(注)百万円未満の端数を切捨てて表示している。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
今後については、不安定な国際情勢による影響や、引き続き国内外における新型コロナウイルス感染症の動向等について注視していく必要がある。
当社グループにおいては、2026年度の成長Vision『連結7,000億円規模の経営』を目指し、中期経営計画『Sustainable Growth 2026 ~人、心、そして未来へ~』を展開している。2022年度は中期経営計画2年目を迎え、各戦略の取り組みを本格的に実行していく年となる。
「事業戦略」については、既存事業の強みをさらに磨き、拡大していくとともに、これまで培ってきた技術と新たな技術を活かし、カーボンニュートラル社会を見据えた再生可能エネルギー工事の拡大等、新しい分野にも挑戦していく。そのために、施工体制の拡充やエンジニアリング力の更なる向上、DX推進も含めた生産性向上等の事業基盤強化にも取り組む。「環境戦略」については、当社事業活動におけるカーボンニュートラルに向けた取り組みとして、CO2排出量削減目標を掲げ進める。「人財・働き方戦略」については、当社において最も大切な経営資源は人財であるとの考えの下、労働環境の整備やエンゲージメント・モチベーション向上に取り組み、「コーポレート戦略」では、グループ大でコンプライアンス・ガバナンスの強化を図る。
これらの取り組みが、当社グループの企業価値向上、持続的成長・発展につながり、ひいては「環境に優しい、持続可能な、より良い社会」の実現に貢献するものと考えている。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりである。
当社グループは、リスクの管理体制を「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおり整備し、リスク管理機能の強化を図っている。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものである。
(1)経済状況
当社グループの営業収入のうち、重要な部分を占める電気設備工事の需要は、当社グループが受注している地域及び各国の経済状況の影響を受ける。当社グループでは「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、中期経営計画『Sustainable Growth 2026 ~人、心、そして未来へ~』を策定し、当社財産である「人と心」を経営の根幹に置き、人財を中心とした事業基盤の整備・強化を進めつつ、SDGs・ESGの観点も踏まえた「事業戦略」及び「環境戦略」「人財・働き方戦略」「コーポレート戦略」を展開している。
① 民間工事の価格競争の激化
受注における最大の要素が価格となっており、熾烈な価格競争が行われている。建設需要が低迷・縮小を続けた場合、価格競争がより一層熾烈化し、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになる。
② 政府、自治体等官公庁の方針による建設投資抑制
政府、自治体等の建設投資抑制方針により、官公庁からの発注工事が減少した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになる。
③ 海外における経済情勢、法令・規則等の変更
当社グループは、海外のインフラ設備を中心とする海外工事にも積極的に進出している。海外工事においては、当該国の経済情勢の変化や法令・規則等に変更があった場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになる。
④ 資材費及び外注費の高騰
予想以上の急激な資材価格及び外注労務単価の高騰は、工事の採算性を低下させることもあり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになる。
⑤ 関西電力グループの設備投資抑制
当社グループは、大口得意先である関西電力グループから配電工事・電力工事等を受注して施工を行っている。そのために施工員、工事用車両、機械器具、事業所等を保有しており固定的に費用が生じている。今後、設備投資が抑制されると、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになる。
(2)得意先の倒産等による不良債権の発生
当社グループは、得意先と契約を締結して、契約条項に基づいて工事を施工し、入金を受けている。与信管理を強化しているが、得意先に倒産等があった場合、不良債権が発生することが予想され、多額の不良債権が発生すれば、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになる。
(3)大規模自然災害及び感染症の発生
大規模自然災害や感染症の大流行により、当社グループの設備(社屋、車両、工事機材等)や従業員が被害を受けたり、あるいは経済・社会が混乱した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになる。
新型コロナウイルス感染症が世界的に流行しているが、収束の時期や建設市場の動向等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性が生じることになる。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
①財政状態及び経営成績の状況
当期の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、業種により違いはあるものの、企業収益に緩やかな改善の動きがみられた。一部設備投資に持ち直しの動きもあり、建設業界においても明るい兆しがみえはじめたが、受注環境は引き続き厳しい状況にあった。
ア)経営成績
当社グループの完成工事高は、前連結会計年度に比べ105億2千万円増加し、5,667億9千4百万円(前期比1.9%増)となった。当社及び国内子会社は増加となったが、海外子会社は新型コロナウイルス感染症の影響等で減少した。
完成工事総利益は、前連結会計年度に比べ20億8千3百万円減少し、971億4千7百万円(前期比2.1%減)となった。完成工事高は前連結会計年度より増加したものの、完成工事総利益率が低下したことによる。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ37億7千6百万円増加し、600億5千9百万円(前期比6.7%増)となった。当社、国内子会社、海外子会社共に増加した。
営業利益は、前連結会計年度に比べ58億6千万円減少し、370億8千7百万円(前期比13.6%減)となった。
経常利益は、前連結会計年度に比べ48億1千7百万円減少し、399億7千7百万円(前期比10.8%減)となった。
親会社株主に帰属する当期純利益は、海外子会社の財務状況悪化に伴うのれん等の減損損失計上などにより、前連結会計年度に比べ59億8千9百万円減少し、263億6千6百万円(前期比18.5%減)となった。
完成工事高は前連結会計年度を上回ったが、各利益は前連結会計年度を下回った。
イ)財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末と比べ86億円増加し、4,428億2千9百万円(前年度末比2.0%増)となった。手元資金(現金及び現金同等物)が増加したことが主な要因である。
固定資産は、前連結会計年度末と比べ86億3千6百万円増加し、2,574億3千万円(前年度末比3.5%増)となった。有形固定資産は、9億円増加し、995億6千3百万円となった。新規取得及び除売却に特に大きなものはない。無形固定資産は、のれん等の増加により32億3千万円増加し、81億4千5百万円となった。投資その他の資産は、前連結会計年度末に比べ45億5百万円増加し、1,497億2千1百万円となった。長期預け金の増加が主な要因である。
これらの結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ172億3千6百万円増加し、7,002億5千9百万円(前年度末比2.5%増)となった。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末と比べ25億6千4百万円減少し、1,596億6千1百万円(前年度末比1.6%減)となった。減少の主な要因は、未成工事受入金の減少等による。
固定負債は、前連結会計年度末と比べ11億6千7百万円増加し、287億5千5百万円(前年度末比4.2%増)となった。
これらの結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ13億9千7百万円減少し、1,884億1千6百万円(前年度末比0.7%減)となった。
(純資産)
株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加、株主配当による減少等の結果、前連結会計年度末と比べ188億8千2百万円増加し、4,679億2千万円となった。その他の包括利益累計額は、その他有価証券評価差額金の減少、為替換算調整勘定及び退職給付に係る調整累計額の増加により、前連結会計年度末と比べ3千9百万円増加し、430億5千7百万円となった。
また、非支配株主持分は8億6千4百万円となった。
これらの結果、純資産は、前連結会計年度末に比べ186億3千4百万円増加し、5,118億4千3百万円(前年度末比3.8%増)となった。なお、自己資本比率は、前連結会計年度末より1.0ポイント上昇し、73.0%となった。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払等があったものの、税金等調整前当期純利益の計上等により、329億5千2百万円のプラス(前期は433億3千8百万円のプラス)となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産や子会社株式の取得等により、99億7千7百万円のマイナス(前期は58億4千6百万円のマイナス)となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により、82億5千4百万円のマイナス(前期は172億7千7百万円のマイナス)となった。
以上の結果、現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より153億5千5百万円増加(前期は201億3千7百万円増加)し、1,845億1百万円となった。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める設備工事業(建設事業)では生産実績を定義することが困難であり、設備工事業(建設事業)においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそぐわない。
なお、当社グループにおける受注及び販売の実績の大部分を提出会社が占めているため、提出会社個別の状況を参考のため記載すると、次のとおりである。
設備工事業(建設事業)における受注工事高及び完成工事高の状況
a.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
|
期別 |
工事種別 |
前期繰越 工事高 (百万円) |
当期受注 工事高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期完成 工事高 (百万円) |
次期繰越 工事高 (百万円)
|
|
第107期 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
配電工事 |
9,600 |
63,313 |
72,913 |
63,261 |
9,651 |
|
一般電気工事 |
272,904 |
320,043 |
592,947 |
306,546 |
286,401 |
|
|
情報通信工事 |
15,640 |
56,164 |
71,804 |
55,190 |
16,613 |
|
|
環境関連工事 |
26,386 |
38,018 |
64,404 |
35,220 |
29,184 |
|
|
電力その他工事 |
36,989 |
29,683 |
66,673 |
26,486 |
40,186 |
|
|
計 |
361,521 |
507,222 |
868,743 |
486,705 |
382,038 |
|
|
第108期 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
配電工事 |
9,651 |
68,019 |
77,671 |
66,480 |
11,191 |
|
一般電気工事 |
286,401 |
326,958 |
613,360 |
309,292 |
304,067 |
|
|
情報通信工事 |
16,613 |
60,710 |
77,324 |
56,143 |
21,180 |
|
|
環境関連工事 |
29,184 |
43,965 |
73,150 |
36,136 |
37,013 |
|
|
電力その他工事 |
40,186 |
26,344 |
66,530 |
25,671 |
40,858 |
|
|
計 |
382,038 |
525,998 |
908,036 |
493,724 |
414,312 |
(注)1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれる。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
b.受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争並びに関西電力株式会社または関西電力送配電株式会社との配電関係工事請負契約によるものに大別される。
|
期別 |
特命 |
競争 |
請負契約 |
計 |
|||||
|
(百万円) |
(%) |
(百万円) |
(%) |
(百万円) |
(%) |
(百万円) |
(%) |
||
|
第107期 |
(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
182,259 |
35.9 |
264,050 |
52.1 |
60,912 |
12.0 |
507,222 |
100.0 |
|
第108期 |
(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
200,901 |
38.2 |
259,643 |
49.4 |
65,453 |
12.4 |
525,998 |
100.0 |
c.完成工事高
|
期別 |
得意先 |
完成工事高 |
||
|
(百万円) |
(%) |
|||
|
第107期 |
(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
関西電力株式会社(注) |
71,848 |
14.8 |
|
官公庁 |
19,422 |
4.0 |
||
|
一般民間会社 |
395,435 |
81.2 |
||
|
計 |
486,705 |
100.0 |
||
|
第108期 |
(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
関西電力株式会社(注) |
74,825 |
15.1 |
|
官公庁 |
14,133 |
2.9 |
||
|
一般民間会社 |
404,764 |
82.0 |
||
|
計 |
493,724 |
100.0 |
||
(注)関西電力株式会社には関西電力送配電株式会社を含む。
また、第107期及び第108期の完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先は、関西電力株式会社である。
〇第107期完成工事のうち5億円以上の主なもの
|
注文者 |
工事名 |
工事場所 |
|
清水建設㈱ |
(仮称)TGMM芝浦プロジェクト新築電気設備工事(B棟Ⅱ期) |
東京都 |
|
鹿島建設㈱ |
都市再生ステップアッププロジェクト(竹芝地区)業務棟新築電気設備工事 |
東京都 |
|
㈱大林組 |
大阪国際空港ターミナルビル改修に伴う電気設備工事 |
大阪府 |
|
法務省大臣官房 |
大阪拘置所新営(電気設備)第2期工事 |
大阪府 |
|
関西電力㈱ |
新神戸線増強工事ならびに除却工事(1工区) |
兵庫県 |
〇第108期完成工事のうち5億円以上の主なもの
|
注文者 |
工事名 |
工事場所 |
|
清水建設㈱ |
(仮称)北品川5丁目計画 新築電気設備工事 |
東京都 |
|
㈱大林組 |
箕面船場駅前地区まちづくり拠点施設整備運営事業に伴う電気設備工事 |
大阪府 |
|
鹿島建設㈱ |
京阪神OBPビル(DC8)新築に伴う電気設備工事 |
大阪府 |
|
前田建設工業㈱ |
天神ビジネスセンター新築電気設備工事 |
福岡県 |
|
関西電力送配電㈱ |
南尼崎線ケーブル取替に伴う西向島町地区管路新設工事 |
兵庫県 |
d.手持工事高(2022年3月31日現在)
|
得意先 |
手持工事高 |
|
|
(百万円) |
(%) |
|
|
関西電力株式会社 |
22,011 |
5.3 |
|
官公庁 |
18,153 |
4.4 |
|
一般民間会社 |
374,147 |
90.3 |
|
計 |
414,312 |
100.0 |
(注)関西電力株式会社には関西電力送配電株式会社を含む。
〇手持工事のうち5億円以上の主なもの
|
注文者 |
工事名 |
工事場所 |
完成予定年月 |
|
大成建設㈱ |
虎ノ門2丁目地区(再)特定業務代行施設建築物建設工事(電気設備工事) |
東京都 |
2023年11月 |
|
鹿島建設㈱ |
渋谷駅桜丘口地区再開発(A街区)新築電気設備工事 |
東京都 |
2023年11月 |
|
法務省 |
大阪医療刑務所新営(電気設備)工事 |
大阪府 |
2023年9月 |
|
㈱竹中工務店 |
梅田一丁目一番地計画に伴う電気設備工事 |
大阪府 |
2022年10月 |
|
関西電力送配電㈱ |
若狭幹線改良工事(第一期)2工区ならびに除却工事 |
滋賀県 |
2027年1月 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりである。前連結会計年度と比較し、増収、減益となったが、年間を通じて新型コロナウイルス感染症の制約が続く中、ほぼ想定通りであったと認識している。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであり、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載している各要因が、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があると認識している。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本政策の基本方針は、安定した財務基盤を堅持しつつ、資本の有効利用を踏まえ、事業基盤の整備・拡充等の持続的成長・発展に向けた投資を実施するとともに、積極的な事業展開を図り、更なる株主価値の維持・向上を目指すことである。また、株主還元については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりである。
当社グループの資金需要のうち主なものは材料費、外注費等の施工に係る工事原価、販売費及び一般管理費等の営業経費である。また、投資を目的とした資金需要のうち主なものは設備投資等である。当連結会計年度の固定資産の取得による支出額は54億2千5百万円であり、その主なものは、建物、工事用車両及び機械・工具の購入等であった。また、当連結会計年度において、株式会社フジクラエンジニアリング(企業結合後の名称は株式会社FEN)の発行済株式の全てを取得し、子会社株式の取得による支出額は、45億5千万円であった。
今後の投資については、一定の財務基盤を堅持した上で、事業基盤の整備・拡充や、施設・設備・システム整備など教育インフラの拡充、業務効率化・生産性向上・労働環境改善などDXも見据えたデジタル化推進など、人財を軸とした成長投資を進める方針である。設備投資の計画は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであり、それ以外にも将来の持続的成長のための投資機会に対し機動的に対応していく。
株主還元については、当連結会計年度の年間配当金を1株当たり37円とし、連結配当性向は28.8%、配当金総額は75億8千2百万円となった。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主に自己資金及び営業活動によるキャッシュ・フローを基本としている。当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローは329億5千2百万円のプラスとなり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は1,845億1百万円となった。この現金及び現金同等物は、主に普通預金、定期預金及び有価証券(譲渡性預金)であり、流動性及び安全性を確保している。
また、当連結会計年度末の株主資本は、4,679億2千万円となり、前連結会計年度末と比較し、188億8千2百万円増加した。自己資本比率については、前連結会計年度末より1.0ポイント上昇し73.0%となった。
以上のような資金及び資本の状況から、現時点において当社グループは、円滑に事業活動する上で必要な資金の流動性及び財務の健全性を確保していると認識している。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであり、中期経営計画の2026年度成長visionである「連結7,000億円規模の経営」を目指し、事業活動を展開している。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、当社の報告セグメントは設備工事業(建設事業)のみであり、当社グループにおける受注及び販売の実績の大部分を提出会社が占めているため、参考として、提出会社個別の事業の状況について記載する。
(個別の完成工事高)
完成工事高は、前期より70億1千8百万円増加し、4,937億2千4百万円(前期比1.4%増)となった。
得意先別は、関西電力㈱(関西電力送配電㈱を含む)が前期より29億7千7百万円増加し748億2千5百万円(前期比4.1%増)、関西電力グループが前期より42億4千9百万円増加し221億9百万円(前期比23.8%増)となり、一般得意先は前期より2億8百万円減少し3,967億8千8百万円(前期比0.1%減)となった。
工事種別は、配電工事が前期より32億1千8百万円増加し664億8千万円(前期比5.1%増)、一般電気工事が前期より27億4千6百万円増加し3,092億9千2百万円(前期比0.9%増)、情報通信工事が前期より9億5千2百万円増加し561億4千3百万円(前期比1.7%増)、環境関連工事が前期より9億1千5百万円増加し361億3千6百万円(前期比2.6%増)、電力その他工事が前期より8億1千4百万円減少し256億7千1百万円(前期比3.1%減)となった。配電工事の増加の主な要因は、関西電力送配電㈱の工事量が増加したこと、一般電気工事が増加した主な要因は、工場等が減少したものの事務所ビルや物流施設等が増加したこと、情報通信工事の増加の主な要因は、携帯電話関連等が増加したこと、環境関連工事の増加の主な要因は、保健・医療施設等が減少したものの事務所ビルや物流施設等が増加したこと、電力その他工事の減少の主な要因は、地中送電工事等が減少したことによる。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。
特記事項なし。
当社グループにおいては、社会並びに顧客の複雑化、多様化するニーズに対応するとともに、安全、高品質、効率的施工の実現のために、工法・工具の改善から新技術の研究まで幅広い技術・技能の研究開発活動を行っている。
当連結会計年度における研究開発費は
当連結会計年度における当社グループの研究開発活動の主な結果は、次のとおりである。
(設備工事業)
(1)「SPIDERPLUS」電力量計確認機能のパワーアップ
電気設備工事における電力量計確認作業は、テナントビルなどの入居者の電気料金請求に関わる重要な作業で、電力量計が設計通りに設置されていることや正しく配線されていることなどを実際の電力量計で確認する。当社は2019年に「SPIDERPLUS」の電力量計確認機能をスパイダープラス株式会社と共同で開発し、目視で確認した内容をタブレットPCに入力すれば確認作業ができるだけでなく、自動で報告帳票や電力量計写真帳を作成できるようにした。しかし、電力量計は薄暗い場所に設置される場合が多いことに加え、表示される文字が小さいため、目視による確認作業において見逃し、見間違いなどのヒューマンエラーにより、誤計量が発生する可能性があった。
そこで今回、電力量計を写真撮影して、その写真からOCR技術を用いて各種情報を機械的に読み取る支援機能を開発。作業員の目視での確認と機械的な照合によるダブルチェックを行い、ヒューマンエラーの防止を可能とした。
また、OCR技術の認識精度は、電力量計の写真の品質に大きく影響されるため、当社は設置環境に影響されずに電力量計を撮影可能な電力量計撮影用補助具(意匠登録済)も開発した。同補助具を利用することで、写真撮影時の反射によるカメラ本体や背景の映り込み、劣悪な照明環境における光量不足の問題を解決し、OCR認識精度の向上だけでなく、電力量計写真帳の品質も向上する。「SPIDERPLUS」電力量計確認機能は、同補助具による撮影を効率的に行う機能も併せて搭載している。
(OCR技術による支援機能利用のメリット)
・電力計の設定値が設計値と異なる場合、警告表示を行い、見間違いや見逃しを防止
・電力計に誤結線などのエラーが表示されている場合、警告表示を行い、見逃しを防止
・電力量計の情報収集のみに利用する場合でも、OCR技術により入力の省力化が可能
(2)照度測定ロボット3号機の開発
現場の労働環境改善や時間外労働を削減するために、建設業ではロボット活用が進みつつある。当社は、夜間作業となる照度測定を自動化できる「照度測定ロボット」の1号機を2018年に開発し、改良を重ね、2021年度には3号機の開発を行った。
今回の開発で、ロボットが搭載する測域センサの測定距離が従来機の30mから150mと5倍になり、大型物流施設など大空間の現場でも利用可能となった。
さらに、オンラインストレージサービスBoxとロボットの連携機能を開発した。これにより、Boxに保存した「走行設定ファイル」など必要なファイルをロボットが自動的に読み込むことができ、測定後は自動的にロボットからBoxへ測定結果が保存されるなど、ファイルコピー操作が減り、作業者の利便性が向上した。
(仕 様)
照度測定ロボット
・サイズ:[W]374mm×[D]542mm×[H]218mm
・重 量:約12kg
・走行速度:1.26km/時
・測域センサ計測距離:150m