(注)「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等抜きの金額で表示している。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)経営の基本方針
当社グループは、当社を核とする総合設備エンジニアリング企業として、地域・社会との共生を目指し、次のとおり「社是」「企業理念」を定めている。
(2)経営戦略等
当社グループは、将来を見据えたコア事業の強化と成長戦略による事業拡大を基軸に「変革と成長」に取り組み、創立80周年となる2024年度での目指す姿・目標として「中電工グループ中長期ビジョン」を掲げている。
また、中期経営計画〔2018~2020年度〕を、このビジョン実現の基盤づくりと位置づけ、これまで取り組んできた諸施策を継続・強化するとともに、新たな強化策を加えて、更なる成長に向けチャレンジしている。
【中電工グループ 中長期ビジョン (創立80周年となる2024年度での目指す姿・目標)】
○ テーマ
変革と成長を遂げる 中電工グループ
○ 目指すグループ像
従業員一人ひとりが働きがいを持って活躍するグループ
中国地域だけでなく都市圏・海外でも存在感を発揮できるグループ
○ 数値目標
2024年度 連結売上高2,000億円以上、連結営業利益130億円(6.5%)以上
(注)現時点で新型コロナウイルス感染拡大の影響が不透明であり、業績予想の合理的な算定が困難である
ことから、数値目標は未定としている。

(3)経営環境
当期の経営環境は、公共投資が堅調に推移し、民間設備投資も高い水準の企業収益を背景に増加したものの、受注競争の激化や労働者不足などが続く状況にあった。
また、年度終盤には、新型コロナウイルス感染拡大はあったが、当期事業への大きな影響はなかった。
今後の経営環境については、現時点で新型コロナウイルス感染拡大の影響が不透明であり、見通しが困難な状況にある。感染抑制のための行動制限が経済活動を停滞させるなど、国内をはじめ世界経済に甚大な影響を与えており、予断を許さない状況が続くことが予想される。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、中期経営計画及び中長期ビジョンにおいて「売上高」「営業利益(率)」を重要な指標に位置づけ、変革と成長を進めて企業価値の向上を目指している。
(5)優先的に対処すべき課題
当社グループでは、グループ間における連携を強化し、以下の課題に取り組んでいる。
① 利益率の改善
近年、受注競争の激化や工事の遅延等による外注費の増加などにより、売上の増加が必ずしも利益の増加につながらない傾向にあり、これら高コスト構造の見直しによる利益率の改善が喫緊の課題となっている。
これに対し、工事のピークカットや労働力の安定的な確保のため、工程を前倒しで作業を行う「フロントローディング」や工程の短縮に柔軟に対応するための「外注先の分散発注」などの取り組みを進めている。
② 生産性の向上
現場管理者の慢性的な不足・働き方改革などの課題に対応すべく、業務負荷軽減に向けた工務サポート体制の充実や施工図作成支援体制の強化、IT技術の活用等の諸施策により、生産性の向上に取り組んでいる。
③ 事業の拡大
現在進めている都市圏を中心とした事業拡大は、中国地域の市場縮小に対応した成長戦略であり、当社の中長期ビジョン達成に欠かせない施策となっている。
今後も引き続き、中国地域においては効率的な施工体制の構築や工場関連工事の受注・施工体制の強化等により事業基盤を維持しつつ、都市圏における大型工事の受注・施工体制の強化等を図りながら事業拡大を進めていく。
また、持続的な成長のための投資として、主要事業である設備工事業を中心に、M&Aによる事業拡大も進めていく。
④ 人材の育成
当社社員の3割を占める30歳未満の若手社員の早期育成が、今後の更なる成長の成否を左右する要素となっている。そのために、社員一人ひとりの適性を踏まえながら、大型工事現場等への計画的配置や、現場代理人として必要な資格の取得支援等といった施策を確実に実施していく。
⑤ 品質の向上
事業を拡大していくためには、品質の向上によりお客様の信頼を得ることが不可欠となっている。
そのために、定められた手順、検査の確実な実施はもとより、今後もお客様からの意見・要望に対して真摯に向き合い、顧客満足度の向上に努めていく。
当社グループの事業に関して、連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがある。
これらのリスクは、当社グループにおいて定期的に「洗い出し」「評価」「対応策の検討」を行う中で、影響度合い・発生頻度を踏まえて抽出したものであり、当社グループでは「経営層が関与すべきリスク」として管理している。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであるが、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切かつ迅速な対応に努める所存である。
また、ここで抽出したリスク以外にも「材料費・外注費の高騰リスク」「取引先の信用リスク」「保有有価証券の時価下落リスク」等があり、これらについては経済情勢や市場動向を注視しながら早期情報収集に努め、関係部門と連携・調整をして的確な対応を図っている。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりである。
①財政状態及び経営成績の状況
当期の事業環境は、公共投資が堅調に推移し、民間設備投資も高い水準の企業収益を背景に増加したものの、受注競争の激化や労働者不足などが続く状況にあった。
また、年度終盤には、新型コロナウイルス感染が拡大し、事業への影響が懸念される状況にあった。
こうした中、当社グループは、中期経営計画〔2018~2020年度〕に基づき都市圏の事業拡大や営業・施工体制の強化、業務改革の推進等の諸施策を進めてきた。
また、新型コロナウイルス感染拡大の当期事業への大きな影響はなかった。
以上の結果、当期の業績は次のとおりとなった。
売上高は、屋内電気工事や空調管工事を中心に当社の工事部門全てで増加したことなどにより、前期に比べ増収となった。
営業利益は、売上高の増加に加え、原価管理の徹底や効率化施策による生産性向上などにより、前期に比べ増益となった。
受取利息などの営業外損益を加えた経常利益は、営業利益の増加により前期を上回った。
親会社株主に帰属する当期純利益については、M&Aに係るのれんの減損損失や投資有価証券評価損を計上したことなどにより前期を下回った。
[連結業績]
(単位:百万円、%)
[個別業績]
(単位:百万円、%)
(設備工事業)
当社グループの主たる事業である設備工事業は、完成工事高は1,579億9千8百万円(前年度比9.5%増)、完成工事総利益は198億4千8百万円(前年度比9.2%増)となった。
(その他の事業)
その他の事業は、その他の事業売上高は108億9千万円(前年度比19.8%増)、その他の事業総利益は14億2千万円(前年度比21.8%増)となった。
総資産は2,737億4千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ65億6千万円の増加となった。これは、有価証券の減少165億4千1百万円、受取手形・完成工事未収入金等の増加79億1千2百万円、のれんの増加47億6千7百万円などによるものである。
負債は616億9千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ125億5千3百万円の増加となった。これは、支払手形・工事未払金等の増加88億2千8百万円、退職給付に係る負債の増加39億8千3百万円などによるものである。
純資産は2,120億4千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ59億9千3百万円の減少となった。これは、その他有価証券評価差額金の減少34億3千9百万円、退職給付に係る調整累計額の減少18億8千2百万円などによるものである。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により資金を獲得したが、投資活動及び財務活動による資金の使用により、前連結会計年度末に比較し103億2千4百万円減少し、当連結会計年度末は222億4千2百万円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度では、営業活動によって118億3千5百万円の資金を獲得した(前連結会計年度は101億2千6百万円の資金の獲得)。
これは主に、税金等調整前当期純利益91億3千6百万円などの資金増加要因によるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度では、投資活動によって157億2千5百万円の資金を使用した(前連結会計年度は255億5千9百万円の資金の使用)。
これは主に、投資有価証券の売却及び償還により196億9千2百万円などの収入があったが、投資有価証券の取得により206億2千7百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得により116億2千5百万円などの支出があったことによるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度では、財務活動によって64億3千8百万円の資金を使用した(前連結会計年度は57億1千2百万円の資金の使用)。
これは主に、配当金の支払により57億9千万円を支出したことなどによるものである。
③生産、受注及び販売の状況
イ.受注実績
(注)当社グループでは、設備工事業以外は受注生産を行っていない。
(注)1.当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため、「生産の状況」は記載していない。
2.主な相手先別の売上実績及び総売上実績に対する割合は、次のとおりである。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。
設備工事業における受注工事高及び完成工事高の状況
第103期(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
第104期(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
a.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(単位:百万円)
(注)1.前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。したがって、当期完成工事高にも係る増減額が含まれる。
2.次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
b.受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命、競争及び中国電力㈱との工事委託契約によるものとに大別される。
(単位:%)
(注)百分比は、請負金額比である。
c.完成工事高
(注)1.完成工事のうち請負金額1億円以上の主なものは、次のとおりである。
第103期
第104期
2.第103期及び第104期における完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先は、中国電力㈱のみである。
d.次期繰越工事高(2020年3月31日現在)
(注)次期繰越工事のうち請負金額1億円以上の主なものは、次のとおりである。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績について
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであり、売上高及び各利益の前期比較の増減内訳は以下のとおりとなった。
【売上高1,688億円 前期比155億円増の内訳】
当社個別は、ホテルや学校空調関係の工事が増加し、屋内電気工事や空調管工事が増加したことなどにより、前期に比べ162億円増加した。一方、連結子会社は、中国地域で23億円増加したものの、都市圏子会社が36億円減少し、前期に比べ6億円減少した。
【営業利益83億円 前期比18億円増の内訳】
当社個別は、一般部門で5億円、電力部門で9億円それぞれ増加して、前期に比べ15億円増加した。また、連結決算処理で、連結子会社の営業利益が2億円と、のれん償却額の減少などによる連結会計処理で1億円のプラスがあり、前期に比べ3億円増加した。
【親会社株主に帰属する当期純利益47億円 前期比13億円減の内訳】
経常利益が22億円増加したものの、特別利益が5億円減少したことに加え、M&Aに係るのれんの減損損失17億円や投資有価証券評価損12億円を計上したことにより特別損失が23億円増加し、法人税等も6億円増加した。
売上高は8期連続の増収で、効率化施策による生産性向上や原価管理の徹底、販管費の抑制等に努めた結果、営業利益についても4期ぶりの増益になるなど、業績は堅調に推移したものと認識している。
ロ.経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載している。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。
当社グループの事業活動のために必要な資金及び株主還元のための資金は、自己資金を充当することを基本としている。
当社グループの主な資金需要は、材料費、外注費、人件費など設備工事施工のための運転資金、事業場の整備・拡充、工具・事務機器等の更新、システム改修などのための設備投資資金、持続的発展に向けたM&Aなどの成長投資のための資金などがある。なお、資金需要の時期が来るまでは、手元資金を確保した上で金融商品で資金運用を行うこととしている。
株主還元については、業績等を踏まえつつ、持続的・安定的なより高水準の配当を行うことを重視し、DOE(連結株主資本配当率)2.7%を目途に配当を行う方針としている。また、経営環境等を総合的に勘案した上で、必要に応じて自己株式取得を実施することとしている。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたっては、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性のある見積りを必要とする場合がある。こうした見積りについては、過去の実績や様々な要因、仮定等を勘案し、合理的に判断しているが、見積り特有の不確実性により、実際の結果と異なる可能性がある。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりである。
・減損会計における将来キャッシュ・フロー
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)を整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っている。
当社グループは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結損益計算書関係)※6 減損損失」に記載のとおり、当連結会計年度において減損損失1,746百万円を計上した。回収可能価額は使用価値により算定しているが、その際に用いられる割引率は、借入資本コストと自己資本コストを加重平均した資本コストによっている。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に影響を及ぼす可能性がある。
なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載している。
当社は、2020年2月3日付で株式会社昭和コーポレーションの全株式を保有するホライズン1株式会社(同日、SCC株式会社へ社名変更)の全株式を取得し同社を子会社とした。その後、当社は、2020年3月31日付でSCC株式会社を吸収合併し、同社を消滅会社としたことにより株式会社昭和コーポレーションは当社の子会社となった。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載している。
(設備工事業)
当社は、総合設備エンジニアリング企業として社内外の要求や技術課題を解決するとともに、安全・品質、省力化等の技術分野を対象に「技術センター」を中心に先端技術を活用して、現場の問題解決及び業務改革・業務改善を推進するための研究開発を行っている。
当連結会計年度における研究開発費は、
(1)安全・品質
災害事故防止及び施工品質向上を目的として、安全性向上やヒューマンエラー防止を実現する研究開発を行っている。
当連結会計年度の主な研究開発活動としては、高速移動体検知技術の検証、ウインチワイヤ無動力巻取器の開発、アルミ線用手元皮剥ぎ器の開発、積算電力量計の誤配線・誤結線検出装置の開発などが挙げられる。
(2)省力化
業務改革・業務改善及び業務効率化を目的として、ソフトウェア及び新工法・新工具・新システムの研究開発を行っている。
当連結会計年度の主な研究開発活動としては、施工要領書作成ツールの開発、空調管技術計算ソフトの機能強化、電気設備技術計算ソフトの機能強化、鉄塔工事図面作成支援システムの開発、エクセル版ケーブル計算ソフトの開発などが挙げられる。
(その他の事業)
研究開発活動は特段行われていない。