第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりである。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、経営会議等で合理的な検討を行っている。

(1)経営の基本方針

株主の皆様、お客様及び地域社会との共存を目指すことが当社存立の意義であるとの考えから、「人間第一」を社是とし、

①人間尊重のもと、企業の社会的責任を遂行し、豊かな人間環境づくりに貢献します。

②お客様のニーズを先取りし、技術革新を図り、最高のサービスと設備を提供します。

③絶えざる自己革新によって、株主の皆様のご期待に応える未来指向型の企業を目指します。

を経営理念として掲げております。

 

(2)経営戦略等

前中期経営計画(2021-2023年度)では、業務プロセス改革や施工技術革新等による生産性向上、半導体やデータセンターを中心とした成長分野への営業展開、サステナビリティに関する取り組みの拡充・情報開示などを実施し、業績面では過去最高の連結営業利益を達成いたしました。

今後の事業環境につきましては、建設業就業者数の減少が確実視される中で、老朽化が進む社会インフラ・建築設備の更新需要への対応や、脱炭素社会実現への貢献などが求められており、魅力ある会社づくりや従来以上の生産力強化、新たな脱炭素化ソリューションの開発・提供などが必要不可欠となっております。

これらの状況を鑑み、創立100周年を迎える2044年に目指す“グリーンイノベーション企業”の実現性をさらに高めるため、2030年度を目標とするMilestone 2030を設定いたしました。加えて、その実行計画として2024-2026年度 中期経営計画を策定し、スローガン「さらにかわる。より豊かな未来をつくる」のもと、5つの方向性に則り事業戦略及び経営基盤強化戦略に取り組み、数値目標を達成してまいります。

 

①Milestone 2030

(数値目標)

連結売上高

8,000億円

連結営業利益

600億円

温室効果ガス排出量

2020年度比

△50%

※対象:Scope1,2

 

②2024-2026年度 中期経営計画

(方向性)

1. 従業員とともに幸せな成長を実現

2. 社会インフラ及びお客様設備の維持・構築に貢献

3. グリーンイノベーションを推進

4. あらゆる手段で生産性・効率性を向上

5. ステークホルダーと確固たる信頼関係を構築

(数値目標)

連結売上高

6,400億円

 

ROE

8%超

連結営業利益

450億円

 

ROIC

8%超

配当性向

40%程度

 

温室効果ガス排出量

2020年度比

△18%

 

 

 

※対象:Scope1,2

 

(3)経営成績

①当期の経営成績

当期のわが国経済は、物価上昇の影響はあったものの、雇用・所得環境の改善を受け個人消費は持ち直し、社会経済活動の活性化により企業収益も好調が続くなど、緩やかな景気回復軌道を歩みました。

このような情勢下にあって、民間建設投資は半導体工場やデータセンター、大型再開発プロジェクトなどを中心に高水準を維持いたしました。また、電力設備投資につきましても、計画的な設備投資を電力会社に促すレベニューキャップ制度の開始に伴い順調に推移いたしました。

このため当社グループは、豊富な営業情報の多角的な分析に基づく営業活動を強力に展開するとともに、エンジニアリング力を駆使した提案メニューの多様化によるリニューアル工事の獲得に注力いたしました。また、VE・CD検討や事務処理などの現場業務を支援する体制の充実による生産性向上に努めました。

この結果、当期の業績は、下記のとおりとなりました。

(連結業績)

 

 

完成工事高

598,427百万円

(前期比 110.5%)

営業利益

40,934百万円

(前期比 125.0%)

経常利益

42,648百万円

(前期比 125.2%)

親会社株主に帰属する

当期純利益

27,345百万円

(前期比 129.2%)

 

(個別業績)

 

 

新規受注高

572,513百万円

(前期比 116.1%)

完成工事高

520,883百万円

(前期比 110.8%)

営業利益

34,257百万円

(前期比 126.0%)

経常利益

36,116百万円

(前期比 126.0%)

当期純利益

20,594百万円

(前期比 112.9%)

 

②今後の見通し

建設業界におきましては労働力不足や資機材の供給逼迫が懸念されるものの、民間建設投資につきましては、首都圏を中心としたオフィスビル・商業施設や次世代半導体を始めとする大型工場の建設などにより好調が続くものと見込まれます。また、電力設備投資につきましては、高度成長期に構築された経年設備の更新や再生可能エネルギーの普及拡大に向けた送電網の増強など引き続き堅調に推移するものと予想されます。

このような情勢を踏まえ、次期の業績予想につきましては、

(連結業績)

 

 

完成工事高

600,000百万円

(当期比 100.3%)

営業利益

37,000百万円

(当期比  90.4%)

経常利益

38,000百万円

(当期比  89.1%)

親会社株主に帰属する

当期純利益

24,500百万円

(当期比  89.6%)

 

(個別業績)

 

 

新規受注高

544,000百万円

(当期比  95.0%)

完成工事高

522,000百万円

(当期比 100.2%)

営業利益

30,700百万円

(当期比  89.6%)

経常利益

31,900百万円

(当期比  88.3%)

当期純利益

21,300百万円

(当期比 103.4%)

を見込んでおります。

 

(4)対処すべき課題

今後の見通しについて申し上げますと、建設業界におきましては労働力不足や資機材の供給逼迫が懸念されるものの、民間建設投資につきましては、首都圏を中心としたオフィスビル・商業施設や次世代半導体を始めとする大型工場の建設などにより好調が続くものと見込まれます。また、電力設備投資につきましては、高度成長期に構築された経年設備の更新や再生可能エネルギーの普及拡大に向けた送電網の増強など引き続き堅調に推移するものと予想されます。

このような状況の中で当社グループは、絶えず変化する事業環境に適応し持続的成長を実現するため「さらにかわる。より豊かな未来をつくる」をスローガンとする向こう3か年の新たな中期経営計画を策定し、以下の重点経営施策を実践してまいります。

まず始めに、AIを活用した市場動向分析を通じて、社会・お客様ニーズを先取りした戦略的な営業活動を展開するとともに、脱炭素や防災・BCPなど建物設備に付加価値を与えるリニューアル提案を積極的に行い、受注の拡大を図ってまいります。

次に、施工要員の保有スキルや稼働状況を見える化し最適な要員配置を可能とするプラットフォームの整備、バックオフィス機能の充実による現場生産体制の再構築、プレハブ化・ユニット化拠点の増強など、DXによる業務プロセス改革を通じて生産性向上を実現し、利益の創出に全力を傾注してまいります。

更には、デジタル技術を用いてエネルギーの効率運用や需要予測を可能とする次世代O&Mに関する技術開発、創・蓄・省エネに繋がるコンサルティングサービスの提供に向けた体制の整備など、脱炭素・レジリエンス社会の実現に貢献するグリーンイノベーション事業の拡大を目指してまいります。

加えて、社員一人ひとりの能力・成果を適切に評価しインセンティブを高める報酬制度の導入や専門性・マネジメント力を高める研修メニューの充実に取り組むとともに、採用方式の多様化による幅広い人材の確保やリスキリングによるシニア社員の更なる活躍などダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進し、魅力的な職場づくりと社会を支える人づくりにまい進してまいります。

また、社会やお客様から信頼される企業で在り続けるため、コンプライアンスの徹底、安全を最優先とする意識の向上、作業品質の確保にグループの総力を挙げて取り組んでまいります。併せて、事業所への太陽光発電設備の設置や環境負荷低減に資する車両の配備など事業運営における脱炭素化を推し進め、豊かな環境づくりに貢献してまいります。

当社は、本年9月1日をもちまして創立80周年を迎えることとなります。今後とも当社グループは、構造改革による経営の効率化を推し進めるとともに、中核事業である設備工事業の深化と事業領域の拡大に向けた積極的な成長投資を通じて、中長期的な企業価値向上を目指してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりである。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、経営会議等で合理的な検討を行っている。

当社グループは、経営ビジョン『社会を支える“100年企業”へ』のもと、主力事業である建築設備と社会インフラ事業の融合を通して安全で快適なまちづくりに貢献し、社会やお客様にとって高い価値を提供することのできる『グリーンイノベーション企業』を目指している。

2022年度からは、サステナビリティを事業戦略に組み入れた経営を推進するため、さらに広い社会課題の中から当社グループが特に注力すべき課題としてマテリアリティを特定した。

当社グループは、「脱炭素」と「レジリエンス(防災+BCP)」の領域に注力し、その先にある持続可能な都市や地域の形成に貢献するための基盤形成に努めている。

なお、「サステナビリティ基本方針」、「マテリアリティ(重要課題)」の全文は、当社ホームページに掲載している。

https://www.kandenko.co.jp/

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

①ガバナンス

当社グループは、当社主管部門から構成される「ESG推進委員会」を設置し、サステナビリティ全般に関わる課題の抽出・検討、及び重要な方針や施策を立案し、経営会議、取締役会において審議・検討している。

決定された方針や施策を経営計画、事業計画に組み込み実施するとともに、その進捗や成果をフォローし、更なる改善や新たな取り組みにつなげている。

 

②リスク管理

主管部門と経営企画部が連動してリスクを抽出し、取り組み状況や事業環境を踏まえ、リスク対策を含む方針と施策を立案し、経営会議、取締役会への報告を行っている。

また、このプロセスで特定したリスクと機会については、マテリアリティ(重要課題)にも照らし、中期経営計画、さらにはアクションプランに落とし込み、毎年度見直しを行っている。

 

(2)気候変動問題

当社グループは、気候変動問題を、上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目として捉え、社内外の温室効果ガス排出量削減等に取り組んでいる。また、2022年度にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明している。

 

①ガバナンス

環境関連課題に取り組むため、「ESG推進委員会」において、気候変動への対応を含む環境問題全体に係る重要な方針や施策を立案し、重要な方針については経営会議、取締役会において審議・検討している。

決定された方針や施策を経営計画、事業計画に組み込み実施するとともに、その進捗や成果をフォローし、更なる改善や新たな取り組みにつなげている。

 

②リスク管理

主管部門と経営企画部が連動して行っており、取り組み状況や事業環境を踏まえて方針や施策を立案し、重要な方針については経営会議、取締役会への報告を行っている。

また、TCFD提言に沿って特定したリスクと機会については、マテリアリティ(重要課題)にも照らし、中期経営計画、さらにはアクションプランに落とし込み、毎年度見直しを行っている。

具体的には、確からしさが高く影響の大きなリスクに対しては、財務影響を試算、経営戦略や財務計画に反映し、確からしさが低く影響の大きなリスクに対しては、今後の情報収集を徹底している。また、確からしさが高く影響が小さいリスクに対しては、財務影響の監視を継続している。

 

 

③戦略

気候変動に伴い将来生じる可能性があるリスク・機会について、TCFD提言に沿ったリスク・機会を特定し、マテリアリティにも照らした上で、重要度の評価を行った。

また、このうち炭素税導入と洪水・高潮被害に対して、公的機関の将来予測結果をもとに1.5℃・2℃・4℃上昇を想定したシナリオ分析を行い、当社が100周年を迎える2044年を見据え、2040年時点での財務影響を算定した。

なお、TCFD提言に沿ったリスク・機会の特定及びシナリオ分析を用いた財務影響の算定にあたっては、外部専門家の支援を受けている。

 

a.気候変動に伴う重要なリスクと機会

当社グループは、建築設備、情報通信設備、電力設備分野における企画から設計、施工、メンテナンス及びその後のリニューアルまで、一貫したエンジニアリングを提供している。

気候変動に伴うリスクについては、1.5℃シナリオ、2℃シナリオの途上に影響が顕著となる「脱炭素社会への移行に関連したリスク」と世界のCO2排出量削減未達により4℃シナリオへ至った場合に影響が顕著となる「気候変動に伴う物理的影響に関連したリスク」を分析した。

これに基づき当社への影響とその対応策をマテリアリティ(重要課題)にも照らして検討した結果、リスクについては一部未算出であるものの、短期から長期にわたり財務的影響が想定された。シナリオによってその影響は異なるものの、2040年時点で最大で当社単体の2022年度売上の約0.6%と算出した。

機会については化石燃料から非化石燃料へのエネルギー転換、省エネルギー、再生可能エネルギー需要の増加、災害対策など重要な社会課題に直結し、短中期で対応していくことが重要という結論に至った。

これらのことも踏まえ、当社グループは「社会インフラの維持・構築」という使命を果たすとともに、「脱炭素社会への貢献」という課題に対しても、「脱炭素」と「レジリエンス(防災+BCP)」のソリューションで応えていく。

「脱炭素社会への移行」と「自然災害の激甚化」に関するリスクと機会を検討するにあたっては、以下のシナリオを採用している。

 

・脱炭素社会への移行のシナリオ

国際エネルギー機関(IEA)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇が1.5℃(NZE)、2℃(APS)相当となるシナリオ

 

・自然災害の激甚化のシナリオ

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇が1.5℃(SSP1-1.9)、2℃(SSP1-2.6、RCP2.6)、4℃(SSP5-8.5、RCP8.5)相当となるシナリオ

 

 

使用するシナリオ群

温度上昇帯

(2100年)

IEA

WEO

IPCC

RCP

IPCC

SSP

4℃上昇

RCP8.5

SSP5-8.5

(化石燃料依存)

2℃上昇

APS

(ネットゼロ宣言国は

全て達成)

RCP2.6

SSP1-2.6

(持続可能性重視)

1.5℃上昇

NZE(ネットゼロ達成)

SSP1-1.9

(持続可能性重視)

使用する

財務影響算定

炭素税導入

洪水

高潮

 

 

b.気候関連リスクの財務影響

重要なリスクのうち、財務的影響が予測可能な炭素税導入と、影響が大きいと考えられる洪水・高潮の発生について、売上及び経常利益へのインパクトを算定した。財務影響は個別に想定したリスクの全てが同時に発生したものとして算定しており、当社単体の2022年度売上・利益に対する割合である。今後も算定の結果を踏まえたアクションプランを実践する一方、算定方法の精緻化と対象範囲の拡大に取り組む。

イ.税制度(炭素税等)導入による追加コスト

重要なリスク

財務影響(2040年)

炭素税等の導入

1.5℃:売上の約0.2%(経常利益の約2.6%)

2℃  :売上の約0.1%(経常利益の約2.3%)

4℃  :影響なし

 

ロ.自然災害による被害額(洪水・高潮による拠点の浸水)

重要なリスク

財務影響(2040年)

洪水・高潮による

拠点の浸水

1.5℃:売上の約0.3%(経常利益の約4.5%)

2℃  :売上の約0.4%(経常利益の約7.3%)

4℃  :売上の約0.4%(経常利益の約7.3%)

 

c.気候関連リスクの財務影響・算定方法

イ.税制度(炭素税等)導入による追加コスト

[算定方法]

現在の二酸化炭素排出量×将来の炭素税価格

[使用した炭素税価格の将来シナリオ]

IEA(国際エネルギー機関)が提供するWorld Energy Outlook2023に記載される下記シナリオを採用

・1.5℃上昇:NZE2050(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)

・2℃上昇:APS(Announced Pledges Scenario)

財務影響

2030年(短期)

2040年

2050年(中期)

売上

経常利益

売上

経常利益

売上

経常利益

1.5℃上昇

約0.1%

約1.8%

約0.2%

約2.6%

約0.2%

約3.2%

2℃上昇

約0.1%

約1.7%

約0.1%

約2.3%

約0.2%

約2.6%

4℃上昇

(注)財務影響は当社単体の2022年度売上・利益に対する割合である。

 

 

ロ.自然災害による追加コスト・被害額(洪水・高潮による拠点の浸水)

[算定方法]

自然災害による追加コスト・被害額(将来-現在)を計算

追加コスト・被害額は、公的機関が公表するデータを用いて洪水・高潮発生時の各拠点の浸水深(現在と将来)を判定し、浸水被害実績に基づく国の算定方法に準拠して、拠点別にオフィス代替費用、売上減少額、資産毀損額を算定

[使用した浸水深の将来シナリオ]

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が提供する下記シナリオを採用

・洪水:AR5(第5次評価報告書)のRCPシナリオ(2℃、4℃上昇相当)

・高潮:AR6(第6次評価報告書)のSSPシナリオ(1.5℃、2℃、4℃上昇相当)

財務影響

2030年(短期)

2040年

2100年(長期)

売上

経常利益

売上

経常利益

売上

経常利益

1.5℃上昇

(高潮)

約0.1%

約2.4%

約0.3%

約4.5%

約0.3%

約5.7%

2℃上昇

(洪水・高潮)

約0.3%

約5.2%

約0.4%

約7.3%

約1.0%

約15.7%

4℃上昇

(洪水・高潮)

約0.3%

約5.7%

約0.4%

約7.3%

約1.2%

約19.1%

(注)財務影響は当社単体の2022年度売上・利益に対する割合である。

 

④指標及び目標

当社グループでは、温室効果ガス排出量の算定対象範囲を事業(単体)のScope1、Scope2、Scope3(現場の仮設事務所など共益費等にて支払われている電気使用量を除く)としており、算定の結果、当社単体の2022年度温室効果ガス排出量は、698,523t-CO2(ロケーション基準)、699,093t-CO2(マーケット基準)であった。今後Scope3を含む対象範囲の拡充に向けて取り組んでいく。

2022年7月に『2050年 温室効果ガス排出量実質ゼロ』を掲げたが、2023年度からは、目標達成の実効性を高めるため、2030年再エネ導入100%による『2030年 温室効果ガス排出量△50%(2020年度比)』に取り組んでいる。加えて、2024年度からは、2024年-2026年度 中期経営計画において掲げた『2026年 温室効果ガス排出量△18%(2020年度比)』にも取り組むこととしている。(いずれの目標もScope1、Scope2の合計が対象)

 

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0102010_002.png

 

温室効果ガス排出量

 

対  象 :当社単体

算定基準 :GHGプロトコルに準じた算定方法(注1)

算定範囲 :Scope1(燃料の燃焼)、Scope2(電気・熱の使用)、

Scope3(サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量)

※Scope1:CO2以外の温室効果ガス(SF6等)の使用実態について確認中

※Scope2:現場の仮設事務所など共益費等にて支払われている電気使用量を除く

 

 

区分

2020年度

2021年度

2022年度

排出量

(t-CO2)

排出量

(t-CO2)

前年度比

排出量

(t-CO2)

前年度比

2020年度比

Scope1(燃料の燃焼)(注2)

10,697

10,351

96.8%

10,086

97.4%

94.3%

Scope2

(電気の使用)

ロケーション基準

(注3)

13,105

12,681

96.8%

12,276

96.8%

93.7%

マーケット基準

(注4)

13,261

13,050

98.4%

12,846

98.4%

96.9%

Scope2(熱の使用)

739

746

100.9%

741

99.3%

100.3%

計(Scope1+2)

ロケーション基準

24,541

23,778

96.9%

23,103

97.2%

94.1%

マーケット基準

24,697

24,147

97.8%

23,673

98.0%

95.9%

Scope3

 

649,471

675,420

104.0%

計(Scope1+2+3)

(ロケーション基準)

673,249

698,523

103.8%

(マーケット基準)

673,618

699,093

103.8%

(注)1  算定にあたっては、外部専門家の支援を受けている。

2  各燃料について、年間使用量×単位発熱量×CO2排出係数を計算し、これを合計したものである。各燃料の単位発熱量、各燃料のCO2排出係数は、「地球温暖化対策の推進に関する法律」の「温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度」に基づく値を採用している。

3  平均的な排出係数に基づき算定している。

4  「地球温暖化対策の推進に関する法律」で定められた電気事業者別の調整後排出係数(各年度報告用)に基づき算定している。

 

 

(3)人的資本

当社グループは、グリーンイノベーション企業の実現に向けた人材力・組織力を「ひといち力(人的資本・知的資本・心的資本)」と定義し、その向上に取り組んでいる。

「ひといち力」とは、社員はもとより、株主、お客様、地域社会など全てのステークホルダーの“豊かさと幸福”を実現するための人材力と組織力の融合であり、人的資本、知的資本、心的資本から構成されている。なお、心的資本とは、当社グループが創立時より体現してきた『社会やお客様のニーズに向き合い、最後までやり遂げる姿勢』や、『災害などの緊急時に発揮される行動力』を支える使命感などを示している。

 

「ひといち力」の定義

 

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「ひといち力」の構成要素

 

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①戦略

「ひといち力」を向上するため、人事・人材・調達システムの運用、人づくり、パートナーシップの維持・向上、職場環境づくりを一体で行っている。

具体的には、要員計画、人材育成計画、調達方針を策定し、KPIとアクションプランによる進捗管理のもと、課題抽出と改善、方針・計画へのフィードバックを行っている。

 

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a.人材育成方針

イ.人材育成方針

当社グループは、持続的成長に必要な「社会やお客様から信頼されるプロフェッショナル人材、並びにマネジメント人材」を継続して育成するとともに、従業員一人ひとりの能力の開発向上を図っていく。

 

ロ.人材育成の取組骨子

当社グループは、継続して優れた人材を育成するための仕組みの構築に継続して取り組んでおり、具体的な取組骨子は次のとおりである。

      0102010_006.png

 

 

b.目指す人材の姿

 

    0102010_007.png

 

c.働き方・休み方改革

当社グループは、全ての職場において、社員一人ひとりが活き生きと働くことができる会社を目指すため、多様な働き方と休み方を推進するとともに、健康管理施策の充実を図っていく。

基本方針

・経営層を含めた管理者による改革の主導・実践

・ワーク・ライフ・バランスへの意識転換

・産業保健体制の強化と自己保健義務の励行

 

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d.ダイバーシティ&インクルージョン風土醸成

当社グループは、経営理念である「豊かな人間環境づくり」の実現のために、多様な人材が活躍できる「ダイバーシティ&インクルージョン」の風土醸成が重要と考え、各種研修を実施している。

 

e.女性活躍推進

当社グループは、女性の活躍推進を喫緊のテーマとして捉え、管理職育成、キャリア意識の醸成、女性技術者の育成に取り組んでいる。

 

f.健康経営

当社グループは、これまでも従業員の健康に関する様々な取り組みを進めてきた。社員一人ひとりがその能力を存分に発揮し、活き生きと働くことができるよう社員の健康づくりを支援することが、会社の持続的発展の基盤になると捉え、健康経営の実践に取り組んでいる。

 

健康経営推進体制

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②指標及び目標

当社は、以下に掲げるKPIを設定し、当社グループの「ひといち力」向上に取り組んでいる。なお、連結グループに属する全ての会社では取り組みが行われておらず、連結グループにおける記載が困難であるため、当社単体のものを記載している。

取り組みの方向性

KPI

目標年度

目標値

2021年度実績

2022年度実績

2021~2022年度実績

(累計)

若年層社員の育成

ビジネススキル研修受講者数

(業務職35歳以下対象)

2021~2023

延べ

450

302人

444人

延べ

746

グループ会社・協力会社の教育支援

合同研修受講者数

2021~2023

延べ12,800

4,967人

4,948人

延べ

9,915

ダイバーシティ&インクルージョン

女性管理職数

2024

36

(2019年度比2倍)

23人

28

男性の育児休業取得率

(注1)

2024

30以上

5.6%

10.9%

コミュニケーション促進

アサーティブコミュニケーション研修受講者数(注2)

2021~2023

延べ13,000

8,312人

1,181人

延べ

9,493

健康管理・健康サポートの充実

管理職の労務管理教育実施回数

2021~2023

延べ

66

22回

22回

延べ

44

ハイリスク者(血圧、血糖値等が基準範囲外)に対する産業保健指導率

2023

100

100%

99.2%

(注)1  「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものである。

2  風通しの良い職場環境をつくることを目的に「K.アサーション活動」を推進しており、「自分と相手を大事にし、気づきや疑問、意見を素直に声に出す」ことを習慣化することを目指している。

 

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりである。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存である。

また、これらのリスクに対する管理体制を「第4  提出会社の状況  4  コーポレート・ガバナンスの状況等  (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載している。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、経営会議等で合理的な検討を行っている。

 

(1)事業環境の変化

想定を上回る建設関連投資及び電力設備投資の減少等、事業環境に著しい変化が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。なお、当社グループの売上高のうち、東京電力グループの割合は約3割である。

このリスクの対応については、「1  経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載している。

 

(2)資材費・労務費の価格変動

資材費・労務費の価格が著しく上昇し、これを請負代金に反映できない場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

このリスクに対応するため、工事請負契約への反映を協議するとともに、サプライチェーンの多様化等による原価低減に取り組んでいる。

 

(3)工事施工等のリスク

工事施工に関し、品質上重大な不具合や事故が発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

このリスクに対応するため、設備事故に対する要因分析と対策、過去の事故事例を活用した教育等の実施により、施工品質の確保を図っている。

 

(4)取引先の信用リスク

建設業においては、一取引における請負代金が大きく、また多くの場合には、工事目的物の引渡時に多額の工事代金が支払われる条件で契約が締結される。工事代金を受領する前に取引先が信用不安に陥った場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

このリスクに対応するため、取引先に対する信用状況確認の徹底により、不良債権の発生防止に努めている。

 

(5)資産保有リスク

営業活動上の必要性から、不動産・有価証券等の資産を保有しているため、保有資産の時価が著しく下落した場合等、または事業用不動産の収益性が著しく低下した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

このリスクに対応するため、事業用不動産は、減損リスク等の把握により管理している。投資有価証券のうち政策保有株式は、保有意義や資産効率等を取締役会等で毎年検証し、保有意義が低下した株式は原則として売却している。

 

(6)退職給付債務

年金資産の時価の下落、運用利回り及び割引率等の退職給付債務算定に用いる前提に変更があった場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

このリスクに対応するため、年金資産運用の基本方針を定め、定期的に運用資産の評価を行っている。

 

(7)法的規制

建設業法、独占禁止法、労働安全衛生法等による法的規制を受けており、法的規制の改廃や新設、適用基準等の変更があった場合、または法的規制による行政処分等を受けた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

このリスクに対応するため、各業務執行部門及び法務部門において法的規制の改廃や新設等の動向を常に把握し、対応及び遵守状況を確認することにより、法的規制の遵守に努めている。

 

(8)情報流出のリスク

サイバー攻撃による情報の窃取や、システムデータの改ざん・喪失等の発生により、多額の損害賠償が発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

このリスクに対応するため、社内規程を整備し、情報システムのセキュリティ強化や従業員への教育を行っている。また、サイバー攻撃による被害の最小化に向け、インシデント対応体制として組織内CSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置し、役割や報告体制の明確化を図っている。

 

(9)非常災害のリスク

大規模地震や台風等の自然災害の発生に伴い、事業活動の中断や遅滞が発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

このリスクに対応するため、社内規程を整備し、従業員への周知や事業所停電対策の実施、非常用備蓄品の備蓄推進等の対策を講じている。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりである。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度のわが国経済は、物価上昇の影響はあったものの、雇用・所得環境の改善を受け個人消費は持ち直し、社会経済活動の活性化により企業収益も好調が続くなど、緩やかな景気回復軌道を歩んだ。

このような情勢下にあって、民間建設投資は半導体工場やデータセンター、大型再開発プロジェクトなどを中心に高水準を維持した。また、電力設備投資についても、計画的な設備投資を電力会社に促すレベニューキャップ制度の開始に伴い順調に推移した。

このため当社グループは、豊富な営業情報の多角的な分析に基づく営業活動を強力に展開するとともに、エンジニアリング力を駆使した提案メニューの多様化によるリニューアル工事の獲得に注力した。また、VE・CD検討や事務処理などの現場業務を支援する体制の充実による生産性向上に努めた。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりとなった。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ794億4千7百万円増加し、5,672億7千5百万円となった。

 

(資産の部)

流動資産は、主に受取手形・完成工事未収入金等が339億4千3百万円増加したことから、流動資産合計で前連結会計年度末に比べ483億7千7百万円増加した。

固定資産は、主に投資有価証券が203億3千9百万円増加したことから、固定資産合計で前連結会計年度末に比べ310億7千万円増加した。

 

(負債の部)

負債の部は、短期借入金が90億7千8百万円、支払手形・工事未払金等が80億6千万円、未払法人税等が70億9千8百万円増加したことなどから、負債合計で前連結会計年度末に比べ421億4百万円増加し、2,214億7千5百万円となった。

 

(純資産の部)

純資産の部は、主に利益剰余金が206億8千7百万円増加したことから、純資産合計で前連結会計年度末に比べ373億4千3百万円増加し、3,458億円となった。

 

b.経営成績

当連結会計年度の業績は、売上高5,984億2千7百万円(前連結会計年度比568億4千7百万円増)、経常利益426億4千8百万円(前連結会計年度比85億8千8百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益273億4千5百万円(前連結会計年度比61億7千7百万円増)となった。

 

セグメントごとの業績は、次のとおりである。

(設備工事業)

当社グループの主たる事業である設備工事業の業績は、新規受注高6,504億9千6百万円(前連結会計年度比859億7千1百万円増)、完成工事高5,875億5千3百万円(前連結会計年度比550億1千6百万円増)、営業利益389億9千7百万円(前連結会計年度比80億1千3百万円増)となった。

 

(その他の事業)

その他の事業の業績は、売上高108億7千3百万円(前連結会計年度比18億3千1百万円増)、営業利益20億円(前連結会計年度比2億1千6百万円増)となった。

 

当社グループの売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりである。

前連結会計年度

 

 

東京電力グループ

145,962百万円

27.0%

 

当連結会計年度

 

 

東京電力グループ

150,730百万円

25.2%

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動及び財務活動により資金が増加したことから、投資活動による資金の減少があったものの、前連結会計年度末から14億2千2百万円増加し、624億3千8百万円となった。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度では、営業活動によって198億4千1百万円の資金が増加した(前連結会計年度比123億8千5百万円増)。これは、税金等調整前当期純利益450億1千7百万円、仕入債務の増加額80億5千9百万円などの資金増加要因が、売上債権の増加額343億9千8百万円などの資金減少要因を上回ったことによるものである。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度では、投資活動によって190億7千7百万円の資金が減少した(前連結会計年度比124億4千1百万円減)。これは主に、有形固定資産の取得に182億7千万円を支出したことなどによるものである。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度では、財務活動によって5億6千7百万円の資金が増加した(前連結会計年度比78億8千6百万円増)。これは、長期借入金の返済に15億4千万円、配当金の支払に69億4千8百万円を支出したものの、短期借入金の純増加額100億5千2百万円の収入があったことなどによるものである。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

当社グループが営んでいる事業においては、生産実績について定義することが困難であるため、「生産の実績」は記載していない。

事業の大部分を占めている設備工事業においては、請負形態をとっているため、販売実績という定義が実態にそぐわないことや、設備工事業以外の事業では受注生産形態をとっていないことから、「受注及び販売の実績」については「①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントごとの業績に関連付けて記載している。

なお、当社グループにおける受注及び販売の実績の大部分を提出会社が占めているため、提出会社個別の実績を参考のため記載すると、次のとおりである。

 

(提出会社の受注工事高及び完成工事高の実績)

a.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高

期別

区分

前期繰越

工事高

 

(百万円)

当期受注

工事高

 

(百万円)

 

(百万円)

当期完成

工事高

 

(百万円)

次期繰越

工事高

 

(百万円)

前事業年度

 

(自  2022年

4月1日

至  2023年

3月31日)

屋内線・

環境設備工事

309,176

288,620

597,797

271,851

325,945

情報通信工事

16,510

34,400

50,910

37,776

13,134

配電線工事

24,122

112,396

136,519

107,362

29,156

工務関係工事

90,989

57,900

148,889

52,999

95,889

440,799

493,317

934,116

469,990

464,126

当事業年度

 

(自  2023年

4月1日

至  2024年

3月31日)

屋内線・

環境設備工事

325,945

346,738

672,684

316,211

356,473

情報通信工事

13,134

40,010

53,144

37,008

16,136

配電線工事

29,156

119,718

148,875

113,314

35,561

工務関係工事

95,889

66,044

161,934

54,349

107,585

464,126

572,513

1,036,639

520,883

515,756

(注)1  前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれる。

2  次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。

3  提出会社は設備工事業、不動産事業及び発電事業を営んでいるが、不動産事業及び発電事業については僅少であることから含めて記載している。

 

b.受注工事高

期別

区分

 

官公庁

 

(百万円)

民間

 

 

(百万円)

東京電力

グループ

(百万円)

その他

(百万円)

前事業年度

 

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

屋内線・環境設備工事

10,879

2,545

275,194

288,620

情報通信工事

3,025

3,287

28,086

34,400

配電線工事

578

98,902

12,915

112,396

工務関係工事

1,244

18,984

37,671

57,900

15,728

123,719

353,869

493,317

当事業年度

 

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

屋内線・環境設備工事

30,762

4,090

311,886

346,738

情報通信工事

9,630

3,917

26,463

40,010

配電線工事

338

104,982

14,398

119,718

工務関係工事

538

24,344

41,161

66,044

41,269

137,334

393,909

572,513

 

c.完成工事高

期別

区分

 

官公庁

 

(百万円)

民間

 

 

(百万円)

東京電力

グループ

(百万円)

その他

(百万円)

前事業年度

 

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

屋内線・環境設備工事

11,244

2,957

257,649

271,851

情報通信工事

3,566

3,260

30,949

37,776

配電線工事

419

97,186

9,756

107,362

工務関係工事

1,345

16,551

35,103

52,999

16,576

119,955

333,458

469,990

当事業年度

 

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

屋内線・環境設備工事

11,512

3,265

301,432

316,211

情報通信工事

3,734

3,846

29,427

37,008

配電線工事

496

100,814

12,003

113,314

工務関係工事

1,377

19,544

33,427

54,349

17,121

127,470

376,291

520,883

(注)1 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。

 

前事業年度

独立行政法人

労働者健康安全機構

・大阪ろうさい病院新棟電気設備工事

東日本高速道路㈱

・東北自動車道 可変式速度規制標識設備更新工事

㈱大林組

・三田三・四丁目地区再開発事業 複合棟1新築工事(電気設備工事)

鹿島建設㈱

・横濱ゲートタワー新築工事(電気設備工事)

北海道北部風力送電㈱

・送電線(北部送電豊富中川幹線・稚内恵北線・開源線)建設工事

 

当事業年度

鹿島建設㈱

・JASM 第一工場新築工事(電気設備工事)

虎ノ門・麻布台地区市街地

再開発組合

・麻布台ヒルズ 森JPタワー新築工事(電気設備工事)

㈱大林組

・春日部市新本庁舎建設工事(電気設備工事)

合同会社道北風力

・道北風力発電事業 浜里ウインドファーム建設工事

YOUテレビ㈱

・YOUテレビFTTH化工事

 

2  完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりである。

前事業年度

 

 

東京電力グループ

119,955百万円

25.5%

 

当事業年度

 

 

東京電力グループ

127,470百万円

24.5%

 

d.次期繰越工事高

2024年3月31日現在

 

区分

官公庁

 

(百万円)

民間

 

(百万円)

東京電力

グループ

(百万円)

その他

(百万円)

屋内線・環境設備工事

36,570

1,524

318,377

356,473

情報通信工事

8,123

169

7,843

16,136

配電線工事

166

22,730

12,663

35,561

工務関係工事

2,496

23,108

81,979

107,585

47,357

47,533

420,865

515,756

(注)  次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりである。

 

兵庫県

・県立西宮総合医療センター(仮称)病院棟外電気設備工事

東日本高速道路㈱

・東北支社管内 路側無線設備工事

清水建設㈱

・東京駅前常盤橋プロジェクト Torch Tower新築工事(電気設備工事)

戸田建設㈱

・道玄坂二丁目南地区計画新築工事(空調設備工事)

あぶくま南風力発電合同会社

・あぶくま南風力発電所新設工事

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりである。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、経営会議等で合理的な検討を行っている。

 

①当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度の財政状態の概要については、「(1)経営成績等の状況の概要  ①財政状態及び経営成績の状況」に記載している。

連結決算と個別決算の差額は、資産合計が713億2百万円であり、連単倍率は1.14倍である。セグメントでは、設備工事業の資産合計が前連結会計年度末に比べ690億1千1百万円増加し5,112億8千3百万円、その他の事業が136億8千7百万円増加し890億5千3百万円となり、設備工事業が85.2%を占めている。

なお、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の1,460.23円から1,633.95円となり、自己資本比率は、前連結会計年度末の61.17%から58.87%となった。

 

②当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度は、豊富な営業情報の多角的な分析に基づく営業活動を強力に展開するとともに、エンジニアリング力を駆使した提案メニューの多様化によるリニューアル工事の獲得に注力した。また、VE・CD検討や事務処理など現場業務を支援する体制の充実による生産性向上に努めた。この結果、当連結会計年度の業績は、売上高及び利益いずれも前連結会計年度を上回った。

売上高は、当社及び連結子会社で増加したことにより、前連結会計年度に比べ568億4千7百万円増加し、5,984億2千7百万円となった。連結決算と個別決算の差額は775億4千3百万円であり、連単倍率は1.15倍である。セグメントでは、設備工事業が5,875億5千3百万円、その他の事業が108億7千3百万円となり、設備工事業が売上高の98.2%を占め、また東京電力グループからの売上高は1,507億3千万円となった。

利益は、当社及び連結子会社で増加したことにより、営業利益が81億8千5百万円増加し、409億3千4百万円となった。セグメントでは、設備工事業が389億9千7百万円、その他の事業が20億円となった。また、経常利益が85億8千8百万円増加し426億4千8百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は61億7千7百万円増加し273億4千5百万円となった。連単倍率は、営業利益1.20倍、経常利益1.18倍、親会社株主に帰属する当期純利益1.33倍である。

なお、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の103.59円から133.80円となり、自己資本利益率(ROE)は、前連結会計年度の7.27%から8.65%となった。

また、当連結会計年度の連結業績見通しに対する達成状況は、以下のとおりである。

業績見通し         実績         達成率

完成工事高                          577,000百万円    598,427百万円    103.7%

営業利益                             36,000百万円     40,934百万円    113.7%

経常利益                             36,600百万円     42,648百万円    116.5%

親会社株主に帰属する当期純利益       23,300百万円     27,345百万円    117.4%

 

③経営成績等に重要な影響を与える要因

当社グループを取り巻く経営環境は、「1  経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであり、また、「3  事業等のリスク」及び「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項  (重要な会計上の見積り)」に記載している各要因が、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している。

 

 

④キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要  ②キャッシュ・フローの状況」に記載している。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、設備工事業における材料費・外注費等の工事費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用である。投資を目的とした資金需要は、事業継続、施工力維持・強化、生産性・安全性向上並びに事業領域拡大等に資する設備投資である。

当社グループは、事業運営上必要な資金を安定的に確保することを基本方針としている。

運転資金及び設備投資資金については、自己資金及び金融機関からの借入により資金調達を行っている。短期借入金は主に運転資金に係る資金調達であり、長期借入金は主に設備投資に係る資金調達である。

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は624億3千8百万円であり、複数の金融機関に未使用の借入枠を有している。

 

⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。当社グループの連結財務諸表における重要な会計上の見積りは、詳細を「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項  (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載している。当該見積りは、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づく合理的な仮定を用いて、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っているが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合がある。なお、会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えられる項目は以下のとおりであり、当該見積りの詳細を「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項  (重要な会計上の見積り)」に記載している。

 

・一定の期間にわたり履行義務を充足するにつれて収益を認識する方法による完成工事高の計上

工事契約については、履行義務の充足に向けての進捗度を見積り、当該進捗度に基づき一定の期間にわたり完成工事高を計上している。進捗度の見積りは発生したコストに基づいたインプット法によっており、当該見積りに用いた仮定は、工事収益総額と工事原価総額を合理的に見積もった実行予算である。

 

・工事損失引当金

受注工事に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末手持工事のうち損失の発生が見込まれ、かつ、そ
の金額を合理的に見積もることができる工事について、損失見込額を工事損失引当金として計上している。当該見積りに用いた仮定は、工事契約ごとに合理的に見積もった実行予算である。

 

・減損損失

減損の兆候がある資産又は資産グループについて、回収可能価額が減損損失判定時点の帳簿価額の合計を下回る場合、減損損失判定時点の帳簿価額の合計と回収可能価額との差額を減損損失として計上している。当該計上に用いた仮定は、正味売却価額及び使用価値である。

 

5【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等はない。

 

 

6【研究開発活動】

当社グループは、既存事業の安全・品質・効率の向上や社会の持続的成長に資することを目的として、「デジタル化・ロボット化に関する技術開発」、「防災・BCPに関する技術開発」及び「脱炭素に関する技術開発」に重点的に取り組んだ。当連結会計年度は、「現場の稼ぐ力を創る技術開発」を念頭におき研究開発活動を行った。特に、デジタル化・ロボット化に関する技術開発として、現場での測定記録を効率的に行うことができる測定記録支援システムや自走式天井配線ロボットの改良、防災・BCPに関する技術開発として、誘導員の安全化対策システム、脱炭素に関する技術開発として、EVバス運行・充電管理システムの開発等を積極的に推進するとともに、産官学及びグループ会社との連携による技術開発の強化に取り組んだ。

当連結会計年度における研究開発費は、2,355百万円であり、主な研究開発成果は、以下のとおりである。なお、研究開発費をセグメントごとに区分していない。

 

(設備工事業)

「測定記録支援システム」の改良

屋内線現場において、点検測定業務を効率化するために開発した測定記録支援システム「BLuE」は、対応する測定器が限られていることが課題であった。そこで、従来対応していた照度計、クランプメーター、コンセントテスタ等の電気設備系測定器に加え、適用する機器を、風速計、温湿度計、圧力計等の空調衛生設備系測定器、ノギス、マイクロメーター、トルクレンチ等の工具・測距系測定器等45機種に拡大した。今後、本システムに対応する測定器機種を更に拡大するとともに、作業効率の向上を図っていく。

 

「自走式天井配線ロボット」の改良

当社グループで開発した自走式天井配線ロボット「楽々とおる君NEO」は、360°カメラ搭載による視認性の向上等、現場で使用しやすいように改良を重ねた機器であり、JECA FAIR 2023において日本電設工業協会奨励賞を受賞した。当連結会計年度においては、製造販売に向けメーカーと実施許諾契約を締結し、走破性や視認性を更に向上させた試作品を製作した。今後、検証試験によって本機器の性能を確認するとともに、受注拡大を目指す。

 

誘導員の安全対策システムの研究

道路工事現場において、通行車両と交通誘導員の接触による人身災害が問題となっている。そこで、交通誘導員が安全な位置から誘導警備を行うことができる安全対策システムを研究した。当連結会計年度においては、工事用信号機の改良に取り組み、ドライバーからの視認性を向上させるため、適正な信号機配置及び電光盤や補助板等の追加措置の有効性を検証した。今後、交通量に応じた信号の切り替えができるよう、AIを用いた交通誘導警備システムの実現を目指し、安全性向上を図っていく。

 

「EVバス運行・充電管理システム」の開発

EVバスは充電に時間がかかることから、その導入にあたり、運行計画に合わせた充電計画の作成が課題となっている。そこで、ネットワークを介して複数の急速充電器を遠隔で制御監視できる「EVバス運行・充電管理システム」を開発した。本システムを利用し適正な充電管理をすることで、ピークシフトによる電気料金の低減が期待できる。また、入出庫管理システムと組み合わせることで、ディーゼルバスも含めた在車状況を把握でき、急遽の車両振替にも対応可能である。今後、脱炭素社会に向けた社会の要請に応えられるよう、本システムを通じてEVバスの普及を促進するとともに、受注拡大を目指す。

 

(その他の事業)

当連結会計年度においては、該当事項なし。