今後の経済環境の見通しにつきましては、企業収益の改善を背景に緩やかな回復基調が続くと期待される一方で、海外政治・経済情勢の不透明感から下振れリスクは依然大きく、また、国内事情におきましては、企業間の熾烈な受注競争、原材料価格や人件費の上昇に伴うコストの増加に注意を要するなど、当社グループを取り巻く環境は、先行きの不透明な状況が続くものと予想されます。
このような環境のなか、当社グループのもつ高い技術力、豊富な工法、高い製品開発力を駆使し、提案力、営業力を高め純民間工事やスポーツ施設、景観体育施設等への取り組みを更に強化し、公共投資に依存する現在のビジネスモデルを改善し、また、事業拠点の見直しや業務フローの改善などで、生産性の向上と業務の効率化図ることにより、グループ全体の総合力の向上に取り組みます。併せて、環境の変化に即応できる柔軟な経営体質の構築や適正な経営資源の配分、さらにはリスク管理能力を高めることにより、持続的な収益力の強化に全力を尽くしていく所存でございます。
これらの方針に基づく諸施策の着実な実施により、次期の業績予想につきましては、売上高108,000百万円、営業利益4,800百万円、経常利益4,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,800百万円を見込んでおります。
当社は、平成30年3月28日に東京都、東京港埠頭株式会社及び成田国際空港株式会社が発注する舗装工事の入札に関する独占禁止法違反行為により、公正取引委員会より排除措置命令及び課徴金納付命令を受けております。
また、平成29年2月28日に全国におけるアスファルト合材の販売価格に関する独占禁止法違反の疑いで、平成30年5月29日に改質アスファルトの販売価格に関する独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会の立入検査を受けており、有価証券報告書提出日(平成30年6月28日)現在も調査が継続しております。
当社といたしましては、この度の事態を厳粛かつ真摯に受け止め関係当局による調査等について全面的な協力を継続するとともに、独占禁止法その他の関連法令および企業倫理を遵守した事業活動の推進に向け、全社をあげて取り組み、早期の信頼回復に努めてまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は以下のようなものがあります。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性に対し、発生の回避及び発生した場合は適切な対応に努めてまいります。
①官公庁工事の減少
当社グループは売上を建設市場に依存しており、建設事業は道路舗装工事を主体とし、建設材料等の製造販売においてもその需要先は公共事業関連が大半であるため、予想を上回る公共事業の削減が行われた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
②資材価格の変動(ストレートアスファルト)
当社グループの建設材料等の製造販売事業に係わる主要資材、特にストレートアスファルトの価格は、原油価格の変動に連動するため、為替の変動や世界情勢に影響されやすく、その価格の高騰を販売価格に転嫁できない場合、また建設事業において請負金額に転嫁できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③取引先の信用リスク
得意先が建設事業関連業種であるため取引金額が大きく、また工事引渡し後の回収は手形によるものが多く、経営規模、経営内容も多種多様となっているため、取引に際しては事前に信用調査等により慎重かつ入念な検討を行っております。しかし経営環境の悪化により回収不能が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④資産保有リスク
全国各地に多数の事業用資産を保有しているため、営業活動の成果や不動産の時価の変動等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤借入金利の変動リスク
当社グループは、有利子負債の削減に向けて尽力しておりますが、今後金利の上昇による支払利息の増加により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥自然災害について
地震等の自然災害のような当社グループによる予測不可能な事由により、工事の中止や生産工場又は事務所等が壊滅的な損害を被った場合、売上高の低下や設備の復旧費用の発生により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦法的規制等によるリスク
建設業法、独占禁止法、労働安全衛生法等の関連法令による法的規制を受けており、当社グループはコンプライアンス態勢の充実に努めておりますが、法的規制による行政処分等が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおきましては、役員および従業員一同、法令遵守の徹底に努めておりますが、平成29年2月28日に全国におけるアスファルト合材の販売価格に関する独占禁止法違反の疑いで、また、平成30年5月29日には改質アスファルトの販売価格に関する独占禁止法違反の疑いで、公正取引委員会の立入検査を受けており、今後行政処分等が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらの他にも様々なリスクが存在し、ここに記載されたリスクが全てのリスクではありません。
以上に記載している将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成30年6月28日)現在において判断したものであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善を背景として、景気は全般的に緩やかな回復基調で推移いたしましたが、欧米の不安定な政情や、アジア・中東で顕在化する地政学リスクなど、先行きは不透明な状況で推移いたしました。
当社グループの主要事業であります道路建設業界におきましては、民間設備投資が緩やかに増加しているものの、原材料価格(特にストレートアスファルト)、人件費等の上昇の影響もあり、経営環境は引続き厳しい状況のもと推移いたしました。
このような状況下におきまして、当社グループの当連結会計年度の受注高は104,460百万円(前連結会計年度比12.6%増加)、売上高は98,218百万円(同比1.6%減少)となりました。
受注高の増加の内容は、前連結会計年度において独占禁止法違反による行政処分の影響により、建設事業の工事受注高が減少していたことによるものであり(同比14.2%増加)、製造販売・環境事業等の受注高も増加(同比9.3%増加)いたしました。また、売上高減少の内容は、製造販売・環境事業等の売上高は増加したものの、建設事業において完成時期の期ずれにより完成工事高の減少(同比6.7%減少)が影響いたしました。
営業損益におきましては、建設事業において売上高が減少した影響に加え、製造販売・環境事業等の利益率の低下も影響し、営業利益は4,300百万円(同比19.2%減少)となりました。その内容は建設事業のセグメント利益2,482百万円(同比15.5%減少)、製造販売・環境事業等のセグメント利益3,575百万円(同比11.4%減少)、配賦不能営業経費等1,757百万円(前連結会計年度、1,649百万円)であります。
経常損益におきましては、経常利益は4,184百万円(同比20.4%減少)となりました。
税金等調整前当期純利益は、当社は、全国におけるアスファルト合材の販売価格に関する独占禁止法違反の疑いで、平成29年2月28日に公正取引委員会の立入検査を受けており、かかる独占禁止法違反に関連して発生しうる課徴金等の損失について、独占禁止法関連損失引当金繰入額として627百万円を特別損失に計上していること等により、4,150百万円(同比14.0%減少)となり、法人税、住民税及び事業税は1,531百万円(同比0.8%減少)、法人税等調整額が△66百万円(前連結会計年度、143百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は2,518百万円(同比15.7%減少)となりました。
これにより、1株当たり当期純利益は496.68円(前連結会計年度、589.02円)となりました。(当社は、平成29年10月1日付で株式併合(10株を1株に併合)を実施しており、前連結会計年度の1株当たり当期純利益は前期首に株式併合したと仮定して算定しております。)
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
①建設事業
当連結会計年度の受注高は69,982百万円(前連結会計年度比14.2%増加)となりました。また、完成工事高は63,741百万円(同比6.7%減少)となり、次期繰越高は28,102百万円(同比28.6%増加)となりました。利益面におきましては、完成工事高の減少が影響し、セグメント利益は2,482百万円(同比15.5%減少)となりました。
②建設材料等の製造販売・環境事業等
当連結会計年度の売上高は34,477百万円(前連結会計年度比9.3%増加)となりました。利益面におきましては、原材料価格(特にストレートアスファルト)の上昇が影響し、セグメント利益は3,575百万円(同比11.4%減少)となりました。
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セグメントの名称 |
前連結会計年度 自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日 (百万円) |
当連結会計年度 自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日 (百万円) |
||||
|
建設事業 |
61,261 |
|
69,982 |
(14.2%増) |
||
|
製造販売・環境事業等 |
31,545 |
|
34,477 |
(9.3%増) |
||
|
計 |
92,807 |
|
104,460 |
(12.6%増) |
||
(注)1 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
2 ( )内は前年同期比であります。
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日 (百万円) |
当連結会計年度 自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日 (百万円) |
||||
|
建設事業 |
68,303 |
|
63,741 |
(6.7%減) |
||
|
製造販売・環境事業等 |
31,545 |
|
34,477 |
(9.3%増) |
||
|
計 |
99,849 |
|
98,218 |
(1.6%減) |
||
(注)1 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
2 ( )内は前年同期比であります。
|
期別 |
工事別 |
前期繰越工事高 |
当期受注工事高 |
計 |
当期完成工事高 |
次期繰越工事高 |
|
前連結会計年度 |
舗装工事 |
21,395 |
47,915 |
69,310 |
50,768 |
18,542 |
|
土木工事 |
7,508 |
13,345 |
20,854 |
17,535 |
3,318 |
|
|
計 |
28,904 |
61,261 |
90,165 |
68,303 |
21,861 |
|
|
当連結会計年度 |
舗装工事 |
18,542 |
55,179 |
73,721 |
50,285 |
23,436 |
|
土木工事 |
3,318 |
14,803 |
18,121 |
13,456 |
4,665 |
|
|
計 |
21,861 |
69,982 |
91,843 |
63,741 |
28,102 |
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更に請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
工事の受注方法は、特命発注と競争入札に大別されます。
|
期別 |
区分 |
特命 |
競争 |
計 |
|
前連結会計年度 |
舗装工事 |
60.8 |
39.2 |
100.0 |
|
土木工事 |
85.2 |
14.8 |
100.0 |
|
|
計 |
66.2 |
33.8 |
100.0 |
|
|
当連結会計年度 |
舗装工事 |
63.6 |
36.4 |
100.0 |
|
土木工事 |
80.3 |
19.7 |
100.0 |
|
|
計 |
67.1 |
32.9 |
100.0 |
(注) 百分比は受注金額比であります。
|
期別 |
区分 |
官公庁 |
民間 |
計 |
|
前連結会計年度 |
舗装工事 |
18,810 |
31,957 |
50,768 |
|
土木工事 |
5,338 |
12,197 |
17,535 |
|
|
計 |
24,149 |
44,154 |
68,303 |
|
|
当連結会計年度 |
舗装工事 |
17,866 |
32,418 |
50,285 |
|
土木工事 |
2,332 |
11,123 |
13,456 |
|
|
計 |
20,198 |
43,542 |
63,741 |
(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前連結会計年度 請負金額1億円以上の主なもの
西日本高速道路㈱ 山陽自動車道笠岡-河内間舗装補修工事(広島県)
中部国際空港㈱ 南側地区エプロン整備工事(その3)(愛知県)
東日本高速道路㈱ 東北自動車道 福島管内舗装補修工事(福島県)
国土交通省 H27・28船橋維持工事(千葉県)
東京都 大田区西蒲田二丁目2番地先から同区西蒲田一丁目3番地先間
配水小間布設替工事(東京都)
塩釜市役所 27-復・交 新浜地区漁業集落防災機能強化(その1)工事(宮城県)
草津市役所 草津川跡地整備工事(区間5)(滋賀県)
当連結会計年度 請負金額1億円以上の主なもの
西日本高速道路㈱ 松山自動車道 愛媛高速道路事務所管内舗装補修工事(愛媛県)
西日本高速道路㈱ 九州自動車道 熊本IC-嘉島JCT間舗装震災復旧工事(熊本県)
西日本高速道路㈱ 長崎自動車道 久留米高速道路事務所管内舗装工事(福岡県)
東日本高速道路㈱ 東関東自動車道 千葉管理事務所管内舗装補修工事(千葉県)
中日本高速道路㈱ 東名高速道路 浜松管内舗装補修工事(平成28年度)(静岡県)
国土交通省 堤下地区舗装工事(福島県)
国土交通省 庄司渕トンネル舗装工事(福島県)
2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
前連結会計年度
|
国土交通省 9,272百万円 (13.6%) |
|
当連結会計年度 |
|
国土交通省 7,053百万円 (11.1%) |
|
区分 |
官公庁 |
民間 |
計 |
|
舗装工事 |
14,704 |
8,731 |
23,436 |
|
土木工事 |
654 |
4,011 |
4,665 |
|
計 |
15,359 |
12,742 |
28,102 |
(注)手持工事のうち請負金額1億円以上の主なもの
東日本高速道路㈱ 館山自動車道 富津舗装工事(千葉県)
東日本高速道路㈱ 東北自動車道 本宮-白石間舗装補修工事(福島県)
国土交通省 中部横断自動車道舗装11工事(長野県)
国土交通省 侍浜地区舗装工事(岩手県)
国土交通省 平成29年度 福岡空港滑走路増設誘導路新設外改良工事(福岡県)
関西エアポート㈱ 大阪国際空港アクセス道路改良工事(大阪府)
奥出雲町役場 防災・安全交付金 町立三成公園ホッケー場改修(舗装)工事(島根県)
|
|
製品生産実績 |
製品販売実績 |
|
||||||||
|
乳剤 |
合材 |
砕石 |
乳剤 |
合材 |
砕石 |
商品等 |
売上高 |
||||
|
(千t) |
(百万円) |
(千t) |
(百万円) |
(千㎥) |
(百万円) |
||||||
|
前連結会計年度 |
106 |
1,206 |
285 |
108 |
8,695 |
1,151 |
10,973 |
372 |
690 |
11,185 |
31,545 |
|
当連結会計年度 |
112 |
1,376 |
300 |
113 |
9,520 |
1,304 |
10,929 |
377 |
657 |
13,369 |
34,477 |
(注) 1 製品生産実績には、各連結会社内の建設事業での使用数量及び連結会社間の販売数量を含んでおります。
2 製品販売実績は外部顧客に対するものであり、製造販売事業売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ17.5%増加し、66,487百万円となりました。これは、主として現金預金が9,270百万円,未成工事支出金が4,132百万円増加した一方、受取手形・完成工事未収入金等が3,337百万円減少したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ6百万円減少し、23,415百万円となりました。これは、有形固定資産において土地の売却等により617百万円減少いたしましたが、無形固定資産が176百万円、投資有価証券175百万円、退職給付に係る資産が180百万円等合計で610百万円増加したことなどによるものです。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて12.4%増加し、89,902百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ20.6%増加し、42,400百万円となりました。これは主として支払手形・工事未払金が4,233百万円、未成工事受入金が2,462百万円増加したことなどによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ2.5%増加し、7,125百万円となりました。これは主として社債の発行による増加が156百万円、繰延税金負債が138百万円増加、リース債務が143百万円減少したことなどによるものです。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて17.6%増加し、49,526百万円となりました。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ6.5%増加し、40,375百万円となりました。これは主として親会社株主に帰属する当期純利益の確保などにより利益剰余金が1,908百万円増加したことなどによるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ9,270百万円増加し、22,298百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果、得られた資金は10,959百万円の収入(前連結会計年度1,297百万円の収入)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益4,150百万円、減価償却費1,878百万円、売上債権の減少額3,337百万円、仕入債務の増加額4,227百万円、未成工事受入金の増加額2,462百万円等であり、支出の主な内訳は、未成工事支出金の増加額4,132百万円、法人税等の支払額1,112百万円などであります。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果、使用した資金は779百万円の支出(前連結会計年度1,905百万円の支出)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出1,854百万円、有形固定資産の売却による収入1,069百万円などであります。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果、使用した資金は910百万円の支出(前連結会計年度1,031百万円の支出)となりました。支出の主な内訳は、配当金の支払額608百万円、短期借入金の減少額284百万円などであります。
当連結会計年度末の資金の状況は、支払日が休日となり支払いが翌営業日となったことで、資金が次期に繰り越されたこと、有形固定資産の売却による収入があったことなどで、前連結会計年度末に比べ大幅に増加いたしました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
当社グループでは、設備投資等資本的支出は営業キャッシュ・フローの範囲内で計画及び実行しております。次期につきましては、重要な資本的支出は予定しておりません。
該当事項はありません。
当社は、技術力の充実を企業戦略上の重要施策の一つとして認識し、社会に貢献する技術・社会のニーズに資する技術の研究開発に努めています。
道路舗装を中心とした新材料・新工法の開発に注力するほか、舗装の総合的な調査・評価システムを開発し、官公庁や民間会社などの顧客に対する技術提案を行っています。また、大学、官公庁、民間企業の研究機関との共同研究を行い、その成果は新材料・新工法の開発や特許の取得などに反映するとともに内外の学術会議で発表するなど情報発信に努めています。
これら研究開発にあたっては、技術部・技術推進部と技術研究所からなる技術本部が中心になり、他の事業部や施工現場と連携をとりながら、環境負荷低減、耐久性の向上、コスト縮減、安全性の向上など社会的要請に応え、顧客に信頼を得ることを目標に取り組んでいます。
当連結会計年度中に支出した研究開発費の総額は288百万円でありますが、当社での研究開発は、建設事業と、建設材料等の製造販売事業の両部門に密接に関連させて研究開発を行っているため、その内容をセグメント別に分類することは困難です。
[主な研究開発]
(1)舗装材料の開発
①高耐久性・高安定性アスファルト混合物「HSアスコン」の開発
当社は、半たわみ性混合物に匹敵する耐久性に優れたアスファルト混合物「HSアスコン」を開発し、さらなる普及に努めています。HS(High Stability)アスコンは、荷重に対する抵抗性が極めて高いため、重交通路線や交差点付近に適用することで長寿命舗装となるほか、コンテナヤードや物流拠点の舗装にも適しています。また耐油性にも優れるためオイル漏れによる舗装の破損を抑制します。
使用している特殊添加剤は、植物油を主原料としており、舗装資材としては初めてのバイオマスマーク商品として一般社団法人日本有機資源協会(http://www.jora.jp/txt/katsudo/bm/)から認定を受けています。
②ポリマー改質アスファルトの開発
ポリマー改質アスファルトのメーカーでもある当社は、ポリマー改質アスファルトⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型の高性能化、低廉化の検討に努め、競争力の向上を図っています。
新たな改質アスファルトとして、既設舗装のひび割れによるリフレクションクラックを抑制する薄層舗装「高耐久クイックコート」用特殊アスファルトを開発し、試験施工による検証を進めています。
このほかにも、舗装材料の多様な要求に対応し、高耐久で低コストの材料の開発、予防的維持や補修工法に適用できる材料の開発を進めています。
③タイヤ付着抑制機能と急速分解性機能を併せ持つタックコートの開発
表層と基層などのアスファルト混合物の層間にはタックコートと呼ばれるアスファルト乳剤を散布します。下層に散布したタックコートの水が蒸発するまで上層の舗設は出来ないため、夜間や寒冷期には養生に長時間を要したり、養生中突然の降雨によりタックコートが流出するなどの問題がありました。
そこで、特殊ディストリビュータによりアスファルト乳剤と分解材を同時に散布し、アスファルト乳剤中のアスファルトと水を強制的に分離(分解)させ、早期に上層の施工を可能とするタックコート「タックファインSQ」を開発しました(NETIS: KT-180007-A)。タイヤ付着抑制機能を有するタックファインSQは従来のタックコートの分解時間を最大1/10程度に短縮するため、舗装工事の効率化を図る生産性向上に寄与するものです。
④常温混合物の開発
当社で開発してVOC(揮発性有機物質)の少ない溶剤タイプの袋詰め常温混合物「コールド・パーミックス」は舗装に空いた小穴の補修や小規模復旧工事など、少量のアスファルト混合物が必要な箇所に使用されており、その性能の良さからホームセンター店頭での販売実績を伸ばしています。
さらに、平成27年度には容易に施工可能で耐久性の高い常温硬化型の路面補修材「ファスト・アス」の販売を開始しました。ファスト・アスは特殊骨材とアスファルト乳剤が一つのビニール袋にパッケージされ、使用時には骨材と乳剤を袋の中で混合した材料を開封後流し込むだけで施工を可能とし、そのユニークな特性が評価され平成28年度に「グッドデザイン賞2016」を受賞しました。ファスト・アスは小さな段差やくぼみの修正に適した補修材料であり、使用方法が非常に簡単であることから、道路材料に不慣れな方々にも容易に扱える製品です。
⑤景観・体育施設用舗装の開発
当社では自転車競技上のアスファルト舗装の路面をなめらかに仕上げ、紫外線劣化を抑制する表面材料「ウォークトップ」を1964年に青森競輪場で施工して以来50年以上に亘り製造・販売・施工してきました。ウォークトップは米国シェブロン社の舗装用技術を応用し国内用に開発したものですが、50年以上の間には一部海外産の素材が供給中止となったことなどもあり、絶えず我が国の時代に即した材料へと改良を続けてきました。特に発色性に優れた「明色ウォークトップ」は当社オリジナルのものであり、ニーズも広まっているところです。
このような緩まぬ研究開発により、全国44の競技場における表層材のシェア100%を長期間持続しています。
(2)舗装工法の開発
①遮水型排水性舗装(POSMAC:ポスマック)の開発
排水性舗装は、浸透した雨水の影響で下地となる基層面から舗装が早期に破壊することが問題となっています。その対応として、分解剤併用型のアスファルト乳剤散布装置付きアスファルトフィニッシャを用い、アスファルト混合物を敷きならしながら自社開発した高濃度改質アスファルト乳剤と分解剤を同時に散布し、厚みのあるゴムアスファルト層を排水性舗装の下部に形成することにより、排水機能を確保しつつ遮水機能を向上させた表層を低コストで構築する工法「POSMAC工法」を独自開発しました。本工法は、国道や高速道路をはじめ全国の道路の補修に採用され、平成28年度末で210万㎡に達しております。
②情報化施工技術の開発およびICTへの取り組み
近年、舗装の施工においても情報化技術(IT)が活用されるようになってきました。当社においては、GNSS(全地球測位システム)や通信技術を利用したトータルステーションなどを利用した3次元マシンコントロール(3D-MC)を導入して管理精度の向上に努めるとともに、顧客への技術提案を行っています。
さらに、平成30年度には工務本部に「ICT推進室」を設け、舗装工事にUAV(無人航空機)やTLS(地上型レーザスキャナ)を用いた測量、施工、出来形管理を行うICT舗装工についても技術の習得や普及を推進していきます。
(3)その他の研究開発
①鉄道軌道材料の開発
セメント・アスファルトモルタル(CAモルタル)は鉄道スラブ軌道の緩衝材料として新幹線の建設にも使用されており、現在建設中の北陸、九州及び北海道新幹線の新設軌道工事においても採用されています。この技術は、台湾新幹線や一部の中国新幹線で適用されたほかアメリカ、ブラジル、インド、ベトナムなど海外の高速鉄道で採用も期待されており、性能の高度化を目指しています。
②舗装管理システムの開発
公共工事の予算が減少するなかで、平成28年10月に「舗装点検要領」が施行され、より効率的な舗装路面の管理が求められています。
当社では、路面の機能的破損状態を走行しながら自動測定し、これまで解析に最も時間と労力を要したひび割れの判定を自動化した「ひび割れ自動検出システムを備えた路面性状自動測定装置」(NETIS: KT-170103-A)を開発し、路面性状測定業務の省力化を図りました。
また、舗装の構造的耐久力を非破壊で測定する舗装たわみ測定装置(FWD)は、得られたデータから求まる舗装各層の弾力係数が解析者により異なることが普及の課題となっていました。当社では「弾性係数推定システム」をIT企業と共同で開発を進め、精度の高い舗装の構造評価システムの確立を目指しています。
これら舗装のデータをデータベースやマッピングシステムと組合わせることにより総合的な舗装の維持管理をインターネット上で運用するシステム(TOA-PMMS.web)の開発を行っています。
さらに、平成29年度には当社で受注している全国7箇所の直轄国道の維持工事において、スマートフォンを用いた簡易な路面調査システムを活用し、効率的な道路維持管理手法について取り組んでいます。本手法は、前述の「舗装点検要領」や近年注目されている道路維持工事における「性能規定発注方式」や「包括管理契約方式」への応用にも期待されるものです。
③走行中非接触給電舗装の開発
環境に優しい電気自動車は、現状1回の充電で最大400km程度しか走行出来ないため、電気自動車の普及促進には充電スタンドの充実のほか、走行中に非接触で給電可能なインフラ整備が大きな鍵になると考えられます。
当社は過去日産自動車との共同開発の中で、車両へ効率的に給電する舗装構造及び材料を開発し走行実験により、その可能性を確認しました。現在も走行中非接触給電舗装の実用化を目指し、高効率で給電可能な舗装材料の開発を大学と共同研究を行っています。