生じた場合、減損処理が必要となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
特記事項はありません。
当社グループの研究開発は、自動化・省力化、DXなど生産性を向上する差別化技術及び現場施工に密着した技術に積極的に取り組んでいることが特徴であります。
当連結会計年度の研究開発費は
(1) マシナリー×ICT(Information and Communication Technology)による土工の高速化・省力化技術の開発
土工事における省力化、生産性の向上を目的として、建設機械におけるICT活用の標準化を進めております。特に、高速走行が可能なスクレーパを技術導入することで工期短縮、省人化を可能とし、土工事に関する様々な情報の数値化を図ることで、最適な土工事を実現する施工管理システムの開発を行っております。また、工事の進捗管理にUAV(Unmanned Aerial Vehicle)を導入し3次元地形データを作成することで最適な運土計画を立案するとともに、台風・豪雨時等の土砂災害リスクをリアルタイムに評価し対策に反映させております。さらに、土量や土質性状の管理にAI/ICTを用いた評価手法を導入することによって、省人化や品質向上に関する開発を大学等との共同研究により進めております。
(2) 回転式破砕混合工法(ツイスター工法)の改良品質の高度化と適用性拡大
土質性状に応じた破砕混合メカニズムについて大学等と共同研究を実施して不良土改良技術の高度化を進めるとともに、適用性拡大を目的として「自走型」と「プラント型」の機械を新たに開発いたしました。自走型は機械装置のワンパッケージ化を実現したことで狭隘部での工事を可能としております。プラント型は組立解体に新規方式を採用することで大幅に工期短縮を実現しています。さらに、改質土の更なる高品質化とオペレーションの自動化を目的として、土の供給機のハード面での性能向上と土量の計測技術の開発を進めております。
リニューアル技術では、独自技術である機能性吸着材と国土開発工業㈱のエポキシ樹脂コンクリート補修製品を混和した、塩分吸着性能及び防錆性能を有する「ハイブリッドエポキシ樹脂」のNETIS登録が完了しております。ひび割れ注入・断面修復工法への適用を目的とした検証試験を実施し、その効果についてモニタリングを行っております。
独自の地盤改良技術である動圧密工法は、ICTを活用した施工・品質管理の高度化、省人化を進めており、静的地盤圧縮工法のリフューズプレス工法とともに現場条件に合わせた最終処分場の減容化技術として他社との差別化を図っております。
(5) 機能性吸着材
環境分野等への応用を目的に、機能性吸着材の技術開発を実施しております。世界の水問題の解決を目標に、途上国でも持続可能な機能性材料を用いた井戸水砒素処理技術の開発を進め、バングラデシュ人民共和国での現地実証試験を行っております。
(6) 福島エコクリート株式会社
福島エコクリートは福島県浜とおりの復興を目的とした「福島イノベーション・コースト構想」の実践企業に位置付けられており、SDGs実践の観点から地元産業副産物の「地産地消」、カーボンニュートラル時代への貢献を目指した技術開発に取り組んでおります。具体的には、次世代の石炭火力発電方式として期待されている石炭ガス化複合発電(IGCC)から発生するスラグ(CGS)、バイオマス灰の活用検討を行う他、石炭灰を主原料とした人工砕石のブルーカーボン領域としての環境修復材分野への適用、医療分野(人工透析排水処理)及び鉱山分野(酸性排水)の中和処理材への活用検討も実施しております。製品である石炭灰混合材料によるCO2固定量の最大化を目指した取組みも前期より継続して実施しております。
これらの技術開発は福島県の「実用化促進技術開発補助金事業」に採択されており、福島県と開発成果の共有化を図るとともに、南相馬市との連携協定の締結、地元大学(東北大、日本大工学部)との共同研究体制で実施することで、技術開発のスピード化、技術信頼性のアップ、社会実装の迅速化、地元への成果反映を図っております。
施工省力化・合理化技術
物流施設におけるコストトップランナーとなるべく、工事の省力化並びに合理化を図るための工法として高強度ステンレスによる鋼製型枠の開発、PCaユニット化、プレストレスの検討、ICT重機の活用、防火区画化壁のユニット化、無足場工法による施工及び機械化施工の検討を実施しています。今後、大型物流倉庫の案件に適用し生産性向上を目指します。
BIMを利用した支援技術
BIM(Building Information Modeling)の活用を進め、施工の省力化並びに品質向上を図っております。設備・建築総合モデルでの早期検証を確立し、案件でのフロントローディングを実施しております。また、構造モデルの積算活用を実施しており、業者選定時の査定業務の省力化及び利益率の向上を図ります。今後も業務効率を改善し、質の高い施工管理を目指します。
省エネ技術の実用化
省エネシステムの手法と再生可能エネルギーをセットとした再生エネ100%スキームを営業革新の一手として展開、生産工場への適用を図っております。また、オフィスビルやマンションに対してはZEB(Net Zero Energy Building)やZEH(Net Zero Energy House)の実現に向けた取り組みを進めております。
配筋検査システムの開発
当社を含めたゼネコン21社と共同開発契約を結び「配筋検査システム」の開発に取り組んでいます。この配筋検査システムは、AI(人工知能)を活用した鉄筋認識に関する技術により適切な配筋施工の実施を支援するシステムで、施工管理者の熟練度によらない効率的かつ正確な配筋検査を可能とし、鉄筋検査の業務時間削減へつなげます。今後も現場試行を継続的に実施し、より汎用性の高い機能の開発を引き続き進めてまいります。
研究開発活動は特段行われておりません。