第2【事業の状況】

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

   当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。

   なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)経営方針

  当社は、経営の基本方針として

 

 

わが社は信用と技術を基本として
お客さまに喜んでいただける安全で良質な

社会基盤を創造することを通じて

社会の繁栄に貢献するとともに

持続的に成長し家族に誇れる
働きがいのある企業をめざします。

 

 

を経営理念に掲げています。

  これは“株主・お客さま・取引先・従業員など関係あるすべてのステークホルダー”から「価値ある企業」として支持され、将来にわたりその存在を主張する基本理念です。

 

(2)経営戦略等

  当社は、令和3年5月に「グループ中期経営計画2021~2023~DX(デジタルトランスフォーメション)を原動力とした変革への挑戦~」を策定いたしました。

 

 [グループ中期経営計画の概要]

1.計画期間  2021年度~2023年度(3カ年)

 2.取組方針  ~DXを原動力とした変革への挑戦~

         (2つの基盤)① 安全を基軸とした社会的信頼の向上

                ② デジタル技術やICTの活用による業務変革の推進

         (3つの柱) ③ 技術力・営業力向上によるお客さま満足実現と収益拡充

                ④ 企業グループの連携強化

                ⑤ 働きがいの創出と社員の幸せの実現

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

  当社を取り巻く経営環境が大きく変化する中、経営課題をしっかりと認識し、力強くグループ全体が発展し、ステークホルダーの満足度を高めていけるように、今後3年間の目標設定をしておりました。しかしながら、令和4年度における受注内定案件の契約時期の遅れや予期せぬ事象による手持大型工事の進捗の後ろ倒し等に伴う施工高の減少、建設物価の高騰等による利益率の低下を勘案し、「中期経営計画2021~2023」を推進していく方針に変更はないものの、中期経営計画の数値について見直しを行い、以下の内容としました。

 

  中期経営計画最終年度(2023年度) 連結売上高 1,730億円(1,890億円)、連結営業利益 16億円(86億円

  ※カッコ内の数値は、「中期経営計画2021~2023」に記載の計画値

 

 

(4)経営環境

 わが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響は残るものの行動制限が緩和され社会経済活動が正常化に向かうなか、景気は緩やかな回復傾向が続きました。一方でエネルギー・食料価格の高騰や世界的な金融引締め等による円安により国内経済景気の押し下げ圧力が強くなりました。

 建設業界におきましては、各種政策の効果もあり、公共投資は底堅く推移、民間投資については、住宅建設は回復の動きが続き、企業の設備投資は持ち直しの動きが見られるものの、資材価格の高騰の高止まりや需給逼迫による建設コストの増加、技能労働者の需給状況により、厳しい経営環境が続く状況にありました。

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

 今後のわが国経済の見通しにつきましては、コロナ禍による社会活動への制約がほぼ解消され、感染症法上の見直しが図られるなど、withコロナの生活が浸透し、経済活動との両立により国内景気は回復基調になることが予想されます。ただし、資材価格の高騰、エネルギー高、物流コスト高の影響に十分注意する必要があります。

 建設業界におきまして、公共投資、住宅建設は底堅く推移していくことが見込まれ、企業の設備投資については持ち直していくことが期待されます。また、慢性的な技能労働者不足や高齢化など担い手確保の問題に直面しており、業界を取り巻く環境は依然として厳しさを増しています。

 このような状況のなか、当社におきましては「中期経営計画2021~2023」の最終年度として、人材・技術・デジタル化推進・脱炭素社会実現に向けた取組などへの必要な投資を進め、次代に向け企業体質を強化するため、

   1.安全・品質・環境を基軸とした持続可能な社会の実現

   2.デジタル技術やICTの活用による業務変革(DX)の推進

   3.技術力・営業力向上によるお客さま満足実現と収益拡充

   4.企業グループの連携強化

   5.働きがいの創出と社員の幸せの実現

に取り組んでまいります。これらの5つの取組方針の総仕上げを行い、DXを原動力とした業務変革のもとで利益を追求し、「ステークホルダーの満足度向上」、「持続可能社会実現への貢献」の実現を目指してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。なお、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものです。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティ経営を推進し、社会的価値と経済的価値の両立をめざした方針及び施策を策定する機関として、社長を委員長とした経営層をメンバーとする「サステナビリティ推進委員会」を設置しました。委員会は、四半期に1回開催し、気候変動を含むサステナビリティ推進に係る具体的な方針及び計画の策定に関する事項、啓発、教育及び研修に関する事項、調査、サステナビリティ経営実施状況の検証に関する事項の審議決定を行い、重要な事項については取締役会に付議し、社内決定を行います。

 

(2)戦略

①気候変動

 当社グループは、土木事業・建築事業・新規事業を対象に、気候変動に関連する中長期的なリスクと機会を特定しました。特定したリスクと機会に対しては、複数のシナリオ分析(下記参照)により、2030年と2050年において当社の事業に与える財務影響(大・中・小の3段階で評価)について検討しました。なお、財務影響の重要なものについては、対応策を策定し、年度毎に進捗状況を把握するとともに、社会の動向を踏まえ見直しを図っていきます。

 

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②人材育成方針

 当社グループが持続的に成長をしていくためには人材の育成が不可欠です。物事に前向きに取り組み、自ら考え行動し問題を解決できる社員や、困難な状況にあっても最後までやり遂げ目標を達成できる社員を育成するために、年代や職責に応じた階層別研修のほか、職種別の専門研修やマネジメント研修を充実させています。ほかにも、職種ごとの人材育成ロードマップを定め、注力する分野や高い専門性が必要となる業務について、必須となる資格を明確に定め、将来を見据えた人材配置や計画的な人事ローテーションにより、若い年代からさまざまな経験を積ませることで、個人の能力向上や発掘を進めながら人材の育成を行っています。

 主な取り組みは以下のとおりです。

・人材育成への取り組み

 工場や設備を持たない建設会社では社員そのものが会社であり、会社が持続的に成長していくためには人材の育成が不可欠です。そのため近年は特に人材育成に力を入れ、2022年8月には、社員が目指すべき方向性を示した「人材育成ロードマップ」の見直しを行い、2023年3月にはロードマップに基づいたステップアップ状況を上司と部下で確認できるツールとして「人材育成シート」を新たに制定しました。半期ごとに実施している目標管理面談の際にお互いがシートを確認することでコミュニケーションを図り、職場の活性化にも繋がる制度として運用中です。中期経営計画の最終年度である2023年度は、これらのツールを活用することで若手の早期育成により一層取り組んでまいります。

・入社年次に応じた階層別研修

 将来を担う人材を育成するため、入社年次に応じた階層別研修を実施しています。新入社員研修、新入社員フォロー研修、2年目、3年目、4年目、5年目(土木・機電・建築・建築設備職のみ)、6年目(建築)、7年目研修といった、社員の早期育成を目的とした研修を行うとともに、DX研修やサステナビリティ研修など時世に応じた研修も取り入れています。また、これらの研修は当社保有の研修施設「建設技術総合センター」にて実施し、屋内研修に加え屋外研修で実践に近い教育を行うことで、経験に基づいた安全や技術に関する知識を学ぶことができます。中堅層以降も、新任主席研修、新任管理職研修や評価者研修を実施し、社員のマネジメント能力向上に取り組んでいます。

・安全を担う人づくり

 当社では、入社5年次の全ての社員を対象に、現場実務に即した「安全に対する基礎知識の習得」を目的とした、安全基礎研修を実施しています。6か月間の研修では、通信教育や現場パトロールへの参加、安全会議への出席、外部講習の受講、レポートの提出などを行い、若手社員の安全レベルの向上に取り組んでいます。2022年度の研修には56名(通期)が受講しました。

・作業所安全教育

 2022年5月より、社員の安全知識の向上、安全教育の習慣化、作業所のコミュニケーションの活性化を図ることを目的に、作業所長を実施者とした作業所全社員を対象とした「安全教育の日」を設け、作業所における安全風土の醸成をめざし、自主的な議論の場を月1回実施しています。目の前の業務をこなすことだけを覚えさせるのではなく、「安全」について、継続的な教育を実施し、安全教育の浸透、教える側の成長を促し、鉄建建設の安全文化として根付くことにより、「究極の安全」をめざしていきます。

・建設技術総合センターでの教育訓練

 千葉県成田市にある建設技術総合センターには、約150mの複線軌道(実習線)や、対面式の駅のホーム、踏切、さらに工事状況再現エリア、軌道変状再現エリアなど、実物と同じ鉄道設備を設置しています。この施設では、実際の鉄道施設と同じ設備で研修・訓練を行うことができ、机上の知識だけでは得られない安全のノウハウを体感習得し、万が一の際に対応できる能力を磨くことができます。また、屋内研修設備として、当社がこれまでに起こした事故から得た教訓を風化させることなく、次代へ引き継ぐために「事故の情報展示館」と「川崎駅構内列車脱線事故の展示館」を設置しています。ここでは当社グループの社員教育だけでなく、鉄道工事に携わる他の建設会社や鉄道事業者、設計コンサルタント会社の方々などを対象にさまざまな研修を行っています。

 

③社内環境整備方針

 当社グループは、適材適所の人材配置により、一人ひとりの従業員が適性を生かし、主体性を発揮できる「自己実現企業」をめざし、豊かで幸福な家庭生活が築けるよう努めます。私たちは、一人ひとりのプライバシーを尊重し、個人情報の適正管理や公正で明るい職場づくりに努め、従業員それぞれの能力を十分に発揮できる環境を実現します。

 主な取り組みは以下のとおりです。

・両立支援制度の充実と風土づくり

 当社では、社員のワークライフバランスを大切に考え、社員が育児や介護等をしながらでも、安心して働き続けられるよう各種両立支援制度の充実化に取り組んでいます。なかでも、男性社員の育児休業取得促進に向けた取り組みを積極的に行っており、育児休業を1か月まで有給としているほか、対象の子が2歳になるまで特別な事由がなくとも育児休業を取得できるなど、法定を上回る制度を導入しています。また、eラーニングやWEB社内報を通した周知啓発も継続的に実施しており、男性社員の育児休業取得率は年々上昇しています。さらなる制度の利用促進を図るため、2022年4月には、「育児休業意向確認面談システム」を導入し、育児期社員への制度周知、上司による育児休業取得意向の確認、フォロー体制整備のための情報共有など、一連の流れをシステム化しました。今後も引き続き、誰もがワークとライフを両立できる職場環境づくりを推進していきます。

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・ダイバーシティ & インクルージョンの推進 「多様な人材の活躍」

 当社では、若い世代を中心に女性技術者が活躍の場を広げています。女性をはじめ、誰もが働きやすい職場環境を実現するため、独自の現場環境整備マニュアルを運用し、現場環境整備に努めています。また、女性のさらなる活躍を推進するため、2022年3月に女性活躍推進ワーキンググループ(以下、ワーキング)を立ち上げ、部署の垣根を超え様々な課題の解決に取り組んでいます。ワーキングでは、アンコンシャス・バイアス研修を全国で実施し啓発活動を行ったほか、生理以外の婦人系の体調不良でも取得できる女性健康サポート休暇を新設するなど女性特有の健康課題にも取り組みました。こうした活動のなか、2022年5月に女性の活躍推進状況が優良な企業として、厚生労働大臣より最高位である「えるぼし認定3段階」を取得しています。

・社員と役員との意見交換会

 当社は2014年度から、経営幹部が建設現場を訪れる特別安全パトロールに合わせて意見交換会を実施し、社員の意見や要望に真摯に向き合い、組織内のコミュニケーションと参加者の声を重視しています。意見交換会は、経営幹部と社員の間で直接コミュニケーションを図る機会を提供し、現場の声や意見を受け入れることで、課題や問題点を共有し、改善策を議論することができます。社員からの意見や要望は、労働時間や福利厚生、人材育成などに関する改善の方向性を示す重要な情報です。経営幹部がこれらの意見に耳を傾け、具体的な対策を検討することで、社員の働きやすさや満足度の向上につながります。出された意見は集約され、経営幹部が議論した結果を全社員に公開することで、透明性と信頼性を確保します。社員が自身の意見が反映されたことを知ることで、組織内の意見交換と改善プロセスに対する参加意欲が高まります。意見交換会とその結果の公開により、社員の参加意欲と意識向上を促し、組織全体の改善と発展に寄与しています。

 

 詳細は、「Corporate Report 2022 統合報告書 サステナビリティマネジメント」をご参照ください。

 

(3)リスク管理

 当社は、サステナビリティ推進委員会事務局が中心となり、各部門と連携して「サステナビリティ推進委員会」で気候変動に関連するリスクと機会について議論し、評価しています。その対応策については、今後「サステナビリティ推進委員会」で実施状況を検証し、改善します。「サステナビリティ推進委員会」で検証した気候変動に関連するリスクについては、「リスク管理委員会」において、他のリスクと共に取り纏め、重要な事項については取締役会に報告または付議し審議します。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは、地球環境をよりよき状態で次世代に引き継ぐために、地球的視野に立った活動を継続的に行うという企業活動指針のもと、地球環境の維持向上という重要な経営課題に向き合い、社会的価値と経済的価値の創造を両立させる取り組みを進めています。これを踏まえ、提出会社は、GHG(温室効果ガス。主にCO)の排出量及び削減目標を重要な指標及び目標としています。提出会社のScope1&2における2020年度のCO 排出量は、33,681 t-COでした。提出会社は、2030年のCO排出量削減(総量)目標(基準年の2020年度比△42%)に加えて、2050年の長期目標(カーボン・オフセットを含んだカーボンニュートラルの達成)を設定し、事業活動におけるCO排出削減の取り組みを推進しています。今後も、より多くのCO排出量削減のため短中期のCO削減目標の見直しを行っていきます。

 なお、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異については、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載のとおりです。

 

3【事業等のリスク】

     有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

    なお、文中における将来予測は、当連結会計年度末(令和5年3月31日)現在において判断したものです。

 

  (1)公共事業投資額の予想を上回る減少

当社グループの売上高のうち重要な部分を占める建設事業は、公共事業の投資額に大きな影響を受けます。公共投資は変動があるため、それをカバーするべく技術を中心とした体制の構築、建築部門の営業力・収益力の強化等の施策を講じています。しかし、予想を上回る減少となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

  (2)製品の欠陥による重大な瑕疵の発生

品質管理には万全を期していますが、重大な瑕疵による損害賠償が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

  (3)災害、事故の発生

施工中の防災及び事故防止には万全を期していますが、予期しない原因などにより工事事故や労働災害が発生する可能性があります。この場合、損害賠償や指名停止などによる受注機会の減少により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

   (4)自然災害によるリスク

   地震・洪水・台風等の自然災害により事業活動の停止や施工中物件の復旧に多額の費用と時間を要する等の直接的な影響を受ける可能性があります。さらに、電力・水道・燃料の使用制限をはじめとしたインフラ機能の低下、仕入先の被災による材料調達の停滞等の間接的な影響も受ける可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

  (5)取引先の信用不安

当社グループの主たる事業である建設事業においては、工事一件あたりの取引金額が大きいため、お客さまや協力会社の業績が悪化し信用不安に陥った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

  (6)資材・労務費等の高騰による工事原価の増加

請負契約後、原材料価格・労務費等が高騰した際、それを請負金額に反映できない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

  (7)当社保有資産の価値下落

当社グループでは建設事業・不動産事業と関連して販売用不動産や有価証券等を保有しており、これらの資産価値が景気変動等により著しく下落した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

  (8)金利の上昇

当社グループは金利上昇を見込んだ経営を行っていますが、請負業という建設事業の特性により、立替金が少なからず発生し、一定水準の有利子負債が必要となります。よって、金利が著しく上昇した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

  (9)海外事業に伴うリスク

海外での工事においては、戦争・テロ・紛争の発生、その国の経済状況・政治状況の変動、予期しない法律・規制の変更及び為替相場の大幅な変動等が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、特に過去の施工実績の乏しい国の案件では、現地の協力会社と取引実績が乏しく、かつ、当該工事内容についての協力会社の施工経験が多くない場合、工事の進捗効率を見積ることに関して不確実性が高まる特徴があります。このような特徴を持つ案件では、実行予算の工事原価総額の見積りに不確実性を伴うため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

  (10)法的規制

当社グループの事業は、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、独占禁止法等により法的規制を受けています。これら法律の改廃、法的規制の新設、適用基準の変更や万一これらの法令に抵触する事象が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

  (11)繰延税金資産

当社グループでは、今後の課税所得等に関する予測に基づき繰延税金資産を計上しておりますが、将来の課税所得見積額の変更等により一部回収が困難であると判断した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (12)サイバー攻撃

マルウェア等のサイバー攻撃によるデータの破壊や改ざん、情報漏洩等の被害があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 (13)感染症の世界的な流行

  新型コロナウイルス感染症については、令和5年5月から感染症法上の取扱いが5類に変更されますが、今後、何らかの感染症の流行が世界的な規模で拡大した場合、個人消費の低下、企業収益の悪化など厳しい状況となり、感染症が内外経済を下振れさせるリスクや金融市場の変動の影響が懸念され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(注)土木工事・建築工事を一括し、「建設事業」として記載しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

  ①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響は残るものの行動制限が緩和され社会経済活動が正常化に向かうなか、景気は緩やかな回復傾向が続きました。一方でエネルギー・食料価格の高騰や世界的な金融引締め等による円安により国内経済景気の押し下げ圧力が強くなりました。

 建設業界におきましては、各種政策の効果もあり、公共投資は底堅く推移、民間投資については、住宅建設は回復の動きが続き、企業の設備投資は持ち直しの動きが見られるものの、資材価格の高騰の高止まりや需給逼迫による建設コストの増加、技能労働者の需給状況により、厳しい経営環境が続く状況にありました。

 このような状況のなか、当社におきましては、「中期経営計画2021~2023」の2年目として、デジタル環境整備の更なる促進と、働き方改革の推進・定着に取り組みました。また、サステナビリティ経営を推進し、TCFD提言に則った情報開示を行い、持続可能な社会の実現に向け、社会的価値と経済的価値の両立を目指し取り組みました。

 当連結会計年度の財政状態及び経営成績に与える新型コロナウイルス感染症の影響は軽微であるものとして連結財務諸表を作成しており、この結果は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ10,317百万円増加(6.0%増)し183,396百万円となりました。主な要因は、受取手形・完成工事未収入金等の増加5,878百万円、土地の増加4,268百万円です。負債合計は、前連結会計年度末に比べ8,705百万円増加(8.0%増)し117,852百万円となりました。主な要因は、支払手形・工事未払金等の増加9,561百万円、預り金の増加2,080百万円、その他流動負債の減少3,431百万円です。純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,612百万円増加(2.5%増)し65,543百万円となりました。主な要因は、利益剰余金の増加1,662百万円です。

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の36.7%に対して1.2ポイント減少の35.5%となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、前連結会計年度と比較すると、売上高は9,192百万円増加(6.1%増)し160,743百万円となりました。売上高の増加は、主に完成工事高の増加によるものです。土木工事は399百万円減少したものの(0.5%減)、建築工事が9,605百万円(15.3%増)、工事施工高の増加等に伴い増加しています。

 売上総利益は、前連結会計年度比3,135百万円減少(20.8%減)し11,973百万円となりました。これは、建設物価の高騰などによる利益率の低下に加え、一部の海外工事において採算悪化に伴う工事損失引当金繰入額を含む工事損失を計上したことなどによる完成工事総利益の減少が主な要因です。従業員給料手当、研究開発費の増加等により、販売費及び一般管理費が前連結会計年度比878百万円増加(8.9%増)し、営業利益は前連結会計年度比4,014百万円減少(76.5%減)の1,233百万円となりました。営業外収支は為替差損の計上、支払利息の増加等により前連結会計年度比1,244百万円の悪化となり、経常利益は前連結会計年度比5,258百万円減少(84.5%減)の965百万円となりました。

 投資有価証券売却益1,192百万円、固定資産売却益4,198百万円の特別利益が計上された一方で、貸倒引当金繰入額2,294百万円など合計2,676百万円の特別損失が計上され、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度比2,620百万円減少(41.6%減)の3,680百万円となりました。

 税金等調整前当期純利益の減少に伴い、税金費用が前連結会計年度比276百万円減少(17.4%減)の1,312百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比2,345百万円減少(49.8%減)の2,360百万円となりました。

 

 セグメントの業績は次のとおりです。(セグメントごとの業績については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しています。)

 

    (土木工事)

 土木工事については、売上高85,551百万円(前連結会計年度比0.5%減)、セグメント利益1,798百万円(前連結会計年度比62.7%減)となりました。

    (建築工事)

 建築工事については、売上高72,389百万円(前連結会計年度比15.4%増)、セグメント損失1,086百万円(前連結会計年度はセグメント損失225百万円)となりました。

    (不動産事業)

 不動産事業については、売上高2,871百万円(前連結会計年度比1.8%増)、セグメント利益283百万円(前連結会計年度比26.6%減)となりました。

    (付帯事業)

 付帯事業については、売上高3,183百万円(前連結会計年度比9.1%減)、セグメント利益64百万円(前連結会計年度比3.8%減)となりました。

    (その他)

 その他については、売上高241百万円(前連結会計年度比38.6%減)、セグメント利益162百万円(前連結会計年度比19.3%減)となりました。

 

  ②キャッシュ・フローの状況

   営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の増加9,561百万円、税金等調整前当期純利益3,680百万円などの増加要因があったものの、売上債権の増加5,889百万円、有形固定資産売却益4,185百万円などの減少要因があり、219百万円の資金減少(前連結会計年度は5,273百万円の資金増加)となりました。

   投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入5,447百万円などの増加要因があったものの、有形固定資産の取得による支出7,503百万円、その他の関係会社有価証券の取得による支出1,999百万円などの減少要因があり、2,489百万円の資金減少(前連結会計年度は810百万円の資金減少)となりました。

   財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額1,207百万円などの減少要因があったものの、借入金(短期及び長期)の増加1,058百万円などの増加要因により、580百万円の資金増加(前連結会計年度は3,430百万円の資金減少)となりました。

   以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,115百万円(11.0%)減少し17,189百万円となりました。

 

  ③生産、受注及び販売の実績

 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載していません。

 なお、参考に提出会社個別の事業の状況を「提出会社の受注工事高及び完成工事高の状況」に記載しています。

 a.受注実績

セグメントの名称

 

前連結会計年度(百万円)

(自令和3年4月1日

至令和4年3月31日)

 

 

当連結会計年度(百万円)

(自令和4年4月1日

至令和5年3月31日)

 

  土木工事

70,912

98,996(39.6%増)

  建築工事

81,480

90,077(10.6%増)

合 計

152,393

189,074(24.1%増)

 (注) 当社グループにおいては土木工事・建築工事以外は受注生産を行っていません。

 

 b.売上実績

セグメントの名称

 

前連結会計年度(百万円)

(自令和3年4月1日

至令和4年3月31日)

 

 

当連結会計年度(百万円)

(自令和4年4月1日

至令和5年3月31日)

 

  土木工事

85,951

85,551 (0.5%減)

  建築工事

62,596

72,202(15.3%増)

  不動産事業

2,549

2,633 (3.3%増)

  付帯事業

61

115(87.9%増)

報告セグメント計

151,158

160,502 (6.2%増)

  その他

392

241(38.6%減)

合 計

151,551

160,743 (6.1%増)

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しています。

 

(2)提出会社の受注工事高及び完成工事高の状況

 ①受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高

期 別

区 分

前期繰越工事高

(百万円)

当期受注工事高

(百万円)

(百万円)

当期完成工事高

(百万円)

次期繰越工事高

(百万円)

第81期

(自令和3年4月1日

至令和4年3月31日)

土木工事

155,566

70,206

225,773

85,253

140,519

建築工事

75,998

81,480

157,479

62,733

94,746

231,565

151,687

383,253

147,987

235,266

第82期

(自令和4年4月1日

至令和5年3月31日)

土木工事

140,519

97,773

238,293

84,632

153,661

建築工事

94,746

90,097

184,843

72,389

112,454

235,266

187,871

423,137

157,022

266,115

(注)前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に増減のあるものについては、当事業年度受注工事高にその増減額を含みます。したがって、当事業年度売上高にもかかる増減額が含まれます。また、前事業年度以前に外貨建で受注した工事で、当事業年度中の為替相場の変動により請負金額に増減のあるものについても同様に処理しています。

 

②受注工事高の受注方法別比率

 工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

第81期

(自 令和3年4月1日

至 令和4年3月31日)

土木工事

30.4

69.6

100.0

建築工事

50.0

50.0

100.0

第82期

(自 令和4年4月1日

至 令和5年3月31日)

土木工事

22.1

77.9

100.0

建築工事

51.4

48.6

100.0

 (注) 百分比は請負金額比です。

 

③完成工事高

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

第81期

(自 令和3年4月1日

至 令和4年3月31日)

土木工事

38,342

46,911

85,253

建築工事

6,755

55,977

62,733

45,098

102,889

147,987

第82期

(自 令和4年4月1日

至 令和5年3月31日)

土木工事

38,737

45,894

84,632

建築工事

4,580

67,809

72,389

43,318

113,704

157,022

(注)1.完成工事のうち主なものは、次のとおりです。

第81期

東日本旅客鉄道(株)

田町・品川間山手線・京浜東北線線路移設他

東日本旅客鉄道(株)

奥羽本線青森駅東西自由通路新設・駅舎改築他

東京都

新宿歩行者専用道第2号線Ⅲ期-1工区整備工事(30三-主4青梅街道)

東日本高速道路(株)

常磐自動車道 四倉工事

(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構

北陸新幹線、梯川橋りょう他

(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構

北陸新幹線、富山電車留置線(仮称)上家新築他

カンボジア国公共工事交通省

カンボジア国道5号線改修工事(バッタンバン-シソポン間)CP1

(医)博栄会

(仮称)博栄会赤羽中央総合病院・東京シニアケアセンター赤羽新築工事

サンヨーホームズ(株)

(仮称)サンメゾン春日原マンション新築工事

(学)共生学園

新横浜歯科衛生士・歯科技工士専門学校新築工事

 

第82期

東日本旅客鉄道(株)

南武線上丸子こ線橋架替他

東日本旅客鉄道(株)

原宿駅改良

東日本旅客鉄道(株)

羽越本線羽後本荘駅本屋・東西自由通路新設他

国土交通省

大野油坂道路和泉トンネル岡畑地区工事

最高裁判所

東京高地裁中目黒分室(仮称)庁舎新営建築工事

(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構

北海道新幹線、昆布トンネル(桂台)他

西日本旅客鉄道(株)

奈良線黄檗・宇治間路盤新設他工事

東京地下鉄(株)

千代田線北千住駅浸水対策に伴う乗降場広間ほか改良建築工事

(株)JR東日本ビルディング

(仮称)西五反田3丁目プロジェクトA棟新築工事

(同)かがやきシニアレジデンス

(仮称)江東区東雲1丁目複合プロジェクト

 

   2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は次のとおりです。

第81期

 東日本旅客鉄道(株) 43,787百万円 29.6%

第82期

 東日本旅客鉄道(株) 40,913百万円 26.1%

 

④手持工事高

令和5年3月31日現在

 

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

土木工事

82,511

71,149

153,661

建築工事

9,122

103,331

112,454

91,634

174,480

266,115

(注)手持工事のうち主なものは、次のとおりです。

東日本旅客鉄道(株)

品川駅構内京急八ツ山橋りょう架け替え他

令和9年3月

完成予定

東日本旅客鉄道(株)

田町駅東西自由通路拡幅整備他

令和10年2月

完成予定

東日本旅客鉄道(株)

上越幹新潟駅旅客上家屋根改修他2

令和7年10月

完成予定

防衛省

三沢米軍(4)格納庫(0408)新設建築その他工事

令和7年3月

完成予定

(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構

中央新幹線、釜無川橋りょう他

令和8年8月

完成予定

中日本高速道路(株)

東海環状自動車道 御望山トンネル工事

令和6年4月

完成予定

西日本高速道路(株)

米子自動車道 谷川トンネル 他1トンネル工事

令和6年12月

完成予定

ヒューリック(株)

(仮称)横浜山下町開発計画 新築工事

令和6年11月

完成予定

エヌ・ティ・ティ都市開発(株)

(仮称)品川区西大井二丁目賃貸住宅新築工事

令和5年8月

完成予定

(株)ジェイアール東日本都市開発

小岩SCリニューアル(Ⅰ期)に伴う撤去工事及び改装工事

令和5年5月

完成予定

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況による分析・検討内容

   経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

   なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

  a.経営成績等

   1)財政状態

    (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりです。

 

   2)経営成績

    (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりです。

 

  b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 新型コロナウイルスの感染症法上の見直しがなされ、社会経済活動が正常化に向かうなか、政府建設投資及び民間建設投資はわずかながらも増加が見込まれております。しかしながら、資材・エネルギー価格は高止まりしており、激しい受注競争は継続しています。企画提案力・設計力、コスト競争力を強化し、引き続き当社の得意分野である鉄道分野の事業展開を図るとともに、防災、社会インフラの更新、リニューアル工事など拡大分野の見極めが重要と考えています。

 また、デジタル技術等の活用や労働時間削減など、施工環境にも大きな変化が起きていると認識しています。

 

   〔今後の市場環境〕

    ・社会基盤(トンネル、橋梁、河川施設等)の更新工事拡大や激甚災害への対応

    ・ECI、設計施工等、提案型案件の拡大

    (鉄道分野)

    ・ポストコロナにおける利用者減少を前提にした事業構造の変化

    ・大規模ターミナル開発(品川、渋谷等)の推進

    ・老朽設備の大規模修繕工事拡大

 

   〔今後の施工環境〕

    ・労働基準法改正に伴う労働時間上限規制への対応

    ・ICT、ロボット等の活用拡大

    ・建設業における環境配慮の高まり

    (鉄道分野)

    ・営業線近接工事の効率化

 

 このような状況のなか、当社におきましては、「中期経営計画2021〜2023」の2年目として、デジタル環境整備の更なる促進と、働き方改革の推進・定着に取り組みました。また、サステナビリティ経営を推進し、TCFD提言に則った情報開示を行い、持続可能な社会の実現に向け、社会的価値と経済的価値の両立を目指し取り組みました。

 当連結会計年度の財政状態及び経営成績に与える新型コロナウイルス感染症の影響は軽微であるものとして連結財務諸表を作成していますが、今後、新型コロナウイルスの更なる変異や新たなパンデミックが発生し、社会経済活動に大きな影響が現れた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

  c.経営方針、経営戦略、経営上の達成状況を判断するための客観的な指標等

   第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するた

  めの客観的な指標に記載のとおりです。

 

  d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析検討内容

   (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりです。

 

 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

  a.キャッシュ・フローの状況

   (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況に記載のとおりです。

 

  b.資金需要

   当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、土木事業と建築事業により構成される建設事業に関

  わる資機材及び外注業者に支払われる工事代金、各事業の一般管理費等があります。また、設備資金需要としては、

  不動産投資に加え、情報処理の為の無形固定資産があります。

 

  c.財政施策

   当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借

  入により資金調達を行っています。

   当社グループの主要な事業である建設事業の資金の調達にあたっては、担当部署が各部署からの報告に基づき適時

  資金計画を作成・更新し、適正に管理しています。

   また、顧客からの工事代金については、社内規程に従って、取引先ごとの期日管理及び残高管理を行うとともに、

  主な取引先の信用状況を適宜把握する体制としています。

 

 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる見積りによっている部分があり、見積り特有の不確実性のために、実際の結果が見積りと異なることがあります。

 重要な会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりです。

 完成工事高の計上は、履行義務の充足に係る進捗率の合理的な見積りができる工事については履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しています。当該収益の認識にあたり適切に見積りをおこなっていますが、見積り特有の不確実性のために、実際の結果が見積りと異なることがあります。

 また、貸倒引当金の計上に当たっては、工事収支の見積金額や、現地事情等に基づき合理的に算定しておりますが、見積り特有の不確実性のために、実際の結果が見積りと異なることがあります。

 なお、詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載されているとおりです。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

    経営上の重要な契約等につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記

   事項(重要な後発事象)」をご参照ください。

 

6【研究開発活動】

 当社の研究開発においては、工事の生産性向上、安全性、品質の向上を図り、長期的な安定受注を図るという技術戦略に基づき、年々テーマ数を増やすとともに、持続可能な社会の実現に向けたサステナブル推進に関するテーマなど多くの研究開発に挑戦し取り組んでいます。

 本年度はICT技術の活用・建設DX推進によりヒューマンエラー防止に資するシステムの開発、遠隔施工システムの開発、鉄道・大規模更新工事を見据えた新たな施工技術の開発を進め、技術力のさらなる向上に努めます。また、保有工法のブラッシュアップにより他社との差別化を図っていきます。

 当連結会計年度の研究開発費は966百万円(土木工事854百万円・建築工事111百万円)で、主な研究開発活動及びその成果は次のとおりです。なお、研究開発活動には、子会社である株式会社ジェイテックとの共同研究開発活動が含まれています。

 

 (1)土木分野

①建設DX推進への取り組み

~3Dセンサを活用した鉄道工事における立入禁止エリア侵入検知システムを開発~

 鉄道工事における線路内への人や車両の侵入を自動検知する「3Dセンサを活用した鉄道工事における立入禁止エリア侵入検知システム」を開発しました。鉄道工事において線路内へは所定の手続き(線路閉鎖手続き等)が完了した後に立ち入って作業を開始しますが、ヒューマンエラー等の要因により手続き完了前に人や工事用車両が列車運行エリアに誤って侵入するリスクがありました。本システムでは、日本電気通信システム株式会社の「NEC3次元物体検知ソフトウェア」を活用し、監視エリアに侵入した人や車両をリアルタイムに検知します。また、このソフトウェアと工事従事者に対して緊急ブザーやメールにてアラート発報する仕組みを組合せたシステムを構築しました。今後、本システムを東日本旅客鉄道株式会社の協力のもとで鉄道工事現場に試行導入し、実導入に向けた検証及び運用方法の検討を行います。

②鉄道工事の安定的受注に向けた技術開発

~深礎工法の施工環境改善に向けて機械式深礎工法(Shinso-MaN工法)を開発~

 駅改良工事のような狭隘かつ近接構造物の多い箇所に用いられていた深礎工法について、人力主体で実施していた作業を、遠隔操作による機械化・システム化することにより、施工性・安全性を向上した工法を東日本旅客鉄道株式会社他3社と共同で開発しました。従来の深礎工法は、杭孔底面に作業員が降り、掘削・排土をしながらライナープレートを設置し掘り進めていきます。作業は危険で過酷なものであることから、少子高齢化に伴う作業員の担い手不足や作業の長期化による建設費用の増大といった課題がありました。開発した工法では、人力での掘削を機械式の掘削・排土システムにより代替することで、作業環境を大幅に改善しました。この機械は、杭孔外から遠隔操作されるため、掘削作業員が危険な杭孔内へ降りる必要はありません。掘削スピードも、人力と比較して大幅に向上しています。今後は、現場導入に向けて工法のブラッシュアップを図っていきます。

③サステナブル推進に関する技術開発

~小型木質バイオマスガス化発電システムの開発~

 当社とDOWAサーモテック株式会社は、間伐材や果樹剪定枝等、幅広い原料の活用をめざして半炭化技術に着目し、2018年度から東京工業大学との共同研究、様々な木質系・草木系バイオマス素材を半炭化しガス化する試験を行ってきました。そして実用化に向け、2021年度から半炭化装置および定格出力200kW規模のガス化発電装置の製作を進め、2022年度より実証実験を開始しました。本システムは、木材を直接燃焼させるのではなく、過熱蒸気発生装置で発生させた過熱蒸気(300-350℃)を使用して半炭化したうえで、ガス化して発電機を稼働させます。半炭化のプロセスを経ることで、一般的に木質バイオマス発電燃料として使用される木質チップの他にも、樹木・果樹の剪定枝や、河川・ダム流木を発電燃料として活用することができます。またガス化のプロセスを経ることで、小規模の発電を効率良く実施することが可能になり、比較的狭いエリア内で集められる木質系バイオマス素材で、地産地消により発電に必要な量をまかなうことが可能です。今後は、実証試験機を使用して連続運転試験等を実施し、発電事業への展開の準備や更なる効率化をめざして機器の改良を実施する予定です。

 

 (2)建築分野

①鉄建式変位制御型座屈拘束ブレースの開発

~地震から建物を守る新しい制振ブレース(ディレイブレース®)の実用化~

 地震に強い建物の構造形式として、耐震構造や免震構造の他、建物の揺れを制御して、耐震安全性を向上させる制振構造があります。この度、座屈拘束ブレースを制振部材として利用する鉄建式変位制御型座屈拘束ブレース(ディレイブレース®)を開発しました。柱・梁の主架構とブレースの接合部において、ガセットプレートのボルト孔を細長い形状のスロットホールとすることで、所定の層間変位量に達するとブレースに軸力が作用する独自の機構を有しています。このボルト孔のルーズ長を変更することで、地震時においてブレースに軸力が作用するタイミングを遅らせることが可能となり、上下階の剛性バランスを改善して、応力分散効果を得て建物の損傷を防止します。従来では部材の靭性能の確保が難しかった継続時間が長い地震動にも対応できます。本技術は、超高層・高層ビルおよび物流倉庫・工場などの鉄骨造の建物で地震被害の軽減を期待できることから、企業のBCP対策に向けた取り組みにもつながり、実プロジェクトへの適用を目指しています。

②帯状濡れセンサモニタリングシステムの実用化

~環境配慮型BFコンクリートCELBIC(セルビック)の適用拡大~

 当社の環境関連、特に、CO削減技術として、セメントの一部を、産業副産物を有効利用した高炉スラグ微粉末に置換することで、材料由来のCO排出量を削減した「環境配慮型BFコンクリート CELBIC(セルビック)」を開発し、現場への適用を進めています。CELBIC(セルビック:Consideration for Environmental Load using Blast furnace slag In Concrete)は、循環型社会の形成と地球環境問題の改善に寄与することを目的とし、建築コンクリート構造物に求められる所要の品質を確保しつつ、コンクリート材料に由来する二酸化炭素の排出量の約9~63%を削減する環境配慮型コンクリートです。当社では、これまで、千葉県成田市にある建設技術総合センター内の実験棟建替え工事で、土間コンクリートにCELBICを適用し、当初予定のコンクリートと比べて57.2%減となる約35tのCO排出量削減に貢献しました。この度、事務所ビル新築工事の基礎梁・耐圧版への適用として、250m3を打設して60.3%のCO削減率となる42.7tのCO排出削減を実現しました。今後もCELBICのさらなる適用拡大に向けて技術開発に取り組んでいきます。

③建設DXの推進に向けた取り組み

~鉄道工事におけるXR技術の適用~

 建設DXの一環として、鉄道工事のうち、駅関連施設の工事において、BIMや点群データなどのICT技術を活用して、スマートプロジェクトマネジメント実現に向けて対応しています。駅関連施設の工事では、作業時間が終電から始発の数時間に限定される場合や駅利用のお客様対応など、施工時間と施工場所の制約があり、工事を進める上で、事前に発注者や協力業者と作業手順の確認などにBIMを活用したデジタルデータの利用を進めています。今回、駅構内の自由通路建設に於いて、自治体事業者、発注者と施工者の間で、XR技術を利用して施工手順の説明と確認作業を実施しました。事前に作成したBIMデータを、XRツールに組み込んで、タブレット端末を通して、3Dデータを現実空間に投影することで、現地において施工前と施工後の自由通路出来形の確認がタブレット端末上で可能となり、合意形成に要する時間が大幅に短縮され、その有効性が確認されました。今後ともICT技術の利用による生産性向上を目指して、建設DXの推進に取り組んでいきます。

※XR(クロスリアリティ):VR(仮想現実)やAR(適用現実)、MR(複合現実)といったあらゆる仮想空間技術と現実空間を融合し、現実にはない、新たな現実を知覚できる技術の総称

 

 (3)不動産事業、付帯事業及びその他

 研究開発活動は特段行われていません。