(注) 「第2 事業の状況」における各事項の記載につきましては、消費税等抜きの金額で表示しております。
当連結会計年度のわが国経済は、政府による各種の経済対策を下支えとして企業収益や雇用環境の改善が進むなど、一年を通して緩やかな回復基調が続きました。
国内建設市場におきましては、公共投資は防災・減災分野や社会資本の老朽化に対応する維持・更新等の分野を中心に堅調に推移し、民間投資は企業収益の高まりや税制改正の後押しを受け、底堅く推移してまいりました。
このような環境のもと、当社グループにおきましては、当社が施工した東京国際空港他の地盤改良工事において施工不良、データ改ざん及び虚偽報告を行っていたことが平成28年5月に明らかになりました。また同年11月には国立大学との共同研究事業に携わっていた当社の従業員が同大学教授への贈賄容疑で逮捕、翌12月に起訴されるという事件が起こりました。
このような事態に至りましたことを重く受け止め、改めて株主の皆様をはじめとする多くの関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけいたしましたことを心より深くお詫び申し上げます。
当社は再発防止策を策定し、役職員全員の意識改革とコンプライアンスの徹底、内部統制システムの再構築のほか、諸制度の改訂等の各施策を鋭意進めております。加えて再発防止策の進捗状況につきましても適宜公表させていただき、グループ一丸となって、信頼の回復に向け、全力で取り組む所存でございます。
当連結会計年度の当社グループの連結業績につきましては、売上高は受注高の減少に伴い167,200百万円(前連結会計年度比16.5%減)となりました。営業利益は6,196百万円(前連結会計年度比47.4%減)、経常利益は5,897百万円(前連結会計年度比44.4%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は施工不良関連損失が大きく影響し、7,438百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益6,038百万円)となりました。
当社グループのセグメントの業績は、次のとおりであります。
海上土木分野を中心に、被災地の復興・インフラ整備等、社会資本の整備に継続的に取り組んでおります。当連結会計年度の売上高は85,437百万円(前連結会計年度比14.5%減)、セグメント利益(営業利益)は4,898百万円(前連結会計年度比31.8%減)となりました。
特命案件・企画提案案件・設計施工案件の受注拡大に取り組んでおります。当連結会計年度の売上高は43,685百万円(前連結会計年度比4.2%増)、セグメント利益(営業利益)は709百万円(前連結会計年度比54.5%減)となりました。
東南アジアを中心に南太平洋地域などにおいて、海上土木工事・火力発電所等プラント工事に注力しております。当連結会計年度の売上高は28,927百万円(前連結会計年度比40.6%減)、セグメント利益(営業利益)は3,080百万円(前連結会計年度比41.4%減)となりました。
当連結会計年度の売上高は9,150百万円(前連結会計年度比5.5%減)、セグメント利益(営業利益)は663百万円(前連結会計年度比42.1%減)となりました。
当連結会計年度におきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは仕入債務の減少等により、8,769百万円の資金減少(前連結会計年度は19,850百万円の資金増加)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得等により、1,263百万円の資金減少(前連結会計年度は2,467百万円の資金減少)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは借入金の返済等により、1,639百万円の資金減少(前連結会計年度は65百万円の資金増加)となりました。以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ11,709百万円減少し、28,187百万円となりました。
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業及び不動産事業では「生産」を定義することが困難であり、建設事業におきましては請負形態をとっているため「販売」という定義は実態にそぐいません。
また、当社グループとしての受注高、繰越高を正確に把握することも困難なため、記載可能な情報を「1 業績等の概要」におきましてセグメントの業績に関連付けて記載しております。
なお、参考のため当社単独の事業の状況は次のとおりであります。
|
期別 |
区分 |
前期 |
当期 |
計 |
当期 |
次期繰越高 |
当期 |
|||
|
手持高 |
うち |
うち |
||||||||
|
第126期 |
建設 |
土木工事 |
153,288 |
124,902 |
278,190 |
136,980 |
141,209 |
0.9 |
1,281 |
138,092 |
|
建築工事 |
60,878 |
54,058 |
114,937 |
52,749 |
62,187 |
0.1 |
81 |
52,798 |
||
|
計 |
214,166 |
178,961 |
393,127 |
189,730 |
203,397 |
0.7 |
1,363 |
190,891 |
||
|
開発事業等 |
1,301 |
1,920 |
3,221 |
2,352 |
869 |
8.5 |
74 |
2,222 |
||
|
不動産等 |
― |
― |
― |
1,174 |
― |
― |
― |
― |
||
|
合計 |
215,467 |
180,881 |
396,349 |
193,257 |
204,266 |
0.7 |
1,437 |
193,114 |
||
|
第127期 |
建設 |
土木工事 |
141,209 |
79,119 |
220,329 |
107,624 |
112,704 |
0.7 |
735 |
107,078 |
|
建築工事 |
62,187 |
50,398 |
112,585 |
49,240 |
63,344 |
0.2 |
114 |
49,273 |
||
|
計 |
203,397 |
129,517 |
332,914 |
156,865 |
176,049 |
0.5 |
850 |
156,351 |
||
|
開発事業等 |
869 |
1,396 |
2,265 |
1,289 |
976 |
6.6 |
64 |
1,279 |
||
|
不動産等 |
― |
― |
― |
1,023 |
― |
― |
― |
― |
||
|
合計 |
204,266 |
130,914 |
335,180 |
159,177 |
177,025 |
0.5 |
914 |
157,631 |
||
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更あるものにつきましては、当期受注高にその増減額を含めております。したがって当期売上高にもかかる増減額が含まれております。
2 次期繰越高の施工高は支出金により手持工事等の施工高を推定したものです。
3 当期施工高は、不動産等を除き(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。
工事の受注方法は特命と競争に大別されます。
|
期別 |
区分 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
|
|
第126期 |
(自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
土木工事 |
14.5 |
85.5 |
100.0 |
|
建築工事 |
60.0 |
40.0 |
100.0 |
||
|
第127期 |
(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
土木工事 |
18.0 |
82.0 |
100.0 |
|
建築工事 |
72.0 |
28.0 |
100.0 |
||
(注) 百分比は請負金額比であります。
|
期別 |
区分 |
国内 |
海外 |
(A)/(B) |
合計 |
|
|
官公庁 |
民間 |
|||||
|
第126期
(自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
土木工事 |
70,396 |
27,369 |
39,214 |
28.6 |
136,980 |
|
建築工事 |
4,589 |
38,679 |
9,480 |
18.0 |
52,749 |
|
|
計 |
74,985 |
66,049 |
48,694 |
25.7 |
189,730 |
|
|
第127期
(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
土木工事 |
64,843 |
19,446 |
23,334 |
21.7 |
107,624 |
|
建築工事 |
8,877 |
34,782 |
5,580 |
11.3 |
49,240 |
|
|
計 |
73,721 |
54,229 |
28,915 |
18.4 |
156,865 |
|
(注) 1 完成工事のうち、主なものは、次のとおりであります。
第126期の主なもの
|
(発注者) |
(工事名) |
|
国土交通省 |
大船渡港湾口地区防波堤(災害復旧)(開口部)築造工事 |
|
住友重機械工業(株) |
旧川間工場護岸改修工事 |
|
中国木材(株) |
中国木材株式会社日向市工場新設工事(仮称)Ⅰ期工事 |
|
大阪府交野市 |
交野市新学校給食センター建設工事 |
|
PT. KAYAN MARINE SHIPYARD / |
タラカン島シップヤード建設工事 |
第127期の主なもの
|
(発注者) |
(工事名) |
|
内閣府沖縄総合事務局 |
那覇空港滑走路増設護岸GS工区築造工事 |
|
国土交通省 |
国道45号 岩泉地区道路工事 |
|
(独)都市再生機構 |
塩竈市錦町東地区災害公営住宅建設工事 |
|
大阪ガス都市開発(株)・ |
ジ・アーバネックス六甲道新築工事 |
|
PT. FUJITRANS LOGISTICS INDONESIA |
フジトランス・ロジスティクス・インドネシア梱包倉庫新築工事 |
2 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
第126期
|
国土交通省 |
37,186百万円 19.2% |
|
ピー・エス・エー・コーポレーション |
19,857百万円 10.3% |
第127期
|
国土交通省 |
33,098百万円 20.8% |
|
|
|
|
区分 |
国内 |
海外(百万円) |
合計(百万円) |
|
|
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
|||
|
土木工事 |
65,456 |
17,584 |
29,663 |
112,704 |
|
建築工事 |
6,806 |
52,229 |
4,308 |
63,344 |
|
計 |
72,262 |
69,814 |
33,972 |
176,049 |
手持工事のうち主なものは次のとおりであります。
|
(発注者) |
(工事名) |
(完成予定年月) |
|
国土交通省 |
東京港臨港道路南北線沈埋函(2号函・3号函)製作・ |
平成31年3月 |
|
(独)鉄道建設・運輸施設整備 |
北陸新幹線、鯖江橋立高架橋 |
平成32年3月 |
|
横浜冷凍(株) |
(仮称)ヨコレイ京浜島物流センター新築工事 |
平成30年2月 |
|
山田酒造食品(株) |
(仮称)山田酒造食品冷蔵倉庫建替計画 |
平成29年10月 |
|
ガーナ共和国 |
セコンディ水産業振興計画 |
平成29年12月 |
文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、「高い技術をもって、社業の発展を図り、健全な経営により社会的責任を果たす」を社是に掲げ、着実な経営計画により競争に打ち勝ち、誠実な施工で永い信用を築くことにより、皆様の信頼と期待にお応えし、皆様と共に発展して行くことを経営理念に据えております。
①平成29年度における課題
地盤改良工事における施工不良等や大学との共同研究に関する社員の贈賄被告事件などにより、株主様をはじめとする多くの関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけいたしましたことを心より深くお詫び申し上げます。
これらの事件の原因は、コンプライアンス、内部統制の不徹底によるものであり、真摯に反省し、再発防止策を着実に進めてまいります。
当社は、信頼を回復するため、「技術と品質でお客様の信頼にお応えする新生東亜建設工業」となることを目指し、中期経営計画(平成29~31年度)を策定いたしました。
経営理念に掲げた「高い技術」と「誠実な施工」により、お客様に納得していただける高い品質のものをお届けしてまいります。
②中期経営計画(平成29~31年度)の基本方針
(信頼を回復するための「変化」)
・原点に立ち返る:社是・三則・五訓
・再発防止策に愚直に取組み続け、改善を約束する:「させない仕組み」づくり
・不祥事を起こさない風土に生まれ変わる:「しない風土」づくり
(技術と品質を活かした基盤づくりからの「成長」)
・まずは信頼回復に努め、将来の成長に向けた基盤づくりを急ぐ
・「土木」「建築」「国際」三位一体での強みを追求する
・信頼性の高い新技術を開発する
・品質問題の撲滅、発生時の誠実対応を可能にする品質管理体制を構築する
中期経営計画の最終年度(平成31年度)における事業目標(概要)
|
|
|
連 結 |
個 別 |
||
|
業績目標 |
受注高 |
─ |
|
1,770 |
億円 |
|
|
売上高 |
1,840 |
億円 |
1,760 |
億円 |
|
|
営業利益 |
60 |
億円 |
55 |
億円 |
|
|
経常利益 |
55 |
億円 |
51 |
億円 |
|
財務目標 |
純資産 |
─ |
|
650 |
億円 |
|
|
ROE |
─ |
|
5 |
% |
③部門施策
・技術と品質、多様性あるお客様を背景に「海上土木№1」を達成
・今よりも多くのお客様にご用命いただくためのアプローチ強化
・陸上土木の選択と集中による収益性の高い高品質案件の増加
・お客様のニーズに寄り添い、技術とノウハウを活かした得意分野(冷凍冷蔵倉庫、介護施設、斎場、給食センター等)の受注強化
・地道に積み重ねた信頼と利益を重視した集合住宅の受注強化
・PFI/PPPに関する営業強化
・戦略的活動拠点の体制を構築し、①シンガポール、②ベトナム・インドネシア、③ドバイ(中東・アフリカ)での活動を強化
・利益重視の営業方針のもと、活動強化により新興国のインフラ需要の取り込み
・土木・建築との三位一体で推進できるビジネスの構築(港湾土木、火力発電所、プラント土建、冷凍冷蔵倉庫等)
・「企業経営の質」が向上する仕組み構築による、事業成長のサポート
・二度と不祥事を起こさない企業風土への「変化」への仕組みづくり
・競争力のある人と組織づくりへの取り組み(採用と教育の強化)
・安定した経営の基盤となる財務体質の実現
以上の施策を当社グループの役職員が共有、着実に実行し、経営課題の解決に取り組んでまいります。またコーポレート・ガバナンスの徹底した実践により、公正かつ信頼性の高い企業としての信用を回復し、永続的な評価を得ることを目指してまいります。
なお、当社は会社の支配に関する基本方針を定めており、その内容等は次のとおりであります。
①基本方針の内容
当社は、公開会社として株式を上場し、株主、投資家の皆様による株式の自由な取引が認められている以上、当社株式に対する大規模買付提案またはこれに類似する行為があった場合において、これに応じて当社株式の売却を行うか否かの判断は、最終的には株主の皆様の意思に基づき行われるものであると考えております。
当社株式の売却を行うか否か、すなわち大規模買付提案等に応じるか否かの判断を株主の皆様に適切に行っていただくためには、大規模買付者側から買付の条件や買収した後の経営方針、事業計画等に関する十分な情報提供がなされる必要があると考えます。また、当社は、その大規模買付提案に対する当社取締役会の評価や意見、大規模買付提案に対する当社取締役会による代替案等も株主の皆様に提供しなければならないと考えます。株主の皆様には、それらを総合的に勘案したうえでご判断をいただく必要があると考えます。
当社の財務及び事業の方針を決定する者は、当社の経営理念を理解し、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に構築することができ、当社の企業価値、株主共同の利益を中長期的に向上させることのできる意思と能力を備えている必要があると考えます。
したがって、大規模買付提案にあたって当社や当社の株主に対し、提案内容に関する情報や意見、評価、代替案作成に必要な時間を与えない大規模買付者、買付の目的及び買付後の経営方針等に鑑み、当社の企業価値・株主共同の利益を損なうことが明白である大規模買付提案を行う買付者、買付に応じることを株主に強要するような仕組みを有する提案等を行う大規模買付者は、当社の財務及び事業の方針を支配する者としては適切ではないと考えております。
このような大規模買付提案または大規模買付行為等があった場合には、当社は、法令及び定款によって許容される限度において、企業価値や株主共同の利益を確保するために必要な措置を講じることを基本方針とします。
②基本方針の実現に資する取り組み
当社は、より多くの投資家の皆様に末永く継続して投資いただくため、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を向上させる取り組みとして、「高い技術をもって、社業の発展を図り、健全な経営により社会的責任を果たす」という経営理念を掲げ、その実現のための中期経営構想を実践しております。また、これらと並行して、コーポレート・ガバナンスの強化、充実に取り組んでおります。
③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止する取り組み
当社は、当社株式に対する大規模買付提案またはこれに類似する行為があった場合には、企業価値及び株主共同の利益の確保のため、適時適切な情報開示に努めるとともに、その時点において適切な対応をしてまいります。
④基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて
当社の中期経営構想は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させる取り組みとして、当社の経営理念を実現させるため実践しているものであり、まさに当社の基本方針に沿うものであります。
従いまして上記の取り組みは、当社の会社役員の地位の維持を目的としたものではありません。
当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。当社はこれらリスク発生の可能性を認識した上で、発生の予防及び発生した場合の対応に万全を期す方針であります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの売上高の主要部分を占める国内建設事業につきましては、わが国の公共事業投資並びに民間設備投資の動向によりまして、影響を受ける可能性があります。
建設資材価格などの高騰により工事採算が悪化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、世界各国にて建設事業を行っておりますが、その施工場所における政情の変化、経済情況の変化、予期せぬ法令・規制の変更等により、影響を受ける可能性があります。
また海外事業に関する為替変動リスクにつきましては、外貨建工事代金収入に対応させて原価支払いを外貨建としたり、必要に応じ為替予約などを通じヘッジしておりますが、そのリスクをすべて排除することは不可能であり、為替変動により影響を受ける可能性があります。
工事の品質管理には万全を期しておりますが、瑕疵担保責任及び製造物責任による損害賠償が発生した場合は、影響を受ける可能性があります。
グループ内の子会社・関連会社が実施している事業に関しまして、経済環境の急激な変動があった場合には、影響を受ける可能性があります。
当社グループの保有する不動産・有価証券の時価の下落により、影響を受ける可能性があります。
繰延税金資産につきましては、今後の課税所得をもって全額回収可能と判断しておりますが、将来の課税所得見積額の変更等により、繰延税金資産について一部回収が困難であると判断した場合は、影響を受ける可能性があります。
建設工事は契約から完成引渡しまで長期にわたり、また一件当たりの請負金額が大きく、一般的に工事目的物の引渡し時に多額の工事代金が支払われるため、取引先の信用リスクが生じる可能性があります。
工事施工にあたっては事故防止に万全を期しておりますが、予期せぬ要因から事故や労働災害が発生する可能性があります。この場合、損害賠償や指名停止などによる受注機会の減少により業績に影響が及ぶ可能性があります。
特記事項はありません。
当社グループにおきましては、現在、環境・防災・リニューアル技術に重点をおいて研究開発を推進しております。当連結会計年度における研究開発費は896百万円であります。また、主な研究開発成果は次のとおりであります。
(国内土木事業・国内建築事業及び海外事業)
高品質かつ高耐久なコンクリート構造物の築造にあたっては、コンクリートが硬化してからの一定期間、コンクリートに水を供給し、表面を十分に湿った状態に保つことが重要であります。しかし、壁などの鉛直面においては、供給した水が流れ落ち、風や日射により乾燥してしまうため、従来の散水、養生マット等による方法では、全面を均一かつ確実に湿潤状態に保つことが困難であるという課題がありました。このような背景から、当社では施工性に優れ、上記の課題を解決できる養生マット「モイスマット」を開発しております。
「モイスマット」の開発は、これまで国内工事への適用を通じて施工実績の積上げや品質向上効果の確認等を行いながら進めてまいりましたが、日本と異なる条件(気象海象、従事作業員の技術レベル、調達可能な資機材等)での適用性検討を目的に、ベトナム国の海外工事において現場実証試験を実施いたしました。その結果、ベトナム人作業員による資材準備から設置までの一連の作業は十分に行えること、ベトナム国で従来採用されてきた養生方法と比較して、「モイスマット」による品質向上が可能なことを確認いたしました。
東北地方太平洋沖地震による津波が甚大な被害をもたらしましたが、沖合の防波堤による人的被害の低減効果について多数の報告が上がっております。この防波堤築造工事において捨石基礎の天端を均す工法として、作業船のクレーンで吊上げた重錘を繰り返し落下させるマリンプレス工法があります。しかし、マリンプレス工法は、天端のような水平面を均すことはできますが、両端の法面においては、階段状にしか均すことができない工法でありました。
「法面均し装置」は、この法面勾配に合わせた傾斜に均し面を調整することができるものです。当社保有の法面対応型グラブバケットに均しアタッチメントを取り付ける構造で、勾配はグラブバケット同様、1:2~1:6及び水平の6段階に調整が可能です。港外側、港内側法面及び水平面と傾斜角度の異なるすべての均しを1基の装置で施工することが可能です。また、施工管理は、当社保有の水中三次元位置検出を行えるPU-NAVI(民間技術評価第14001号)を使用することができます。この「法面均し装置」は、平成27年度鹿島港外港地区南防波堤基礎工事において適用いたしました。
日本は、諸外国から金属などの資源を輸入して付加価値の高いプロダクトを作り出すことで繁栄してきました。しかし、諸外国での採掘や製錬によって、その地の環境に負荷をかけながら日本の発展に欠かせない資源を獲得してきた側面もあります。近年、日本の領海・EEZ内に賦存する海洋資源に注目が集まっていますが、この「自国資源」を日本の高い環境技術と整備された法制度の下で開発していくことが期待されております。このような背景のもと、当社は海洋資源開発のための技術開発に取り組んでおります。その一例として、東京大学の「レアアース泥開発推進コンソーシアム」に参加し、海洋土木で培った技術を発展・応用すべく異業種との連携にも着手しております。例えば、遠隔操作型水中ロボットなどの保有技術を採泥分野に応用する検討や、開発で発生する残泥の有効利用(リサイクル)又は減容化(リデュース)といった分野の実験的検討を行っております。
免震構造は、耐震構造に比べ、大地震時における建物の損傷や揺れを大幅に低減できることは、広く認識されております。しかし、免震構造の中で一般的な基礎免震構造は、免震部材の上下に基礎梁を配置した免震ピットを設けるため、耐震構造と比べ、建設コストも高く、工期が長くなるという課題がありました。
そこで当社は、同業他社5社により共同で、実大サイズの免震部材の傾斜実験や、地盤-杭-建物連成系一体解析モデルを用いた地震応答解析による検証を行い、上記の課題などを解決した「拡頭杭免震構法」を開発し、日本ERI株式会社の構造性能評価を取得いたしました。
「拡頭杭免震構法」は、杭頭部の径を拡げた拡頭杭の頭部に直接免震部材を設置し、免震部材の下部の基礎梁を従来工法の基礎免震構造より薄い扁平な「つなぎ梁」で杭頭部を連結して免震層を一体化した免震構法であり、杭頭部の径を拡げたことで、杭頭に生じる回転角を抑制することが可能となります。また、基礎梁を「つなぎ梁」とすることで、基礎工事の簡略化を図ることが可能となります。
(その他)
研究開発活動は特段行っておりません。
当社グループにおける財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表作成にあたっては、過去の実績や現在の状況に基づき合理的と考えられる見積りによっている部分があり、実際の結果がこれらの見積りと異なる場合があります。
当社は、主に次の重要な会計方針に含まれる見積りが、状況の変化により、当社グループの連結財務諸表に影響を与えると考えております。
当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。
なお、工事進行基準適用工事の中で工期が長期にわたる工事については、外部環境の変化により工事原価等が当初の見積りと異なってくる場合があります。
退職給付に係る負債は従業員の退職給付に備えるものであり、当連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込み額に基づき、当連結会計年度末において発生していると認められる額を計上しております。なお、退職給付債務等の計算の基礎率である割引率については0.5%を採用しております。数理計算上の差異につきましては13年で按分した額を発生の翌連結会計年度から費用処理しております。
年金資産については、株式で運用される部分があります。株価の動向によっては期待運用収益の見積り金額と異なってくることがあり、この場合当連結会計年度の数理計算上の差異となり、翌連結会計年度以降の損益に影響します。
一方、平成16年3月期に、キャッシュバランスプラン制度を導入したことにより、割引率変更による退職給付債務への影響額については、限定的となりました。
債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収の可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
当社グループの取引先の信用状況が悪化し、その支払能力が低下した場合、引当金の追加設定が必要となる可能性があります。
当連結会計年度の売上高は167,200百万円で、前連結会計年度比33,081百万円(△16.5%)の減収となりました。なお、当事業年度の当社の受注額は130,914百万円で、前事業年度比49,967百万円(△27.6%)の減少となっております。
当連結会計年度の営業利益は6,196百万円で、前連結会計年度比5,592百万円(△47.4%)の減益となりました。これは、売上高及び利益率の低下に伴うものであります。
当連結会計年度の経常利益は5,897百万円となり、前連結会計年度比4,709百万円(△44.4%)の減益となりました。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は7,438百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益6,038百万円)となりました。これは施工不良関連損失が大きく影響したことによります。
この結果、1株当たり当期純損失は355円86銭となりました。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して12,756百万円減少し、183,735百万円となりました。これは、主に受取手形・完成工事未収入金等が増加した一方で、現金預金、未成工事支出金等が減少したことによります。
負債は、前連結会計年度末と比較して6,571百万円減少し、118,776百万円となりました。これは主に施工不良関連損失引当金を計上した一方で、支払手形・工事未払金等が減少したことによるものです。
純資産は、主に親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことにより、前連結会計年度末と比較して6,185百万円減少し、64,958百万円となりました。なお、自己資本比率は35.1%と、前連結会計年度末と比較して0.9ポイント減少しております。
また、D/Eレシオ(有利子負債/株主資本)は0.50(前連結会計年度:0.45)となりました。
「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」を参照ください。