第2 【事業の状況】

 

(注) 「第2 事業の状況」における各事項の記載につきましては、消費税等抜きの金額で表示しております。

 

1 【業績等の概要】

(1)業績

当期のわが国経済は、政府による緊急経済対策の効果もあって、雇用情勢や企業収益の改善を背景に緩やかな回復基調が続きました。

国内建設市場におきましては、公共投資は国土強靭化計画に基づく防災・減災などの分野を中心に堅調に推移し、民間投資は企業収益の高まりから、少しずつではありますが設備投資の動きに光が見え始めています。

しかしながら、依然高止まりの状況が続く資機材価格の高騰や労働者不足による労務費の上昇は、昨今の建設産業にとって厳しい経営課題となっております。

このような環境のもと、当社グループは基本方針に「事業規模の堅持」「収益性の向上」「顧客志向を高める」を掲げた「中期経営計画」(2013年度~2015年度)に基づき、各施策を遂行し経営基盤の強化を図ってまいりました。

当期の当社グループの連結業績につきましては、売上高は2,002億円余(前連結会計年度比0.7%増)となりました。営業利益は海外工事の採算性の改善等により、117億円余(前連結会計年度比107.0%増)、経常利益は106億円余(前連結会計年度比99.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は事業用土地等の減損損失14億円余を特別損失として計上いたしましたが、60億円余(前連結会計年度比190.2%増)となりました。

 

当社グループのセグメントの業績は、次のとおりであります。

 

(国内土木事業)

海上土木分野をコア事業とし、社会資本の整備に注力しております。また被災地の復興・インフラ整備に継続的に取り組んでおります。当連結会計年度の売上高は99,937百万円(前連結会計年度比11.1%増)、セグメント利益(営業利益)は7,178百万円(前連結会計年度比21.0%減)となりました。

 

(国内建築事業)

特命案件・企画提案案件・設計施工案件の受注拡大と工事原価の厳正なチェックによりミニマムコストを追求し、利益確保を図っております。当連結会計年度の売上高は41,925百万円(前連結会計年度比23.4%減)、不採算工事の減少によりセグメント利益(営業利益)は1,559百万円(前連結会計年度比111.4%増)となりました。

 

(海外事業)

東南アジアを中心に南太平洋地域などにおいて、海上土木工事や火力発電所等プラント工事に注力しております。当連結会計年度の売上高は48,736百万円(前連結会計年度比19.7%増)、不採算工事の減少によりセグメント利益(営業利益)は5,256百万円(前連結会計年度は、セグメント損失1,653百万円)となりました。

 

(その他)

当連結会計年度の売上高は9,682百万円(前連結会計年度比28.0%減)、セグメント利益(営業利益)は1,145百万円(前連結会計年度比162.0%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度におきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは売上債権の減少等により、19,850百万円の資金増加(前連結会計年度は15,419百万円の資金減少)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得等により、2,467百万円の資金減少(前連結会計年度は1,388百万円の資金減少)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは長期借入金の増加等により、65百万円の資金増加(前連結会計年度は3,563百万円の資金減少)となりました。以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ16,986百万円増加し、39,896百万円となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業及び不動産事業では「生産」を定義することが困難であり、建設事業におきましては請負形態をとっているため「販売」という定義は実態にそぐいません。

また、当社グループとしての受注高、繰越高を正確に把握することも困難なため、記載可能な情報を「1 業績等の概要」におきましてセグメントの業績に関連付けて記載しております。

 

なお、参考のため当社単独の事業の状況は次のとおりであります。

 

(1) 受注高、売上高、繰越高及び施工高

 

期別

区分

前期
繰越高
(百万円)

当期
受注高
(百万円)


(百万円)

当期
売上高
(百万円)

次期繰越高

当期
施工高
(百万円)

手持高
(百万円)

うち
施工高
(%)

うち
施工高
(百万円)

第125期
(自 平成26年
  4月1日
至 平成27年
  3月31日)

建設
事業

土木工事

97,222

181,769

278,991

125,703

153,288

0.1

169

125,791

建築工事

65,184

53,623

118,807

57,929

60,878

0.1

33

57,894

162,406

235,392

397,799

183,632

214,166

0.1

202

183,686

開発事業等

1,035

2,344

3,380

2,078

1,301

15.6

203

2,240

不動産等

1,074

合計

163,442

237,736

401,179

186,785

215,467

0.2

406

185,926

第126期
(自 平成27年
  4月1日
至 平成28年
  3月31日)

建設
事業

土木工事

153,288

124,902

278,190

136,980

141,209

0.9

1,281

138,092

建築工事

60,878

54,058

114,937

52,749

62,187

0.1

81

52,798

214,166

178,961

393,127

189,730

203,397

0.7

1,363

190,891

開発事業等

1,301

1,920

3,221

2,352

869

8.5

74

2,222

不動産等

1,174

合計

215,467

180,881

396,349

193,257

204,266

0.7

1,437

193,114

 

(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更あるものにつきましては、当期受注高にその増減額を含めております。したがって当期売上高にもかかる増減額が含まれております。

2 次期繰越高の施工高は支出金により手持工事等の施工高を推定したものです。

3 当期施工高は、不動産等を除き(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。

 

(2) 受注工事高の受注方法別比率

工事の受注方法は特命と競争に大別されます。

 

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

第125期

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

土木工事

23.0

77.0

100.0

建築工事

63.1

36.9

100.0

第126期

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

土木工事

14.5

85.5

100.0

建築工事

60.0

40.0

100.0

 

(注) 百分比は請負金額比であります。

 

 

(3)完成工事高

 

期別

区分

国内

海外
(A)
(百万円)

(A)/(B)
(%)

合計
()
(百万円)

官公庁
(百万円)

民間
(百万円)

第125期

 

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

土木工事

65,537

22,591

37,574

29.9

125,703

建築工事

4,928

49,916

3,084

5.3

57,929

70,465

72,507

40,659

22.1

183,632

第126期

 

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

土木工事

70,396

27,369

39,214

28.6

136,980

建築工事

4,589

38,679

9,480

18.0

52,749

74,985

66,049

48,694

25.7

189,730

 

(注) 1 完成工事のうち、主なものは、次のとおりであります。

    第125期の主なもの

(発注者)

 (工事名)

神奈川県横浜市

南本牧ふ頭第5ブロック廃棄物最終処分場(仮称)建設工事(その28・基礎及び本体工)

国土交通省

岩国港臨港道路装束新港線橋梁上部工事(その2)

大阪府豊中市

(仮称)豊中市新学校給食センター施設整備事業

社会福祉法人七日会

(仮称)特別養護老人ホーム千川の杜 新築工事

DP World

ジュベルアリコンテナターミナルT3-Q10建設工事

 

    第126期の主なもの

(発注者)

 (工事名)

国土交通省

大船渡港湾口地区防波堤(災害復旧)(開口部)築造工事

住友重機械工業(株)

旧川間工場護岸改修工事

中国木材(株)

中国木材株式会社日向市工場新設工事(仮称)Ⅰ期工事

大阪府交野市

交野市新学校給食センター建設工事

PT. KAYAN MARINE SHIPYARD / PT. CIPTA UTAMA

タラカン島シップヤード建設工事

 

 

2 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。

    第125期

  国土交通省

36,379百万円  19.5%

 

    第126期

 国土交通省

37,186百万円  19.2%

 ピー・エス・エー・コーポレーション

19,857百万円  10.3%

 

 

(4)手持工事高(平成28年3月31日現在)

 

区分

国内

海外(百万円)

合計(百万円)

官公庁(百万円)

民間(百万円)

土木工事

77,740

18,564

44,904

141,209

建築工事

13,418

40,844

7,923

62,187

91,159

59,409

52,827

203,397

 

手持工事のうち主なものは次のとおりであります。

(発注者)

 (工事名)

(完成予定年月)

国土交通省

茨城港常陸那珂港区中央ふ頭地区廃棄物埋立護岸築造工事(その3)

平成31年6月

西日本高速道路(株)

四国横断自動車道 吉野川大橋(下部工)北工事

平成29年8月

横浜冷凍(株)

(仮称)ヨコレイ十勝第三物流センター新築工事(建築工事)

平成28年8月

(株)ラグーナテンボス

(仮称)ラグーナテンボス劇場ホール新築工事(内建築工事分)

平成28年4月

バヌアツ共和国

ポートビラ港ラペタシ国際多目的埠頭整備計画

平成29年10月

 

 

3 【対処すべき課題】

当社が施工した東京国際空港ほかの地盤改良工事における施工不良、並びに発注者である国土交通省に対し、完成書類等においてデータ改ざんと虚偽の報告を行っていたことにつきまして、弁護士を含む調査委員会を設置いたしました。当社は、国土交通省のご指示を仰ぎながら、調査委員会による調査を実施し、是正工事の実施に向けて、本件の原因究明と再発防止策を講じ、全社一丸となって、失われた信頼を取り戻すよう対処してまいります。

平成28年度を初年度とする3ヶ年の中期経営計画は、「コンプライアンスの徹底」と「信用回復」を最優先にした諸施策を織り込むとともに、この度の不祥事の業績に及ぼす影響を慎重に見極めたうえで策定し、公表させていただく予定にしております。

中長期的な部門戦略としまして、国内土木部門においては、「安定的な収益確保の継続」、国内建築部門においては「事業部門完全自立の達成・継続」、海外部門においては「緩やかな事業規模の拡大」、管理部門においては「コンプライアンスの徹底」等を図ってまいります。

中長期的な部門戦略のもと、当社の各部門は下記のとおり重点施策を掲げております。

 

部門重点施策

(国内土木事業)

・海上・河川等のあらゆる水域において、第一人者としての地位を確立する。

・作業用の大型船舶を戦略的・効率的に活用する。

・陸上分野は、選択と集中を徹底しつつ事業量と利益を確保する。

 

(国内建築事業)

・計画的かつ戦略的に、目標の事業量を確保する。

・特命案件、設計施工案件の受注比率を高める。

・東日本ブロック、西日本ブロックの建築2支店体制の効率的な運営を図る。

 

(海外事業)

・東南アジアを拠点としつつ、世界市場を視野に緩やかな事業規模の拡大を図る。

・海上土木工事、プラント工事、陸上土木工事、建築工事の4つの主要分野について、戦略的に受注活動を進める。

・プロジェクトマネジメント力の強化を図る。

 

(各事業共通)

・情報収集能力・提案力を高めるとともに各部門・国内外の連携を強化し、顧客ニーズの的確な把握と技術提案を行う。

・高品質の施工により顧客満足度の向上を図る。

・当年度に竣工した技術研究開発センターの新鋭設備を最大限に活用し、技術開発並びに保有技術の高度化に取り組む。特に、防災・減災、再生可能エネルギー、海洋資源開発、インフラの維持管理・更新等の市場ニーズを先取りした技術開発に注力する。

 

(経営管理・人事施策他)

・コンプライアンスを優先して企業活動にあたる意識を当社グループ全社員に浸透させる。

・リスク管理体制の充実・強化を図る。

・「安全をすべてに優先させる」という意識を根付かせ、予防対策型安全衛生活動を推進する。

・グループ各社の連携強化と収益力向上を図り、企業グループの価値を高める。

・次代を担う人材を計画的に育成する。

 

以上の重点施策を東亜グループの役職員が共有し、中長期的な部門戦略に基づいた諸施策を着実に実行し、経営課題の解決に取り組んでまいります。あわせて震災復興、環境保全など幅広い分野での社会的責任を果たすと共に、安全・安心な職場環境を形成してまいります。またコーポレート・ガバナンスの徹底した実践により、公正かつ信頼性の高い企業としての信用を回復し、永続的な評価を得ることを目指してまいります。

 

なお、当社は会社の支配に関する基本方針を定めており、その内容等は次のとおりであります。

 

①基本方針の内容

当社は、公開会社として株式を上場し、株主、投資家の皆様による株式の自由な取引が認められている以上、当社株式に対する大規模買付提案またはこれに類似する行為があった場合において、これに応じて当社株式の売却を行うか否かの判断は、最終的には株主の皆様の意思に基づき行われるものであると考えております。

当社株式の売却を行うか否か、すなわち大規模買付提案等に応じるか否かの判断を株主の皆様に適切に行っていただくためには、大規模買付者側から買付の条件や買収した後の経営方針、事業計画等に関する十分な情報提供がなされる必要があると考えます。また、当社は、その大規模買付提案に対する当社取締役会の評価や意見、大規模買付提案に対する当社取締役会による代替案等も株主の皆様に提供しなければならないと考えます。株主の皆様には、それらを総合的に勘案したうえでご判断をいただく必要があると考えます。

当社の財務及び事業の方針を決定する者は、当社の経営理念を理解し、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に構築することができ、当社の企業価値、株主共同の利益を中長期的に向上させることのできる意思と能力を備えている必要があると考えます。

したがって、大規模買付提案にあたって当社や当社の株主に対し、提案内容に関する情報や意見、評価、代替案作成に必要な時間を与えない大規模買付者、買付の目的及び買付後の経営方針等に鑑み、当社の企業価値・株主共同の利益を損なうことが明白である大規模買付提案を行う買付者、買付に応じることを株主に強要するような仕組みを有する提案等を行う大規模買付者は、当社の財務及び事業の方針を支配する者としては適切ではないと考えています。
  このような大規模買付提案または大規模買付行為等があった場合には、当社は、法令及び定款によって許容される限度において、企業価値や株主共同の利益を確保するために必要な措置を講じることを基本方針とします。

 

 

②基本方針の実現に資する取り組み

当社は、より多くの投資家の皆様に末永く継続して投資いただくため、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を向上させる取り組みとして、「高い技術をもって、社業の発展を図り、健全な経営により社会的責任を果たす」という経営理念を掲げ、その実現のための中期経営構想を実践しております。また、これらと並行して、コーポレート・ガバナンスの強化、充実に取り組んでおります。

③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止する取り組み

当社は、当社株式に対する大規模買付提案またはこれに類似する行為があった場合には、企業価値及び株主共同の利益の確保のため、適時適切な情報開示に努めるとともに、その時点において適切な対応をしてまいります。

④基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて

当社の中期経営構想は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させる取り組みとして、当社の経営理念を実現させるため実践しているものであり、まさに当社の基本方針に沿うものであります。
 従いまして上記の取り組みは、当社の会社役員の地位の維持を目的としたものではありません。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。当社はこれらリスク発生の可能性を認識した上で、発生の予防及び発生した場合の対応に万全を期す方針であります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)建設市場の変動リスク

当社グループの売上高の主要部分を占める国内建設事業につきましては、わが国の公共事業投資並びに民間設備投資の動向によりまして、影響を受ける可能性があります。

(2)建設資材価格の変動リスク

建設資材価格などの高騰により工事採算が悪化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)海外事業のリスク

当社グループは、世界各国にて建設事業を行っておりますが、その施工場所における政情の変化、経済情況の変化、予期せぬ法令・規制の変更等により、影響を受ける可能性があります。

また海外事業に関する為替変動リスクにつきましては、外貨建工事代金収入に対応させて原価支払いを外貨建としたり、必要に応じ為替予約などを通じヘッジしておりますが、そのリスクをすべて排除することは不可能であり、為替変動により影響を受ける可能性があります。

(4)工事の瑕疵

工事の品質管理には万全を期しておりますが、瑕疵担保責任及び製造物責任による損害賠償が発生した場合は、影響を受ける可能性があります。

(5)子会社・関連会社の事業リスク

グループ内の子会社・関連会社が実施している事業に関しまして、経済環境の急激な変動があった場合には、影響を受ける可能性があります。

(6)資産の時価下落リスク

当社グループの保有する不動産・有価証券の時価の下落により、影響を受ける可能性があります。

(7)繰延税金資産

繰延税金資産につきましては、今後の課税所得をもって全額回収可能と判断しておりますが、将来の課税所得見積額の変更等により、繰延税金資産について一部回収が困難であると判断した場合は、影響を受ける可能性があります。

(8)信用リスク

建設工事は契約から完成引渡しまで長期にわたり、また一件当たりの請負金額が大きく、一般的に工事目的物の引渡し時に多額の工事代金が支払われるため、取引先の信用リスクが生じる可能性があります。

(9)災害・事故の発生

工事施工にあたっては事故防止に万全を期しておりますが、予期せぬ要因から事故や労働災害が発生する可能性があります。この場合、損害賠償や指名停止などによる受注機会の減少により業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

特記事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループにおきましては、現在、環境・防災・リニューアル技術に重点をおいて研究開発を推進しております。当連結会計年度における研究開発費は872百万円であります。また、主な研究開発成果は次のとおりであります。

 

 (国内土木事業・国内建築事業及び海外事業)

(1)「かく乱・減容化工法(仮称)」の開発

一般的に、自然粘性土地盤に乱れを与えると、地盤が軟弱になり容易に圧縮・変形しやすくなります。そのためバーチカルドレーン等の地盤改良では、地盤を乱さないように施工することが望ましいとされています。この「地盤を乱す」という行為を逆手にとって積極的に活用したのが、「かく乱・減容化工法(仮称)」です。自然地盤を機械的に撹拌して骨格構造を破壊し、潜在的な沈下量を増加させることで、地盤の減容化を行う工法です。

近年、港湾施設の維持や建設工事で発生する土砂や各種廃棄物を埋め立てる、土砂処分場の容量が逼迫しています。新規に土砂処分場を建設することは環境問題や利害関係者との調整が必要で非常に困難であるとともに、可能な場合でも長い期間を要します。それに対し、「かく乱・減容化工法(仮称)」を既存の処分場に適用することで、処分容量を拡大することが可能であり、適用性が高い工法です。

 

(2)建設工事で発生する粉じんを自動的に低減する「粉じん見張り番」の開発

建設工事の現場では、土砂の掘削や建築物の解体、工事車両の走行等により粉じんが発生して周辺の環境や作業環境に悪影響を及ぼすことがあります。とくに屋外で発生する粉じんは、風向きの変化によって多様な方向へ拡散するため、既存の粉じん対策装置では対象範囲が狭く、効果が限られていました。そこで、散水範囲を広くして多様な方向に拡散する粉じんに対応し、現地の粉じん拡散状況を常時監視して必要に応じて自動散水する「粉じん見張り番」を株式会社テクノコアと共同で開発いたしました。

 「粉じん見張り番」は、水圧により左右に高速振動するノズルから水を散布することで水滴のカーテンを形成し、そのカーテンを通過する粉じんを低減します。室内実験により確認した粉じん低減効果が最大となる散水時の水滴径と水滴の放出角度によって、既存の技術よりも少ない散水量で広範囲に散水が可能であり、粉じん低減率が高いことが特長です。

 

 

 

(3)現地材料で製造可能な自己充填型コンクリート「SALSEC」の開発

コンクリート構造物は人々の経済活動や生活を守る重要な社会基盤です。しかし、近年は、良質な骨材の入手や労働者の確保が難しくなっていること、さらには離島開発事業での工事など、従来とは異なる様々な条件・環境に対応できるコンクリートの製造・施工技術が求められてきています。

 そこで当社では、早稲田大学、五洋建設株式会社、東洋建設株式会社と共同で、地産地消の考えに基づき、現地で調達可能な骨材や海水を用い、振動締固めが不要な自己充填型コンクリートとすることで、少ない労働者により耐久性に優れた構造物を築造できる「SALSEC」を開発し、現在実用化を目指した研究開発を進めています。離島開発事業などでは、現地材料を使用するため、コンクリート材料の運搬などに伴う二酸化炭素の排出を抑制でき、環境負荷の低減にも貢献できます。

「SALSEC」の開発にあたっては、塩分が含まれたコンクリートに自己充填性を付与させるのが難しかった従来の課題に対して、特殊な混和剤を開発・使用することでその問題を解決いたしました。また、耐食性に優れた鉄筋(ステンレス鉄筋など)の使用により、鉄筋コンクリート構造物への適用も可能なことを確認いたしました。さらに、実機プラントを利用した「SALSEC」製造実験を行い、期待した自己充填性を発揮できることを確認いたしました。

 

(4)再生骨材コンクリートの実用化

コンクリート構造物の解体に伴い発生するコンクリート塊は、都心部で多く発生し、行き場を失っています。天然骨材の枯渇により普通骨材のコストが上昇する中、このコンクリート塊を新たにコンクリート用の骨材として再利用する取り組みが期待されています。 

 再生骨材コンクリートはコンクリート構造物の解体コンクリートからコンクリートに使用されていた砕石や砂利を取り出し、新たなコンクリートの骨材として利用するものです。

 技術研究開発センター新築工事では、これまでに開発してきた再生骨材コンクリートの技術要素を取り入れ、基礎躯体に700㎥使用いたしました。採用にあたり国土交通大臣認定が必要であり、普通骨材よりも厳しい管理が義務付けられますが、適用場所に応じたコンクリートの耐久性を確保するために試験を繰り返し、安定した品質で施工を行った結果、打込み後の仕上がりは通常の骨材使用時と変わらず良好なコンクリートとなりました。

 コンクリート塊に使用されていた骨材を再び身近なコンクリート構造物に使用することでCASBEE横浜(2011年度版)の環境負荷低減材料としても認められ、資源循環に寄与いたしました。また、天然骨材の運搬に伴うCO2の削減に加えて骨材使用量の削減により、自然環境保護にも寄与いたしました。

 

 (その他)

研究開発活動は特段行っておりません。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループにおける財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)重要な会計方針と見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表作成にあたっては、過去の実績や現在の状況に基づき合理的と考えられる見積りによっている部分があり、実際の結果がこれらの見積りと異なる場合があります。

当社は、主に次の重要な会計方針に含まれる見積りが、状況の変化により、当社グループの連結財務諸表に影響を与えると考えております。

 

①完成工事高の計上基準

当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。

なお、工事進行基準適用工事の中で工期が長期にわたる工事については、外部環境の変化により工事原価等が当初の見積りと異なってくる場合があります。

 

②退職給付に係る負債

退職給付に係る負債は従業員の退職給付に備えるものであり、当連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込み額に基づき、当連結会計年度末において発生していると認められる額を計上しております。なお、退職給付債務等の計算の基礎率である割引率については0.4%を採用しております。数理計算上の差異につきましては13年で按分した額を発生の翌連結会計年度から費用処理しております。

年金資産については、株式で運用される部分があります。株価の動向によっては期待運用収益の見積り金額と異なってくることがあり、この場合当連結会計年度の数理計算上の差異となり、翌連結会計年度以降の損益に影響します。

一方、平成16年3月期に、キャッシュバランスプラン制度を導入したことにより、割引率変更による退職給付債務への影響額については、限定的となりました。

 

③貸倒引当金

債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収の可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。

当社グループの取引先の信用状況が悪化し、その支払能力が低下した場合、引当金の追加設定が必要となる可能性があります。

 

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

①売上高

当連結会計年度の売上高は200,282百万円で、前連結会計年度比1,398百万円(0.7%)の増収となりました。なお、当事業年度の当社の受注額は180,881百万円で、前事業年度比56,854百万円(23.9%)の減少となっております。

 

②営業利益

当連結会計年度の営業利益は11,789百万円で、前連結会計年度比6,092百万円(107.0%)の増益となりました。これは、海外工事の採算性の改善等による売上総利益の増益に伴うものであります。

 

③経常利益

当連結会計年度の経常利益は10,606百万円となり、前連結会計年度比5,298百万円(99.8%)の増益となりました。

 

④親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は6,038百万円となり、前連結会計年度比3,957百万円(190.2%)の増益となりました。これは自社社宅の土地建物、子会社の事業用土地などの減損損失による特別損失の計上があったものの、経常利益が大幅に増益となったことなどによります。

この結果、1株当たり当期純利益は28円89銭となりました。

 

(3)当連結会計年度の財政状態の分析

連結貸借対照表

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して6,289百万円増加し、196,491百万円となりました。これは主に受取手形・完成工事未収入金等が減少した一方で、現金預金、未成工事支出金等が増加したことによります。

負債は、前連結会計年度末と比較して4,149百万円増加し、125,347百万円となりました。これは主に退職給付に係る負債が増加したことによるものです。

純資産は、退職給付に係る調整累計額が減少した一方で、利益剰余金が増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して2,139百万円増加し、71,143百万円となりました。なお、自己資本比率は36.0%と、前連結会計年度末と比較して0.1ポイント減少しております。

また、D/Eレシオ(有利子負債/株主資本)は0.45(前連結会計年度:0.48)となりました。

 

(4)キャッシュ・フローの状況の分析

「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」を参照ください。