文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
今後の経済環境の見通しにつきましては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって緩やかな回復基調が続くと期待される一方で、通商問題の動向や海外経済の不確実性から下振れリスクは依然大きく、また、道路建設業界におきましては、企業間の熾烈な受注競争、原材料価格や人件費の上昇に伴うコストの増加懸念に注意を要するなど、当社グループを取り巻く環境は、引き続き厳しい状況が続くものと予想されます。
このような環境のなか、当社グループ全部門の情報共有や外部との交流・ノウハウを取り入れて自社独自の工法や製品の確立を目指し、高い技術力、豊富な工法、高い製品開発力を駆使し、提案力、営業力を高め受注確保につなげます。さらにはグループ内の連携強化、並びに地域戦略を明確にし、グループ全体の総合力の向上に取り組んでまいります。併せて、環境の変化に即応できる柔軟な経営体質の構築や適正な経営資源の配分、さらにリスク管理能力を高めることにより、持続的な収益力の強化に全力を尽くしていく所存でございます。
また、働き方改革の取組みといたしまして、アクションプログラムや勤怠管理、ICTの活用によるi-Constructionの推進などにより、生産性の向上と業務の効率化を図り、従業員満足度の向上を目指すことを、当社グループ一丸となって取り組んでまいります。
これらの方針に基づく諸施策の着実な実施により、次期の業績予想につきましては、売上高108,000百万円、営業利益5,300百万円、経常利益5,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3,300百万円を見込んでおります。
当社は、2017年2月28日に全国におけるアスファルト合材の販売価格に関する独占禁止法違反の疑いで、公正取引委員会の立入検査を受けており、有価証券報告書提出日(2019年6月27日)現在も調査が継続しております。なお、改質アスファルトの事案に関しましては、2019年6月20日に課徴金の納付を命じない旨の通知書を受理いたしました。
当社といたしましては、この度の事態を厳粛かつ真摯に受け止め、関係当局による調査等に対する全面的な協力を継続するとともに、独占禁止法その他の関連法令及び企業倫理を遵守した事業活動の推進に向け、全力をあげて取り組み、ステークホルダーに信頼される企業を目指し、コンプライアンスの徹底に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は以下のようなものがあります。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性に対し、発生の回避及び発生した場合は適切な対応に努めてまいります。
①官公庁工事の減少
当社グループは売上を建設市場に依存しており、建設事業は道路舗装工事を主体とし、建設材料等の製造販売においてもその需要先は公共事業関連が大半であるため、予想を上回る公共事業の削減が行われた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
②資材価格の変動(ストレートアスファルト)
当社グループの建設材料等の製造販売事業に係わる主要資材、特にストレートアスファルトの価格は、原油価格の変動に連動するため、為替の変動や世界情勢に影響されやすく、その価格の高騰を販売価格に転嫁できない場合、また建設事業において請負金額に転嫁できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
③取引先の信用リスク
得意先が建設事業関連業種であるため取引金額が大きく、また工事引渡し後の回収は手形によるものが多く、経営規模、経営内容も多種多様となっているため、取引に際しては事前に信用調査等により慎重かつ入念な検討を行っております。しかし経営環境の悪化により回収不能が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④資産保有リスク
全国各地に多数の事業用資産を保有しているため、営業活動の成果や不動産の時価の変動等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤借入金利の変動リスク
当社グループは、有利子負債の削減に向けて尽力しておりますが、今後金利の上昇による支払利息の増加により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥自然災害について
地震等の自然災害のような当社グループによる予測不可能な事由により、工事の中止や生産工場又は事務所等が壊滅的な損害を被った場合、売上高の低下や設備の復旧費用の発生により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦法的規制等によるリスク
建設業法、独占禁止法、労働安全衛生法等の関連法令による法的規制を受けており、当社グループはコンプライアンス態勢の充実に努めておりますが、法的規制による行政処分等が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおきましては、役員および従業員一同、法令遵守の徹底に努めておりますが、2017年2月28日に全国におけるアスファルト合材の販売価格に関する独占禁止法違反の疑いで、公正取引委員会の立入検査を受けており、今後行政処分等が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらの他にも様々なリスクが存在し、ここに記載されたリスクが全てのリスクではありません。
以上に記載している将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年6月27日)現在において判断したものであります。
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあり、景気は全般的に緩やかな回復基調で推移いたしました。
当社グループの主要事業であります道路建設業界におきましては、民間設備投資が緩やかに増加しているものの、受注競争の激化や労務需給、原材料価格の動向に注意を要するなど、依然として厳しい経営環境が続いております。
このような状況下におきまして、当社グループは受注機会の増大のため、グループ全体の総合力の強化に取り組み、当連結会計年度の受注高は111,930百万円(前連結会計年度比7.2%増加)、売上高は103,676百万円(同比5.6%増加)となりました。
受注高の増加の内容は、純民間工事やスポーツ施設工事等への取組みを強化し、建設事業の受注高が増加したことによるものであり(同比9.1%増加)、製造販売・環境事業等の受注高も増加(同比3.3%増加)いたしました。また、売上高増加の内容は、建設事業での受注高増加の影響が大きく、建設事業(同比6.8%増加)、製造販売・環境事業等(3.3%増加)とも増加いたしました。
営業損益におきましては、建設事業において売上高が増加した影響により、利益を押し上げましたが、製造販売・環境事業等において、原材料価格(特にストレート・アスファルト)の高騰による製造原価上昇の影響で利益率が低下し、営業利益は3,653百万円(同比15.1%減少)となりました。その内容は建設事業のセグメント利益2,599百万円(同比4.7%増加)、製造販売・環境事業等のセグメント利益2,841百万円(同比20.5%減少)、配賦不能営業経費等1,787百万円(前連結会計年度、1,757百万円)であります。
経常損益におきましては、経常利益は3,728百万円(同比10.9%減少)となりました。
税金等調整前当期純利益は、当社は、全国におけるアスファルト合材の販売価格に関する独占禁止法違反の疑いで、2017年2月28日に公正取引委員会の立入検査を受けており、2019年3月期第3四半期までの決算において、独占禁止法関連損失引当金として780百万円を計上していましたが、公正取引委員会より独占禁止法に基づく排除措置命令書(案)及び課徴金納付命令書(案)に係る意見聴取通知書を受領したことにより、2019年3月期第4四半期会計期間において、課徴金納付額(予定)との差額2,475百万円を独占禁止法関連損失引当金繰入額として特別損失に計上したことなどにより、1,175百万円(同比71.7%減少)となりました。法人税等合計は1,261百万円(同比13.9%減少)、非支配株主に帰属する当期純利益は145百万円(同比13.0%減少)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は231百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益、2,518百万円)と厳しい結果となりました。
これにより、1株当たり当期純損失は45.67円(前年同期は1株当たり当期純利益、496.68円)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
①建設事業
当連結会計年度の受注高は76,318百万円(前連結会計年度比9.1%増加)となりました。また、完成工事高は68,064百万円(同比6.8%増加)となり、次期繰越高は36,356百万円(同比29.4%増加)となりました。利益面におきましては、完成工事高の増加が影響し、セグメント利益は2,599百万円(同比4.7%増加)となりました。
②建設材料等の製造販売・環境事業等
当連結会計年度の売上高は35,611百万円(前連結会計年度比3.3%増加)となりました。利益面におきましては、原材料価格(特にストレートアスファルト)の上昇が影響し、セグメント利益は2,841百万円(同比20.5%減少)となりました。
(注)1 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
2 ( )内は前年同期比であります。
(注)1 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
2 ( )内は前年同期比であります。
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更に請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
工事の受注方法は、特命発注と競争入札に大別されます。
(注) 百分比は受注金額比であります。
(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前連結会計年度 請負金額1億円以上の主なもの
西日本高速道路㈱ 松山自動車道 愛媛高速道路事務所管内舗装補修工事(愛媛県)
西日本高速道路㈱ 九州自動車道 熊本IC-嘉島JCT間舗装震災復旧工事(熊本県)
西日本高速道路㈱ 長崎自動車道 久留米高速道路事務所管内舗装工事(福岡県)
東日本高速道路㈱ 東関東自動車道 千葉管理事務所管内舗装補修工事(千葉県)
中日本高速道路㈱ 東名高速道路 浜松管内舗装補修工事(2016年度)(静岡県)
国土交通省 堤下地区舗装工事(福島県)
国土交通省 庄司渕トンネル舗装工事(福島県)
当連結会計年度 請負金額1億円以上の主なもの
国土交通省 中部横断自動車道舗装11工事(長野県)
国土交通省 今泉地区道路舗装工事(岩手県)
国土交通省 二十一浜地区舗装工事(宮城県)
国土交通省 平成29年度 福岡空港滑走路増設誘導路新設外改良工事(福岡県)
西日本高速道路㈱ 九州自動車道 嘉島JCT-松橋IC間舗装震災復旧工事(熊本県)
関西エアポート㈱ 大阪国際空港アクセス道路改良工事(大阪府)
首都高速道路㈱ (高負)YK41工区他高架下舗装他工事(神奈川県)
2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
前連結会計年度
(注)手持工事のうち請負金額1億円以上の主なもの
国土交通省 国道45号宮古北地区舗装工事(岩手県)
防衛省 入間(30)東町地区(2工区)整備土木工事(埼玉県)
中日本高速道路㈱ 新東名高速道路新静岡ICから藤枝岡部IC間6車線化工事(静岡県)
徳島市役所 徳島市陸上競技場フィールド・トラック改修工事(徳島県)
(公財)東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
伊豆自転車競技会場整備工事4(既存建築物解体)(静岡県)
学校法人駒澤大学 駒澤大学祖師谷寮・野球場再整備事業 第4期工事(東京都)
近畿日本鉄道㈱ 生駒山上遊園地屋外型遊戯施設整備工事(その2)(奈良県)
(注) 1 製品生産実績には、各連結会社内の建設事業での使用数量及び連結会社間の販売数量を含んでおります。
2 製品販売実績は外部顧客に対するものであり、製造販売事業売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ2.8%減少し、63,963百万円となりました。これは、主として現金預金が1,878百万円,未成工事支出金が844百万円減少したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ9.5%増加し、25,850百万円となりました。これは、設備投資により有形固定資産が988百万円、無形固定資産が191百万円増加、投資有価証券が1,333百万円増加したことなどによるものです。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて0.4%増加し、89,813百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ0.1%減少し、42,341百万円となりました。これは主として支払手形・工事未払金等が649百万円、借入金の返済により短期借入金が1,058百万円、未払法人税等が425百万円減少しましたが、独占禁止法関連損失引当金が2,338百万円増加したことなどによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ4.3%増加し、6,934百万円となりました。これは主として、繰延税金負債が438百万円増加したことなどによるものです。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて0.5%増加し、49,275百万円となりました。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ0.4%増加し、40,537百万円となりました。これは主として親会社株主に帰属する当期純損失により利益剰余金が738百万円減少しましたが、その他有価証券評価差額金が900百万円増加したことなどによるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ1,878百万円減少し、20,419百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果、得られた資金は3,262百万円の収入(前連結会計年度10,959百万円の収入)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,175百万円、減価償却費2,194百万円、独占禁止法関連損失引当金
の増加額2,338百万円で、支出の主な内訳は、仕入債務の減少額610百万円、たな卸資産の増加額469百万円、法人税等の支払額1,459百万円などであります。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果、使用した資金は3,250百万円の支出(前連結会計年度779百万円の支出)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出3,085百万円などであります。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果、使用した資金は1,890百万円の支出(前連結会計年度910百万円の支出)となりました。支出の主な内訳は、配当金の支払額506百万円、短期借入金の減少額1,046百万円などであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
当社グループでは、設備投資等資本的支出は内部調達を前提に、将来キャッシュ・フローや資本コストを勘案し、企業収益の向上に寄与する投資は着実に実施して行きます。次期につきましては、アスファルト合材製造工場並びに乳剤工場設備の更新投資又は能力増投資等を予定しております。
該当事項はありません。
当社は、技術力の充実を企業戦略上の重要施策の一つとして認識し、社会に貢献する技術・社会のニーズに応じた技術の研究開発に努めています。
道路舗装を中心とした新材料・新工法の開発に注力するほか、舗装の総合的な調査・評価システムを開発し、官公庁や民間企業などの顧客に対する技術の提案を行っています。また、大学、官公庁、民間企業の研究機関との共同研究を行い、その成果は新材料・新工法の開発や特許の取得などに反映するとともに国内外の学術会議で発表するなど情報発信に努めています。
これら研究開発テーマの設定・推進にあたっては、技術部・技術推進部、技術営業部及び技術研究所からなる技術本部が中心になり、工務本部、製品事業本部、営業本部など他部署と連携をとりながら、環境負荷低減、耐久性の向上、コスト縮減、安全性の向上など社会的要請に応え、顧客の信頼を得ることを目標に取り組んでいます。2018年度からはイントラネット上に"技術的課題の提案"と題した意見箱を構築し、現場で困っていることや小さなアイデアを広く全社員から募集し、開発テーマの参考としています。
当連結会計年度中に支出した研究開発費の総額は
[主な研究開発]
(1)舗装材料の開発
①鋼床版の疲労対策を目的とした「高剛性アスファルト舗装」の開発
社会資本の老朽化による補修・更新に関する問題はわが国の大きな社会問題であり、そのうち橋梁の疲労損傷は、早急な対策が必要となっています。橋梁は床版の種類により鋼床版とコンクリート床版に大別され、鋼床版の一般的な補修方法としては鋼繊維補強コンクリート(SFRC)舗装がありますが、本補修には大形の施工機械と長時間を要することから交通量の多い供用中の道路橋の補修としては多くの課題がありました。
そこで当社では特殊な施工機械を必要とせず、施工が簡易で所要時間の短い「高剛性アスファルト舗装」を株式会社高速道路総合技術研究所と共同で開発しました。高剛性アスファルト舗装を実橋で試験施工を行い各種データの収集により、SFRC舗装と比較すると補強効果は小さいものの、従来工法であるグースアスファルト混合物と比較すると3.1倍の延命効果を確認しました。
本技術は鋼床版のみならず、コンクリート床版の補修工法としても有効であると考えれれることから、県市町村で管理するような小規模な橋梁への適用にも期待されます。
また、「高剛性アスファルト舗装」について記述した論文が、2018年度一般社団法人日本道路建設業協会の「第21回舗装技術に関する懸賞論文」において1等を受賞したことからも、本技術の期待度の高さが伺えます。
②ポットホール用緊急補修材料「TOKE・パック」の開発
高速道路上で発生するポットホールは車両の走行安全性を損なうことから迅速な対応が求められるため、高速走行車両の合間に交通規制をすることなく応急処置を行わなければならず、非常に危険な作業とならざるを得ません。補修に要する時間は事故発生のリスクに比例するため、作業時間の短縮が切望されていました。
当社では中日本ハイウェイメンテナンス北陸株式会社と共同で、高耐久性の常温アスファルト混合物を水溶性フィルムに梱包することにより、雨天時や路面湿潤時においても投込み(敷き並べ)足で踏み固めるだけで施工が完了するポットホール用緊急補修材「TOKE・パック」を開発し、補修時間をこれまでの約1/3に短縮しました。
「TOKE・パック」は2018年度に一般販売を開始し、新聞・雑誌などに紹介されたことから、道路管理者や施工業者はもちろん、ホームセンターや個人のお客様などからの問い合わせも多く、今後の需要増大が期待されています。
③路面温度の上昇を抑制する水性塗料「EGカラー(遮熱タイプ)」の開発
路面温度の上昇を抑制する遮熱性舗装は、地球温暖化現象やヒートアイランド現象といった社会問題から我が国では2000年頃より普及してきた技術ですが、2020年東京オリンピックのマラソンコースへの採用により社会の関心が改めて高まっています。
これまでの遮熱性舗装は塗料を路面に吹き付ける工法であり、特殊な施工機械と熟練工が必要であること、材料中にMMA(メタクリル酸メチル)などの樹脂が含まれるため施工時の臭気による周辺への影響、などの課題がありました。当社ではこれまでの「ヒートシールド」、「ニューカラーコート」に加え、ローラーバケなどで誰でも簡単に施工できる水性舗装材料「EGカラー(遮熱タイプ)」を開発しました。
「EGカラー(遮熱タイプ)」は無臭で施工方法が簡便であり、路面温度を10℃以上低減できるため利用者の環境を大きく改善できることから、歩道をはじめテニスコートや3×3コートなど広範な普及が期待されます。
④タイヤ付着抑制機能と急速分解性機能を併せ持つタックコートの開発
アスファルト舗装工事では表層と基層などのアスファルト混合物の層間にはタックコートと呼ばれるアスファルト乳剤を散布します。下層に散布したタックコートの水が蒸発するまで上層の舗設はできないため、夜間や寒冷期には養生に長時間を要し、養生中突然の降雨によりタックコートが流出するなどの問題がありました。
そこで、特殊ディストリビュータによりアスファルト乳剤と分解材を同時に散布し、アスファルト乳剤中のアスファルトと水を強制的に分離(分解)させ、早期に上層の施工を可能とするタックコート「タックコートSQ」を開発しました(NETIS: KT-180007-A)。タイヤ付着抑制機能を有するタックファインSQは従来のタックコートの分解時間を最大1/10程度に短縮するため、舗装工事の効率化を図る生産性向上に寄与するものです。
2018年度には時間制限の厳しい空港の舗装工事の基準書である「空港舗装補修要領及び設計例」に本乳剤の有効性が記載され、今後の拡販が期待されています。
(2)舗装工法の開発
①情報化施工技術の開発およびICT舗装への取り組み
舗装の施工においても情報化技術(IT)の活用が推進されています。当社においては、GNSS(全地球測位システム)やトータルステーションなどを利用した3次元マシンコントロール(3D-MC)を活用して施工および管理の精度向上に努め、技術の普及に取り組んでいます。
2018年度には工務本部に「ICT推進室」を設け、舗装工事にUAV(無人航空機)やTLS(地上型レーザースキャナ)を導入し、建設工事の測量、施工、出来形管理の各段階で活用するICT舗装工として国土交通省発注工事を中心に全国の施工現場で実施してきました。今後もより多くの施工現場に展開していきます。
②AIを活用した自動化施工技術の開発
本業界の大きな課題である「働き方改革」「労働人口の減少」への一対応策として、ICTや人口知能(AI)の活用が有望と考えられ、研究開発を進めています。当社においても近年急速に進展しているAIや、多様なセンサー、通信技術などを用いて舗装工事で用いる建設機械の自動化について研究しています。本技術を確立することにより、舗装工事の省力化に寄与するのみでなく、これまで職人的な技量が必要であった施工技術の伝承といった課題の解決も図ります。
本研究は多方面の企業との協力により、早急な開発・確立を目指しているところです。
(3)その他の研究開発
①簡易な路面性状調査技術「CHASPA」の開発
2016年度国土交通省道路局で定められた「舗装点検要領」により、舗装の点検の重要性が再認識されました。当社は約20年前から舗装維持管理システム「TОA-PMMS」の開発に取り組み、舗装を「いつ・どこを・どのように」直すのかを提案してきました。「TОA-PMMS」の中の一技術として、自動路面性状測定装置CHASPA(NETIS登録番号 : KT-170103-VR)があり、早く・安く・正確な路面性状測定の方法について研究開発を行ってきました。
CHASPAは車両に様々な計測ユニットを備え、「ひび割れ率」、「わだち掘れ量」、「平たん性(σ)」のほか、前方3方向の「路面画像」、乗り心地指標「IRI」、路面テクスチャ指標「MPD」などを同時に取得でき、全てのデータはGPS位置情報とリンクしているため、結果を地図上に表示することができます。また、ひび割れ状況のCAD図への展開もできることから、損傷の状態を視覚的に認識可能であり、補修計画にも有用です。
2017年度国土交通省四国地方整備局で実施した「路面性状を簡易に把握可能な技術」の共通試験では、当社のCHASPAの測定精度が非常に優れていることを確認していただきました。
②AIを用いたFWD解析技術の開発
CHASPAと同じく「TОA-PMMS」の中の一技術としてFWD(Falling Weight Deflectometer)があります。当社はFWDを国内で最も多く保有しており全国に配置しています。FWDはアスファルト舗装の各層の健全性や、コンクリート舗装の目地部などを構造的に評価するものであり、舗装の補修計画には欠かせない重要な評価技術でありながら、その解析方法において技術者の能力に大きく依存することが課題でした。
この課題の解決策として当社は国内の大手IT企業と共同でAIによる解析技術を開発しています。本技術が確立すると、技術者によるばらつきが無くなり一意的な結果が得られること、および安価に解析を行えることから、FWDをこれまで以上に現場で活用していただけるものと考えます。